JPH07285983A - 不斉エポキシ化反応 - Google Patents

不斉エポキシ化反応

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JPH07285983A
JPH07285983A JP6041076A JP4107694A JPH07285983A JP H07285983 A JPH07285983 A JP H07285983A JP 6041076 A JP6041076 A JP 6041076A JP 4107694 A JP4107694 A JP 4107694A JP H07285983 A JPH07285983 A JP H07285983A
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香月  勗
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亮 入江
Hidehiko Sasaki
英彦 佐々木
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式[I]及び[I'] 【化1】 〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原
子、C1-C4アルキル基、フェニル基(該フェニル基は、
ハロゲン原子、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、
シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。)を意
味し、又、いずれか2つが一緒になってC4-C8の環を形
成してもよい。X-は塩を形成しうる陰イオン対を意味
する。Yは水素原子、ハロゲン原子、C1-C4アルキル
基、C1-C4アルコキシ基、ニトロ基又はシアノ基を意味
する。Rは水素原子、C1-C4アルキル基、フェニル基
(該フェニル基は、ハロゲン原子、C1-C4アルキル基、C
1-C4アルコキシ基で置換されていてもよい。)又は置換
シリル基を意味する。〕で表される光学活性マンガン錯
体。 【効果】 この化合物は、近傍官能基を有しないオレフ
ィン化合物を原料とする光学活性エポキシ化合物の製造
に有用な新規な触媒であり、光学活性な医薬品中間体の
工業的製造法として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高血圧症、喘息症等の治
療に有効な光学活性ベンゾピラン化合物を初めとして、
医薬の重要合成中間体である光学活性エポキシ化合物の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】光学活
性な医薬品の製造にエポキシ化合物が利用される場合の
最も一般的な方法は、さらに工程が進んだ段階(例えば
アンモニアと反応させて得られるアミノアルコール化合
物)でジアステレオマー分割する方法であり、具体的に
は特開平3-141286 号公報、EP409165号公報及び米国特
許 5097037号公報に記載されているピラノベンゾオキサ
ジアゾール化合物の光学分割法やJ. Med. Chem., 35, 1
685-1701 (1992) の文献に記載の光学活性インデンオキ
サイドの合成例を挙げることができる。第二の方法とし
てはエポキシ化合物の前駆体であるハロヒドリン化合物
を誘導体化し、その段階でジアステレオマー分割する
か、または酵素の立体選択性を利用する方法であり、具
体的には Circulation Research, 62, 4, 679-686 (198
8)に記載されているベンゾピラン化合物の光学分割法を
挙げることができる。これら2つの方法はいずれもラセ
ミ体を分離するため不必要な側の対掌体が全く無駄にな
るという経済的には大きな問題を抱えている。
【0003】それに対し、最近、光学活性なマンガン錯
体を用いる不斉触媒合成法が見いだされており、効率的
な光学活性エポキシ体の製造法として注目されている。
例えば J. Am. Chem. Soc., 113, 7063-7064, (1991)に
記載されている Jacobsen らの触媒や特開平5-301878号
公報、欧州公開特許535377号公報に記載されている香月
らの触媒である。この方法はラセミ体の分割法と異なり
不要な側の対掌体が無駄になるという問題が解消され、
原料となるオレフィンの種類によっては良好な化学収率
と光学収率を与えるために効率的な製造法を提供する。
しかし、これまで報告された触媒だけではすべての光学
活性エポキシ体の製造において良好な結果を与えるとは
限らず、現在も改善を計るための研究が盛んに行なわれ
ているというのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、近傍官能基
を有しないオレフィン化合物[II]
【0005】
【化14】
【0006】〔式中、R5及びR6は、それぞれ独立して、
水素原子、シアノ基、ニトロ基、アセチル基などの保護
基で保護されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、C1
-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、ハロC1-C4アルキ
ル基、カルボキシ基、ホルミル基、C1-C4アルカノイル
基、アロイル基、ハロC1-C4アルカノイル基、カルバモ
イル基、C1-C4アルキルスルフィニル基、アリールスル
フィニル基、C1-C4アルキルスルホニル基、アリールス
ルホニル基、スルホンアミド基、モノ又はジC1-C4アル
キルスルホンアミド基を意味するか、又はR5とR6がオル
ト位のとき両者が一緒になって、結合する環とともに
【0007】
【化15】
【0008】(式中、nは0又は1の整数を表す。)を
意味する。R7は水素原子、C1-C4アルキル基又はC1-C4
ルコキシ基を意味する。R8はC1-C4アルキル基又はC1-C4
アルコキシ基を意味する。又は、R7とR8が一緒になって
【0009】
【化16】
【0010】(R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立
して、水素原子又はC1-C4アルキル基を意味する。)を
意味する。〕を原料とする光学活性エポキシ化合物[II
I]
【0011】
【化17】
【0012】(R5、R6、R7及びR8は前記に同じ。*で示
された炭素原子の絶対配位はRかSを意味する。)の製
造法を鋭意検討した結果、式[I]又は[I']
【0013】
