JPH07304960A - コラーゲン粉末水分散物およびその製造法 - Google Patents

コラーゲン粉末水分散物およびその製造法

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JPH07304960A
JPH07304960A JP4875795A JP4875795A JPH07304960A JP H07304960 A JPH07304960 A JP H07304960A JP 4875795 A JP4875795 A JP 4875795A JP 4875795 A JP4875795 A JP 4875795A JP H07304960 A JPH07304960 A JP H07304960A
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collagen powder
water
powder
surfactant
collagen
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JP4875795A
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English (en)
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Mina Saitou
美奈 齋藤
Tetsuyoshi Fujita
哲良 藤田
Tetsuo Wada
哲夫 和田
Tetsuhiko Yamaguchi
哲彦 山口
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 風合いを改良する目的で、水系繊維処理剤、
水系表面処理剤や水系塗料等に添加するコラーゲン粉末
水分散物およびその製造法に関する。 【構成】 水に不溶性なコラーゲン粉末、界面活性およ
び水を特定の割合で用いたコラーゲン粉末水分散物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水系繊維処理剤、水系
表面処理剤や水系塗料等に添加することのできるコラー
ゲン粉末水分散物に関する。さらに詳しくは、衣料や家
具等の各種の用途に向けられる繊維や家電製品等の成形
材や自動車内装材に、人肌様の風合いや天然素材のよう
な外観、感触、機能等を持たせること、すなわち、絹の
様な高級感のある光沢、触感や風合い、麻や木綿のよう
な涼感、綿のような快適感、羊毛のような温かみ感等の
感触及び機能を付与する目的で、水系繊維処理剤、水系
表面処理剤や水系塗料等に用いられるコラーゲン粉末水
分散物とその保存安定性やコラーゲン粉末の分散安定性
を改善した製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年繊維は高級化志向に伴い、合成繊維
であっても天然素材のような外観、感触、機能等を持つ
こと、すなわち、絹の様な高級感のある光沢、触感や風
合い、麻や木綿のような涼感、綿のような快適感、羊毛
のような温かみ感が要求されている。最近、前記のよう
な風合いを向上させたものとして、新合繊として知られ
ているような、繊維を構成する糸自体を高度に改良した
もの、あるいは特殊な樹脂を被覆したものがある。しか
し、上記のようなものは設備的な制約があり、手間がか
かるためコスト高となり、また処理を施すための樹脂が
高価である等の問題点があった。
【0003】塗料や人工皮革、合成皮革あるいは塩ビレ
ザー等の分野では、特開昭61−163850号公報、
特開昭63−236636号公報や特開平3−1958
00号公報に見られるように、天然皮革様あるいは人肌
様の風合いを付与する目的で、従来より、不溶性コラー
ゲン、トロポコラーゲン、アテロコラーゲンまたはこれ
らの混合物または架橋物であるコラーゲン粉末、または
皮革製品製造の際に生じる皮革くずを合成樹脂組成物に
混入しこれをシート状に成形したり、またコーティング
を施す等の技術が確立している。
【0004】したがって、繊維処理の分野でも、コラー
ゲンを各種の繊維処理剤に混入することにより人肌様の
風合いを付与する試みが行われたが、水系の繊維処理の
場合には、コラーゲン粉末の水ぬれ性の不良から分散安
定性に優れたコラーゲン粉末水分散物を得るのが難しい
ことや、またコラーゲン粉末水分散物の保存安定性に劣
り、数日もしくは数時間静置しておくと、コラーゲン粉
末が沈降し凝集物ができて使用が困難になること、ある
いは凝集したコラーゲン粉末水分散物を使用することに
より人肌様の風合いが十分に得られないことなどの問題
が解消されていなかった。また、人工皮革、合成皮革、
塩化ビニル製レザーや塗料等の分野でも、水系表面処理
剤や水系塗料の場合は、繊維処理の分野と同様に、コラ
ーゲン粉末の分散が不良でママコが生じたり、静置して
おくとコラーゲン粉末が凝集し使用に耐えないものにな
るなどの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
のコラーゲン粉末と、界面活性剤を用い、かつ特定の製
造法を経ることによって、上記の従来技術の問題点が改
良され、人肌様の風合いや天然素材のような外観、感
触、機能を付与する目的で、水系繊維処理剤、水系表面
処理剤や水系塗料等にコラーゲン粉末を添加する際、容
易にコラーゲン粉末を添加することができる溶液状ある
