JPH07284895A - 鉄鋼連続鋳造用保温材およびその使用方法 - Google Patents

鉄鋼連続鋳造用保温材およびその使用方法

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JPH07284895A
JPH07284895A JP6365494A JP6365494A JPH07284895A JP H07284895 A JPH07284895 A JP H07284895A JP 6365494 A JP6365494 A JP 6365494A JP 6365494 A JP6365494 A JP 6365494A JP H07284895 A JPH07284895 A JP H07284895A
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Japan
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insulating material
tundish
molten steel
less
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JP6365494A
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Inventor
Yasuo Otake
泰男 大竹
Hiroharu Usui
弘治 臼井
Junji Ikeda
純治 池田
Ryuji Kamata
龍二 鎌田
Katsuyoshi Miyazaki
勝吉 宮崎
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SHOWA KIGYO KOFUN YUGENKOSHI
Toho Kinzoku Co Ltd
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
SHOWA KIGYO KOFUN YUGENKOSHI
Toho Kinzoku Co Ltd
Nisshin Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タンディッシュ内の溶鋼の保温性などが優れ
た保温材を提供する。 【構成】 20wt.%〜30wt.%のMgOと35
wt.%〜42wt.%のSiO2と10wt.%〜2
0wt.%のAl23 と3wt.%〜4wt.%の結
晶水とを主成分として含み、嵩比重が0.3未満である
保温材を製造する。またAおよびBは、SiO2/Al2
3 比が2/1および1/1である組成を示す。この範
囲の組成に、20wt.%〜35wt.%のMgOを加
えたものを主成分として初期投入保温材を製造する。こ
のようなタンディッシュ保温材は、連続鋳造用のタンデ
ィッシュ内の溶鋼の表面を、初期投入保温材を下層にし
て2層に被覆し、空気から遮断し保温する。有害ガスの
ピックアップが少なく、特に極低炭素鋼の連続鋳造に適
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄鋼製造業において、
連続鋳造工程に用いるタンディッシュ内で使用され、保
温性を有し、かつタンディッシュ内雰囲気を外気から遮
断し、溶鋼内から生成する介在物を吸収するタンディッ
シュ保温材に関し、特に炭素含有量が100ppm以下
の極低炭素鋼の多連続鋳造にもその効果を持続し得る連
続鋳造用保温材およびその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、図4に示すような連続鋳造設
備によって、鉄鋼材料の連続鋳造が行われている。図4
は、2ストランド式の例を示す。溶鋼は取鍋1からタン
ディッシュ2に注入される。タンディッシュ2は、各ス
トランドに溶鋼を分湯する。各ストランドでは、鋳型3
a,3bに溶鋼が供給され、凝固してスラブ4a,4b
となる。凝固したスラブ4a,4bは、ロール5a,6
a;5b,6b間に挟持されて水冷されながら引抜かれ
る。
【0003】取鍋1からタンディッシュ2への溶鋼の注
入は、ロングノズル7によって行われる。タンディッシ
ュ2から鋳型3a,3bへの溶鋼の供給は、浸漬ノズル
8a,8bによってそれぞれ行われる。浸漬ノズル8
a,8bは、タンディッシュ2の底面に設けられてい
る。浸漬ノズル8a,8bの開閉のため、その上方にス
トッパ9a,9bがそれぞれ設けられる。タンディッシ
ュ保温材は、タンディッシュ2内に貯留される溶鋼の表
面を覆うように使用される。
【0004】以上のような連続鋳造用タンディッシュ2
の機能は、取鍋1から複数個の鋳型3a,3bに溶鋼を
