JPH07289898A - 重質油の水素化処理用触媒及びそれを用いる重質油の水素化処理法 - Google Patents

重質油の水素化処理用触媒及びそれを用いる重質油の水素化処理法

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JPH07289898A
JPH07289898A JP6092659A JP9265994A JPH07289898A JP H07289898 A JPH07289898 A JP H07289898A JP 6092659 A JP6092659 A JP 6092659A JP 9265994 A JP9265994 A JP 9265994A JP H07289898 A JPH07289898 A JP H07289898A
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hydrotreating
oil
heavy oil
coal
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JP6092659A
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Yoshibumi Hiramatsu
義文 平松
Yasuo Obayashi
康男 大林
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔らかくかつ可燃性の物質を担体として用
い、これに水素化活性を有する金属成分を分散性よく担
持させ、重質油の水素化処理に用いた場合に十分な水素
化活性を有し、さらに未分解回収油を、触媒を除去しな
いでもそのまま触媒と共に燃料として使用することがで
きる水素化処理用触媒を提供する。この水素化処理用触
媒を用いて重質油の各種水素化処理を有利に行うための
方法を提供する。 【構成】 無水無灰ベースでの炭素の割合が65重量%
以下である石炭又はセルロース系有機物質に、少なくと
も周期表VIA族金属の化合物及び/又は周期表VII
I族の鉄属金属の化合物を担持してなることを特徴とす
る重質油の水素化処理用触媒、ならびに、この水素化処
理用触媒の存在下で重質油を水素化処理する重質油の水
素化処理法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重質油の水素化処理用
触媒に関し、より詳しく言うと、常圧残油、減圧残油、
オイルサンド油、石炭液化油等の、硫黄分、重金属等の
不純物やアスファルテン、残留炭素分等の多い劣質な重
質油の水素化処理、例えば水素化脱硫、水素化脱金属、
水素化分解、水素化脱窒素、単純水素化(水添)等に対
しても高い活性を示し、有用中間留分を十分に収率よく
得ることができる上に、スラッジ、コークの副生が少な
く、しかも、触媒担体が可燃性であるので触媒由来の灰
分の混入も少なく、未分解回収油(生成油から中間留分
等を除去した残油、以下同様)を、触媒を除去しないで
もそのまま触媒と共に燃料として使用することができる
などの利点を有す重質油の水素化処理用触媒に関する。
【0002】すなわち、本発明の触媒は、各種の重質油
の水素化処理に好適に使用することができ、特に、上記
のような劣質な重質油の水素化処理に有利に利用するこ
とができる。
【0003】本発明は、また、重質油の水素化処理法に
関し、より詳しく言うと、上記の各種の重質油の水素化
処理を、本発明の水素化処理用触媒を適用して有利に行
う方法に関する。
【0004】なお、本発明の水素化処理法は、特に、常
圧残油、減圧残油、オイルサンド油、石炭液化油等の劣
質な重質油から、硫黄分や重金属等の不純物や残留固形
分(コーク、スラッジ等)が十分に少なく、燃料油(灯
油、軽油等)やプロセス原料油等として好適な中間留分
に富んだ良質な炭化水素油に転化する方法として、ま
た、その分留製品、例えば、灯油、軽油等の軽質で性状
のよい燃料油やFCCプロセス用原料油等として好適な
各種の精製中間留分製品とボイラー用燃料等として好適
な性状が改善された精製重油(未分解回収油)の製造分
野に有利に適用される。
【0005】
【従来の技術】近年、地球環境保全及び資源の有効利用
の点から、炭化水素油、特に重質油の水素化処理、例え
ば水素化脱硫、水素化脱金属、水素化分解、水素化脱窒
素、単純水素化(水添)等の重要性がますます増加して
いる。それに伴い、こうした水素化処理反応に対してよ
り有効な触媒、特に、常圧残油、減圧残油、オイルサン
ド油、石炭液化油等の硫黄分や重金属類等の不純物が多
く、レジン分やアスファルテン分更には残留炭素分の多
い劣質な重質油、若しくは超重質油に対して十分な活性
を示し、しかもスラッジやコークの副生が少なく、硫黄
分、重金属等が十分に低減された有用中間留分に富んだ
精製油を効率よく得ることができる性能のよい触媒の開
発が望まれている。
【0006】水素化処理用触媒としては、従来、対象と
する原料油の性状や反応、製品品質目標等の目的に応じ
て、活性金属種の種類・組み合わせ、その担持率、担体
の種類、添加成分の種類や有無などについて多種多様な
