JPH07289566A - チタン製歯列矯正部品 - Google Patents

チタン製歯列矯正部品

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JPH07289566A JP8984994A JP8984994A JPH07289566A JP H07289566 A JPH07289566 A JP H07289566A JP 8984994 A JP8984994 A JP 8984994A JP 8984994 A JP8984994 A JP 8984994A JP H07289566 A JPH07289566 A JP H07289566A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】機械特性に優れた安全なチタン製歯列矯正部品
を提供する。 【構成】(1) チタン原料粉末とバインダーを混合して混
合物を得る工程 (2) 混合物を射出成形により成形して成形体を得る工程 (3) 成形体内のバインダーを除去する工程および (4) バインダーを除去した成形体を焼結して焼結体を得
る工程 を経て製造されるチタン製歯列矯正部品であって、得ら
れた焼結体は、炭素:0.25wt%以下、酸素:0.
6wt%以下を含み、残部Tiおよび不可避不純物から
なる組成を有し、相対密度が97.0%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属粉末射出成形法に
より製造されるチタン系歯列矯正部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の歯列矯正部品は、金属製、セラミ
ック製あるいは高分子樹脂製のものが用いられている。
セラミック製あるいは高分子樹脂製のものはその色調が
生体の歯に近くできているため、金属製に比べ審美性に
優れている。セラミック製のものは粉末射出成形により
製造されているものもある。金属製のものは耐腐性から
ステンレス鋼が一般に用いられ、その機械特性の優れる
点から広く用いられている。金属製のものは金属粉末射
出成形法あるいは切削加工により製造されている。
【0003】ところが、これらの歯列矯正部品は次のよ
うな問題点がある。すなわち、セラミック製および高分
子樹脂製の物は機械特性がステンレス製の物に比べ劣
り、使用時における破損、口腔内を傷つけるなどの恐れ
がある。また、ステンレス製のものは含有するNiなど
の元素の影響により発癌性やアレルギーが問題とされて
いる(たとえば、「歯科用金属材料」、特殊鋼、42
巻、11号、P42)。
【0004】生体材料用の金属としてはTiが優れるこ
とが知られているが、機械加工性が劣り、微小複雑形状
の歯列矯正部品を機械加工により製造することは困難で
あった。また、金属粉末射出成形法によりチタン製部品
を製造する方法は、特開平2−54733号等で開示さ
れているが、形状が小さいうえ複雑な歯列矯正部品の特
質上要求の特性を得るには十分ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な従来の問題点を解決するものであり、金属粉末射出成
形法を利用し、機械特性の優れた安全なチタン製歯列矯
正部品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は種々の検討を重
ねた結果、前記課題を解決する方法が得られた。すなわ
ち、本発明は、 (1) チタン原料粉末とバインダーを混合して混合物を得
る工程 (2) 混合物を射出成形により成形して成形体を得る工程 (3) 成形体内のバインダーを除去する工程および (4) バインダーを除去した成形体を焼結して焼結体を得
る工程 を経て製造されるチタン製歯列矯正部品であって、得ら
れた焼結体は、炭素:0.25wt%以下、酸素:0.
6wt%以下を含み、残部Tiおよび不可避不純物から
なる組成を有し、相対密度が97.0%以上であること
を特徴とするチタン製歯列矯正部品を提供するものであ
る。
【0007】得られた焼結体は、硬さがHRV100〜3
20、伸びが2%以上であるのが好ましい。
【0008】焼結後の成形体の表面は酸化または窒化、
あるいは金あるいは金合金のコーティングにより、硬さ
を高くするおよび/または表面の色を変化させるなどの
改質処理が施されているのが好都合である。
【0009】使用するチタン原料粉末は平均粒径が25
μm以下、炭素含有量0.25wt%以下、酸素量0.