分湯するものである。タンディッシュ保温材には、タン
ディッシュ内での溶鋼と空気との遮断や溶鋼汚染の防
止、溶鋼の冷却防止などの基本的役割がある。溶鋼が炭
素含有量100ppm以下の極低炭素鋼の場合には、タ
ンディッシュ保温材にはさらに厳しい条件が要求され
る。すなわち溶鋼への炭素量〔C〕や窒素量〔N〕の一
層の低減や、後工程において有害なケイ素量〔Si〕値
の抑制などがさらに要求される。従来からの極低炭素鋼
用のタンディッシュ内では、次のような方法が行われて
いるけれども、いずれも問題を残している。
【0005】アルゴンArガスでタンディッシュ内の
空気を置換し、溶鋼の酸化を防止する方法。この方法
は、保温には不利で、多くの場合、加熱装置を併用して
いる。しかしながら、空気をアルゴンガスで置換して酸
素O2 含有量を1%以下にすることは可能でも、窒素N
2 含有量を1%以下にして、溶鋼への窒素〔N〕の吸収
を抑えることは極めて困難である。また取鍋交換時に、
取鍋からタンディッシュ内へ流入するスラグ、および溶
鋼内から生成浮上する介在物を吸収するためのスラグ成
分が適切でなく、かつその量も少なく、生成する介在物
の悪影響が生じ易くなる。
【0006】白灰と称する籾を低温で焼却して炭素
〔C〕を除去した残渣を主体にしたものを使用する方
法。最近はいくぶん高温で焼却した針状の結晶性のもの
を使用する傾向にある。これらのものは、冷却時にクリ
ストバライト(Cristobalite)の生成が確認され、細か
い針状の粉塵による環境衛生が問題となる。連続鋳造を
繰返す多連鋳時には、長時間内で酸化ケイ素がアルミニ
ウム〔Al〕によって還元され、ケイ素量〔Si〕値の
上昇も問題となる。
【0007】一般的には、発泡性で比重の軽い物質を
核に、その表面に酸化マグネシウムMgO粉末をコーテ
ィングして酸化マグネシウムを増量主体として使用す
る。中心部の発泡性の部分は融点が低く、これがスラグ
化して直ちにアルミニウム〔Al〕によって還元され、
溶鋼から生成される介在物の吸収には不利となる。また
表面の酸化マグネシウムは、融点の高い固形物を形成
し、タンディッシュの内壁に額縁状に固着して作業性を
著しく悪化させたり、保温性の低下や介在物吸収能を著
しく低下させる。このため、時としてロングノズル7の
作動不良や折損事故を発生させることもある。
【0008】CaOを主体としたフラックスを使用
し、介在物の吸収を主眼とするものを使用する方法。こ
の場合、保温性には生成するスラグの厚さによる副次的
なものの影響が大きいと推定される。また介在物の吸収
についても、CaO−Al23系には多くの複合化合物
が存在するので、それぞれの動向を把握することは難し
く、種々の問題も残る。
【0009】焼籾と称し、脱穀した籾殻を焼いたもの
を使用する方法。保温性に優れているけれども時間の経
過とともに燃えて保温性が低下する。また、元になる籾
殻の性質にも影響される。さらに、燃籾中の炭素分が溶
鋼中に加炭されるので、極低炭素鋼のタンディッシュ保
温材としては使用されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】極低炭素鋼の多連鋳に
用いるタンディッシュ用保温材には、上述の〜のよ
うな問題が残されているので、これまで以上に保温性、
シール性、介在物吸収性が良く、精錬機能および作業性
や環境的に良好な条件を兼ねた保温材が望まれている。
すなわち、タンディッシュに用いられるフラックスや保
温材には、次のような条件が要求される。
【0011】充分な保温性を有すること。
【0012】溶鋼への炭素〔C〕やケイ素〔Si〕の
ピックアップが極めて少ないこと。
【0013】溶鋼と空気とを遮断し、窒素〔N〕や酸
素〔O〕などの有害ガス成分の吸収を抑えること。
【0014】溶鋼の酸化汚染を防止し、介在物を吸収
すること。
【0015】タンディッシュ内の拡がりおよび流動性
や作業性がよく、かつ環境的にも粉塵の発生がないこ
と。これによって測温やサンプリングに支障がなく、か
つ鋳造終了からの作業時に粉塵の発生が防止され、さら
にタンディッシュの補修作業が容易となる。
【0016】したがって本発明の目的は、タンディッシ
ュ内溶鋼の保温性がよく、溶鋼への炭素やケイ素のピッ
クアップが少なく、溶鋼への有害ガス吸収の抑制や溶鋼
からの介在物吸収に優れ、かつ大幅な作業性改善を可能
にするタンディッシュ保温材を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、鉄鋼の連続鋳
造工程で使用され、蛭石原石を熱膨張させて生成する粒
状の保温材であって、20wt.%以上で30wt.%
以下の酸化マグネシウムMgOと、35wt.%以上で
42wt.%以下の酸化ケイ素SiO2と、10wt.
