JPH07303477A - 薬剤耐性菌増菌、保存、鑑別用培地 - Google Patents

薬剤耐性菌増菌、保存、鑑別用培地

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JPH07303477A
JPH07303477A JP2723695A JP2723695A JPH07303477A JP H07303477 A JPH07303477 A JP H07303477A JP 2723695 A JP2723695 A JP 2723695A JP 2723695 A JP2723695 A JP 2723695A JP H07303477 A JPH07303477 A JP H07303477A
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Fumiaki Taguchi
文章 田口
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Abstract

(57)【要約】 【構成】抗菌性物質のほかクエン酸ナトリウム等を含有
する必要物質、食塩、必要あれば卵黄を有効成分として
含有する、目的菌ないし薬剤耐性菌増菌、保存、鑑別用
培地。 【効果】 本発明に係る増菌、保存、鑑別用培地を用い
れば、院内感染等で問題となっている緑膿菌、MRS
A、MRCNS、腸球菌、カンジダの1もしくは2以上
を増菌、保存することができ、また、これと同時に、こ
れ(ら)を容易に鑑別することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薬剤耐性菌増殖および鑑
別用培地に関するものである。本発明の薬剤耐性菌増
菌、保存、鑑別用培地を使用すれば、日和見感染、院内
感染が問題となっている緑膿菌(Pseudomona
s aeruginosaなど)、MRSA(薬剤耐性
黄色ブドウ球菌)、MRCNS(薬剤耐性コアグラーゼ
非産生性ブドウ球菌)、腸球菌(Enterococc
us faecalis)、カンジダ(Candida
albicans)を各別もしくは同時に増菌及び/
又は鑑別することができるので、医療界に貢献するとこ
ろ大なるものがある。
【0002】
【従来の技術】現在、日本中の医療施設で、MRSA
(薬剤耐性黄色ブドウ球菌)、緑膿菌やカンジダなどに
よる院内感染、日和見感染が厄介な問題になっている。
患者由来検体、食品あるいは病院環境由来検体中に存在
する、Pseudomonas(以下緑膿菌と略記す
る)、MRSAやMRCNSの検体のために、出張して
検査材料を採取した後、試験室へ検査材料を輸送する
か、または検査材料を検査所に輸送するケースが多い。
この場合、現在用いられている方法では、検査材料中に
Bacillus属の細菌の枯草菌、大腸菌などの腸内
細菌および酵母などが多く混在していると、輸送中にこ
れらの菌が過剰に繁殖するか、または逆に緑膿菌やブド
ウ球菌が死滅して、目的菌の分離は難しくなる。一方、
緑膿菌やブドウ球菌の分離培地として、血液寒天培地、
マンニット食塩培地、食塩卵黄寒天培地などがある。し
かし現実には、これらの培地は、当該細菌を個別に培養
することは出来るが、当該細菌を同時に分離鑑別するた
めの培地としては使用出来ない。そこで本発明は、上記
当該目的細菌を効率的に、かつ選択的に増殖させ、同時
に緑膿菌、MRSA、MRCNSを適確に鑑別できる培
地を提供することを目的とする。
【0003】従来、MRSAの同定には、ブドウ球菌用
分離培地、例えばマンニット食塩培地(既製市販品)を
用いて先ずブドウ球菌を分離するために一晩培養をし
(一日)、翌日肉眼による細菌集落の形態的特徴の観察
と顕微鏡で細菌の形態とグラム染色性を調べ、コアグラ
ーゼ産生能を観察するためにさらに一晩反応させ(二
日)、コアグラーゼを産生することから黄色ブドウ球菌
であると判定された菌株について、最後に薬剤感受性を
調べるために一晩培養し(三日)、分離培養が開始して