6wt%以下が好ましい。
【0010】バインダーを除去する工程は、非活性雰囲
気または減圧下で実施するのがよい。
【0011】バインダーを除去した成形体を焼結する工
程は、真空下または不活性雰囲気下において、ゲッター
材と共存下で実施するのが好ましい。さらに、脱脂成形
体は焼結炉内でさらに他の容器に入れて焼結を行なうの
がよい。
【0012】
【作用】本発明のチタン製歯列矯正部品は金属粉末射出
成形法を利用して製造され、下記の工程を経て製造され
る。 (1) チタン原料粉末とバインダーを混合して混合物を得
る工程 (2) 混合物を射出成形により成形して成形体を得る工程 (3) 成形体内のバインダーを除去する工程および (4) バインダーを除去した成形体を焼結して焼結体を得
る工程
【0013】本発明によれば、焼結体すなわち歯列矯正
部品の機械特性、特に引張強度および伸びは焼結体の炭
素および酸素含有量と相対密度により決定されることが
明らかとなった。すなわち、発癌性およびアレルギーの
危険の少ないチタン系で、一般的な価格でかつ必要な機
械特性を満足した歯列矯正部品を得るためには、炭素含
有量および酸素含有量を最小に抑えるとともに十分な密
度の焼結体を得ることが必要である。チタン中に炭素お
よび酸素が侵入すると安定な酸化物あるいは炭化物を生
成するためその除去は困難であるとともに、材料を脆化
させるため、伸びが減少し引っ張り強度も一般に低下す
る。また、焼結体の強度および硬さは密度の影響が大き
く、密度低下により機械特性が劣化する。さらに耐衝撃
性は密度の影響が著しく95%以下の密度では同一材料
組成の空孔のない材料の10分の1程度まで低下する。
【0014】本発明が目的とする機械的特性の十分なチ
タン製歯列矯正部品を得るためには、上記理由から歯列
矯正部品すなわち焼結体の炭素含有量、酸素含有量およ
び相対密度を以下の範囲に限定する。その理由を以下に
説明する。
【0015】まず、炭素含有量については、溶製材料で
知られているようにその0.4%程度の増加で靱性が著
しく低下することおよび酸素含有量および密度の影響に
より炭素含有量が0.25wt%を越えた場合、低酸素
含有量および高密度の焼結体であっても歯列矯正部品と
して必要と考えられる2%以上好ましくは3%以上の伸
びを確保することが困難であるため、本発明の歯列矯正
部品の炭素含有量の範囲を0.25wt%以下とする。
好ましくは0.15wt%以下とする。
【0016】同じく、酸素含有量についても検討を行
い、上記伸びを確保するために許容できる酸素量が最大
0.6wt%であることから本発明の歯列矯正部品の酸
素含有量の範囲を0.6wt%以下とする。好ましくは
0.5wt%以下とする。
【0017】焼結体の密度はその機械特性への影響が大
きく、空孔の皆無の材料が最も好ましいが、緻密化に要
する条件は複雑であり、空孔の無い材料を得ることは経
済上および製造工程上難しい場合が多い。そこで本発明
の目的である機械特性に優れる歯列矯正部品を得るに必
要な密度を鋭意検討した結果、前記炭素および酸素含有
量を満足していれば97%以上の密度を得ることによ
り、必要な機械特性を満足することが明らかとなった。
そこで本発明の歯列矯正部品の相対密度を97%以上と
する。
【0018】焼結体は表面研磨、形状修正などの後処理
後歯列矯正部品とされる。この歯列矯正部品は、Ni、
Crなど人体にアレルギーを起させる元素を含まないう
え、セラミック製あるいは高分子樹脂製に比べ高い機械
特性が得られる。しかしワレカケなどが発生しないため
には、2%以上好ましくは3%以上の伸びが必要であ
り、また硬さ(HRV)は100〜320が必要と思われ
る。それは、使用時に食物との接触などにより部品に強
い力が加わった場合、ワレや変形により口控内を傷つけ
るためワレや変形を回避することが望ましいとの理由に
よる。
【0019】本発明は歯列矯正部品の炭素含有量、酸素
含有量および相対密度の範囲を定めるが、これらを実現
するため金属粉末射出成形法を利用する。この方法は原
料と各工程の条件の組合せにより実現可能である。本発
明においては各工程における下記の好適な条件に従って
実施する。 (1) チタン原料粉末とバインダーを混合して混合物を得
る工程 (2) 混合物を射出成形により成形して成形体を得る工程 (3) 成形体内のバインダーを除去する工程および (4) バインダーを除去した成形体を焼結して焼結体を得
る工程
【0020】本発明に用いるチタン原料粉末は、その製
造方法を特に限定しないが、本発明の目的とする純度を
得るためには、チタン原料粉末の純度および比表面積、
粒径を以下の条件とする。