【化18】
【0014】〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独
立して水素原子、C1-C4アルキル基、フェニル基(該フ
ェニル基は、ハロゲン原子、C1-C4アルキル基、C1-C4
ルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていても
よい。)を意味し、又、いずれか2つが一緒になって環
を形成してもよい。X-は塩を形成しうる陰イオン対を
意味する。
【0015】Yは水素原子、ハロゲン原子、C1-C4アル
キル基、C1-C4アルコキシ基、ニトロ基又はシアノ基を
意味する。Rは水素原子、C1-C4アルキル基、フェニル
基(該フェニル基は、ハロゲン原子、C1-C4アルキル
基、C1-C4アルコキシ基で置換されていてもよい。)又
は置換シリル基を意味する。〕で表される光学活性マン
ガン錯体を不斉触媒として用いることにより、高い不斉
収率で目的とする式[III]で表される光学活性エポキ
シ化合物が得られることを見出し本発明を完成させた。
【0016】光学活性マンガン錯体[I]及び[I']の
置換基であるR1、R2、R3及びR4としては水素原子、メチ
ル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル
基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブ
チル基、ターシャリーブチル基等のC1-C4アルキル基
か、あるいは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチ
ル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル
基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブ
チル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ
基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマ
ルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ
基、ターシャリーブトキシ基、シアノ基及びニトロ基の
中から選ばれた置換基によって置換されていてもよいフ
ェニル基が挙げられ、好ましくは、水素原子、エチル
基、ターシャリーブチル基、フェニル基、3,5-ジメチル
フェニル基が挙げられる。
【0017】又、R1、R2、R3及びR4のいずれか2つが一
緒になって、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘ
キサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等C4-C8の環
を形成してもよい。
【0018】Rとしてはフェニル基の他、フルオロフェ
ニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、トリル、エチ
ルフェニル、ターシャリーブチルフェニル、3,5-ジメチ
ルフェニル基、メトキシフェニル(いずれもオルト体、
メタ体、パラ体が存在する。)、水素原子、メチル基、
エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノル
マルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、
ターシャリーブチル基、置換シリル等が挙げられる。
【0019】置換シリルとしては、例えば、トリメチル
シリル、トリエチルシリル、トリノルマルプロピルシリ
ル、トリイソプロピルシリル、トリノルマルブチルシリ
ル、トリイソブチルシリル、トリノルマルヘキシルシリ
ル、ジメチルエチルシリル、ジメチルノルマルプロピル
シリル、ジメチルノルマルブチルシリル、ジメチルイソ
ブチルシリル、ジメチルターシャリーブチルシリル、ジ
メチルノルマルペンチルシリル、ジメチルノルマルオク
チルシリル、ジメチルシクロヘキシルシリル、ジメチル
テキシルシリル、ジメチル-2,3- ジメチルプロピルシリ
ル、ジメチル-2-(ビシクロヘプチル) シリル、ジメチル
ベンジルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチルパ
ラトリルシリル、ジメチルフロフェメシルシリル、メチ
ルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニル
ターシャリーブチルシリル、トリベンジルシリル、ジフ
ェニルビニルシリル、ジフェニルノルマルブチルシリ
ル、フェニルメチルビニルシリル等を挙げることができ
る。
【0020】Yは水素原子、ハロゲン原子(フッ素原
子、塩素原子、臭素原子)、メチル基、エチル基、ノル
マルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、
イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブ
チル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ
基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブト
キシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキ
シ基、ニトロ基又はシアノ基を意味する。
【0021】光学活性マンガン錯体[I]及び[I']は
中心金属であるマンガンが1価から5価までの酸化状態
をとり得るため、種々の陰イオン対(X-) 塩を形成す
ることができる。塩を形成するイオン対としては1価の
OH-、F-、Cl-、Br-、I-、CH3CO2 -、PF6 -、ClO4 -、B
F4 -、2価のCO3 2-、SO4 2-、3価のPO4 3-イオン等が挙げ
られるが、いずれも、本目的の不斉触媒として利用でき
る。
【0022】光学活性マンガン錯体[I]及び[I']の
代表的な合成例を次に説明する。スキームには[I]
{R1=R3=R=Ph(フェニル基)、R2=R4=H、X=CH
3CO2 -}のみの合成法を示すが、[I]と[I']は互い
に対掌体の関係であるため、[I']R1=R3=R=Ph(フ
ェニル基)、R2=R4=H、X=CH3CO2 -}を合成するに
は、出発原料である光学活性ビナフトール化合物及びジ
アミン化合物を逆の立体配置を持つものに変更するだけ
