JPH072986Y2 - 刈払機におけるスロットル操作装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、刈払機におけるスロットル操作装置に関
し、特にエンジンの始動・停止操作ボタンとスロットル
操作子とを連繋操作し得るようになしたものである。

〔従来の技術〕 従来、例えば草刈り作業を行うための刈払機において
は、第５図に示す如く、エンジンＥを始動、停止させる
ための始動・停止操作ボタンＢと、エンジンＥの回転数
を停止状態から全開状態に、またはその逆に高速度の回
転状態から低速度の回転状態にするためのスロットルを
開閉するレバー式のスロットル操作レバーSLとは個別に
例えば長尺柄杆Ｃに設けられたグリップ部Ｇの先端また
は後端にスロットル操作レバーSLを取付け、始動・停止
ボタンＢはハンドル部等に取付けられていた。

このようにエンジンＥの始動・停止操作ボタンＢと、レ
バー式のスロットル操作レバーSLとを有する従来の刈払
機においては、始動・停止操作ボタンＢの操作と、スロ
ットルの開閉操作とは、グリップ把持と同時に指等で個
別に操作する必然性があった。

〔考案が解決しようとする課題〕 上記のように従来の刈払機は、エンジンＥの始動・停止
操作ボタンＢと、エンジンＥの回転数を調整するための
スロットル操作レバーSLとはハンドル部の近傍又は、グ
リップ部Ｇの近くに設けられ、エンジンＥの始動・停止
操作ボタンＢおよびスロットル操作レバーSLを個別に操
作する必要があった。このように、従来の刈払機におい
ては、始動・停止操作ボタンＢと、スロットル操作レバ
ーSLとを個別に設けて個別に操作する必要があるため、
構造が複雑で部品点数が多くなるなどの欠点があった。

しかも、レバー式のスロットル操作レバーSLは、長尺柄
杆Ｃに対して外周方向に大きく突設されているため、傾
斜地等の作業条件に応じて長尺柄杆Ｃの先端に設けられ
た回転刃Ｋを上下、左右の回転方向に角度を変換し、作
業をした場合に、前記スロットル操作レバーSLが邪魔に
なったり、またスロットルの開閉操作がし難くなった
り、さらには草や木に引っかかって不用意に回転刃Ｋの
回転が急上昇したりする等、危険であった。

このように、従来の刈払機においては刈払作業中に危険
が発生した場合に、早急にエンジンＥの回転を低速に
し、素早くエンジンＥを停止する必要がある場合の動作
が繁雑になり、危険を回避することが難しかった。

またエンジンＥが何かの理由によって故障したり、焼付
いたり、またはスイッチ回路の断線または故障などによ
り、始動・停止操作ボタンＢを操作しても回転刃Ｋが回
転し続けることがあり、この状態において、スロットル
操作レバーSLは始動・停止ボタンＢの操作とは単独に回
転するため、回転刃Ｋの回転はスロットル操作レバーSL
の操作を行わない限り、制御不能になって回転し続ける
という、不都合があり、危険性があった。

またスロットル操作レバーSLが何かの理由により、全開
状態になっており、この状態でエンジンＥが始動される
と、急激にエンジンＥが高速度で運転されることになる
等、安全性が保証されずに危険であった。

このような危険性を防止する観点から、エンジン停止動
作と、スロットルレバーを閉じる動作を１動作にするこ
とによる動作の単純化、また危険時における緊急のエン
ジン停止による作業の安全性、およびスロットル操作レ
バーSLを不用意に可動するのを防止するために、ハーフ
・ロック装置によってスロットル操作レバーSLをロック
し、そしてエンジンＥを停止させるロック位置から、一
定の距離、移動させた場合に始めてエンジンＥを始動さ
せる工夫がなれている。しかし、この従来のハーフ・ロ
ック装置自体、構造が複雑で製作および組立に手間を要
し、操作も面倒になったいた。

そこでこの考案は、操作性が簡便であるとともに安全性
が高く、さらには製作および組立も簡単でコストも安価
な刈払機におけるスロットル操作装置を提供することを
目的とする。