いはペースト状のコラーゲン粉末水分散物を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に種々検討した結果、実質的に水に不溶性であり、主に
コラーゲンからなる粉末を界面活性剤とともに特有の割
合で水に混合し、溶液状あるいはペースト状の、分散安
定性に優れ、かつ保存安定性にすぐれるコラーゲン粉末
水分散物を得ることができることを見出し本発明を完成
するに至った。本発明で得られたコラーゲン粉末水分散
物を用いることにより、上記従来技術の問題点が改良さ
れ、人肌様の風合いや天然素材のような外観、感触、機
能を付与する目的で水系繊維処理剤、水系表面処理剤や
水系塗料等に、容易にコラーゲン粉末を添加することが
可能になった。
【0007】本発明において用いられるコラーゲン粉末
は、主にコラーゲンよりなり、かつ実質的に水に不溶性
である粉末であることが必要とされる。具体的には天然
皮革の製造工程で発生するバフィング粉を分級して得ら
れる皮革粉や、特開平4−226538号に準じた特殊
な方法で精製、粉砕され製造されたコラーゲン粉末等を
用いることができる。コラーゲン粉末水分散物の使用工
程中にコラーゲンが低分子化し、着色やベト付きが生じ
たり、低分子化して変色したり、カビ等が繁殖すること
を防ぐために、適当な方法で安定化処理されたコラーゲ
ン粉末を用いることが望ましい。
【0008】ここで安定化処理とは、皮革の製造でのな
めし処理と同様の処理、すなわち豚や牛等の皮のような
動物組織を精製処理、湿式粉砕して得られたコラーゲン
繊維分散物にアルミニウム化合物やジルコニウム化合物
やタンニンといったなめし剤を添加して耐久性をあげる
処理のことや、もしくは多価アルデヒド化合物や多価エ
ポキサイド化合物等を用いたコラーゲン分子鎖の架橋処
理や、もしくはポリウレタン樹脂やポリアクリル樹脂な
どをバインダーとして用いたコラーゲン繊維の固定化処
理等のことを指す。
【0009】さらに繊維や人工皮革、合成皮革、塩化ビ
ニル製レザー、塗料基材への着色の問題から、無着色薬
剤で安定化処理されたコラーゲン粉末を用いることが好
ましい。コラーゲン粉末の着色の確認には、白色度を測
定することが一つの方法である。本発明で用いられるコ
ラーゲン粉末は、JIS Z8722による粉体用白色
度計C−100((株)ケット科学研究所)による白色
度が70以上であれば目的を果たすに足りる。白色度が
70未満であると、繊維、塗料、成形材、自動車内装材
等の色が不鮮明になり、外観を損ねる。
【0010】また本発明で用いられるコラーゲン粉末の
粒子径は、処理される繊維、塩化ビニル製レザー、合成
皮革、人工皮革、塗工基材、成形材、自動車内装材等に
さらさらした感触を付与する目的から、サブミクロンか
ら数十ミクロン程度であることが望ましい。具体的に
は、レーザー回折式粒度分布計マイクロトラックSRA
型での測定で80μm以下である粒子の含量が85重量
%以上であることが好ましい。80μmより粗い粒子径
をもつコラーゲン粉末が15重量%を越えると、処理し
た繊維、塩化ビニル製レザー、合成皮革、人工皮革、塗
工基材、成形材、自動車内装材等がざら付くので好まし
くない。
【0011】本発明で好ましく用いることができる特開
平4−226538号に準じて製造したコラーゲン粉末
は、裸皮(繊維束)のまま安定化処理されて製造される
従来の皮革粉と異なり、裸皮を湿式粉砕処理することに
より均一に安定化処理がなされ、かつ均一な細繊維の凝
集体になるので、乾燥・粉砕して得られたコラーゲン粉
末が細繊維のより集まった構造となり、粒子の中には空
隙が認められる。その結果、吸水度が高く、比表面積も
大きくなってくる。本発明では、吸水度が150〜30
0%であるコラーゲン粉末を用いることが好ましい。
【0012】なお、本発明で標記された粉末の吸水度
は、次に記す方法により測定したものである。粉末試料
約1.0g(WA )を水に1時間以上浸漬して吸水させ
た後、よく水をきり、更に濾紙(東洋濾紙(株)製N
o.5Cφ9cm)上に直径約4cmになる様にのせ、
この上下に数枚の濾紙を積層した後、これらの上に20
Kgの重りをのせて3分間加圧脱水して過剰水を除去
し、秤量(WB )して下式 吸水度=(WB −WA )/WA ×100 (重量%) により算出した。
【0013】吸水度は、吸放湿性を高める目的から、1
50〜300%であることが好ましい。吸水度は、吸放
湿性を高める上で高い程よいが、300%を越える程高
いと、吸水により粉末の体積が必要以上に増大して処理
した繊維、塗料、成形材、自動車内装材等の触感がザラ
付くので好ましくなく、また、150%未満では、充分
な吸放湿性の効果が得られないので、実用的ではない。
【0014】コラーゲン粉末と水を配合する際の配合比
は、通常、コラーゲン粉末が0.5〜15重量%、好ま
しくは1〜12重量%含まれるように配合することが最
適である。コラーゲン粉末の配合量が0.5重量%未満
の場合は天然素材のような外観、感触、機能が得られ
ず、15重量%を越える場合、上記吸水度を有するコラ
ーゲン粉末の吸水力が勝り流動性がなくなるので経時に
より固化してしたり、水が不足して乾燥したままのコラ
ーゲン粉末が残るので好ましくない。コラーゲン粉末が
0.5〜15重量%配合しているコラーゲン粉末水分散
物は、液状で均一かつ流動性を保持しているので、水系
繊維処理剤、水系表面処理剤や水系塗料へのコラーゲン
