JPH07301294A - 遊星歯車式変速装置 - Google Patents

遊星歯車式変速装置

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JPH07301294A
JPH07301294A JP11586194A JP11586194A JPH07301294A JP H07301294 A JPH07301294 A JP H07301294A JP 11586194 A JP11586194 A JP 11586194A JP 11586194 A JP11586194 A JP 11586194A JP H07301294 A JPH07301294 A JP H07301294A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 前進4段型の遊星歯車式変速装置と最大限の
部品共通化を実現した前進5段型の遊星歯車式変速装置
を構成する。 【構成】 3つの遊星歯車装置14、15、16を使用
する。サンギヤ14S、15S、16S、ブレーキB
1、クラッチC3が連結され、リングギヤ15R、ピニ
オンキャリヤ14C、リングギヤ16R、および出力軸
28が連結される。リングギヤ14R、クラッチC1、
ピニオンキャリヤ15P、およびクラッチC2、が連結
される。クラッチC1、C2、C3の他の側が入力軸2
3に連結される。ピニオンキャリヤ16CにブレーキB
2が連結される。遊星歯車装置17、ブレーキB3、ク
ラッチC4を出力軸28側に追加すれば、4速型が5速
型となる。遊星歯車式変速装置の小型化、軽量化が容易
になり、騒音や振動も抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車や鉄道車両等の
多段自動変速機に用いられる遊星歯車式変速装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】遊星歯車式変速装置にトルクコンバータ
ーを組み合わせた自動変速装置が実用化されている。遊
星歯車式変速装置は、一般的に、複数段の遊星歯車装置
や複数のクラッチやブレーキを入力軸と同一軸上に配置
して構成され、入力軸と同軸の出力軸または出力歯車を
通じて駆動力を出力する。遊星歯車装置は、外側のリン
グギヤと中心のサンギヤとの間に、ピニオンキャリヤに
拘束されて遊星運動する1〜2段のピニオンギヤを噛み
合わせ配置して構成される。各段の遊星歯車装置のリン
グギヤ、ピニオンキャリヤ、およびサンギヤは、複数の
クラッチやブレーキのそれぞれに対して、適当な組み合
わせで、トルクシェルと呼ばれる殻構造によって相互に
連結され、一体に回転する。遊星歯車式変速装置は、外
部からの指令操作に応じて複数のクラッチやブレーキの
断続の組み合わせを変更することにより、変速比(=入
力回転数/出力回転数)を複数通りに切り替える。
【0003】従来、遊星歯車式変速装置は、前進4段、
後退1段の5段階変速が可能な前進4段型が主流であっ
たが、現在では、高速走行時の燃料消費の削減や振動抑
制を目的として、変速比が1以下のいわゆるオーバード
ライブ段を追加して前進5段、後退1段とした6段階変
速の前進5段型が種々提案されている。
【0004】ここで、前進5段型の遊星歯車式変速装置
は、前進4段型の遊星歯車式変速装置との間で、より多
くの部品を共有できることが望ましい。同一車種の自動
車において前進4段型と前進5段型を選択できることが
重要であり、前進4段型とは全く別に前進5段型を独自
に設計、制作することは、生産設備、金型、生産コス
ト、製品の信頼性等の観点から好ましくないからであ
る。
【0005】特開昭47−43658号公報には、3段
の遊星歯車装置を使用した前進4段型に、特別な副変速
装置を連結して、前進5段型とした遊星歯車式変速装置
が提案されている。副変速装置は、1段の遊星歯車装置
と、この遊星歯車装置を制御するためのクラッチやブレ
ーキを含み、3段の遊星歯車装置を使用した前進4段型
の遊星歯車式変速装置の出力軸側に連結される。
【0006】この前進5段型の遊星歯車式変速装置は、
前進4段型の最高速段の出力を副変速装置でさらに増速
させる形式でオーバードライブ段を出力する。従って、
前進4段型と前進5段型の間で、主要構成部品を共有化
でき、比較的に安価に前進5段型を提供できる。また、
3段の遊星歯車装置から前進5段の変速を得る場合に比
較して、4段の遊星歯車装置を利用できる分、変速各段
における変速比の選択の自由度が高い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
47−43658号公報に示される前進5段型の遊星歯
車式変速装置では、変速比が1より低い「オーバードラ
イブ段」を得るための変速動作が専ら副変速装置内で実
行されるため、副変速装置を除去して前進4段型とした
場合にオーバードライブ変速段が失われる。従って、前
進4段型を選択した場合、高速走行における燃料消費が
過大となり、エンジンの負担や車体の振動等も当然に大
きくなる。
【0008】特開昭47−43658号公報に示される
前進5段型の遊星歯車式変速装置では、前進のいくつか
の変速段において、入力軸が遊星歯車装置のサンギヤに
クラッチ接続される。中心側のサンギヤを通じて入力さ
れた駆動力が、外側のピニオンキャリヤやリングギヤを
通じて出力される。従って、伝達トルクが小さくてもサ
ンギヤの歯面荷重(接線力)が高くなり、遊星歯車装置
の歯の大きさ(モジュール)や歯幅を大きく設計する必
要がある。これにより、変速各段における変速比の選択
の自由度が狭くなり、遊星歯車装置の小型化、軽量化も
実現しにくい問題がある。
【0009】特開昭47−43658号公報に示される
前進5段型の遊星歯車式変速装置では、最高速の5速に
おいて、2段以上の遊星歯車装置が駆動力の伝達に関与
しており、振動や騒音が大きい問題がある。入力軸が高
速回転される機会が多い高速段においては、駆動力の伝
達に関与する遊星歯車装置の段数が少ない程、振動や騒
音が低くなり、伝達効率も高まるから、さらに少ない段
数で5速が実現されることが望まれる。
【0010】本発明は、前進4段型と前進5段型の間で
最大限の部品共通化を図りつつ、これらの問題を解決し
た遊星歯車式変速装置、すなわち、小型化、軽量化が容
易で騒音や振動が抑制された遊星歯車式変速装置を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の遊星歯車式変
速装置は、第1遊星歯車装置、第2遊星歯車装置、第3
遊星歯車装置、出力部材、および入力部材が同一軸上に
配置され、前記入力部材と前記出力部材の間の回転数比
を複数段階に切り替える遊星歯車式変速装置において、
第1遊星歯車装置と第2遊星歯車装置のサンギヤ同士を
連結し、第3遊星歯車装置のリングギヤとサンギヤの一
方に対して、第1遊星歯車装置のピニオンキャリヤ、第
2遊星歯車装置のリングギヤ、および前記出力部材を連
結し、かつ、第3遊星歯車装置のリングギヤとサンギヤ
の他方に対して第2遊星歯車装置のサンギヤを連結する
連結手段と、第1遊星歯車装置のリングギヤに対して前
記入力部材を接続可能な第1クラッチと、第2遊星歯車
装置のピニオンキャリヤに対して前記入力部材を接続可
能な第2クラッチと、第3遊星歯車装置のリングギヤと
サンギヤの前記他方に対して前記入力部材を接続可能な
第3クラッチと、第3遊星歯車装置のリングギヤとサン
ギヤの前記他方の回転を固定可能な第1ブレーキと、第
3遊星歯車装置のピニオンキャリヤの回転を固定可能な
第2ブレーキと、を設けたものである。
【0012】請求項2の遊星歯車式変速装置は、請求項
1記載の遊星歯車式変速装置における前記連結手段が、
第2遊星歯車装置側から第3遊星歯車装置側への動力伝
達のみを許容する一方向クラッチと、前記一方向クラッ
チと並列に配置されて両方向の動力伝達を可能にする第
4クラッチと、からなるものである。
【0013】請求項3の遊星歯車式変速装置は、第1遊
星歯車装置、第2遊星歯車装置、第3遊星歯車装置、出
力部材、および入力部材が同一軸上に配置され、前記入
