JPH07285254A - 粉体インク塗布方法 - Google Patents

粉体インク塗布方法

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JPH07285254A
JPH07285254A JP8040694A JP8040694A JPH07285254A JP H07285254 A JPH07285254 A JP H07285254A JP 8040694 A JP8040694 A JP 8040694A JP 8040694 A JP8040694 A JP 8040694A JP H07285254 A JPH07285254 A JP H07285254A
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ink
powder ink
powder
layer
bias voltage
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JP8040694A
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English (en)
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Kenji Ogi
健嗣 小木
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 導電性又は非導電性の磁性粉体インク4を、
粉体インク媒体1の粘着性を有するインク剥離層12上
に粉体インク供給体5により供給して塗布する方法にお
いて、粉体インクを脱落することがないように均一に塗
布でき、しかも、画像の種類に係わらず粉体インクを単
層状に確実に塗布できるようにする。 【構成】 粉体インク供給体5によりインク剥離層12
上に付着させた粉体インクのうちの余剰の粉体インクを
磁気ロール6により回収するようにし、かつ、導電性の
磁性粉体インク粉体の場合には、インク供給体5に印加
する直流バイアス電圧の極性に応じて磁気ロール6に印
加する直流バイアス電圧を設定し、非導電性の磁性粉体
インクの場合には、粉体インクの帯電電位の極性に応じ
てインク供給体5及び磁気ロール6に印加する直流バイ
アス電圧を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉体インク媒体におけ
る粉体インク層の初期形成及び再生に適用される粉体イ
ンクの塗布方法に係り、特に、粉体インクを単層状に塗
布できる粉体インク塗布方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱転写記録装置に使用される粉体インク
媒体は、その粉体インク層のうち画像情報に応じて選択
的に加熱溶融されたインク層部分が記録媒体上に転写さ
れることで画像形成を行うようになっている。そして、
その粉体インク媒体のインク層の一部が画像形成により
消費されて損失するため、従来においてはそのインク損
失部分を再生するための技術が種々提案されている。例
えば、特開昭56−10479号、同60−25948
号及び特開平1−113276号公報には、通電熱転写
記録タイプの粉体インク媒体の再生に当たり、その媒体
の欠損したインク層部分に粉体インクを付着させた後、
加熱溶融して定着せしめる方法が開示されている。ま
た、特開昭63−297084号公報には、粉体インク
媒体の欠損したインク層部分に粉体インクを静電気力に
より一様に付着させて再生する方法が開示されている。
【0003】しかしながら、上記前者の方法は、再生に
際して熱を利用するためエネルギー効率が悪く、さらに
その装置が大型化するという問題があった。また、この
前者の方法では粉体インクを熱により溶融することによ
ってレベリング化して媒体上に固定する方法を採るた
め、再生したインク層表面に細かな凹凸ができたり、或
いは、その加熱溶融により粉体から溶融して固形物に変
化することに伴う導電率、誘電率等の物性変化が生じ、
その結果、その再生インク表面の凹凸や転写による欠損
部分の凹凸、さらには上記の物性変化が原因でインク層
の再生を安定して行うことができないという問題があっ
た。一方、上記後者の方法は、粉体インクの保持が静電
気力だけによってなされるため、その保持力が充分でな
いことにより粉体インクが振動等により脱落しやすく、
しかも粉体インクが多層状に付着しやすい結果、背景カ
ブリが生じる等の問題があった。
【0004】そこで、本発明者は、上記のような各問題
点を解消するため、例えば通電熱転写記録タイプの粉体
インク媒体の再生方法として、粘着性を有する特定のイ
ンク剥離層を設けたインク媒体を用い、かかるインク剥
離層上のインク層損失部分に粉体インクを該剥離層に近
接配置した粉体インク担持体により供給して付着させる
という方法をすでに提案している(特開平5−1650
1号公報)。
【0005】そして、その後に継続して行った研究によ
り本発明者は以下のような新たな課題を知見した。すな
わち、上記の方法においても前記した背景カブリが依然
としてわずかながら発生し、しかも繰り返し使用により
その背景カブリ発生が増加する問題がある。そして、本
発明者は、かかる現象の発生原因は粉体インク層が複層
状に形成されることにあるものと推測した。また、前掲
の特開平1−113276号公報に開示の再生方法は、
粉体インク層の剥離部のみ(実際には露出した絶縁性ベ
ース上)に導電性の磁性粉体インクを電界をかけつつ静
電気力より付着させるものであるが、特に、インク層剥
離部のエッジ部に粉体インクを付着させないような電界
が発生してそのエッジ部に粉体インクが付着しない、即
