JPH072967B2 - 大入熱溶接継手靭性の優れた構造用鋼板の製造方法 - Google Patents

大入熱溶接継手靭性の優れた構造用鋼板の製造方法

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JPH072967B2
JPH072967B2 JP29319389A JP29319389A JPH072967B2 JP H072967 B2 JPH072967 B2 JP H072967B2 JP 29319389 A JP29319389 A JP 29319389A JP 29319389 A JP29319389 A JP 29319389A JP H072967 B2 JPH072967 B2 JP H072967B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は大入熱溶接法を適用した時、特に低温の使用環
境での溶接熱影響部(以下HAZと称す)の靱性(以下継
手靱性と稱す)に優れ、併せて母材靱性も優れた構造用
鋼板の製造方法に関するものである。
<従来の技術> 近年、海洋構造物、船舶、貯蔵タンク等の大型溶接構造
物に使用される構造用鋼板の材質特性に対する要望は厳
しさを増しており、特に溶接部における低温靱性は改善
が続けられているが、需要量の増大と共に供給量の増
大、供給価格の低減が望まれるようになり、該大型溶接
構造物用鋼材製造時の生産性、経済性の改善も必要にな
ってきている。
一般に、鋼材をサブマージアーク溶接、エレクトロガス
溶接、エレクトロスラグ溶接等の大入熱自動溶接を行う
と、オーステナイト結晶粒径の粗大化により、継手靱性
が著しく低下する。
このHAZ靱性の低下防止対策の最も代表的な提案として
は、特開昭58−110658号公報等に開示されるように、N,
B,Ti,Sの含有量を一定範囲に規定することによって継手
靱性を向上させる方法がある。この方法は、上記N,B,T
i,Sについて次記するような添加効果を期待して各添加
量を規制している。
つまり、Nは、含有量を低下させることによって、溶
接冷却時に転位密度を低下せしめて強度を低下し、フェ
ライト地そのものの靱性を向上させることができ、オ
ーステナイト安定化元素として焼入れ性を増して島状マ
ルテンサイトを増加して靱性を低下するが、低N化させ
ると島状マルテンサイトの生成が抑制されて継手靱性が
向上する。この2つの作用からNの上限を0.004%に限
定して低N化を図っている。
又、Bは、高温度の溶接熱を受けるとBの化合物は鋼
中に溶解し、それが冷却中に析出してセメンタイトの核
となって残留オーステナイトからパーライト変態を促進
し、島状マルテンサイトの析出を阻止することによって
継手靱性を向上し、又一部がフリーBとなって粒界に
偏析し、粒界フェライトの生成温度を下げ、粒内変態を
促進して破壊の有効破面単位を短縮させ継手靱性を改善
すると共に、溶接後の冷却中にBN化して鋼中のフリー
窒素を低減し、脆化を防止する。
この3つの作用からBは継手靱性を向上させるので0.00
05%以上添加するが、過剰Bによる多量の析出物の生成
は逆に継手靱性を劣化させるので上限を0.0020%として
いる。
Sは、鋼名中はMnSの形で存在し、溶接熱サイクルを受
けてその一部が溶解するが、冷却中に微細なMnSとなっ
て再析出し、その回りにBNを固定して継手靱性を向上す
る。
しかし、多すぎると、溶接熱での溶解が困難となり、少
なすぎると、効果が発揮されないため、0.0005〜0.0030
%に添加範囲を規制している。
Tiは、窒化物によるオーステナイト粒の微細化及びフェ
ライトの核生成サイトとして用いられるが、大量な添加
は溶接時に溶融し、冷却時に炭化物を析出することによ
り継手靱性の低下を引き起こすことがあるので、添加量
は0.003%〜0.02%の微量に抑えることが必要であると
している。
これにより固溶Nによる継手靱性低下を抑制すると共
に、HAZの粗大オーステナイト粒内にフェライトを生成
させて継手靱性を向上させている。
しかしながら、この技術により得られる継手靱性は−30
℃保証で、近年の要求である−50℃以下の低温域での継
手靱性を保証するものではない。
また、特開昭61−117213号公報において、Nを0.004%
以下に限定した鋼を用い、製造条件を規定することで−
60℃での継手靱性を保証する提案がある。
この提案は、鋼塊或いは鋼片の冷却凝固過程における
950℃〜700℃の温度範囲を2℃/sec以下の冷却速度で緩