粉末水分散物の混合が容易である。
【0015】したがって、水系繊維処理剤、水系表面処
理剤や水系塗料へのコラーゲン粉末水分散物の混合の
際、撹拌能力が充分に確保されない場合や、低粘度であ
ることが必要である場合、または単位面積当たりのコラ
ーゲン粉末付着量が少なくても感触が向上する水系繊維
処理分野に適する。コラーゲン粉末が12重量%〜15
重量%配合しているコラーゲン粉末水分散物はペースト
状になるので、水系繊維処理剤、水系表面処理剤や水系
塗料へのコラーゲン粉末水分散物の混合の際、撹拌能力
が充分に確保される場合や、感触付与だけでなく吸放湿
性や吸水性などの機能を付与する目的の場合、また繊維
処理、成形品等への表面処理や塗装の際に高粘度である
ことが必要である場合に適する。
【0016】本発明に用いられる界面活性剤は、水溶性
であれば特に限定はされない。通常の、非イオン性もし
くはアニオン性もしくはカチオン性もしくは両イオン性
の界面活性剤を用いることができ、好ましくは非イオン
性もしくはアニオン性のものを用いることができる。
【0017】非イオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル系界面活性剤あるいはポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性
剤、ポリオキシアルキレン型シリコン系界面活性剤、脂
肪酸モノもしくはポリグリセリンエステル系界面活性
剤、ポリオキシエチレン脂肪酸モノもしくはポリグリセ
リンエステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル
系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸
エステル系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸
系界面活性剤、脂肪酸エタノールアミド系界面活性剤、
ポリオキシエチレン脂肪アミン系界面活性剤、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系界
面活性剤、ポリオキシエチレンアセチレングリコール系
界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルアリルエーテル系界面活性剤、複糖
類もしくは多糖類もしくはそのエステルを主骨格とする
界面活性剤、フッ素系非イオン性界面活性剤等であるこ
とが好ましい。
【0018】またアニオン性界面活性剤としては、直鎖
型もしくは分岐型アルキルベンゼンスルホン酸塩系界面
活性剤や、アルキル硫酸塩系界面活性剤、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル硫酸塩系界面活性剤、アルカン
スルホン酸塩系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルメチルカルボン酸塩系界面活性剤、アルキル
ナフタレンスルホン酸塩系界面活性剤、ナフタレンスル
ホン酸系界面活性剤、アルキルリン酸塩系界面活性剤、
アシロイルメチルタウレート系界面活性剤、イセチオン
酸脂肪酸エステル塩系、アルキルスルホコハク酸塩系界
面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホ
コハク酸塩系界面活性剤、ポリアクリル酸もしくはポリ
メタクリル酸系もしくはそれらの部分塩もしくはその修
飾物からなる界面活性剤、
【0019】ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒ
ド縮合物系界面活性剤、脂肪酸エタノールアミド硫酸塩
系界面活性剤、脂肪酸モノもしくはポリグリセライド硫
酸塩系界面活性剤、アシルグルタミン酸塩系界面活性
剤、アシルサルコシン酸塩系界面活性剤、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテルエタンスルホン酸塩系界面活性
剤、アシル化ポリペプチド系界面活性剤、アルファース
ルホン化脂肪酸塩系界面活性剤、アルファーオレフィン
スルホン酸塩系界面活性剤、多糖類カルボン酸塩系界面
活性剤、フッ素系アニオン性界面活性剤等であることが
好ましい。
【0020】カチオン性界面活性剤としては、アルキル
メチルアンモニウムメトキシ硫酸系界面活性剤あるいは
アルキルメチルアンモニウムハロゲン化物系界面活性
剤、アルキルベンジルアンモニウムハロゲン化物系界面
活性剤、アルキルピリジニウムハロゲン化物系界面活性
剤、イソプロパノールアミン脂肪酸エステル系界面活性
剤、カチオン系セルロース系界面活性剤、フッ素系カチ
オン性界面活性剤等であることが好ましい。両イオン性
界面活性剤については、カルボン酸アンモニオベタイン
系界面活性剤あるいはスルホン酸アンモニオベタイン
(スルホベタイン)系界面活性剤、アシル化ポリペプチ
ド系界面活性剤などが好ましい。
【0021】コラーゲン粉末と界面活性剤と水を配合す
る際の配合比は、通常、界面活性剤がコラーゲン粉末に
対して1〜20重量%、好ましくは、3〜12重量%含
まれるように配合することが好ましい。コラーゲン粉末
と界面活性剤と水の混合に際し、まず界面活性剤を水に
添加攬拌し、しかるのちにコラーゲン粉末を混合する。
界面活性剤の配合量がコラーゲン粉末に対して1重量%
未満の場合、分散安定性が悪くコラーゲン粉末の分散が