ち再生できないという問題がある。このような再生不良
は、インク剥離部が特に細線などの画像形成により生じ
たものである場合に顕著に起こり、その上、このような
再生不良が発生した部分が次サイクルの画像形成におい
て白抜けを誘発して印字品質の低下を招くことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述したよ
うな問題点を解決するためになされたもので、粉体イン
クを脱落することがないように均一に塗布できることは
勿論のこと、画像の種類に係わらず粉体インクを単層状
に確実に塗布することができる粉体インク塗布方法を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の粉体インク塗布
方法は、導電性の磁性粉体インクを、粉体インク媒体の
支持材上に積層した粘着性を有するインク剥離層上に、
該剥離層に対して近接配置する粉体インク供給体により
供給して塗布する方法を前提とし、上記粉体インク供給
体によりインク剥離層上に付着させた粉体インクのうち
の余剰の粉体インクを該剥離層に近接配置する磁気ロー
ルにより回収するようにし、かつ、粉体インク供給体に
正極性の直流バイアス電圧を印加する場合には磁気ロー
ルに該供給体よりも低い直流バイアス電圧を印加し、ま
た、粉体インク供給体に負極性の直流バイアス電圧を印
加する場合には磁気ロールに該供給体よりも高い直流バ
イアス電圧を印加することを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の塗布方法は、非導電性の磁
性粉体インクを、粉体インク媒体の支持材上に積層した
粘着性を有するインク剥離層上に、該剥離層に対して近
接配置する粉体インク供給体により供給して塗布する方
法を前提とし、上記粉体インク供給体によりインク剥離
層上に付着させた粉体インクのうちの余剰の粉体インク
を該剥離層に近接配置する磁気ロールにより回収するよ
うにし、かつ、粉体インクの帯電電位が正極性を示す場
合には粉体インク供給体及び磁気ロールに粉体インクの
電位よりも低い直流バイアス電圧を印加し、また、粉体
インクの帯電電位が負極性を示す場合には粉体インク供
給体及び磁気ロールに粉体インクの電位よりも高い直流
バイアス電圧を印加することを特徴とするものである。
【0009】更に、本発明の塗布方法は、上記の技術的
手段におけるインク剥離層が、その粘着力が90°引き
はがし法で5〜1000g/25mmであり、かつ、3
5dyne/cm以下の臨界表面張力を有する粘弾性物
質からなることを特徴とするものである。また更に、本
発明は、上記の技術的手段において粉体インク供給体及
び磁気ロールにさらに共通のバイアス電圧を印加するこ
とを特徴とするものである。
【0010】このような技術的手段において、粉体イン
クは、導電性を有する磁性粉体インク若しくは非導電性
の磁性粉体インクである。両磁性粉体インクはいずれも
熱溶融性の合成樹脂中に着色剤や磁性粒子を含有させた
ものであり、導電性のインクの場合にはさらに導電性物
質等を含有させて導電性を付与してなるものである。ま
た、これらの磁性粉体インクは平均粒径が2〜20μ
m、好ましくは4〜10μmのものである。この粒径が
2μm未満であるとその製造性やハンドリング性の点で
問題があり、反対に20μmを越えると加熱により溶け
難くなり、細線画像の再現性が悪くなる等の問題があ
る。
【0011】粉体インク媒体は、インク層以外の部分が
支持材と少なくとも後述するインク剥離層とから構成さ
れるものである。また、その媒体全体はドラム形態、ベ
ルト形態又はシート形態のいずれであってもよい。
【0012】粉体インク供給体は、非磁性のスリーブと
そのスリーブ内に内設されるマグネットロールとでその
主要部が構成されるものであり、粉体インク媒体のイン
ク剥離層側の表面に対して所定の間隔をあけて回動可能
に設置される。スリーブとしては、アルミニウム、銅、
ステンレス、黄銅等の非磁性金属や合成樹脂を用いてド
ラム形状又はベルト形状に形成したものが使用される。
スリーブを合成樹脂材料を用いて形成する場合、必要に
応じてその材料中に非磁性金属を含有させて形成したり
或いは樹脂成形したスリーブ表面に非磁性金属を着膜し
て形成したものでもよい。一方、マグネットロールとし
ては、磁性ロールの軸方向に同極性又は異極性の磁極を
適宜着磁したものや、非磁性ロール芯材に棒状の磁石を
複数接着固定したもの等が使用される。また、このイン
ク供給体は、粉体インクの収納ホッパーの取り出し開口
部側にインクを担持して搬送できるように設置される。
ホッパーには、必要に応じて、インク供給体に担持され
たインク量を規制したり帯電させる規制部材が設けられ
る。その規制部材としては、鉄等の磁性部材やアルミニ
ウム、銅、合成樹脂等の非磁性部材からなるブレードや
規制用壁等を使用できる。
【0013】磁気ロールは、粉体インク供給体によりイ
ンク剥離層上に付着させた粉体インクのうちの余剰の粉
体インク、具体的には2層目以上の粉体インクを回収す
るためのものである。磁気ロールは、上記のごとき余剰
の粉体インクを回収できるものであればその構成につい
ては特に限定されるものではないが、例えば、上記粉体
インク供給体と基本的に同様の構成とすることができ
る。そして、この磁気ロールは、粉体インク供給体によ
るインク剥離層上へのインク供給位置より下流側であっ
て、かかる供給体のインク供給作用と磁気ロールによる
インク回収作用とが互いに干渉しあわないような位置に
おいて、粉体インク媒体と所定の間隔をあけて設置され
る。また、磁気ロールには、回収された粉体インクを取
り除くためのブレード等をそのロール表面に当接するよ
