JPH0729734U - 回路遮断器の接点構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 形状記憶合金を使用した小型でかつ安価な回
路遮断器において、その遮断を確実に行うことを目的と
する。 【構成】 回路遮断器の使用環境温度より高い変態温度
を有する形状記憶合金に直結する接点と、該接点と接離
する他の接点を有し、上記形状記憶合金に直結する接点
に付随して、回路の通電、遮断を手動で操作できるレバ
ー５と該レバー５に付属して回路の通電または遮断を保
持するための引きバネ６から構成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、回路に過電流が流れた場合、該回路を遮断する回路遮断器の接点 構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のバイメタルまたはソレノイドコイルを用いた回路遮断器は、その動作構 造が複雑で部品点数が多くなり、高価になる欠点があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は平成３年８月１日に特許出願（特願平３−２８０９４６）の回路遮断 器を補充するものである。

【０００４】 通常、形状記憶合金に電流が流れて発熱し、その発熱量が変態温度をわずかに 上回るとき、形状記憶合金もわずかに変態して回路は遮断するが、すぐに形状記 憶合金が外気温で冷却されて形状回復応力が減退し、回路が閉じて通電する。そ して通電と遮断を繰り返すいわゆるチュタリング現象が生じた。 本考案は上記の欠点を簡易に解決するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案の請求項１記載の一実施例、図１及び図２にて説明する。図１は回路が 閉じ通電用引出し部９，９’間に電流が流れている状態を示す。符号１は形状記 憶合金、２は一方の接点、３，３’はバネ板４，４’を有する他方の接点、５は 回路の導通、遮断を手動で切り換えるためのレバー、６はそのレバー５の導通、 遮断のいずれかを保持するための引きバネである。７はレバーの支点。

【０００６】 図１の状態で９，９’間に電流を流すと、形状記憶合金１がその固有抵抗によ り発熱する。その発熱温度が形状記憶合金１の変態温度をわずかに越えた場合、 形状回復応力により図２に示す形状になろうとするが、レバー５が支点７の鉛直 上右側にあるうちに接点２が接点３，３’から離れると、形状記憶合金１の発熱 が停止し（変態温度が外気温より高い場合において）その温度が変態温度以下に なって形状回復応力が減退し、引きバネ６によって再び接点２と３，３’が短絡 して通電する。そして通電と遮断を繰り返すチャタリング現象を生じるが、レバ ー５が支点７の鉛直上より左側に傾くまで、接点２と３，３’がスライドしなが ら接触するよう接点２を長く構成することにより、確実に回路を遮断できるもの である。図２は引きバネ６により、回路の遮断が確実に行われた状態を示す。

【０００７】 次に本考案の誹求項２記載の一実施例である図３にて説明する。図３は回路が 遮断された状態を示す。符号１５は一方の接点、１６は他方の接点を示す。１７ は押しバネ。形状記憶合金１が、通電により発熱し、その発熱量が変態温度をわ ずかに越えたとき、形状記憶合金１が形状回復応力により伸長した状態から収縮 を始めるものとする。その時、接点１６に付属する押しバネ１７の作用によりレ バー５が支点７の鉛直上より右側に傾くまで接点１６が接点１５に接触して移動 しバネ６の作用で確実に回路が遮断されるまで通電するものである。１８は接点 １６のストッパーで、接点１５と引きバネ６の力が左方向から右方向に転ずる位 置で止まるよう設定されている。

【０００８】 図１、図２においてその作用を示す。図１は、形状記憶合金１がＶ字が引き伸 ばされた状態で、接点２と３，３’がバネ板４，４’の圧力で接している。そし て形状記憶合金１の変態温度以下での弾性応力に勝る引きバネ６の作用で、レバ ー５は支点７の鉛直上より右側に傾いてストッパー１０により一定の角度で保持 されている。９，９’の引出し部間に電流が流れ、形状記憶合金１が通電される と、その内部抵抗により発熱する。その発熱温度が形状記憶合金１の変態温度を 越える電流が流れると、変態温度以下に於ける形状記憶合金のバネ弾性より２． ５〜３倍の形状回復応力を生じるが、引きバネ６の力をそれ以下に設定すれば、 レバー５がその支点７の鉛直上より左側に転じ、引きバネ６の力も接点２を左方 向の力の作用から逆の右方向の力へと転じ、ストッパー１０’により一定角度で 停止するまで接点２が引かれて移動する。但し形状記憶合金１は変態温度を越え る温度では、図２に示すようにＶ字状が収縮するよう記憶されているものとする 。

【０００９】 ところで、形状記憶合金１を流れる電流による発熱がその変態温度をわずかに 越える場合において、接点２と３，３’が離れると形状記憶合金１に流れる電流 が止まり、従ってそれによる発熱も止まって、形状記憶合金１の変態温度が外気 温より高い場合には、それは外気温で冷却されてその形状回復応力が減退する。