〔課題を解決しようとする手段〕

この考案は上記課題に鑑み、操作片部を略直角に折曲し
た溝付の回転輪を有するスロットル操作子をスイッチ・
ハウジング本体の一側に回転自在に軸止し、該スイッチ
・ハウジング本体の上面には前記操作片部が上方に位置
する始動・停止操作ボタンを摺動自在に設け、該始動・
停止操作ボタンの上面には前記操作片部がエンジンの停
止位置および始動位置において係合し得る係合凹部を設
けるという手段を採用した。

〔作用〕

先ず、刈払機のエンジンを始動し、運転するのには、始
動・停止操作ボタンの上面に設けた係合凹部内に操作片
部が係合されているスロットル操作子を、始動・停止操
作ボタンと一緒にエンジンの停止位置から押し込んでス
イッチ・ハウジング本体の上面において始動・停止操作
ボタンの始動位置に摺動させるとともに、スロットル操
作子を始動・停止操作ボタンの移動と一緒にエンジンの
始動位置に回転させる。

この始動位置に始動・停止操作ボタンが移動されると、
はじめてエンジンは始動され、始動・停止操作ボタンの
係合凹部から操作片部の係合が解放されるので、スロッ
トル操作子は始動・停止操作ボタンに対して個別に回転
可能な状態になり、スロットル操作子の回転操作によ
り、スロットル（図示せず）を開閉させてエンジンの回
転数を高低調整する。

〔実施例〕

以下この考案の詳細を第１図ないし第４図に示す一実施
例に従って説明する。

１は長尺柄杆であり、この長尺柄杆１の下端部には図示
しないクラッチ・ハウジングを介してエンジン（原動
機）を有し、先端にはギヤ・ハウジングを介して回転刃
を有している。２は長尺柄杆１内に挿入された従動長軸
であり、この従動長軸２は前記エンジンに連結されてギ
ヤ機構を介して回転刃を回転、駆動するようになってい
るが、これ等の技術的事項は公知であるので、詳細な説
明は省略する。

３は前記長尺柄杆１に嵌合され、バネ４によって緊結、
固定されるグリップである。

５は該グリップ３の近傍において、前記長尺柄杆１に嵌
合、固着される２つ割構造のスイッチ・ハウジング本体
であり、このスイッチ・ハウジング本体５は左右のハウ
ジング半体5A,5Bが数個のネジ６によって左右、突合わ
されて固定される。

７はエンジンのスロットルを開閉するために、前記スイ
ッチ・ハウジング本体５の一側に軸８を用い、板バネ
９、およびプラスチック製のガイド金具10を介して回転
自在に軸止されたスロットル操作子であり、このスロッ
トル操作子７は前記軸８によって回転自在に軸止される
溝付の回転輪7aと、該回転輪7aの外周方向に伸びる突板
部7bと、該突板部7bから略直角に前記長尺柄杆１の軸長
方向に直交するように折曲された操作片部7cとから形成
される。

11はエンジンの運転に際し、第４図に示す如く、エンジ
ンの停止位置Ｔと、僅かに離れた距離１に設けられたエ
ンジンの始動位置Ｓとの２位置に連続的に摺動自在にな
るように、前記スイッチ・ハウジング本体５の上面に、
長手方向にわたって摺動自在に取付けられた始動・停止
操作ボタンであり、この始動・停止操作ボタン11の上面
には前記スロットル操作子７の前記操作片部7cが、前記
停止位置Ｔに対応する停止位置Ｔ′と、前記始動位置Ｓ
に対応する始動位置Ｓ′との２位置において連続的に係
合する係合凹部11a₁を有する突起11aが設けられ、また
始動・停止操作ボタン11の下面にはスイッチ・ハウジン
グ本体５の上方内部に組込まれるスイッチ・ボックス12
内に配置される固定接点板13に摺動自在に接離する可動
接点板14が取付ネジ15を用いて取付けられている。

可動接点板14の固定接点板13に対する停止位置Ｔ、始動
位置Ｓの２位置への移動位置決めはスイッチ・ボックス
12の内側、下面に所定の間隔をあけて設けられた凹部12
a,12b内に可動接点板14の上面に設けた突起14aを係脱自
在に係止させるとともに可動接点板14が固定接点板13の
Ａの位置から離脱し、凹部Ｂに夫々係脱自在に係止され
ることによって節度的に移動させる。