不良でママコが生じたり、保存安定性に欠け静置してお
くとコラーゲン粉末が凝集し使用に耐えないものになる
ことがある。逆に20重量%を越える場合、分散安定性
および保存安定性は変化しなくなるが、消泡が困難とな
り好ましくない。
【0022】ここで分散安定性とは、コラーゲン粉末水
分散物の調製時にママコを生じ、1次粒子まで完全に分
散されないことのほか、調製時に分散化したコラーゲン
粉末粒子が経時的に不可逆的な2次凝集をおこし、調製
時の分散状態を保持できないことも含む。また保存安定
性とは、経時によって沈降したコラーゲン粉末が固くな
らず、ガラス棒等の攬拌で容易にコラーゲン1次粒子へ
の再分散可能なことを示す。
【0023】本発明のコラーゲン粉末水分散物の分散安
定性および保存安定性の改良を目的として、コラーゲン
粉末、界面活性剤に加えて、水に溶解もしくは分散する
高分子分散剤を添加することができる。高分子分散剤と
しては、天然もしくは合成高分子のいずれのものも用い
ることができ、また通常非イオン性高分子分散剤もしく
はアニオン性高分子分散剤、カチオン性高分子分散剤、
両イオン性高分子分散剤が用いられるが、なかでも非イ
オン性高分子分散剤が本発明には好適である。
【0024】用いられる界面活性剤のイオン性にも影響
を受けるが、イオン性高分子分散剤の中には凝集性能が
高く、コラーゲン粉末水分散物の分散安定性を逆に低下
させるものがあり、その場合発明の目的は達成されな
い。高分子分散剤の平均分子量は重量平均分子量で30
00以上であることが好ましい。より小さな分子量のも
のでは高分子分散剤本来の効果が十分に得られず、本発
明の目的とする分散安定性および保存安定性についても
十分な効果が得られない。また用いる高分子分散剤に増
粘作用があることがより好ましい。
【0025】コラーゲン粉末の真比重が1より大きい場
合、経時的にコラーゲン粉末が沈降する現象は避けられ
ない。分散安定性に優れるコラーゲン粉末水分散物の場
合、沈降コラーゲン粉末は再撹拌により容易に再分散可
能であるが、増粘効果によりコラーゲン粉末水分散物の
経時によるコラーゲン粉末の沈降を遅延させ、繊維処
理、レザー等の表面処理や塗装工程の不都合を削減し、
再撹拌操作を省略できる保存期間を延長することが可能
になるなどの保存安定性の改善効果がある。高分子分散
剤の添加量は、コラーゲン粉末に対して、300重量%
以下の割合で添加することが好ましいが、用いる高分子
分散剤の増粘作用に応じてコラーゲン粉末水分散物の粘
度、状態を考慮した最適な添加量を選択することが望ま
しい。一般的に添加量がコラーゲン粉末に対して5重量
%を下回ると高分子分散剤の分散化効果が不十分にな
り、高分子分散剤の無添加との差が認められにくい。ま
た300重量%を越えて添加すると、繊維や樹脂成形体
へのコラーゲン粉末の添加効果が隠蔽され不十分なもの
となる。
【0026】本発明で用いられる高分子分散剤として
は、ヒドロキシエチルセルロール、ヒドロキシプロピル
セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロースなどのセルロース系高分子分
散剤、ポリアクリロニトリルおよびその誘導体およびそ
の共重合体系高分子分散剤、ポリアクリルアミドおよび
その誘導体およびその共重合体系高分子分散剤、ポリウ
レタンエマルジョン系高分子分散剤、
【0027】重量平均分子量3000以上のポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシ
エチレン等のポリグリコール系高分子分散剤、ポリビニ
ルアルコールおよびその変性物系高分子分散剤、ポリビ
ニルアミド系高分子分散剤、ポリビニルピロリドン系高
分子分散剤、ポリビニルエーテル系高分子分散剤、ポリ
オキシエチレンアクリレートもしくはポリオキシエチレ
ンメタクリレート系高分子分散剤、ポリアミノ酸系高分
子分散剤、プルラン系高分子分散剤、デキストラン系高
分子分散剤、デンプンおよびその誘導体系高分子分散
剤、ゼラチン系高分子分散剤等の、非イオン性高分子分
散剤が好ましく、またポリアクリル酸およびその塩およ
びその共重合体系高分子分散剤、アルギン酸系高分子分
散剤、カラギーナン系高分子分散剤、ポリリン酸系高分
子分散剤等のアニオン性高分子分散剤も用いることがで
きる。
【0028】本発明のコラーゲン粉末水分散物の製造
は、界面活性剤を添加した水にコラーゲン粉末および高
分子分散剤を添加し、撹拌して分散化する方法による。
撹拌、分散化条件については、回転数が500rpm前
後の低速のヘンシェルミキサーや低速のディスパーサー
等の撹拌装置でも分散状態の良い水分散物を得ることが
できるが、経時によりコラーゲン粉末の凝集が起こり、
この凝集物の粒子径が生長するので好ましくなく、本発
明のコラーゲン粉末水分散物の製造では、単に撹拌する
のではなく、高速回転のせん断型撹拌機または湿式微粒
子化機を用いることを特徴とする。
【0029】高速回転のせん断型撹拌機では、高速ター
ビン羽根が生む強力なせん断の衝撃力や乱流によりコラ
ーゲン粉末粒子凝集物の1次粒子への分解やコラーゲン
粉末粒子自体の再粉砕による微粉化とともに、コラーゲ
ン粉末粒子の表面に界面活性剤および高分子分散剤を効
率的に吸着させ、安定な分散状態を達成することが可能
となる。ここで高速回転とは1500rpm以上の回転
数をいい、例えば、高速撹拌分散化装置であるT.K.
