JPH0729728A - 電磁石 - Google Patents

電磁石

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JPH0729728A
JPH0729728A JP16817793A JP16817793A JPH0729728A JP H0729728 A JPH0729728 A JP H0729728A JP 16817793 A JP16817793 A JP 16817793A JP 16817793 A JP16817793 A JP 16817793A JP H0729728 A JPH0729728 A JP H0729728A
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JP
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magnetic
electromagnet
iron core
gap
magnetomotive force
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JP16817793A
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English (en)
Inventor
Yoshihiko Yanagi
義彦 柳
Shunji Kakiuchi
俊二 垣内
Koji Tsumaki
孝治 妻木
Hiroaki Sakurahata
広明 桜畠
Masayuki Watabiki
誠之 綿引
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】鉄心を大型化することなく、高起磁力側におい
て、電流と磁場の強さとの比例関係を保持することがで
きる電磁石を提供する。 【構成】内部に磁極間間隙4および空気層間隙5を形成
する一対の磁極100と、その磁極間間隙4に挿入さ
れ、通電することによって磁場を発生するコイル3と、
空気層間隙5の一部に挿入され、そこに働く磁気力に応
じて、間隙幅を調整する弾性部材20とから構成され
る。 【効果】高起磁力側における磁極材料の磁気抵抗の増大
を、磁極面積を増加させることなく、抑制することがで
きる。そのため、電磁石を大型化せず、コイルに流す電
流と発生磁場強度との比例性を、低起磁力側(低コイル
電流)から高起磁力側(高コイル電流)まで保持するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁石に係わり、特
に、低磁場から高磁場領域まで、安定した磁場特性が必
要な荷電粒子の加速器に好適な、荷電粒子加速器用の電
磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、サイクロトロン等の荷電粒子加速
器においては、荷電粒子ビームを加速、あるいは、その
加速されたビームを蓄えるリングを備えている。このリ
ングは、そのリング軌道に沿って荷電粒子が運動するよ
うに、荷電粒子の軌道を制御するための、ビーム偏向用
の電磁石を有している。
【0003】このような電磁石の従来構造例の断面図
を、図6に示す。ここで、電磁石は、磁極100と、電
磁石鉄心1内部に形成された間隙4aに配置され、通電
することによって磁場を発生する一対のコイル3とから
構成される。
【0004】磁極100は、薄鉄板を、ある特定の厚さ
に積層して成る電磁石鉄心1と、電磁石鉄心1に側面か
ら溶接し、積層薄鉄板を拘束一体化するための側板2と
から構成される。コイル3間の磁極間間隙4は、荷電粒
子ビームの通路である真空室9を配置するためのもので
ある。なお、8は側板溶接部である。
【0005】加速器等に採用される電磁石としては、特
開昭58−182211号公報や、特開昭64−632
99号公報に開示されているものが挙げられる。特に、
特開昭64−63299号公報で記載されているもの
は、複数の磁性材料を使用することによって、磁極面間
における空間均一性の高い磁界の形成を、目的としたも
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術で
は、鉄心のB−H特性の飽和現象により、高起磁力側で
の磁気抵抗が増大する。そのため、高起磁力側で、磁場
