JPH07286999A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JPH07286999A
JPH07286999A JP7039651A JP3965195A JPH07286999A JP H07286999 A JPH07286999 A JP H07286999A JP 7039651 A JP7039651 A JP 7039651A JP 3965195 A JP3965195 A JP 3965195A JP H07286999 A JPH07286999 A JP H07286999A
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JP
Japan
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signal
sample volume
range
burst
gate
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JP7039651A
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English (en)
Inventor
Eiichi Shiki
栄一 志岐
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Toshiba Corp
Canon Medical Systems Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Medical Systems Engineering Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、観測範囲内の距離精度又は
S/N比を向上させた超音波診断装置を提供することで
ある。 【構成】 超音波(バースト波)を送受信するプローブ
101と、このプローブ101を駆動する送信系102
と、プローブ101にて受信した反射エコーに送信時と
同じ方向に受信指向性を与える受信回路103と、受信
回路103からの出力信号に対し周波数スペクトラムを
得るための所定の信号処理を行うドプラモード処理系1
05と、送信系102及びドプラモード処理系105の
所定の制御を行う制御回路107と、周波数スペクトラ
ムを得る観測範囲(サンプルボリューム)の観測領域
(空間長)、観測位置(深さ)等を設定するサンプルボ
リューム設定部108とを備えるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波のドプラ効果を
利用して被検体内の任意の観測範囲の血流情報や組織の
運動情報などの移動物体の移動情報を診断する超音波診
断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超音波診断装置を用いて、被検体
内のある観測範囲に関する血流情報や組織の運動情報等
の移動物体の移動情報を診断することが医用分野で普及
してきている。これは、被検体内に送信した超音波が血
流などの移動物体で反射する際発生するドプラ効果によ
り周波数偏移を受けるという原理に基づいている。これ
によって観測範囲内の血流速度等の移動物体の速度の時
間的推移(ドプラ偏移周波数の時間的推移に換算される
場合もあり、一般的に周波数スペクトラムと呼ばれてい
る。)を求めており、これを表示することにより観測範
囲の血流速度などが容易に観察できるようになってい
る。
【0003】また最近では、観測範囲の血流速度等を求
めるために単発の超音波パルスではなく複数の超音波パ
ルスを短時間のうちに繰り返し送波するバースト波が用
いられてきている。その理由として、バースト波を用い
ることにより送信超音波の周波数帯域が狭く絞り込まれ
るので、S/N比が単発の超音波パルスより向上するな
どが挙げられる。
【0004】このバースト波を採用した場合、移動物体
の観測範囲内の移動情報(例えば血流速度)は以下のよ
うに得られる。まず、例えばTVモニタ上に図3に示す
ような被検体の断層像(Bモード像)と観測範囲を示す
サンプルボリュームマーカ(以下、マーカという。)を
表示してドプラ信号の検出対象部位(図中では血管)を
探す。そしてTVモニタを参照してマーカを検出対象部
位に移動し、マーカの観測領域(空間長)、観測位置
(深さなど)を設定する。このように設定を行うと、プ
ローブにより被検体にバースト波を繰り返し送波し、そ
の反射エコーを繰り返し受波する。プローブにより反射
エコーが受波されると、反射エコー信号に対して直交位
相検波などの信号処理を施してドプラ信号を得る。得ら
れたドプラ信号にはレンジゲート回路によりレンジゲー
トが掛けられ、観測範囲内のドプラ信号が切り出され
る。以下、レンジゲート回路によりドプラ信号に対して
レンジゲートを掛ける一例について具体的に説明する。
図4は、従来の超音波診断装置において、1回の送信タ
イミングによって送信したバースト波から得られたドプ
ラ信号に対して掛けるレンジゲートのタイミング及びゲ
ート幅を説明するための図である。尚、バースト波は、
任意の周期(レート周期)で繰り返されるレート信号の
ブランキングの終了時刻から送波されるものとして以下
説明する。また、レート信号には、当該レートと次のレ
ートの間にブランキング時間と呼ばれる時間があり、ブ
ランキンブ時間の開始時刻は、当該レートの最深部の位
置に相当する時刻を示し、終了時刻は次のレートの深さ
0に相当する時刻を示す。図4の横軸は、プローブ先端
(深さ0)からの深さ方向の距離(深度)に応じた時間
軸を示しており、プローブ1先端からの深さに対応す
る。t0 は、深さ0の時刻、即ちプローブにて最初に反
射エコーが受波された時刻を示している。レンジゲート
を掛けるタイミングとはt0 を起点とした時間遅れのこ
とをいう。P1 〜Pn は、1回の送信タイミングによっ
て送信された超音波が反射する音響インピーダンスの界
面(各深さの散乱体)からの反射エコーを浅い部分から
順に示したものである。図4に示すようにレンジゲート
回路は、プローブ先端を基準(時刻t0 を起点)にし、
レンジゲートを掛けてマーカ内の最浅部に相当する時刻