力部材と前記出力部材の間の回転数比を複数段階に切り
替える遊星歯車式変速装置において、第1遊星歯車装置
と第2遊星歯車装置のサンギヤ同士を連結し、第3遊星
歯車装置のリングギヤに対して、第1遊星歯車装置のピ
ニオンキャリヤ、および第2遊星歯車装置のリングギヤ
を連結し、かつ、第3遊星歯車装置のサンギヤに対して
第2遊星歯車装置のサンギヤを連結する連結手段と、第
1遊星歯車装置のリングギヤに対して前記入力部材を接
続可能な第1クラッチと、第2遊星歯車装置のピニオン
キャリヤに対して前記入力部材を接続可能な第2クラッ
チと、第3遊星歯車装置のサンギヤに対して前記入力部
材を接続可能な第3クラッチと、第3遊星歯車装置のサ
ンギヤの回転を固定可能な第1ブレーキと、第3遊星歯
車装置のピニオンキャリヤの回転を固定可能な第2ブレ
ーキと、を設け、かつ、第3ブレーキによりリングギ
ヤ、ピニオンキャリヤ、サンギヤのいずれかの回転を固
定可能な第4遊星歯車装置からなり、該第3ブレーキの
係合時に、前記第3遊星歯車装置のリングギヤの回転を
減速させて前記出力部材に出力可能な副変速手段を設け
たものである。
【0014】請求項4の遊星歯車式変速装置は、請求項
3記載の遊星歯車式変速装置における前記連結手段が、
第2遊星歯車装置側から第3遊星歯車装置側への動力伝
達のみを許容する一方向クラッチと、前記一方向クラッ
チと並列に配置されて両方向の動力伝達を可能にする第
4クラッチと、からなるものである。
【0015】請求項5の遊星歯車式変速装置は、請求項
3または4記載の遊星歯車式変速装置における第3遊星
歯車装置と第4遊星歯車装置のリングギヤを前記出力部
材に連結し、第4遊星歯車装置のサンギヤと第3遊星歯
車装置のピニオンキャリヤとを連結し、第3ブレーキ
は、第4遊星歯車装置のピニオンキャリヤの回転を固定
可能なブレーキであるものである。
【0016】請求項6の遊星歯車式変速装置は、請求項
3または4記載の遊星歯車式変速装置における第4遊星
歯車装置は、共通のピニオンキャリヤで拘束された2段
のピニオンギヤを有し、第4遊星歯車装置と第3遊星歯
車装置のピニオンキャリヤ同士を連結し、第3遊星歯車
装置のリングギヤと第4遊星歯車装置のサンギヤとを前
記出力部材に連結し、第3ブレーキは、第4遊星歯車装
置のリングギヤの回転を固定可能なブレーキであるもの
である。
【0017】
【作用】請求項1の遊星歯車式変速装置では、前進4段
型の遊星歯車式変速装置が3段の遊星歯車装置、3組の
クラッチ、および2組のブレーキを含む。ここで、クラ
ッチは、動作形式を問わず、回転力を外部からの操作に
応じて接続、遮断できる機能素子を意味する。同様に、
ブレーキは、動作形式を問わず、回転可能な部分を筐体
等に連結して、その回転を不可能にする機能素子を意味
する。
【0018】ここでは、前進変速段の1速、2速、およ
び3速において、入力部材からの駆動力は、第1クラッ
チを通じて第1遊星歯車装置のリングギヤに入力され
る。従って、この噛み合わせが外側でなされる分、小さ
な歯面荷重でも大きなトルクを伝達できる。また、3速
においては、第1クラッチと第2クラッチが、第1遊星
歯車装置のリングギヤとサンギヤの位置関係を固定する
ため、ピニオンキャリヤと入力部材がロックされて同じ
回転数で回転し、変速比は1となる。
【0019】4速においては、第1ブレーキが第2遊星
歯車装置のサンギヤを固定し、ピニオンキャリヤに入力
された入力部材の駆動力が、増速されてリングギヤから
出力される。従って、4速には、変速比が1である3速
よりも小さな変速比(オーバードライブ段)が付与され
る。第3遊星歯車装置は、低速段(1速、後退)におい
て機能する。連結手段は、軸構造等による直結としても
よく、請求項2のような特別の連結手段を選択してもよ
い。
【0020】請求項2の遊星歯車式変速装置では、連結
手段が、第2遊星歯車装置のサンギヤと第3遊星歯車装
置側の接続状態を2通りに切り替える。1つは、第4ク
ラッチによる双方向の接続であり、残りの1つは一方向
クラッチによる片方向の接続である。前者は、出力部材
側(例えばホイール)から入力部材側(例えばエンジ
ン)への動力伝達を許す(エンジンブレーキを働かせ
る)状態である。
【0021】請求項3の遊星歯車式変速装置では、請求
項1の前進4段型の遊星歯車式変速装置に副変速手段を
追加して前進5段型の遊星歯車式変速装置とする。副変
速手段は、変速比が1以上の低速側の変速段を1つ増加
させる。前進4段型の3速、4速に対応する遊星歯車装
置の動作状態が前進5段型の4速、5速にそのまま移行
し、1速〜2速の変速比範囲に3つの変速比が設定され
る。前進4段型の低速側の変速段では、第3遊星歯車装
置が形成した「リングギヤと逆向きの回転」を第1、第
2遊星歯車装置のサンギヤに戻すことによって出力部材
を減速する。
【0022】副変速手段の第4遊星歯車装置は、第3ブ
レーキを係合してリングギヤ、ピニオンキャリヤ、サン
ギヤのいずれかをロックすれば、リングギヤ、ピニオン
キャリヤ、サンギヤの残りの2つが機能して、第3遊星
歯車装置のリングギアの回転を減速させて、前進4段型
では不可能であった低速側(変速比が1以上)の1つの
変速段を可能にする。例えば、前進4段型では1段階に
過ぎなかった「第3遊星歯車装置が第1、第2遊星歯車
装置のサンギアに戻す回転の回転速度」を2段階に切替
え可能とする。第4遊星歯車装置と第3ブレーキを含ん
で低速側の変速段を1つ増す機構は、実施例で後述する
ように種々可能である。
【0023】請求項3の遊星歯車式変速装置に追加され
た副変速手段は、変速比が1以上の低速側に変速段を追
加する。副変速手段は、第3遊星歯車装置に対してはた
らきかけ、第1、第2遊星歯車装置のサンギヤを、5速
の場合と反対方向に、0を含む3段階に回転させる。こ
の構成は、従来例の遊星歯車装置(特開昭47−436
58号)と対照的である。何故なら、この従来例の副変
速機は、第4遊星歯車装置を含むが、高速側にさらに1
段の高速段を実現するに過ぎないからである。
【0024】請求項4の遊星歯車式変速装置では、請求
項2の遊星歯車式変速装置の作用で説明したように、連
結手段が、第2遊星歯車装置側と第3遊星歯車装置側へ
の動力伝達の状態を2種類に変更可能である。
【0025】請求項5の遊星歯車式変速装置では、請求
項1の前進4段型の遊星歯車式変速装置に対する第4遊
星歯車装置および第3ブレーキの連結関係の1態様が示
される。第3ブレーキが動作することによって、第4遊
星歯車装置のサンギヤに出力部材の回転を増速した回転
が形成され、第3遊星歯車装置のピニオンキャリヤに戻
される。第3遊星歯車装置のピニオンキャリヤの回転
は、第1、第2遊星歯車装置のサンギヤの回転速度を増
速し、前進4段型の遊星歯車式変速装置の1速よりも変
速比の高い変速段を形成する。
【0026】請求項6の遊星歯車式変速装置では、請求
項1の前進4段型の遊星歯車式変速装置に対する第4遊
星歯車装置および第3ブレーキの連結関係の別態様が示
される。第3ブレーキが動作することによって、第4遊
星歯車装置のピニオンキャリヤに出力部材の回転を減速
した回転が第3遊星歯車装置のピニオンキャリヤに戻さ
れる。第3遊星歯車装置のピニオンキャリヤの回転は、
第1、第2遊星歯車装置のサンギヤの回転速度を増速
し、前進4段型の遊星歯車式変速装置の1速よりも変速
比の高い変速段を形成する。
【0027】
【実施例】図1〜図14を参照して第1〜第10実施例
を説明する。すべての実施例の遊星歯車式変速装置は、
図示しないトルクコンバーターに組み合わせて自動車用
の自動変速機(オートマチックトランスミッション)に
組み立てられる。図1〜図3は第1実施例、図4、図5
は第2実施例、図6は第3実施例、図7は第4実施例、
図8は第5実施例、図9は第6実施例、図10は第7実
施例、図11は第8実施例、図12は第9実施例、図1
3は第10実施例である。
【0028】第1実施例(図1)は、他のすべての実施
例の基礎となる前進4段型の遊星歯車式変速装置であっ
て請求項1の構成に対応する。第2実施例(図4)〜第