の強さBと、コイルに流す電流Iとの比例関係が壊れ
る、という問題がある。
【0007】この比例関係の変化を、図7に示す。図7
は、従来の電磁石(図6参照)において、コイル3に供
給される電流Iと、磁極間間隙4における磁場(磁束密
度)Bとの関係を示している。ここで、縦軸は、磁場と
コイル電流の比、B/I(任意単位)を示し、横軸はコ
イルに流す電流値を示す。
【0008】図7に示される供給コイル電流の範囲は、
サイクロトロン等の高エネルギー加速器における電磁石
の、通常運転条件と同じである。ここで、コイル電流I
を、1〜2キロアンペア程度まで増加すると、磁束密度
Bは、1〜2テスラ(10〜20キロガウス)程度まで
増加する。この時、磁束密度Bと電流Iとの比の一定関
係は、電流値が、非常に低い値と非常に高い値とで、保
持されなくなる。
【0009】低コイル電流側における、B/Iの低下
は、残留磁場が原因である。また、高電流側でのB/I
の比例関係からのずれは、用いられる磁極材料が飽和す
るためである。図7の従来例において、高電流側での比
例関係からのずれの大きさは、約1%程度である(図7
中の矢印参照)。
【0010】電磁石が単体で使用される場合には、個別
の電磁石の磁気特性に合わせてコイル電流を調整し、個
々の発生する磁場を制御することも、原理上は可能であ
る。しかし、そのためには、コイル電流の制御装置が別
途必要となり、コスト増につながる。
【0011】また、特開昭64−63299号公報記載
例のように、構成材料の異なる薄鉄板を、交互に積層し
て鉄心を製作することで、比例関係からのずれを補正す
ることもできる。しかし、複数の材料を交互に積層して
鉄心を製作するため、製作に時間と手間がかかる。その
上、鉄心の完成後に、そのコイル電流と発生磁場との比
例特性を調整することは不可能である。
【0012】特に、サイクロトン等の加速器では、電磁
石が複数個接続され、それらの内部に単一のコイルが配
置され、荷電粒子軌道に沿って配置されている。したが
って、個々の電磁石を、それぞれ制御することは、現実
作業において、非常に難しい。さらに、このような高コ
イル電流側での比例直線からのずれは、荷電粒子ビーム
軌道に乱れを発生させる原因となり、ビームの運転制御
が困難となる。
【0013】もちろん、必要な最大磁場強度まで、コイ
ル電流と発生磁場強度との比例性を保つために、鉄心材
の断面積を増やし、単位面積当たりの磁束(磁束密度)
を下げることで、磁場飽和現象を防止することも可能で
ある。しかし、そのためには、鉄心のトータルの鉄の量
を増加させることを意味し、電磁石は、大型になり、コ
ストも高くなる。
【0014】本発明は、上述の点に鑑み成されたもの
で、その目的は、電磁石の磁極を大型化することなく、
高起磁力側においての磁気抵抗の変化を少なくし、コイ
ルに流す電流が非常に大きくなっても、電流と磁場の強
さとの比例関係を、保持することができる電磁石を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は、一対の対向
した磁極面を持つ鉄心と、それら磁極面間に磁界を発生
させるコイルとを有する電磁石において、鉄心を構成す
る材料と異なる透磁率特性を有する、一種類以上の磁性
材料で構成される、鉄心の側面に取付けられた測板を有
することを特徴とする電磁石によって達成できる。
【0016】また、上記目的は、一対の対向した磁極面
を持つ鉄心と、それら磁極面間に磁界を発生させるコイ
ルとを有する電磁石において、鉄心は、その一部に間隔
距離の増減が可能な間隙を持つ構造であり、その間隔距
離を調整する距離調整部材を有することを特徴とする電
磁石によっても達成できる。
【0017】
【作用】最初に、高起磁力側における、コイルへの供給
電流と発生磁場強度との比例関係の崩れの原因である、
磁極材料の飽和について説明する。
【0018】従来型の電磁石(図6参照)を等価単純化
したものとして、円柱形状の鉄心に導線を巻きつけ、そ
れを円形に曲げた、図9に示すようなモデルコイルの磁
気抵抗を考える。導線の巻き数をN、導線に流す電流を
I、磁束をΦ、磁気抵抗をRとすると、起磁力NIは、 NI=ΦR=Φ(R1+R2) となる。ここで、R1、R2は、それぞれ、磁極部、ギ
ャップ部(図6の磁極100、磁極間間隙4に対応)の
磁気抵抗である。また、磁極部およびギャップ部の断面