から最深部に相当する時刻の範囲に時間幅(ゲート幅)
τG のドプラ信号を切り出している。 切り出されたド
プラ信号は、高調波成分や血管などの固定反射エコー及
び比較的遅い生体内の動きに拠るドプラ偏移周波数が除
去され、血流のみのドプラ偏移周波数が抽出された後、
周波数分析器に送られる。周波数分析器では、不要なド
プラ偏移信号(周波数)が除去されたドプラ信号を高速
フーリエ変換等の周波数解析して観測範囲内の周波数ス
ペクトラムを求める。求めた周波数スペクトラムは、血
流速度に対応するものとして、TVモニタに表示され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の超音波
診断装置にあっては、任意の位置(深さ等)に設定され
た観測範囲(マーカ)内の周波数スペクトラム(速度分
布に換算される場合もある)を得るためにドプラ信号に
対してレンジゲートを掛けてマーカの空間長及び深さに
相当する範囲のドプラ信号を切り出すようにしている。
【0006】しかしながら、バースト波は所定のバース
ト長τB を有しており、反射エコーを受波する際に同一
深度の界面からの反射エコー信号(バースト波の反射成
分)がバースト長分継続するため、レンジゲート回路に
て設定したレンジゲートのゲート幅内に相当する深さの
界面からのエコー信号だけを切り出すことができない。
つまりレンジゲート回路は、マーカ内の最浅部に相当す
る時刻から最深部に相当する時刻の範囲のドプラ信号を
切り出すようにレンジゲートを掛けているが、バースト
波が所定のバースト長を有しているため、マーカの最浅
部より浅い界面(図4ではP3 、P4 、P5 )の不要な
反射エコーまでもレンジゲートにより切り出され、ドプ
ラ信号に混入されてしまう。そのため、この混入エコー
によりサンプルボリュームの距離精度が低下してしま
い、結果的に周波数スペクトラムにアーチファクトを形
成してしまうことになった。
【0007】また、従来の超音波診断装置は、マーカの
空間長にレンジゲートのゲート幅を対応させると共にマ
ーカの空間長の変化に応じてレンジゲートのゲート幅を
変えていたため、そのサンプルボリュームにおいて必ず
しもS/N比が良いとはいえなかった。そこで本発明は
上記欠点を解決するものであり、その目的は、観測範囲
内の距離精度又はS/N比を向上させた超音波診断装置
を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、被検体内の移動物体に所定の超音波パルス
を送波すると共に、前記被検体内からのエコー信号を繰
り返し受波する超音波送受波手段と、この超音波送受波
手段を駆動する駆動手段と、前記エコー信号を信号処理
してドプラ信号を得る信号処理手段と、前記移動部位の
観測範囲を設定するサンプルボリューム設定手段と、前
記信号処理手段から得られた前記ドプラ信号に所定のゲ
ート幅を持ったレンジゲートを掛けて前記観測範囲内の
ドプラ信号を切り出すレンジゲート手段と、前記サンプ
ルボリューム設定手段の設定に応じて、前記ゲート幅が
前記観測範囲の空間長より小さくなるよう前記レンジゲ
ート手段を制御する制御手段とを備えるものである。
【0009】
【作用】本発明によれば、超音波送受波手段によって超
音波パルスを被検体の移動部位に送波し、移動部位から
反射してきた超音波パルスのエコー信号を受波し、これ
らエコー信号を信号処理手段で信号処理してドプラ信号
を抽出し、このドプラ信号に対してレンジゲート手段
で、サンプルボリューム設定手段により設定された観測
範囲の空間長より小さいゲート幅のレンジゲートを掛け
ることにより、観測範囲内の距離精度又はS/N比を向
上させることができる。
【0010】
【実施例】以下本発明に係る一実施例について図面を参
照しながら説明する。なお、以下、バースト波とは短時
間のうちに繰り返し送波される超音波パルス系列のこと
をいい、バースト波長とはバースト波の立ち上がりから
終了するまでの所要時間をいい、バースト1波とはバー
スト波を形成する超音波パルス系列のうち1つの超音波
パルスのことをいい、バースト波数とはバースト1波の
数をいい、バースト1波周期とはバースト波の繰り返し
周期をいうものとする。
【0011】図1は、本発明による超音波診断装置の一
実施例を示すブロック図である。図1に示す実施例装置
は、超音波(バースト波)を送受信するプローブ101
と、このプローブ101を駆動する送信系102と、プ
ローブ101にて受信した反射エコーに送信時と同じ方
向に受信指向性を与える受信回路103と、組織像(B
モード像、Cモード像などの断層像)を表示するために
受信回路103からの出力信号に対し所定の信号処理を
行う断層像処理系104と、周波数スペクトラムを得る
ために受信回路103からの出力信号に対し所定の信号
処理を行うドプラモード処理系105と、断層像処理系
104及びドプラモード処理系105の各処理結果を表
示する表示系106と、送信系102及びドプラモード
処理系105の所定の制御を行う制御回路107と、表
示系106を参照して周波数スペクトラムを得る観測範
囲(サンプルボリューム)の観測領域(空間長)、観測
位置(深さ)等を設定するサンプルボリューム設定部1
08とによって構成される。尚、サンプルボリュームの
空間長とはサンプルボリュームの幅をいい、深さとはプ
ローブ101からの深さ方向の距離をいう。
【0012】サンプルボリューム設定部108は、サン
プルボリュームの空間長及び深さを設定し、設定された
空間長及び深さを時間長に変換するものである。サンプ
ルボリューム設定部108は、サンプルボリュームを設
定するための操作卓(図示せず)と、空間長から時間長
に単位を変換する単位変換器(図示せず)とからなる。
なお、表示系106を用いてサンプルボリュームの空間
長及び深さを設定する場合には、表示系106に表示さ
れるサンプルボリューム(以下、マーカという。)と操
作卓で設定されるサンプルボリュームが対応する。操作
卓上にはマーカの空間長及び位置を設定するトラックボ
ール、マウスなどの指示器(図示せず)が設けられてい
る。術者は、この指示器を用いてTVモニタ106B上
のマーカを動かし、マーカの位置(空間長及び深さ)を