冷却し、HAZに粒内変態フェライト(以下IFPと称す)を
生成せしめる核として0.1μm以上の径を有するTi、Z
r、Ta各々の窒化物を芯としてMnSを外殻とした複合体を
形成せしめ、上記の凝固鋼片を1150℃以上の温度に加
熱後、5時間以上保定することにより、大入熱溶接時に
ミクロ偏析帯から上記のIFP生成用核の作用により活発
にIFPを生成せしめるため、樹間に濃化してIFPの生成を
妨げている。C、Mn、P及びその他の合金元素をできる
だけ拡散し、その合金濃度を低下せしめる。以上の2つ
の要件で構成している。
この結果前記提案は、鋼板内にIFPを90個/mm2以上生成
せしめ、得られる母材はYS(kgf/mm2)が30〜50、TS(k
gf/mm2)が44〜64、El(%)が37〜42、vTrs(℃)が−
80〜−100で、入熱100kJ/cm時の継手靱性はvE−60℃(k
gf・m)が16〜20であり、入熱200kJ/cmの時の継手靱性
はvE−60℃(kgf・m)が17〜21を示しており、継手靱
性は要望に応えるまでに改善されている。
又特開昭60−169516号公報による提案は、継手靱性のみ
ならず、母材の低温靱性も優れた鋼板を製造するため、
Nを0.0040%以下に限定した鋼を温度1250〜1350で60分
以上加熱し、放令もしくは圧延してAr3変態点以下の温
度に冷却し、その後温度900〜1150℃に再加熱して800℃
以下の圧下率30%以上の圧延の後、制御冷却焼き戻しを
行う方法である。
この結果、母材の低温靱性はvTrs−90〜−110℃を示
し、かつ継手靱性は−48〜−60℃を示す優れた鋼板を得
ている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、前記特開昭58−110658号公報、特開昭61
−117213号公報、特開昭60−169516号公報いずれの提案
においても、Nを0.0040%以下に低減させることが要件
となっており、このためには、種々の低N対策を必須と
する。
即ち、転炉における低N添加合金使用、真空脱ガス
装置を用いた各種処理時のAr吹き込み、Arによるタン
ディッシュの外気遮断、Arによる連続鋳造鋳型の外気
遮断等である。
Nガスによる断気に比してこれらの対策は、製鋼・鋳造
コストを不可避的に上昇する。
また、前記特開昭61−117213号公報の提案の如く、鋼の
凝固過程の950〜700℃領域において2℃/secの緩冷却を
必須とする事は、凝固鋼片を少なくとも700℃迄降温す
る必要を意味しており、時には常温までの降温も有り得
るので、次に行う1150℃以上、5時間以上の加熱保定に
は長時間にわたって新たに膨大なエネルギーの投入が必
要となる。
又、凝固鋼片に1150℃以上、5時間以上の加熱保定を必
須とすることは、少なくとも凝固鋼片が5時間にわたっ
て高温な製造工程に滞留することを意味し、換言すると
単一凝固鋼片に5時間以上にわたる高温な製造工程を独
占的に提供することを意味し、これは、さらに生産性を
低下し、経済性を低下させることを意味する。
本発明は、以上説明した前記特開昭58−110658号公報、
特開昭61−117213号公報、及び特開昭60−169516号公報
の各提案がもたらす上記問題点を解消し、前記の大型溶
接構造物に要求されている−50℃以下での大入熱溶接時
に4.8kgf・m以上の優れた継手靱性を発揮する構造用鋼
板を生産性良く、経済的に製造する方法を提供すること
を第1の発明の課題とし、さらに一部の構造物に求めら
れる要望に応えるため、継手靱性の向上に対応して現状
の母材靱性を−20℃程度向上して−80℃程度の母材靱性
を併せ発揮する構造用鋼板を、再加熱することなく、さ
らに生産性良く、経済的に製造する方法の提供を第2の
発明の課題とするものである。
<課題を解決するための手段> 本発明は上記の課題を解決するために、 (1)重量%でNを0.004%超、0.008%以下含有し、かつT
i/Nが2.0〜3.2の構造用鋼を凝固点温度+5℃以上の過
熱温度で鋳型に注入して凝固を開始し、該凝固中鋼片の
凝固末端部を凝固収縮量に応じて実質的に面を構成する
部材を用いて厚み方向に圧下しつつ該凝固を完了し、該
凝固完了鋼片を圧下率30%以上の圧延後、1250℃以上で
2時間以上5時間未満保定する事を特徴とする大入熱溶
接継手靱性の優れた構造用鋼板の製造方法を第1の手段
とし、 (2)重量%でNを0.004%超、0.008%以下含有し、かつT
i/Nが2.0〜3.2の構造用鋼を凝固点温度+5℃以上の過
熱温度で鋳型に注入して凝固を開始し、該凝固中鋼片の
