JPH07290258A - 溶接用ラミネート鋼板の製造方法 - Google Patents

溶接用ラミネート鋼板の製造方法

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JPH07290258A
JPH07290258A JP7056777A JP5677795A JPH07290258A JP H07290258 A JPH07290258 A JP H07290258A JP 7056777 A JP7056777 A JP 7056777A JP 5677795 A JP5677795 A JP 5677795A JP H07290258 A JPH07290258 A JP H07290258A
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steel plate
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JP7056777A
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Tatsuhiko Sakai
辰彦 坂井
Naoya Hamada
直也 浜田
Ryoichi Yoshihara
良一 吉原
Kojiro Takano
浩次郎 高野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys

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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Lasers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接用ラミネート鋼板を製造する際、電気溶
接のために必要な非ラミネート部を容易に形成する。 【構成】 ラミネート樹脂が吸収を示す波長で発振する
赤外パルスレーザ光を樹脂不要部の形状にレンズ4で整
形して照射し、不要樹脂膜を蒸発気化により除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接用ラミネート鋼板の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】飲料、魚肉、塗料、化学製品等の各種内
容物の容器として、電気ブリキ、TFS(ティンフリー
スチール)等の表面処理鋼板に塗装した金属缶が多く使
用されている。近年、こうした塗装鋼板に代わって、同
じく電気ブリキ、TFS等の表面処理鋼板に熱可塑性の
PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフ
タレート)、PE(ポリエチレン)等の樹脂をラミネー
トした鋼板が使用されるようになっている。特に耐蝕性
要求の厳しい化学薬品、塗料用などについてはラミネー
ト鋼板の使用が多くなっている。
【0003】ラミネート鋼板を用いて缶製品を製造する
場合、その接合方法としては、樹脂の自己融着性を利用
して接着するもの、接着剤を用いるもの、およびラミネ
ートされていない部分で鋼板を溶接するものがある。こ
れらの中で、本発明は溶接接合によりラミネート缶を製
造する場合の材料となるラミネート鋼板を製造する方法
に関するものである。
【0004】溶接接合は、鋼板をラップさせ、その部分
の通電加熱により溶接するものである。従ってラップさ
れた部分には電導性がなければならない。しかしなが
ら、ラミネート鋼板に使用する熱可塑性樹脂は絶縁体で
あるため、溶接する部分もラミネートされていると電気
溶接が不可能となる。従って、溶接缶用途にはラミネー
ト鋼板上に溶接部の形状に合わせた非ラミネート部を確
保する必要がある。
【0005】ところで、ラミネート鋼板の製造方法に
は、予め形成した樹脂フィルムを熱圧着により鋼板と密
着させる熱ラミネート法と、溶融した樹脂をTダイより
押し出して直接鋼板上に被覆し、接着するエクストリュ
ージョン法とがある。
【0006】熱ラミネート法では、例えばラミネート鋼