4実施例(図7)は、第1実施例に1段の遊星歯車装置
を追加して構成した前進5段型の遊星歯車式変速装置で
あって、請求項3の構成に対応する。特に、第3実施例
は請求項5の構成、第4実施例は請求項6の構成にもそ
れぞれ対応する。第6実施例(図9)は、第1実施例
(図1)の直結に代えて、一方向クラッチを含む特別な
連結手段を採用した前進4段型の遊星歯車式変速装置で
あって、請求項2の構成に対応する。第7(図10)、
第8、(図11)、第9実施例(図12)は、それぞれ
第2実施例(図4)、第3実施例(図5)、第4実施例
(図7)の直結に代えて、一方向クラッチを含む特別な
連結手段を採用した前進5段型の遊星歯車式変速装置で
あって請求項4の構成に対応する。第5実施例(図8)
は第1実施例(図1)の変形例、第10実施例(図1
3)は第6実施例(図9)の変形例をそれぞれ示す。
【0029】図1〜図13では、遊星歯車式変速装置が
スケルトンで示される。スケルトンは遊星歯車装置、ク
ラッチ、ブレーキ等の機構要素の配置と、トルクシェル
や軸構造による機構要素の接続関係を模式的に線表現し
た図である。実際の遊星歯車式変速装置は、中心軸に対
して上下対称な構造であるが、これらのスケルトンは中
心軸から下半分を省略して表現している。クラッチやブ
レーキには、従来の自動変速装置においてよく用いられ
ている形式の油圧アクチュエータにより作動されるも
の、例えば、多板式クラッチやバンドブレーキ、あるい
は一方向クラッチ等により構成される。
【0030】図1は第1実施例の遊星歯車式変速装置の
説明図、図2、図3は第1実施例における変速各段の説
明図である。図1中、(a)はスケルトン、(b)は各
変速段に対応するクラッチ、ブレーキの締結の組み合わ
せと変速比を示す。図2中、(a)は1速、(b)は2
速、(c)は3速をそれぞれ示す。図3中、(a)は4
速、(b)は5速をそれぞれ示す。
【0031】図1の(a)において、遊星歯車式変速装
置11は、左側の入力軸23から入力された駆動力を、
中央の遊星歯車装置14、15、16で変速して、右側
の出力軸28に出力する。遊星歯車装置14、15、ク
ラッチC1、C2、C3、ブレーキB1、入力軸23を
含む部分11Aよりも出力軸28側に、遊星歯車装置1
6、ブレーキB2が配置される。遊星歯車装置14、1
5、16は、それぞれよく知られたシングルピニオン型
遊星歯車装置であって、外側のリングギヤ14R、15
R、16Rと、中心のサンギヤ14S、15S、16S
との間に、ピニオンギヤ(遊星歯車)14P、15P、
16Pが配置されて両者に噛み合う。ピニオンギヤ14
P、15P、16Pは、サンギヤ14S、15S、16
Sと同心で回転可能なピニオンキャリヤ14C、15
C、16Cに軸支され、ピニオンキャリヤ14C、15
C、16Cからピニオンギヤ14P、15P、16Pの
公転運動が取り出される。
【0032】遊星歯車装置14、15よりも入力軸23
側に、クラッチC1、C2、C3、ブレーキB1がまと
めて配置される。ブレーキB2は、これらから離れて出
力軸28側に配置される。クラッチC1、C2、C3
は、図示しない油圧系統によって駆動されて、入力軸2
3と遊星歯車装置14、15、16側との間の連結/遮
断を制御する。ブレーキB1、B2もまた、図示しない
油圧系統によって駆動されて、遊星歯車装置14、1
5、16側の回転可能な部分と、外側のトランスミッシ
ョンケース12との間のロック/解放を制御する。
【0033】これらの機構要素は、スケルトン上で線表
現されたトルクシェルや回転軸によって相互に連結さ
れ、一体に回転する。トルクシェルは、スケルトンの線
表現に対応する回転断面を持つ回転体に形成される。遊
星歯車装置14のサンギヤ14Sは遊星歯車装置15の
サンギヤ15Sに連結される。遊星歯車装置15のリン
グギヤ15Rは、遊星歯車装置14のピニオンキャリヤ
14Sに連結され、さらに、出力軸28にも連結され
る。クラッチC1、C2、C3の一方の側は入力軸23
に連結される。クラッチC1の他の側は遊星歯車装置1
4のリングギヤ14Rに、クラッチC2の他の側は、遊
星歯車装置15のピニオンキャリヤ15Cに、クラッチ
C3の他の側は、遊星歯車装置15のサンギヤ15Sに
それぞれ連結される。ブレーキB1は、遊星歯車装置1
5のサンギヤ15Sに連結される。
【0034】遊星歯車装置16のサンギヤ16Sは、遊
星歯車装置15のサンギヤ15Sに連結されて一体に回
転する。遊星歯車装置16のピニオンキャリヤ16Pは
ブレーキB2に、リングギヤ16Rは出力軸28にそれ
ぞれ連結される。
【0035】遊星歯車装置14、15、16は、発明の
第1、第2、第3遊星歯車装置にそれぞれ対応し、クラ
ッチC1、C2、C3は、発明の第1、第2、第3クラ
ッチがクラッチC1、C2、C3に対応し、ブレーキB
1、B2は、発明の第1、第2ブレーキに対応する。入
力軸23、出力軸28は、それぞれ発明の入力部材、出
力部材に対応する。以上の対応関係は、以下の第2〜第
5実施例でも同様に保たれる。
【0036】図1の(a)のように構成された遊星歯車
式変速装置における変速各段、すなわち、前進1速、2
速、3速、4速、後退は、図1の(b)に示すように、
クラッチC1、C2、C3と、ブレーキB1、B2の動
作の組み合わせによって実現される。そして、前進1
速、2速、3速、4速、後退における駆動力の伝達は、
それぞれ図2の(a)、(b)、(c)、図3の
(a)、(b)に実線で示される経路で実現される。こ
れにより、遊星歯車装置14、15、16の歯数比をα
、α、α、として、変速各段における変速比(減
速比)は、図1の(b)に示す計算式で表される。歯数
比αは、サンギヤ歯数/リングギヤ歯数と定義される遊
星歯車装置の定数である。 図1の(b)の右端に示し
た数値は、歯数比α、α、αをそれぞれ0.5
5、0.30、0.35としたときの変速比である。な
お、図2、図3については、構成部材に図1と共通の参
照記号を付して、詳しい説明を省略している。
【0037】1速では、クラッチC1とブレーキB2が
作動する。図2の(a)に示すように、クラッチC1
は、入力軸23を遊星歯車装置14のリングギヤ14R
に連結して両者を一体に回転させる。ブレーキB2は遊
星歯車装置16のピニオンキャリヤ16Cをトランスミ
ッションケース12にロックして回転不能とする。公転
をロックされて自転のみを許されたピニオンギヤ16P
を介して、リングギヤ16R(出力軸28)と反対方向
に、サンギヤ16S(遊星歯車装置14のサンギヤ14
S)が回転する。遊星歯車装置14の正逆反対方向に回
転するリングギヤ14Rとサンギヤ14Sは、ピニオン
キャリヤ14Cに、その中間の角速度、すなわち、入力
軸23よりも大幅に減速された角速度を付与する。こう
して、遊星歯車装置14、16が入力軸23と出力軸2
8の間の動力伝達に関与して、図1の(b)に示す変速
比3.12が実現される。
【0038】2速では、クラッチC1とブレーキB1が
作動する。図2の(b)に示すように、ブレーキB1は
遊星歯車装置14のサンギヤ14Sをトランスミッショ
ンケース12にロックして回転不能とする。角速度0の
サンギヤ14Sと、入力軸23に等しい角速度のリング
ギヤ14Rは、ピニオンキャリヤ14Cに、その中間の
角速度、すなわち、1速よりも大きいが入力軸23より
も減速された角速度を付与する。こうして、遊星歯車装
置14のみが入力軸23と出力軸28の間の動力伝達に
関与して、図1の(b)に示す変速比1.55が実現さ
れる。
【0039】3速では、クラッチC1、C2が作動す
る。図2の(c)に示すように、クラッチC1により、
遊星歯車装置14のリングギヤ14Rが入力軸23と同
じ回転方向に駆動され、クラッチC2により、遊星歯車
装置15のピニオンキャリヤ15Cが入力軸23と同じ
回転方向に駆動される。しかし、遊星歯車装置14のピ
ニオンキャリヤ14Cと遊星歯車装置15のリングギヤ
15Rが連結されているため、遊星歯車装置14、15
はいずれもそのときの噛み合わせでロックされてしま
い、リングギヤ14R(入力軸23)と同じ角速度でピ
ニオンキャリヤ14P(出力軸28)が回転する変速比