うに併設し、その回収インクがホッパー内に戻されるよ
うに構成することが好ましい。
【0014】上記の粉体インク供給体と磁気ロールに対
しては、バイアス電圧を以下の条件を満たすようにそれ
ぞれ印加する。
【0015】まず、粉体インクとして導電性磁性粉体イ
ンクを使用する場合は次のようにする。即ち、粉体イン
ク供給体に正極性の直流バイアス電圧を印加する場合に
は磁気ロールに対して該供給体よりも低い直流バイアス
電圧を印加し、また、粉体インク供給体に負極性の直流
バイアス電圧を印加する場合には磁気ロールに対して該
供給体よりも高い直流バイアス電圧を印加する。ここ
で、粉体インク供給体に正極性の直流バイアス電圧を印
加する場合には、磁気ロールには上記条件を満たす範囲
内の正極性のバイアス電圧を印加することも可能ではあ
るが、好ましくはグランドにおとすか或いは負極性の直
流バイアス電圧を印加する。同様にして、粉体インク供
給体に負極性の直流バイアス電圧を印加する場合には、
好ましくはグランドにおとすか或いは正極性の直流バイ
アス電圧を印加する。
【0016】また、粉体インクとして非導電性磁性粉体
インクを使用する場合には次のようにする。即ち、その
粉体インクの帯電電位が正極性を示す場合には粉体イン
ク供給体及び磁気ロールに対して粉体インク供給体上に
おける粉体インクの電位よりも低い直流バイアス電圧を
印加し、また、粉体インクの帯電電位が負極性を示す場
合には粉体インク供給体及び磁気ロールに対して粉体イ
ンク供給体上における粉体インクの電位よりも高い直流
バイアス電圧を印加する。ここで、粉体インクの帯電電
位が正極性を示す場合には粉体インク供給体及び磁気ロ
ールへは負極性の直流バイアス電圧を印加するか或いは
グランドにおとすことが好ましく、反対に、粉体インク
の帯電電位が負極性を示す場合には正極性のバイアス直
流電圧を印加するか或いはグランドにおとすことが好ま
しい。
【0017】更に、導電性磁性粉体インク又は非導電性
磁性粉体インクのいずれを使用する場合においても、粉
体インク供給体と磁気ロール間の電位差は共に絶対値で
50V〜2kV、好ましくは100V〜1kVの範囲内
になるようにする。この電位差が50V未満であると磁
気ロールによる余剰粉体インクの回収効率が悪くなり、
反対に2kVを越えると放電発生等の問題がある。
【0018】以上の条件を満たさないバイアス電圧の印
加を行った場合には、インク剥離層上に粉体インクが多
層状になって付着されたままとなり、印字時において背
景カブリが発生する等の問題がある。
【0019】なお、上記のバイアス電圧を印加した際の
対向電極としては、特に限定されないが、インク媒体を
回動搬送するための搬送用対向ロールやインク媒体にお
ける導電層(電極層など)を利用することができる。
【0020】また、上記のバイアス電圧印加の他に、粉
体インク供給体と磁気ロールにさらに共通の直流又は交
流のバイアス電圧を印加することができる。例えば、対
向電極が或る電位をもっている場合には、その電位と同
じ電位となる共通のバイアス電圧を印加する。なお、交
流のバイアス電圧を印加した場合には、粉体インク供給
体において交番電界により粉体インクをインク剥離層と
の間で往復運動させることができため粉体インクの剥離
層との接触率を高めることができる。しかも、交流バイ
アス電圧を供給体と磁気ロールとに共通して印加するこ
とにより、その両者における周波数や位相を合致させる
ことができる。
【0021】一方、粉体インク媒体における支持材は、
アルミニウム、銅、ステンレス、黄銅等の金属材料や、
ポリイミド系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、シリコー
ン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、
ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂材
料やセラミック、ガラスなどにて形成されるもので、必
要に応じて、カーボンブラック、黒鉛、TiC、Ti
N、TiB2、ZrB2や他の金属やSiO2、TiO2
の酸化物を上記樹脂材料中に混入させたり、或いはそれ
らを上記樹脂からなる支持材表面に塗布又は着膜して構
成したものでものである。インク媒体を通電転写タイプ
とする場合には、その支持材はさらにAl、Ni、A
g、Au、Cu、Co等の導電層を設けて構成する。
【0022】また、粉体インク媒体におけるインク剥離
層は、粉体インクを付着して保持すると共に、その保持
した粉体インクが加熱溶融した場合に容易に転写させる
ことが可能な材料よりなるものであり、前記したような
粘着力を有し、また臨界表面張力を有する粘弾性物質か
らなるものである。なお、本発明における上記粘着力
は、一般的に適用されるJIS Z 0109 600
7に示される規格のものではなく、標準粘着テープ(日
東電工製:(株)Nitoflon No.903)と
インク剥離層における粘着力の値としてJIS Z 0
237に示される90°引きはがし法で評価した値を採
用している。
【0023】インク剥離層における臨界表面張力が35
dyne/cmよりも高いと、溶融した粉体インクとイ
ンク剥離層とのねれ性が良好になるため、粉体インクの
剥離性が低下し、記録媒体への100%転写が実現でき
なくなり、従って、次の画像形成プロセスにおいて残留
インクとして残存し、その上に付着した粉体インクによ
り背景カブリが発生するようになる。
【0024】また、インク剥離層の粘着力が90°引き
はがし法で1000g/25mmを越えると、その粘着
力が強すぎてインク剥離層と粉体インク層との界面では
なく記録媒体と粉体インク層との界面で剥離が生じた