積をS、それぞれの長さをL1、L2とすると、 R1=L1/μS R2=L2/μ0S である。ここで、μは磁極部材料の透磁率、μ0は空気
の透磁率である。
【0019】通常、磁極材料として用いられている珪素
鋼板(厚さ0.5mm)の磁気特性は、図2のB−H曲
線1に示すように、電流によって生じた磁束密度B(=
Φ/S)を変化させると、珪素鋼板部材内部の磁界の強
さHが変化する。さらに、磁界の強さHが変化すると同
時に、透磁率μも、図2のH−μ曲線1が示すようなピ
ークを有する変化を示す。
【0020】この珪素鋼板を、図9に示す従来型のモデ
ルコイルの磁極材料とすると、上記関係式より、生じる
起磁力と、磁気抵抗R1およびR2との関係は、図8に
示される曲線となる。
【0021】図8において、起磁力NIを横軸に、磁気
抵抗の相対値と透磁率とを併せて縦軸(logスケー
ル)に示している。さらに、磁極間のギャップ部におけ
る空気層の磁気抵抗R2を1とし、磁極部の長さL1
を、ギャップ部の長さL2の20倍とした。
【0022】磁極での磁気抵抗R1は、磁極材料(珪素
鋼板)の透磁率μに反比例して変化する。この磁気抵抗
R1の増加は、図2に示される、高起磁力側における磁
極部を構成する材料の透磁率が低下するためである。こ
れが、磁極材料を飽和させ、高起磁力側での発生磁場強
度と、コイル電流との比例関係の崩れ(図7参照)の原
因となっている。
【0023】本発明では、これらの高起磁力側での磁気
抵抗増加を、前記2つの手段によって制限し、電磁石に
おける発生磁場強度とコイル電流との比例関係を、高コ
イル電流側でも維持する。
【0024】前記最初の手段では、鉄心の側面に取付け
た測板を、磁極の補正部材として、高起磁力側におい
て、透磁率の大きい材料を使用する。
【0025】この手段によると、高起磁力側で、コイル
電流を増加させることで、磁極の鉄心部材を構成する材
料の透磁率が低下しても、測板部材を含めた磁極全体の
合成透磁率の減少は、従来の電磁石のそれに比べて小さ
い。したがって、透磁率に反比例する磁極抵抗は、あま
り増加せず、高起磁力側においても、発生する磁場強度
とコイル電流との比例関係を、維持できる。
【0026】言い換えると、磁極の鉄心部材を構成する
材料の透磁率の減少分が、測板部材を構成する材料の透
磁率の増加分で補われ、磁極全体の磁気抵抗の増加を、
抑制していることになる。
【0027】測板部材としては、電磁石に要求される最
大磁場強度と、鉄心部材の透磁率特性(透磁率と起磁力
の関係)がピークを示す磁場強度値との間に、透磁率特
性のピーク値をもつ材料を用いるのが、効果的である。
【0028】前記第2の手段では、高起磁力側での磁気
抵抗の増大を、それに対応して、磁極の一部に設けられ
た間隙の間隔距離を、狭めることによって抑制する。こ
の作用を、以下に説明する。
【0029】図9に示すモデルコイルに関する上述関係
式から分かるように、ギャップ部の空気層の磁気抵抗R
2は、ギャップ部長さL2に比例する。したがって、ギ
ャップ部長さL2が小さくなるに従い、ギャップ部磁気
抵抗R2が低下する。
【0030】したがって、このギャップ部磁気抵抗R2
の低下率が、高起磁力側での、磁極部磁気抵抗R1の増
加率を上回ると、磁極全体の磁気抵抗R(=R1+R
2)の増加を抑制することができる。さらに、ギャップ
部の間隙を、起磁力に対応して調整して狭めると、コイ
ル電流と発生磁場強度との間の比例関係を、高コイル電
流側でも精度良く維持することができる。
【0031】本発明で考慮する加速器等に利用される電
磁石には、磁場を発生する磁極間に、真空容器を挿入す
る磁極間間隙4が、すでに、設けられている(図6参
照)。したがって、この磁極間間隙を、その間隔距離が
増減可能にした構造にすることにより、高起磁力側にお
いて、磁気抵抗の増加を抑制することができる。また、
この磁極間間隙に加え、間隔距離が非常に狭い間隙を、
磁極の一部に、新たに、設けることによっても、同様の
効果を達成できる。
【0032】もちろん、本手段によって、新たに加えら
れた間隙は、磁気抵抗の多少の増加を意味する。しか
し、本発明で解決しようとする、高起磁力側での磁極部
の磁場抵抗の増加分は、従来から設けられている間隙の
磁気抵抗に比べ、非常に小さい(図8参照)。したがっ
て、本発明においては、新たに設ける間隙は、すでにあ
る間隙よりも充分小さくすることができ、従来型の電磁
石に比べて、磁極全体の磁場抵抗を、大きく増加させる
必要はない。