確定することにより、サンプルボリュームの空間長及び
深さを設定する。表示系106を用いて設定された設定
サンプルボリュームの空間長及び深さは、単位変換器に
より空間長及び深さはそれぞれ対応する時間長に変換さ
れる。この変換式は、空間長又は深さをχ、対応する時
間長をτ、超音波の速度をcとすると、
【0013】
【数1】 で与えられる。尚、以下の説明では繁雑さを避けるため
「空間長」と「空間長に対応する時間長」、「深さ」と
「深さに対応する時間長」という用語を区別せず用い、
サンプルボリューム設定部108により設定されたサン
プルボリューム(ここではマーカ)を「設定サンプルボ
リューム」、バースト長とゲート幅との和からなるサン
プルボリュームを「サンプルボリューム」という。
【0014】制御回路107は、サンプルボリューム設
定部108の設定に基づいて送信系102及びドプラモ
ード処理系105を制御するものであり、送信系102
(後述のパルス発生器102A及び送信回路102B)
を制御するバースト制御回路107Aと、ドプラモード
処理系105(後述のレンジゲート105Ea、105
Eb)を制御するゲート制御回路107Bとによって構
成される。
【0015】バースト制御回路107Aは、送信系10
2にバースト制御信号を供給してバースト波の性質を設
定するものである。一般的に、バースト波の性質はバー
スト長、バースト波数、バースト1波周期、バースト電
圧とによって決定されるが、バースト1波周期を固定と
すると、バースト波数に応じてバースト長も自ずと決定
される。従ってバースト制御回路107Aは、バースト
波数又はバースト長の少なくとも一方とバースト電圧を
設定するようにする。具体的には、バースト制御回路1
07Aは、パルス発生器102Aを制御し、バースト長
が設定サンプルボリュームの空間長の範囲内で変化する
ようにバースト波数を変化させる。またバースト制御回
路107Aは、送信回路102Bに対して送信パワーが
生体に対する安全規格に入るようにバースト長に応じて
バースト電圧を変化させる。
【0016】ゲート制御回路107Bは、サンプルボリ
ューム設定部108又はバースト制御回路107Aの少
なくとも一方に応じて後述のレンジゲート回路105E
a、105Eb(レンジゲートを掛けるタイミング及び
ゲート幅)を制御するものである。すなわちゲート制御
回路107Bは、サンプルボリューム設定部108にて
設定したマーカの空間長及び深さと、バースト制御回路
107Aにより変化されるバースト長に応じてレンジゲ
ート回路105Ea、105Ebを制御する。これによ
ってマーカ内のドプラ信号に対して掛けられるレンジゲ
ートのタイミングとゲート幅を制御することができる。
尚、この制御は、ゲート制御回路107Bからレンジゲ
ート回路105Ea、105Ebにレンジゲート制御信
号を送信することにより行われる。また、レンジゲート
を掛けるタイミングは、深さ0からのエコー信号(ドプ
ラ信号)がレンジゲート回路105Ea、105Ebに
到達する時刻から起算して表す。
【0017】送信系102は、バースト制御回路107
Aの制御に従ってプローブ101を駆動するものであ
る。送信系102は、バースト制御回路107Aからの
バースト波数を設定するためのバースト制御信号に従っ
て、バースト波数分のパルス列を発生するパルス発生器
102Aと、パルス発生器102Aからのパルス列に基
づいた送信タイミングと駆動周波数及びバースト制御回
路107Aからのバースト制御信号に応じて所定の駆動
電圧(駆動信号)を出力する送信回路102Bとによっ
て構成される。また、バースト波の送波タイミングは、
送信レート信号のブランキングの任意の時間からバース
ト波を送波するようにしても良いが、ここでは理解を容
易にするためにレート信号のブランキングの立ち下がり
時間からバースト波を送波するものとする。なお、詳細
は後述する。
【0018】プローブ101は、被検体内の所望部位に
向けて超音波(バースト波)を送波し、被検体からのエ
コー信号を受波するものである。プローブ101には、
複数の圧電振動子が並列に設けられており、圧電振動子
によって超音波を送受波する。またこれらの圧電振動子
は、送信回路102Bからの駆動信号に従って、被検体
内の所望部位にバースト波を送波し、被検体内の音響イ
ンピーダンスの各界面(各深さの散乱体)からの反射エ
コーを複数(全部を含む)または一部の圧電素子で受波
する。ここで、プローブ101と送信回路102Bとの
関係を簡単に説明する。送信回路102Bは、断層像例
えばBモード像を生成する場合、バースト波を送波する
毎に制御タイミング発生回路(図示せず)からの送信タ
イミングが少しずつ変化するのに応じて、各圧電振動子
に与える駆動信号のタイミングを少しずつ変化させる。
これにより被検体内の任意の位置のスキャン面をスキャ
ンすることができる。また送信回路102Bは、ドプラ
モードを表示する場合、何回バースト波が送波されても
制御タイミング発生回路からの送信タイミングを一定に
し、駆動信号をある一定のタイミングで各圧電振動子に
出力する。これによりプローブ101からバースト波は
同一方向に繰り返し送波される。
【0019】受信回路103は、プローブ101からの
反射エコーの音響強度に対応した受信信号を個別に増幅
した後、送信時と逆の遅延時間を圧電振動子毎に与えて
整相加算するものである。これにより送波時と同じ方向
に受信指向性が与えられる。尚、この受信回路103の
出力信号は、断層像処理系104、ドプラモード処理系
105に送られる。
【0020】断層像処理系104は、後述のTVモニタ
106Bで断層像例えばBモード表示するために、受信
回路103からの出力信号に所定の信号処理を施すもの
である。この断層像処理系104は、受信回路103か
らの出力信号を対数的に増幅する対数増幅器104A
と、対数増幅器104Aにより増幅された出力信号を包
絡線検波する包絡線検波回路104Bと、包絡線検波回
路104Bにより検波されたアナログの信号をデジタル
信号に変換するアナログデジタル変換器(A/D−C)
104Cとによって構成される。
【0021】ドプラモード処理系105は、周波数スペ
クトラムを得てTVモニタ106Bで血流速度の時間的
推移するために、ある観測範囲(サンプルボリューム