板の両端を非ラミネート部としたい場合には、ラミネー
トフィルムの幅を鋼板の幅より必要な分だけ狭くするこ
とで非ラミネート部を形成することができる。
【0007】一方、エクストリュージョン法において
は、Tダイから押し出された樹脂は、その特性上、ダイ
の両端の数cm程度は樹脂膜が他に比べ厚くなるため、
その部分は製品とすることができない。そこで、鋼板全
幅にわたり樹脂膜厚を均一にするには、両端の樹脂の厚
い部分を後でカットするか、あるいはTダイの幅を鋼板
の幅より大きくとり、正規の膜厚になる部分のみで樹脂
膜を形成しなければならない。いずれにしても、エクス
トリュージョン法においては鋼板全幅にわたり樹脂膜が
形成されるため、樹脂膜形成段階でラミネート不要部を
確保することはできない。
【0008】従って、エクストリュージョン法で製造さ
れたラミネート鋼板を溶接用途に用いるためには、ラミ
ネート後に不要部の樹脂を例えば機械的に削り取る。と
ころが、ラミネート鋼板は一般的に耐蝕性、加工性の観
点から樹脂と鋼板の高い密着性が要求される。そこで、
ラミネートに用いられるPP、PET樹脂は酸成分で一
部を変性するなどして鋼板との密着性を向上させてい
る。その結果、一度ラミネートされた鋼板から樹脂のみ
を機械的に削り取るのは容易ではなく、また削り取りが
可能であっても樹脂屑が発生する等の問題がある。更
に、鋼板上のメッキ等の表面処理層にダメージを与えず
に樹脂膜だけを選択的に且つ完全に除去することは、機
械的な除去法では非常に困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶接
用ラミネート鋼板に、樹脂を機械的に削り取ることなく
非ラミネート部を容易に形成する方法を提供することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラミネート鋼
板の樹脂不要部分に、当該樹脂が吸収を示す波長で発振
する赤外パルスレーザ光を樹脂不要部の形状にレンズ、
ミラー等でビーム整形して照射し、樹脂を構成する分子
の化学結合を切り、樹脂を蒸発除去するレーザアブレー
ションにより不要樹脂を取り除き、非ラミネート部を形
成する溶接用ラミネート鋼板の製造方法である。
【0011】
【作用】まず、樹脂のレーザ光による除去の原理につい
て説明する。図4は、ラミネート鋼板に用いられる熱可
塑性樹脂の代表的なものであるPETフィルム30μm
厚の900〜1200cm-1の赤外波長域での光の透過
率特性を示す。図4では横軸に波長の逆数である波数
〔cm-1〕を取り、縦軸には光の透過率を取ってある。
図4から明らかなように、PET樹脂には透過率が著し
く減少する吸収率の高い波長(A)〜(F)が存在す
る。これはPET分子内のC−H、C−O結合等の振動
モードと特定波長の赤外光との共鳴吸収によるものであ
る。従って、比較的吸収率の高い波長(A)〜(F)の
レーザ光を照射することでPET分子に共鳴的に効率よ
くエネルギーを供給し、振動的な励起を行うことができ
る。ここで、入射するレーザ光としてパルス時間幅が短
く、またエネルギーが大きく高ピーク出力のパルスレー
ザ光を用いれば、分子は一瞬のうちに多数の光子(フォ
トン)を吸収し、多段階に解離レベルまで振動励起さ
れ、高いエネルギー状態になる。その結果、分子内で最
も結合力の弱い化学結合が切れ、分子は分解し、蒸発す
る。この様な赤外パルスレーザ光による分子の励起・解
離現象は赤外多光子解離と呼ばれている。また、分解し
た樹脂が蒸発・飛散し、除去される現象はレーザアブレ
ーションと呼ばれている。これに対し、レーザ光として
連続波レーザを用いる場合は熱的な溶融現象が支配的と
なり、樹脂が蒸発・飛散する現象は起こらない。
【0012】次に、レーザアブレーションに要求される
レーザ光の単位面積当たりのエネルギー密度、いわゆる
レーザフルエンス〔J/cm2 〕について説明する。図
6はPET樹脂ラミネート鋼板に後述のTEACO2
ーザパルスを照射し、PET樹脂の除去を行った場合の
レーザフルエンスと単位パルス当たりの除去深さの関係
を示したものである。ここで、レーザ波長は図4におい
て比較的吸収率の大きい波長域(B)に属する波長9.