【0033】
【実施例】本発明の2つの手段を、併わせて適用した一
実施例の構成を、図1および図2を用いて説明する。本
実施例は、図1の断面図に示されるように、内部に磁極
間間隙4および空気層間隙5を形成し、それら間隙間隔
が増減可能なように、ボルト6およびナット6aによっ
て、接合された一対の磁極100を有する。さらに、本
実施例は、その磁極間間隙4に配置され、通電すること
によって磁場を発生するコイル3と、空気層間隙5の一
部に装着され、そこに働く磁気力に応じて、間隙幅を調
整する弾性部材20とを有する。
【0034】本実施例が、使用される際は、コイル3間
の磁極間間隙4に、図6に示す従来例と同様に、荷電粒
子ビームの通路である真空室9を、配置するためのもの
である。
【0035】磁極100は、薄鉄板を、ある特定の厚さ
に積層して成る電磁石鉄心1と、電磁石鉄心1に、ボル
ト等によって、側面から積層薄鉄板に着脱可能に取付け
られた側板2とを有する。
【0036】鉄心1には、図2の磁気特性グラフに示さ
れる磁気特性(B−H曲線1、H−μ曲線1)、つま
り、低から中起磁力範囲で、高い透磁率μをもつ珪素鋼
等を用いる。珪素鋼は、磁化の立ち上がりが早く、か
つ、交流電場により発生するうず電流損(鉄損)を小さ
くできる。したがって、短時間で励磁する必要のある荷
電粒子用加速器の電磁石として適している。
【0037】しかし、このような磁気特性を有する珪素
鋼は、高起磁力側で飽和し、その磁気抵抗が増加する。
この磁気抵抗増加を減少させ、コイル電流と発生磁場の
比例性を補うために、H−μ曲線1で示された透磁率よ
りも、高起磁力側で、大きな透磁率値を有する材料を、
補正用材料として用いる。
【0038】補正材料として、本実施例では、電磁軟鉄
を、測板2または鉄心1の一部に用いる。この軟鉄は、
図2のB−H曲線2に示すように、珪素鋼と比べ、磁化
に必要な外部起磁力が高い。そのため、通常の鉄心材料
としては適さない。しかし、この軟鉄は、図2のH−μ
曲線2に示される、透磁率特性を有する。
【0039】本発明では、このような磁気特性を利用し
て、高起磁力側で、磁極100全体の磁気抵抗の増加を
制限し、コイル電流と発生磁場との比例関係を補正す
る。
【0040】さらに、本実施例では、弾性部材20を一
部に挿入した、空気層間隙5を形成するように、一対の
磁極100を接合している。この間隙5は、その間隔距
離が増減可能な構造である。ここで、間隙5は、空気の
層であるため磁気抵抗の増加となるため、できるだけ小
さい方が望ましい。
【0041】弾性部材20としては、例えば、最大、数
キロアンペアのコイル電流を流す電磁石の場合、ゴム硬
度90゜以上のスチレンゴムやニトリルゴム等の、エラ
ストマーを使用することができる。
【0042】本実施例の動作を、図10、図3、図4お
よび図5により説明する。最初、本実施例における、本
発明の最初の手段による作用を説明する。本実施例の磁
気抵抗の計算モデルを、図10に示す。ここで、Rm、
RhおよびRaは、それぞれ、図1における、一対の鉄
心1による磁気抵抗、測板2全体による磁気抵抗、間隙
4と5による磁気抵抗で、 Rm=Lm/μm・Sm Rh=Lh/μh・Sh Ra=La/μ0・S と表される。Lm、LhおよびLaは、それぞれ、鉄心
1、測板2、間隙4と5の作り出す等価磁気回路長さで
あり、Sm、ShおよびSaは、それぞれ、鉄心1、測
板2、間隙4と5の作り出す等価断面積である。μm
μh、μ0は、それぞれ、鉄心1、測板2、空気層の透磁
率である。
【0043】ここで、磁気回路長さと断面積は定数のた
め、各磁気抵抗は、それぞれの透磁率の変化に反比例し
て変化する。また、測板2を構成する軟鉄による磁気抵
抗Rhと、鉄心1を構成する珪素鋼板の磁気抵抗Rmと
が、並列になると仮定しているため、磁束Φと起磁力N
Iの関係は、 NI=Φ(Ra+[(Rm・Rh)/(Rm+Rh)]) という関係式で表現される。
【0044】側板2の断面積Shを、鉄心1の断面積S
mの1/10とし、間隙4および5の磁気抵抗Raを1
と仮定すると、起磁力変化に伴い、本実施例の鉄心1お
よび測板2から構成される磁極部の磁気抵抗R(=Rm
+Rh)は、図3に示される実線曲線のように変化す
る。ここで、点線曲線は、鉄心1および測板2に珪素鋼
板を使用した従来例(図6)の磁極部の磁気抵抗値の変
化を示している。
【0045】さらに、図3は、コイルで発生する外部起