1の状態となる。
【0040】4速では、クラッチC2とブレーキB1が
作動する。図3の(a)に示すように、クラッチC2
は、入力軸23に遊星歯車装置15のピニオンキャリヤ
15Cを連結して一体に回転させる。ブレーキB1によ
って角速度0にロックされたサンギヤ15Sと、入力軸
23に等しい角速度のピニオンキャリヤ15Cは、リン
グギヤ15Rに、ピニオンキャリヤ15Cよりも大きな
角速度を付与し、3速の変速比1よりも小さなオーバー
ドライブ段の変速比を実現する。遊星歯車装置15のみ
が入力軸23と出力軸28の間の動力伝達に関与して、
図1の(b)に示す変速比0.77が実現される。
【0041】後退では、クラッチC3とブレーキB2が
作動する。図3の(b)に示すように、クラッチC3
は、入力軸23を遊星歯車装置16のサンギヤ16Sに
連結して両者を一体に回転させる。ブレーキB2によっ
て公転をロックされ、自転のみを許されたピニオンギヤ
16Pは、リングギヤ16R(出力軸28)をサンギヤ
16S(入力軸23)と逆方向に、サンギヤ16Sより
も低い角速度で回転させる。遊星歯車装置16のみが入
力軸23と出力軸28の間の動力伝達に関与して、図1
の(b)に示す変速比2.86が実現される。
【0042】以上のように構成された第1実施例の遊星
歯車式変速装置では、前進のすべての変速段について、
リングギヤもしくはピニオンキャリヤを通じてエンジン
側の駆動力を入力させるから、サンギヤを通じて入力す
る場合に比較して、伝達歯面が外側に位置する分、同じ
トルクを少ない歯面荷重で伝達できる。従って、サンギ
ヤを通じて入力させる遊星歯車式変速装置に比較して、
歯の大きさを小さくする、全体の直径を小さくする、あ
るいは歯厚を薄くする等の手法を採用した小型化、軽量
化の設計が容易である。
【0043】また、常用される3速では遊星歯車装置が
ロックされた直結状態、2速、4速では動力伝達に関与
する遊星歯車装置が1段のみとなるため、複数の遊星歯
車装置が動力伝達に関与する遊星歯車式変速装置に比較
して、これらの変速段における振動や騒音が抑制され
る。そして、直結を除く第1速、第2速、第4速、後退
の4つの変速比を歯数比α、α、αの3つの変数
で決定できるため、変速比の可能な選択枝が多く、最適
な目標変速比を設定できる。
【0044】また、直結による変速比1の第3速の上に
オーバードライブ段の第4速を設けているから、オーバ
ードライブ段の無い遊星歯車式変速装置に比較して、高
速走行時のエンジン回転数が抑制される分、燃料消費、
騒音、振動が低くなる。そして、後述するように、以下
の第2〜第4実施例、第6〜第9実施例の前進5段型の
遊星歯車式変速装置との間で、最大限の部品共通化を実
現できる。
【0045】図4は第2実施例の遊星歯車式変速装置の
説明図である。図4中、(a)はスケルトン、(b)は
各変速段に対応するクラッチ、ブレーキの締結の組み合
わせと変速比を示す。ここでは、第1実施例の遊星歯車
式変速装置11に1段の遊星歯車装置17、クラッチC
4、およびブレーキB3を付加して前進5段型の遊星歯
車式変速装置21を構成している。以下の各実施例(図
4〜図14)では、第1実施例と共通する構成部材に同
一の参照記号を付して、重複する説明を省略している。
【0046】図4の(a)において、第1実施例の遊星
歯車式変速装置11の入力軸23とは反対側に、遊星歯
車装置17、クラッチC4、ブレーキB3が追加され
る。遊星歯車装置17のリングギヤ17Rは遊星歯車装
置16のリングギヤ16Rに連結される。遊星歯車装置
17のピニオンキャリヤ17Pは出力軸28に連結され
る。ブレーキB3は、遊星歯車装置17のサンギヤ17
Sの回転を、トランスミッションケース12にロック可
能である。クラッチC4は、サンギヤ17Pとピニオン
キャリヤ17Cの間に設けられ、両者の相対回転をロッ
クして、遊星歯車装置17全体をそのときの噛み合わせ
状態にロックする。なお、遊星歯車装置17全体をロッ
クする機能を満たすクラッチC4の配置は、サンギヤ1
7Sとリングギヤ17Rの間やピニオンキャリヤ17C
とリングギヤ17Rの間でもよい。
【0047】図4の(b)において、第2実施例では、
遊星歯車装置14、15、16の歯数比α、α、α
を、それぞれ0.56、0.33、0.50に設計し
ている。遊星歯車装置17の歯数比αは、0.40に
設計してある。これは、変速各段の変速比の分散状態を
最適に調整した結果であって、第1実施例の遊星歯車装
置14、15、16をそのまま使用することも可能であ
る。
【0048】第2実施例の4速と5速では、クラッチC
4を締結して遊星歯車装置17全体をロックさせ、第1
実施例の3速、4速をそのまま出力する。すなわち、遊
星歯車装置14、15をロックした変速比1の状態が4
速であり、遊星歯車装置15で増速した出力を得る状態
が5速である。
【0049】第2実施例で追加した遊星歯車装置17
は、1速〜3速、および後退の変速段で機能し、第1実
施例における前進の低速側に第3速を追加している。1
速〜3速、および後退の変速段では、ブレーキB3がサ
ンギヤ17Sをロックして、これにより、リングギア1
7Rと連結される遊星歯車装置16のリングギア16R
の回転を減速させ、遊星歯車装置17を一律に減速機と
して機能させる。第3速は第1実施例の第3速を遊星歯
車装置17で減速した出力状態である。1速、2速、後
退の各段についても同様にさらに減速されて図4の
(b)のように変速比が確保される。
【0050】以上のように構成した第2実施例の遊星歯
車式変速装置では、第1実施例と同様な低騒音、軽量化
等の利点に加えて、第1実施例の遊星歯車式変速装置の
出力軸側に、1つの遊星歯車装置17と1つのブレーキ
B3と1つのクラッチC4を追加するのみで容易に前進
5段型の遊星歯車式変速装置を構成できる。また、追加
した副変速手段の部分は、1か所のみ(リングギヤ16
R、17Rの間)で連結されるから、連結にかかる構造
が単純で済む。
【0051】図5は第2実施例の変形例の説明図であ
る。ここでは、第2実施例の遊星歯車式変速装置21に
3つの一方向クラッチF1、F2、F3を組み合わせ
て、不要なエンジンブレーキをカットしている。
【0052】図5において、ブレーキB1と並列に、一
方向クラッチF1とブレーキB4の直列体が配置され
る。ブレーキB2と並列に一方向クラッチF2、ブレー
キB3と並列に一方向クラッチF3がそれぞれ配置され
る。ここでは、通常、ブレーキB1、B2、B3は作動
させないが、これらの代わりに、エンジンによる駆動状
態では、一方向クラッチF1、F2、F3がそれぞれ作
動する。
【0053】このような構成によって、運転者が明らか
にエンジンブレーキの効果を望む場合を除いて、出力軸
28側から入力軸23側を駆動させる向きの動力伝達を
遮断できる。運転中にアクセルペダルの踏み込み量が変
動した場合でも、車体に不愉快な減速や速度振動を起こ
さないで済む。そして、エンジンブレーキの効果を必要
とする場合にのみ、図4の(b)の組み合わせに従って
ブレーキB1、B2、あるいはB3を作動させる。
【0054】図6は第3実施例の遊星歯車式変速装置の
説明図である。図6中、(a)はスケルトン、(b)は
各変速段に対応するクラッチ、ブレーキの締結の組み合
わせと変速比を示す。ここでは、第1実施例の遊星歯車
式変速装置11に1段の遊星歯車装置18とブレーキB
3を付加して、前進5段型の遊星歯車式変速装置を構成
している。
【0055】図6の(a)において、第1実施例の遊星
歯車式変速装置11の入力軸23とは反対側に、遊星歯
車装置18、ブレーキB3が追加される。遊星歯車装置
18のリングギヤ18Rは遊星歯車装置16のリングギ
ヤ16Rに連結される。遊星歯車装置18のサンギヤ1
8Sは遊星歯車装置16のピニオンキャリヤ16Cに連
結される。ブレーキB3は、遊星歯車装置18のピニオ
ンキャリヤ18Pの回転をトランスミッションケース1
2にロック可能である。
【0056】図6の(b)において、第3実施例では、
遊星歯車装置14、15、16、18の歯数比α、α
、α、αを、それぞれ0.44、0.33、0.