2715μmを使用した。図6から、レーザフルエンス
の増加によりレーザアブレーション能力は上昇し、5J
/cm2 程度のレーザフルエンスで単位レーザパルス当
たり10μm以上の除去が可能であることがわかる。ラ
ミネート鋼板の樹脂厚は一般に10〜100μm程度で
あるから、10パルス程度のレーザ照射で樹脂膜の完全
除去が可能である。また、レーザアブレーションを誘起
するには最低限分子の解離エネルギーを供給する必要が
あるため、樹脂の種類、レーザ波長に依存してレーザア
ブレーションのレーザフルエンスしきい値が存在する。
PET樹脂に波長9.2715μmのレーザ光を使用し
た場合のしきい値は、図6より約1J/cm2 以下であ
ることが予測される。
【0013】次に、本発明で使用するレーザについて説
明する。上述した赤外波長域はCO2 レーザの発振波長
領域と合致する。従って、パルス発振のCO2 レーザを
用いることでレーザアブレーションを誘起できる。ま
た、CO2 レーザは現在最も技術が確立しているレーザ
の一つであり、本発明の工業的な使用目的には最適であ
る。
【0014】CO2 レーザは波長9〜11μm(波数9
00〜1090cm-1)にわたり100本以上の発振線
を持ち、回折格子等の波長選択素子を用いることで発振
波長を選ぶことが可能である。図4中にCO2 レーザの
発振線の模式図を併せて示す。ここで隣合う発振線の間
隔は1〜2cm-1程度であるため、樹脂への吸収の大き
な波長に合わせて微妙な波長選択が可能である。
【0015】CO2 レーザにおいてパルス光を得る主な
方法には、TEA(Transversely Exc
ited at Atomospheric pres
sure 横方向励起大気圧動作)法とQスイッチ法と
がある。前者は実用レベルではパルス繰り返し能力に限
界はあるものの、パルスエネルギーとして10J/pu
lse以上、ピーク出力としても50MW以上を得るこ
とが可能であることから、単位レーザパルスで比較的広
い面積にわたり高いレーザフルエンス領域を得ることが
可能である。一方、図6でレーザフルエンスの増加によ
り除去される樹脂膜厚も増加することから、TEAレー
ザは鋼板上のある特定点の樹脂を短時間で除去するのに
適する。一方、Qスイッチ法はパルスエネルギーとして
は一般に1J/pulse以下であり、レーザアブレー
ションに充分なレーザフルエンスを得るにはレンズ等で
レーザビーム断面積を絞り込む必要があり、TEA法に
比べると単一パルスでのレーザアブレーション面積は小
さくなる。しかしながらパルス繰り返し周波数として1
0kHz以上が可能であり、例えば実用上要求されるよ
うな高速で搬送されている鋼板全域にわたり部分的な樹
脂の連続除去を行う場合にも対応できる。
【0016】ところで、CO2 レーザにおいてパルスレ
ーザを得る他の方法に、連続波レーザの励起放電をパル
ス変調して得られるパルス発振モードがある。この場
合、得られるパルス光のピーク出力は一般的に20kW
以下であり、またパルス時間幅も10μsを越えるよう
な長パルスになる。従って、レーザアブレーション除去
には通常不適であるとされていた。しかし、除去の対象
となる樹脂材料のレーザ光の吸収係数が十分に大きい場
合には、低ピーク出力でも蒸発除去に十分なエネルギー
が樹脂に供給され、且つ樹脂の熱伝導率が十分小さい条
件においては、長パルスレーザ光でも周辺部に熱影響を
与えずにシャープな断面を持つ除去が可能であることが
判明した。例えばPET樹脂、またはそれに若干の添加
物を含むようなポリエチレン系の高分子材料はCO2
ーザに対する吸収は図4に示すように非常に大きく、ま
た熱伝導率は約0.37W/m・Kと小さい。その結
果、連続波レーザのパルス変調モードでもきれいな除去
断面を持つ除去加工が可能である。
【0017】次に、本発明におけるレーザ光の照射方法
について説明する。本発明のレーザアブレーションを利
用した樹脂の除去では、照射するレーザビームの形状で
樹脂が蒸発・飛散し、除去される。従ってレーザビーム
をレンズあるいはミラーなどで除去したい形状に整形
し、照射することで容易に必要な非ラミネート部形状を
形成することが可能である。また、鋼板を固定してレー
ザ照射位置を移動する、レーザ照射位置を固定して鋼板
を移動する、または互いに相対的に移動することで連続
的に非ラミネート部を鋼板全域にわたり形成することも
可能である。例えば溶接缶用ラミネート鋼板では鋼板の
両端数mm幅に非ラミネート部を形成することが要求さ
れる。そこで、図2に示す様に円筒レンズ5と球面レン
ズ4でレーザビームを必要な非ラミネート部の幅L3を