%以上で20wt.%以下の酸化アルミニウムAl23
と、3wt.%以上で4wt.%以下の結晶水H2Oと
を主成分として含み、嵩比重が0.3未満であることを
特徴とする鉄鋼連続鋳造用保温材である。
【0018】また本発明は、鉄鋼の連続鋳造工程に用い
るタンディッシュ内に、連続鋳造時の初期には、少なく
とも全体の80wt.%を占める主成分として、酸化ケ
イ素SiO2、酸化アルミニウムAl23 および酸化マ
グネシウムMgOを含み、酸化ケイ素と酸化アルミニウ
ムとの重量比は、2/1以下で1/1以上の範囲であ
り、酸化マグネシウムを主成分のうちに20wt.%以
上で45wt.%以下の範囲で含む初期投入保温材を投
入し、後続する連続鋳造時には、20wt.%以上で3
0wt.%以下の酸化マグネシウムMgOと、35w
t.%以上で42wt.%以下の酸化ケイ素SiO2
10wt.%以上で20wt.%以下の酸化アルミニウ
ムAl23と、3wt.%以上で4wt.%以下の結晶
水H2 Oとを主成分として含み、嵩比重が0.3未満で
あり、蛭石原石を熱膨張させて生成させた粒状の保温材
を投入することを特徴とする鉄鋼連続鋳造用保温材の使
用方法である。
【0019】
【作用】本発明に従えば、保温材は20wt.%以上で
30wt.%以下の酸化マグネシウムと、35wt.%
以上で42wt.%以下の酸化ケイ素と、10wt.%
以上で20wt.%以下の酸化アルミニウムと、3w
t.%以上で4wt.%以下の結晶水とを主成分として
含む。この成分系は酸化アルミニウムの含有量が低いの
で溶鋼から酸化アルミニウムを効率的に吸収することが
できる。保温材の原料は蛭石原石である。蛭石原石は加
熱すると結晶水が脱水するので膨張する。したがって保
温材の嵩比重は非常に小さくなり、0.3未満となる。
また保温材は結晶水を3wt.%以上で4wt.%以下
含有しているので、使用時にさらに膨張して多孔質とな
り断熱性が向上する。このため保温材の使用時における
保温特性は極めて良好であり、保温材の厚みを小さくす
ることができる。
【0020】また本発明に従えば、初期の連続鋳造時に
タンディッシュ内に投入される初期投入保温材と、後続
する連続鋳造時にタンディッシュ内に投入される保温材
とは異なる種類の保温材が使用される。初期投入保温材
は少なくとも全体の80wt.%を占める主成分とし
て、重量比で2/1以下で1/1以上の範囲の酸化ケイ
素と酸化アルミニウムを含む。主成分のうちの20w
t.%以上で45wt.%以下の範囲が酸化マグネシウ
ムである。タンディッシュ内に初期投入保温材を投入す
ると、初期投入保温材の一部が溶融してスラグが生成す
る。該スラグは取鍋のスラグや取鍋の耐火物や溶鋼の脱
酸生成物などからの酸化アルミニウム、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素などを吸収する。こ
れらの吸収によってスラグの成分は変動する。しかしな
がら初期投入保温材および生成されるスラグの融点は大
きく変動しない。このため該スラグおよび初期投入保温
材はタンディッシュ内の溶鋼表面を適正な粘度で覆い、
溶鋼の保温や酸化防止はもちろん溶鋼からの介在物吸収
性が向上し、溶鋼への窒素などの吸収も抑えることがで
きる。
【0021】保温材は蛭石原石を加熱膨張させて生成す
る。保温材は粒状であるので、投入後の拡がり性が極め
て良好となり、初期投入保温材の表面を均一に覆い、2
層構造を形成することができる。また保温材は酸化アル
ミニウムの吸収能が高いので初期投入保温材および生成
されるスラグの成分変動を小さくすることができる。し
たがって初期投入保温材の効果が長時間持続する。さら
に保温材は嵩比重が非常に小さく、溶鋼の保温特性が極
めて良好である。このため初期投入保温材との併用によ
って少量の使用量で溶鋼の温度低下を長時間防止するこ
とができる。
【0022】
【実施例】図1は、本発明の一実施例による保温材のう
ちで主成分の成分範囲を、SiO2−Al23−MgO