四日後に初めてMRSAと同定される。しかし、この結
果は、定性的なものであって、MRSAが検出された
(陽性)か、検出されなかった(陰性)かと言うことだ
けであって、MRSAがどの程度(1個なのか1万個)
存在したのかは全く不明であり、定量性はない。また、
この方法はMRSAのみの同定方法であって、その他緑
膿菌、腸球菌、カンジダなどを同時に同定することはで
きない。検査材料の輸送や保存のためには、通常ハート
インフュージョン・ブイヨン培地(既製の市販品)が用
いられる。しかし、当該培地には全く抗菌性物質が含ま
れてないので細菌増殖に選択性が無いのが特徴であり、
更に栄養成分が豊富なので色々な細菌の増殖が非常に良
い。そのために、特に大腸菌などの腸内細菌やBaci
llus属の細菌の繁殖は顕著なものとなる。従って、
ハートインフュージョン・ブイヨン培地は、緑膿菌やブ
ドウ球菌などの輸送、保存および増菌などの目的には不
適当である。
【0004】また、従来、緑膿菌(Pseudomon
as)を検出するには、先ず緑膿菌選択用培NAC培地
(緑膿菌以外は増殖しない)を用いて一晩培養する。形
成された集落のうち黄緑色(ピオシアニン)の色素を産
生しているものはP.aeruginosaとし、色素
を産生してないものは更にキングA培地とキングB培地
に接種して一晩培養する。色素の産生をみて蛍光色素
(フルオレスセンス)を産生しているのをP.fluo
rescensと決める。次に、上記以外の菌を同定す
る為に緑膿菌同定用キット(例えば、日水製薬株式会社
製、IDテスト用NF培地)に接種して一晩培養する。
その結果から、P.cepaciaとかP.putid
aとかに同定される。緑膿菌の種によっては、特にP.
cepaciaは37℃では増殖しにくいので、30℃
の培養も併用する必要がある。このように、緑膿菌の分
離と同定は、誰にでも出来る程容易な技術ではない。何
れにしても、臨床微生物学の十分な基礎知識と卓越した
熟練度を要するものである。
【0005】更に、一般環境(床、水、その他等)から
採取した材料から極少数存在する緑膿菌やMRSAを同
時に分離同定するのは、きわめて面倒である。例えば、
病院の院内環境の細菌学的調査を目的にする場合、病院
の床等を滅菌した食塩水を浸した脱脂綿で良く拭き取
り、その脱脂綿を当該目的菌の増殖液体培地に接種して
一晩増菌培養し、その培養液の一部を緑膿菌を目的とす
るにはNAC培地に、MRSAを目的とするにはマンニ
ット食塩培地に、各々接種して分離培養を試みる。とこ
ろが、環境中に多数存在するBacillus属の細菌
や酵母までが増殖して、緑膿菌やMRSAの分離や鑑別
が非常に困難になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】病院内の環境に限ら
ず、野外および屋内を間わず環境中には枯草菌を代表と
するBacillus属の細菌や酵母が数多く存在し、
MRSAなどの培養では、耐性菌以外の枯草菌や酵素が
増殖して、MRSAなどの耐性菌と似た集落を形成する
ために耐性菌のすみやかな鑑別同定を困難なものとして
いる。そこで、病院環境、臨床検体、食品工場環境、食
品原料、食料品等から大腸菌などの腸内細菌属やBac
illus属の細菌や酵母の増殖を抑制し、そのうえM
RSA、緑膿菌、腸球菌、カンジダを同時に且つ迅速簡
便に調べることが出来る培地の開発が強く要望されてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、鋭意研究をかさ
ねた結果、ついに目的とする培地の創製に成功した。す
なわち本発明は、第一の態様として、抗菌性物質を含有
する必要物質と食塩とを有効成分として含有する培地を
使用したところ、この培地が、酵母やBacillus
属細菌の増殖は、これを特異的に抑制するが、ブドウ球
菌、緑膿菌、腸球菌、カンジダの増殖は、これを促進す
る栄養液、つまり増殖促進目的菌の増菌、保存用培地と
して使用できることを発見し、そして更の研究の結果、