持つ線状ビームに整形し、線状ビーム方向とラミネート
鋼板1の移動方向とが垂直になるようにしてレーザビー
ムを照射することで所望の幅を持つ非ラミネート部をラ
ミネート鋼板1の全長にわたり、連続的に且つ効率よく
形成することが可能である。ここで線状ビームに必要な
線幅L3を決定した後、パルスエネルギーを制御する
か、または球面レンズ4により横幅L4を調整すること
でレーザフルエンスをレーザアブレーションしきい値以
上にすることが可能である。
【0018】以上説明した原理により、赤外パルスレー
ザ光を用いた樹脂のレーザアブレーションによりラミネ
ート鋼板の任意の位置に非ラミネート部を形成すること
ができる。
【0019】本発明においては、レーザアブレーション
で除去される樹脂は蒸発気化するため、機械的な削り取
りで問題となった樹脂の切削屑発生の問題がない。更
に、レーザ被照射部付近にアシストガスを吹き付けるこ
とで飛散した樹脂を速やかにレーザ光路上から除くこと
が可能であるため、飛散樹脂によるレーザ光の吸収その
他除去された樹脂に起因する問題も容易に解決できる。
【0020】また、樹脂のレーザアブレーションしきい
値レーザフルエンスは1J/cm2以下であり、また数
J/cm2 程度で充分なレーザアブレーション能力があ
るが、この様な低レーザフルエンスはメッキ等の表面処
理鋼板のダメージしきい値以下である。従って、本発明
ではレーザフルエンスを適当に選ぶことで表面処理鋼板
にダメージを与えることなく、表層の樹脂のみを選択的
に除去することができる。
【0021】ここではPET樹脂の除去を例にとり説明
したが、PPその他ラミネート鋼板に使用される樹脂で
赤外波長域で吸収を持つ樹脂の除去にも採用可能であ
る。また、ラミネート鋼板はエクストリュージョン法に
より製造された鋼板に限られるわけではなく、熱ラミネ
ート法等の他のラミネート法により製造された全てのラ
ミネート鋼板の製造に採用可能である。
【0022】
【実施例1】図1により実施例1について説明する。
【0023】ラミネート鋼板1には、母材として厚さ
0.32mmの低炭素冷延鋼板に全面クロムメッキを行
った表面処理鋼板を用い、クロムの付着量は金属クロム
に換算して100mg/m2 である。この鋼板上にPE
T樹脂を30μm厚になるようにTダイを用いたエクス
トリュージョン法によりラミネートした。
【0024】赤外パルスレーザ装置2にはTEACO2
レーザを用いた。パルスエネルギーは2.5J/pul
seであり、ピーク出力は約20MWである。本レーザ
装置はレーザ共振器の全反射ミラーを波長選択素子とし
ての回折格子に置き換え、レーザ発振波長の選択が可能
である。本実施例では、図4のPETの赤外光透過率特
性において比較的光の吸収係数の高い波長域(B)に属
する波長9.2715μm(波数1078.57c
-1)にレーザ発振波長を選択した。
【0025】赤外パルスレーザ装置2から出力されるレ
ーザ光は平面全反射ミラー3で反射した後、焦点距離1
mの球面レンズ4で集光され、ラミネート鋼板1に照射
される。照射位置でのレーザビームの面形状はL1、L
2ともに0.8cmで、レーザフルエンスはレーザアブ
レーションが充分起こり得る3.6J/cm2 に調整し
た。
【0026】以上のようにしてPET樹脂膜の除去を行
ったところ、同一位置に10パルス以上のレーザ光を照
射することでレーザビーム形状でほぼ完全に樹脂膜が蒸
発除去され、母材の表面処理鋼板が露出した。また、鋼
板露出部の表面の定量元素分析を行ったところ、ラミネ
ートを行っていない無垢の表面処理鋼板と同一のクロム
付着量であることがわかり、また樹脂の構成元素である
炭素は殆ど観測されなかった。この結果より、本発明方
法では母材の表面処理鋼板にダメージを与えることな
く、完全な樹脂膜の除去がなされていることが確認され
た。
【0027】
【実施例2】実施例2として実施例1と同一の装置を用
い、PP樹脂を接着層として酸変性PPを介して25μ
m厚にエクストリュージョン法で被覆したラミネート鋼
板を用いて樹脂の除去を行った。ここでは、図5に示す
PPの赤外光透過率特性を参考に、レーザ波長を図5の
(K)に対応する波長10.3040μm(波数97
0.50cm-1)に選択した。照射位置でのビーム面形
状はL1、L2ともに0.67cmであり、レーザフル
エンスは5.3J/cm2 である。尚、パルスエネルギ
ー、ピーク出力は実施例1と同様に2.5J/puls
e、20MWである。
【0028】以上のようにしてPP樹脂膜の除去を行っ
たところ、実施例1と同様に約10パルスのレーザ光を
