JPH07278770A - 成形加工性に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ塗装焼付け硬化性の変動の少ない自動車用合金化溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
成形加工性に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ塗装焼付け硬化性の変動の少ない自動車用合金化溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板の製造方法Info
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- JPH07278770A JPH07278770A JP7106094A JP7106094A JPH07278770A JP H07278770 A JPH07278770 A JP H07278770A JP 7106094 A JP7106094 A JP 7106094A JP 7106094 A JP7106094 A JP 7106094A JP H07278770 A JPH07278770 A JP H07278770A
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Abstract
性を有し、かつ塗装焼付け硬化性の変動の少ない自動車
用合金化溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板の製造方法を提
供する。 【構成】 極低C、N鋼に原子量比でCに対して特定の
Nbと、Nに対しほぼ等量のTiを添加し、さらにS
i、Mn、Pを特定条件下で添加した鋼を、特定の熱延
条件、冷延条件および特定の設備を有する連続溶融亜鉛
めっきラインで処理する。適宜、B、または/かつCr
を添加してもよい。 【効果】 自動車用パネルに適した加工性と耐デント特
性を具備し、かつ加工時のめっき層の剥離等の少ない合
金化溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板を高生産性で製造す
ることが可能とした。
Description
た高度の成形性、加工性と塗装焼付け硬化性を有し、か
つ塗装焼付け硬化性の変動の少ない合金化溶融亜鉛めっ
き高強度冷延鋼板の製造方法に関するものである。
の軽量化が再び大きな課題となっている。自動車パネル
も軽量化対象の例外ではなく、薄手化への技術開発指向
が強まっている。しかし、一方では自動車用冷延鋼板
は、型設計のCAD,CAM化の進展や顧客の形状に対
する嗜好への対応のため益々成形に対する自由度が求め
られている。すなわち高度の成形加工に耐える材料への
要求が益々強まっている。また、パネル等に対する要求
としては、パネル面品質の飛躍的な向上があげられる。
その技術的な意味合いは面形状とパネルの耐塑性変形
度、すなわち耐デント性の両特性にある。
体成形が指向され、材質的な変動は最低限にすることが
求められている。先ず、成形加工性に対しては、r値
(ランクフォード値)、伸び値あるいはn値が代表指標
であるが、そのレベルは益々高まっている。また、パネ
ルの面品質に対しては、耐面ひずみ性と耐デント性が重
要である。前者は形状凍結性と関連し、低降伏点強度が
要求される。一方、耐デント性は製品の、すなわち成形
加工、アセンブリ組立、取り付け、塗装焼付け後の強度
である。このうち塗装焼付けは通常、170℃,20m
in程度の熱処理であり、この熱処理によって硬化する
特性である塗装焼付け硬化性(通常BH性と称される)
が要求される。塗装焼付け性は、通常170℃程度の低
温でも十分拡散し得る鋼中の固溶C,Nによるひずみ時
効を利用する(この場合、ひずみは最終鋼板製造工程で
あるスキンパス圧延によるひずみおよび自動車工場での
成形加工におけるひずみの和である)。
鋼が使われる。本発明もこの極低炭素鋼の一貫ではあ
る。BH性付与に関与する溶質元素としては上述のよう
に固溶C,Nが鋼に対しては使われるが、一方、BH性
は一種の時効性であって常温では成形加工性劣化を引き
起こすのであまり大き過ぎると問題となる。すなわち常
温遅時効あるいは非時効と170℃程度の温度での促進