凝固末端部を凝固収縮量に応じて実質的に面を構成する
部材を用いて厚み方向に圧下しつつ凝固を完了し、該凝
固完了鋼片を圧下率30%以上の圧延後、1250℃以上で2
時間以上5時間未満保定して後800℃以下で60%以上の
圧下率で2次圧延を行う事を特徴とする大入熱溶接継手
靱性の優れた構造用鋼板の製造方法を第2の手段として
いる。
本発明が対象とする構造用鋼は、添加量を限定したN,Ti
以外は、例えば前記特開昭58−110658号公報に記載さ
れ、次記するように、通常の構造用鋼が所要の材質を得
るために、従来から当業分野での活用で確認されている
作用・効果の関係を基に定めている添加元素の種類と量
と同様に構成している。
それ等の各元素とその添加理由を以下に示す。
Cは鋼の強度を向上するために使用し、用途上の必要強
度から0.02%を下限量とし、継手の靱性劣化から0.16%
を上限とする。
また、Siは溶鋼の予備脱酸のために添加しているが、継
手の靱性が低下するのを防止するために0.7%を上限と
する。
Mnは鋼材の強度を向上する成分として添加するため0.5
%以上の添加が必要であり、継手の靱性が低下するた
め、1.6%を上限とする。
Pは島状マルテンサイトの析出を促し、継手の靱性を劣
化せしめる元素として0.015%以下に規制する。
Bは継手の靱性を向上せしめる有効な元素である。しか
し、過剰の含有はBの析出物を多くして靱性を劣化させ
る。従って、Bの作用効果と靱性を考慮して0.0005〜0.
002%に規制する。
AlとSiと同様の作用効果から0.1%以下に規制する。
SはBの有効効果をもたらすために、一定の範囲に含有
する必要がある。鋼中のSはMnSで存在し、溶接熱を受
けてその一部を溶解するが、冷却中に微細なMnSとなて
析出し、その周りにBNを固定する作用により継手靱性を
向上する。
このSの効果は、Sの添加が多すぎると溶接熱での溶解
が困難になり、また少なすぎると基本的な作用が不足し
て共に発揮されない。従って、Sは0.0005〜0.003%に
含有させ、しかもMnSを微細分散させることが好まし
い。
また、鋼の強度と靱性を改善するために要求される性質
に応じて、Cr,Mo,Ni,Cuを各々0.05〜1.0%、V,Nbは0.01
〜0.05%、Ca及びREMは5〜200ppm添加してもその効果
は消失しない。
また、Ceq.は0.40%以下とするのが一般的であり、その
理由は0.40%を超えると溶接割れ感受性を強め靱性を著
しく劣化せしめるからである。
通常前記Ceq.は次式で算出される値である。
Ceq.=C%+Si%/24+Mn%/6+Ni%/40+Cr%/5+ Mo%/4+V%/14 本発明が対象とする構造用鋼は、重量%でNを0.004%
超、0.008%以下含有し、かつTi/N=2.0〜3.2を満たす
上記構造用鋼を指し、上記各元素を上記した理由の下に
上記した範囲で同様に使用して同等の作用と効果が得ら
れるので、これ等を含む上記構造用鋼は本発明の対象鋼
である。
<作用> 本発明者等は本発明の課題を達成するために、HAZの破
壊の詳細を解析した。
その結果、前記特開昭61−117213号公報が提案の第1の
要件とするHAZに生成するIFPは、該記載にあるように該
IFP占積率が増すことによって直接継手靱性を向上させ
ているのではなく、IFP占積率が増すのと共に、そこに
塊状初析フェライトに取り囲まれた結晶粒からなる組織
が生成し、併せてフェライト・サイド・プレート(以下
FSPと称す)が小型化するか、なくなり、これ等が直接
継手靱性を向上していることを見出した。
さらに、検討を勧め、IFPの生成組織においても、板状
の初析フェライトに沿って板状のフェライト長さに比例
した粗大はFSPが生成している部分があり、そこが脆性
破壊の起点となって、継手靱性を低下しており、さらに
IFPが存在しなくても塊状初析フェライトに取り巻かれ
た結晶粒からなる組織が生成することから、IFPの存在
は継手靱性の向上の支障にはならないが、必ずしも必要
ではないことを見出した。
本発明者等は上記知見から、塊状初析フェライトに取り
巻かれた結晶粒からなる組織を生成し、併せて板状のフ
ェライトの生成を防止すると、継手靱性の向上に対する
前記従来技術が有する不経済性を含む問題点を悉く解消
すると共に、第1の発明及び第2の発明の課題が達成出
来る可能性に着目し、表1に示す化学成分を有する一般
的な構造用鋼を用いて種々実験検討を重ね、第1図〜第
6図に示す知見を得た。
重量%でNが0.004%超、0.008%以下、かつTi/Nが2.