54、0.77に設計している。第3実施例の2速、3
速、4速、5速は、それぞれ第1実施例の1速、2速、
3速、4速と同様な機構動作を通じて、数式上で同じ変
速比に実現される。例えば、遊星歯車装置14、15を
ロックした状態が4速であり、遊星歯車装置15で増速
した出力を得る状態が5速である。第3実施例で追加し
た遊星歯車装置18は、ブレーキB3を作動した状態で
機能する。すなわち、ピニオンギヤ18Pが固定されて
サンギヤ18Sとリングギヤ18Rは互いに逆転し、遊
星歯車装置16のピニオンギヤ16Pとリングギヤ16
Rが逆転関係となる。従って、ブレーキB2が固定の2
速より、サンギヤ16S、すなわちサンギヤ14Sがリ
ングギヤ14Rに対して逆転する度合いが大となる。こ
れにより、第1実施例の1速の下に、さらに高い変速比
の1速段を形成する。
【0057】以上のように構成した第3実施例の遊星歯
車式変速装置では、第1実施例と同様な低騒音、軽量化
等が達成される。また、第1実施例の遊星歯車式変速装
置の出力軸側に、1つの遊星歯車装置18と1つのブレ
ーキB3を追加するのみで前進5段型の遊星歯車式変速
装置を構成でき、第2実施例の遊星歯車式変速装置より
も追加する部品や油圧系統の数が少なくて済む。
【0058】図7は第4実施例の遊星歯車式変速装置の
説明図である。図7中、(a)はスケルトン、(b)は
各変速段に対応するクラッチ、ブレーキの締結の組み合
わせと変速比を示す。ここでは、第1実施例の遊星歯車
式変速装置11にダブルピニオン式の遊星歯車装置19
とブレーキB3を付加して、前進5段型の遊星歯車式変
速装置を構成している。
【0059】図7の(a)において、第1実施例の遊星
歯車式変速装置11の入力軸23とは反対側に、遊星歯
車装置19とブレーキB3が追加される。遊星歯車装置
19は、リングギヤ19Rとサンギヤ19Sの間に2段
のピニオンギヤ19P、19Qを噛み合わせて構成され
る。ピニオンギヤ19P、19Qは、共通のピニオンキ
ャリヤ19Cで支持されて一体に公転する。ピニオンキ
ャリヤ19Cは遊星歯車装置16のピニオンキャリヤ1
6Cに連結される。遊星歯車装置19のサンギヤ19S
は、遊星歯車装置14のピニオンキャリヤ14Pおよび
出力軸28に連結される。ブレーキB3は、遊星歯車装
置19のリングギヤ19Rの回転をトランスミッション
ケース12にロック可能である。
【0060】図7の(b)において、第4実施例では、
遊星歯車装置14、15、16、19の歯数比α、α
、α、αを、それぞれ0.44、0.33、0.
54、0.57に設計している。第4実施例の2速、3
速、4速、5速は、それぞれ第1実施例の1速、2速、
3速、4速と同様な機構動作を通じて、数式上で同じ変
速比に実現される。第4実施例で追加した遊星歯車装置
19は、ブレーキB3を作動した状態で機能する。ここ
では、リングギヤ19Rの固定(ロック)によりピニオ
ンキャリヤ19Cがサンギヤ19Sに対して逆転する。
これにより、遊星歯車装置16のリングギヤ16Rが減
速され、サンギヤ19Sを介してリングギヤ16Rに連
結された出力軸28に、第3実施例と同じく、第1実施
例の1速の下に、さらに高い変速比の1速段を形成す
る。
【0061】以上のように構成した第4実施例の遊星歯
車式変速装置では、第3実施例と同様に1つの遊星歯車
装置19と1つのブレーキB3を追加するのみで前進5
段型の遊星歯車式変速装置を構成でき、追加部分の連結
か所が第3実施例よりも少なくて済む。
【0062】図8は第5実施例の遊星歯車式変速装置の
スケルトンを示す図である。ここでは、第1実施例の遊
星歯車式変速装置11の部分11Aを共通にして、前進
4段型の遊星歯車式変速装置を構成している。
【0063】図8において、第1実施例の遊星歯車式変
速装置11の部分11Aを共通にして、図1の遊星歯車
装置16に代えて遊星歯車装置26が配置される。遊星
歯車装置26のサンギヤ26Sは、遊星歯車装置26の
外径側を経由するトルクシェルによって遊星歯車装置1
5のサンギヤ15Sに連結される。遊星歯車装置26の
リングギヤ26Rは、遊星歯車装置15と対向する側に
おいて、遊星歯車装置14のピニオンキャリヤ14Cお
よび出力軸28に連結される。遊星歯車装置26のピニ
オンギヤ26Pは、遊星歯車装置15と対向する側から
サンギヤ26Sの内径側を経てブレーキB2に連結さ
れ、ブレーキB2は、遊星歯車装置26のピニオンキャ
リヤ26Cの回転をトランスミッションケース12にロ
ック可能である。
【0064】このように構成された第5実施例の遊星歯
車式変速装置は、第1実施例の遊星歯車式変速装置にお
ける連結のための手段(トルクシェル)の取り出し方向
を逆にした幾何学的な変形であり、遊星歯車装置16と
遊星歯車装置26を同じ歯数比に定めれば、第1実施例
と全く同様に動作し、図1の(b)に示される変速比を
実現する。
【0065】図9は第6実施例の遊星歯車式変速装置の
説明図である。図9中、(a)はスケルトン、(b)は
各変速段に対応するクラッチ、ブレーキの締結の組み合
わせと変速比を示す。これは、第1実施例(図1)の遊
星歯車式変速装置11の部分11において、遊星歯車装
置15のサンギヤ15Sと遊星歯車装置16のサンギヤ
16S(ブレーキB1、クラッチC3を含む)との間
に、特別な連結手段(F1、C4)を設けて、不必要な
エンジンブレーキを遮断するようにしたものである。以
下の説明の都合上、参照記号の10番台を30番台、2
0番台を40番台に変更しているが、一方向クラッチF
1、クラッチC4を除く構成部材とその連結状態は、図
1の場合と同じである。
【0066】図9の(a)において、遊星歯車式変速装
置31は、左側の入力軸43から入力された駆動力を、
中央の遊星歯車装置34、35、36で変速して、右側
の出力軸48に出力する。遊星歯車装置34、35、3
6は、外側のリングギヤ34R、35R、36Rと、中
心のサンギヤ34S、35S、36Sとの間に、ピニオ
ンギヤ(遊星歯車)34P、35P、36Pが配置され
て両者に噛み合うシングルピニオン型遊星歯車装置であ
る。ピニオンキャリヤ34C、35C、36Cからピニ
オンギヤ34P、35P、36Pの公転運動が取り出さ
れる。
【0067】遊星歯車装置34のサンギヤ34Sは遊星
歯車装置35のサンギヤ35Sに連結される。遊星歯車
装置35のリングギヤ35Rは、遊星歯車装置34のピ
ニオンキャリヤ34Sに連結され、さらに、出力軸48
にも連結される。図中の左側にまとめて配置されたクラ
ッチC1、C2、C3の一方の側は、入力軸43に連結
される。クラッチC1の他方の側は遊星歯車装置34の
リングギヤ34Rに、クラッチC2の他方の側は、遊星
歯車装置35のピニオンキャリヤ35Cに、クラッチC
3の他の側は、遊星歯車装置36のサンギヤ36Sにそ
れぞれ連結される。ブレーキB1は、遊星歯車装置36
のサンギヤ36Sに連結される。遊星歯車装置34、3
5、36は、発明の第1、第2、第3遊星歯車装置に対
応し、クラッチC1、C2、C3は発明の第1、第2、
第3クラッチに対応し、ブレーキB1、B2は、発明の
第1、第2ブレーキに対応する。一方向クラッチF1と
クラッチC4が連結手段を構成し、入力軸43、出力軸
48は、それぞれ発明の入力部材、出力部材に対応す
る。これらの対応関係は、以下の第7〜第10実施例で
も同様である。
【0068】遊星歯車装置36のサンギヤ36Sは、特
別な連結手段を介して遊星歯車装置35のサンギヤ35
Sに連結される。特別な連結手段は、一方向クラッチF
1とクラッチC4を並列に接続して構成される。クラッ
チC4を締結することでサンギヤ35S、36Sは直結
状態となり、遊星歯車式変速装置31は、第1実施例の
遊星歯車式変速装置11と同様に機能する。クラッチC
4を解除すると、一方向クラッチF1によって、遊星歯
車装置35から遊星歯車装置36へ向かう1方向の回転
駆動はそのまま伝達されるが、逆方向の回転駆動は遮断
されて空転状態となる。遊星歯車装置36のピニオンキ
ャリヤ36PはブレーキB2に、リングギヤ36Rは出
力軸48にそれぞれ連結される。