組成ものが使用若しくは提案されている。中でも特に、
重質油の脱硫、脱金属、脱窒素、分解、水添などを行う
ための水素化処理用触媒としては、アルミナ、シリカ−
アルミナ、アルミナ−ボリア、アルミナ−マグネシア、
ゼオライト等の多孔性無機酸化物系担体に、周期表VI
A族金属(特に、Mo、W)とVIII族の鉄族金属
(Co、Ni、Fe)を酸化物等の形態で担持した触媒
(例えば、CoO・MoO3/Al23、NiO・Mo
3/Al23、NiO・WO3/Al23、NiO・C
oO・MoO3/Al23など)が一般的であり、これ
らは、特に脱硫反応を伴う場合など硫黄分含有炭化水素
油を原料とする場合には、通常、予備硫化処理し活性化
した後に使用されている。
【0007】上記のような重質油、特に超重質油の水素
化処理にあたっては、触媒を固定床として用いるとコー
クの析出により運転が難しいので、スラリー床(懸濁
床)によることが多い。ところが、スラリー床で上記の
ようなアルミナ担持触媒等の無機酸化物を担体とする触
媒を用いると、触媒が固いため、装置が摩耗しやす
い;その結果、触媒摩耗物等の微細な無機物(灰分)
が生じ、その分離除去が容易でないため、触媒粒子を除
去したとしても蒸留後の未分解回収油には灰分が多く残
留し、その品質を低下させる;といった問題点がある。
未分解回収油は劣質なため、自家燃料として使用するこ
とが多いが、そのような灰分の多い未分解回収油を燃焼
させるとボイラーの管壁が無機物で汚れるという問題が
ある。
【0008】このような問題を解決するには、触媒の担
体として柔らかく可燃性のものを用いることが有効と思
われる。
【0009】そこで、担体として、例えば、ポリマー、
石炭等の有機系の担体を用いることが考えられ、これら
のうち、価格の点からは特に石炭が魅力的である。
【0010】石炭を担体とする水素化処理用触媒とし
て、米国特許第4,214,977号明細書には、li
gnite(亜炭:褐炭の1種)やbituminou
s coal(瀝青炭)を担体として用い、これらに上
記のような活性金属類を担持した触媒が提案されてい
る。しかしながら、該米国特許明細書に記載されている
ligniteや瀝青炭、更には無煙炭、半無煙炭等の
炭化度(炭素含量)があるレベル以上の石炭を担体とし
て用いると、活性金属成分が十分な高担持率で分散性よ
く担持されず、得られる触媒は、重質油の水素化処理に
対して十分な高活性を示さなかったり、特に、コーク、
スラッジ等の固形分の副生が多いという欠点を有するこ
とが判明した。
【0011】また、合成ポリマーの場合にも、一般に、
活性金属成分を分散性よく担持することは困難である。
特殊な合成ポリマーに特殊な方法で活性金属成分を高担
持率まで担持する技術も考えられるが、その場合には触
媒が著しく高価になるのでたとえ活性等の性能が満足さ
れたとしても重質油の水素化処理用触媒としては実用性
に乏しい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものである。
【0013】本発明の第一の目的は、安価で前記摩耗や
灰分の混入等の問題を解決することができる比較的柔ら
かく可燃性の担体であって、しかも活性金属成分を十分
な担持率まで分散性よく担持することができる特定の担
体及び該担体を用いて性能の良い重質油の水素化処理触
媒を容易に得るための触媒調製条件を明らかにし、各種
の重質油の水素化処理に対して十分に高い活性を示し、
有用中間留分を収率よく得ることができる上に、固形分
(コークやスラッジ等)の副生が少なく、しかも可燃性
の担体を用いていることから灰分の混入が著しく少なく
なり、未分解回収油を、触媒を除去しないでもそのまま
触媒と共にボイラー等の燃料として好適に使用すること
ができるなどの利点を有する重質油の水素化処理用触媒
を提供することにある。
【0014】本発明は、また、上記本発明の高活性水素
化処理用触媒を用いて、その利点を十分に活かし、各種
の重質油の各種の水素化処理を有利に行うための方法を
提供することも目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、柔軟で可
燃性の担体に活性金属成分を分散性よく担持することが
できれば前記目的を達成できると考え、どのような種類
あるいは組成の物質が担体として適切かどうかについ
て、コスト等の実用性をも念頭において鋭意研究を重ね
た。
【0016】その結果、各種の石炭類の中でも泥炭や草
炭(ピートモスなど)等の炭化度(無水無灰ベースでの
炭素の割合をいう。以下同様。)がある特定のレベル以
下のものが、上記の条件を満足する優れた担体となるこ
とを見いだした。また、更に研究を進めた結果、木材、
パルプ、チップ、紙、木質繊維、植物繊維等のセルロー
ス系有機物質も同様に優れた担体となり、コスト等の実
用性の点でも満足することを見いだした。すなわち、こ
うした特定の石炭類やセルロース系有機物質を担体とし
て用いるならば、その他の点では従来と同様な条件及び
手法で触媒調製を行っても、所定の活性金属成分を高担
持率に分散性よく担持することができ、前記目的を満足
する高性能の重質油水素化処理用触媒を容易に得ること
ができることを見いだした。こうして、本発明者らは、