0〜3.2で所要の均熱拡散熱処理を経た時に、第1図に示
すように、塊状初析フェライトに取り巻かれた結晶粒か
らなる組織がHAZに形成されること。
脆化組織である島状マルテンサイトのサイズは、偏析
量の増加によって大きくなり、該サイズが大きくなって
6μm以上になると第2図に示すように、継手靱性の低
下が著しくなること。
等を見出した。
本発明者等は上記知見を製造方法として確立するため、
塊状初析フェライトに取り巻かれた結晶粒からなる組
織を生成する手段、島状マルテンサイトのサイズを小
さくする手段の個々の探索実験と、の各手段の組み
合わせ方法の実験を重ねた。
その結果、塊状初析フェライトを生成する核となるTiN
等を析出せしめると共に、継手靱性を悪化するフリー
N、フリーTiの存在を防ぐため、Nを0.004%超、0.008
%以下とし、Ti/Nを2.0〜3.2とした容鋼を凝固点温度+
5℃以上の過熱温度で鋳型に注入して冷却凝固を開始
し、凝固組織に柱状晶を形成せしめると共に、該凝固完
了時に未凝固末端部を実質的に面を構成する部材、例え
ば特公昭44−2441号公報に記載されている無端ベルト、
大型プレス、ロール列等の圧下手段、特開昭59−163064
号公報、特開昭59−202145号公報及び特開昭61−49761
号公報に記載され、例えば正面断面図を示す第6図に明
らかな通り、所定長さの外(1)内(2)の2組のウオーキン
グバーをそれぞれ上下対に設け、鋳片(S)を挟持、搬送
する装置等の面部材を用い、前記凝固に基づく凝固収縮
量に応じ、前記凝固鋼片の未凝固部(3)を厚み方向に圧
下を加え、前記凝固を完了した後に少なくとも30%の圧
下率で1次圧延を行い、その後低くとも1250℃で2時間
以上、5時間未満保定すると、柱状晶を形成する樹枝状
晶の樹間に形成されるミクロ偏析が軽減されると共に、
凝固中心部に形成される中心マクロ偏析の量が効果的に
低減し、溶接時のHAZに塊状初析フェライトに取り巻か
れた結晶粒からなる組織の生成を更に容易となし、ま
た、フリーNが存在しないので島状マルテンサイトの量
の増大もサイズの拡大もなくなり、更にフリーTiが存在
しないことによりTiCの析出もなくなり、これ等により
前記特開昭58−110658号公報、特開昭61−117213号公
報、及び特開昭60−169516号公報の記載のように、従来
技術では継手靱性を劣化させるとしていたN領域である
0.004%超領域で第3図、第4図に示す如く良好な継手
靱性を有する鋼板の製造方法を実現し、第1の発明の課
題達成が可能であることを見出した。
この第1の発明の課題達成手段で得た鋼片を種々の条件
で制御圧延し、本発明の第2の課題を達成するため、母
材靱性の向上を試みた。その結果を第5図に示す。
図に明かな様に、800℃以下での圧下率が50%のものは
変態後のフェライト粒径が15μm程度であるのに対し、
圧下率が60%のものは10μm程度に細粒化され、YP及び
TSの値は実質的には変わらないが、母材靱性はvTrsで約
−30℃程度好転することを見出し、第2の発明の課題達
成も可能であることを見出した。
本発明者等は上記した各知見を基に第1及び第2の発明
の課題を達成するに到ったのである。
<実施例> 本発明の実施例における供試鋼の化学成分を比較例のそ
れと共に表1に示す。
鋳造条件、熱間圧延条件、均熱拡散条件、及び得られた
材質を表2及び表3に示す。
また、溶鋼処理時及び鋳造時の雰囲気遮断はNガスを使
用した。