【0069】遊星歯車式変速装置31の前進4速、後退
1速の変速各段は、クラッチC1、C2、C3、C4
と、ブレーキB1、B2と一方向クラッチF1の動作の
組み合わせを図9の(b)に示したように設定して実現
される。これにより、変速各段の変速比(減速比)は、
遊星歯車装置34、35、36の歯数比をα、α
αとして、図9の(b)に示す計算式で表される。各
数式の右側に示した数値は、歯数比α、α、α
それぞれ0.55、0.30、0.35とした場合の変
速比である。図中のEは、運転者がエンジンブレーキを
要求している場合にクラッチを締結させる、または、一
方向クラッチが掛り状態であることを意味する。一方、
Kは、それ以外の駆動中に、クラッチを締結させる、ま
たは、一方向クラッチが掛り状態であることを意味す
る。なお、3速の行に破線の丸印で示されるブレーキB
1の締結は、遊星歯車式変速装置31の3速の動作には
直接関与しておらず、解放としてもよい。しかし、2速
〜4速の間の変速において、ブレーキB1の作動系統の
煩雑な切替えを避けるため、3速で締結し放しの状態と
している。
【0070】1速ではクラッチC1とブレーキB2が作
動する。また、運転者がエンジンブレーキを要求してい
る場合にクラッチC4が締結され、それ以外の場合には
クラッチC4を解除して、一方向クラッチF1による動
力伝達に移行させる。運転者がエンジンブレーキを要求
しているか否かは、シフトレバーポジションとアクセル
ペダルの踏み込み状態から判断される。Dレンジから1
速、2速レンジに切り替えられ、アクセルペダルが解放
された場合は、エンジンブレーキが要求されていると判
断される。
【0071】クラッチC1は、入力軸43を遊星歯車装
置34のリングギヤ34Rと一体に回転させる。ブレー
キB2は遊星歯車装置36のピニオンキャリヤ36Cを
トランスミッションケース32にロックして回転不能と
する。公転をロックされたピニオンギヤ36Pを介し
て、リングギヤ36Rと反対方向にサンギヤ36Sが回
転する。クラッチC4と一方向クラッチF1によってサ
ンギヤ36Sに連結された遊星歯車装置34は、リング
ギヤ34Rとサンギヤ34Sを正逆反対方向に回転さ
せ、ピニオンキャリヤ34Cに、リングギヤ34Rとサ
ンギヤ34Sの中間の角速度を付与する。
【0072】このとき、クラッチC4が締結されていれ
ば、出力軸48から遊星歯車装置36を通じて遊星歯車
装置34のサンギヤ36Sに遡るエンジンブレーキ、す
なわち、出力軸48が入力軸43を駆動させる方向の駆
動力も伝達される。一方、クラッチC4が解放されてい
れば、この方向の駆動力については、一方向クラッチF
1が空転して遊星歯車装置34のサンギヤ34Sが自由
状態となる。これにより、遊星歯車装置34のリングギ
ヤ34Rも自由状態となり、逆駆動によるショックから
解放された滑らかな運転ができる。
【0073】2速ではクラッチC1とブレーキB1が作
動する。また、運転者がエンジンブレーキを要求してい
る場合にクラッチC4が締結され、それ以外の場合には
クラッチC4を解除して、一方向クラッチF1の機能を
残す。クラッチC4が締結されている場合、ブレーキB
1は、サンギヤ35Sを経て遊星歯車装置34のサンギ
ヤ34Sを、トランスミッションケース32にロックし
て正逆両方向に回転不能とする。角速度0のサンギヤ3
4Sと、入力軸43に等しい角速度のリングギヤ34R
は、ピニオンキャリヤ34Cに、その中間の角速度、す
なわち、1速よりも大きいが入力軸43よりも減速され
た角速度を付与する。
【0074】一方、クラッチC4が解放されている場合
には、出力軸48側から入力軸43側を増速させる回転
方向の駆動力について一方向クラッチF1が空転して、
遊星歯車装置34のサンギヤ34Sが自由状態となる。
これにより、入力軸43は、出力軸43の回転数に変速
比を乗じた回転数よりも低い回転数の範囲で自由に回転
でき、エンジンブレーキが効かない状態となる。
【0075】3速では、クラッチC1、C2が作動す
る。クラッチC1により遊星歯車装置34のリングギヤ
34Rが入力軸43と同じ方向に駆動され、クラッチC
2により遊星歯車装置35のピニオンキャリヤ35Cが
入力軸43と同じ方向に駆動される。遊星歯車装置34
のピニオンキャリヤ34Cと遊星歯車装置35のリング
ギヤ35Rが連結されているため、遊星歯車装置34、
35はいずれもそのときの噛み合わせでロックされてし
まい、リングギヤ34R(入力軸43)と同じ角速度で
ピニオンキャリヤ14P(出力軸48)が回転する。
【0076】4速では、クラッチC2、C4とブレーキ
B1を作動させる。クラッチC2は、入力軸43に遊星
歯車装置35のピニオンキャリヤ35Cを連結して一体
に回転させる。クラッチC4が締結された状態におい
て、ブレーキB1によって角速度0にロックされたサン
ギヤ35Sと、入力軸43に等しい角速度のピニオンキ
ャリヤ35Cは、リングギヤ35Rに、ピニオンキャリ
ヤ35Cよりも大きな角速度を付与し、3速の変速比1
よりも小さなオーバードライブ段の変速比を実現する。
【0077】後退では、クラッチC3とブレーキB2が
作動する。クラッチC3は、入力軸43を遊星歯車装置
36のサンギヤ36Sに連結して両者を一体に回転させ
る。ブレーキB2によって公転をロックされたピニオン
ギヤ36Pは、リングギヤ36R(出力軸48)をサン
ギヤ36S(入力軸43)と逆方向に、サンギヤ36S
よりも低い角速度で回転させる。
【0078】以上のように構成された第6実施例の遊星
歯車式変速装置では、第1実施例と同様な効果が得られ
る。すなわち、遊星歯車装置の歯の大きさを小さくす
る、全体の直径を小さくする、あるいは歯厚を薄くする
等の手法を用いた小型化、軽量化の設計が容易である。
また、2速から4速の変速段における振動や騒音が抑制
され、最適な目標変速比を設定できる。さらに、オーバ
ードライブ段によって、高速走行時の燃料消費、騒音、
振動が低くなる。そして、以下の第7〜第9実施例の前
進5段型の遊星歯車式変速装置との間で、最大限の部品
共通化を実現できる。これらに加えて、運転者がエンジ
ンブレーキを望んでいない状態でエンジンブレーキを遮
断して、自動車に不要な減速や速度振動を起こさず、快
適なドライブが可能である。
【0079】図10は第7実施例の遊星歯車式変速装置
の説明図、図14は第7実施例の機構の共線図である。
図10中、(a)はスケルトン、(b)は各変速段に対
応するクラッチ、ブレーキの締結の組み合わせと変速比
を示す。ここでは、第6実施例の遊星歯車式変速装置3
1に1段の遊星歯車装置37、クラッチC5、およびブ
レーキB3を付加して前進5段型の遊星歯車式変速装置
を構成している。以下の各実施例(図11〜図13)で
は、第7実施例と共通する構成部材に同一の参照記号を
付して、重複する説明を省略している。
【0080】図10の(a)において、第6実施例の遊
星歯車式変速装置31の入力軸43とは反対側に、遊星
歯車装置37、クラッチC5、ブレーキB3、一方向ク
ラッチF2が追加される。遊星歯車装置37のリングギ
ヤ37Rは遊星歯車装置36のリングギヤ36Rに連結
される。遊星歯車装置37のピニオンキャリヤ37Pは
出力軸48に連結される。ブレーキB3は、遊星歯車装
置37のサンギヤ37Sの回転を、トランスミッション
ケース32にロック可能である。クラッチC5は、サン
ギヤ37Pとピニオンキャリヤ37C間に設けられ、両
者の相対回転をロックして、遊星歯車装置37全体をそ
のときの噛み合わせ状態にロック可能となっている。
【0081】図10の(b)において、第7実施例で
は、遊星歯車装置34、35、36、37の歯数比
α、α、α、αを、それぞれ0.56、0.3
3、0.50、0.44に設計してある。第7実施例の
4速と5速では、クラッチC5を締結して遊星歯車装置
37全体をロックさせ、第6実施例の3速、4速をその
まま出力させる。遊星歯車装置34、35をロックした
変速比1の状態が4速であり、遊星歯車装置35で増速
したオーバードライブ出力を得る状態が5速である。変
速各段の変速比は、図14の共線図を用いた計算または