照射することでレーザビーム形状でほぼ完全にPP樹脂
膜が蒸発除去され、母材の表面処理鋼板が露出した。ま
た、鋼板露出部の表面の定量元素分析を行ったところ、
ラミネートを行っていない無垢の表面処理鋼板と同一の
クロム付着量であり、また樹脂の構成元素である炭素は
殆ど観測されなかった。この結果より、本発明方法では
母材の表面処理鋼板にダメージを与えることなく、完全
な樹脂膜の除去がなされていることが、PP樹脂ラミネ
ート鋼板についても確認された。
【0029】
【実施例3】実施例3として、QスイッチCO2 レーザ
を用いて連続的に一定幅の非ラミネート部を形成した例
を示す。図2に実施例3に用いた装置の構成を示す。使
用したラミネート鋼板1は実施例1と同一でPET樹脂
30μm厚で被覆したものである。また、ラミネート鋼
板1は幅90cmで図示されていない鋼板搬送機により
30m/minの移動速度で通板される。
【0030】赤外パルスレーザ装置2はQスイッチCO
2 レーザ装置であり、パルスエネルギーは100mJ/
pulse、ピーク出力は350kWである。レーザ波
長は実施例1と同様に波長9.2715μm(波数10
78.57cm-1)に選択した。出力されたレーザ光は
平面全反射ミラー3を反射した後、球面レンズ4と円筒
レンズ5の組合せレンズにより、通板方向と垂直に交差
する線状ビームに集光され、図2に示すようにラミネー
ト鋼板1の幅方向の端に照射される。ここで線状ビーム
の形状L3とL4はそれぞれ0.5cm、0.08cm
に調整し、照射位置でレーザアブレーションしきい値を
越えるレーザフルエンスが得られている。またレーザパ
ルスの繰り返し周波数は6.25kHzに調整し、通板
速度30m/minにおいて同一位置に10パルス以上
のレーザ光が照射される設定とした。
【0031】以上のようにして樹脂の連続除去を行った
ところ、ラミネート鋼板1の全長にわたり、幅0.5c
mの非ラミネートストライプ部が形成された。また非ラ
ミネート部の鋼板露出部の表面解析を行ったところ、メ
ッキへのダメージは観測されず、また樹脂は完全に除去
されていることが判明した。
【0032】
【実施例4】実施例3と同様のレーザ照射装置を用いる
PPラミネート鋼板の連続樹脂除去を実施例4として示
す。レーザ装置の出力は実施例3と同一であるが、レー
ザ波長を実施例2と同じく10.3040μm(波数9
70.50cm-1)に選んだ。また、集光位置でのビー
ム形状はL3、L4それぞれ0.5cm、0.04cm
に調整し、これによりレーザアブレーションしきい値以
上のレーザフルエンスが得られる。またレーザパルスの
繰り返し周波数は12.5kHzにし、通板速度30m
/minで同一位置に10パルス以上のレーザ光が照射
される。
【0033】これらの設定で除去したところ、実施例3
と同様に鋼板にダメージを与えることなく、鋼板全長に
わたり0.5cm幅の非ラミネートストライプ部が形成
された。
【0034】
【実施例5】実施例4の応用として、PPラミネート鋼
板の鋼板全長にわたり複数本の非ラミネートストライプ
を形成した例について述べる。図3は実施例3に用いた
装置の構成図である。赤外パルスレーザ装置2はQスイ
ッチCO2 レーザ装置であり、レーザ出力は実施例4と
同じである。出力されたレーザ光は部分反射窓7により
同一エネルギーを持つ3本のレーザビームに分割され、
球面レンズ4、円筒レンズ5により独立に線状ビームに
集光される。各ビームの集光位置での形状は実施例4と
同じくL3、L4それぞれ0.5cm、0.04cmで
あるが、レーザエネルギーは三等分されているため、レ
ーザフルエンス値は約1.7J/cm2と実施例4の約
1/3である。そこで通板速度を1/3の10m/mi
nに減速し、同一位置に約30パルスが入射するように
した。その結果、実施例4と同様に鋼板にダメージが無
く、且つ完全にPP樹脂が除去された3本の非ラミネー
トストライプが鋼板全長にわたり形成された。
【0035】
【実施例6】実施例6として、連続波CO2 レーザのパ
ルス変調発振モードを用いて、実施例3と同じ照射装置
でPET樹脂の連続除去を行った。使用したパルスレー
ザのピーク出力は6.4kW、パルスエネルギーは10
0mJ、パルス時間幅は25μs、パルス繰り返し周波
数は5kHzである。レーザ波長、集光方法は実施例3
に同じである。通板速度は30m/minであり、同一
点への入射パルス数は約10パルスである。
【0036】以上の設定で除去実験を行ったところ、実
施例3と同様に鋼板全長にわたり、幅0.5cmの帯状
の除去部分が形成された。また除去部の解析により、樹