時効との両立ということが必要とされる。時効に対する
温度依存性、すなわち時効の活性化エネルギーはCとN
とでは異なり、Cの方が大きく、Cの耐時効におよぼす
効果は常温の時効が遅く、高温程速いという特徴を有す
る。そのためBH性付与技術としては固溶Cを用いるの
が通常である。
昭59−31827号、特開昭59−38337号、特
開昭63−128149号、および特開平2−1975
49号の各公報に記載されている。いずれもNbをCと
の化学量論的等量以下の範囲で添加する。また、特開平
2−194126号公報にはTiを、Cが完全にTiC
として固定されない範囲で添加する技術が記載されてい
る。さらに成分的には炭化物形成元素を炭素に対して過
剰に添加するが、この炭化物を鋼板製造時の再結晶焼鈍
で溶解させ固溶炭素を確保しようとするもので、溶融亜
鉛めっき鋼板の例として特開昭63−241122号公
報にこの技術が記載されている。しかし、これらの方法
では塗装焼付け硬化性の変動を少なくし、かつP添加鋼
の合金化速度低下に対する対策は何等示唆されていな
い。すなわち、本発明が目的とするような塗装焼付け性
のばらつきを少なくし、低コストで製造することは従来
技術では困難である。
形状の鋼板を低コストで製造するには連続溶融亜鉛めっ
きラインでの焼鈍方法が重要なポイントとなる。従来、
P添加鋼はPの合金化速度が遅いために、所定の鉄濃度
を得るためにライン速度が軟鋼と比較して遅く、そのた
めに焼鈍後の冷却速度が遅いという欠点があった。一
方、BH鋼板のBH性は、焼鈍後の冷却速度に敏感であ
り、冷却速度が遅いとBH性が低くなり、変動が多くな
る等の問題がある。
する課題は、上述のように高度の加工に耐える成形加工
性と、耐面ひずみ性と耐デント性を兼ね備え、さらに幅
方向の塗装焼付け性のばらつきが少ない冷延鋼板の製造
方法を実現するところにある。この課題を具体的に示せ
ば、加工性に対しては、r値≧1.7、El≧40%
(尚、Elはいずれも板厚0.8mmの場合、Elは板
厚に依存する)、n値≧0.21、ただし、BH性は引
張試験で2%予ひずみを与えた後除荷し、170℃,2
0minの熱処理を加え、再び引張り、その降伏点強度
を2%予ひずみ時の流動応力から差し引いた値で評価さ
れる。すなわち、2%予ひずみ、170℃,20min
のひずみ時効試験での降伏点上昇代である。
してr≧1.7、El≧40%(板厚0.8mm)、n
≧0.21、(ただし、r値は面内平均値で、圧延方向
に対し、0°、45°および90°の方向の特性値をそ
れぞれX0、X45、X90で表わすとすると、(X0
+2X45+X90)÷4で定義される)の値をすべて
満たすレベルを目的としている。ここでr値は深絞り性
に対する指標で、引張方向に対し[幅方向対数ひずみ÷
板厚対数ひずみ]で定義される。Elは引張試験におけ
る破断伸びである。また、n値は加工硬化指数であり、
材料の流入性を表し、やはり代表的加工性の指標であ
る。
服するために、特定の微量元素制御と特定の固溶体強化
元素の添加、及び熱延〜連続溶融亜鉛めっきラインにい
たる特定の条件とを組み合わせる。本発明の骨子とする
ところは、 (1)C:0.0010〜0.0030%、N:0.0
030%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.3〜
1.5%、P:0.03〜0.08%、S:0.03%
以下、酸可溶Al:0.005〜0.07%、Nb:
0.03%以下でかつNb/C(原子量比)の値を0.
7〜1.3、Ti:24/14N(%)〜72/14N
(%)を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる
鋼をAr3 変態点以上の仕上終了温度で熱延し、熱延後
2s以内に急冷を行い、650〜770℃で巻取り、冷
却後、酸洗し、続いて72〜92%の冷延率で冷間圧延
したのち、無酸化炉を有する連続溶融亜鉛めっき設備に
て、無酸化炉の燃焼空気比を0.85〜1.2に調整し
ながら、加熱し、還元炉で雰囲気の露点を調整しなが
ら、800〜880℃で20s以上焼鈍の後、3℃/s
以上の冷却速度で冷却し、その後、440〜460℃で
溶融亜鉛めっきを施し、続いて500〜600℃で合金
化処理を行い、冷却後、続いてスキンパスを伸び率0.