内)における血流又は組織の運動等の移動体の周波数ス
ペクトル(速度分布に換算される場合もある)を演算す
るものである。ここでは、ドプラモード処理系105
は、サンプルボリューム設定部108により設定された
マーカ内の移動体の移動情報(例えば血流速度)を得る
ために所定の信号処理を行う。またドプラモード処理系
105は、移動体の順逆の移動方向(プローブ101に
近付くものと離れるもの)を区別するために2系統にし
ている。尚、ドプラモード処理系105は、位相検波回
路105Aa、105Ab、発信回路105B、直交移
相器105C、低域通過フィルタ(LPF)105D
a、105Db、105Ia、105Ib、レンジゲー
ト回路105Ea、105Eb、積分回路105Fa、
105Fb、サンプルホールド回路105Ga、105
Gb、高域通過フィルタ(HPF)105Ha、105
Hb、演算回路105Jによって構成される。
【0022】発信回路105Bは、送信超音波の中心周
波数に一致する周波数の参照信号を出力するものであ
る。この参照信号は、発信回路105Bから位相検波回
路105Abに直接送られると共に、位相検波回路10
5Aaに直交位相器105Cを介して送られる。また参
照信号は、エコー信号(受信回路103からの出力信
号)を位相検波する際の周波数と位相の基準になる。
【0023】直交移相器105Cは、発信回路105B
からの参照信号の位相をπ/2ずらすものである。そし
て発信回路105Bの出力(実数部とする)と、直交移
相器105Cの出力(虚数部とする)とで複素参照信号
を形成する。
【0024】位相検波回路105Aa、105Abは、
受信回路103からの出力信号を複素参照信号に基づい
て検波するものである。具体的には位相検波回路105
Abは、発信回路105Bからの参照信号(複素参照信
号の実数部)と受信回路103からの出力信号とを掛け
合わせて実数部信号をつくる。そして位相検波回路10
5Aaは、直交位相器105Cにより位相がπ/2ずら
された発振回路105Bからの参照信号(複素参照信号
の虚数部)と受信回路103からの出力信号とを掛け合
わせて虚数部信号をつくる。これにより、受信回路10
3からの出力信号から、送信周波数f0 と受信周波数f
1 との差であるドプラ効果による偏移周波数成分(以
下、ドプラシフトfd という。)と、(2・f0 +f
d )の高周波信号が検出される。
【0025】LPF105Da、105Dbは、それぞ
れ位相検波回路105Aa、105Abからの出力信号
(以下、ドプラ信号という。)の高周波成分を除去し、
低周波成分であるドプラシフトfd を抽出するものであ
る。これにより、受信回路103からの出力信号は送信
周波数成分f0 が差し引かれると共に、ベースバンド
(0を中心とした帯域)に落とされ、ドプラシフトfd
を有する複素信号が得られる。この複素信号を用いるこ
とにより、移動体の順逆の移動方向の区別が可能とな
る。尚、位相検波回路105Aa、105Ab、LPF
105Da、105Dbによってエコー信号に送信周波
数と略同一の周波数をもつ複素基準信号(参照信号)を
掛け合わせることにより実信号を複素信号にし、高周波
領域にある信号を除去して(ベースバンドにおとす)ド
プラ信号を得ることを直交位相検波するという。
【0026】レンジゲート回路105Ea、105Eb
は、ゲート制御回路107Bからのレンジゲート制御信
号に従って、直交位相検波されたドプラ信号を積分回路
105Fa、105Fbで積分する積分区間(ゲート
長)通過させるものである。これにより、所定のタイミ
ングでレンジゲート内のドプラ信号が切り取られる。
【0027】積分回路105Fa、105Fbは、レン
ジゲート回路105Ea、105Ebで切り出されたド
プラ信号を積分するものである。すなわち積分回路10
5Fa、105Fbは、ドプラ信号を積分することによ
りドプラ信号の総和を求めるものである。尚、レンジゲ
ート回路105Ea、105Ebにより切り取られたド
プラ信号は、時間軸に沿って積分される。そして、レー
ト周期と呼ばれる周期でバースト波の送受信を繰り返す
ことによりドプラ偏移信号(ドプラ信号の時間的推移を
表すものであり、便宜上ドプラ信号と区別する。)を得
る。
【0028】サンプルホールド回路105Ga、105
Gbは、積分回路105Fa、105Fbが積分を行う
のに先立ちリセットを行うために、積分結果を次の積分
結果が得られるまで保持するものである。すなわちサン
プルホールド回路105Ga、105Gbは積分結果を
サンプルして例えば1レート間保持する。
【0029】HPF105Ha、105Hbは、ドプラ
偏移信号から例えば数百ヘルツ以下の信号を取り除くも
のである。これによって、臓器壁等の血流より動きの遅
い部分からの不要な周波数成分即ちクラッタ成分が除去
される。
【0030】LPF105Ia、105Ibは、HPF
105Ha、105Hbからのドプラ偏移信号の高周波
成分を除去し、低周波成分を抽出するものである。これ
により、ドプラ偏移信号の帯域はレート周期の逆数の周
波数で決定されるナイキスト周波数に制限される。
【0031】演算回路105Jは、LPF105Ia、
105Ibを通過したドプラ偏移信号を周波数分析する
ものであり、例えば周波数分析回路としての高速フーリ
エ変換回路を用いる。すなわち演算回路105Jは、ド
プラ偏移信号に対し周波数分析をすることにより血流等
の周波数スペクトラムを分析する。これにより周波数ス
ペクラムは、一定周期で繰り返し求められ、そのままも
しくは速度分布に換算されて画像メモリ106Aに出力
される。
【0032】表示系106は、断層像処理系104及び
ドプラモード処理系105の信号処理結果を表示するも
のであり、断層像処理系104により信号処理された出
力信号及びドプラ処理系105により信号処理された出
力信号を記憶する画像メモリ106Aと、画像メモリ1
06Aより断層像処理系104からの出力信号及びドプ
ラ処理系105からの出力信号を同期をとって読み出
し、断層像例えばBモード像と周波数スペクトラムの経
時的変化を表示するTVモニタ106Bとによって構成
される。またTVモニタ106Bは、断層像(マーカを
含む)と周波数スペクトラムの時間変化を示す分布(横