脂が完全に除去され、またメッキ表面へのダメージは観
測されなかった。
【0037】
【発明の効果】本発明によりラミネート鋼板の任意の場
所のラミネート樹脂を母材の表面処理鋼板にダメージを
与えることなく、容易に、且つ完全に除去することが可
能であり、また除去された樹脂は蒸発して飛散するた
め、切削屑発生の問題がない。更に、鋼板全長にわたり
連続的に樹脂を除去することが可能である。塗装した電
気ブリキ、TFSが各種の飲料缶、美術缶、18リット
ル缶、エアゾール缶等の製缶用材料として多く使用され
ているが、本発明により製造したラミネート鋼板はこれ
らの塗装鋼板に代えて使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接用ラミネート鋼板の製造方法に用
いる装置の構成図である。
【図2】本発明の溶接用ラミネート鋼板の製造方法に用
いる装置の構成図である。
【図3】本発明の溶接用ラミネート鋼板の製造方法に用
いる装置の構成図である。
【図4】PET樹脂の赤外光透過特性を示す図である。
【図5】PP樹脂の赤外光透過特性を示す図である。
【図6】PET樹脂膜のTEACO2 レーザによるレー
ザアブレーションに於けるレーザフルエンスと単一パル
スによるPET樹脂膜除去深さの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ラミネート鋼板 2 赤外パルスレーザ装置 3 平面全反射ミラー 4 球面レンズ 5 円筒レンズ 6 樹脂が除去された鋼板露出部 7 部分反射窓 L1 面状集光レーザビームの縦方向の長さ L2 面状集光レーザビームの横方向の長さ L3 線状集光レーザビームの縦方向の長さ L4 線状集光レーザビームの横方向の長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高野 浩次郎 兵庫県姫路市広畑区富士町1 新日本製鐵 株式会社広畑製鐵所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の少なくとも片面全幅に樹脂膜を形
    成後、樹脂不要部の樹脂を除去する溶接用ラミネート鋼
    板の製造方法において、樹脂不要部に赤外パルスレーザ
    光を照射して、不要樹脂膜を蒸発気化により除去するこ
    とを特徴とする溶接用ラミネート鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記赤外パルスレーザ光が樹脂の赤外域
    の吸収を示す波長で発振するTEAまたはQスイッチC
    2 レーザ光であることを特徴とする請求項1記載の溶
    接用ラミネート鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記赤外パルスレーザ光を樹脂不要部の
    形状に整形して樹脂に照射することを特徴とする請求項
    1または2記載の溶接用ラミネート鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記赤外パルスレーザ光のレーザフルエ
    ンスがラミネート樹脂の蒸発気化しきい値以上であり、
    且つラミネート鋼板の母材の表面処理鋼板の表面ダメー
    ジしきい値以下であることを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載の溶接用ラミネート鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記赤外パルスレーザ光が連続波レーザ
    のパルス変調発振モードであることを特徴とする請求項
    1、3または4記載の溶接用ラミネート鋼板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 被除去樹脂がPET樹脂、またはポリエ
    チレン系の高分子材料であることを特徴とする請求項
    1、3、4または5記載の溶接用ラミネート鋼板の製造
    方法。
JP7056777A 1994-03-04 1995-02-22 溶接用ラミネート鋼板の製造方法 Pending JPH07290258A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7056777A JPH07290258A (ja) 1994-03-04 1995-02-22 溶接用ラミネート鋼板の製造方法

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