作図によって求めることができる。
【0082】第7実施例で追加した遊星歯車装置37
は、1速〜3速の変速段で機能し、第6実施例における
前進の低速側に第3速の刻みを追加している。 エンジ
ンブレーキが要求されている場合はブレーキB3によ
り、一方、エンジンブレーキが要求されていない場合の
片方向(加速)の駆動については、それぞれ一方向クラ
ッチF2がサンギヤ37Sをロックして、遊星歯車装置
37を一律に変速比(1+α)の減速機として機能さ
せる。
【0083】以上のように構成した第7実施例の遊星歯
車式変速装置では、前進4段型の遊星歯車式変速装置3
1に1個の遊星歯車装置37と1個のブレーキB3と1
個のクラッチC5と1個の一方向クラッチF2を追加す
るだけで前進5段型の遊星歯車式変速装置を構成でき、
両者の間で最大限の部品共有化が可能となる。また、前
進4段型の遊星歯車式変速装置31と追加部分の連結が
1か所だけなので連結構造が簡単で済む。
【0084】図11は第8実施例の遊星歯車式変速装置
の説明図である。図11中、(a)はスケルトン、
(b)は各変速段に対応するクラッチ、ブレーキの締結
の組み合わせと変速比を示す。ここでは、第6実施例の
遊星歯車式変速装置31に1段の遊星歯車装置37、ブ
レーキB3、および一方向クラッチF2を付加して、前
進5段型の遊星歯車式変速装置を構成している。
【0085】図11の(a)において、第6実施例の遊
星歯車式変速装置31の入力軸43とは反対側に、遊星
歯車装置37、ブレーキB3、一方向クラッチF2が追
加される。遊星歯車装置37のリングギヤ37Rは遊星
歯車装置36のリングギヤ36Rに連結される。遊星歯
車装置37のサンギヤ37Sは遊星歯車装置36のピニ
オンキャリヤ36Cに連結される。ブレーキB3、また
は一方向クラッチF2によって、遊星歯車装置37のピ
ニオンキャリヤ37Cの回転をトランスミッションケー
ス12にロック可能である。
【0086】図11の(b)において、第8実施例で
は、遊星歯車装置34、35、36、37の歯数比
α、α、α、αを、それぞれ0.44、0.3
3、0.54、0.77に設計している。第3実施例の
2速、3速、4速、5速は、それぞれ第6実施例の1
速、2速、3速、4速と同様な機構動作を通じて、数式
上で同じ変速比に実現される。遊星歯車装置34、35
をロックした変速比1の状態が4速であり、遊星歯車装
置15で増速したオーバードライブ状態が5速である。
第8実施例で追加した遊星歯車装置37は、ブレーキB
3、または一方向クラッチF2が動力伝達可能な状態で
機能し、第6実施例の1速の下に、さらに高い変速比の
1速段を形成する。このとき、1速におけるエンジンブ
レーキが要求されている場合の加速減速両方向、および
エンジンブレーキが要求されていない加速方向の駆動で
は、ブレーキB3または一方向クラッチF2がピニオン
キャリヤ37Cをロックして、遊星歯車装置37を遊星
歯車装置36のサンギヤ36Sの増速機として機能させ
る。一方、エンジンブレーキが要求されている場合の減
速方向の駆動については、一方向クラッチF2が、サン
ギヤ37Sを自由な状態にする。
【0087】以上のように構成した第8実施例の遊星歯
車式変速装置では、前進4段型の遊星歯車式変速装置3
1に1個の遊星歯車装置37と1個のブレーキB3と1
個の一方向クラッチF2を追加するだけで前進5段型の
遊星歯車式変速装置を構成でき、第7実施例の場合より
も必要な部品や油圧系統が少なくて済む。
【0088】図12は第9実施例の遊星歯車式変速装置
の説明図である。図12中、(a)はスケルトン、
(b)は各変速段に対応するクラッチ、ブレーキの締結
の組み合わせと変速比を示す。ここでは、第1実施例の
遊星歯車式変速装置31にダブルピニオン式の遊星歯車
装置38、ブレーキB3、および一方向クラッチF2を
付加して、前進5段型の遊星歯車式変速装置を構成して
いる。
【0089】図12の(a)において、第6実施例の遊
星歯車式変速装置31の入力軸43とは反対側に、遊星
歯車装置38とブレーキB3が追加される。遊星歯車装
置38は、リングギヤ38Rとサンギヤ38Sの間に2
段のピニオンギヤ38P、38Qを噛み合わせて構成さ
れる。ピニオンギヤ38P、38Qは、ピニオンキャリ
ヤ38Cに支持されて一体に公転する。ピニオンキャリ
ヤ38Cは遊星歯車装置36のピニオンキャリヤ36C
に連結される。遊星歯車装置38のサンギヤ38Sは、
遊星歯車装置34のピニオンキャリヤ34Pおよび出力
軸48に連結される。ブレーキB3は、遊星歯車装置3
8のリングギヤ38Rの回転をトランスミッションケー
ス32にロック可能である。
【0090】図12の(b)において、第9実施例で
は、遊星歯車装置34、35、36、38の歯数比
α、α、α、αを、それぞれ0.44、0.3
3、0.54、0.57に設計している。第9実施例の
2速、3速、4速、5速は、それぞれ第6実施例の1
速、2速、3速、4速と同様な機構動作を通じて、数式
上で同じ変速比に実現される。第9実施例で追加した遊
星歯車装置38は、ブレーキB3または一方向クラッチ
F2が動力伝達可能な状態で機能し、第4実施例におけ
ると同様に、遊星歯車装置36のリングギヤ36Rの回
転を減速させて、第1実施例の1速の下にさらに高い変
速比の1速段を形成する。このとき、1速におけるエン
ジンブレーキが要求されている場合の加速減速の両方
向、およびエンジンブレーキが不必要な場合の加速方向
の駆動では、ブレーキB3または一方向クラッチF2が
リングギヤ38Rをロックして、遊星歯車装置38を遊
星歯車装置36のサンギヤ36Sの増速機として機能さ
せる。しかし、エンジンブレーキが不必要な場合におけ
る減速方向の駆動では、一方向クラッチF1が空転状態
となって、入力軸43側の回転数が出力軸48の回転数
に影響しなくなる。
【0091】以上のように構成した第9実施例の遊星歯
車式変速装置でも、前進4段型の遊星歯車式変速装置3
1に1個の遊星歯車装置38と1個のブレーキB3と1
個の一方向クラッチF2を追加するだけで、前進5段型
の遊星歯車式変速装置を構成でき、第7実施例の場合よ
りも必要な部品や油圧系統が少なくて済む。また、第8
実施例よりも必要な連結の数が少なく、連結構造が簡単
で済む
【0092】図13は第10実施例の遊星歯車式変速装
置のスケルトンを示す図である。ここでは、第6実施例
の遊星歯車式変速装置31の部分31Aを共通にして、
前進4段型の遊星歯車式変速装置を構成している。
【0093】図13において、第1実施例の遊星歯車式
変速装置31の部分31Aを共通にして、図1の遊星歯
車装置36に代えて遊星歯車装置39が配置される。遊
星歯車装置39のサンギヤ39Sは、遊星歯車装置39
の外径側を経由するトルクシェルにより、ブレーキB
3、クラッチC3に連結されるとともに、一方向クラッ
チF1、クラッチC4を介して、遊星歯車装置35のサ
ンギヤ35Sに連結されている。遊星歯車装置39のリ
ングギヤ39Rは、遊星歯車装置35と対向する側にお
いて、遊星歯車装置34のピニオンキャリヤ34Cおよ
び出力軸48に連結される。遊星歯車装置39のピニオ
ンギヤ26Pは、遊星歯車装置35に対向する側からサ
ンギヤ39Sの内径側を経てブレーキB2に接続され
る。ブレーキB2は、遊星歯車装置39のピニオンキャ
リヤ39Cの回転をトランスミッションケース32にロ
ック可能である。
【0094】以上のように構成された第10実施例の遊
星歯車式変速装置は、第1実施例と第5実施例の関係と
同様に、第6実施例の遊星歯車式変速装置31における
連結のための手段の取り出し方向を逆にした幾何学的な
変形であり、遊星歯車装置36と遊星歯車装置39を同
じ歯数比に定めれば、第6実施例と全く同様に動作し、
図9の(b)に示される変速比が実現される。そして、
第6実施例と同様な効果が得られる。
【0095】
【発明の効果】本発明の遊星歯車式変速装置によれば、
4速型の遊星歯車式変速装置と5速型の遊星歯車式変速
装置との間で最大限の部品の共通化を実現でき、4速型
の遊星歯車式変速装置にわずかな部品追加を行って、容