軸に時間、縦軸に周波数のグラフ)を必要に応じて1画
面上或いは2画面上に表示する。
【0033】ここで、サンプルボリューム設定部108
により設定された設定サンプルボリューム内のドプラ信
号に対して掛けられるレンジゲートのゲート幅及びゲー
トの深さと、バースト長(バースト数)、バースト電圧
の関係について説明する。図2は、設定サンプルボリュ
ームの空間長に応じてバースト長を変化させたときの
(例えば、バースト波のバースト長が設定サンプルボリ
ューム幅の1/2の場合)のバースト長、レンジゲート
を掛けるタイミング及びゲート幅を示す図である。尚、
バースト波は、説明を容易にするためにレート信号のブ
ランキングの立ち下がり時間から送波されるものとして
説明する。図2は、横軸を全てプローブ101先端(深
さ0とする)からの深さ方向の距離(深度)に対応した
時間軸として示しいる。またt0 は、深さ0の時刻、即
ちプローブ101からバースト波を送波した後、プロー
ブ101にて反射エコーの受波を開始した時刻を示して
いる。そして、P1 〜Pn は、被検体内においてバース
ト波(超音波)が反射する音響インピーダンスの各界面
(各深さの散乱体)の浅い部分から順に示したものであ
る。尚、図2では、プローブ101からバースト波を送
信後、プローブ101にて反射エコーの受信を開始した
時刻t0 から、反射エコー(ドプラ信号)がレンジゲー
ト回路105Ea、105Ebに最初に到達する時刻ま
でに、受信回路103、位相検波回路105Aa、10
5Ab、LPF105Da、105Dbを介すため若干
の時間差が生じるが、理解を容易にするためにこの時間
差は無いものとして図示している。
【0034】図3に示すように、サンプルボリューム設
定部108によりBモード像と共に(スキャン面内)に
表示されるマーカ(設定サンプルボリューム)の空間長
τGと深さを設定する。
【0035】この設定に応じてバースト制御回路107
Aは、設定サンプルボリュームの空間長τG の範囲内で
バースト波のバースト長が変化するようパルス発生器1
02Aを制御する。バースト制御回路107Aは、例え
ばバースト長τB が設定サンプルボリュームの空間長τ
G の1/2になるようなバースト波数を決定する。すな
わちバースト制御回路107Aは、バースト長τB が設
定サンプルボリュームの空間長τG の1/2の時間に一
致するようにバースト波数を設定する。
【0036】これと同時にバースト制御回路107A
は、設定されたバースト長のもとで送信パワーが生体に
対する安全規格に入るようなバースト電圧を設定するよ
う送信回路102Bを制御する。具体的には、安全規格
のパワー値をP、レート周波数(PRF)をfr 、バー
スト電圧をAB 、バースト長をτB 、プローブ101の
電気、音響エネルギー変換効率等を含む比例係数をkと
すると、バースト電圧は
【0037】
【数2】 と表せる。そのため例えばバースト長τB が設定サンプ
ルボリュームの空間長τG の1/2のときのバースト電
圧A1/2 は、
【0038】
【数3】 となるように設定される。
【0039】一方、レンジゲートは次のように掛けられ
る。ゲート制御回路107Bは、バースト制御回路10
7Aによりバースト長τB が切り替えられる(ここでは
設定サンプルボリュームの空間長τG の1/2になるよ
うバースト波数を決定する)のに対し、バースト長τB
とゲート幅τR の和であるサンプルボリュームの空間長
τG とマーカの空間長とを一致させるために、レンジゲ
ートのゲート幅が設定サンプルボリュームの空間長より
短くなるようレンジゲート105Ea、Ebを制御す
る。それと同時にサンプルボリュームの深さが、設定サ
ンプルボリューム(マーカ)の深さと一致するようにレ
ンジゲート回路105Ea、105Ebを制御する。具
体的にはゲート制御回路107Bは、レンジゲート回路
105Ea、Ebのレンジゲートを掛けるタイミング及
びゲート幅を次のように制御する。
【0040】図2に示すようにゲート制御回路107B
は、レンジゲートの立ち上げ(開始)時刻t2 をマーカ
の最浅部に相当する時刻t1 よりバースト長τB 分遅延
させ、レンジゲートの立ち下がり(終了)時刻t4 がマ
ーカの最深部に相当する時刻t3 になるようレンジゲー
ト回路105Ea、Ebを制御する。すなわちレンジゲ
ートの立ち上げ時刻t2 を、超音波がプローブ101の
先端からマーカの最浅部までの2倍の距離(深度)を伝
播するために必要な時間が、時刻t0 から経過した時刻
1 よりバースト長τB 分遅延されるように設定する。
これにより、レンジゲートは、設定サンプルボリューム
位置の最浅部よりバースト長τB だけ深い部分から、設
定サンプルボリュームの最深部までの範囲について掛け
られる。つまり、レンジゲートのゲート幅は、サンプル
ボリュームの空間長から設定されたバースト長の差をと
ることにより設定される。例えば、バースト波のバース
ト長τB がτG /2の場合は、レンジゲートのゲート幅
τR を設定サンプルボリュームの空間長τG からバース
ト長τB の差をとることによりτG /2に設定する。
【0041】このようにゲート幅を設定サンプルボリュ
ームの空間長より小さくし、レンジゲートの立ち上げ時
刻を設定サンプルボリュームよりバースト長分だけ遅い
時刻に設定することにより(ここでは一例としてバース
ト長τB 、ゲート幅τR を共に空間長τG /2になるよ
うに設定し、レンジゲートの立ち上げ時刻を設定サンプ
ルボリュームの最浅部よりτG /2だけ遅い時刻に設
定)、バースト波のバースト長及びレンジゲートのゲー
ト幅との和であるサンプルボリュームとマーカ(設定サ
ンプルボリューム)の空間長を一致させている。このと
き、サンプルボリュームの最浅部はマーカ最浅部とサン
プルボリュームの最深部はマーカの最深部とそれぞれ一
致する。
【0042】上記のように構成される実施例装置の作用
について説明する。プローブ101を駆動して被検体の
所望部位に超音波を送波し、被検体からのエコー信号を
プローブ101にて受波する。受波されたエコー信号
は、断層像処理系104で所定の信号処理が行われ、画
像メモリ106Aを介しTVモニタ106Bに送られ
る。TVモニタ106Bでは、信号処理された反射エコ