前記各種の重質油の水素化処理に十分な活性及び性能を
示す前記目的を満足する優れた水素化処理用触媒を開発
することに成功した。
【0017】つまり、こうして前記特定の可燃性物質を
担体として用いて調製した本発明の水素化処理用触媒を
実際にスラリー床等による各種重質油の水素化処理に適
用したところ、十分な水素化処理活性(水素化脱硫、水
素化脱金属、水素化分解等に対する活性)と有用中間留
分の収率が得られる上に、固形分(コーク及びスラッジ
等)の副生が十分に低減されることが確認された。ま
た、柔軟で可燃性の炭素質物質を担体に用いていること
から従来の無機酸化物担体系触媒の場合に比べて灰分の
混入が著しく少なくなり、反応後あえて触媒を除去せず
に回収した未分解油をその触媒と共にボイラーの燃料と
して用いても、ボイラーの管壁等への無機物の付着が無
視できる程に低減することも確認された。
【0018】本発明者らは、上記の知見に基づいて本発
明を完成するに至った。
【0019】すなわち、本発明は、無水無灰ベースでの
炭素の割合が65重量%以下である石炭又はセルロース
系有機物質に、少なくとも周期表VIA族金属の化合物
及び/又は周期表VIII族の鉄族金属の化合物を担持
してなることを特徴とする重質油の水素化処理用触媒を
提供するものである。
【0020】また、本発明は、上記本発明の水素化処理
用触媒の適用例として、該水素化処理用触媒の存在下で
重質油を水素化処理することを特徴とする重質油の水素
化処理法を併せて提供するものである。
【0021】A.水素化処理用触媒とその調製 本発明の水素化処理用触媒は、担体として前記特定の可
燃性物質すなわち、無水無灰ベースでの炭素の割合が6
5重量%以下である石炭(この特定の石炭を他の一般の
石炭と区別すべく、以下、石炭類[I]と呼ぶことがあ
る。)、あるいはセルロース系有機物質を用いて調製さ
れる。
【0022】本発明の水素化処理用触媒を調製するに際
して担体として用いる前記石炭類[I]としては、無水
無灰ベースでの炭素の割合が65重量%以下である石炭
類であればどのようなものでも適用可能であるが、中で
も特に好ましいものとして、泥炭、草炭(例えば、ピー
トモス等)を挙げることができる。これら各種の石炭類
[I]は、1種のみを使用してもよいし、場合に応じて
2種以上のものを混合物等として併用してもよい。
【0023】ここで、もし、無水無灰ベースでの炭素の
割合が65重量%より大きい炭化度の高い石炭、例え
ば、無煙炭、半無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭や一般の亜炭
や褐炭等を担体とすると、前記所定の活性金属成分を良
好な担持状態で担持することが困難であるため、少なく
とも従来一般的な担持手法では、劣質な重質油の水素化
処理に十分な活性及び性能を有する所望の触媒を得るこ
とは困難である。なお、そのような炭化度が高い一般の
石炭を担体として常法によって調製した水素化処理触媒
では、たとえ活性及び中間留分の収率の点では満足して
も、残留固形分(コーク、スラッジ等)の副生が多くな
り本発明の目的を達成することができない。無水無灰ベ
ースでの炭素の好ましい割合は10〜65重量%、より
好ましくは30〜65重量%である。
【0024】本発明の触媒を調製するに際して、担体と
して各種のセルロース系有機物質が使用可能である。該
セルロース系有機物質としては、例えば、木材、紙、パ
ルプ、チップ、木質繊維、植物繊維等を挙げることがで
き、中でも特に、パルプ、チップ、紙などが好ましい。
【0025】ここで、木材は、針葉樹、広葉樹あるいは
草木類等の各種の原木の各種の部分(茎、枝、樹皮な
ど)から得られるものが使用可能であり、これらは、適
当なサイズ・形状に加工されたものであれば、生木状の
もの、枯木状のもの、あるいはこれらに例えば乾燥、湿
潤、温水若しくは熱水処理、スチーム処理、酸処理、塩
基処理、ハロゲン化処理、亜硫酸(塩)処理、アルカリ
金属塩水溶液、有機溶媒等による洗浄や抽出等の処理、
部分酸化処理、水素化処理、硫化処理、乾留等の種々の
化学的あるいは物理的処理を施したものなど適宜各種の
形態で使用することができる。もちろん、例えば合板等
に加工されたものや使用後の回収材、加工工程で副生す
る端材、オガクズや廃材等を利用してもよい。
【0026】また、紙やパルプについても同様であり、
各種の原料から得られる各種の形態のものが使用可能で
ある。紙について言えば、セルロース性繊維からなるも
のであれば洋紙、和紙、半合成紙、合成紙、複合紙など
どのようなものでもよく、例えば、通常の印刷用のも
の、包装用のもの、障子紙、壁紙等の建材用若しくは意
匠用のものあるいはトイレットペーパーやティッシュ類
等々いずれも使用可能である。また、経済性の点から、
適宜、古紙や再生紙、切断等によって副生したクズ紙な
どを使用してもよい。これらの各種の紙類の中でも、特
に、トイレットペーパーやティッシュ類等の担持液が滲
み込みやすいものが好適に使用される。パルプも溶解パ
ルプ、製紙用パルプのいずれも使用可能である。
【0027】前記チップとしては、製材所廃材などを挙
げることができる。