り、或いは、記録媒体内で凝集破壊が発生して記録媒体
の一部がピールして粉体インク媒体上に付着したり、最
悪の場合には剥離されずジャムが発生する等の問題があ
る。反対に上記粘着力が5g/25mm未満となると、
粉体インクをインク剥離層上に保持する力が弱すぎるた
め、振動等により粉体インクが脱落したり、記録の際に
背景カブリが発生する。
【0025】このようなインク剥離層は、シリコーンゴ
ム、液状シリコーン、変性シリコーン、フロロシリコー
ンゴム、シリコーンレジン、シリコーンコーティング剤
等を用いて形成されるもので、その層厚が0.3〜10
μmの範囲に設定されたものである。
【0026】以上のごとき塗布方法によって粉体インク
層を初期形成したり或いは再生した粉体インク媒体は、
そのインク層を画像信号に応じて選択的に加熱溶融して
転写材に転写することにより画像形成を行うことができ
る。このような粉体インク媒体を用いて画像形成を行う
ための画像記録方式やその記録装置等は従来公知のもの
を使用することができる。例えば、サーマルヘッド等を
使用する感熱転写記録方式、スタイラスヘッド等を使用
する通電転写記録方式、レーザー書き込みヘッド等を使
用するレーザー熱転写記録方式などが適用される。
【0027】
【作用】本発明の塗布方法によれば、粉体インクが粉体
インク供給体により粉体インク媒体におけるインク剥離
層上に供給されると、粘着性を有するインク剥離層上に
粉体インクが付着する。この際、そのインク剥離層上に
は粉体インクが以下のようにして単層状に塗布形成され
る。
【0028】すなわち、導電性の磁性粉体インクの場
合、インク剥離層上に供給された時点では、その2層目
以上の粉体インクは、インク剥離層と直接接触しない
こと、1層目の粉体インクと接触している間は電荷の
通り道となって電荷をもたないこと、インク剥離層上
に付着した1層目の粉体インクから離れると、インク供
給体に印加する直流バイアス電圧が注入されているにも
かかわらずインク供給体上の他の粉体インクとの接触に
より上記1層目の粉体インクとほぼ同電位となるため静
電気的な反発が起きること、等により付着しにくい。し
かし、実際には、粉体インクどうしは非静電気的な要因
により互いに付着することがあるため、インク剥離層上
に粉体インクが多層状に付着することがある。このよう
に粉体インクが多層状に付着した場合であっても、その
2層目以上の粉体インクは、磁気ロールによる磁力と電
界により吸引されて回収除去される。従って、インク剥
離層上には最終的に1層目の粉体インクのみが付着する
ことになるため、単層状(ほぼ1層)の粉体インク層が
塗布されることになる。
【0029】一方、非導電性の磁性粉体インクの場合に
は、インク剥離層上に供給された時点では、その2層目
以上の粉体インクは、導電性の粉体インクの場合におけ
る上記の理由の他、粉体インクは帯電しているため静
電気的な反発が起きること、等により付着しにくい。そ
して、上記導電性の粉体インクの場合と同様に非静電気
的な要因により粉体インクが多層状に付着した場合であ
っても、その2層目以上の粉体インクは、磁気ロールに
よる磁力と電界により吸引されて回収除去される。従っ
て、インク剥離層上には最終的に1層目の粉体インクの
みが付着することになるため、単層状(ほぼ1層)の粉
体インク層が塗布されることになる。
【0030】また、本発明においては、インク剥離層に
より粉体インクが均一にかつ確実に保持される一方、溶
融された際には容易に転写され、しかも、そのインク剥
離層上には上述のように単層状に粉体インク層が形成さ
れるため、画像形成時には粉体インクが転写材側へ確実
に転写されて剥離層上には残留しない。そして、画像形
成後にはインク剥離層が確実に露出してその露出した部
分に粉体インクを確実に再付着させることができる。こ
のようにしてインク層が的確に再生される。また、この
再生においては、粉体インクがインク剥離層の粘着力に
より付着するため、インク層欠損部のエッジ部にも確実
に付着する。
【0031】従って、本発明の塗布方法は、粉体インク
媒体における粉体インク層の初期形成と、画像形成後に
おける粉体インク層の再生とを行うことができる。な
お、再生時に、画像形成に供されず残存したインク層上
に粉体インクが塗布されたとしても、その粉体インクは
インク剥離層に接触しておらず磁気ロールによりすべて
回収される。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例等について図面を参照
しながら詳細に説明する。
【0033】実施例1 図1は、本発明の粉体インク塗布方法を適用した熱転写
記録装置を示す。この装置は、無端ベルト状の粉体イン
ク媒体1を使用し、その粉体インク媒体1の周囲に粉体
インク塗布装置2と記録部3とを配設して構成してなる
ものである。
【0034】粉体インク媒体1は、図2に示すように、
支持材10としての表面抵抗値550Ω/□、厚さ30
μmの導電性ポリイミドフィルムの片面に、高周波スパ
ッタリング着膜法によりアルミニウムを厚さ0.3μm
に着膜して導電層11を形成した後、この導電層11上
に熱硬化性シリコーン樹脂(信越化学工業(株):KR
2706、体積抵抗値1014Ωcm以上)を、帰路電極
ロールを当接させるべく両端部を残して塗布し、150
°Cで30分間熱硬化させ、界面表面張力25dyne
/cm、厚さ2μmのインク剥離層12を形成した。こ
のインク剥離層12について、標準粘着テープ(日東電
工製:(株)Nitoflon No.903)を用い
てJIS Z 0237に示されている90°引きはが
し法にて粘着力を測定したところ、100g/25mm
であった。このようにして得られた積層体を支持材10
のフィルム面を内側にしてつなぎ合わせるように接続