ー信号に基づた断層像(Bモード像)を表示する。術者
は、TVモニタ106Bに表示された断層像とこの断層
像内の任意の位置にあるマーカを参照し、例えば操作卓
(図示せず)上のトラックボールを動かしてスキャン面
内のマーカを移動してマーカの観測位置(例えば血管)
と観測範囲(空間長)を設定する。
【0043】サンプルボリューム設定部108に応じて
バースト制御回路107Aは、設定されたサンプルボリ
ュームの空間長の範囲内のバースト長τB (例えば設定
サンプルボリュームの空間長の1/2)を持つバースト
波がプローブ101から発生するようバースト波数を設
定し、設定バースト波数に対応したバースト制御信号を
パルス発生器102Aに出力する。それと同時にバース
ト制御回路107Aは、設定されたバースト長のもとで
生体に対する安全規格に入るような送信パワーを持つバ
ースト波がプローブ101から発生するようバースト電
圧(例えば、設定サンプルボリュームの空間長の1/2
の逆数の平方根に比例する値)を設定し、設定バースト
電圧に対応したバースト制御信号を送信回路102Bに
出力する。
【0044】一方、ゲート制御回路107Bは、サンプ
ルボリューム設定部108の設定に応じて、レンジゲー
トを掛けるタイミング及びゲート幅を決定し、この決定
に対応したレンジゲート制御信号をレンジゲート回路1
05Ea、105Ebに出力する。
【0045】パルス発生器102Aは、バースト制御回
路107Aからのバースト制御信号に従って所定のバー
スト波数分のパルス(例えば4つのパルス)を一定のバ
ースト1波周期で繰り返し送信回路102Bに出力す
る。このパルス発生器102Aは、レート周波数(PR
F)に従ってパルス系列を繰り返し送信回路102Bに
出力する。このときバースト制御回路107Aは、所定
のバースト電圧の設定値を送信回路102Bに出力す
る。送信回路102Bは、設定されたバースト電圧A
B 、バースト長τB のパルス系列によってプローブ10
1の各圧電振動子を駆動する。これにより、プローブ1
01から移動体に向けてバースト波が一定の周期と一定
の送信パワーで同一方向に繰り返し送波される(断層像
モードの場合は、バースト波は異なる方向に送波され
る)。プローブ101から被検体の所望部位に送波され
たバースト波は、各界面P1 〜Pn で順次反射され、各
反射エコーは各界面の深さに応じたタイミングで圧電振
動子の一部又は全部により順次受波される。プローブ1
01に受波された各反射エコーは、受信回路103によ
り各反射エコーの音響強度に対応した受信信号に変換さ
れた後、個別に増幅され、送波時と逆の遅延時間が与え
られて整相加算される。この受信信号は、断層像処理系
104の対数増幅器104Aとドプラモード処理系10
5の位相検波回路105Aa、105Abに出力され
る。
【0046】対数増幅器104Aに出力された受信信号
は、対数的な増幅が行われ包絡線検波回路104Bに出
力される。包絡線検波回路104Bでは、送信周波数を
中心とする高周波(RF)受信信号に対してその振幅の
包絡線を検出するよう包絡線検波を行いA/D−C10
4Cに出力する。A/D−C104Cは、アナログの包
絡線検波信号をデジタル信号に変換し画像メモリ106
Aに出力する。
【0047】一方、位相検波回路105Aaに出力され
た受信信号は、発振回路105Bからの参照信号に対し
π/2移相器105Cにてπ/2位相をずらした信号が
掛け合わされ、位相検波回路105Abに出力された受
信信号は、発振回路105Bからの参照信号と掛け合わ
される。このように位相検波回路105Aa、105A
bに出力された受信信号は、複素参照信号と掛け合わさ
れドプラ信号と高周波成分を含んだ信号としてLPF1
05Da、105Dbに出力される。LPF105D
a、105Dbでは、高周波成分を除去しドプラ信号の
みを抽出する。抽出されたドプラ信号はレンジゲート回
路105Ea、Ebに出力される。
【0048】レンジゲート回路105Ea、105Eb
では、バースト制御回路107Aからのレンジゲート制
御信号に応じてドプラ信号に所定のタイミングでレンジ
ゲートを掛けて所定のゲート区間のみを通過させる。す
なわちレンジゲート回路105Ea、Ebは、マーカ内
のドプラ信号に対してマーカ設定位置(設定サンプルボ
リューム)の最浅部よりバースト長τB だけ深い部分か
ら、マーカの最深部までの範囲に対応するドプラ信号を
切り出し、積分回路105Fa、105Fbに出力す
る。このときのゲート幅は、マーカの空間長からバース
ト長の差を取ることにより設定されたものである。レン
ジゲートで切り出されたドプラ信号は、積分回路105
Fa、105Fbにより積分されてドプラ偏移信号とし
てサンプルホールド105Ga、105Gbに出力され
る。サンプルホールド回路105Ga、105Gbで
は、積分回路105Fa、105Fbから次の結果が入
力されるまで先の積分結果を保持し、新たな積分結果が
入力されると、保持していた積分結果をHPF105H
a、105Hbに出力する。HPF105Ha、105
Hbでは、積分結果としてのドプラ偏移信号のうち低周
波成分を除去する。このように低周波成分が除去された
ドプラ偏移信号は、LPF105Ia、105Ibによ
り所定の帯域に絞られ演算回路105Jに出力される。
演算回路105Jでは、LPF105Ia、105Ib
により帯域が絞られたドプラ偏移信号に対し所定の周波
数解析を行い、解析結果を画像メモリ106Aに出力す
る。画像メモリ106Aでは、演算回路105Jからの
解析結果を断層像処理系104(A/DーC104C)
からの解析結果と共に記憶し、TVモニタ106Bに同
期をとって読み出す。こうしてTVモニタ106Bに
は、断層像、マーカ、サンプルボリューム設定部108
にて設定されたマーカ内の(設定サンプルボリューム内
の)ドプラ信号から得られた周波数スペクトラムが表示
される。
【0049】以上のように本実施例では、バースト長τ
B とゲート幅τR との和が設定サンプルボリューム長に
なるようにバースト長τB の切り替えと共に、ゲート幅
τRを切り替えるため、S/N比を向上させることがで
きる。特に、送信パワーを安全規格の上限値に設定し、
設定されたサンプルボリュームに対しバースト長τB