特に有効な処方(培地A)をつきとめ、本発明が完成さ
れたものである。
【0008】また本発明は、第二の態様として、抗菌性
物質を含有する必要物質と食塩とを有効成分として含有
する培地に更に卵黄を添加することにより、この培地
が、MRSA(薬剤耐性コアグラーゼ陽性黄色ブドウ球
菌)やMRCNS(薬剤耐性コアグラーゼ陰性黄色ブド
ウ球菌)、緑膿菌(P.aeruginosa,P.c
epacia,P.fluorescens,P.pu
tida等)、腸球菌、カンジダ等を選択的に増殖さ
せ、且つ簡単に鑑別出来る培地、つまり薬剤耐性菌鑑別
用培地として使用できることを発見し、そして更に研究
の結果、特に有効な処方(培地B)をつきとめ、本発明
が完成されたのである。
【0009】本発明において、必要物質は、抗菌性物質
を含有するほか、更に、硫酸マグネシウム、リン酸水素
二カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸鉄、リゾチ
ームからなる群から選択される1種又は2種以上を含有
するものである。
【0010】抗菌性物質としては、シノキサン、ナリジ
ク酸(nalidixic acid)、セトリミド、
β−ラクタム系抗生物質の1もしくは2以上が使用さ
れ、β−ラクタム系抗生物質としては、ペニシリン系誘
導体、セファロスポリン系誘導体の1もしくは2以上が
使用される。
【0011】ペニシリン誘導体としては、例えばオキサ
シリン、アンピシリン、ペニシリンG、カルベニシリ
ン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ヘタシリン、
メチシリン、ナフシリン、フェネチシリン、ペニシリン
V、カリンダシリン、メタンピシリン、スルベニシリ
ン、アモキシシリンの1もしくは2以上が使用される。
【0012】セファロスポリン誘導体としては、例えば
セフミノクス、セファロチン、セファロリジン、セファ
ログリシン、セファレチシン、セファセトリル、セファ
ノン、セファピリン、セフラジン、セファゾリン、セフ
ォキシチンの1もしくは2以上が使用される。
【0013】すなわち本発明は、上記した必要物質と食
塩とを有効成分として含有する培地を基本的技術思想と
するものであって、培地A(増殖促進目的菌の増菌、保
存用培地)の場合、ブドウ球菌(MSSA)、MRS
A、緑膿菌、腸球菌とカンジダの増殖を全く阻害せず、
酵母(例えばパン酵母)大腸菌などの腸内細菌やBac
illus属細菌(例えば枯草菌)の増殖を抑制させる
ための培地Aの処理は、一般の細菌増菌用液体培地、特
に特定するもので無い(例えば、ハートインフュージョ
ン培地、トリプトソイブイヨン培地等一般の市販品)
に、緑膿菌の爆発的な増殖を多少制御するための食塩
(1%程度濃度まで)、必要物質(抗菌性物質のペニシ
リン、オキサシリン、アンピシリン、セフミノクス、セ
ファロスポリン、シノキナリジク酸、セトリミド等の単
独又は複数に、必要あればクエン酸ナトリウム等の成
分)を加えたものが好適である。
【0014】また本発明に係る培地B(薬剤耐性菌鑑別
用培地)は、上記培地Aに更に卵黄を配合した点を基本
とし、MRSA、MRCNS、緑膿菌、腸球菌、カンジ
ダ等薬剤耐性菌を選択的に増殖させ、且つ簡便に鑑別で
きる培地であって、その有効処方は次のとおりである。
【0015】すなわち培地Bの処方は、食塩、卵黄、及
び必要物質からなるものである。これらの有効成分、特
に必要物質の内、抗菌性物質としては、シノキサシン、
オキサシリン、アンピシリン、ペニシリンG、、ペニシ
リン類、セフミノクス、セファロスポリン類、ナリジク
酸、セトリミド、クエン酸ナトリウム等、既述したβ−
ラクタム系抗生物質他の抗菌剤)が処方される。
【0016】また、MRSA(薬剤耐性コアグラーゼ陰
性黄色ブドウ球菌)やMRCNS(薬剤耐性コアグラー
ゼ陰性黄色ブドウ球菌)、緑膿菌(P.aerugin
osa,P.cepacia,P.fluoresce
ns,P.putida)、腸球菌、カンジダ等を簡単
