JPH07304128A - フィルム積層体 - Google Patents

フィルム積層体

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JPH07304128A
JPH07304128A JP6099781A JP9978194A JPH07304128A JP H07304128 A JPH07304128 A JP H07304128A JP 6099781 A JP6099781 A JP 6099781A JP 9978194 A JP9978194 A JP 9978194A JP H07304128 A JPH07304128 A JP H07304128A
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inorganic layered
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film
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晃造 児谷
Taiichi Sakatani
泰一 阪谷
Toshiya Kuroda
俊也 黒田
Tomohito Funabashi
智史 船橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高水素結合性樹脂と無機層状化合物より構成さ
れる組成物層と基材との接着性が向上されたフィルム積
層体を提供すること。 【構成】高水素結合性樹脂と無機層状化合物からなる組
成物層と基材層との間に中間層としてアンカー層を有す
ることを特徴とするフィルム積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンカー層を使用する
ことにより、高水素結合性樹脂と無機層状化合物より構
成される組成物層と基材との接着性が向上されたフィル
ム積層体に関するものである。フィルム積層体の用途は
特に限定されないが、例えば、ガスバリア性フィルムに
適している。
【0002】
【従来の技術】プラスチック基材の濡れ特性を向上させ
るためには一般に表面改質を行う。特にコロナ放電処理
による基材の表面改質をするのが一般的であるが、コロ
ナ放電処理は経時変化により基材の表面張力が低下する
といった問題点があり常に均一な表面状態を得ることは
困難である。また、アンカーコートによる表面改質も利
用されている。アンカーコート剤の種類としては、アル
キルチタネート系、ポリエチレンイミン系、イソシアネ
ート系、ブタジエン系等があげられる。これらのアンカ
ーコート剤は主に包装用多層フィルムの押しだしラミネ
ーションの際に使用されているが、水性塗工液の塗工に
関してはまだ一般的ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アンカー層
を使用することにより、高水素結合性樹脂と無機層状化
合物より構成される組成物層と基材との接着性が向上さ
れたフィルム積層体に関するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、特定のアンカー層を
使用することにより、高水素結合性樹脂と無機層状化合
物より構成される組成物層と基材との接着性が向上され
ることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、高水素結合性樹脂と無
機層状化合物からなる組成物層と基材層との間に中間層
としてアンカー層を有することを特徴とするフィルム積
層体を提供するものである。
【0006】本発明に用いられる無機層状化合物とは、
単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有している
無機化合物であり、粒径が5μm以下、アスペクト比が
50以上5000以下であるものならば特に限定されな
い。ガスバリアー性に関しては、アスペクト比が200
〜3000の範囲がより好ましい。アスペクト比が50
未満であればガスバリア性の発現が十分でなく、500
0より大きいものは技術的に難しく、経済的にも高価な
ものとなる。また、粒径が3μm以下であれば透明性
が、より良好となり、さらに粒径が1μm以下であれば
透明性の重視される用途にはより好ましい。無機層状化
合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導
体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲ
ン化物〔IV族(Ti,Zr,Hf),V族(V,N
b,Ta)およびVI族(Mo,W)のジカルコゲン化
物であり、式MX2 で表わされる。ここで、Xはカルコ
ゲン(S,Se,Te)を示す。〕、粘土系鉱物などを
あげることができる。
【0007】本発明で用いられる無機層状化合物の粒径
とは、溶媒中、動的光散乱法により求めた粒径をさす。
樹脂組成物中での真の粒径測定はきわめて困難である
が、動的光散乱法で用いた溶媒と同種の溶媒で十分に膨
潤させて樹脂に複合させる場合、樹脂中での無機層状化
合物の粒径は、溶媒中の粒径に近いと考えることができ
る。
【0008】本発明で用いられる無機層状化合物のアス
ペクト比(Z)とは、Z=L/aなる関係で示される。
〔Lは、溶媒中、動的光散乱法により求めた粒径であ
り、aは、無機層状化合物の単位厚みである(単位厚み
aは、粉末X線回折法などによって無機層状化合物単独
の測定で決められる値である。)〕。但し、Z=L/a
に於いて、組成物の粉末X線回折から得られた面間隔d
が存在し、a<dなる関係を満たす。ここで、d−aの
値が組成物中の樹脂1本鎖の幅より大であることが必要
である。Zは、樹脂組成物中の無機層状化合物の真のア
スペクト比とは必ずしもいえないが下記の理由から、か
なり妥当性のあるものである。
【0009】樹脂組成物中の無機層状化合物のアスペク
ト比は直接測定がきわめて困難である。組成物の粉末X
線回折法で得られた面間隔dと無機層状化合物単独の粉
末X線回折測定で決められる単位厚みaの間にa<dな
る関係があり、d−aの値が組成物中の樹脂1本鎖の幅
以上であれば、樹脂組成物中において、無機層状化合物
の層間に樹脂が挿入されていることになり、よって無機
層状化合物の厚みは単位厚みaとなっていることは明ら
かである。 また、樹脂組成物中での真の粒径測定はき
わめて困難であるが、動的光散乱法で用いた溶媒と同種
の溶媒で十分に膨潤させて樹脂に複合させる場合を考え
れば、樹脂中での無機層状化合物の粒径は溶媒中のそれ
とかなり近いと考えることができる(但し、動的光散乱
法で求められる粒径Lは、無機層状化合物の長径Lmax
を越えることはないと考えられるから、真のアスペクト
比Lmax /aは、本発明でのアスペクト比の定義Zを下
回ることは理論的には有り得ない。)。上記から、本発
明のアスペクト比の定義は妥当性の比較的高いものと考
えられる。もちろん、本発明においては、本発明の定義
としてのアスペクト比、粒径を用いており必ずしも真の
値ではない。
【0010】大きなアスペクト比を有する無機層状化合
物としては、溶媒に膨潤・へき開する無機層状化合物が
好ましく用いられる。これらの中でも膨潤性を持つ粘土
鉱物が好ましく、粘土系鉱物はシリカの四面体層の上部
に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8
面体層を有する2層構造よりなるタイプと、シリカの4
面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属に
した8面体層を両側から挟んだ3層構造よりなるタイプ
に分類される。前者としてはカオリナイト族、アンチゴ
ライト族等を挙げることができ、後者としては層間カチ
オンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト
族、マイカ族等を挙げることができる。具体的には、カ
オリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイ
ト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライ
ト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリッ
クマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガラ
イト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィ
ライト、緑泥石等をあげることができる。
【0011】当該無機層状化合物を膨潤させる溶媒は、
特に限定されないが、例えば天然の膨潤性粘土鉱物の場
合、水、メタノール,エタノ−ル,プロパノール,イソ
プロパノール,エチレングリコール,ジエチレングリコ
ール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、アセトン等が挙げられ、水やメタノー
ル等のアルコール類がより好ましい。
【0012】本発明において用いられる樹脂は、樹脂単
位重量当りの水素結合性基またはイオン性基の重量百分
率が20%〜60%の割合を満足する高水素結合性樹脂
があげられる。さらに好ましい例としては、高水素結合