【００１０】 かかる理由により、引きバネ６の力が左方向から右方向に転ずるまで接点２の 長さを長くして接点３，３’とスライドしながら接触させる構造にすれば、変態 温度をわずかに越える発熱量でも、接点２と３，３’が接離を繰り返すことなく 確実に回路を遮断する。

【００１１】 図３においては、引きバネ６の作用が左方向から右方向に転ずるまで、押しバ ネ１７により接点１６を接点１５に押圧接触させる作用を有し、上記と同様の効 果を提供するものである。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１から図７にて説明する。図１は形状記憶合金１の 断面が、Ｖ字状であるリボンで構成されており、回路を閉じるときはＶが引き伸 ばされて開いた形状になっている。引出し部９，９’から通電され、形状記憶合 金１に電流が流れてその内部抵抗により発熱する。形状記憶合金１の変態温度は 回路遮断器の使用環境温度より高い通常１００℃位に設計されるが、発熱量が外 気により奪われる熱量を越えて変態温度以上の温度になる電流が流れると、形状 記憶合金１が引きバネ６の力に抗して収縮する。その時接点２と接点３，３’は 接触しながら引きバネ６の作用が左方向から右方向に転ずるまで通電されるので 、確実に回路が遮断され図２の状態になる。

【００１３】 図３は回路が遮断された状態を示すが、押しバネ１７の弾性により接点１６を 右に押して接点１５と、引きバネ６の力の作用が、左方向から右方向に転ずるま で接触させる作用を有する。

【００１４】 図４は長い接点２に断面が逆Ω字状のリボンで形成された形状記憶合金２０を 使用した例を示す。図５は逆Ω字状形状記憶合金２０と押しバネ接点１６を有す る例を示す。図６はコイル状形状記憶合金２１と長い接点２の組合せの例を示す 。図７はコイル状形状記憶合金２１と押しバネ接点１６を有する例を示す。

【００１５】 実施例に示す形状記憶合金はいずれも収縮するように記憶されているが、伸長 するよう記憶させての使用も可能である。又図３，５，７に示す押しバネ１７と 接点１６の組合せの代わりに板バネを使用することもできる。

【００１６】

【考案の効果】

本考案において回路の通電、遮断はレバー５を右左に倒すことによって行い、 その動作を確実に行うためレバー５に引きバネ６を付属せしめている。引きバネ ６の力の作用は、レバー５の鉛直中央位置を境にしてその方向を反転する。

【００１７】 形状記憶合金は変態温度を越えたときのバネ弾性力は、越えないときのそれの ２．５〜３倍であるが、引きバネ６の作用による力は変態温度を越えないときの 形状記憶合金のバネ弾性力よりも強く、変態温度を越えたときの形状回復応力よ り弱く設定されていなければならない。

【００１８】 然るに形状記憶合金の変態温度を越える加熱は、形状記憶合金自体を流れる電 流のジュール熱によるが、本考案は引きバネ６の作用による力に勝る力、すなわ ち引きバネの作用による力に抗しながら引きバネ６の作用による力が同方向に反 転するまで、回路を導通して形状記憶合金に形状回復応力を与えて、回路の遮断 を確実に行う効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の請求項１の実施例を示す図で、回路が
導通している図を示す。

【図２】図１の回路が遮断している図を示す。

【図３】本考案の請求項２の実施例を示す図で、回路が
遮断している図を示す。

【図４】本考案の請求項１の実施例を示す図で、異なる
形状の形状記憶合金を使用し回路が遮断している図を示
す。

【図５】本考案の請求項２の実施例を示す図で、回路が
遮断している図を示す。

【図６】本考案の請求項１の実施例を示す図で、形状記
憶合金が更に異なる形状のものを使用した場合であり、
回路は遮断している図を示す。

【図７】本考案の請求項２の実施例を示す図で、形状記
憶合金は図６と同じであり、回路は遮断している図を示
す。

【符号の説明】

（１），（２０），（２１）は形状記憶合金 （２），（３），（３’），（１５），（１６）は接点 （４），（４’）はバネ板 （５）はレバー （６）は引きバネ （７）は支点 （８）は基台 （９），（９’）は通電用引出し部 （１０），（１０’），（１８）はストッパー （１１），（１１’）は固定台 （１２），（１２’）は支持台 （１３），（２２）は取付け台 （１４），（１４’）は取付けネジ （１７）は押しバネ （１９）はホルダー

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 形状記憶合金を使用した回路遮断器の接
   点の長さを長くしたことを特徴とする接点構造。
2. 【請求項２】 形状記憶合金を使用した回路遮断器の接
   点に押しバネを使用したことを特徴とする接点構造。