に鑑別するため並びにMRSA、MRCNS、及びカン
ジダを発育させるために卵黄(0.5〜5%、好適には
1〜3%、更に好適には2%程度)と食塩、緑膿菌の色
素産生のために硫酸マグネシュウム、リン酸水素二カ
リ、クエン酸ナトリウムとクエン酸鉄を加える。本培地
で発育した菌集落の形態と色調、色素産生、レシチナー
ゼ・リパーゼ反応(卵黄反応)などにより、上記菌属と
種の識別、定量が可能になるのである。
【0017】ここについに、目的であった培地Aと培地
Bを完成させることが出来たのである。培地Aと培地B
を単独または併用することによって、臨床材料および環
境材料をとわず、酵母とBacillus属細菌の増殖
を抑制し、緑膿菌、薬剤耐性ブドウ球菌、腸球菌、カン
ジダを種speciesのレベルで選択的に増殖させ鑑
別することが、極めて迅速に、且つ簡単に出来る。
【0018】本発明は、食塩及び必要物質を有効成分と
して含有してなる培地、更に詳細には、目的菌の増菌、
保存用培地、及び更に卵黄を配合してなる薬剤耐性菌の
増菌、保存、鑑別用培地に関するものである。
【0019】本発明の増菌、保存用培地を使用すれば、
酵母、腸内細菌、カビ、バチルス属細菌等の増殖を抑制
しつつ、各種ブドウ球菌(MSSA、MRSA、MRC
NS等)、緑膿菌、腸球菌、カンジダの1又は2以上を
選択的に増菌、保存できる。
【0020】本発明の薬剤耐性菌鑑別用培地を使用すれ
ば、緑膿菌、MRSA、MRCNS腸球菌、カンジダの
1もしくは2以上を各別に又は同時に鑑別できる。
【0021】本発明の薬剤耐性菌鑑別用培地は、菌の増
殖のための成分、例えばペプトン、グリセリン、及びピ
ルビン酸ナトリウム、リン酸二カリウム、硫酸マグネシ
ウムなどの各種塩類や寒天以外に卵黄、食塩及び必要物
質を鑑別用有効成分として添加されてなるものである。
【0022】卵黄の添加は、MRSAやMRCNSの増
殖促進に有効であるとともに、Pseudomonas
aeruginosaやMRSAがリパーゼやレシチ
ナーゼを生産して、卵黄色を透明帯に変化させるのでこ
れら耐性菌の鑑別に役立ち、MRSAでは卵黄色を変化
させるが、白色色素を卵黄色の上に生産するので鑑別す
ることが可能となる。
【0023】Pseudomonas aerugin
osaは、卵黄濁色を透明帯に変化させるとともにピオ
シアニン(緑色)を生産するので同じ培地上で鑑別する
ことができる。Pseudomonas cepaci
aは、卵黄濁色をわずかに透明帯にするが、非蛍光黄緑
色を生産し、これを鑑別することができる。また、Ps
eudomonas puticaとPseudomo
nas fluorescensは、ともに卵黄色の変
化はないが、前者は白色コロニーを作り、後者はフロオ
レッセインを生産するので他の耐性菌と区別して鑑別す
ることができる。
【0024】Enterococcus faecal
isは、卵黄色の変化はないが、独特の極小コロニーを
作るので鑑別することができる。また、Candida
albicansは、卵黄色の変化はないが、カンジ
ダ特有の白色コロニーを作るので鑑別することができ
る。
【0025】食塩は、培地に0.5〜4.0%程度まで
添加することが可能であるが、0.5〜2.0%程度の
添加であれば卵黄色は不透明で、2.0%〜4.0%の
添加で卵黄色は透明となる。必要によって、不透明卵黄
色培地としたり透明卵黄色培地を選択することができる
ので、鑑別する場所や予測の菌の種類や菌数に応じて選
択するのがよい。
【0026】必要物質としては、薬剤耐性菌ないし増殖
促進目的菌以外のバチラス属菌、各種酵母、カビ、腸内
細菌などの増殖を抑制する抗菌生物質のほか、硫酸マグ
ネシウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸ナトリウ
ム、クエン酸鉄、クエン酸、リゾチームの1もしくは2
以上を含有するものであり、硫酸マグネシウム〜リゾチ
ームは、鑑別用薬剤としても用いられる。例えば、クエ