性樹脂の樹脂単位重量当りの水素結合性基またはイオン
性基の重量百分率が30%〜50%の割合を満足するも
のがあげられる。高水素結合性樹脂の水素結合性基また
はイオン性基のうち、さらに好ましいものとしては、水
酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホ
ン酸基、燐酸基等が、イオン性基としてはカルボキシレ
ート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニ
ウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。具体例とし
ては、例えばポリビニルアルコール、ビニルアルコール
分率が41モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共
重合体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミロー
ス、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタ
ン、キチン、キトサン、セルロース、プルラン、キトサ
ンなどのような多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル
酸ナトリウム、ポリベンゼンスルホン酸、ポリベンゼン
スルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリ
ルアミン、そのアンモニウム塩ポリビニルチオール、ポ
リグリセリン、などが挙げられる。
【0013】高水素結合性樹脂のさらに好ましいものと
しては、ポリビニルアルコール、多糖類があげられる。
かかるポリビニルアルコールとは、酢酸ビニル重合体の
酢酸エステル部分を加水分解(鹸化)して得られるもの
であり、正確にはビニルアルコールと酢酸ビニルの共重
合体となったものである。ここで、けん化の割合はモル
百分率で70%以上が好ましく、特に85%以上のもの
がさらに好ましい。また、重合度は100以上5000
以下が好ましい。
【0014】かかる多糖類とは、種々の単糖類の縮重合
によって生体系で合成される生体高分子であり、ここで
はそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえ
ば、セルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スなどのセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチ
ン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサ
ン、などが挙げられる。
【0015】本発明では、その耐水性(耐水環境テスト
後のバリア性の意味)を改良する目的で水素結合性基用
架橋剤を用いることができる。水素結合性基用架橋剤と
しては特に限定されないが、例えば、チタン系カップリ
ング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリ
ング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系
カップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物などが
挙げられ、より好ましくは、ジルコニウム化合物が挙げ
られる。
【0016】ジルコニウム化合物の具体例としては、例
えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコ
ニウム、4塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハ
ロゲン化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸
ジルコニウム、硝酸ジルコニウムなどの鉱酸のジルコニ
ウム塩、蟻酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピ
オン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステア
リン酸ジルコニウムなどの有機酸のジルコニウム塩、炭
酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリ
ウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、蓚酸ジルコニウ
ムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエ
ン酸ジルコニウムアンモニウムなどのジルコニウム錯
塩、などがあげられる。
【0017】水素結合性基用架橋剤の添加量は、架橋剤
の架橋生成基のモル数(CN)と高水素結合性樹脂の水
素結合性基のモル数(HN)の比(K)〔即ち、K=C
N/HN〕が、0.001 以上10以下の範囲であれば、特に
限定されないが、好ましくは、0.01以上1以下の範囲で
ある。
【0018】本発明において用いられる無機層状化合物
と樹脂との組成比(体積比)は、特に限定されないが、
一般的には、(無機層状化合物/樹脂)の体積比が5/95
〜90/10 の範囲であり、更には体積比が5/95〜50/50 で
あることがより好ましい。また5/95〜30/70 の範囲では
膜の柔軟性がよくなり、7/93〜17/83 の範囲では折れ曲
げによるバリア性低下が小さくなったり、剥離強度が強
くなるなどの利点を有する。また、無機層状化合物の体
積分率が5/95より小さい場合には、 バリア性が充分では
なく、90/10より大きい場合には成膜性が良好ではない。
【0019】無機層状化合物と樹脂よりなる組成物の配
合方法は、特に限定されないが、例えば樹脂を溶解さ
せた液と、無機層状化合物を予め膨潤・へき開させた分
散液とを混合後、溶媒を除く方法、無機層状化合物を
膨潤・へき開させた分散液を樹脂に添加し、溶媒を除く
方法、樹脂を溶解させた液に無機層状化合物を加え、
膨潤・へき開させた分散液とし、溶媒を除く方法また
樹脂と無機層状化合物を熱混練する方法、などが挙げら
れる。とりわけ大きなアスペクト比を容易に得る方法と
して前三者が好ましく用いられる。
【0020】上述の前三者の方法において、溶媒を系か
ら除去後、110℃以上220℃以下で熱エージングす
ることにより、とりわけフィルムの耐水性(耐水環境テ
スト後のバリア性の意味)が向上する。エージング時間
に限定はないが、フィルムが少なくとも設定温度に到達
する必要があり、例えば熱風乾燥機のような熱媒接触に
よる方法の場合、1秒以上100分以下が好ましい。熱
源についても特に限定はなく、熱ロール接触、熱媒接触
(空気、オイルなど)、赤外線加熱、マイクロ波加熱、
など種々のものが適用できる。また、ここでいう耐水性
の効果は、樹脂が特に高水素結合性樹脂のとき、無機層
状化合物が膨潤性をもつ粘土鉱物であるとき、著しく高
い。
【0021】本発明に用いられるアンカー層とは、ジエ
ン系ポリマー、イオン性水性ポリマーから構成され、ジ
エン系ポリマーaとイオン性水性ポリマーbの重量比
(a/b)が1〜3であることが好ましい。また、ジエ
ン系ポリマーとしてポリブタジエン、ブタジエン−スチ
レンゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イ
ソブチレン−イソプレン共重合体、ニトリルゴム、ポリ
クロロプレン、ポリイソプレンなどがあげられるがその
中でもポリブタジエンが好ましい。イオン性水性ポリマ
ーの中でポリエチレンイミン、ポリアリルアミンが挙げ
られるが、その中でもポリエチレンイミンであることが
好ましい。またアンカーコート剤には通常、溶剤が用い
られる。かかる溶剤成分は主として水であり、数%程度
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブ
チルセロソルブなどの溶媒を含有しても差し支えない。
【0022】アンカー層を基材へ積層する方法として
は、特に限定されないが、コーティング法が好ましい。
ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法及びマイク
ログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィ
ード3本リバースコート法等のロールコーティング法、
及びドクターナイフ法やダイコート法、ディップコート
法、バーコーティング法やこれらを組み合わせたコーテ
ィング法などの方法が挙げられる。
【0023】アンカーコート剤の塗布厚みは、特に限定
されないが、乾燥厚みが0.02μm〜0.2μmが好
ましい。さらに好ましくは0.03μm〜0.06μm
が好ましい。
【0024】基材として用いられる樹脂としては、ポリ
エチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセ
ン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチ
ルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポ
リオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
などのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−
6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、
ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂、ポリ
メチルメタクリレート、などのアクリル系樹脂、ポリス
チレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレ
ン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアク
リロニトリルなどのスチレン、アクリロニトリル系樹
脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水
化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリフッ化ビニリデン、テフロンなどのハロゲン
含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体、セルロース誘導体などの水素結合性
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリ
エーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹
脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシ
ド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック
系樹脂などがあげられる。基材として二軸延伸されたポ
リプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン
やKコートと呼ばれるポリ塩化ビニリデンをコートした
二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタ
レート、ナイロンなどが好ましく配され、ヒートシール
層には、一般にヒートシール性が良好であることから、
ポリオレフィン系樹脂、たとえば、ポリエチレン(低密
度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エ
チレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン
ー酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレー
ト共重合体などが好ましく用いられる。
【0025】アンカー層を積層した基材に、組成物層を
積層する方法としては、特に限定はされない。基材がた
とえばフィルムやシートの場合には、組成物の塗工液を
基材表面に塗布、乾燥、熱処理を行うコーティング方法
や、組成物層を後からラミネートする方法などが好まし
い。コーティング方法としては、ダイレクトグラビア法
やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本ロ
ールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコー
ト法等のロールコーティング法、及びドクターナイフ法
やダイコート法、ディップコート法、バーコーティング
法やこれらを組み合わせたコーティング法などの方法が
挙げられる。
【0026】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
高水素結合性樹脂および無機層状化合物から構成される
樹脂組成物中に、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤等
の種々の添加剤を混合してもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、アンカー層を使用する
ことにより、高水素結合性樹脂と無機層状化合物より構
成される組成物層と基材との接着性を大幅に向上させる
ことができる。実際に実施例に示すように、基材と組成
物層との積層体にさらにヒートシール層を積層した場合
優れた耐剥離性を保持することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】各種物性の測定方法を以下に記す。 [粒径測定]超微粒子粒度分析計(BI−90,ブルッ
クヘブン社製)、温度25℃、水溶媒の条件で測定し
た。動的光散乱法による光子相関法から求めた中心径を
粒径Lとした。 [アスペクト比計算]X線回折装置(XD−5A、
(株) 島津製作所製)を用い、無機層状化合物単独と樹
脂組成物の粉末法による回折測定を行った。これにより
無機層状化合物の面間隔(単位厚み)aを求め、さらに
樹脂組成物の回折測定から、無機層状化合物の面間隔が
広がっている部分があることを確認した。上述の方法で
求めた粒径Lをもちいて、アスペクト比Zは、Z=L/
aの式により決定した。 [剥離性試験]包装体(積層フィルムを用いて縦90m
m×横50mmの包装袋を作製した。袋内には純水10
ccを入れた。ヒートシール条件:温度208℃、時間
0.5秒、ヒートシール幅10mm(ヒートシーラー:
FUJI IMPULSE T230:FUJI IM
PULSE CO.LTD))を純水の入ったインキュ
ベーター(TAIYO INCUBATOR WB−
5)にセットした。この際、包装体が45mm浸漬され
るようにし、なおかつ振幅方向に対して包装体が垂直に
なるようにセットし、浸漬を行い、外観を観察した(試
験条件1,2)。 [剥離強度測定]実施例1で得られた積層フィルムを1
5mm幅の短冊状にカットし、CPP面をアクリル板に
固定(アクリル板をオートグラフに固定するための器
具:縦115mm ×横80mm(同一サンプルをn=5で測定)
し、積層体端面を一部剥離させた後、当該積層体をオー
トグラフ(オートグラフAGS−100:島津製作所
製)にセットして測定を行った。この際、剥離部分のO
PP側にアルミ板を両面テープで取り付け、針金(長さ
380mm、直径1.6mm)を介してオートグラフの
チャックに取り付けた(試験条件3〜8)。 [酸素透過度測定条件]酸素透過度測定装置(OX−T
RAN 10/50A,MOCON社製)にて酸素透過度を測
定した(試験条件9)。 [試験条件] (試験条件1):20℃の水中に振幅(振幅幅:32mm 、
振幅速度:102 回/min)させながら8時間浸漬後、室温
下(23℃)で15時間静置し、再度同条件で8時間浸漬を
行なった。 (試験条件2):85℃の熱水中に振幅(振幅幅:32mm
、振幅速度:102 回/min)させながら1時間浸漬を行
なった。 (試験条件3):水中に41サイクル浸漬後(1サイク
ル:23℃水中に8時間浸漬後、室温下(23℃/50%RH)
に16時間静置)、室温下に15時間静置し、剥離強度
測定。 (試験条件4):低温下(−20℃)に41サイクル静
置後(1サイクル:−20℃冷蔵庫中に8時間静置後、
室温下(23℃/50%RH)に16時間静置)、室温下に15
時間静置し、剥離強度測定。 (試験条件5):高温下(80℃オーブン)に41サイ
クル静置後(1サイクル:80℃乾燥器中に8時間静置
後、室温下(23℃/50%RH)に16時間静置。)、室温下
に15時間静置し、剥離強度測定。 (試験条件6):40℃、90%RHの恒温恒湿槽に6
4日静置した後、剥離強度測定。 (試験条件7):90℃の熱水中に30分浸漬後、剥離
強度測定。 (試験条件8):高温高湿下(23℃/41%RH)に16時間
静置後、剥離強度測定。 (試験条件9):相対湿度64%RH、温度31℃にて
酸素透過度測定を行った。
【0030】[実施例1]ポリビニルアルコールH(P
VA117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%,重合
度1700)をイオン交換水(0.7 μS/cm以下)に4.0w
t%となるように溶解させこれを樹脂溶液(A)とす
る。天然モンモリロナイト(クニピアF;クニミネ工業
(株)製)を粉末(B)のままAに総固形分量が6.0
wt%となるように分散させ樹脂組成物(混合液)を得
た。当該天然モンモリロナイト(クニピアF)の粒径は
560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.21
56nmであり、アスペクト比Zは461である。ま
た、AとBとをそれぞれの固形成分比(体積比)が無機
層状化合物/樹脂=2/8となるように混合した。当該
混合液に水素結合性架橋剤として、炭酸ジルコニウムア
ンモニウム(第一稀元素工業 製;ジルコゾールAC7
(酸化ジルコニウム換算で15wt%含有水溶液))、
をポリビニルアルコールの水酸基15モルに対してジル
コニウム元素1モルの比になるように混合液に添加し、
これを塗工液とした。厚さ20μmの二軸延伸ポリプロ
ピレン(OPP)フィルム(パイレンOT;東洋紡
(株)製)の表面コロナ処理したものを基材とし、基材
フィルム上にアンカコート剤C(ポリブタジエン/ポリ
エチレンイミン=2/1(重量比):オリバインEL4
51:東洋モートン(株)製)を13.1%、メタノール8.