スイッチ・ハウジング本体５の上面に始動・停止操作ボ
タン11を摺動自在に取付けるのには、前記スイッチ・ボ
ックス12の上面の軸長方向に設けたスリット12c内に、
摺動自在に取付ネジ15を挿入することによって前記可動
接点板14をスイッチ・ボックス12内から抜出さないよう
に取付ける。

16はスロットル操作子７によって牽引操作されるスロッ
トル・ワイヤーであり、このスロットル・ワイヤー16
は、その先端部がスロットル操作子７の前記回転輪7aに
緊結子7dを介して緊結、捲装され、他端側がワイヤー・
チューブ17内に挿入されてスロットル（図示せず）に連
結されている。

前記スロットル操作子７の操作片部7cの断面形状は、第
４図に図示する如く、エンジンの停止位置Ｔから始動位
置Ｓに始動・停止操作ボタン11を移動するのにともなっ
て、また逆に始動位置Ｓから停止位置Ｔに始動・停止操
作ボタン11を移動するのに伴って、該操作片部7cが係合
しながら回転するように、前記始動・停止操作ボタン11
の突起11aの係合凹部11a₁を形成する取付ネジ15側の壁
面11bに係合自在になる係止欠除部7c₁を下面に形成し、
且つ操作片部7cの反対側の下面には係合凹部11a₁内に係
合している操作片部7cの回転、移動を円滑にするための
曲面部7c₂が形成されている。始動・停止操作ボタン11
の係合凹部11a₁を造作するための壁面11b,11cは、操作
片部7cの係合操作を円滑且つ容易にするために、取付ネ
ジ15側に設けた壁面11cの方が、他方の壁面11bよりも僅
かにその高さが低く、形成されている。

この考案の一実施例は上述のような構成からなるから、
先ず刈払機のエンジンを始動して運転、操作を行うのに
は下記のようにして行う。

エンジンの停止位置においては、第１図ないし第４図実
線に示すように、スロットル操作子７の操作片部7cが始
動・停止操作ボタン11の突起11aに設けた係合凹部11a₁
内に係合させられ、始動・停止操作ボタン11およびスロ
ットル操作子７はともに停止位置T;T′に位置してい
る。従って、この状態の下においては、始動・停止操作
ボタン11から、単独にスロットル操作子７を回転するこ
とはできない。

そして、エンジンを始動させるのには、係合凹部11a₁内
に操作片部7cが係合されているスロットル操作子７を始
動・停止操作ボタン11とともに停止位置T;T′から矢印
イに示す方向に押込むと、操作片部7cの下面には曲面部
7c₂が形成されているので、スロットル操作子７は、操
作片部7cが壁面11bに押圧されることによって係合凹部1
1a₁内を円滑に滑動しながら、軸８を中心に回転して始
動位置Ｓ′にまで達するとともに始動・停止操作ボタン
11も始動位置Ｓに移動する。そして、可動接点板14が、
固定接点板13から離脱し、電気回路はオンになり、エン
ジンは始動することができる。

この際、始動・停止操作ボタン11の停止位置Ｔから始動
位置Ｓへの移動の停止位置決めは、可動接点板14に設け
た突起14aがスイッチ・ボックス12の内側、下面に設け
た凹部12aより凹部12b内に移動係合することによって位
置決めが行われる。

このように、スロットル操作子７と始動・停止操作ボタ
ン11とが、始動位置S;S′に一緒に移動したり、回転す
ると、はじめてスロットル操作子７の操作片部7cは下面
に設けた係止欠除部7c₁が突起11aの他側の壁面11cから
係合が解放されるので、軸８を中心にスロットル操作子
７は始動・停止操作ボタン11とは分離され、始動位置
Ｓ′から全開位置Ｆまでの可動範囲を自由に回転でき、
スロットルの開閉度合いを加減し、エンジンの回転数を
調整し、回転刃の回転を高速または低速に切換え、草刈
作業を行うことがてきる。