磁力に対する鉄心1および側板2の透磁率μm、μhの変
化を、併せて示している。ここで、μm(珪素鋼板)が
小さくなる起磁力範囲で、μh(電磁軟鉄)が大きくな
り、合成した磁気抵抗の変化が小さくなることがわか
る。
【0046】本実施例では、低起磁力側では、測板2を
構成する軟鉄の透磁率μhが小さい(つまり、磁気抵抗
が大きい)ため、磁束は、鉄心1のみを通る。しかし、
高起磁力側では、軟鉄の透磁率μhが大きくなり、磁気
抵抗が小さくなるため、測板2を通る磁束が、無視出来
なくなる。
【0047】この測板2による磁気抵抗減少は、側板2
の断面積Sh(厚み)を増せば、大きくなる。しかし、
図3から明らかなように、Shが鉄心1の断面積Smの
1/10でも、磁気抵抗の増加が、かなり抑制されるの
がわかる。
【0048】さらに、本実施例においては、測板2を着
脱可能に取付けている。したがって、異なった磁性材料
や、異なった断面積を有する複数の測板2を利用して、
コイルへの供給電流と発生磁場強度との、比例関係から
のずれ補正に最適な測板2を、容易に選択することがで
きる。
【0049】また、本実施例では、測板2に補正材料と
しての電磁軟鉄を使用した。しかし、測板2を用いず
に、図5に示すように、鉄心1を構成する複数の薄鉄板
において、薄鉄板にした電磁軟鉄10を、珪素鋼板11
の間に挿入しても、類似効果が得られる。
【0050】しかし、鉄心製作後の調整ができない。そ
のため、前もって最適の透磁率を持つ磁性材料を選択す
る必要がある。さらに、この場合は、全体の重量に対し
て軟鉄10の量は、1/10以下にしたほうがよい。な
ぜなら、軟鉄10は、低起磁力側で透磁率が小さいた
め、鉄心1での磁気抵抗の増大を招き、さらに、うず電
流による鉄損も増大するためである。
【0051】次に、本実施例における、本発明のもう一
方の手段の作用を、図4を用いて説明する。
【0052】磁極間に設けた間隙4および5は、図4に
示されるように、間隙5に挿入された弾性部材20によ
り、保持され、それら間隙に作用する磁気力200の大
きさに比例して、間隙の間隔距離が変化する。
【0053】磁気力200は、間隙に生じる磁界の磁場
エネルギーを減少させる方向、つまり、間隙間隔を減ら
す方向に存在する。したがって、起磁力が増加に伴い、
弾性部材20に加わる磁気力200が増加する。この磁
気力200は、コイル電流の2乗に比例するため、高起
磁力側で特に大きくなる。
【0054】磁気力200の増加に伴い、間隙5に挿入
された弾性部材20は圧縮され、それによって保持され
ている、磁極間間隙4および空気層間隙5の間隔距離が
狭まる。間隙4、5の磁気抵抗は、磁極の隙間(空気層
の部分)にほぼ比例するため、磁気力200の増加にほ
ぼ反比例して、磁気抵抗が減少する。したがって、高起
磁力側での、鉄心1における磁気抵抗の増加を、相殺で
き、コイル電流と発生磁場強度との間の比例関係を、高
起磁力側でも保持することができる。
【0055】以上では、本発明による二つの手段を、そ
れぞれ説明した。本実施例では、このような二つの手段
を併せ持つことにより、高起磁力側での磁極全体の磁気
抵抗の増加を、より効果的に抑えることができる。
【0056】例えば、補正材料による磁気抵抗の減少効
果が起る起磁力範囲よりも、高い起磁力範囲において、
間隙間隔調整による磁気抵抗の増加抑制効果を生じるよ
うに、測板2の補正材料および弾性部材20の種類を選
択する。
【0057】つまり、それぞれの手段が効果を生じる起
磁力範囲を、重ならないように、測板2と弾性部材20
を選択することで、より広範囲の起磁力値において、コ
イル電流と発生磁場強度との比例関係を保持することが
できる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、高起磁力側における磁
極材料の磁気抵抗の増大を、磁極面積を増加させること
なく、抑制することができる。
【0059】したがって、電磁石を大型化することな
く、コイルに流す電流と発生磁場強度との比例性が、低
起磁力側(低コイル電流)から高起磁力側(高コイル電
流)までの広い磁場範囲で保持することができる。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例における電磁石の断
面図。
【図2】珪素鋼、電磁軟鉄の外部起磁力に対する透磁率
および磁束密度特性曲線を示すグラフ。