7 %、エタノール8.7 %、ブチルセルソルブ2.6 %およ
び水71%(重量%)よりなる液をグラビア塗工(テスト
コーター;康井精機 製:マイクログラビア塗工法、塗
工速度3m/分、乾燥温度80℃)し、更に塗工液をグ
ラビア塗工(テストコーター;康井精機 製:マイクロ
グラビア塗工法、塗工速度3m/分、乾燥温度100
℃)し、塗工フィルムを得た。当該塗工層の乾燥厚みは
0. 7μmであった。当該塗工フィルムの塗工層に、ウ
レタン系接着剤(ユーノフレックスJ3:三洋化成製)
を用いて、表面コロナ処理した無延伸ポリプロピレンフ
ィルム(東レ製:トレファンNO:厚み50μm:)を
外層としてドライラミネートし積層フィルムを得た。当
該積層フィルムを用いて縦90mm×横50mmの包装
袋を作製した。袋内には純水10ccを挿入した。ま
た、ヒートシール条件は温度208℃、時間0.5秒、
ヒートシール幅10mm(ヒートシーラー:FUJI
IMPULSE T230:FUJI IMPULSE
CO.LTD)でおこなった。この包装体を用いて前
記試験条件(1)または(2)で水中に浸漬し剥離性試
験を行った。結果を表2に示す。剥離は見られなかっ
た。
【0031】[実施例2]実施例1において得られた積
層フィルムを前記試験条件(3)〜(7)に従って調整
し、剥離強度測定を行った。結果を表3に示す。優れた
剥離強度を示した。
【0032】[実施例3〜7]実施例1において、Aと
Bとをそれぞれの固形成分比(体積比)を変化させ(表
1)前記試験条件(8)に従って調整した後、剥離強度
を測定した。この結果優れた剥離強度を示した。また、
試験条件(9)に従い酸素透過度を測定した。結果を表
4に示す。
【0033】[比較例1]実施例1において、アンカー
コート剤Cに替えてアンカーコート剤Dを使用したほか
は実施例1と同じ条件で得られた積層体を用いて前記試
験条件(1)または(2)で水中に浸漬した後剥離性試
験を行った。結果を表2に示す。この結果、条件1,2
両者とも剥離が見られた。
【0034】[比較例2]実施例1において、アンカー
コート剤Cに替えてアンカーコート剤Eを使用したほか
は同じ条件で得られた積層体を用いて前記試験条件
(3)〜(7)で調整し、剥離強度測定を行った。結果
を表3に示す。この結果、剥離強度に劣るものであっ
た。
【0035】[比較例3]実施例1において、アンカー
コート剤Cに替えてアンカーコート剤Dを使用したほか
は実施例1と同じ条件で得られた積層体を用いて前記試
験条件(3)〜(7)で調整し、剥離強度測定を行っ
た。結果を表3に示す。この結果、剥離強度に劣るもの
であった。
【0036】[比較例4]実施例1において、アンカー
コート剤を使用せずに得られた積層体を用いて試験条件
(8)に従って調整し、剥離強度測定を行った。結果を
表4に示す。この結果、剥離強度に劣るものであった。
また、試験条件(9)に従い酸素透過度を測定した。結
果を表4に示す。
【0037】[比較例5]OPPフィルムとCPPフィ
ルムのみを実施例1におけるドライラミ条件で得られた
積層体を用いて試験条件(8)に従って状態調整し、剥
離強度測定を行った。この結果、剥離強度に劣るもので
あった。また、試験条件9に従い酸素透過度を測定し
た。(表4)
【0038】
【表1】 略号 アンカーコート剤C:(東洋モートン(株)製:オリバ
インEL−451) アンカーコート剤D:(主剤:武田薬品工業(株)タケ
ラックACW−7A、ウレタン樹脂)、(硬化剤:武田
薬品工業(株)タケネートNW−4(2)、イソシアネ
ート) アンカーコート剤E:(主剤:武田薬品(株)製:タケ
ラックA−3210、ポリエステルポリオール)、(硬
化剤:武田薬品(株)製:タケネートA−3075、イ
ソシアネート) F:天然モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製:ク
ニピアF) H:ポリビニルアルコール(クラレ(株)製:PVA1
17H(ケン化度:99.6重合度1700) Z:炭酸ジルコゾールアンモニウム水溶液(第一稀元素
(株)製:ジルコゾールAC−7) OPP20:二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィル
ム(東洋紡) CPP50:無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム
(東レ(株)製:トレファンNO:厚み50μm) J:ドライラミネート用接着剤(三洋化成(株)製:ユ
ーノフレックスJ−3)
【0039】
【表2】 備考)○:剥離なし ×:剥離あり
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明の積層フィルムの断面の1フ
ィルム構成図である。
【図2】第2図は、本発明の積層フィルムの断面の1フ
ィルム構成図である。
【符号の説明】
1 基材層 2 高水素結合性樹脂と無機層状化合物との組成物層 3 アンカー層 4 ヒートシール層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 フィルム積層体
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィルム積層体に関
し、さらに詳しくは例えば、ガスバリア性フィルムに好
適なフィルム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックフィルムに無機層状
化合物層を積層する際にアンカーコート剤を用いること
は知られていない
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高水素結合
性樹脂と無機層状化合物より構成される組成物層と基材
との接着性が向上されたフィルム積層体を開発すること
をその目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、特定のアンカー層を
使用することにより、高水素結合性樹脂と無機層状化合
物より構成される組成物層と基材との接着性が向上され
ることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、高水素結合性樹脂と無
機層状化合物からなる組成物層と基材層との間にジエン
系ポリマーとイオン性水性ポリマーを主成分とするアン
カー層を有することを特徴とするフィルム積層体および
その製造法を提供するものである。
【0006】本発明に用いられる無機層状化合物とは、
単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有している
無機化合物であり、粒径が5μm以下、アスペクト比が
50以上5000以下であるものならば特に限定されな
い。ガスバリアー性に関しては、アスペクト比が200
〜3000の範囲がより好ましい。アスペクト比が50
未満であればガスバリア性の発現が十分でなく、500
0より大きいものは技術的に難しく、経済的にも高価な
ものとなる。また、粒径が3μm以下であれば透明性
が、より良好となり、さらに粒径が1μm以下であれば
透明性の重視される用途にはより好ましい。無機層状化
合物の具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導
体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲ
ン化物〔IV族(Ti,Zr,Hf),V族(V,N
b,Ta)およびVI族(Mo,W)のジカルコゲン化
物であり、式MX2 で表わされる。ここで、Xはカルコ