し、無端ベルト状の粉体インク媒体とした。
【0035】この無端ベルト状の粉体インク媒体1は、
図1に示すように、搬送ロール15、対向ロール16及
びテンションロール17に懸架され、矢印方向に線速度
100mm/秒で回動するようになっている。
【0036】粉体インク塗布装置2は、磁性粉体インク
4を収容するホッパー20と、ホッパー20内に配設さ
れた粉体インク供給体5と、粉体インク供給体5から粉
体インク媒体1の回動下流側の位置でインク媒体1に近
接配置される磁気ロール6と、バイアス用電源21、2
2と、供給体5表面に過剰に付着した粉体インクを除去
するための規制部材23とでその主要部が構成されてい
る。粉体インク供給体5は、円筒状のスリーブとその内
部に配設された電子写真用マグネットロールとから構成
されたものであり、粉体インク媒体1と0.5mmの間
隔をあけて配置されている。また、磁気ロール6は、イ
ンク供給体5よりも少し小径のスリーブを備えたマグネ
ットロールからなるものであり、粉体インク媒体1と
0.3mmの間隔をあけて配置されている。磁気ロール
6の表面にはインク除去用のブレード60の先端部が当
接している。粉体インク供給体5は線速度250mm/
秒、磁気ロール6は線速度10mm/秒で共にインク媒
体1の回動方向と順方向に回転する。
【0037】磁性粉体インク4としては、次のように製
造した導電性のものを使用した。すなわち、ポリエステ
ル樹脂60重量部と磁性粉40重量部を混合し、溶融混
練した後、ジェットミルによる粉砕、分級工程をへて、
体積平均粒径10μmの粒子を得た。次いで、この粒子
97重量部とカーボンブラック粒子3.0重量部とをヘ
ンシェルミキサーにて混合して導電性の粉体インクとし
た。この粉体インクの体積抵抗率は103Ωcmであっ
た。
【0038】記録部3は、粉体インク媒体1のインク剥
離層とは反対側の面に圧接される記録ヘッド30と、イ
ンク媒体1を挟んで記録ヘッド30と対向する位置にイ
ンク層側面に圧接するように搬送される記録媒体31と
で構成されている。記録ヘッド30としては画像に対応
する電気信号をインク媒体に印加するスタイラスヘッド
(解像度:400SPI)を使用している。記録媒体3
1は、ロール状に巻回されたものであり、搬送用ロール
32、33により搬送されると共に背面圧接ロール34
によりインク媒体1に圧接されるようになっている。図
1中35は、インク媒体1の導電層に当接して回転する
帰路電極ロールを示す。
【0039】このような構成からなる本実施例装置によ
り、下記の条件の下で、粉体インク媒体における粉体イ
ンク層の初期形成と画像形成を、さらにインク層の再生
を行った。
【0040】まず、粉体インク供給体5にバイアス用電
源21から+200Vの直流バイアス電圧を印加する一
方、磁気ロール6にバイアス電源22から−400Vの
バイアス電圧を印加した状態で、粉体インク塗布装置2
により、回動搬送される粉体インク媒体1のインク剥離
層12上に導電性の磁性粉体インク4を塗布して粉体イ
ンク層4aを形成した。このときのインク剥離層上に塗
布形成された粉体インク層4aは、1層よりなる極めて
均一なものであった。また、磁気ロール6で回収された
粉体インクはブレード60により除去されてホッパー2
0内に戻された。
【0041】続いて、この粉体インク層4aが形成され
た粉体インク媒体1に対し、記録部3においてスタイラ
スヘッド30から600μsec、20mAのパルス信
号を印加した。これにより、そのパルス信号に応じて粉
体インク層4aが加熱溶融され、その溶融したインクが
媒体1から剥離して圧接される記録媒体31へ転写され
ることによって画像36が形成された。このときの粉体
インクの転写率と印字画像の光学濃度を測定したとこ
ろ、転写率は98%、光学濃度は1.3であった。
【0042】次いで、画像形成後の粉体インク媒体1
は、インク塗布装置2において粉体インク4が前記と同
じ原理で塗布されてインク層が再生された。すなわち、
粉体インク4が画像形成に供されて損失したインク層の
欠損部7に対して粉体インク4が付着した。このとき、
インク欠損部7にはほぼ1層で均一な状態で粉体インク
が付着されていた。以上の画像形成と再生の一連のプロ
セスを100回繰り返し、粉体インクの転写率と印字画
像の光学濃度を測定したところ、転写率は94%、光学
濃度は1.2であった。また、上記初期形成したインク
層による画像形成及び再生したインク層による画像形成
のいずれにおいても、その非印字部に実用上問題となる
ような背景カブリは発生しなかった。
【0043】比較例1 粉体インク供給体5に印加する直流バイアス電圧を−1
00V、磁気ロール6に印加する直流バイアス電圧を−
200Vに変更した以外は実施例1と同様にして粉体イ
ンクの塗布と画像形成を行った。しかしながら、実用上
問題となる程度の背景カブリが顕著に発生したため、実
験を中止した。
【0044】比較例2 インク剥離層として、熱硬化性シリコーンを塗布して1
50°Cで3分間熱硬化させて臨界表面張力38dyn
e/cm、厚さ3μm、90°引きはがし法の粘着力8
00g/25mmからなるインク剥離層を形成した粉体
インク媒体を使用し、また、ヘッドに印加するパルス信
号の出力を25mAにした以外は実施例1と同様にして
粉体インクの塗布と画像形成を行った。そして、実施例
1と同じく粉体インクの転写率と印字画像の光学濃度を
測定したところ、転写率68%、光学濃度1.0であっ
た。また、画像形成後における粉体インク媒体上に熱溶
融された粉体インクが転写されず残留していた。更に、
再生したインク層による画像形成を行った際に、前のサ
イクルで印字した画像に相当する位置に実用上問題とな
る程度の背景カブリが発生した。