【0028】前記木質繊維としては、各種の木や木材、
パルプ、紙等から得られるセルロース性の繊維若しくは
繊維束、布状のものなどを挙げることができる。
【0029】また、前記植物繊維としては、各種の植物
を原料とした天然繊維若しくはその加工品(糸や布でも
よい)が使用可能であり、例えば、木綿、カポック、パ
ンヤ等の種子毛繊維、コウゾ、ミツマタ、亜麻、黄麻等
のジン皮繊維、麻等の葉脈繊維、あるいは、ヤシ、麦わ
ら、ゼンマイ、藤ズル等のその他の系統のものなど各種
のものを挙げることができる。
【0030】なお、前記木材、紙、パルプ、チップ、木
質繊維、植物繊維等は、それぞれを単独で担体として使
用してもよいし、2種以上を混合物若しくは複合物等と
して併用することもできる。
【0031】ところで、前記担体として用いる石炭類
[I]やセルロース系有機物質は、少なくとも触媒調製
時に活性金属成分が担持しやすいように、適宜各種のサ
イズ若しくは形状のものとして使用される。もちろん、
その際、用いる反応方式に適合するように、予め、所定
のサイズ・形状にして用いてもよい。
【0032】例えば、石炭類[I]について言えば、サ
イズや形状が適当であればもちろんそのまま用いてもよ
いが、必要に応じて粉砕、裁断、篩別、分級等によって
適当なサイズや形状にして用いてもよいし、あるいは、
適宜、造粒や成形を施したものを用いてもよい。スラリ
ー床に使用する場合には、単にボールミル等によって微
粉状に粉砕したものも好適となる。
【0033】また、セルロース系有機物質についても同
様であり、例えば、木材の場合には、オガクズ状、チッ
プ状など適当なサイズ・形状にして使用すればよい。
紙、パルプ、木質繊維、植物繊維等についても、適当な
サイズ・形状のチップ状に適宜切断したり、ほぐした
り、あるいは、成形、加工して使用すればよい。
【0034】なお、前記石炭類[I]及びセルロース系
有機物質は、場合に応じて、担持に先駆けて前記木材に
ついての説明に記載したような各種の化学的処理や物理
的処理を施してから用いてもよい。ただし、乾留等によ
って炭化を進める場合などいずれの場合にも、無水無灰
ベースでの炭素の割合が65重量%以下の範囲になるよ
うに炭化度を制御することが必要である。
【0035】本発明の水素化処理用触媒は、前記各種の
石炭類[I]及びセルロース系有機物質のうちの1種又
は2種以上を担体として用い、該担体に少なくとも周期
表VIA族金属の化合物及び/又は周期表VIII族の
鉄族金属の化合物を担持することによって調製される。
このように、担体として前記石炭類[I]やセルロース
系有機物質を用いる限り、あとは常法に従って前記所定
の活性金属成分を担持してもよい。
【0036】なお、本明細書ではVIA族金属と鉄族金
属を、適時、活性金属と呼んでいる。
【0037】前記VIA族金属としては、モリブデン、
タングステン及びクロムを挙げるこことができ、これら
の中でも、通常は、モリブデンやタングステンが好まし
い。一方、前記鉄族金属としては、鉄、コバルト及びニ
ッケルを挙げることができる。これらVIA族金属と鉄
族金属のうちどのような金属種を担持するかは、従来と
同様に、場合に応じて適宜選定すればよい。
【0038】一般的には、1種又は2種以上のVIA族
金属種と1種又は2種以上の鉄族金属種を、金属の組み
合わせ効果を考慮して適宜組み合わせて用いることが好
ましく、特に、例えば、Ni−Mo、Ni−W、Co−
Mo、Co−W、Ni−Mo−W、Ni−Co−Mo、
Fe−Mo、Fe−W等の組み合わせが好ましいが、必
ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0039】場合によっては、1種又は2種以上のVI
A族金属種のみを担持することもあるし、あるいは、1
種又は2種以上の鉄族金属種のみを担持することもあ
る。更には、いずれの場合にも、必要に応じて適宜、V
IA族金属及び鉄族金属以外の他の金属種等を添加して
もよい。なお、鉄族金属種のみを担持する場合には、活
性の点から、通常、少なくともNiを用いることが好ま
しく、すなわち、この場合の担持金属種としては、Ni
単独、あるいは、Ni−Co、Ni−Fe及びNi−F
e−Coの組み合わせが好適となる。また、VIA族金
属種のみを担持する場合には、通常、少なくともMoを
用いることが好ましく、すなわち、この場合の担持金属
種としては、Mo単独、あるいは、Mo−W、Mo−C
r及びMo−W−Crの組み合わせが好適となる。
【0040】本発明の水素化処理用触媒における前記活
性金属成分の好適な担持量は、担体として使用する炭素
質物質の種類や形態、担持する金属の種類、その組み合
わせ、あるいはまた、水素化処理する重質油の性状、プ
ロセスの目的等によって異なるので、一律に定めること
ができないが、通常は、触媒重量(担持乾燥後の触媒の
重量)あたりの金属の重量%で計算して、VIA族金属
(合計量)が0.5〜30重量%の範囲に、かつ、鉄族
金属(合計量)が1〜50重量%の範囲になるように選
定するのが好ましく、特に、前者を2〜15重量%の範
囲に、かつ、後者を2〜20重量%の範囲に選定するの
がより好ましい。ここで、VIA族金属の担持量が0.