ゲン(S,Se,Te)を示す。〕、粘土系鉱物などを
あげることができる。
【0007】本発明で用いられる無機層状化合物の粒径
とは、溶媒中、動的光散乱法により求めた粒径をさす。
組成物中での真の粒径測定はきわめて困難であるが、動
的光散乱法で用いた溶媒と同種の溶媒で十分に膨潤させ
て樹脂に複合させる場合、樹脂中での無機層状化合物の
粒径は、溶媒中の粒径に近いと考えることができる。
【0008】本発明で用いられる無機層状化合物のアス
ペクト比(Z)とは、Z=L/aなる関係で示される。
〔Lは、溶媒中、動的光散乱法により求めた粒径であ
り、aは、無機層状化合物の単位厚みである(単位厚み
aは、粉末X線回折法などによって無機層状化合物単独
の測定で決められる値である。)〕。但し、Z=L/a
に於いて、組成物の粉末X線回折から得られた面間隔d
が存在し、a<dなる関係を満たす。ここで、d−aの
値が組成物中の樹脂1本鎖の幅より大であることが必要
である。Zは、組成物中の無機層状化合物の真のアスペ
クト比とは必ずしもいえないが下記の理由から、かなり
妥当性のあるものである。
【0009】組成物中の無機層状化合物のアスペクト比
は直接測定がきわめて困難である。組成物の粉末X線回
折法で得られた面間隔dと無機層状化合物単独の粉末X
線回折測定で決められる単位厚みaの間にa<dなる関
係があり、d−aの値が組成物中の樹脂1本鎖の幅以上
であれば、組成物中において、無機層状化合物の層間に
樹脂が挿入されていることになり、よって無機層状化合
物の厚みは単位厚みaとなっていることは明らかであ
る。 また、組成物中での真の粒径測定はきわめて困難
であるが、動的光散乱法で用いた溶媒と同種の溶媒で十
分に膨潤させて樹脂に複合させる場合を考えれば、樹脂
中での無機層状化合物の粒径は溶媒中のそれとかなり近
いと考えることができる(但し、動的光散乱法で求めら
れる粒径Lは、無機層状化合物の長径Lmax を越えるこ
とはないと考えられるから、真のアスペクト比Lmax /
aは、本発明でのアスペクト比の定義Zを下回ることは
理論的には有り得ない。)。上記から、本発明のアスペ
クト比の定義は妥当性の比較的高いものと考えられる。
もちろん、本発明においては、本発明の定義としてのア
スペクト比、粒径を用いており必ずしも真の値ではな
い。
【0010】大きなアスペクト比を有する無機層状化合
物としては、溶媒に膨潤・へき開する無機層状化合物が
好ましく用いられる。これらの中でも膨潤性を持つ粘土
鉱物が好ましく、粘土系鉱物はシリカの四面体層の上部
に、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属にした8
面体層を有する2層構造よりなるタイプと、シリカの4
面体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属に
した8面体層を両側から挟んだ3層構造よりなるタイプ
に分類される。前者としてはカオリナイト族、アンチゴ
ライト族等を挙げることができ、後者としては層間カチ
オンの数によってスメクタイト族、バーミキュライト
族、マイカ族等を挙げることができる。具体的には、カ
オリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイ
ト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライ
ト、モンモリロナイト、ヘクトライト、テトラシリリッ
クマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガラ
イト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィ
ライト、緑泥石等をあげることができる。
【0011】当該無機層状化合物を膨潤させる溶媒は、
特に限定されないが、例えば天然の膨潤性粘土鉱物の場
合、水、メタノール,エタノ−ル,プロパノール,イソ
プロパノール,エチレングリコール,ジエチレングリコ
ール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、アセトン等が挙げられ、水やメタノー
ル等のアルコール類がより好ましい。
【0012】本発明において用いられる樹脂は、高水素
結合性樹脂単位重量当りの水素結合性基またはイオン性
基の重量百分率が20%〜60%の割合を満足する高水
素結合性樹脂があげられる。さらに好ましい例として
は、高水素結合性樹脂の樹脂単位重量当りの水素結合性
基またはイオン性基の重量百分率が30%〜50%の割
合を満足するものがあげられる。高水素結合性樹脂の水
素結合性基またはイオン性基のうち、さらに好ましいも
のとしては、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキ
シル基、スルホン酸基、燐酸基等が、イオン性基として
はカルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオ
ン基、アンモニウム基、ホスホニウム基などが挙げられ
る。具体例としては、例えばポリビニルアルコール、ビ
ニルアルコール分率が41モル%以上のエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体、ヒドロキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カード
ラン、ザンタン、キチン、キトサン、セルロースなどの
ような多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリ
ウム、ポリベンゼンスルホン酸、ポリベンゼンスルホン
酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミ
ン、そのアンモニウム塩、ポリビニルチオール、ポリグ
リセリンなどが挙げられる。
【0013】高水素結合性樹脂のさらに好ましいものと
しては、ポリビニルアルコール、多糖類があげられる。
かかるポリビニルアルコールとは、酢酸ビニル重合体の
酢酸エステル部分を加水分解(鹸化)して得られるもの
であり、正確にはビニルアルコールと酢酸ビニルの共重
合体となったものである。ここで、けん化の割合はモル
百分率で70%以上が好ましく、特に85%以上のもの
がさらに好ましい。また、重合度は100以上5000
以下が好ましい。
【0014】かかる多糖類とは、種々の単糖類の縮重合
によって生体系で合成される生体高分子であり、ここで
はそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。たとえ
ば、セルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スなどのセルロース誘導体、アミロース、アミロペクチ
ン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサ
ンなどが挙げられる。
【0015】本発明では、その耐水性(耐水環境テスト
後のバリア性の意味)を改良する目的で水素結合性基用
架橋剤を用いることができる。水素結合性基用架橋剤と
しては特に限定されないが、例えば、チタン系カップリ
ング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリ
ング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系
カップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物などが