ン酸ナトリウム等クエン酸誘導体は、Pseudomo
nas aeruginosaのピオシアニン(緑色)
生産用の鑑別用薬剤として有用である。
【0027】必要物質の好ましい組成の1例は次のとお
りである:シノキサシン(1.6μg/ml以上)、オ
キサシリン(1.6μg/ml以上)、アンピシリン
(1.6μg/ml以上)、セフミノクス(1.6μg
/ml以上)、ナリジク酸(5μg/ml以上)、セト
リミド(0.1μg/ml以上)、リゾチーム(10単
位/ml以上)、クエン酸ナトリウム(50μg/ml
以上)、クエン酸鉄(10μg/ml以上)の1もしく
は2以上。
【0028】本発明に係る培地の内、目的菌の増菌、保
存用途のためには、例えば次のような組成の培地が好適
である:精製水1,000mlに、ペプトン(5〜20
g)、肉エキス(5〜20g)、食塩(5〜40g)、
必要物質(0.1mg〜2g)を添加した培地。
【0029】本発明に係る培地の内、薬剤耐性菌鑑別用
途のためには、例えば次のような組成の培地が好適であ
る:精製水1,000mlに、ペプトン(10〜20
g)、ピルビン酸ナトリウム(0.1〜10g)、リン
酸二カリウム(0.2〜3.0g)、硫酸マグネシウム
(0.2〜3.0g)、グリセリン(1〜30ml)、
卵黄(最終濃度0.5〜5%、好適には1〜3%、更に
好適には2%程度)、食塩(5〜40g)、寒天(13
〜20g)、必要物質(0.01mg〜1g)を添加し
てなる薬剤耐性菌鑑別用培地であり、必要物質がシノキ
サシン、オキサシリン、セフミノクス、アンピシリン、
ナリジク酸、セトリミド、リゾチーム、クエン酸ナトリ
ウム、クエン酸鉄の1もしくは2以上である。
【0030】必要物質の構成成分のひとつである抗菌性
物質は、既述した物質が1種又は2種以上適宜併用され
るが、好適な併用例としては、例えば、シノキサシンと
オキサシリンの組み合わせ、セフミノクスとアンピシリ
の組み合わせ等が例示される。
【0031】本発明の薬剤耐性菌鑑別用培地を使用する
ことによって、臨床材料および環境材料をとわず、酵母
と大腸菌などの腸内細菌属やBacillus属細菌の
増殖を抑制し、緑膿菌、薬剤耐性ブドウ球菌、腸球菌、
カンジダを選択的に増殖させ、鑑別することが極めて迅
速に且つ簡便にできる。また、本発明の増菌、保存用培
地を使用することによって、ブドウ球菌、緑膿菌、腸球
菌、カンジダ等目的菌のみを選択的に且つ他の菌による
コンタミンを防止しつつ増菌、保存することができる。
【0032】次に本発明の実施例を示す。
【0033】
【実施例】
【0034】
【実施例1】1,000mlの精製水にペプトン20
g、リン酸水素二カリウム0.3g、食塩0.5g、リ
ゾチーム10単位、シノキサシン10μg、卵黄2%、
ピルビン酸1g、グリセリン1ml、寒天15gを溶解
し、ペトリ−シャーレ1枚に15mlあて分注して薬剤
耐性菌鑑別用培地(本発明培地)を作った。対照の培地
として、NAC寒天培地(栄研化学製品)、マンニット
食塩培地(日水製薬製品)及びMRSA選択培地(極東
製薬(MDRS)製品)を用いて、下記表1の各菌を3
5℃で培養し、各培地における選択性をみた。結果は表
1に示される。
【0035】
【表1】
【0036】上記結果から明らかなように、本発明培地
は薬剤耐性菌のみが選択的に検出できることが分る。
【0037】
【実施例2】実施例1と同じ本発明培地を用いて、下記
表2の各検査菌種を接種して35℃で培養し、それぞれ
のコロニーの特徴をみた。結果は表2に示される。
【0038】
【表2】
【0039】上記結果から明らかなように、本発明培地
を用いて薬剤耐性菌群を培養すれば、各種を選択的に鑑
別することが可能であることが分る。
【0040】
【実施例3】増殖促進効果を次のようにして確認した。
すなわち、1,000mlの精製水にペプトン10g、
肉エキス5g、食塩2g、クエン酸ナトリウム2g、シ
ノキサシン25mgを溶解した液体培地(培地#1)を
作製し、小試験管に4ml宛分注した。対照の培地とし