【0021】すなわち、チタン原料粉末の純度は焼結後
の製品の純度に直接関係する重要な特性である。したが
って、原料粉末の炭素含有量および酸素含有量は、それ
ぞれ0.25%以下、0.6%以下とし、好ましくはそ
れぞれ0.1%以下、0.3%以下とし、これらの元素
を除く純度は99.5%以上であることが望ましい。ま
た、原料粉末の酸素含有量は粉末の比表面積に依存する
傾向があるため、上記酸素含有量を満足する粉末の比表
面積は一般に0.15m2/g以下となる。
【0022】これらの原料粉末の特性は、粉末の粒度が
粗いほど一般に得られやすくなる。ところが、純度を満
足しても相対密度を97%以上としなければ本発明の目
的の歯列矯正部品を得ることは困難である。高密度を得
るためには粉末の粒度は微細なほど好ましい。また、歯
列矯正部品の微小な形状、特に歯と接着する部分の充分
な強度を得るためには接触部の微細構造が重要であり、
これを成形時に得るためにも粗い粒子の存在は本発明の
実現に好ましくない。そこで本発明に使用する粉末の粒
度(平均粒径)は望ましくは25μm以下とする。
【0023】本発明に用いるバインダーは、酸素含有量
の少ないバインダーを用いるほど脱バインダー時のチタ
ン粉末への酸素の移行を防止し易く好ましいが、脱バイ
ンダーの条件により粉末酸素含有量の増加防止は抑制可
能であるため、本発明では使用するバインダーの種類を
特に規定しない。代表的には、EVA、PP、PE、P
BMAなどの樹脂が挙げられ、さらにこれらはWAX、
可塑剤などを含むことができる。
【0024】まず、上述したチタン原料粉末とバインダ
ーを混合する。この工程は、一般のニーダーなどの混練
機あるいは一般の加熱混合機の使用も可能である。混合
機の選定は使用する粉末およびバインダー特性に応じ任
意に選定可能であり、本発明では特に規定しないが、原
料粉とバインダーの濡れが十分となるようにすることが
良好な製品を得るために好ましい。このためには、混練
時に十分混合物に剪断力を加えることと金属粉末表面と
の濡れ性を良くするバインダ配合とすることが重要であ
る。
【0025】次に、このようにして得られたチタン原料
粉末とバインダーの混合物を射出成形機により射出成形
する。この成形工程は、チタン原料粉末およびバインダ
ーの物性および混合比により混合物の物性が変化するた
め、その物性に応じた成形機および成形条件により成形
を行うことが必要であり、本発明ではこれらについて特
に規定しない。
【0026】成形に用いる金型は一般にプラスチック成
形金型と同様なもので十分であるが、本発明の歯列矯正
部品は微細かつ複雑形状であるため、一般のプラスチッ
ク成形におけるこのような微細複雑部品の成形技術を適
用することが好ましく、金型についても同様に、多数の
スライドを円滑に作動させる機構が必要である。また、
多数の微細な部品のスライドを円滑に作動するととも
に、歯との十分な接着を可能とするため接着部裏面の形
状は円筒あるいは球の一部分を含んだ形状が望ましい。
【0027】本発明の成形金型の構造は目標形状が得ら
れる構造であれば特に限定しないが、経済性および歯と
の十分な密着性を満足するため、ホットランナー等を用
いゲート幅を1mm以下とする事が望ましい。
【0028】次は、得られた成形体からバインダーを除
去する。この工程は、バインダーの選定に依存するため
特に条件を限定しない。しかし、一般にバインダー中に
含有する炭素を成形体を構成するチタン粉末あるいは成
形体の敷板などに滞留することのないようバインダーは
速やかに除去する必要がある。したがって、比較的低温
(例えば100〜350℃)において除去することが望
ましいといえる。
【0029】また、脱脂を速やかとするために減圧下あ
るいは不活性雰囲気下で処理することが酸素および炭素
含有量の増加抑制の点から有効である。さらに、粉末の
酸素、炭素の移行が進みにくい比較的低い温度範囲にお
いてバインダーを構成する高分子樹脂の分解を速やかに
する反応性雰囲気、環境に置くことも有効である。
【0030】最後に、バインダーを除去した成形体を焼
結する。この工程において大きな問題は、酸素と親和力
が高く表面積の大きな粉末の増加をいかに抑制するかで
ある。特に、歯列矯正部品は形状が微細で複雑であるた
め重量の割に表面積が大きく、炭素、酸素などが侵入し
やすく、公知の焼結方法では十分な特性が得られない。
この問題について発明者らは鋭意検討した結果、基本的
には脱バインダー後の成形体の設置された環境の酸素ポ
テンシャルを以下に低く保てるかにより焼結後の焼結体
の酸素含有量が決定されるとの結論を得た。この焼結時
の酸素ポテンシャルを低く維持するためには、炉構造、