易に5速型の遊星歯車式変速装置が得られる。しかも、
変速段の1段の追加は、変速比が1を越える低速側にな
され、4速型の3速、4速がそのまま5速型の4速、5
速に移行するから、4速型でも5速型と同様なオーバー
ドライブ段を利用できる。従って、4速型を選択した場
合でも高速走行における燃料消費、エンジン騒音、車体
振動が5速型並に低くて済み、設計の共通化を通じて両
方の型の遊星歯車式変速装置を安価かつ高品質(高信頼
性)に提供できる。
【0096】また、入力部材から遊星歯車装置への入力
は、リングギヤ、もしくはピニオンキャリヤを通じて行
われるから、サンギヤを通じて入力する場合に比較し
て、少ない歯面荷重で大きなトルクを伝達できる。従っ
て、歯の大きさ、遊星歯車装置の口径、歯厚を縮小して
軽量小型の遊星歯車式変速装置を提供できる。歯の大き
さが小さくなると、遊星歯車装置の歯数比の選択の自由
度が増し、変速各段に最適な変速比を割り当てることが
できる。
【0097】また、常用される高速側の変速段おいて、
1以下の遊星歯車装置による変速を行うから、2以上の
遊星歯車装置による変速を行う場合に比較して、歯面の
衝突による騒音や振動が低くなり、入力部材から出力部
材に至る動力の伝達効率も高い。従って、静寂な運転環
境を容易に実現でき、燃料消費も抑制される。
【0098】連結手段を一方向クラッチとクラッチで構
成した場合、不必要なエンジンブレーキを遮断して快適
なドライブ感覚を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の遊星歯車式変速装置の説明図であ
る。
【図2】第1実施例における変速各段の説明図である。
【図3】第1実施例における変速各段の説明図である。
【図4】第2実施例の遊星歯車式変速装置の説明図であ
る。
【図5】第2実施例の変形例の遊星歯車式変速装置の説
明図である。
【図6】第3実施例の遊星歯車式変速装置の説明図であ
る。
【図7】第4実施例の遊星歯車式変速装置の説明図であ
る。
【図8】第5実施例の遊星歯車式変速装置のスケルトン
を示す図である。
【図9】第6実施例の遊星歯車式変速装置の説明図であ
る。
【図10】第7実施例の遊星歯車式変速装置の説明図で
ある。
【図11】第8実施例の遊星歯車式変速装置の説明図で
ある。
【図12】第9実施例の遊星歯車式変速装置の説明図で
ある。
【図13】第10実施例の遊星歯車式変速装置のスケル
トンを示す図である。
【図14】第7実施例の機構の共線図である。
【符号の説明】
11、31 遊星歯車式変速装置 11A、31A、31B 部分 14、15、16、17、18、19、26 遊星歯車
装置 14R、15R、16R、17R、18R、19R、2
6R リングギヤ 14P、15P、16P、17P、18P、19P、2
6P ピニオンギヤ 14S、15S、16S、17S、18S、19S、2
6S サンギヤ 14C、15C、16C、17C、18C、19C、2
6C ピニオンキャリヤ 34、35、36、37、38、39 遊星歯車装置 34R、35R、36R、37R、38R、39R リ
ングギヤ 34P、35P、36P、37P、38P、39P ピ
ニオンギヤ 34S、35S、36S、37S、38S、39S サ
ンギヤ 34C、35C、36C、37C、38C、39C ピ
ニオンキャリヤ 23、43 入力軸 28、48 出力軸 C1C2C3C4C5 クラッチ B1B2B3 ブレーキ F1F2 一方向クラッチ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1遊星歯車装置、第2遊星歯車装置、
    第3遊星歯車装置、出力部材、および入力部材が同一軸
    上に配置され、前記入力部材と前記出力部材の間の回転
    数比を複数段階に切り替える遊星歯車式変速装置におい
    て、 第1遊星歯車装置と第2遊星歯車装置のサンギヤ同士を
    連結し、 第3遊星歯車装置のリングギヤとサンギヤの一方に対し
    て、第1遊星歯車装置のピニオンキャリヤ、第2遊星歯
    車装置のリングギヤ、および前記出力部材を連結し、か
    つ、 第3遊星歯車装置のリングギヤとサンギヤの他方に対し
    て第2遊星歯車装置のサンギヤを連結する連結手段と、 第1遊星歯車装置のリングギヤに対して前記入力部材を
    接続可能な第1クラッチと、 第2遊星歯車装置のピニオンキャリヤに対して前記入力
    部材を接続可能な第2クラッチと、 第3遊星歯車装置のリングギヤとサンギヤの前記他方に
    対して前記入力部材を接続可能な第3クラッチと、 第3遊星歯車装置のリングギヤとサンギヤの前記他方の
    回転を固定可能な第1ブレーキと、 第3遊星歯車装置のピニオンキャリヤの回転を固定可能
    な第2ブレーキと、を設けたことを特徴とする遊星歯車
    式変速装置。
  2. 【請求項2】 前記連結手段は、第2遊星歯車装置側か
    ら第3遊星歯車装置側への動力伝達のみを許容する一方
    向クラッチと、前記一方向クラッチと並列に配置されて
    両方向の動力伝達を可能にする第4クラッチと、からな
    ることを特徴とする請求項1記載の遊星歯車式変速装
    置。
  3. 【請求項3】 第1遊星歯車装置、第2遊星歯車装置、
    第3遊星歯車装置、出力部材、および入力部材が同一軸
    上に配置され、前記入力部材と前記出力部材の間の回転
    数比を複数段階に切り替える遊星歯車式変速装置におい
    て、 第1遊星歯車装置と第2遊星歯車装置のサンギヤ同士を
    連結し、 第3遊星歯車装置のリングギヤに対して、第1遊星歯車
    装置のピニオンキャリヤ、および第2遊星歯車装置のリ
    ングギヤを連結し、かつ、 第3遊星歯車装置のサンギヤに第2遊星歯車装置のサン
    ギヤを連結する連結手段と、 第1遊星歯車装置のリングギヤに対して前記入力部材を
    接続可能な第1クラッチと、 第2遊星歯車装置のピニオンキャリヤに対して前記入力
    部材を接続可能な第2クラッチと、 第3遊星歯車装置のサンギヤに対して前記入力部材を接
    続可能な第3クラッチと、 第3遊星歯車装置のサンギヤの回転を固定可能な第1ブ
    レーキと、 第3遊星歯車装置のピニオンキャリヤの回転を固定可能
    な第2ブレーキと、を設け、かつ、 第3ブレーキによりリングギヤ、ピニオンキャリヤ、サ
    ンギヤのいずれかの回転を固定可能な第4遊星歯車装置
    からなり、該第3ブレーキの係合時に、前記第3遊星歯
    車装置のリングギヤの回転を減速させて前記出力部材に
    出力可能な副変速手段を設けたことを特徴とする遊星歯
    車式変速装置。
  4. 【請求項4】 前記連結手段は、第2遊星歯車装置側か
    ら第3遊星歯車装置側への動力伝達のみを許容する一方
    向クラッチと、前記一方向クラッチと並列に配置されて
    両方向の動力伝達を可能にする第4クラッチと、からな
    ることを特徴とする請求項3記載の遊星歯車式変速装
    置。
  5. 【請求項5】 第3遊星歯車装置と第4遊星歯車装置の
    リングギヤを前記出力部材に連結し、 第4遊星歯車装置のサンギヤと第3遊星歯車装置のピニ
    オンキャリヤとを連結し、 第3ブレーキは、第4遊星歯車装置のピニオンキャリヤ
    の回転を固定可能なブレーキであることを特徴とする請
    求項3または4記載の遊星歯車式変速装置。
  6. 【請求項6】 第4遊星歯車装置は、共通のピニオンキ
    ャリヤで拘束された2段のピニオンギヤを有し、 第4遊星歯車装置と第3遊星歯車装置のピニオンキャリ
    ヤ同士を連結し、 第3遊星歯車装置のリングギヤと第4遊星歯車装置のサ
    ンギヤとを前記出力部材に連結し、 第3ブレーキは、第4遊星歯車装置のリングギヤの回転
    を固定可能なブレーキであることを特徴とする請求項3
    または4記載の遊星歯車式変速装置。
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