の3元系状態図で示す。
【0023】保温材は、斜線を施して示すX領域であ
る。この組成範囲は、20wt.%以上で30wt.%
以下の酸化マグネシウムと、35wt.%以上で42w
t.%以下の酸化ケイ素と、10wt.%以上で20w
t.%以下の酸化アルミニウムを包含する範囲である。
X領域は図1中の、X1,X2,X3,X4,X5,X6,X
7,X8を結んだ領域である。前記X1 〜X8 は保温材の
8種類の組成を示している。8種類の組成は酸化マグネ
シウムと酸化ケイ素と酸化アルミニウムの3成分につい
て、各成分の上限値と下限値とを組合わせて得られる。
前記X1 〜X8 においては酸化マグネシウムと酸化ケイ
素と酸化アルミニウムの組成の和は100%となる。保
温材の組成範囲は酸化アルミニウムの低い領域に存在し
ている。保温材の融点は1480〜1520℃の範囲で
ある。したがって溶鋼の温度がたとえば1550℃程度
であるから、溶鋼表面に直接接触すれば保温材は溶融す
る。保温材の組成は、実際には純粋な3元系の成分では
なく3wt.%以上で4wt.%以下の結晶水H2 Oと
その他の不純物とを含む。不純物は、たとえばFeO、
Fe23、TiO2、K2O、Na2Oなどである。結晶
水H2Oを3wt.%以上としたのは、使用中に保温材
をさらに熱膨張させて、保温特性を向上させるためであ
る。さらに結晶水H2 Oを4wt.%以下としたのは保
温材の嵩比重を0.3未満にするためである。また、保
温材の使用前の粒径は2〜7mmである。前述したよう
に、保温材は残留する結晶水によりタンディッシュ内で
さらに熱膨張をし、保温性が向上する。
【0024】初期投入保温材は、斜線を施して示すY領
域である。この組成範囲は図1中のA点およびB点とM
gOの頂点とをそれぞれ結ぶ2つの直線と、MgOが2
0wt.%および45wt.%の2つの平行線とによっ
て囲まれる領域である。初期投入保温材の融点は148
0〜1540℃の範囲である。したがって溶鋼の温度が
たとえば1550℃程度であるから、タンディッシュ内
において使用する場合、溶鋼表面に接する部分では溶融
して部分的にスラグ状となる。初期投入保温材の組成範
囲は保温材と比較して酸化アルミニウムが高く、酸化ケ
イ素が低い領域に存在している。この組成範囲は、Aと
Bで表される適正なSiO2/Al23比にMgOを適
量添加した範囲である。初期投入保温材の組成は実際に
は、純粋な3元系の成分ではなく、20wt.%程度の
不純物が不可避的に混入する。不純物はたとえばFe
O、V25、CaO、Fe23、K2O、Na2Oなどで
ある。これらの不純物は保温材を製造する際に、その原
料中の不純物が残存するものが主である。タンディッシ
ュ表面で初期投入保温材を使用している間には、溶鋼中
で生成されるAl23介在物や、取鍋交換時に流入する
スラグ中のCaOが初期投入保温材に吸収される。これ
らの吸収によっても、図1に示す成分範囲では融点の変
化が小さい。初期投入保温材のような成分の耐火物は、
酸化アルミニウム系の耐火物よりは熱伝導率が低く、さ
らに嵩比重が小さい粒状となるので、溶鋼の表面に浮か
べたときの保温性は高い。
【0025】表1は、本発明の一実施例による連続鋳造
保温材のタンディッシュにおける使用量を示す。連続鋳
造は極低炭素鋼を用いて、6チャージ繰返して行う。タ
ンディッシュの溶鋼表面積は10.5m2 である。表1
には比較例1と比較例2の保温材の使用量も合わせて示
す。比較例1は従来の保温材を使用する。比較例2は初
期投入保温材を使用する。実施例は1チャージ目から2
チャージ目まで初期投入保温材を使用し、2チャージ終
期または3チャージ目から6チャージ目まで保温材を使
用する。比較例1および2は同一の保温材を全チャージ
使用する。実施例の保温材使用量は比較例1および2よ
りも少なく保温層の厚さも最も小さい。表1に示す保温
層厚さはタンディッシュ堰内の保温材の層の厚さを示
す。
【0026】
【表1】
【0027】表2は、6チャージ連続鋳造を行った後の