ホモディスパー(特殊機化工業株式会社製)、クイック
ホモミキサーLR型(みずほ工業株式会社製)、連続式
破砕微粒子化機であるT.K.ハイビスラインミクサー
(特殊機化工業株式会社製)、磨砕、微粒子化および分
散等の作用を同時に行うT.K.マイコロイダー(特殊
機化工業株式会社製)、乳化分散や均一混合、微粒子化
を行う高性能乳化分散機キャビトロン(ユーロテック株
式会社製)等があげられる。湿式微粒子化機では、メデ
ィアや砥石を用い遠心力を利用した磨砕法によるダイノ
ミルのような湿式粉砕機等があげられる。
【0030】このようにして製造されたコラーゲン粉末
水分散物は、単に500rpmのディスパーで撹拌した
コラーゲン水分散物より、レーザー回折式粒度分布計マ
イクロトラックSRA型で測定した平均粒子径が0.8
2倍以下に湿式粉砕されており、調製後100日を経た
場合の平均粒子径でも、単に500rpmのディスパー
で撹拌しただけのコラーゲン水分散物の平均粒子径より
小さく、2次凝集物も生じていない。
【0031】本発明のコラーゲン粉末水分散物は、コラ
ーゲン粉末の含量が5重量%になるように調製した場
合、径25mmの100ml容比色管に100ml(高
さ204mm)入れて7日間室温で静置して生じる沈降
物の体積が55ml(高さ112mm)以上、すなわち
全容量の55%以上となることを特徴としており、この
特性をもつコラーゲン粉末水分散物は1カ月程度では沈
澱物が固化せずガラス棒等の軽い撹拌で撹拌が可能であ
る。コラーゲン粉末の沈降体積が全容量の55%未満に
なる場合は、沈降物が固化してしまい、再撹拌できず、
使用に耐えられない。
【0032】本発明では、用いたコラーゲン粉末の白色
度が70以上の白色を呈すので、コラーゲン粉末水分散
物として調整しても白色を呈す。皮革粉は白色度がこれ
より低く緑灰色を呈しているので水分散物として調整し
ても緑黒い色を呈している。コラーゲン粉末や皮革粉
を、含量が5重量%になるように水分散物として調整し
た後、白色の繊維に繊維重量と同量パディングして乾燥
すると、本発明のコラーゲン粉末を用いた水分散物は原
液でも繊維の色を損ねないのに対して、皮革粉では原液
を10倍希釈して用いても繊維の色を損ねる。したがっ
て、コラーゲン粉末水分散物が白色を呈すことが好まし
い。なお、コラーゲン粉末水分散物の白色の度合は、規
格化された測定方法がないので、次に記す方法により測
定した。
【0033】コラーゲン粉末の含量が5重量%になるよ
うに調製したコラーゲン粉末水分散物を30cc程度光
学硬質ガラスセルに入れ、JIS Z8729に準拠し
たカラーテスターSC−2−SCH型(スガ試験機
(株)製)で明度指数を測定した。明度指数は、コラー
ゲン粉末水分散物を用いて繊維や成形物を処理または塗
装する際に、基材の色を損ねないという目的から、50
以上であることが好ましい。明度指数が50より低い
と、処理または塗装した基材の色がくすみ、外観を損ね
るので好ましくない。
【0034】さらに、防腐の目的で、有機窒素硫黄系化
合物、有機窒素硫黄ハロゲン系化合物、有機ハロゲン系
化合物等であるビオサイド150E、ビオサイド370
C、ビオサイド2000Y、ビオサイド810(以上は
すべてタイショー株式会社製)、デルトップR 、スラオ
R 72N(以上は武田薬品工業株式会社製)等の防腐
剤を添加してもよいが、もちろんこれに限定されるわけ
ではない。
【0035】本発明に用いられる水は蒸留水や純水であ
る必要はなく、一般の市水や工業用水でもよいが、コラ
ーゲン粉末を水に分散させる際に用いられる界面活性剤
によっては、ナトリウムやカルシウム等の塩濃度が5重
量%を越える場合に、コラーゲン粉末の分散性の改良の
効果が得られない場合があるので好ましくない。pHに
ついては、pH3からpH11といった広いpH範囲で
特に問題はない。pH3未満であるとコラーゲンが可溶
化するので好ましくない。また、pH11を越えるとコ
ラーゲン粉末が膨潤し凝集が生じ易くなるので好ましく
ない。また、水温については、低温や室温では特に問題
はないが、80℃を越えて昇温した場合は、安定化処理
されたコラーゲン粉末といえども、熱分解し易くなるの
で好ましくない。
【0036】このように作り出されるコラーゲン水分散
物は流動性を有し、既存の水系繊維処理剤、水系表面処
理剤や水系塗料に簡単に添加することが可能な状態とな
りうるので、繊維の場合では、例えば本発明のコラーゲ
ン粉末水分散物を水系繊維処理剤に添加攬拌し、これを
織布ないしは不織布等の面にドクターコーティング、ロ
ーラーコーティング、プリントコーティング、スプレー
コーティング、キャストフィルムコーティング等で塗布
すること、または希釈などを行って比較的粘性の低い繊
維処理組成物を調整し、バッター等でパディングやディ
ッピングなどドブ漬状に含浸するなどの簡易な繊維処理
を供しえる。
【0037】また、本発明のコラーゲン粉末水分散物
は、絹、羊毛、木綿、麻類などの天然繊維、ナイロン繊
維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維、
アセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊
維、さらにガラス繊維、金属繊維、セラミックス繊維な