8〜1.5%で行なうことを特徴とする成形性に優れ、
塗装焼付け硬化性を有し、かつ塗装焼付け性の変動の少
ない自動車用合金化溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板の製
造方法。
%、N:0.0030%以下、Si:0.5%以下、M
n:0.3〜1.5%、P:0.03〜0.08%、
S:0.03%以下、酸可溶Al:0.005〜0.0
7%、Nb:0.03%以下でかつNb/C(原子量
比)の値を0.7〜1.3、Ti:24/14N(%)
〜72/14N(%)を含有し、さらにB:0.000
1〜0.0020%、Cr:1.5%以下の1種または
2種を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼
をAr3 変態点以上の仕上終了温度で熱延し、熱延後2
s以内に急冷を行い、650〜770℃で巻取り、冷却
後、酸洗し、続いて72〜92%の冷延率で冷間圧延し
たのち、無酸化炉を有する連続溶融亜鉛めっき設備に
て、無酸化炉の燃焼空気比を0.85〜1.2に調整し
ながら、加熱し、還元炉で雰囲気の露点を調整しなが
ら、800〜880℃で20s以上焼鈍の後、3℃/s
以上の冷却速度で冷却し、その後、440〜460℃で
溶融亜鉛めっきを施し、続いて500〜600℃で合金
化処理を行い、冷却後、続いてスキンパスを伸び率0.
8〜1.5%で行なうことを特徴とする成形性に優れ、
塗装焼付け硬化性を有し、かつ塗装焼付け性の変動の少
ない自動車用合金化溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板の製
造方法である。
ず、本発明者らはP添加BH鋼板のBH性を高めるため
に、検討を行った。その結果、P添加鋼のP濃化層が合
金化速度を低下させているので、無酸化炉を有する連続
溶融亜鉛めっきラインにて、所定の空気比で加熱してP
濃化層を形成後、還元炉にて所定の露点で還元を行う
と、P濃化層が除去され、合金化速度が増加し、ライン
速度が上げられることを利用し、これにより、ライン速
度を落とさず、常に一定以上の冷速が得られるために、
BH性の変動が少なくすることが可能なことを明らかに
した。
示す成分のP添加BH鋼板を使用し、無酸化炉を有する
連続式溶融亜鉛めっき設備を用いて空気比を種々、変化
させて、BH性と合金化度の関係の調査を行った。その
際、無酸化炉は直火加熱方式で出側板温は650〜70
0℃、還元炉はラジアントチューブ加熱方式で雰囲気は
H2 10%−N2 で水蒸気を吹き込むことにより露点を
調整した、又合金化度は下記に示す基準にて評価した。
製造条件及び結果の一覧を表2及び表3に示す。
で目視評価した。 〇:合金化不良無し △:微量合金化不良あり ×:ほぼ全面合金化不良 比較例は、現行の通常プロセスにて製造した場合で、還
元炉の露点を調整していないため還元炉内でP酸化物が
表層に濃化し、合金化度が低下した。そのため、ライン
速度も低下させたので、冷却速度も低くなり、BH性も
低下した。本発明例はいずれもFe酸化膜厚を適正に制
御したもので何れも合金化度およびBH性とも良好であ
る。
由について述べる。 C:Cは侵入型固溶元素で冷延鋼板の加工性付与、すな
わち集合組織形成や十分大きな結晶粒成長に有害であ
り、極力低下させるが、一方BHは最終の製品板での固
溶炭素量に依存し、そのため最低量必要である。これら
の理由よりCの下限と上限はそれぞれ0.0010%、
0.0030%とする必要がある。尚、望ましくは上限
は0.0025%とする。
る。また、常温で拡散しやすいのでBH性と耐常温時効
性の両立も困難なためBH性のために用いることは不利
である。そのため0.0030%以下とする必要があ
る。 Si:Siは固溶体強化にて鋼を強化するが、一方で加
工性・化成処理性を阻害するので上限を0.5%以下と
する。 Mn:Mnも固溶体強化にて鋼を強化する。特に強化の