て、上記記載の組成よりクエン酸ナトリウムとシノキサ
シンを除いた溶液(培地#2)を作製し、小試験管に4
ml宛分注した。1mlの生理的食塩液に約100万細
胞個/mlの枯草菌(Bacillussubtili
s)、および約5細胞個/mlの緑膿菌(Pseudo
monas aeruginosa)と約5細胞個/m
lのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とを別
々に準備した。
【0041】小試験管1)に上記の枯草菌1mlと生理
的食塩液を1ml分注、小試験管2)に枯草菌1mlと
緑膿菌1mlを分注、小試験管3)に枯草菌1mlとM
RSA1mlを分注した。培地#1と#2を各々3本準
備し、その各々に小試験管1)から3)までの菌液を各
々1ml宛加え、35℃で一晩保温した。次に実施例1
の本発明の培地1枚に各々の培養液を0.2ml分注
し、コンラージ棒を用いて寒天板全体によく塗抹し、そ
の後35℃で一晩培養した。本発明平板培地に増殖した
細菌を比較観察することにより本発明の培地#1と対照
の培地#2における選択性と増殖性をみた。結果は、下
記表3に示される。
【0042】
【表3】
【0043】
【実施例4】1,000mlの精製水にペプトン20
g、クエン酸ナトリウム1g、クエン酸0.3g、リン
酸水素二カリウム0.3g、硫酸マグネシウム0.3
g、ピルビン酸ナトリウム10g、グリセリン10g、
食塩5g、卵黄2%、アンピシリン5mg、セフミノク
ス25mg、寒天15gを溶解し、ペトリ−シャーレ1
枚に15mlあて分注して薬剤耐性菌選択鑑別用培地
(本発明培地)を作った。下記表4の検査菌の107
FU/mlと105CFU/mlのメチシリン耐性黄色
ブドウ球菌(MRSA)または緑膿菌(P.aerug
inosa)の混合液を準備し、各混合菌液を本発明培
地に接種した後35℃で一晩培養した。各検査菌の発育
抑制並びに検査菌によるMRSAまたは緑膿菌の発育阻
害の有無をみた。結果は表4に示される。
【0044】
【表4】
【0045】上記結果から明らかなように、本発明培地
は薬剤耐性菌(MRSAまたは緑膿菌)のみが選択的に
検出でき、また各検査菌によるMRSAまたは緑膿菌の
発育阻害は認められないことが分かった。
【0046】
【発明の効果】本発明に係る培地を用いれば、院内感染
等で問題となっている緑膿菌、MRSA、MRCNS、
腸球菌、カンジダの1もしくは2以上を増菌、保存する
ことができ、また、これと同時に、これ(ら)を容易に
鑑別することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:385) (C12N 1/20 C12R 1:01) (C12N 1/16 C12R 1:725) (C12Q 1/04 C12R 1:385 1:445 1:01 1:725)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌性物質を含有する必要物質と食塩と
    を有効成分として含有してなること、を特徴とする増
    菌、保存又は鑑別用培地。
  2. 【請求項2】 必要物質が、抗菌性物質のほか、硫酸マ
    グネシウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸ナトリウ
    ム、クエン酸鉄、リゾチームの1もしくは2以上からな
    るものであること、を特徴とする請求項1に記載の培
    地。
  3. 【請求項3】 抗菌性物質が、シノキサシン、ナリジク
    酸、セトリミド、β−ラクタム系抗生物質の1もしくは
    2以上であること、を特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の培地。
  4. 【請求項4】 β−ラクタム系抗生物質がペニシリン誘
    導体及び/又はセファロスポリン誘導体であること、を
    特徴とする請求項3に記載の培地。