ゲート幅τR を共に空間長τG の1/2になるようパル
ス発生器102A、送信回路102B、又はレンジゲー
ト回路105Ea、105Ebを制御することにより、
そのサンプルボリューム長においてはS/N比を最適に
することができる。
【0050】この効果について詳細に説明する。数2で
示したように送信バースト電圧は、パワー値P、比例係
数k、レート周波数fr が一定であれば、バースト長を
τBとすると1/(τB1/2 に比例する。受信バース
ト波の振幅は送信バースト波に比例するから、これらの
比例係数をまとめてαとおくと受信バースト波の振幅は
バースト長τB に対して、 α/(τB1/2 で与えられる。
【0051】また、サンプルボリュームの最大感度(振
幅)は、受信バースト波を積分することによって与えら
れる。また受信バースト波の振幅は1/(τB1/2
バースト長τB であるから、 τB ×α/(τB1/2 =α×(τB1/2 で与えられる。
【0052】レンジゲートで切り出されるドプラ信号の
積分結果Sd は、サンプルボリュームの感度(振幅)の
積分値で表されるから、 Sd =α×τB 1/2 ×{(1/2)×τB +(τR −τ
B )+(1/2)×τB}=α×(τB1/2 ×τR
α×τB 1/2 ×(τG −τB ) で与えられる。
【0053】一方、レンジゲートで切り出されるドプラ
信号に含まれるノイズは、LPF105Da、Dbで帯
域制限されたホワイトノイズが支配的である。ノイズは
パワーで加算されるからレンジゲート内各点でのノイズ
のパワー値をβとすると、レンジゲートで切り出される
ノイズパワーの積分結果Nd2は、 Nd2=βτR =β(τG −τB ) で与えられる。
【0054】またS/Nは、サンプル点の信号とノイズ
のパワー比で与えられるので、比例定数をγとすると、 S/N=γ(Sd2 /Nd2=[γ{α×τB 1/2 ×
(τG −τB )}2 ]/{β(τG −τB )}=(γα
2 /β)τB ×(τG −τB ) となる。このS/Nを最適(最大)にするバースト長τ
B と、レンジゲートのゲート幅τR は、
【0055】
【数4】 が成立することにより得られる。つまり、τB =τG
2、従って、τR =τG−τB =τG /2となる。
【0056】特に本実施例において、 τB =τR =τG /2 に設定される場合には、S/N比は最大値が得られる。
【0057】さらに、本実施例では、表示上のマーカを
用いて位置指定を行い周波数解析を行う場合において、
レンジゲートのゲート幅τR をマーカの空間長τG より
所定のバースト長分τB 短くすることにより、レンジゲ
ートのゲート幅とバースト長の和からなるサンプルボリ
ュームの空間長とマーカの空間長とを等しくすることが
できる。そして、レート信号のブランキングの立ち下が
り時間からバースト波を送波する場合は、レンジゲート
の開始時刻をマーカの開始時刻から所定のバースト長τ
B 分遅らせることにより、サンプルボリュームの最浅部
の時刻とマーカの最浅部の時刻とを一致させることがで
きる。
【0058】この両者の効果を合わせれば、マーカの深
さ及び空間長とサンプルボリュームの深さ及び空間長を
一致させることができる。これによりレンジゲートで切
り出されたドプラ信号にはマーカで指定した範囲内の界
面(図2ではP6 〜Pn )からのエコー信号は全て含ま
れ、しかもマーカで指定した範囲外の界面(図2ではP
1 〜P5 )からのエコー信号はまったく混入しない。従
って、サンプルボリュームの位置精度(距離精度)を向
上させることができ、ひいては信号のとりこぼしやアー
チファクトの発生を防止することができる。
【0059】尚、本発明は以上説明した実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨の範囲内においてあら
ゆる変形が可能である。例えば、本実施例では、TVモ
ニタ106B上のマーカを用いてサンプルボリュームの
空間長及び深さを設定(確定)しているが、設定サンプ
ルボリュームの空間長及び深さを設定できるならば、サ
ンプルボリュームの空間長及び深さを数値入力する、T
Vモニタ106B上に座標軸を表示して座標軸により確
定するなど種々の方法を用いても良い。
【0060】また、本実施例では、ドプラ処理系105
による信号処理をアナログ又はデジタル信号のどちらで
行うか記載していないが、種々の目的に応じてどちらで
行っても構わない。
【0061】また、本実施例では、レート信号のブラン
キングの立ち下がり時間からバースト波を送波させ、レ
ンジゲートの開始時刻をマーカの開始時刻から所定のバ
ースト長τB 分遅らせることによりサンプルボリューム
の最浅部の時刻とマーカの最浅部の時刻とを一致させて
いるが、サンプルボリュームの最浅部の時刻とマーカの
最浅部の時刻とを一致させるならば、レート信号のブラ
ンキングの立ち下がり時間からバースト波を送波させな
くとも良い。
【0062】また上述した実施例では、バースト長及び
ゲート幅を設定サンプルボリュームの半分(τG /2)
に設定しているが、ゲート幅を設定サンプルボリューム
の空間長より小さくするならば図5(a)、(b)、
(c)のようにしても構わない。図5(a)、(b)、
(c)は、バースト波のバースト長と、レンジゲートを
掛けるタイミング及びゲート幅を示すものである。図5
(a)では、ゲート幅を設定サンプルボリューム(例え
ばマーカ)の空間長より短く設定し、バースト長とゲー
ト幅との和をマーカの空間長より大きくしている。これ
により距離精度を向上させることができる。図5(b)
では、ゲート幅を設定サンプルボリューム(例えばマー
カ)の空間長より短く設定し、バースト長とゲート幅と
の和をマーカの空間長より短くしている。これにより、
マーカの空間長より短い分信号のとりこぼしは多少有る
が、距離精度を向上させることができる。図5(c)
は、ゲート幅とバースト長が異なる場合に、ゲート幅を
設定サンプルボリュームよりバースト長分短くすること
により、バースト長とゲート幅との和を設定サンプルボ
リュームの空間長と一致させている。これにより、距離
精度を向上させることができると共に、信号のとりこぼ
しもなくなる。
【0063】また、本実施例では、設定サンプルボリュ