どの無機物繊維に利用することができる。成形品やレザ
ー等の水系表面処理剤においても本発明のコラーゲン粉
末水分散物は容易に添加できるので、通常のスプレーコ
ーター、グラビアコーターやナイフコーター等で表面処
理することが可能となる。水系塗料の場合も、同様に本
発明のコラーゲン粉末水分散物は容易に添加できるの
で、通常の塗装工程で塗装することが可能となる。
【0038】
【実施例】以下に実施例及び比較例をあげて、本発明を
さらに詳細に説明するが、勿論これらに限定されるもの
ではない。なお、実施例及び比較例において「部」は、
特に断わらない限り「重量部」を示す。実施例1 界面活性剤ノイゲンEA137(第一工業製薬株式会社
製 非イオン性ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル)0.25部を水95部に加えて撹拌分散した
後、表1に示す粉体物性のコラーゲン粉末5部を添加
し、試験用クイックホモミキサーLRー1型(みずほ工
業株式会社製)で10000rpm、10分間分散させ
コラーゲン粉末水分散物(1)とし、表1に示された項
目の試験を実施して、同表に示す結果を得た。
【0039】実施例2 ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(n=6
0)0.04部を水99.5部に加えて撹拌分散した
後、表1に示す粉体物性のコラーゲン粉末を0.5部を
添加し、ガラスビーズの入っているダイノミルで300
0rpm、15分間湿式粉砕してコラーゲン粉末水分散
物(2)とし、表1に示された項目の試験を実施して、
同表に示す結果を得た。
【0040】実施例3 界面活性剤NUC−SILICONE L−7602
(日本ユニカー株式会社製 アルキル変性型シリコン
系)0.9部を水85部に加えて撹拌溶解した後、表1
に示す粉体物性のコラーゲン粉末15部を添加し、T.
K.マイコロイダー(特殊機化工業株式会社製)で15
分間湿式粉砕してコラーゲン粉末水分散物(3)とし、
表1に示された項目の試験を実施して、同表に示す結果
を得た。
【0041】実施例4 界面活性剤リポノックスNCE(ライオン株式会社製
非イオン性)0.8部を水93部に加えて撹拌分散した
後、表1に示す粉体物性のコラーゲン粉末7部を添加
し、T.K.マイコロイダーで10分間湿式粉砕してコ
ラーゲン粉末水分散物(4)とし、表1に示された項目
の試験を実施して、同表に示す結果を得た。
【0042】実施例5 界面活性剤信越シリコーンKF−351(信越化学工業
株式会社製 非反応性シリコーンオイルポリエーテル変
性)0.03部を水97部に加えて撹拌分散した後、表
1に示す粉体物性のコラーゲン粉末を3部を添加し、ガ
ラスビーズの入っているダイノミルで3000rpm、
15分間湿式粉砕してコラーゲン粉末水分散物(5)と
し、表1に示された項目の試験を実施して、同表に示す
結果を得た。
【0043】実施例6 界面活性剤デモールEP(花王株式会社製 アニオン性
ポリアクリル酸系)1部を水89部に加えて撹拌分散し
た後、実施例1で用いたものと同じコラーゲン粉末10
部を添加し、T.K.ホモディスパーサーL型(特殊機
化工業株式会社製)で3000rpm、30分間分散さ
せコラーゲン粉末水分散物(6)とし、表1に示された
項目の試験を実施して、同表に示す結果を得た。
【0044】実施例7 高分子分散剤としてヒドロキシエチルセルロース AX
−15(フジケミ株式会社製)0.5部をさらに添加し
た以外は実施例1の方法と同様にしてコラーゲン粉末水
分散物(7)を調製し、表1に示された項目の試験を実
施して、同表に示す結果を得た。
【0045】実施例8 高分子分散剤としてポリエチレングリコール6000
(純正化学品 重量平均分子量6000)5部をさらに
添加した以外は実施例1の方法と同様にしてコラーゲン
粉末水分散物(8)を調製し、表1に示された項目の試
験を実施して、同表に示す結果を得た。
【0046】比較例1(界面活性剤を用いない場合) 実施例1のコラーゲン粉末5部を水95部に添加し、試
験用クイックホモミキサーLR型で10分間分散させて
水分散物(9)を調製した。この水分散物は、ぬれ性が
悪く、ママコ状の凝集物があり、これを処理剤に添加し
繊維等を処理した場合、処理面にママコ部分が白点とし
て残り、商品価値の著しく低いものとなった。
【0047】比較例2(皮革粉を用いた場合) 1)皮革粉の製造 通常のクロムなめしをした皮革屑を細断し、加熱水蒸気
によりオートクレーブ内で3時間110℃に加熱、膨潤
させた後、スクリュウプレス脱水機を用いて水分率が6
7重量%になるまで脱水し、熱風棚段式乾燥機を用いて
水分率が5.0重量%になるまで乾燥させ、更にハンマ
ーミルを用いて粉砕し、皮革粉とした。 2)水分散物の調製 界面活性剤ノイゲンEA157(第一工業製薬株式会社
製 非イオン性ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル)0.6部を水95部に加えて撹拌分散した後、
得られた皮革粉5部を添加し、ダイノミルで15分間湿
式粉砕して水分散物(10)を得た。この水分散物は明
度指数が50より低く緑灰色を呈しているので、これを
繊維処理剤等に混合したもので処理を行うと、被処理物