でよい。
【0023】すなわち、分子不斉を持つ光学活性ビナフ
トール化合物を(a)コリジン存在下、N−フェニルト
リフルオロメタンスルホンイミドを反応させて一方の水
酸基をトリフレートとし、(b)塩化[1,2−ビス
(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)を触
媒としてフェニルグリニャール試薬で置換する。次いで
(c)塩基性条件下、クロロメチルメチルエーテルでメ
トキシメチル化した後、(d)t−ブチルリチウムでの
リチオ化、(e)ジメチルホルムアミドでのホルミル
化、(f)トリメチルシリルブロミドでの脱メトキシメ
チル化を経てサリチルアルデヒド化合物を合成する。R
部分が異なる化合物の合成は上記(b)の段階でグリニ
ャール試薬の種類を代えればよい。(スキーム1)
【0024】もう一方の原料であるジアミン化合物は市
販の物も多いが、市販されていないジアミン化合物の合
成例として、R1=R3=3,5−ジメチルフェニル基、R2
=R4=Hの場合をスキーム2に示した。すなわち、
(g)3,5−ジメチル安息香酸をリチウムアルミニウ
ムヒドリド還元によりアルコール体とし、(h)二酸化
マンガンで酸化してアルデヒド体を合成する。これを
(i)四塩化チタンと亜鉛末により二量化させ、(j)
4−クロロ安息香酸ヒドロキニジンを不斉源とした四酸
化オスミウムによるシャープレス不斉ジオール化反応に
より、高純度の光学活性ジオール体に変換し、(k)塩
基性条件下、メシルクロリドによる水酸基のメシル化、
(l)アジ化ナトリウムによる置換反応、(m)リチウ
ムアルミニウムヒドリドによるアジドの還元を経て目的
とするジアミン化合物を得る方法である。ただし、ジア
ミン化合物の合成法は置換基の種類により様々であるた
め、必ずしもこの方法に限定するものではない。
【0025】以上のようにして得られたサリチリアルデ
ヒド化合物とジアミン化合物をエタノール、メタノール
などのアルコール系の溶媒、アセトニトリル、プロピオ
ニトリルのようなニトリル系の溶媒、ジクロロメタン、
クロロホルムのようなハロゲン系の溶媒、ベンゼン、ト
ルエンのような芳香族炭化水素系の溶媒、テトラヒドロ
フラン、ジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒、ヘ
キサン、ヘプタンのような炭化水素系の溶媒中で混合さ
せイミン化合物を形成させる。好ましい溶媒としてはエ
タノール、メタノール、アセトニトリル、ジクロロメタ
ン、トルエン等を挙げることができる。この時、必要で
あれば、等モル以上の無水硫酸マグネシウムや無水ホウ
酸又はモレキュラーシーブのような脱水剤を共存させて
もよい。あるいは溶媒との共沸脱水により生成水の除去
を行ってもよい。反応温度については特に制限がなく、
−20℃から使用する溶媒の沸点まで可能であるが、好
ましくは0℃から50℃の範囲で行う。イミン化合物は
必ずしも反応系中から取り出す必要はなく、次のマンガ
ン錯体合成と連続して行うこともできる。
【0026】得られたイミン化合物を、エタノール、メ
タノールなどのアルコール系の溶媒、アセトニトリル、
プロピオニトリルのようなニトリル系の溶媒、ジクロロ
メタン、クロロホルムのようなハロゲン系の溶媒中に溶
解又は懸濁させ、0.5モル当量から10モル当量、好
ましくは0.8モル当量から2モル当量の酢酸マンガン
を加え、酸素存在下で反応させると目的とする光学活性
マンガン錯体[I]を得ることができる。必要であれば
CH3CO2 -イオンをCl-、PF6 -その他の陰イオンと置き換え
ることも可能であり、たとえば反応系中に等モル以上の
塩化リチウムを追加することにより、Cl-イオンとの交
換をすることができる。好ましい溶媒としてはエタノー
ル、メタノール、アセトニトリル、ジクロロメタン等を
挙げることができる。反応温度については特に制限がな
く、−20℃から使用する溶媒の沸点まで可能である
が、好ましくは0℃から50℃の範囲で行う。酸素は大
過剰の空気又は酸素ガスを反応系中に吹き込むか、又は
大気中、開放系で撹拌することにより、供給される。
【0027】具体例として、スキーム3には、ジアミン
化合物が(1S,2S)−1,2−ジフェニル−1,2
−エタンジアミンである光学活性マンガン錯体[I]
{R1=R3=R=Ph(フェニル基)、R2=R4=H、X=CH
3CO2 -}の合成例を示した。
【0028】
【化19】
【0029】
【化20】
【0030】〔式中、Phはフェニルを、Tf2NPhは、N−
フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドを、PhMgBr
は、フェニルマグネシウムブロミドを、NiCl2(dppe)
は、塩化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタ
ン]ニッケル(II)を、MOMClは、クロロメチルメチル
エーテルを、(i-Pr)2NEtは、ジイソプロピルエチルアミ
ンを、THF はテトラヒドロフランを、DMF はジメチルホ
ルムアミドを、TMSBrは臭化トリメチルシリルを、LAH
は、リチウムアルミニウムヒドリドを、Et2Oは、ジエチ
ルエーテルを、各々意味する。〕
【0031】次に、不斉エポキシ化反応の具体的な方法
について説明する。
【0032】
【化21】
【0033】不斉触媒として用いる光学活性マンガン錯
体[I]及び[I']の使用量は原料であるオレフィン化
合物[II]に対して通常0.1mol%〜100mol
%の範囲、好ましくは1mol%〜5mol%の範囲で
ある。酸化剤の種類としては、ヨードシルベンゼン、2
−ヨードシル安息香酸、次亜塩素酸ナトリウム、過ヨウ
素酸テトラブチルアンモニウム、過酸化水素、酸素、空
気等を使用することができる。酸化剤がヨードシルベン
ゼン又は2−ヨードシル安息香酸の場合の使用量は原料
であるオレフィン化合物[II]に対して通常1当量〜1
0当量、好ましくは1当量〜3当量の範囲である。酸化
剤が次亜塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸テトラブチルア
ンモニウム及び過酸化水素の場合の使用量は原料である
オレフィン化合物[II]に対して通常1当量〜100当
量の範囲、好ましくは3当量〜30当量の範囲である。
酸化剤として、空気又は酸素ガスを用いる場合は、大過
剰の空気又は酸素ガスを反応系中に吹き込むか、又は大
気中、開放系で撹拌することにより、供給される。
【0034】反応溶媒としては、水、アセトニトリル、
ジクロロメタン、ジクロロエタン及びこれらの混合溶媒
