JPH0729820U - 誘導電磁器用巻線構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘導電磁器に使用する巻線構造を小型化する
ことを目的とする。 【構成】 内側絶縁筒と外側絶縁筒との間に、バリアに
よって仕切られている区域を形成する。この区域には冷
却媒体が上方に向かって、千鳥状に流通する。この区域
に、ディスク巻の巻線からなる複数のセクションを重ね
て構成する。上段にあるセクションの巻線の断面積を、
下段にあるセクションの断面積より小さくする。これに
より冷却効果を損なうことなく、巻線構造を小型に構成
できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、変圧器、リアクトルのような誘導電磁器に使用する巻線構造に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

誘導電磁器に使用される巻線構造として、ディスク巻とされた巻線が使用され ることがある。普通はこの巻線の複数を多段に積み重ねて巻線構造とされる。図 ３はその従来構成を示し、１〜５はそれぞれディスク巻とされた巻線からなるセ クション、６は内周絶縁筒、７は外周絶縁筒で、両絶縁筒６、７の間に巻線が設 置される。

【０００３】 巻線内には鉄損などによる発熱が生ずるので、これを冷却するために、下方か らブロアなどで絶縁ガス、絶縁油のような絶縁性の冷却媒体を強制的に循環させ ている。また有効に冷却するために、両絶縁筒６、７間をバリア８により仕切る ことによって、複数の区域を形成する。

【０００４】 そして各区域内におけるバリア８を、両絶縁筒６、７に交互に取り付けること によって、バリア８と各絶縁筒との間に交互に流通路９、１０が形成されるよう にしてある。したがって冷却媒体は図中矢印で示すように、両絶縁筒間を千鳥状 に流れていくようになる。

【０００５】 この場合、上下一対のバリア８間での冷却媒体の流れを検討すると、下段のバ リア８と内周絶縁筒６側にある流通路９から流入してきた冷却媒体は、その大半 は内周絶縁筒６の沿って上昇する。そして上段のバリア８に近づくのにしたがっ て、上段のバリア８と外周絶縁筒７との間にある流通路１０に向かう。そのため 上方にあるセクションほど冷却媒体が多量に触れるようになり、より多く冷却さ れるようになる。

【０００６】 その結果上下一対のバリア８間にあるセクション１〜５について、その温度上 昇の度合いを検討すると、下段のバリア８に近いセクションは、上段のセクショ ンに比較して温度が上昇するようになる。実際に各セクション１〜５の温度を検 証すると、次の表３に示すようになる。なお同表（以下の表についても同じ。） において、温度上昇値とは、冷却媒体に対する温度上昇値である。これから理解 されるように、最高点温度と最低点温度とは著しい差がある。

【０００７】

【表３】

【０００８】 一方従来では各セクションに使用されている巻線は、その断面積をすべて同じ としており、その断面積は、巻線の許容最高温度を越えない範囲で、その巻線が 発熱するように決定されている。限度として、それ以上の温度に到達しない範囲 の発熱温度で収まるように決定するようにしている。そのため上段のセクション については、これが十分に冷却されるのにもかかわらず、最高点温度を呈する下 段のセクションの巻線と同じ断面積の巻線を使用していることになる。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、各バリア間に重ねられてある複数のセクションを、冷却媒体の流通 によって冷却する巻線構造において、その小型化を図ることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案は、内側絶縁筒と外側絶縁筒との間に、バリアによって仕切られてあっ て、冷却媒体が上方に向かって、千鳥状に流通する区域を形成し、この区域に、 ディスク巻の巻線からなる複数のセクションを重ねて設けた構成において、上段 にあるセクションの巻線の断面積を、下段にあるセクションの断面積より小さく したことを特徴とする。

【００１１】

【作用】

巻線はその断面積が小さい程、発熱してその温度が上昇する。しかし上段にあ るセクションは十分に冷却されることにより、その温度上昇は十分に抑制され、 上下段のセクションの温度差は均等化される。そして上段にあるセクションの巻 線の断面積を小さくしたことにより、それだけ巻線は小型化される。

【００１２】

【実施例】

本考案の実施例を図１によって説明する。なお図３と同じ符号を付した部分は 同一または対応する部分を示す。本考案にしたがい、各セクション１〜５につい て、上段にあるセクションの巻線程、その高さを低くすることによって、その断 面積を小さく構成する。断面積が小さい場合は、その発熱量は大きいが、上段に あるセクションは十分に冷却されることにより、それほど温度は上昇せず、下段 にあるセクションの巻線とはその温度差が僅少となる。

【００１３】 図１の構成における各セクションの温度上昇値を示したのが表１である。なお 同表において、高さの比は、セクション５の高さを１としたときの高さの比を示 す。これからも理解されるように、各段のセクションの温度をほぼ均一とするこ とができ、そしてこのように高さを低くすることができることにより、巻線構造 の全体を小型化できるようになる。具体的には、この構成によると、巻線の導体 の断面積は、従来構成の場合の５８％に縮小することができ、また巻線全体の断 面積でも、２０％程度縮小した。

【００１４】

【表１】

【００１５】 図２に本考案の他の実施例を示す。この実施例は、上段にあるセクションの巻 線程、幅の狭いものを使用することによって、断面積の縮小化を図ったものであ る。図２の構成における各セクションの温度上昇値を示したのが表２である。な お同表において、巻数の比は、セクション５の巻数を１としたときの巻数の比を 示す。

【００１６】

【表２】

【００１７】 このように上段にあるセクションについて、幅の狭い巻線を使用することによ って、セクションの幅が同じであるとすれば、巻数を増すことができる。逆に言 えば、巻数が同じであるとすれば、それだけ巻線構造は小型となる。この場合で も図１の構成と同様に、巻線の導体の断面積において５８％、巻線全体の断面積 でも、２０％程度縮小した。

【００１８】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、バリアによって仕切られている区域に、 複数のセクションを重ねて構成し、冷却媒体を千鳥状に流通させる巻線構造にお いて、上段にあるセクションの巻線の断面積を縮小することによって、冷却効果 を損なうことなく、巻線構造の小型化を図ることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す部分断面図である。

【図２】本考案の他の実施例を示す部分断面図である。

【図３】従来例の部分断面図である。

【符号の説明】

１〜５ セクション ６ 内側絶縁筒 ７ 外側絶縁筒 ８ バリア ９ 流通路 １０ 流通路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内側絶縁筒と外側絶縁筒との間に、バリ
   アによって仕切られてあって、冷却媒体が上方に向かっ
   て、千鳥状に流通する区域を形成し、前記区域に、ディ
   スク巻の巻線からなる複数のセクションを重ねて設けて
   なる誘導電磁器用巻線構造において、上段にある前記セ
   クションの巻線の断面積を、下段にある前記セクション
   の断面積より小さくしてなる誘導電磁器用巻線構造。