割りに材料の延性の劣化が少なく好ましい強化元素であ
る。しかし、多すぎる添加は、材料の延性を減じ、加工
性を劣化させる。そのため、Mnは0.3%〜1.5%
の添加とする。
に有効であるが、一方で加工性の劣化や、脆性破壊をま
ねくので、0.03〜0.08%の添加とする。 S:Sは不純物で介在物を形成し、鋼の加工性を減じる
ので、0.03%以下とする必要がある。好ましくは
0.004%未満とすべきである。 Al:Alは脱酸に使用する。また、侵入型不純物であ
るN固定の補助にも使われる。そのため酸可溶Alとし
て0.005%は必要である。一方、0.07%を越え
る添加は鋼の加工性を劣化させる。
な元素であり、0.03%を上限とする。更に本発明に
あっては、CとNbに関して次の関係を満たす必要があ
る。 0.70≦Nb/C(原子比)≦1.30 この関係式の下限値未満では、鋼板中の固溶Cが多す
ぎ、r値、伸び等の加工性が低下する。関係式の上限値
を超えるとNbCの溶解温度が高くなり、焼鈍時にNb
Cを分解できず、BH性に必要な固溶Cが得られず、十
分なBH性が得られない。
し多すぎる添加は微細なTiCを熱延段階で形成し、良
好な再結晶集合組織が得られない。そのためNの化学量
論的等量(48/14×Ti(%))の0.5〜1.5
の範囲で添加する。Nが少量過剰になる場合があるがそ
の場合には本発明の特定熱延にて残存のNはAlNとし
て固定され冷延前に固溶Nが残存することはない。
固溶炭素が残存し、そのため結晶粒界にも炭素が偏析し
二次加工脆化に対しては良好であるが、さらに厳しい耐
二次加工脆化が求められる場合はBを添加する。Bの添
加量は0.0001%未満ではその効果がなく、0.0
020%を越える添加は鋼の加工性を劣化させる。より
好ましくは0.0008%以下の添加とすべきである。
以下添加する。Crは固溶体強化能としては小さいが加
工硬化特性を改善し、高強度化の割にn値の劣化を最小
限にする好ましい元素である。1.0%を越える添加は
経済的ではない。下限の規定は特に必要ないが、0.0
2%未満では有効性は認められない。好ましくは0.1
〜1.0%とする。
で終了する。α相域での熱延はr値形成に悪影響をおよ
ぼす。熱間圧延後の冷却条件は重要である。熱延板の結
晶粒界は再結晶焼鈍時にr値に好ましい結晶方位の核発
生位置であり、細粒の組織ほど核生成が活発となり良好
なr値が得られる。そのため圧延終了後2s以内で急冷
する必要がある。2sを越えては粗大な熱延組織となり
良好なr値が得られない。好ましくは0.8s以内に急
冷すべきである。急冷速度は通常とられるスプレー等の
冷却速度である30℃/s以上程度でよいが好ましくは
50℃/s以上で、100℃程度以上冷却する。
ある。これにより熱延段階で残存したC等の固溶不純物
を十分にスカベンジングさせる。650℃未満では拡散
が十分でなくスカベンジングの効果がない。一方、77
0℃を越えると結晶粒成長が生じ、特定の熱延を行った
効果が失われる。より好ましくは、巻取温度は700〜
770℃とする。冷延条件:冷延率は、高r値とするた
めに72〜92%と高めとする必要がある。好ましくは
77%以上である。95%を越える冷延率は現状の設備
等を考えると現実的でない。
有する連続溶融亜鉛めっきラインにて、焼鈍および溶融
めっきを行なう。その際は、無酸化炉の燃焼空気比と還
元炉の雰囲気の露点を調整することにより鋼板表面の酸
化皮膜厚を制御する。この理由は、焼鈍炉内で鋼板表面
に適正なFe酸化皮膜を存在させることによりP酸化物
の形成を抑制し、合金化不良を防止するためである。無
酸化炉において燃焼空気比は、通常は0.85〜1.2
の範囲で調整する。0.85以下だと十分なFe酸化皮
膜厚が得られず、1.2を超える場合は燃焼効率が低下
するので好ましくない。鋼板表面のFe酸化皮膜厚は特
に限定するものではないが100Å〜1000Åで生成
させるのが好ましい。100Å以下だとSi酸化物の表