【0045】比較例3 インク剥離層として、熱硬化性シリコーン(信越化学工
業(株):KS−779H、体積抵抗値1014Ωcm以
上)を塗布して150°Cで1分間熱硬化させて臨界表
面張力25dyne/cm、厚さ2μm、90°引きは
がし法の粘着力3g/25mmからなるインク剥離層を
形成した粉体インク媒体を使用した以外は実施例1と同
様にして粉体インクの塗布と画像形成を行った。そし
て、実施例1と同じく粉体インクの転写率と印字画像の
光学濃度を測定したところ、転写率97%、光学濃度
1.5であったが、非印字部となる位置に実用上問題と
なる程度の背景カブリが発生した。
【0046】比較例4 インク剥離層として、熱硬化性シリコーン(信越化学工
業(株):KE−1820、体積抵抗値1014Ωcm以
上)を塗布して150°Cで3分間熱硬化させて臨界表
面張力30dyne/cm、厚さ3μm、90°引きは
がし法の粘着力1500g/25mmからなるインク剥
離層を形成した粉体インク媒体を使用し、また、粉体イ
ンク供給体5に印加する直流バイアス電圧を+300V
にし、更に、ヘッドに印加するパルス信号の出力を25
mAにした以外は実施例1と同様にして粉体インクの塗
布と画像形成を行った。しかしながら、粉体インク媒体
と記録媒体の剥離ができずジャムが発生したため、実験
を中止した。
【0047】実施例2 この実施例は、記録装置として図3に示すものを使用
し、粉体インク媒体として図4に示すような感熱転写記
録タイプのものをした以外は実施例1と同様の構成から
なるものである。
【0048】すなわち、粉体インク媒体1は、図4に示
すように厚さ5μmのステンレス箔からなる支持材10
aに実施例1と同じインク剥離層12を形成したもので
ある。また、記録装置は、上記感熱転写記録タイプの粉
体インク媒体1に合わせて解像度400SPIのサーマ
ルヘッド37を使用すると共に帰路電極用ロールを使用
せずに対向ロール16をアースして使用し、更に、イン
ク供給体5及び磁気ロール6に共通のバイアス電圧を印
加する共通電源部24を増設し、インク供給体5をイン
ク媒体1に対して0.3mmの間隔をあけて設置した以
外は実施例1と同じ構成からなるものである。
【0049】このような構成からなる本実施例装置によ
り、下記の条件の下で、粉体インク媒体における粉体イ
ンク層の初期形成と画像形成を、さらにインク層の再生
を行った。
【0050】まず、粉体インク供給体5にバイアス用電
源21から−300Vの直流バイアス電圧を印加する一
方、磁気ロール6にバイアス電源22から+200Vの
バイアス電圧を印加し、さらにその両者に共通バイアス
電源24から振幅1000V、周波数2kHzの正弦波
バイアス電圧を印加した状態で、粉体インク塗布装置2
により、回動搬送される粉体インク媒体1のインク剥離
層12上に導電性の磁性粉体インク4を塗布して粉体イ
ンク層4aを形成した。このときのインク剥離層上に塗
布形成された粉体インク層4aは、1層よりなる極めて
均一なものであった。
【0051】続いて、この粉体インク層5aが形成され
た粉体インク媒体1に対し、記録部3においてサーマル
ヘッド37から実施例1と同じ条件のパルス信号を印加
することによって記録媒体31上に画像36を形成し
た。このときの粉体インクの転写率と印字画像の光学濃
度を測定したところ、転写率は97%、光学濃度は1.
7であった。
【0052】次いで、画像形成後の粉体インク媒体1に
ついて、インク塗布装置2において欠損部7が発生した
インク層の再生を行った。このとき、インク欠損部7に
はほぼ1層で均一な粉体インクが付着されていた。以上
の画像形成と再生の一連のプロセスを100回繰り返
し、粉体インクの転写率と印字画像の光学濃度を測定し
たところ、転写率は96%、光学濃度は1.6であっ
た。また、上記初期形成したインク層によるの画像形成
及び再生したインク層による画像形成のいずれにおいて
も、その非印字部に実用上問題となるような背景カブリ
は発生しなかった。
【0053】比較例5 粉体インク供給体5に印加する直流バイアス電圧を−2
00V、磁気ロール6に印加する直流バイアス電圧を−
400Vに変更した以外は実施例2と同様にして粉体イ
ンクの塗布と画像形成を行った。しかしながら、実用上
問題となる程度の背景カブリが顕著に発生したため、実
験を中止した。
【0054】実施例3 この実施例は、磁性粉体インクとして非導電性のものを
使用し、記録装置におけるインク塗布装置の規制部材2
3として帯電用のブレード23aを設けた以外は実施例
1と同様の構成の粉体インク媒体(図2)や記録装置
(図1)を採用したものである。
【0055】すなわち、磁性粉体インクは、実施例1に
おける粉体インクに含有させたカーボンブラック3.0
重量部に代えてシリカ粒子0.8重量部を混合した以外
は実施例1と同じ条件で製造したものを使用した。
【0056】このような構成からなる本実施例装置によ
り、下記の条件の下で、粉体インク媒体における粉体イ
ンク層の初期形成と画像形成を、さらにインク層の再生
を行った。
【0057】まず、粉体インク供給体5にバイアス用電
源21から+200Vの直流バイアス電圧を印加する一
方、磁気ロール6にバイアス電源22から+400Vの
バイアス電圧を印加し、さらに粉体インク供給体5をイ
ンク媒体1に対して0.5mmの間隔をあけて設置した
以外は実施例1と同じ条件下で、粉体インク塗布装置2
により、回動搬送される粉体インク媒体1のインク剥離
層12上に非導電性の磁性粉体インク4を帯電させた状
態で塗布して粉体インク層4aを形成した。インク供給
体5により塗布される時点における粉体インク層の電位
は−20Vであった。また、このときのインク剥離層上