タンディッシュ内スラグの最終成分を初期成分と比較し
て示す。保温材の使用条件は表1に示すとおりである。
また図2は表2に示すスラグ成分の変化をSiO2−A
23 −MgOの3元系状態図に示す。図2において
は、SiO2とAl23 とMgOの組成の和は100%
となる。
【0028】
【表2】
【0029】従来品を保温材として使用する比較例1に
おいては、従来品の主成分はMgOであるので融点が高
く、タンディッシュ内に固形化し、一部の低融点の化合
物が溶解してスラグを形成するので表2に示すように最
終スラグの主要成分変化は大きく不安定である。従来品
の主要成分は図2中P点に存在する。
【0030】全チャージ初期投入保温材を使用する比較
例2においては、最終スラグ成分は初期投入保温材の成
分に比べCaOが大幅に増加している。またMgOとS
iO2が大幅に減少している。Al23 についてはほと
んど変化していない。CaOは取鍋からのスラグがタン
ディッシュに流入したものであり、連続鋳造操業では不
可避である。
【0031】SiO2とAl23 とMgOについて3成
分の成分変化が図2に示される。初期投入保温材の成分
はC領域に存在する。また比較例2の最終スラグ成分は
L領域に存在する。成分変化は矢符Fの方向に生じてい
る。矢符Fの方向はAl23が増加し、かつSiO2
減少する方向である。Al23が増加し、かつSiO2
が減少するとスラグの融点は高くなり、スラグは固化す
るおそれがある。スラグが固化すれば溶鋼を均一に被覆
することができなくなり溶鋼の温度低下は大きくなる。
【0032】初期投入保温材と保温材とを併用する本実
施例においては、最終スラグ成分は保温材および初期投
入保温材の成分に比べCaOが大幅に増加している。ま
たMgOとSiO2が大幅に低下している。Al23
保温材の成分に比べ大幅に増加している。またAl23
は初期投入保温材の成分に比べほとんど変化していな
い。
【0033】SiO2とAl23 とMgOについて、3
成分の成分変化が図2に示される。保温材の成分はV領
域に存在する。また初期投入保温材の成分はC領域に存
在する。さらに実施例の最終スラグ成分は、H1,H2
3,H4,H5,H6,H7,H8 に示される。前記H1
〜H8 はほとんどY領域内に存在する。Y領域は初期投
入保温材の初期成分範囲であるので、初期投入保温材の
成分はほとんど変化していない。また保温材の成分はV
領域から、H1 〜H8 に変化している。この成分変化は
矢符Fの方向と一致している。矢符Fの方向はAl23
が増加し、かつSiO2 が減少する方向である。初期投
入保温材のみを使用する比較例2においては、前述のと
おり初期投入保温材の成分は矢符Fの方向に変化する。
したがって本実施例において、初期投入保温材は保温材
によって成分変化を抑制されている。初期投入保温材の
成分変化の抑制はスラグの融点の上昇を抑制する。この
ためスラグは長時間にわたって溶鋼を均一に被覆するこ
とができる。
【0034】図3は、表2の実験結果を得た連続鋳造設
備の主要部分を示す。取鍋21からタンディッシュ22
へ注入された溶鋼は、2つの鋳型23a,23bに分湯
される。鋳型23a,23bは、水冷鋳型であり、分湯
された溶鋼24a,24bは冷却されて徐々に凝固す
る。取鍋21の底面には、スライディングノズル25が
設けられ、せき26a,26bによって区分されたタン
ディッシュ22内の中心部に、ロングノズル27を介し
て溶鋼を注入する。タンディッシュ22の底面には、2
つの浸漬ノズル28a,28bが設けられ、鋳型23
a,23b内の溶鋼24a,24b中に溶鋼を供給す
る。浸漬ノズル28a,28bの開口部に臨む上方に
は、ストッパ29a,29bがそれぞれ設けられる。
【0035】ロングノズル27によってタンディッシュ
22内に投入された溶鋼30は、タンディッシュ22の
底面に沿って浸漬ノズル28a,28bの開口部に流れ
る。この開口部は、ストッパ29a,29bを下降させ