面濃化の抑制効果が不十分であり、1000Åを超える
と焼鈍炉内のロールにFe酸化皮膜がピックアップする
等の問題点を生じる。
酸化膜厚を測定し適正なFe酸化皮膜厚となる様に調整
する。又、鋼板表面の酸化膜厚を測定できない場合は、
無酸化炉内での板温、鋼板の在炉時間、雰囲気、鋼中P
濃度等のデータよりFe酸化皮膜厚をシュミレーション
により計算し、適正となる様に燃焼空気比を調整しても
良い。還元炉において雰囲気の露点調整機能を付与する
のはFe酸化膜の還元反応を適正に制御するためであ
る。雰囲気の組成は、H2 を1〜70%の範囲で含むN
2 ガスを用いる。露点は炉内に水蒸気を導入することに
より操作する。還元炉出側でのFe酸化皮膜厚は特に限
定するものではないが通常200Å以下が好ましい。2
00Åを超える場合は合金化度が低下する。露点は、還
元炉出側での鋼板表面の酸化膜厚を測定し適正となる様
に調整する。又、鋼板表面の酸化膜厚を測定できない場
合は、無酸化炉における場合と同様にFe酸化皮膜厚を
シュミレーションにより計算し調整しても良い。
880℃とする必要がある。加熱、すなわち焼鈍は{1
11}方位の揃った、かつ十分大きな再結晶集合組織を
得るためと、そしてNbCを一部NbとCに溶解し固溶
炭素を確保しBH性を付与させるため、800℃は必要
となる。一方、880℃を越える焼鈍では結晶粒が大き
くなりすぎてプレス成形時の肌荒れという欠陥につなが
る。尚、加工性とBH性の確保のために高温保持時間も
重要であり、20s以上保持する必要がある。焼鈍後の
冷却速度は3℃/s以上とする。下限値未満では固溶C
がNbCとして析出し、十分なBH性が得られない。
に浸漬し、溶融亜鉛めっきを施す。その後、直ちにスト
リップを引き上げて、500〜600℃の温度でZnめ
っき層のZn−Fe合金化処理を行なう。440〜46
0℃の温度はZnの溶融状態から決まる温度であり、合
金化温度は適切な合金層構造を得るための条件である。
すなわち、500℃未満では十分な合金化が進まず、6
00℃を超えると合金化が進みすぎて、硬いΓ層が増
し、成形加工時に剥離するいわゆるパウダリング特性が
劣化する。スキンパスの伸び率は0.8〜1.5%とす
る。下限値未満では、製品板で降伏伸びが残存し、パネ
ルのプレス時等にストレッチャーストレーンが生じる。
上限値を超えると加工硬化を生じ、降伏点強度が上昇
し、プレス性を低下させる。
成分を有する鋼を転炉にて出鋼し、溶製した。いずれも
RH真空脱ガスにて極低炭素としている。これらの鋼の
内、鋼符号A〜Gの鋼は本発明にしたがっているが、そ
れ以外は下線をひいた項目において本発明と異なる。こ
れらの鋼を連続鋳造にてスラブとした後熱延を行なっ
た。酸洗後冷延し、続いて無酸化炉を有する連続溶融亜
鉛めっきラインを通板し、製品とした。各々の操業条件
を表5に示す。なお、熱延加熱温度は1110〜120
0℃であった。結果の機械試験値を表6に示す。機械試
験はJISZ2201記載の5号試験片を用い、同Z2
241記載の方法に従って行ない、降伏点強度YP、引
張強度TS、破断伸びElを測定した。また、10%〜
20%ひずみよりn値を計算した。
で示した。また、耐常温時効性を評価するため40℃で
30日間置いた後の降伏点伸びの復元量をYP−Elで
示した。YP−Elはストレッチャーストレーン欠陥に
対応する量で0.2%以内でないとこの欠陥が発生す
る。めっき特性としては合金化層の合金化状況およびパ
ウダリング性で評価した。合金化状況は目視による試験
で評価した。パウダリング性は絞り比2.2で円筒深絞
り成形を行い、下式で剥離割合を求めパウダリング評価
とした。
したカップの重量 (=パウダリングによって剥離した状態) C:成形後のカップを酸洗した後の重量 パウダリング指標 P=(A−B)/(A−C)×10
0(%) このPの値は小さいほど良好で、40%以下は極めて良
好である。通常、自動車用に使用される合金化溶融亜鉛