などを使用することができる。特に酸化剤が次亜塩素酸
ナトリウムの場合は水とジクロロメタンのように2相系
で実施する方が好ましい場合がある。
【0035】又、反応系にピリジンN−オキシド、4−
フェニルピリジンN−オキシド、ルチジンN−オキシド
又は2−メチルイミダゾールなどのマンガン錯体に配位
能力を持つ成分を共存させることができる。使用量につ
いては特に制限がない。
【0036】反応温度は通常−50℃〜50℃の範囲、
好ましくは−20℃〜25℃の範囲がよい。
【0037】反応終了後は有機溶媒を減圧濃縮し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーあるいは蒸留により分
離精製すれば、目的とする光学活性化合物[III]を単
離することができる。それらの光学純度は光学活性液体
クロマトグラフィーカラム(ダイセル化学工業社、キラ
ルセル OJなど)や旋光度によって分析することがで
きる(分析条件は実施例参照)。
【0038】本不斉エポキシ化反応を適用できるオレフ
ィン化合物[II]として、式[IV]
【0039】
【化22】
【0040】(式中、R5及びR6は、それぞれ独立して、
水素原子、シアノ基、ニトロ基、アセチル基などの保護
基で保護されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、C1
-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、ハロC1-C4アルキ
ル基、カルボキシ基、ホルミル基、C1-C4アルカノイル
基、アロイル基、ハロC1-C4アルカノイル基、カルバモ
イル基、C1-C4アルキルスルフィニル基、アリールスル
フィニル基、C1-C4アルキルスルホニル基、アリールス
ルホニル基、スルホンアミド基、モノ又はジC1-C4アル
キルスルホンアミド基を意味するか、又はR5とR6が一緒
になって、結合する環とともに
【0041】
【化23】
【0042】(式中、nは0又は1の整数を表す。)を
意味する。R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子
又はC1-C4アルキル基を意味する。)で表されるベンゾ
ピラン誘導体や式[VI]
【0043】
【化24】
【0044】で示したインデン誘導体が挙げられる。
【0045】ベンゾピラン誘導体として好ましくは、
【0046】
【化25】
【0047】(式中、R5及びR6は、それぞれ独立して、
水素原子、シアノ基、ニトロ基、アセチル基などの保護
基で保護されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、C1
-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、ハロC1-C4アルキ
ル基、カルボキシ基、ホルミル基、C1-C4アルカノイル
基、アロイル基、ハロC1-C4アルカノイル基、カルバモ
イル基、C1-C4アルキルスルフィニル基、アリールスル
フィニル基、C1-C4アルキルスルホニル基、アリールス
ルホニル基、スルホンアミド基、モノ又はジC1-C4アル
キルスルホンアミド基を意味する。)及び
【0048】
【化26】
【0049】(式中、nは0又は1の整数を表す。)が
挙げられる。
【0050】インデン誘導体としては、式
【0051】
【化27】
【0052】で示されるインデンが挙げられる。
【0053】いずれの化合物も、上記の方法により、そ
れぞれ目的とするエポキシ化合物が得られる。
【0054】
【化28】
【0055】式[IV]及び[V]で表される化合物の置
換基であるR5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、
シアノ基、ニトロ基、アセチル基などの保護基で保護さ
れていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、C1-C4アルキ
ル基、C1-C4アルコキシ基、ハロC1-C4アルキル基、カル
ボキシ基、ホルミル基、C1-C4アルカノイル基、アロイ
ル基、ハロC1-C4アルカノイル基、カルバモイル基、C1-
C4アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、
C1-C4アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、
スルホンアミド基、モノ又はジC1-C4アルキルスルホン
アミド基を意味するか、又はR5とR6が一緒になって
【0056】
【化29】
【0057】(式中、nは0又は1の整数を表す。)を
意味する。R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子
又はC1-C4アルキル基を意味する。
【0058】アミノ基の保護基としてはアセチル基、プ
ロピオニル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基
などのアシル基の他、メトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、な
どのアルコキシカルボニル基、トシル基、ベンジル基な
どが挙げられる。好ましくは、アセチル基、ターシャリ
ーブトキシカルボニル基である。
【0059】ハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、
臭素原子、ヨウ素原子である。
【0060】C1-C4アルキル基は、メチル基、エチル
基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブ
チル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシ
ャリーブチル基を意味する。
【0061】C1-C4アルコキシ基は、メトキシ基、エト
キシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノ
ルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブト
キシ基、ターシャリーブトキシ基を意味する。
【0062】ハロC1-C4アルキル基とはハロゲン原子で
置換された上記のC1-C4アルキル基を意味し、トリフル
オロメチル基、モノクロロメチル基、ペンタフルオロエ
チル基などが挙げられる。
【0063】C1-C4アルカノイル基の例としてはアセチ
ル基、プロピオニル基などが挙げられる。