て塞ぐことができる。溶鋼30の上方には、初期投入保
温材31,32a,32bの層がそれぞれ設けられる。
さらに初期投入保温材31,32a,32bの上方には
保温材33,34a,34bの層がそれぞれ設けられ
る。せき26a,26bによってタンディッシュ22内
が区分されているので、初期投入保温材31と初期投入
保温材32aおよび32bとは、同一の組成範囲のもの
を用いるばかりではなく、異なる組成範囲のものを用い
ることができる。たとえば初期投入保温材31として
は、図1のY領域でMgO側の組成のものを用い、初期
投入保温材32a,32bとしては、MgOが少ない範
囲のものを用いることが考えられる。初期投入保温材3
1へは、取鍋21内のスラグなどが移行しやすく、Mg
O成分が少ない方が好ましい。初期投入保温材32a,
32bは、ストッパ29a,29bの操作性を良好にす
るため、液態成分を多くする。
【0036】表3は、表2に示す本実施例と、比較例1
と比較例2とによる連続鋳造の試験結果の一例を示す。
保温材の層の厚みは、本実施例が36mm、比較例1が
60mm、比較例2が57mmである。この厚みが大き
いほど、保温性などが良好になるけれども、消費量も多
くなってしまう。
【0037】
【表3】
【0038】表3に示すように、本実施例は比較例1と
比較例2に比較して以下の点で優れている。
【0039】(a)作業性について。
【0040】スラグ自体が適正な溶融状態となってお
り、測温・サンプリングの失敗が皆無となり、ストッ
パの芯棒であるストッパロッド回収率も高い。その他
ロングノズルの作業不良や折損も発生しない。使用後の
タンディッシュの補修時も、円滑な排滓が可能となり、
タンディッシュ壁への湯張りなど、固着した地金やス
ラグによる額縁状の棚吊り現象もなく、保守作業は格段
に改善された。
【0041】(b)消費量。
【0042】本実施例は、初期投入保温材と保温材を併
用しているので保温性が極めて良好で、の保温材消費
量および費用は大幅に減少している。
【0043】(c)保温性。
【0044】に示すように、保温材の厚みを大幅に小
さくしても温度変化は比較例1および比較例2と同等で
あり、実施例の保温性は高い。
【0045】(d)タンディッシュ内の〔C〕,〔S
i〕,〔N〕のピックアップ。
【0046】比較例1および2と比較して同等である。
〔C〕に関しては、特に問題はない。〔Si〕は、保温
材中にSiO2 がかなり含まれているので、そのピック
アップが危惧されるけれども、の結果から、比較例1
および2と同等であることが確認された。〔N〕は、
に示すように、比較例1および2に比べてかなり抑制す
ることができる。
【0047】(e)介在物。
【0048】溶鋼中の介在物は、特に大差なく問題はな
い。また鋼の清浄度についても問題はない。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、初期投入
保温材および保温材をタンディッシュ内溶鋼の表面に2
層を形成するように用いて、溶鋼の保温を果し、介在物
の吸収による無害化、大気からの有害ガスの溶鋼への吸
収抑制を可能にすることができる。また溶鋼に接触する
初期投入保温材の成分変化が保温材によって抑制される
のでスラグの融点の変化が少なく、連続鋳造の回数およ
び鋳造時間を大幅に延長することができる。このため特
に極低炭素鋼の製造における工業的価値が極めて大き
い。
【0050】また本発明によれば、少量の保温材でタン
ディッシュ内の溶鋼の表面を均一に覆い、かつ作業性を
大幅に改善することができる。
【0051】また本発明によれば、タンディッシュ内の
溶鋼と外気とを充分に遮断し、溶鋼への有害ガス吸収を
充分に抑制することができる。さらに、2層の保温材が
存在するので、溶鋼から介在物を吸収しても保温材の溶
融したスラグの融点や粘度の変化が少なく、安定した連
続鋳造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の成分範囲を示す3元系状態