  5. 【請求項5】 ペニシリン誘導体が、オキサシリン、ア
    ンピシリン、ペニシリンG、カルベニシリン、クロキサ
    シリン、ジクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、
    ナフシリン、フェネチシリン、ペニシリンV、カリンダ
    シリン、メタンピシリン、スルベニシリン、アモキシシ
    リンの1もしくは2以上であること、を特徴とする請求
    項4に記載の培地。
  6. 【請求項6】 セファロスポリン誘導体が、セフミノク
    ス、セファロチン、セファロリジン、セファログリシ
    ン、セファレチシン、セファセトリル、セファノン、セ
    ファピリン、セフラジン、セファゾリン、セフォキシチ
    ンの1もしくは2以上であること、を特徴とする請求項
    4に記載の培地。
  7. 【請求項7】 必要物質が、シノキサシン、オキサシリ
    ン、アンピシリン、セフミノクス、ナリジク酸、セトリ
    ミド、リゾチーム、クエン酸ナトリウム、クエン酸鉄、
    硫酸マグネシウム、リン酸水素二カリウムの1もしくは
    2以上であること、を特徴とする請求項1〜請求項6の
    いずれか1項に記載の培地。
  8. 【請求項8】 必要物質が、シノキサシン(1.6μg
    /ml以上)、オキサシリン(1.6μg/ml以
    上)、アンピシリン(1.6μg/ml以上)、セフミ
    ノクス(1.6μg/ml以上)、ナリジク酸(5μg
    /ml以上)、セトリミド(0.1μg/ml以上)、
    リゾチーム(10単位/ml以上)、クエン酸ナトリウ
    ム(50μg/ml以上)、クエン酸鉄(10μg/m
    l以上)の1もしくは2以上であること、を特徴とする
    請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の培地。
  9. 【請求項9】 培地が、増殖促進目的菌の増菌、保存用
    培地であること、を特徴とする請求項1〜請求項8のい
    ずれか1項に記載の培地。
  10. 【請求項10】 増殖促進目的菌が、ブドウ球菌(MS
    SA、MRSA、MRCNS)、緑膿菌、腸球菌、カン
    ジダの1もしくは2以上であること、を特徴とする請求
    項9に記載の培地。
  11. 【請求項11】 増殖が抑制される菌が、酵母、腸内細
    菌、バチルス属細菌であること、を特徴とする請求項9
    又は請求項10に記載の培地。
  12. 【請求項12】 精製水1,000mlに、ペプトン
    (5〜20g)、肉エキス(5〜20g)、食塩(5〜
    40g)、必要物質(0.1mg〜2g)を添加してな
    ることを、特徴とする請求項9〜請求項11のいずれか
    1項に記載の培地。
  13. 【請求項13】 培地が、有効成分として更に卵黄を含
    有してなる、薬剤耐性菌鑑別用培地であること、を特徴
    とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の培
    地。
  14. 【請求項14】 薬剤耐性菌が、緑膿菌、MRSA、M
    RCNS、腸球菌、カンジダの1もしくは2以上である
    こと、を特徴とする請求項13に記載の薬剤耐性菌鑑別
    用培地。
  15. 【請求項15】 精製水1,000mlに、ペプトン
    (10〜20g)、ピルビン酸ナトリウム(0.1〜1
    0g)、リン酸二カリウム(0.2〜3.0g)、硫酸
    マグネシウム(0.2〜3.0g)、グリセリン(1〜
    30ml)、卵黄(最終濃度0.5〜5%)、食塩(5
    〜40g)、寒天(13〜20g)、必要物質(0.0
    1mg〜1g)を添加してなること、を特徴とする請求
    項13又は請求項14に記載の培地。
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