5重量%未満であったり、あるいは、鉄族金属の担持量
が1重量%未満であると、十分な水素化処理活性が得ら
れないことがある。一方、VIA族金属の担持量を30
重量%より大きくしたり、あるいは、鉄族金属の担持量
を50重量%より大きくしても、それ以上の活性の向上
は見られず、かえって、活性が低下するなどの支障を生
じることがある。
【0041】なお、前記したようにMo等のVIA族金
属のみを担持する場合やNi等の鉄族金属のみを担持す
る場合にも、それぞれを、前記同様の範囲に選定するの
が好ましいが、一般に、その活性は、VIA族金属と鉄
族金属を上記の範囲に選定して担持した場合と比較して
低くなる傾向がある。
【0042】以上のように選定した活性金属種(VIA
族金属及び/又は鉄族金属)を前記所定の担体に担持す
るに際して、これらの活性金属は、それぞれ、適当な化
合物の水溶液等の形態として用いられる。その際の担持
手法としても特に制限はなく、後述するように各種の担
持方式が適用可能である。
【0043】すなわち、前記担体に活性金属化合物を担
持する際に用いる担持液を調製するに際して、前記活性
金属は多種多様な化合物として使用することができる。
この担持液は、通常水溶液の形態をとっているが、該担
持液の調製に際しては、後述のように場合に応じて適当
な添加剤を添加し、その活性金属化合物の溶液性を向上
させたり、溶液の安定性を向上させることができるの
で、用いる活性金属化合物は、必ずしもそれ自体が水溶
性のものでなくてもよい。要するに、活性金属種は、で
きるだけ均一に溶解させた状態で担持に供することが望
ましいが、調製原料として用いる活性金属化合物として
は、結果としてそのような条件を満たすものであれば、
どのような種類及び形態のものでも適用可能である。
【0044】担持液の調製に際して、前記のVIA族金
属は、例えば、酸化物(MoO3 、WO3、CrO
3等)、水酸化物若しくは酸素酸(モリブデン酸、タン
グステン酸、ヘテロポリ酸、水酸化クロム等)、酸素酸
塩(例えば、モリブデン酸アンモニウム、タングステン
酸アンモニウム、ヘテロポリ酸塩、クロム酸アンモニウ
ム等)、ハロゲン化物若しくはオキシハロゲン化物(例
えば、MoCl5、MoOCl3、WCl6、WOCl4
WO2Cl、CrCl3、CrO2Cl2等)、硫化物(例
えば、MoS2、WS2等)、シアン化物、硝酸塩[Cr
(NO33等]、硫酸塩[Cr2(SO43等]、酢酸
塩等の有機酸塩、アルコキシドなど、また、これらの錯
等の錯体類[例えば、EDTA錯体、アセチルアセトナ
ト錯体、ニトロシル錯体、カルボニル錯体等々]、更に
は、ヒドロゲルやゾル状化合物等のコロイド形態のもの
など、様々な種類・形態のものとして、1種あるいは2
種以上を使用することができる。
【0045】これらの中でも、Mo及びWについては、
通常、MoO3やWO3等の酸化物、モリブデン酸やタン
グステン酸等の酸素酸類、パラモリブデン酸塩、メタモ
リブデン酸塩、パラタングステン酸塩、メタタングステ
ン酸塩等の酸素酸塩などが好適に使用され、特に、パラ
モリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩、パラタングステ
ン酸塩、メタタングステン酸塩などが好適に使用され
る。なお、これらのモリブデン酸塩、タングステン酸塩
には、アンモニウム塩、アルカリ塩等の各種の塩があ
り、これらはいずれも使用可能であるが、通常は、アン
モニウム塩が特に好適に使用される。
【0046】なお、これらのMoやWの酸化物、酸素酸
類あるいは酸素酸塩の中にも、そのままでは水に対する
溶解度はあまり大きくないものあるが、そのようなもの
についても適宜適当な添加剤、例えば有機酸、EDTA
等を添加したり、液のpHを調整するなどして溶解度や
溶解安定性を向上させることができる。
【0047】一方、前記鉄族金属も、担持液の調製に際
して、多種多様な化合物として使用することができ、具
体的には例えば、例えば、硝酸塩、炭酸塩、塩基性炭酸
塩、硫酸塩、塩化物等のハロゲン化物、硫化物、シアン
化物などの無機塩、酢酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩等の
有機酸塩、酸化物、水酸化物、アルコキシドなど、更に
はこれらの錯塩等の錯体類、例えば、アンミン錯体、ア
コ錯体、EDTA錯体、アセチルアセトナト錯体、カル
ボニル錯体、ハロゲン酸あるいはハロゲン酸塩等、更に
は、ヒドロゲルやゾル状化合物、金属コロイド等のコロ
イド形態のものなど、様々な種類・形態のものとして、
1種あるいは2種以上を使用することができる。
【0048】なお、これらの中でも、コバルト及びニッ
ケルについては、通常、硝酸塩、炭酸塩、塩基性炭酸塩
等が好ましく、鉄については、通常、硝酸塩等が好まし