【0064】アロイル基の例としてはベンゾイル基、ト
ルオイル基、ナフトイル基などが挙げられる。
【0065】ハロC1-C4アルカノイル基の例としてはト
リフルオロアセチル基、モノクロロアセチル基、ペンタ
フルオロプロピオニル基などが挙げられる。
【0066】C1-C4アルキルスルフィニル基、C1-C4アル
キルスルホニル基及びモノまたはジC1-C4アルキルスル
ホンアミド基におけるC1-C4アルキルとは上記と同じで
あり、アリールスルフィニル、アリールスルホニルにお
けるアリールとしてはフェニル基、トリル基などを挙げ
ることができる。
【0067】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、近傍官能基を有しないオレフィン化合物を
原料に光学活性な医薬品やその中間体として有用な光学
活性エポキシ化合物を製造する新規な触媒を提供するこ
とができる。
【0068】
【実施例】
【0069】参考例1
【0070】
【化30】
【0071】〔式中、Phはフェニルを、Tf2NPhは、N−
フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドを、PhMgBr
は、フェニルマグネシウムブロミドを、NiCl2(dppe)
は、塩化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタ
ン]ニッケル(II)を、MOMClは、クロロメチルメチル
エーテルを、(i-Pr)2NEtは、ジイソプロピルエチルアミ
ンを、THF はテトラヒドロフランを、DMF はジメチルホ
ルムアミドを、TMSBr は臭化トリメチルシリルを、DMAP
はジメチルアミノピリジンを、Et2Oはジエチルエーテル
を、各々意味する。〕
【0072】の合成 (R)−(+)−ビナフトール(286mg,1.0m
mol)のジクロロメタン溶液(4mL)に2,4,6
−コリジン(132μL,1.0mmol)、ジメチル
アミノピリジン(15mg,0.12mmol)、N−
フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(357m
g,1.0mmol)を順次加えて12時間還流した。
反応混合物を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶出溶媒:トルエン)により精製し
た。の収量(収率):378mg(90%)。無色結
晶。
【0073】の合成 (209mg,0.5mmol)と塩化[1,2−ビ
ス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)
(5.3mg,0.01mmol)の混合物にフェニル
マグネシウムブロミド(2.5mL,ジエチルエーテル
中0.8M、2.0mmol)をゆっくり加えた。1時
間還流した後、室温まで冷却し、飽和塩化アンモニウム
水溶液水溶液を加えて反応を停止した。反応混合物をジ
エチルエーテルで抽出して、有機層を飽和炭酸水素ナト
リウム、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/トルエ
ン=4/6)により精製した。の収量(収率):15
6mg(90%)。無色結晶。
【0074】1H NMR(400MHz):8.10(d, J=8.30Hz, 1H),
7.79(d, J=8.30Hz, 1H), 7.78(d, J=9.28Hz, 2H), 7.72
(d, J=8.79Hz, 1H), 7.54-7.50(m, 1H), 7.36-7.20(m,
4H), 7.15-7.04(m, 7H).
【0075】の合成 (365mg,1.1mmol)のジクロロメタン溶
液(4mL)にジイソプロピルエチルアミン(530μ
L,3.0mmol)、クロロメチルメチルエーテル
(230μL,3.0mmol)を順次加えて、室温で
1日撹拌した。反応混合物を水で洗浄した後、無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/ジ
エチルエーテル=19/1)により精製した。の収量
(収率):346mg(83%)。無色結晶。
【0076】1H NMR(90MHz):7.00-8.22(m, 18H), 4.90
(ABq, J=7.07Hz, 2H), 2.11(s, 3H).
【0077】の合成 (140mg,0.36mmol)をテトラヒドロフ
ラン(1.5mL)に溶かした後、−78℃に冷却し
た。t−ブチルリチウム(530μL,ペンタン中1.
5M、0.8mmol)を加えて−78℃で3時間撹拌
した後、ジメチルホルムアミド(140μL,1.8m
mol)を加えて、冷却浴をはずしてさらに1時間撹拌
を続けた。飽和塩化アンモニウム水溶液を滴下して反応
を停止して、反応混合物をジエチルエーテルで抽出し
た。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩
水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次
いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(溶出溶媒:ヘキサン/ジエチルエーテル=19/
1)により精製した。の収量(収率):139mg
(91%)。黄色結晶。
【0078】1H NMR(90MHz):10.42(s, 1H), 8.50-7.00
(m, 17H), 4.53(ABq, J=6.17Hz, 2H),2.94(s, 3H).
【0079】の合成 (154mg,0.37mmol)とモレキュラーシ
ーブス4Aの混合物にジクロロメタン(1.5mL)を
加えて、0℃に冷却した後、臭化トリメチルシリル(1
95μL,1.5mmol)を加えて4時間撹拌した。
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した
後、ジクロロメタンで抽出して有機層を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/トルエ
ン=3/7)により精製した。の収量(収率):13
2mg(95%)。黄色結晶。
【0080】1H NMR(400MHz):10.41(s, 1H), 10.10(s,
1H), 8.17(s, 1H), 8.05(d, J=8.30Hz, 1H), 7.97(d, J
=8.30Hz, 1H), 7.85(d, J=7.81Hz, 1H), 7.49(t, J=3.4
2Hz, 1H), 7.34-7.19(m, 6H), 7.02-7.00(m, 3H).