の色がくすんだものになってしまった。又、この水分散
物は保存安定性が悪く、7日間程度の静置により、沈降
物が固くなり、再攬拌性が非常に悪い。
【0048】<ぬれ性の測定>実施例1〜8および比較
例1〜2で得られたコラーゲン粉末水分散物(1)〜
(10)のそれぞれについて、以下の方法によりぬれ性
を観察した。 (評価方法)界面活性剤を撹拌分散した水に、試料粉末
を一気に投入して再び撹拌した時、数分間で試料粉末が
湿潤することを目視により、ぬれ性が良くママコになら
ないものを○、ぬれ性が悪くママコになるものを×と判
定した。評価結果を表1に示した。表1の結果から、コ
ラーゲン粉末水分散物(1)〜(8)と比較例2のコラ
ーゲン粉末水分散性(10)はぬれ性が良好であった。
比較例1のコラーゲン粉末水分散物(9)はぬれ性が悪
く、ママコ状の凝集物があった。
【0049】<分散性の測定>実施例1〜8で得られた
コラーゲン粉末水分散物(1)〜(10)のそれぞれに
ついて、以下の方法により分散性を観察した。 (評価方法)よく洗浄したガラス板を水平に置き、25
0μmの塗装厚に調整した7cm幅のアプリケーター
で、試料を15cm塗布した時にスジができる場合、分
散不良によって生じると判断して、5本を越えてスジが
できた試料を×、2〜5本のスジができた試料を△、0
〜1本のスジができた試料を○と判定した。評価結果を
表1に示した。表1の結果から、実施例1〜8のコラー
ゲン粉末水分散物(1)〜(8)と比較例2のコラーゲ
ン粉末水分散性(10)は分散性が良好であった。比較
例1のコラーゲン粉末水分散物(9)は5本を越えてス
ジができ分散性が劣った。
【0050】<明度指数>実施例1〜8で得られたコラ
ーゲン粉末水分散物(1)〜(8)および(10)のそ
れぞれについて明度指数を測定し、白色の度合を評価し
た。 (評価方法)各実施例に用いた試料粉末について、界面
活性剤と試料粉末の混合比率が同じで、試料粉末の含量
が5重量%になるように水分散物として調整した試料分
散液を、光学硬質ガラスセルに約30cc入れ、カラー
テスターSC−2−SCH型(スガ試験機(株)製)で
明度指数を測定した。評価結果を表1に示した。表1の
結果から、コラーゲン粉末水分散物(1)〜(8)は全
て明度指数が50以上と高く、白色を呈していた。比較
例2のコラーゲン粉末水分散物(10)は明度指数が5
0未満で緑灰色を呈していた。なお、比較例1のコラー
ゲン粉末水分散物(9)は良好な分散状態が得られなか
ったので測定しなかった。
【0051】<繊維処理剤適性の測定>実施例1〜8と
比較例1〜2で得られたコラーゲン粉末水分散物(1)
〜(10)のそれぞれについて、以下の方法により繊維
処理剤適性を測定した。 (評価方法)繊維処理剤適性は、規格化された測定方法
がないので次に記す方法により測定した。まず、繊維処
理剤TKバインダー401F(高松油脂株式会社製)に
試料を同量配合して繊維処理剤調整液を得た。次に、ポ
リエステル100%ニット地で白色の繊維に、繊維重量
と同量の繊維処理剤調整液が付着するようにパディング
して105℃で乾燥し、マクベス色度計で色度を測定
し、次式によって、原布の白色といった外観を損なわな
いことを表す係数(ここでは白色係数と呼ぶ)で評価し
た。 (白色係数)=(原布の色度)/(繊維処理試料液で処
理した繊維の色度) 白色係数が1.0〜0.87の場合を○.86〜0.7
7の場合を△、0.76以下を×として評価した。評価
結果を表1に示した。表1の結果から、実施例1〜8の
コラーゲン粉末水分散物(1)〜(8)で処理した繊維
は全て白色係数が高く繊維処理剤適性が良好であった。
比較例2のコラーゲン粉末水分散物(10)で処理した
繊維は、白色係数が0.76以下と低く繊維処理剤適性
が劣った。比較例1のコラーゲン粉末水分散物(9)で
処理した繊維は処理面にママコ部分が白点として残って
しまったので白色係数を測定しなかった。
【0052】<風合いの測定>実施例1〜8と比較例1
〜2で得られたコラーゲン粉末水分散物(1)〜(1
0)のそれぞれについて、以下の方法により風合いを測
定した。 (評価方法)上述の繊維処理剤適性の測定で得られた繊
維の風合いを目視と感触で、良好を○、特に変わらない
場合を△、不良を×として評価した。評価結果を表1に
示した。表1の結果から、コラーゲン粉末水分散物
(1)〜(8)で処理した繊維は全て風合いが良かっ
た。比較例1および2のコラーゲン粉末水分散物(9)
および(10)で処理した繊維は風合いが劣った。
【0053】<沈降体積の測定>実施例1〜8と比較例
2で得られたコラーゲン粉末水分散物(1)〜(8)お
よび(10)のそれぞれについて、以下の方法により沈
降体積を測定した。 (評価方法)各実施例に用いた試料粉末について、界面
活性剤と試料粉末の混合比率が同じで、試料粉末の含量
が5重量%になるように水分散物として調製した試料分
散液を、径25mmの100ml容の比色管に100m
l(高さ204mm)入れて、室温で7日間放置したと
きに生じる沈降物の高さ(mm)を測定し、全容量に対
する比率を算出した。評価結果を表1に示した。表1の
結果から、実施例1〜8の試料分散液は全て沈降体積の
比率が55%以上と高く再分散が容易であった。比較例2
の試料分散液は沈降体積の比率が55%未満と低く沈降