挙げられ、より好ましくは、ジルコニウム化合物が挙げ
られる。
【0016】ジルコニウム化合物の具体例としては、例
えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコ
ニウム、4塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハ
ロゲン化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸
ジルコニウム、硝酸ジルコニウムなどの鉱酸のジルコニ
ウム塩、蟻酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピ
オン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステア
リン酸ジルコニウムなどの有機酸のジルコニウム塩、炭
酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリ
ウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、蓚酸ジルコニウ
ムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエ
ン酸ジルコニウムアンモニウムなどのジルコニウム錯塩
などがあげられる。
【0017】水素結合性基用架橋剤の添加量は、架橋剤
の架橋生成基のモル数(CN)と高水素結合性樹脂の水
素結合性基のモル数(HN)の比(K)〔即ち、K=C
N/HN〕が、0.001 以上10以下の範囲であれば、特に
限定されないが、好ましくは、0.01以上1以下の範囲で
ある。
【0018】本発明において用いられる無機層状化合物
と高水素結合性樹脂との組成比(体積比)は、特に限定
されないが、一般的には、(無機層状化合物/高水素結
合性樹脂)の体積比が5/95〜90/10 の範囲であり、更に
は体積比が5/95〜50/50 であることがより好ましい。ま
た5/95〜30/70 の範囲では膜の柔軟性がよくなり、7/93
〜17/83 の範囲では折れ曲げによるバリア性低下が小さ
くなったり、剥離強度が強くなるなどの利点を有する。
また、無機層状化合物の体積分率が5/95より小さい場合
には、 バリア性が充分ではなく、90/10より大きい場合に
は成膜性が良好ではない。
【0019】無機層状化合物と高水素結合性樹脂よりな
る組成物の配合方法は、特に限定されないが、例えば
樹脂を溶解させた液と、無機層状化合物を予め膨潤・へ
き開させた分散液とを混合後、溶媒を除く方法、無機
層状化合物を膨潤・へき開させた分散液を樹脂に添加
し、溶媒を除く方法、樹脂を溶解させた液に無機層状
化合物を加え、膨潤・へき開させた分散液とし、溶媒を
除く方法また樹脂と無機層状化合物を熱混練する方
法、などが挙げられる。とりわけ大きなアスペクト比を
容易に得る方法として前三者が好ましく用いられる。
【0020】上述の前三者の方法において、溶媒を系か
ら除去後、110℃以上220℃以下で熱エージングす
ることにより、とりわけフィルムの耐水性(耐水環境テ
スト後のバリア性の意味)が向上する。エージング時間
に限定はないが、フィルムが少なくとも設定温度に到達
する必要があり、例えば熱風乾燥機のような熱媒接触に
よる方法の場合、1秒以上100分以下が好ましい。熱
源についても特に限定はなく、熱ロール接触、熱媒接触
(空気、オイルなど)、赤外線加熱、マイクロ波加熱、
など種々のものが適用できる。また、ここでいう耐水性
の効果は、樹脂が特に高水素結合性樹脂のとき、無機層
状化合物が膨潤性をもつ粘土鉱物であるとき、著しく高
い。
【0021】本発明に用いられるアンカー層とは、ジエ
ン系ポリマー、イオン性水性ポリマーから構成され、ジ
エン系ポリマーaとイオン性水性ポリマーbの重量比
(a/b)が1〜3であることが好ましい。また、ジエ
ン系ポリマーとしてポリブタジエン、ブタジエン−スチ
レンゴム、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イ
ソブチレン−イソプレン共重合体、ニトリルゴム、ポリ
クロロプレン、ポリイソプレンなどがあげられるがその
中でもポリブタジエンが好ましい。イオン性水性ポリマ
ーの中でポリエチレンイミン、ポリアリルアミンが挙げ
られるが、その中でもポリエチレンイミンであることが
好ましい。
【0022】アンカー層を基材へ積層する方法として
は、特に限定されないが、アンカー層を形成する材を溶
媒に分散または溶解させた液であるアンカーコート剤を
用いたコーティング法が好ましい。ダイレクトグラビア
法やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本
ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコ
ート法等のロールコーティング法、及びドクターナイフ
法やダイコート法、ディップコート法、バーコーティン
グ法やこれらを組み合わせたコーティング法などの方法
が挙げられる。溶媒は、特に限定されないが、水、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコー
ル類、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げ
られる。
【0023】アンカーコート剤の塗布厚みは、特に限定
されないが、乾燥厚みが0.02μm〜0.2μmが好
ましい。さらに好ましくは0.03μm〜0.06μm
が好ましい。
【0024】基材として用いられる樹脂としては、ポリ
エチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセ
ン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチ
ルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポ
リオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
などのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−
6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、
ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂、ポリ
メチルメタクリレート、などのアクリル系樹脂、ポリス
チレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレ
ン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアク
リロニトリルなどのスチレン、アクリロニトリル系樹
脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水
化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリフッ化ビニリデン、テフロンなどのハロゲン
含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルア
ルコール共重合体、セルロース誘導体などの水素結合性
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリ
エーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹
脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシ
ド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック
系樹脂などがあげられる。基材として二軸延伸されたポ
リプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン
やKコートと呼ばれるポリ塩化ビニリデンをコートした
二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタ
レート、ナイロンなどが好ましく配され、ヒートシール
層には、一般にヒートシール性が良好であることから、
ポリオレフィン系樹脂、たとえば、ポリエチレン(低密
度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エ
チレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン
ー酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレー
ト共重合体などが好ましく用いられる。
【0025】アンカー層を積層した基材に、組成物層を
積層する方法としては、特に限定はされない。基材がた
とえばフィルムやシートの場合には、組成物の塗工液を
基材表面に塗布、乾燥、熱処理を行うコーティング方法
や、組成物層を後からラミネートする方法などが好まし
い。コーティング方法としては、ダイレクトグラビア法
やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本ロ
ールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコー
ト法等のロールコーティング法、及びドクターナイフ法
やダイコート法、ディップコート法、バーコーティング
法やこれらを組み合わせたコーティング法などの方法が
挙げられる。
【0026】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
高水素結合性樹脂および無機層状化合物から構成される
樹脂組成物中に、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤等
の種々の添加剤を混合してもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、アンカー層を使用する
ことにより、高水素結合性樹脂と無機層状化合物より構
成される組成物層と基材との接着性を大幅に向上させる
ことができる。実際に実施例に示すように、基材と組成
物層との積層体にさらにヒートシール層を積層した場合
優れた耐剥離性を保持することができる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】各種物性の測定方法を以下に記す。 [粒径測定]超微粒子粒度分析計(BI−90,ブルッ
クヘブン社製)、温度25℃、水溶媒の条件で測定し
た。動的光散乱法による光子相関法から求めた中心径を
粒径Lとした。 [アスペクト比計算]X線回折装置(XD−5A、
(株) 島津製作所製)を用い、無機層状化合物単独と樹
脂組成物の粉末法による回折測定を行った。これにより
無機層状化合物の面間隔(単位厚み)aを求め、さらに
樹脂組成物の回折測定から、無機層状化合物の面間隔が
広がっている部分があることを確認した。上述の方法で
求めた粒径Lをもちいて、アスペクト比Zは、Z=L/
aの式により決定した。 [剥離性試験]包装体(積層フィルムを用いて縦90m
m×横50mmの包装袋を作製した。袋内には純水10
ccを入れた。ヒートシール条件:温度208℃、時間
0.5秒、ヒートシール幅10mm(ヒートシーラー:
FUJI IMPULSE T230:FUJI IM
PULSE CO.LTD))を純水の入ったインキュ
ベーター(TAIYO INCUBATOR WB−
5)にセットした。この際、包装体が45mm浸漬され
るようにし、なおかつ振幅方向に対して包装体が垂直に
なるようにセットし、浸漬を行い、外観を観察した(試
験条件1,2)。 [剥離強度測定]実施例1で得られた積層フィルムを1
5mm幅の短冊状にカットし、CPP面をアクリル板に
固定(アクリル板をオートグラフに固定するための器
具:縦115mm ×横80mm(同一サンプルをn=5で測定)
し、積層体端面を一部剥離させた後、当該積層体をオー
トグラフ(オートグラフAGS−100:島津製作所
製)にセットして測定を行った。この際、剥離部分のO
PP側にアルミ板を両面テープで取り付け、針金(長さ
380mm、直径1.6mm)を介してオートグラフの
チャックに取り付けた(試験条件3〜8)。 [酸素透過度測定条件]酸素透過度測定装置(OX−T
RAN 10/50A,MOCON社製)にて酸素透過度を測
定した(試験条件9)。 [試験条件] (試験条件1):20℃の水中に振幅(振幅幅:32mm 、
振幅速度:102 回/min)させながら8時間浸漬後、室温
下(23℃)で15時間静置し、再度同条件で8時間浸漬を
行なった。 (試験条件2):85℃の熱水中に振幅(振幅幅:32mm
、振幅速度:102 回/min)させながら1時間浸漬を行
なった。 (試験条件3):水中に41サイクル浸漬後(1サイク
ル:23℃水中に8時間浸漬後、室温下(23℃/50%RH)
に16時間静置)、室温下に15時間静置し、剥離強度
測定。 (試験条件4):低温下(−20℃)に41サイクル静
置後(1サイクル:−20℃冷蔵庫中に8時間静置後、
室温下(23℃/50%RH)に16時間静置)、室温下に15
時間静置し、剥離強度測定。 (試験条件5):高温下(80℃オーブン)に41サイ
クル静置後(1サイクル:80℃乾燥器中に8時間静置
後、室温下(23℃/50%RH)に16時間静置。)、室温下
に15時間静置し、剥離強度測定。 (試験条件6):40℃、90%RHの恒温恒湿槽に6
4日静置した後、剥離強度測定。 (試験条件7):90℃の熱水中に30分浸漬後、剥離
強度測定。 (試験条件8):高温高湿下(23℃/41%RH)に16時間
静置後、剥離強度測定。 (試験条件9):相対湿度64%RH、温度31℃にて
酸素透過度測定を行った。
【0030】[実施例1]ポリビニルアルコール(PV
A117H;(株)クラレ製,ケン化度;99.6%,重合度
1700)をイオン交換水(0.7 μS/cm以下)に4.0wt
%となるように溶解させこれを樹脂溶液(A)とする。
天然モンモリロナイト(クニピアF;クニミネ工業
(株)製)を粉末(B)のままAに総固形分量が6.0
wt%となるように分散させ樹脂組成物(混合液)を得
た。当該天然モンモリロナイト(クニピアF)の粒径は
560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.21
56nmであり、アスペクト比Zは461である。ま
た、AとBとをそれぞれの固形成分比(体積比)が無機
層状化合物/樹脂=2/8となるように混合した。当該
混合液に水素結合性架橋剤として、炭酸ジルコニウムア
ンモニウム(第一稀元素工業製;ジルコゾールAC7
(酸化ジルコニウム換算で15wt%含有水溶液))、
をポリビニルアルコールの水酸基15モルに対してジル
コニウム元素1モルの比になるように混合液に添加し、
これを塗工液とした。厚さ20μmの二軸延伸ポリプロ
ピレン(OPP)フィルム(パイレンOT;東洋紡