い。
【0049】本発明の水素化処理用触媒は、前記所定の
担体に、前記所定の活性金属化合物を担持する限り、他
の点については、従来と同様の手法によって調製するこ
とができる。ただし、この水素化処理用触媒の場合に
は、担体として可燃性の物質を用いているので、担持
後、通常実施されるような高温での空気等の酸素を比較
的多く含有するガスによる焼成は避けた方がよい。言い
換えれば、そのような高温で焼成しないでも、この触媒
の場合には、後述するように比較的低温での乾燥処理で
十分な水素化処理活性が得られるのである。
【0050】前記担体への活性金属化合物の担持は、例
えば、各種の含浸法(真空含浸法、加熱含浸法等)、浸
漬法、混練法、スプレー法など公知の各種の担持操作手
法に従って好適に行うことができる。
【0051】なお、前記担持は、前記したように必要に
応じて適宜適当な添加成分の共存下で行ってもよい。例
えば、担持途上のあるいは担持に供する活性金属化合物
の水溶液の安定性を更に向上させて、担持をより均一に
かつ安定に行うために、カルボン酸等の適当な有機酸を
添加することが好適に採用される。
【0052】この場合、有機酸としては、各種のものが
使用可能であり、具体的には例えば、蓚酸、酒石酸、コ
ハク酸、マロン酸、リンゴ酸、クエン酸、蟻酸、酢酸、
プロピオン酸などを例示することができる。これらの有
機酸は、必要に応じて、1種又は2種以上添加してよ
い。
【0053】その際、添加する有機酸の割合は、使用す
る担体の乾燥重量100重量部に対して、例えば、0.
1〜100重量部の範囲に選定するのが好ましく、特
に、5〜50重量部の範囲に選定するのが好ましい。こ
の割合が上記の基準で0.1重量部未満であると有機酸
の添加効果が十分に発揮されず、一方、100重量部を
超えると、活性金属化合物の溶解性が悪くなるなどの理
由によって、かえって均一に担持することが困難になる
ことがある。
【0054】本発明の水素化処理用触媒は、以上のよう
にして所定の活性金属化合物を担持した後、適宜、乾燥
することによって得ることができる。
【0055】この乾燥温度としては、通常、50〜15
0℃、好ましくは、80〜120℃の範囲に選定するの
が好適である。この乾燥は、通常、空気雰囲気中で好適
に実施される。このような温度範囲ならば、空気中で乾
燥しても担体が燃焼する心配がないし、また、多くの場
合、この空気中での乾燥だけでも担持した活性金属化合
物を活性種に十分に活性化できるからである。なお、こ
の乾燥は、必ずしも空気雰囲気で行わないでもよく、用
いた活性金属化合物の種類によっては、例えば、減圧乾
燥、あるいは不活性ガス気流中での乾燥によっても十分
な活性化がなされるし、また、場合に応じて水素等の還
元性ガスや他の適当なガス雰囲気中で乾燥・活性化を行
ってもよい。
【0056】また、必要に応じて、乾燥後、適宜適当な
温度で、例えば、窒素等の不活性ガスで処理したり、あ
るいは、担体が燃焼しない範囲で適当な酸素濃度のガス
によって焼成してもよいし、更には、水素や硫化水素あ
るいはその混合ガス等によって還元若しくは予備硫化等
の活性化処理を行ってもよい。
【0057】こうして調製した本発明の水素化処理用触
媒は、各種の重質油、特に前記したような劣質の重質油
(超重質油等)の水素化処理に対して、十分な活性を有
し、十分な有用中間留分の収率を与える上に、コーク、
スラッジ等の残留固形分副生が少ないなど優れた触媒性
能を有しており、しかも、担体に柔軟で可燃性の物質を
用いているので、スラリー床に用いても装置の摩耗の問
題がなく、生成油やその蒸留残油(未分解回収油)への
灰分の混入も著しく少なくなり、したがって、触媒を除
去しないでも未分解回収油等をそのままボイラー用等の
燃料として好適に利用することができるなどの種々の利
点を有している。
【0058】前記本発明の水素化処理用触媒は、必ずし
も重質油の水素化処理に限らず、他の一般的のより軽質
な含硫炭化水素油の水素化処理にも有効な触媒となる
が、特に重質油や超重質油の水素化処理に効果的に使用
することができるので、重質油の水素化処理用触媒と称
している。
【0059】以下に、本発明の水素化処理用触媒の適用
例である本発明の重質油の水素化処理法について説明す
る。
【0060】B.重質油の水素化処理法 本発明の重質油の水素化処理法は、重質油の水素化処
理、例えば水素化脱硫、水素化脱金属、水素化分解、水
素化脱窒素、単純水素化(水添)等を、少なくとも前記
本発明の水素化処理用触媒を用いて行うことを特徴とし
ている。
【0061】ところで、本発明の水素化処理用触媒に
は、前記したように触媒の組成や調製条件の違い等によ
って多種多様なものがあるが、これらのうちどのような
触媒が好ましいかは、担体として用いる石炭類[I]又