【0081】参考例2
【0082】
【化31】
【0083】〔式中、LAHは、水素化アルミニウムリチ
ウムを、THFは、テトラヒドロフランを、Et2Oはジエチ
ルエーテルを、MsClはメシルクロリドを、DMFはジメチ
ルホルムアミドを、各々意味する。〕
【0084】の合成 3,5−ジメチル安息香酸(4.5g,30mmol)
のテトラヒドロフラン溶液(120mL)を0℃に冷却
して、水素化アルミニウムリチウム(1.7g,45m
mol)をゆっくり加えた。2時間還流した後、メタノ
ール(8mL)と3N塩酸(50mL)を加えて反応を
停止した。反応混合物をジエチルエーテルで抽出して、
有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で
順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次い
で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/2)により
精製した。の収量(収率):3.0g(74%)。無
色オイル。
【0085】の合成 (8.60g,63mmol)のジエチルエーテル溶
液にγ−酸化マンガン(54.8g,630mmol)
を加えて、室温で16時間撹拌した。反応混合物をセラ
イトろ過して濃縮した。得られた粗生成物(8.05
g)を精製せずに次の反応に用いた。
【0086】の合成 粗生成物(8.05g,60mmol)のジオキサン
溶液(400mL)に四塩化チタン(9.9ml,90
mmol)と亜鉛粉末(11.8g,180mmol)
をジオキサン(200mL)に懸濁させたものを加えて
4時間還流した。反応混合物を水とジエチルエーテルに
分配した後、有機層を分離して無水硫酸マグネシウムで
乾燥し、次いで濃縮した。残渣をエタノールより再結晶
した。の収量(収率):3.45g(より48
%)。無色結晶。
【0087】1H NMR(90MHz):7.24(s, 4H), 7.14(s, 2
H), 7.00(s, 2H), 2.36(s, 12H).
【0088】の合成 4−クロロ安息香酸ヒドロキニジン(186mg,0.
4mmol)、フェリシアン化カリウム(2.96g,
9.0mmol)、炭酸カリウム(1.24g,9.0
mmol)の混合物にt−ブタノール(20mL)、水
(20mL)、オスミウム酸カリウム2水和物(11.
1mg,0.03mmol)と(709mg,3.0
mmol)を順次加えて室温で24時間撹拌した。亜硫
酸ナトリウム(15g,0.12mmol)を加えてさ
らに30分間撹拌した後、2層を分離して水層をジクロ
ロメタンで抽出し、有機層を合わせて濃縮した。残渣を
酢酸エチルで希釈して、1M硫酸、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸
エチル=9/1〜7/3)により精製した。の収量
(収率):550mg(67%)。無色結晶。の光学
純度は、キラルカラムを用いる高速液体クロマトグラフ
ィー分析(DAICEL CHIRALCEL OD、
溶出溶媒:ヘキサン/イソプロパノール=15/1)に
より99%e.e.以上と決定された。
【0089】1H NMR(90MHz):6.96(m, 6H), 4.76(s, 2
H), 2.63(br s, 2H), 2.30(s, 12H).
【0090】10の合成 (550mg,2.0mmol)のジクロロメタン溶
液(8mL)にトリエチルアミン(610μL,4.4
mmol)、メシルクロリド(340μL,4.4mm
ol)を順次加えて、室温で3時間撹拌した。反応混合
物を水で洗浄した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル)
により精製した。10の収量(収率):839mg(9
8%)。無色結晶。
【0091】1H NMR(90MHz):6.80-7.10(m, 6H), 5.74
(s, 2H), 2.86(s, 6H), 2.23(s, 12H).
【0092】11の合成10 (1.7g,4.0mmol)とアジ化ナトリウム
(572mg,8.8mmol)の混合物にジメチルホ
ルムアミド(16mL)を加えて、80℃で7時間撹拌
した。反応混合物を水と酢酸エチルに分配し後、有機層
を分離して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで濃縮し
た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出
溶媒:ヘキサン)により精製した。11の収量(収
率):568mg(48%)。無色結晶。
【0093】1H NMR(90MHz):7.00(br s, 2H), 6.84(br
s, 2H), 4.63(s, 2H), 2.28(s, 12H).
【0094】実施例1
【0095】
【化32】
【0096】〔式中、EtOHはエタノールを意味する。〕
【0097】[I-1]の合成11 (32mg,0.1mmol)のテトラヒドロフラ
ン溶液(1mL)を0℃に冷却して、水素化アルミニウ
ムリチウム(7.6mg,0.2mmol)を加えた。
混合物を室温で30分間撹拌した後、飽和フッ化カリウ
ム水溶液(380μL,1.59N,0.6mmol)
を加えて反応を停止した。反応混合物をセライトろ過し
た後、酢酸エチルで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥
し次いで濃縮した。得られた粗生成物12(75.
8mg,0.2mmol)をエタノール(4mL)に溶
かして、室温で1時間撹拌した。反応混合物を一旦濃縮
した後、酢酸マンガン4水和物(24.6mg,0.1
mmol)とエタノール(4mL)を加えて空気中で6
時間撹拌した。生成した結晶をろ取して、エタノール次
いでヘキサンで洗浄することにより[I-1]を39.3
mg得た。さらに濾液を濃縮した後、残渣をジクロロメ
タン−ヘキサンより再結晶して[I-1]を7.7mg得
た。[I-1]の合計収量(収率):47.0mg(11
より43%)。 IR(KBr):3053, 2920, 1599, 1493, 1425, 1333, 1296,
1223, 1188, 1148, 1128, 1045, 1028, 953, 860, 733,
700, 575, 548 cm-1.