雰囲気、敷板の材質などの影響が大きいことが明らかと
なり、本発明を実現するための望ましい条件が得られ
た。
【0031】本発明に用いる焼結炉の加熱方式および雰
囲気については特に限定しない。しかし、脱バインダー
(脱脂)された成形体の酸素増加を抑制するため、望ま
しくは真空または不活性ガス雰囲気中の焼結の可能な構
造であり、より成形体近傍からの酸素および炭素の侵入
を抑制するためこれら成形物を炉容器の内側にさらに容
器(黒鉛製が好ましい)を設け、これに脱脂成形体を挿
入して焼結処理することが望ましい。またこの容器中の
成形体の最も近傍に酸素および炭素を吸収可能な物質を
ゲッターとして設置することが望ましい。ゲッターの量
および材質は成形体との位置関係、敷板材質、容器形状
により選定されるが、発明者らの検討ではチタン屑をゲ
ッターに用いることで経済性良く有効な不純物侵入抑制
が可能となった。
【0032】得られた焼結体は必要に応じ、表面の研磨
或いは形状の修正など仕上げ加工の後使用に供される
が、金属の研磨品は光沢があり、審美性がセラミックス
あるいは高分子樹脂製に比べ劣るため、表面を熱処理あ
るいはめっきなどのコーティングにより改質し、歯の色
調に近い状態に変化させ使用することが可能である。
【0033】これら表面の改質にはCVDなどによる窒
化あるいは酸化などによる方法あるいは金または金合金
によるメッキなどを加えることが可能である。これら技
術により審美性の向上は可能ながら歯列矯正部品表面が
純チタンと異なる性状となることによる生体適合性の低
下をまねくため本発明の目的が満足できる方法を選択す
る必要がある。
【0034】さらにコーティングによる表面硬さの改善
の効果を得ることも可能であり、歯列矯正時ワイヤーと
の滑り性が改善できた。
【0035】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明する。 (実施例1)表1に示すガスアトマイズ純チタン粉を原
料とした。炭素および酸素含有量は燃焼式の分析法によ
り、平均粒径の測定はレーザー回折式粒度分布測定装置
を用い、比表面積の測定はBET法を用いて測定した。
この粉末に、容積率で約30%の熱可塑性樹脂(三菱化
成社製SB125、50%)、ワックス、(日本製ろう
社製WAX130、40%)可塑剤(新日本理化社製ジ
ブチルフタレート、10%)からなる有機バインダーを
添加し、加圧ニーダーにより130℃30分の混練を実
施し、コンパウンドを作成した。得られたコンパウンド
の粘度をキャピラリー型の粘度測定装置で粘度を測定し
た結果、150℃にて剪断速度1216 -1時の粘度が1
100Poise であった。このコンパウンドを用いて、イ
ンラインスクリュー式の射出成形機を用いて歯列矯正部
品を成形した。また並行して、機械特性測定用の引っ張
り試験片を成形した。具体的には下記の通りである。
【0036】(成形条件)成形条件については表中すべ
て同一条件Aとした。しかし、原料の粉末によっては原
料コンパウンドの粘度が異なるため成形時の射出圧およ
び保圧のみ変更修正した。成形温度140℃金型温度2
5℃とした。
【0037】得られた成形体を減圧雰囲気(10〜10
-5Torr)中で200℃まで加熱後アルゴンガス気流中で
最高温度280〜450℃まで12時間で昇温すること
により具体的には下記条件で脱バインダーを行った。
【0038】(脱脂条件)脱脂については雰囲気からの
チタン粉末の酸化を防ぐとともにバインダーの分解によ
る炭素および酸素の侵入を防止する必要があるととも
に、焼結炉内でのガス発生を少なくする必要がある。脱
脂条件Aでは最高温度を300℃とし、Bでは350℃
とし、Cでは450℃とした。これらの条件と雰囲気、
昇温速度、バインダ種などの条件の組合せで脱脂体の性
状が決定される。
【0039】脱バインダーした成形体を焼結炉内で表面
の平滑なジルコニア性の敷板上に配置し、下記の条件と
して、1Toor以上の真空度で800℃まで昇温したのち
アルゴンガス中で1200℃にて2時間の保持を行い焼
結を行った。
【0040】(焼結条件)条件AはTiくずゲッターを
装入量製品重量の2倍の量を成形体近くに装入したう
え、黒鉛製の箱に装入した。条件Bはゲッターを製品重
量の2分の1とし上記と同様の箱を使用した。条件Cは
ゲッターも箱も使用しない条件で実施した。
【0041】得られた焼結部品および焼結試験片の硬さ
を測定するとともに試験片により機械的特性を確認し
た。
【0042】その結果部品と試験片の酸素含有量、炭素
含有量および硬さは同様であり一致した。そこで試験片