はセルロース系有機物質の種類、活性金属の種類や組み
合わせ、担持率などそれぞれの点からすでに説明した。
もちろん、実際にどの触媒を用いるかは、場合に応じて
適宜最良なものを選定して用いればよい。どの触媒が最
良となるかは、例えば、原料として用いる重質油の性
状、特に硫黄含有量、沸点範囲若しくは重質度等、反応
方式、反応条件、プロセスの目的、例えば、硫黄分をど
こまで低減させるか、水素化分解をどの程度進行させ中
間留分としてどのような沸点範囲のものを目標とするか
などの諸条件によって異なるので、こうした条件を考慮
し、必要に応じて、予備テストを行うなどして適宜最良
のもの選定すればよい。
【0062】すなわち、本発明の方法においては、前記
各種の本発明の水素化処理用触媒中から選定された少な
くとも1種の触媒の存在下で、重質油を適当な条件で水
素ガスと接触させて水素化処理を行う。
【0063】その際、本発明の触媒は、単独で用いてよ
いし、2種以上を併用してもよい。
【0064】原料油として用いる重質油としては、例え
ば、各種の原油の常圧蒸留や減圧蒸留によって得られる
常圧残油、減圧残油等、あるいは、オイルサンド油、石
炭液化油等を挙げることができるが、必ずしもこれらに
限定されるものではない。なお、場合に応じて、2種以
上の性状の異なる重質油を混合したり、あるいは重質油
により軽質な炭化水素留分を混合して原料油として用い
てもよい。
【0065】前記水素化処理の反応温度は、通常、30
0〜550℃、好ましくは、350〜500℃の範囲に
選定するのが好適である。水素圧力は、通常、20〜2
00kg/cm2G、好ましくは、50〜150kg/
cm2Gの範囲に選定するのが好適である。
【0066】反応型式としては、特に制限はなく、例え
ば、固定床、移動床、懸濁床(スラリー床)、沸騰床な
どいずれも適用可能であるが、熱効率、運転性等の点か
ら懸濁床が特に好適に採用される。なお、懸濁床の場
合、回分法や半回分法によってもよいが、通常は、生産
性等の点から流通法が好ましい。
【0067】こうした流通法の場合には、供給液空間速
度(LHSV)を、通常、0.05〜5h-1、好ましく
は、0.2〜2h-1の範囲に選定するのがよい。
【0068】水素ガスと原料重質油の供給割合(H2
原料重質油)は、通常、50〜1000Nm3/kl、
好ましくは、100〜800Nm3/klの範囲に選定
するのが好適である。
【0069】以上のようにして、上記各種の重質油の水
素化処理を好適に行うことができ、それらを、硫黄分、
窒素分、重金属分等の不純物含量が十分に少なく、有用
中間留分に富んだ性状のよい炭化水素油に効率よく転化
することができる。また、この方法によると、残留固形
分の副生が少ない、生成油中への灰分の混入がないな
ど、前記したような、本発明の水素化処理用触媒(可燃
性物質を担体する高性能触媒)を用いる種々の利点が発
揮される。
【0070】すなわち、こうして得た生成油(反応混合
物)は、触媒を分離しないでも、燃料油等として好適に
利用することができる。もちろん、従来法のように触媒
を分離して利用してもよい。そのように触媒を分離する
場合にも、分離しにくい微細な触媒が残留しても支障な
いので簡単な分離操作でも十分であるなどの利点があ
る。
【0071】また、通常は、得られた生成油は、蒸留等
の常法に従って所望の各種の留分に分離してそれぞれの
目的に利用されるが、この場合にも、あえて触媒を分離
しないでもよく、例えば、中間留分等の比較的軽質な留
分を蒸留等によって分離した際の残油(未分解回収油)
中には、触媒と若干の残留固形分(コーク、スラッジ
等)が含まれているが、この未分解回収油は、そのまま
でもボイラー用の燃料として好適に使用することができ
る。もちろん、この場合にも、いずれかの段階で適宜触
媒あるいは触媒と残留固形分(コーク、スラッジ等)を
除去してもよい。
【0072】一方、こうして分留された中間留分は、広
くはナフサ〜軽油程度の留分、通常は灯油、軽油留分を
主成分とし、例えばFCCプロセス等のプロセス用の原
料油として、あるいは、性状のよい燃料油等として有効
に利用することができる。
【0073】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその比較例を示
し、これらによって本発明を更に具体的には説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0074】実施例1 モリブデン酸アンモニウム[(NH46Mo724・4
2O]2.63g、硝酸ニッケル[Ni(NO33
2.64g、リンゴ酸[HOOCCH(OH)CH2
OOH]1.5gをイオン交換水に溶解し、全量を45
mlに調製し、含浸液を調製した。
【0075】1mm以下に篩分けた泥炭(炭化度60.