【0098】同様の反応を行い本発明化合物[I-2]〜
[I-8]を得た。
【0099】
【化33】
【0100】[I-2] IR(KBr):3447, 3422, 3049, 3013, 2916, 2680, 1655,
1603, 1558, 1506, 1420, 1387, 1333, 1296, 1257, 12
23, 1186, 1148, 1117, 1057, 1024, 953, 887,851, 81
8, 785, 746, 706, 683 cm-1. [I-3] IR(KBr):3431, 3053, 1599, 1493, 1443, 1425, 1385,
1333, 1296, 1223, 1188, 1148, 1128, 1090, 1072, 10
45, 1028, 999, 982, 953, 860, 733, 700, 681cm-1. [I-4] IR(KBr):3447, 3422, 3057, 3041, 2928, 1611, 1558,
1491, 1452, 1420, 1389, 1342, 1310, 1281, 1229, 12
13, 1188, 1150, 1126, 1016, 955, 799, 775, 746, 70
0 cm-1. [I-5] IR(KBr):3053, 2922, 2853, 1609, 1555, 1508, 1454,
1423, 1387, 1344, 1327, 1300, 1227, 1188, 1148, 81
0, 746, 702 cm-1. Calcd. for C60H45N2O4Mn:C, 78.94; H, 4.97; N, 3.07
%. Found:C, 79.80; H,5.32; N, 3.07%. [I-6] IR(KBr):3051, 2920, 1605, 1555, 1508, 1454, 1389,
1344, 1327, 1300, 1221, 1188, 1150, 1126, 810, 77
0, 704, 687 cm-1. Calcd. for C60H45N2O4Mn・1.5H2O:C, 76.67; H, 5.15;
N, 2.98%. Found:C, 76.50; H, 5.22; N, 3.06%. [I-7] IR(KBr):3422, 3053, 2932, 2858, 1609, 1583, 1558,
1493, 1423, 1346, 1327, 1223, 1188, 1150, 1124, 10
28, 951, 866, 820, 760, 700, 658 cm-1. [I-8] IR(KBr):3447, 3051, 2936, 2860, 1611, 1583, 1558,
1508, 1489, 1448, 1423, 1394, 1346, 1329, 1304, 12
73, 1225, 1190, 1169, 1150, 1124, 810, 783,760, 68
7 cm-1.
【0101】実施例2−1 インデンのエポキシ化
【0102】
【化34】
【0103】インデン(10μL,86μmol)をピ
リジンN−オキシドのアセトニトリル溶液(0.02
M,1.1mL,22μmol)に溶かした後、[I-
1](2.3mg,2.1μmol)を加えた。この溶
液にヨードシルベンゼン(37.8mg,0.17mm
ol)を一度に加えて、室温で24時間撹拌した。反応
混合物を慎重に濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(溶出溶媒:ペンタン〜ペンタン/ジ
エチルエーテル10/1)により精製した。エポキシド
の収量(収率):6.0mg(53%)。不斉収率:9
2% e.e.
【0104】実施例2−2 ベンゾピラン化合物のエポキシ化
【0105】
【化35】
【0106】[IV-1](26.2mg,0.10mmo
l)と[I-1](2.6mg,2.5μmol)をピリ
ジン N−オキシドのアセトニトリル溶液(0.02
M,1.25mL, 0.025mmol)に溶かした
後、0℃に冷却した。この溶液に窒素雰囲気下でヨード
シルベンゼン(44.0mg,0.20mmol)を一
度に加えて、0℃で24時間撹拌した。不溶物をセライ
トを通してろ去した後、ろ液を濃縮して残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢
酸エチル=8:2〜4:6)により精製した。エポキシ
ドの収量(収率):20.1mg(72%)。不斉収
率:98%e.e.(DAICEL CHIRALCE
L OJ,ヘキサン/イソプロパノール=1:1,流速
=0.5mL/分)。
【0107】実施例2−3 ベンゾピラン化合物のエポキシ化
【0108】
【化36】
【0109】[IV-1](20.0mg,76.3μmo
l)と[I-1](1.7mg,1.6μmol)をN−
メチルイミダゾールのアセトニトリル溶液(0.02
M,760μL,7.6μmol)に溶かした後、30
%過酸化水素水(86μL,0.76mmol)を5分
間かけて滴下した。室温で24時間撹拌した後、反応混
合物を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1:
1)により精製した。エポキシドの収量(収率):7.