(1)鋼成分 (表1に示す) (2)鋳造条件 注入温度 凝固点温度+3〜20℃ ・3〜20℃=溶鋼過熱度 ・本発明例の溶鋼過熱度≧5℃ ・比較例の溶鋼過熱度≧3℃ 凝固鋼片寸法 厚み250〜300mm×幅1800mm 冷却速度 1.0〜2.0℃/min 凝固末端部の面圧下装置 第6図に正面断面を示す装置 ・型式 ウオーキングバー方式 ・構成 内バー(2) 3本 外バー(1) 4本 シフト量 100mm ・圧下部面部材長 2500mm ・圧下部入側鋳片厚み 284mm ・圧下部出側鋳片厚み 281.5mm ・圧下勾配 1mm/1000mm (3)第1の発明の1次圧延条件(表2に示す) (4)第1の発明の保定条件(表2に示す) (5)第1の発明の継手靱性(表2に示す) (6)第2の発明の1次圧延条件(表3に示す) (7)第2の発明の保定条件(表3に示す) (8)第2の発明の2次圧延条件(表3に示す) (9)第2の発明の継手靱性(表3に示す) (10)第2の発明の母材靱性(表3に示す) 表2に示す試験番号A1〜A14は本発明の第1の発明例
で、本例で得た板厚30mmの鋼板に、大入熱溶接を施し、
シャルピー試験を行った。
HAZの最脆化部におけるシャルピー値の最小値は何れの
鋼板も格段に高く、画面多層溶接(入熱75kJ/cm)を行
ったものは、vE-80℃は15.6kgf・m以上であり、片面一
層溶接(入熱230kJ/cm)では、vE-60℃が9.9kgf・m以
上と高く、第1の発明の課題を達成した。
一方、試験番号B1〜B19は本発明の第1の発明の比較例
で、ここで得た板厚30mmの鋼板に上記本発明例と同様に
大入熱溶接を施し、シャルピー試験を行った。
母材靱性は比較例と本発明例に差がなく、vTrsで−51〜
−62℃の範囲にあったが、HAZの最脆化部におけるシャ
ルピー値の最高値は何れも鋼板も低く、両面多層溶接
(入熱75kJ/cm)を実施したものはvE-80℃で1.8〜3.8kg
f・mであり、片面一層溶接(入熱230kJ/cm)を行った
ものは、vE-60℃が1.7kgf・m以下で、第1の発明の課
題を達成出来なかった。
表3に示す試験番号A15〜A28は本発明の第2の発明の実
施例で、本例は、鋼番1〜14の鋼片に800℃以下の温度
域で圧下率60%以上の2次圧延を施し、得た板厚30mmの
鋼板に大入熱溶接を行いシャルピーの試験を行った。
HAZの最脆化部の最小シャルピー値は、両面多層溶接
(入熱75kJ/cm)を行ったものは、vE-80℃で16.2kgf・
m以上を示し、片面一層溶接(入熱230kJ/cm)を実施し
たものは、vE-60で9.6kgf・m以上が得られ、これ等の
母材の靱性はvTrsで−87〜107℃が得られ、継手及び母
材共に第2の発明の課題を達成した。
一方、試験番号B20〜B38は、本発明の第2の発明の比較
例で、試験番号B20〜B33は鋼番1〜14の鋼片に800℃
以下の温度域で圧下率60%未満の2次圧延を施したもの
であり、試験番号B34〜B38は鋼番15〜19の鋼片に800
℃以下で圧下率60%以上の2次圧延を施したものであ
る。
共に本発明例と同様に、得た板厚30mmの鋼板に両面
多層溶接(入熱75kJ/cm)及び片面一層溶接(入熱230kJ
/cm)を実施してシャルピー試験を行った。
のHAZ最脆化部のシャルピー値の最高値は何れの鋼板
も高く、vE-80℃は16.4kgf・m以上の値を示し、vE-60
℃は9.1kgf・m以上の値が得られ、本発明例と遜色なか
ったが、母材靱性はvTrsで−51〜−62℃と低く、第2の
発明の課題を達成するに到らなかった。
の母材靱性はvTrsで−87〜−95℃と高い値を示し本発
明例と遜色はなかったが、HAZの最脆化部のシャルピー
値の最高値は何れの鋼板も低く、vE-80℃で2.5kgf・m
以下の値を示し、vE-60℃は1.8kgf・m以下の値しか得
られず、これも第2発明の課題を達成するに到らなかっ
た。
<発明の効果> 本発明は、重量%でNを0.004%超、0.008%以下含有