物が固くなっていた。比較例1のコラーゲン粉末水分散
物(9)は良好な分散状態が得られなかったので測定し
なかった。
【0054】<再撹拌性の測定>実施例1〜8と比較例
2で得られたコラーゲン粉末水分散物(1)〜(8)お
よび(10)のそれぞれについて、以下の方法により再
撹拌性を測定した。 (評価方法)上述の沈降体積を測定した試料を、ガラス
棒で軽く20回かき回した時に、コラーゲン粉末または
試料粉末の沈降物が簡単に崩れて分散する場合を○、沈
降物が容易に崩れない場合を×として判定した。評価結
果を表1に示した。
【0055】表1の結果から、コラーゲン粉末水分散物
(1)〜(8)は全て簡単に沈降物が崩れ、再攬拌性が
良好であった。比較例2のコラーゲン粉末水分散物は沈
降物が固くなっておりガラス棒で簡単には崩れなかっ
た。比較例1のコラーゲン粉末水分散物(9)は良好な
分散状態が得られなかったので測定しなかった。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明のコラーゲン粉末水分散物は、実
質的に水に不溶性であり、水系繊維処理剤、水系表面処
理剤や水系塗料に混入して繊維、成形品やレザー、自動
車内装材などを処理した場合、表面のザラつき感が一切
無く、人肌様の風合いや天然素材のような外観、感触、
機能、すなわち、滑らかでしっとりした人肌特有の性状
を付与すると共に適度の吸放湿性を向上させ、さらにコ
ラーゲン粉末の低分子化による変色がなく、ベタ付かな
いさらっとした感触が付与することができる。
【0058】また本発明のコラーゲン粉末を界面活性剤
と共に用いることによって分散性のよいコラーゲン粉末
水分散物が得られ、水系繊維処理剤、水系表面処理剤や
水系塗料にコラーゲン粉末を容易に添加でき、経時安定
性が付与されて工業的に優れたコラーゲン粉末水分散物
を得ることができた。該コラーゲン水分散物で処理した
繊維やレザー、家電製品などの成形材、自動車内装材等
は優れた人肌様の外観と感触および機能が付与でき、よ
り感性豊かな人間生活を創造することが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 哲彦 神奈川県川崎市川崎区扇町5番1号 昭和 電工株式会社化学品研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主にコラーゲンからなる実質的に水に不
    溶性な粉末、界面活性剤および水が混合され、該粉末を
    0.5〜15重量%含み、かつ界面活性剤をコラーゲン
    粉末に対して1〜20重量%含有することを特徴とする
    コラーゲン粉末水分散物。
  2. 【請求項2】 該コラーゲン粉末が、80μm以下の粒
    径を有する粒子の含量が85重量%以上であり、白色度
    が70以上の白色を呈し、吸水度が150〜300%で
    あり、かつ安定化処理が施されている請求項1項記載の
    コラーゲン粉末水分散物。
  3. 【請求項3】 コラーゲン粉末の含量が5重量%になる
    ように調製したコラーゲン粉末水分散物の7日後の沈降
    物の体積が、全容量の55%以上となる請求項1項記載
    のコラーゲン粉末水分散物。
  4. 【請求項4】 コラーゲン粉末の含量が5重量%になる
    ように調製したコラーゲン粉末水分散物は、明度指数が
    50以上の白色を呈する請求項1項記載のコラーゲン粉
    末水分散物。
  5. 【請求項5】 コラーゲン粉末、界面活性剤および水
    と、平均分子量3000以上で水に溶解もしくは分散す
    る高分子分散剤をコラーゲン粉末に対して、300重量
    %以下の割合で添加する請求項1項記載のコラーゲン粉
    末水分散物。
  6. 【請求項6】 コラーゲン粉末、界面活性剤および水に
    加えて添加することができる高分子分散剤が、ノニオン
    性高分子分散剤である請求項5項記載のコラーゲン粉末
    水分散物。
  7. 【請求項7】 コラーゲン粉末を予め界面活性剤が添加
    された水に添加し、高速回転のせん断型撹拌機または湿
    式微粒子化機を用いて分散化させることを特徴とするコ
    ラーゲン粉末水分散物の製造法。
JP4875795A 1994-03-15 1995-03-08 コラーゲン粉末水分散物およびその製造法 Pending JPH07304960A (ja)

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JP4402994 1994-03-15
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017141410A (ja) * 2016-02-12 2017-08-17 株式会社豊和堂シルクテック 繊維状タンパク質スラリー及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017141410A (ja) * 2016-02-12 2017-08-17 株式会社豊和堂シルクテック 繊維状タンパク質スラリー及びその製造方法

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