1mg(33%)。不斉収率:94%e.e.(DAI
CEL CHIRALCEL OJ,ヘキサン/イソプ
ロパノール=1:1,流速=0.5mL/分)。
【0110】実施例2−4 実施例2−3と同様に各種オレフィンに対して本発明化
合物[I]を触媒として用い、アセトニトリル中ヨード
シルベンゼン(PhIO)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)又
は2−ヨードシル安息香酸(IBA)で不斉エポキシ化した
時の試験結果を下表に示す。
【0111】
【化37】
【0112】
【化38】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式[I]及び[I'] 【化1】 〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原
    子、C1-C4アルキル基、フェニル基(該フェニル基は、
    ハロゲン原子、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、
    シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。)を意
    味し、又、いずれか2つが一緒になってC4-C8の環を形
    成してもよい。X-は塩を形成しうる陰イオン対を意味
    する。Yは水素原子、ハロゲン原子、C1-C4アルキル
    基、C1-C4アルコキシ基、ニトロ基又はシアノ基を意味
    する。Rは水素原子、C1-C4アルキル基、フェニル基
    (該フェニル基は、ハロゲン原子、C1-C4アルキル基、C
    1-C4アルコキシ基で置換されていてもよい。)又は置換
    シリル基を意味する。(ただし、R1及びR3がフェニル基
    でかつR2及びR4が水素原子の時並びにR1及びR3が水素原
    子でかつR2及びR4がフェニル基の時、Rが水素原子及び
    メチル基である場合を除く。)〕で表される光学活性マ
    ンガン錯体。
  2. 【請求項2】 式[II] 【化2】 〔式中、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、シ
    アノ基、ニトロ基、アセチル基などの保護基で保護され
    ていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、C1-C4アルキル
    基、C1-C4アルコキシ基、ハロC1-C4アルキル基、カルボ
    キシ基、ホルミル基、C1-C4アルカノイル基、アロイル
    基、ハロC1-C4アルカノイル基、カルバモイル基、C1-C4
    アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1
    -C4アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ス
    ルホンアミド基、モノ又はジC1-C4アルキルスルホンア
    ミド基を意味するか、又はR5とR6がオルト位のとき両者
    が一緒になって、結合する環とともに 【化3】 (式中、nは0又は1の整数を表す。)を意味する。R7
    は水素原子、C1-C4アルキル基又はC1-C4アルコキシ基を
    意味する。R8はC1-C4アルキル基又はC1-C4アルコキシ基
    を意味する。又は、R7とR8が一緒になって 【化4】 (R9、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原
    子又はC1-C4アルキル基を意味する。)を意味する。〕
    で表されるオレフィン化合物に対し、請求項1記載の式
    [I]又は[I']で表される光学活性マンガン錯体のい
    ずれかを触媒として不斉エポキシ化反応を行ない、式
    [III] 【化5】 (R5、R6、R7及びR8は前記に同じ。)で表される光学活
    性エポキシ化合物を製造する方法。
  3. 【請求項3】 式[IV] 【化6】 (式中、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、シ
    アノ基、ニトロ基、アセチル基などの保護基で保護され
    ていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、C1-C4アルキル
    基、C1-C4アルコキシ基、ハロC1-C4アルキル基、カルボ
    キシ基、ホルミル基、C1-C4アルカノイル基、アロイル
    基、ハロC1-C4アルカノイル基、カルバモイル基、C1-C4
    アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、C1
    -C4アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ス
    ルホンアミド基、モノ又はジC1-C4アルキルスルホンア
    ミド基を意味するか、又はR5とR6が一緒になって、結合
    する環とともに 【化7】 (式中、nは0又は1の整数を表す。)を意味する。R9
    及びR10は、それぞれ独立して、水素原子又はC1-C4アル
    キル基を意味する。)で表されるオレフィン化合物に対
    し、請求項1記載の式[I]又は[I']で表される光学
    活性マンガン錯体のいずれかを触媒として不斉エポキシ
    化反応を行ない、式[V] 【化8】 (式中、R5、R6、R9及びR10は前記に同じ。*で示され
    た炭素原子の絶対配位はRかSを意味する。)で表され
    る光学活性ベンゾピラン化合物を製造する方法。
  4. 【請求項4】式[VI] 【化9】 (式中、R9及びR10は、それぞれ独立して、水素原子又
    はC1-C4アルキル基を意味する。)で示した化合物に対
    し、式[I]又は[I'] 【化10】 〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原
    子、C1-C4アルキル基、フェニル基(該フェニル基は、
    ハロゲン原子、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、
    シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。)を意
    味し、又、いずれか2つが一緒になってC4-C8の環を形
    成してもよい。X-は塩を形成しうる陰イオン対を意味
    する。Yは水素原子、ハロゲン原子、C1-C4アルキル
    基、C1-C4アルコキシ基、ニトロ基又はシアノ基を意味
    する。Rは水素原子、C1-C4アルキル基、フェニル基
    (該フェニル基は、ハロゲン原子、C1-C4アルキル基、C
    1-C4アルコキシ基で置換されていてもよい。)又は置換
    シリル基を意味する。〕で表される光学活性マンガン錯
    体のいずれかを触媒として不斉エポキシ化反応を行な
    い、式[VII] 【化11】 (式中、R9及びR10は、前記に同じ。*で示された炭素
    原子の絶対配位はRかSを意味する。)で表される光学
    活性エポキシ化合物を製造する方法。
  5. 【請求項5】式[VIII] 【化12】 で示したインデンに対し、請求項4記載の式[I]又は
    [I']で表される光学活性マンガン錯体のいずれかを触
    媒として不斉エポキシ化反応を行ない、式[IX] 【化13】 (*で示された炭素原子の絶対配位はRかSを意味す
    る。)で表される光学活性エポキシ化合物を製造する方
    法。
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