し、かつTi/Nが2.0〜3.2に限定した溶鋼を過熱度を規制
して鋳造し、柱状晶組織を有する鋼片にすると共に、該
鋼片の凝固進行中に塊状初析フェライト生成条件を形成
せしめ、該凝固中に未凝固末端部を凝固収縮量に応じて
実質的に面を構成する部材で圧下して偏析帯の偏析量を
低減、又は実質的に皆無とし、更に圧下率30%以上の1
次圧延で残留偏析帯を薄くした1250℃以上で2時間以
上、5時間未満の保定を行い、その侭使用するか、保定
後に800℃以下で60%以上の圧下率で2次圧延を施し、
フェライト粒径をさらに微細にして母材の靱性を向上安
定せしめ、併せてHAZに塊状初析フエライトに取り巻か
れた結晶粒からなる組織を生成せしめると共に、島状マ
ルテンサイトの生成を制御し、併せてそのサイズを5μ
m以下に小くし、これ等の総合効果により継手靱性を安
定し、従来不可能とされていた0.004%(重量)超のN
領域で大入熱溶接時に−50℃以下での優れた継手靱性を
保証する構造用鋼板を経済的に製造することを可能とし
たものである。
これ等により本発明には、従来方法が製造コストを上昇
せしめている鋼の低N化、及び5時間以上1150℃以上の
長時間均熱拡散熱処理等が不必要となり、大入熱溶接構
造物用の構造用鋼板を良好な生産性と経済性の下に円
滑、安定して製造する方法を確立して本発明の課題を達
成したので、この生産性と経済性によりこの種分野に多
大の効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
第1図はN及びTi/Nと塊状初析フェライトの生成の関係
を示す。 第2図は島状マルテンサイトのサイズと継手靱性の関係
を示す。 第3図は1次圧延の圧下率と継手靱性の関係を示す。 第4図は保定温度と継手靱性の関係を示す。 第5図は2次圧延開始温度と母材靱性と機械的性質の関
係を示す。 第6図は本発明の実施例で使用する面部材の一例の正面
断面図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 忠 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 益永 英勝 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%でNを0.004%超、0.008%以下含有
    し、かつTi/Nが2.0〜3.2の構造用鋼を凝固点温度+5℃
    以上の過熱温度で鋳型に注入して凝固を開始し、該凝固
    中鋼片の凝固末端部を凝固収縮量に応じて実質的に面を
    構成する部材を用いて厚み方向に圧下しつつ該凝固を完
    了し、該凝固完了鋼片を圧下率30%以上の圧延後、1250
    ℃以上で2時間以上5時間未満保定する事を特徴とする
    大入熱溶接継手靱性の優れた構造用鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%でNを0.004%超、0.008%以下含有
    し、かつTi/Nが2.0〜3.2の構造用鋼を凝固点温度+5℃
    以上の過熱温度で鋳型に注入して凝固を開始し、該凝固
    中鋼片の凝固末端部を凝固収縮量に応じて実質的に面を
    構成する部材を用いて厚み方向に圧下しつつ凝固を完了
    し、該凝固完了鋼片を圧下率30%以上の圧延後、1250℃
    以上で2時間以上5時間未満保定して後800℃以下で60
    %以上の圧下率で2次圧延を行う事を特徴とする大入熱
    溶接継手靱性の優れた構造用鋼板の製造方法。
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