【図3】本実施例(図1)の電磁石構造における磁気抵
抗の変化を、従来例(図6)と比較したグラフ。
【図4】本発明を適用した電磁石の間隙に作用する磁気
力を説明する図。
【図5】本発明を適用した他の一実施例のにおける鉄心
の構造を示す斜視図。
【図6】従来技術による電磁石の断面図。
【図7】従来技術の電磁石におけるコイル電流と発生磁
場強度との関係を示すグラフ。
【図8】従来技術の電磁石における磁気抵抗の起磁力依
存性を示すグラフ。
【図9】磁気抵抗の計算用モデルコイルの説明図。
【図10】本実施例の磁気抵抗の計算モデルを示す図。
【符号の説明】
1…鉄心、 2…側板、 3…コイル、 4…磁極間間
隙、4a…コイル用間隙、 5…空気層間隙、 6…ボ
ルト、 6a…ナット、7…端板、 8…側板溶接部、
9…真空室、 10…薄鉄板(電磁軟鉄)、11…薄
鉄板(珪素鋼板)、 20…弾性部材、 100…磁
極、200…磁気力。
フロントページの続き (72)発明者 桜畠 広明 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 綿引 誠之 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の対向した磁極面を持つ鉄心と、それ
    ら磁極面間に磁界を発生させるコイルとを有する電磁石
    において、 鉄心を構成する材料と異なる透磁率特性を有する、一種
    類以上の磁性材料で構成される、鉄心の側面に取付けら
    れた測板を有することを特徴とする電磁石。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記測板を構成する材
    料の透磁率は、前記鉄心を構成する材料の透磁率が最大
    となる起磁力値よりも、高い起磁力値において、最大値
    を有することを特徴とする電磁石。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記測板の少
    なくとも一部は、着脱可能に、鉄心側面に取付けられて
    いることを特徴とする電磁石。
  4. 【請求項4】一対の対向した磁極面を持つ鉄心と、それ
    ら磁極面間に磁界を発生させるコイルとを有する電磁石
    において、 鉄心は、その一部に間隔距離の増減が可能な間隙を持つ
    構造であり、その間隔距離を調整する距離調整部材を有
    することを特徴とする電磁石。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記距離調整部材は、
    弾性部材から構成され、 磁界発生中に、前記間隙間に働く磁気力により、その間
    隔が狭められることで、間隔距離を調整することを特徴
    とする電磁石。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記弾性部材は、エラ
    ストマーであることを特徴とする電磁石。
  7. 【請求項7】請求項4から6のいずれかにおいて、前記
    鉄心は、透磁率特性の異なる2種類以上の磁性材料で構
    成されることを特徴とする電磁石。
  8. 【請求項8】請求項4から6のいずれかにおいて、さら
    に、前記鉄心を構成する材料と異なる透磁率特性を有す
    る、一種類以上の磁性材料で構成される、鉄心の側面に
    取付けられた測板を有することを特徴とする電磁石。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記測板の少なくとも
    一部は、着脱可能に、鉄心側面に取付けられていること
    を特徴とする電磁石。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007227157A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Denso Corp 電磁スイッチ
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JP2014241217A (ja) * 2013-06-11 2014-12-25 住友重機械工業株式会社 サイクロトロン

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