(株)製)の表面コロナ処理したものを基材とし、基材
フィルム上にアンカコート剤C(オリバインEL451
(東洋モートン(株)製):ポリブタジエン/ポリエチ
レンイミン=2/1(重量比)を主成分とする固形分を
13.1%含有)をグラビア塗工(テストコーター;康
井精機 製:マイクログラビア塗工法、塗工速度3m/
分、乾燥温度80℃)し、更に塗工液をグラビア塗工
(テストコーター;康井精機 製:マイクログラビア塗
工法、塗工速度3m/分、乾燥温度100℃)し、塗工
フィルムを得た。当該塗工層の乾燥厚みは0. 7μmで
あった。当該塗工フィルムの塗工層に、ウレタン系接着
剤(ユーノフレックスJ3:三洋化成製)を用いて、表
面コロナ処理した無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ
製:トレファンNO:厚み50μm:)を外層としてド
ライラミネートし積層フィルムを得た。当該積層フィル
ムを用いて縦90mm×横50mmの包装袋を作製し
た。袋内には純水10ccを挿入した。また、ヒートシ
ール条件は温度208℃、時間0.5秒、ヒートシール
幅10mm(ヒートシーラー:FUJI IMPULS
E T230:FUJI IMPULSE CO.LT
D)でおこなった。この包装体を用いて前記試験条件
(1)または(2)で水中に浸漬し剥離性試験を行っ
た。結果を表2に示す。剥離は見られなかった。
【0031】[実施例2]実施例1において得られた積
層フィルムを前記試験条件(3)〜(7)に従って調整
し、剥離強度測定を行った。結果を表3に示す。優れた
剥離強度を示した。
【0032】[実施例3〜7]実施例1において、Aと
Bとをそれぞれの固形成分比(体積比)を変化させ(表
1)前記試験条件(8)に従って調整した後、剥離強度
を測定した。この結果優れた剥離強度を示した。また、
試験条件(9)に従い酸素透過度を測定した。結果を表
4に示す。
【0033】[比較例1]実施例1において、アンカー
コート剤Cに替えてアンカーコート剤Dを使用したほか
は実施例1と同じ条件で得られた積層体を用いて前記試
験条件(1)または(2)で水中に浸漬した後剥離性試
験を行った。結果を表2に示す。この結果、条件1,2
両者とも剥離が見られた。
【0034】[比較例2]実施例1において、アンカー
コート剤Cに替えてアンカーコート剤Eを使用したほか
は同じ条件で得られた積層体を用いて前記試験条件
(3)〜(7)で調整し、剥離強度測定を行った。結果
を表3に示す。この結果、剥離強度に劣るものであっ
た。
【0035】[比較例3]実施例1において、アンカー
コート剤Cに替えてアンカーコート剤Dを使用したほか
は実施例1と同じ条件で得られた積層体を用いて前記試
験条件(3)〜(7)で調整し、剥離強度測定を行っ
た。結果を表3に示す。この結果、剥離強度に劣るもの
であった。
【0036】[比較例4]実施例1において、アンカー
コート剤を使用せずに得られた積層体を用いて試験条件
(8)に従って調整し、剥離強度測定を行った。結果を
表4に示す。この結果、剥離強度に劣るものであった。
また、試験条件(9)に従い酸素透過度を測定した。結
果を表4に示す。
【0037】[比較例5]OPPフィルムとCPPフィ
ルムのみを実施例1におけるドライラミ条件で得られた
積層体を用いて試験条件(8)に従って状態調整し、剥
離強度測定を行った。この結果、剥離強度に劣るもので
あった。また、試験条件9に従い酸素透過度を測定し
た。(表4)
【0038】
【表1】 略号 アンカーコート剤C:(東洋モートン(株)製:オリバ
インEL−451) アンカーコート剤D:(主剤:武田薬品工業(株)タケ
ラックACW−7A、ウレタン樹脂)、(硬化剤:武田
薬品工業(株)タケネートNW−4(2)、イソシアネ
ート) アンカーコート剤E:(主剤:武田薬品(株)製:タケ
ラックA−3210、ポリエステルポリオール)、(硬
化剤:武田薬品(株)製:タケネートA−3075、イ
ソシアネート) F:天然モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製:ク
ニピアF) H:ポリビニルアルコール(クラレ(株)製:PVA1
17H(ケン化度:99.6重合度1700) Z:炭酸ジルコゾールアンモニウム水溶液(第一稀元素
(株)製:ジルコゾールAC−7) OPP20:二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィル
ム(東洋紡) CPP50:無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム
(東レ(株)製:トレファンNO:厚み50μm) J:ドライラミネート用接着剤(三洋化成(株)製:ユ
ーノフレックスJ−3)
【0039】
【表2】 備考)○:剥離なし ×:剥離あり
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明の積層フィルムの断面の1フ
ィルム構成図である。
【図2】第2図は、本発明の積層フィルムの断面の1フ
ィルム構成図である。
【符号の説明】 1 基材層 2 高水素結合性樹脂と無機層状化合物との組成物層 3 アンカー層 4 ヒートシール層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船橋 智史 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高水素結合性樹脂と無機層状化合物からな
    る組成物層と基材層との間に中間層としてアンカー層を
    有することを特徴とするフィルム積層体。
  2. 【請求項2】アンカー層が、ジエン系ポリマーとイオン
    性水性ポリマーからなることを特徴とする請求項1記載
    のフィルム積層体。
  3. 【請求項3】アンカー層のジエン系ポリマーaとイオン
    性水性ポリマーbの重量比a/bが1〜3の範囲である
    請求項2記載のフィルム積層体。
  4. 【請求項4】アンカー層のジエン系ポリマーがポリブタ
    ジエンである請求項2記載のフィルム積層体。
  5. 【請求項5】アンカー層のイオン性水性ポリマーがポリ
    エチレンイミンである請求項2記載のフィルム積層体。
  6. 【請求項6】組成物層の外側に、ヒートシール層を設け
    たことを特徴とする請求項1または2記載のフィルム積
    層体。
  7. 【請求項7】水系エマルジョンをコーティングすること
    によりアンカー層を積層することを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか1項に記載のフィルム積層体の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004016686A1 (ja) * 2002-07-22 2004-02-26 Kureha Chemical Industry Company, Limited アミノ基含有多糖類を含有する組成物及びそれからなる炭酸ガス選択透過性を有するフィルム
JP2007262410A (ja) * 2007-04-13 2007-10-11 Sumitomo Chemical Co Ltd 樹脂組成物および積層体の製造方法
CN106335235A (zh) * 2016-08-18 2017-01-18 常州二维碳素科技股份有限公司 一种石墨烯气体阻隔层叠膜及其制备方法

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