所望の草刈作業が終え、エンジンの運転状態から、エン
ジンを停止させるのにはスロットル操作子７を軸８を中
心に旧方向に移動位置Ｓ′まで回転させると、丁度、操
作片部7cが始動位置Ｓに位置している始動・停止操作ボ
タン11の係合凹部11a₁の真上に位置するので、操作片部
7cの下面に設けた係止欠除部7c₁に突起11aの壁面11cが
係合可能な状態になる。従って、係合凹部11a₁内に操作
片部7cが係合されたまま、スロットル操作子７を軸８を
中心に回転させ、始動・停止操作ボタン11と一緒にエン
ジンの始動位置S;S′から停止位置T;T′に矢印ロの方向
に引戻し、可動接点板14の固定接点板13が接触し、電気
回路をオフにする。即ちエンジン回路がアースされ、エ
ンジンＥは停止する。

このように、始動・停止操作ボタン11および操作片部7c
がともに、停止位置T;T′に位置する時には、係合凹部1
1a₁内に操作片部7cが係合されているので、スロットル
操作子７を単独に回転することはできない。しかも刈払
機の不使用時にはスロットル操作子７を常時、停止位置
Ｔ′に位置させることができるので、エンジンを始動さ
せるに際して始動・停止操作ボタン11を矢印イの方向に
押込む場合に、従来と異なって既にスロットル操作子７
が、スロットル開度がアイドル回転の状態、即ち始動開
度に自動的に位置しているため、エンジンが高速で回転
されるのが防止される。また作業中の危険のため、緊急
にエンジンの回転を低速にし、さらにエンジンを停止す
る必要がある場合、スロットル操作子７の操作片部7cを
係合凹部11a₁内に係合させ、始動・停止ボタン11をＴの
位置に移動させることによってスロットル操作子７およ
び始動・停止操作ボタン11を停止位置Ｔ′;Tに位置させ
てエンジンを１動作により緊急停止可能であり、刈払機
をそのまま放置するようなことがあっても安全対策が図
れる。

〔考案の効果〕

以上のようにこの考案は、エンジンの始動または停止を
行う始動・停止操作ボタンの上面に設けた突起の係合凹
部内にスロットル操作子の操作片部を係合させる構造な
ので、エンジンの始動または停止、さらには緊急時のエ
ンジンの停止を行うための始動・停止操作ボタンの押込
み、または引張操作に伴って、スロットル操作子を始動
位置または停止位置に一緒に移動することができ、従来
のように個別操作とは異なり、始動・停止操作ボタンと
スロットル操作子の夫々の操作性は簡便になる。また作
業中に危険が発生すると、その際スロットル開度を閉じ
ると同時に１動作によりエンジンを停止でき、作業者の
安全性が保たれる。

しかも始動位置に始動・停止操作ボタンを移動した場合
に、はじめてスロットル操作子を始動・停止操作ボタン
と個別に回転操作可能な状態にできるので、従来のよう
にスロットル操作子が、エンジンの始動時に既に全開状
態に位置し、急激に高速回転する等の不可抗力を確実に
防止でき、安全性はさらに高くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す平面図、 第２図は同じく一側からみた側面図、 第３図は第２図のIII−III断面図、 第４図は使用状態を示す断面図、 第５図は従来の刈払機の斜面図である。 １…長尺柄杆、５…スイッチ・ハウジング本体、７…ス
ロットル操作子、7a…回転輪、7b…突板部、7c…操作片
部、11…始動・停止操作ボタン、11a…突起、11a₁…係
合凹部、13…固定接点板、14…可動接点板、16…スロッ
トル・ワイヤー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】操作片部を略直角に折曲した溝付の回転輪
   を有するスロットル操作子をスイッチ・ハウジング本体
   の一側に回転自在に軸止し、該スイッチ・ハウジング本
   体の上面には前記操作片部が上方に位置する始動・停止
   操作ボタンを摺動自在に設け、該始動・停止操作ボタン
   の上面には前記操作片部がエンジンの停止位置および始
   動位置において係合し得る係合凹部を設けたことを特徴
   とする刈払機におけるスロットル操作装置。