図である。
【図2】本発明の一実施例のスラグ成分の変化を示す3
元系状態図である。
【図3】本発明の一実施例を用いる連続鋳造設備の主要
部の断面図である。
【図4】一般的な連続鋳造設備の簡略化した斜視図であ
る。
【符号の説明】
21 取鍋 22 タンディッシュ 23a,23b 鋳型 24a,24b,30 溶鋼 25 スライディングノズル 26a,26b せき 27 ロングノズル 28a,28b 浸漬ノズル 29a,29b ストッパ 31,32a,32b 初期投入保温材 33,34a,34b 保温材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 臼井 弘治 広島県呉市中通1丁目3番14号 東方金属 株式会社内 (72)発明者 池田 純治 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社 呉製鉄所内 (72)発明者 鎌田 龍二 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社 呉製鉄所内 (72)発明者 宮崎 勝吉 広島県呉市昭和町11番1号 日新製鋼株式 会社 呉製鉄所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄鋼の連続鋳造工程で使用され、蛭石原
    石を熱膨張させて生成する粒状の保温材であって、 20wt.%以上で30wt.%以下の酸化マグネシウ
    ムMgOと、 35wt.%以上で42wt.%以下の酸化ケイ素Si
    2と、 10wt.%以上で20wt.%以下の酸化アルミニウ
    ムAl23 と、 3wt.%以上で4wt.%以下の結晶水H2Oとを主
    成分として含み、 嵩比重が0.3未満であることを特徴とする鉄鋼連続鋳
    造用保温材。
  2. 【請求項2】 鉄鋼の連続鋳造工程に用いるタンディッ
    シュ内に、 連続鋳造時の初期には、少なくとも全体の80wt.%
    を占める主成分として、酸化ケイ素SiO2、酸化アル
    ミニウムAl23 および酸化マグネシウムMgOを含
    み、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの重量比は、2/
    1以下で1/1以上の範囲であり、酸化マグネシウムを
    主成分のうちに20wt.%以上で45wt.%以下の
    範囲で含む初期投入保温材を投入し、 後続する連続鋳造時には、20wt.%以上で30w
    t.%以下の酸化マグネシウムMgOと、35wt.%
    以上で42wt.%以下の酸化ケイ素SiO2 と10w
    t.%以上で20wt.%以下の酸化アルミニウムAl
    23と、3wt.%以上で4wt.%以下の結晶水H2
    Oとを主成分として含み、嵩比重が0.3未満であり、
    蛭石原石を熱膨張させて生成させた粒状の保温材を投入
    することを特徴とする鉄鋼連続鋳造用保温材の使用方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006239755A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Nippon Steel Corp 溶鋼表面保温材とそれを用いた鋼の連続鋳造方法
JP2007537882A (ja) * 2004-05-19 2007-12-27 メタコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 溶融金属を処理するための方法
JP2012110946A (ja) * 2010-11-26 2012-06-14 Jfe Steel Corp 高清浄度鋼の連続鋳造方法

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