に塗布形成された粉体インク層4aは、1層よりなる極
めて均一なものであった。
【0058】続いて、この粉体インク層4aが形成され
た粉体インク媒体1に対し、記録部3においてスタイラ
スヘッド30から実施例1と同じ条件のパルス信号を印
加して画像形成を行った。このときの粉体インクの転写
率と印字画像の光学濃度を測定したところ、転写率は9
8%、光学濃度は1.3であった。
【0059】次いで、画像形成後の粉体インク媒体1に
ついて、インク塗布装置2において欠損部7が発生した
インク層の再生を行った。このときインク欠損部7には
ほぼ1層で均一な粉体インクが付着されていた。以上の
画像形成と再生の一連のプロセスを100回繰り返し、
粉体インクの転写率と印字画像の光学濃度を測定したと
ころ、転写率は94%、光学濃度は1.2であった。ま
た、上記初期形成したインク層による画像形成及び再生
したインク層による画像形成のいずれにおいても、その
非印字部に実用上問題となるような背景カブリは発生し
なかった。
【0060】比較例6 粉体インク供給体5に印加する直流バイアス電圧を−1
00V、磁気ロール6に印加する直流バイアス電圧を−
200Vに変更した以外は実施例3と同様にして粉体イ
ンクの塗布と画像形成を行った。インク供給体により塗
布される時点における粉体インク層の電位は−80Vで
あった。しかしながら、実用上問題となる程度の背景カ
ブリが顕著に発生したため、実験を中止した。
【0061】比較例7 インク剥離層として、比較例2と同様の臨界表面張力3
8dyne/cm、厚さ3μm、90°引きはがし法の
粘着力800g/25mmからなるインク剥離層を形成
した粉体インク媒体を使用し、また、ヘッドに印加する
パルス信号の出力を25mAにした以外は実施例3と同
様にして粉体インクの塗布と画像形成を行った。インク
供給体により塗布される時点における粉体インク層の電
位は−20Vであった。そして、実施例3と同じく粉体
インクの転写率と印字画像の光学濃度を測定したとこ
ろ、転写率68%、光学濃度1.0であった。また、画
像形成後における粉体インク媒体上には熱溶融された粉
体インクが転写されずに残留していた。更に、再生した
インク層による画像形成を行った際に、前のサイクルで
印字した画像に相当する位置に実用上問題となる程度の
背景カブリが発生した。
【0062】比較例8 インク剥離層として、比較例3と同様の臨界表面張力2
5dyne/cm、厚さ2μm、90°引きはがし法の
粘着力3g/25mmからなるインク剥離層を形成した
粉体インク媒体を使用した以外は実施例3と同様にして
粉体インクの塗布と画像形成を行った。インク供給体に
より塗布される時点における粉体インク層の電位は−2
0Vであった。そして、粉体インクの転写率と印字画像
の光学濃度を測定したところ、転写率97%、光学濃度
1.5であったが、非印字部となる位置に実用上問題と
なる程度の背景カブリが発生した。
【0063】比較例9 インク剥離層として、比較例4と同様の臨界表面張力3
0dyne/cm、厚さ3μm、90°引きはがし法の
粘着力1500g/25mmからなるインク剥離層を形
成した粉体インク媒体を使用し、また、粉体インク供給
体5に印加する直流バイアス電圧を+500Vにし、ヘ
ッドに印加するパルス信号の出力を25mAにした以外
は実施例3と同様にして粉体インクの塗布と画像形成を
行った。インク供給体により塗布される時点における粉
体インク層の電位は−20Vであった。しかしながら、
粉体インク媒体と記録媒体の剥離ができずジャムが発生
したため、実験を中止した。
【0064】実施例4 この実施例は、実施例2と同様に、記録装置として図3
に示すものを使用し、粉体インク媒体として図4に示す
ような感熱転写記録タイプのものをした以外は実施例3
(実施例1)と同様の構成からなるものである。
【0065】すなわち、粉体インク媒体1は、実施例2
と同様に、厚さ5μmのステンレス箔からなる支持材1
0を使用して形成したものである。また、記録装置は、
実施例2と同様の、サーマルヘッド36を使用すると共
に対向ロール16をアースして使用し、また、共通電源
部24を増設し、インク供給体5をインク媒体1に対し
て0.3mmの間隔をあけて設置した以外は実施例1と
同じ構成からなるものである。
【0066】このような構成からなる本実施例装置によ
り、下記の条件の下で、粉体インク媒体における粉体イ
ンク層の初期形成と画像形成を、さらにインク層の再生
を行った。
【0067】まず、粉体インク供給体5にバイアス用電
源21から+300Vの直流バイアス電圧を印加する一
方、磁気ロール6にバイアス電源22から+400Vの
バイアス電圧を印加し、さらにその両者に共通バイアス
電源24から振幅1000V、周波数2kHzの正弦波
バイアス電圧を印加した状態で、粉体インク塗布装置2
により、回動搬送される粉体インク媒体1のインク剥離
層12上に導電性の磁性粉体インク4を塗布して粉体イ
ンク層4aを形成した。インク供給体により塗布される
時点における粉体インク層の電位は−50Vであった。
また、このときのインク剥離層上に塗布形成された粉体
インク層4aは、1層よりなる極めて均一なものであっ
た。
【0068】続いて、この粉体インク層5aが形成され
た粉体インク媒体1に対し、記録部3においてサーマル
ヘッド36から実施例1と同じ条件のパルス信号を印加
して記録媒体31上に画像36を形成した。このときの
粉体インクの転写率と印字画像の光学濃度を測定したと
ころ、転写率は97%、光学濃度は1.7であった。
【0069】次いで、画像形成後の粉体インク媒体1に
ついて、インク塗布装置2において欠損部7が発生した
インク層の再生を行った。このときインク欠損部7には