ーム(例えばマーカ)の最深部とレンジゲートの最深部
とを一致させているが、設定サンプルボリュームの空間
長よりゲート幅を短くするならば図5(d)に示すよう
に必ずしも最深部を一致させなくとも良い。
【0064】さらに、本実施例では、マーカの範囲内で
バースト長を変化させているが、設定サンプルボリュー
ムの空間長よりゲート幅を小さくするならば、バースト
長を一定にしても良い。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、S
/N比を向上させることができ、ひいては信号の検出
能、画質の向上を図ることができる。また本発明によれ
ば、サンプルボリュームの位置精度を向上させることが
でき、ひいては信号のとりこぼし、アーチファクトの発
生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る超音波診断装置のブロ
ック図。
【図2】TVモニタの表示画面の一例を示した図。
【図3】バースト波のバースト長、レンジゲートを掛け
るタイミング及びレンジゲートのゲート幅を示す図。
【図4】従来の問題点を説明するための図。
【図5】バースト波のバースト長、レンジゲートを掛け
るタイミング及びレンジゲートのゲート幅を示す図。
【符号の説明】
101 プローブ 102 送信系 103 受信回路 104 断層像処理系 105 ドプラモード処理系 106 表示系 107A バースト制御回路 107B ゲート制御回路 108 サンプルボリューム設定部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体内の移動物体に所定の超音波パル
    スを送波すると共に、前記被検体内からのエコー信号を
    繰り返し受波する超音波送受波手段と、 この超音波送受波手段を駆動する駆動手段と、 前記エコー信号を信号処理してドプラ信号を得る信号処
    理手段と、 前記移動部位の観測範囲を設定するサンプルボリューム
    設定手段と、 前記信号処理手段から得られた前記ドプラ信号に所定の
    ゲート幅を持ったレンジゲートを掛けて前記観測範囲内
    のドプラ信号を切り出すレンジゲート手段と、 前記サンプルボリューム設定手段の設定に応じて、前記
    ゲート幅が前記観測範囲の空間長より小さくなるよう前
    記レンジゲート手段を制御する制御手段とを備える超音
    波診断装置。
  2. 【請求項2】 前記レンジゲート手段により切り出され
    たドプラ信号に基づき前記移動物体の移動情報を解析す
    る解析手段と、前記超音波送受波手段からのエコー信号
    を信号処理して前記被検体の断層像を得るための画像デ
    ータを生成する画像生成手段と、この画像生成手段によ
    り生成された画像データに基づいた断層像、前記観測範
    囲を示すマーカ、このマーカの解析結果として前記解析
    手段の解析結果とを表示する表示手段を備えものである
    ことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記サンプルボリュー
    ム設定手段の設定に応じて、前記観測領域より前記ゲー
    ト幅が小さくなるように前記レンジゲート手段を制御す
    ると共に、前記超音波パルスのパルス系列長が切り替わ
    るように前記駆動手段を制御するものであることを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載の超音波診断装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記サンプルボリュー
    ム設定手段の設定に応じて、前記パルス系列長と前記ゲ
    ート幅との和と前記サンプルボリューム設定手段にて設
    定された前記観測範囲の空間長とを一致させるよう前記
    レンジゲート手段又は前記駆動手段とを制御するもので
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の超音
    波診断装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記サンプルボリュー
    ム設定手段の設定に応じて、前記ゲート幅と前記パルス
    系列長が等しくなるよう前記レンジゲート手段と前記駆
    動手段を制御するものであることを特徴とする請求項1
    乃至請求4記載の超音波診断装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、前記超音波パルス系列
    の送信終了後、最初に受信されるエコー信号が前記レン
    ジゲート手段に到達する時刻を起点として、深さ0の点
    から前記観測範囲の最浅部までの距離を前記超音波パル
    ス系列が往復して伝播するのに要する時間と前記超音波
    系列の立ち上がり時間から終了までの所要時間との和だ
    け遅い時刻から、前記観測範囲の空間長を超音波パルス
    系列が往復して伝播するのに要する時間から、前記超音
    波パルス系列の立ち上がり時間から終了までの所要時間
    を引いた時間だけ前記レンジゲートを掛けるよう前記レ
    ンジゲート手段を制御するものであることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5記載の超音波診断装置。
  7. 【請求項7】 前記信号処理手段、前記レンジゲート手
    段、前記解析手段は、それぞれ2系統からなるものであ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の超音波
    診断装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005305129A (ja) * 2004-03-24 2005-11-04 Toshiba Corp 超音波診断装置
JP2022042612A (ja) * 2020-09-03 2022-03-15 株式会社東芝 検査装置及び検査方法

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