の機械特性と同等の機械特性が得られると判断した。得
られた焼結体の化学組成、密度、機械特性を表1に示
す。なお、強度および伸びはダンベル形試験片を用い
て、オートグラフ型引張り試験機で測定した。また、硬
さはマイクロビッカース硬度計により測定した。
【0043】(実施例2)表2に従来の方法との比較を
示す。本発明の歯列矯正部品の特性は、従来のものに比
べて機械特性、生体適合性を満足する優れた方法である
ことが明らかである。比較例1、2のセラミックス、ス
テンレス製の部品に比べ、審美性にやや劣る場合のある
ものの、優れた機械特性により口腔中での破損の恐れが
小さく、さらに従来のMIM製あるいは切削加工製によ
るところのステンレス製部品のようなNi等の含有によ
る発癌性、アレルギー性の恐れを回避可能である。さら
に歯列矯正部品へのチタン適用の従来の試みでは、削除
加工ではチタンの機械加工性の悪さと部品の微小かつ複
雑形状の点から工業的に製造することが困難であった。
また同様に金属粉末射出成形による製造では溶製材と同
等の機械特性を達成できず実用に供することが困難であ
った。
【0044】なお、表2に従来の製法についてあらため
て示す。これらの1〜4は各社の製造している一般的な
製品の特徴を示すものである。
【0045】比較例1および4の市販の高分子樹脂およ
びセラミック製のものでは、伸びがほとんどなく、部品
が割れた場合、口控中を傷つける恐れのある点が本発明
例に比べ劣る。
【0046】比較例2、3のステンレス製の部品は加工
方法が異なっても含まれる元素はほぼ同一となる結果、
耐食性を得るためNi、Crを含む物が一般的であり、
機械特性は優れるもののアレルギーの恐れがある。
【0047】機械特性とアレルギー回避を両立させるに
はチタン製が最も望ましい材料と言える。ところが比較
例5に示すように部品形状が複雑で小型のため、切削加
工を用いて製造した場合、一般に使用可能な単価で製造
することは困難である。比較例6に従来技術によるMI
M製チタン部品の特性は表1の比較例に示したように、
機械特性に劣るため使用困難であった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明のチタン製歯列矯正部品は、金属
粉末射出成形法を利用して一定の組成や密度としたため
に、その機械的特性、生体適応性、審美性において従来
のものより優れ、アレルギー、発癌などの心配なく利用
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 1/04 E 14/00 Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1) チタン原料粉末とバインダーを混合し
    て混合物を得る工程 (2) 混合物を射出成形により成形して成形体を得る工程 (3) 成形体内のバインダーを除去する工程および (4) バインダーを除去した成形体を焼結して焼結体を得
    る工程 を経て製造されるチタン製歯列矯正部品であって、得ら
    れた焼結体は、炭素:0.25wt%以下、酸素:0.
    6wt%以下を含み、残部Tiおよび不可避不純物から
    なる組成を有し、相対密度が97.0%以上であること
    を特徴とするチタン製歯列矯正部品。
  2. 【請求項2】得られた焼結体は、硬さがHRV100〜3
    20、伸びが2%以上である請求項1に記載のチタン製
    歯列矯正部品。
  3. 【請求項3】焼結後の成形体の表面は改質処理されてな
    る請求項1または2に記載のチタン製歯列矯正部品。
  4. 【請求項4】使用するチタン原料粉末は平均粒径が25
    μm以下、炭素含有量0.25wt%以下、酸素含有量
    0.6wt%以下である請求項1〜3のいずれかに記載
    のチタン製歯列矯正部品。
  5. 【請求項5】バインダーを除去する工程を、不活性雰囲
    気または減圧下で実施する請求項1〜4のいずれかに記
    載のチタン製歯列矯正部品およびその製造方法。
  6. 【請求項6】バインダーを除去した成形体を焼結する工
    程を、真空下または不活性雰囲気下において、ゲッター
    材と共存下で100〜350℃の温度で実施する請求項
    1〜5のいずれかに記載のチタン製歯列矯正部品。
  7. 【請求項7】バインダーを除去した成形体を焼結する工
    程を、該成形体を焼結炉内でさらに他の容器内に入れて
    実施する請求項6に記載のチタン製歯列矯正部品。
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