ほぼ1層で均一な粉体インクが付着されていた。以上の
画像形成と再生の一連のプロセスを100回繰り返し、
粉体インクの転写率と印字画像の光学濃度を測定したと
ころ、転写率は96%、光学濃度は1.6であった。ま
た、上記初期形成したインク層によるの画像形成及び再
生したインク層による画像形成のいずれにおいても、そ
の非印字部に実用上問題となるような背景カブリは発生
しなかった。
【0070】比較例10 粉体インク供給体5に印加する直流バイアス電圧を−2
00V、磁気ロール6に印加する直流バイアス電圧を−
300Vに変更した以外は実施例4と同様にして粉体イ
ンクの塗布と画像形成を行った。また、このときの粉体
インク層の電位は−150Vであった。しかしながら、
実用上問題となる程度の背景カブリが顕著に発生したた
め、実験を中止した。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
粘着性を有するインク剥離層を形成してなる粉体インク
媒体を使用し、また、粉体インク供給体にてインク剥離
層上に付着させた粉体インクのうちの余剰の粉体インク
を磁気ロールにより回収するようにし、更に、その粉体
インク供給体と磁気ロールへ特定条件下のバイアス電圧
を印加するようにしているため、そのインク剥離層に対
して粉体インクを脱落することがないように均一に塗布
できる上に、画像の種類に係わらず粉体インクを単層状
に確実に塗布することができる。
【0072】上記のような良好な粉体インクの塗布は、
インク剥離層を前記した特定の特性を具備させたり、或
いは、粉体インク供給体と磁気ロールへ所定の共通バイ
アス電圧を印加することにより、より確実に行うことが
できる。
【0073】従って、本発明方法により初期形成又は再
生したインク層を備えた粉体インク媒体を使用して画像
形成を行った場合には、背景カブリのない良好な画像形
成を長期にわたって安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を適用した実施例1、3に係る記
録装置を示す構成概念図である。
【図2】 図1の装置に使用する粉体インク媒体を示す
模式的断面図である。
【図3】 本発明方法を適用した実施例2、4に係る記
録装置を示す構成概念図である。
【図4】 図2の装置に使用する粉体インク媒体を示す
模式的断面図である。
【符号の説明】
1…粉体インク媒体、4…粉体インク、5…粉体インク
供給体、6…磁気ロール、8a…トナー像、10、10
a…支持材、12…インク剥離層、21、22…直流バ
イアス電源、24…共通バイアス電源。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性の磁性粉体インクを、粉体インク
    媒体の支持材上に積層した粘着性を有するインク剥離層
    上に、該剥離層に対して近接配置する粉体インク供給体
    により供給して塗布する方法において、 上記粉体インク供給体によりインク剥離層上に付着させ
    た粉体インクのうちの余剰の粉体インクを該剥離層に近
    接配置する磁気ロールにより回収するようにし、かつ、
    粉体インク供給体に正極性の直流バイアス電圧を印加す
    る場合には磁気ロールに該供給体よりも低い直流バイア
    ス電圧を印加し、また、粉体インク供給体に負極性の直
    流バイアス電圧を印加する場合には磁気ロールに該供給
    体よりも高い直流バイアス電圧を印加することを特徴と
    する粉体インク塗布方法。
  2. 【請求項2】 非導電性の磁性粉体インクを、粉体イン
    ク媒体の支持材上に積層した粘着性を有するインク剥離
    層上に、該剥離層に対して近接配置する粉体インク供給
    体により供給して塗布する方法において、 上記粉体インク供給体によりインク剥離層上に付着させ
    た粉体インクのうちの余剰の粉体インクを該剥離層に近
    接配置する磁気ロールにより回収するようにし、かつ、
    粉体インクの帯電電位が正極性を示す場合には粉体イン
    ク供給体及び磁気ロールに粉体インクの電位よりも低い
    直流バイアス電圧を印加し、また、粉体インクの帯電電
    位が負極性を示す場合には粉体インク供給体及び磁気ロ
    ールに粉体インクの電位よりも高い直流バイアス電圧を
    印加することを特徴とする粉体インク塗布方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の塗布方法におい
    て、インク剥離層は、その粘着力が90°引きはがし法
    で5〜1000g/25mmであり、かつ、35dyn
    e/cm以下の臨界表面張力を有する粘弾性物質からな
    ることを特徴とする粉体インク塗布方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の塗布方法におい
    て、粉体インク供給体及び磁気ロールにさらに共通のバ
    イアス電圧を印加することを特徴とする粉体インク塗布
    方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106183488A (zh) * 2016-07-11 2016-12-07 鹏码实业(上海)有限公司 一种用于防伪的磁性热转印色带及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106183488A (zh) * 2016-07-11 2016-12-07 鹏码实业(上海)有限公司 一种用于防伪的磁性热转印色带及其制备方法

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