2重量%)23.8g(乾燥重量15g)に前記含浸液
を加え、200℃に熱したサンドバス上で撹拌しながら
水分を蒸発させ、所定の活性金属成分等を担持した。
【0076】次いで得られた担持物を120℃で12時
間乾燥後、ボールミルを用いて1時間粉砕した。
【0077】こうして得た触媒の平均粒径は約1μmで
あり、乾燥重量あたり金属としてニッケル3重量%、モ
リブデン8重量%を含んでいた。
【0078】この触媒0.81gを表1に示す性状の原
料油(アラビアンヘビー減圧残油)80gと共に容量3
00mlのオートクレーグに仕込み、450℃、130
kg/cm2Gの水素加圧下で1時間反応を行い、水素
化処理触媒としての活性及び性能等を評価した。この評
価結果は他の実施例、比較例と共に表2に示す。
【0079】実施例2 実施例1において泥炭の代わりに草炭(ピートモス:炭
化度54.7重量%)24.0g(乾燥重量15g)を
用いた以外は同様にして触媒を調製し、その活性及び性
能も同様にして評価した。結果は表2に示す。
【0080】実施例3 実施例1において泥炭の代わりに紙(トイレットペーパ
ー:乾燥重量あたりの炭素含有量44重量%)16.9
g(乾燥重量15g)を用いたこと以外は同様にして触
媒を調製し、その活性及び性能も同様にして評価した。
結果は表2に示す。
【0081】比較例1 実施例1において泥炭の代わりに褐炭(炭化度68.4
重量%)17.9g(乾燥重量15g)を使用したこと
以外は同様にして触媒を調製し、その活性及び性能等を
同様にして評価した。結果は表2に示す。
【0082】比較例2 実施例1において泥炭の代わりに瀝青炭(炭化度82.
7重量%)15gを使用したこと以外は同様にして触媒
を調製し、その活性及び性能等を同様にして評価した。
結果は表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】<結果の考察>表2からもわかるように、
泥炭、草炭(ピートモス)等の炭化度の低い石炭や紙等
のセルロース系有機物質を担体として使用すると、炭化
度の高い石炭を使用した場合に比べて反応成績が向上す
る。特に中間留分の比率が同程度であっても、固形分
(コークやスラッジ等)の収率が十分に低減される。
【0086】
【発明の効果】本発明の水素化処理用触媒は、炭化度が
低い石炭やセルロース系有機物質という可燃性で柔軟性
があり、安価で、しかも、所定の活性金属成分を十分な
高担持率まで分散性よく担持することができるなど良い
性質を持っている特定の担体を用いて調製されているの
で、各種の重質油の水素化処理に対して十分な活性及び
性能を発揮する上に、担体の可燃性、柔軟性等に基づく
種々の利点を有している。具体的に言えば、本発明の触
媒を重質油や超重質油の水素化処理に用いた時、例え
ば、 (i)有用中間留分の収率及び全体としての水素化処理
活性が十分である上に、従来の無機酸化物担体系の水素
化処理用触媒の場合に問題となっていた、装置の摩耗の
問題が解決され、特に、触媒がたとえ微粒子化されても
灰分の混入がなくなるので、あえて触媒を分離除去しな
いでも未分解回収油をそのままボイラー用の燃料として
好適に利用することができ、触媒を分離する場合にも操
作が簡単でよい; (ii)従来提案されている亜炭(lignite)や
瀝青炭といった炭化度の高い石炭を担体として用いて調
製された水素化処理用触媒の場合と比べて、同様の条件
で比較して、中間留分の収率についてはほとんど同様と
いってもよいが、全体としての活性が増加する場合が多
く、特に、残留固形分の副生が大幅に減少する;など優
れた効果を発揮する。
【0087】また、本発明の重質油の水素化処理は、上
記本発明の高性能水素化処理用触媒を用いているので、
従来の水素化処理用触媒を用いる場合と比較して、少な
くとも上記(i)、(ii)の点で有利となるので、そ
の工業的価値は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 47/10 2115−4H

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無水無灰ベースでの炭素の割合が65重
    量%以下である石炭又はセルロース系有機物質に、少な
    くとも周期表VIA族金属の化合物及び/又は周期表V
    III族の鉄族金属の化合物を担持してなることを特徴
    とする重質油の水素化処理用触媒。
  2. 【請求項2】 前記石炭が泥炭又は草炭である請求項1
    に記載の水素化処理用触媒。
  3. 【請求項3】 前記セルロース系有機物質が、木材、パ
    ルプ、チップ、紙、木質繊維又は植物繊維である請求項
    1に記載の水素化処理用触媒。
  4. 【請求項4】 前記セルロース系有機物質が、パルプ、
    チップ又は紙である請求項1又は3に記載の水素化処理
    用触媒。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の水素化
    処理用触媒の存在下で重質油を水素化処理することを特
    徴とする重質油の水素化処理法。
JP6092659A 1994-04-28 1994-04-28 重質油の水素化処理用触媒及びそれを用いる重質油の水素化処理法 Pending JPH07289898A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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