めっき鋼板ではP値は30〜50%(亜鉛目付量は40
〜50g/m2 )。
鋼板(A〜G)は、30MPa以上のBH性を有し、伸
び、r値、n値が良好(高成形加工性)で、時効性も常
温時効でのYP−Elの復元はほとんどなく、常温非な
いし遅時効性を示す。また、めっき特性も良好である。
これに対し、比較の鋼板ではこれらすべての特性を満た
すものはない。Hの鋼では、連続溶融亜鉛めっきライン
で燃焼空気比が下限値未満なので、還元炉でP濃化層を
除去できなかったため、合金化が不十分でライン速度を
低下させた。それに連動して、冷却速度も低下し、BH
性が低下した。Iの鋼では、連続溶融亜鉛めっきライン
での冷却速度が下限値未満であったので、BH性が低下
した。
の合金化温度が下限値未満なので、めっき特性が劣化し
た。Kの鋼では、Nbが上限値を超えたので、NbCの
溶解温度が上昇し、連続焼鈍時にNbCがほとんど溶解
できず、必要な固溶Cが得られなかった。そのため、B
H性が低下した。Lの鋼では、Cが上限値を超えたの
で、固溶Cが多すぎ、r値、伸びが低下した。また、時
効後の降伏点伸びも0.2%を超え、時効性に劣る。M
の鋼では、連続溶融亜鉛めっきラインでの焼鈍温度が下
限値未満だったので、BH性、r値、伸びが、低下し
た。
のためその車体重量を軽くしようとしている。パネルも
例外ではなく、自動車重量に占める割合が大きくむしろ
重要視されている。一方、パネルは自動車品質の最も目
立つところであり、その意匠性の重要さは益々高まって
いる。このことは複雑な形状が益々要求されることにつ
ながる。このような観点から本発明の目的とするような
優れた加工性と塗装焼付け硬化性を兼ね備えることは極
めて重要である。この塗装焼付け硬化性を安定的に付与
し、さらに合金化溶融亜鉛めっきを高い生産性で施すこ
とを可能にした本発明の意義は極めて大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.0010〜0.0030%、
N:0.0030%以下、Si:0.5%以下、Mn:
0.3〜1.5%、P:0.03〜0.08%、S:
0.03%以下、酸可溶Al:0.005〜0.07
%、Nb:0.03%以下でかつNb/C(原子量比)
の値を0.7〜1.3、Ti:24/14N(%)〜7
2/14N(%)を含有し、残部鉄および不可避的不純
物からなる鋼をAr3 変態点以上の仕上終了温度で熱延
し、熱延後2s以内に急冷を行い、650〜770℃で
巻取り、冷却後、酸洗し、続いて72〜92%の冷延率
で冷間圧延したのち、無酸化炉を有する連続溶融亜鉛め
っき設備にて、無酸化炉の燃焼空気比を0.85〜1.
2に調整しながら、加熱し、還元炉で雰囲気の露点を調
整しながら、800〜880℃で20s以上焼鈍の後、
3℃/s以上の冷却速度で冷却し、その後、440〜4
60℃で溶融亜鉛めっきを施し、続いて500〜600
℃で合金化処理を行い、冷却後、続いてスキンパスを伸
び率0.8〜1.5%で行なうことを特徴とする成形性
に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ塗装焼付け性の
変動の少ない自動車用合金化溶融亜鉛めっき高強度冷延
鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.0010〜0.0030%、
N:0.0030%以下、Si:0.5%以下、Mn:
0.3〜1.5%、P:0.03〜0.08%、S:
0.03%以下、酸可溶Al:0.005〜0.07
%、Nb:0.03%以下でかつNb/C(原子量比)
の値を0.7〜1.3、Ti:24/14N(%)〜7
2/14N(%)を含有し、さらにB:0.0001〜
0.0020%、Cr:1.5%以下の1種または2種
を含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼をA
r3 変態点以上の仕上終了温度で熱延し、熱延後2s以
内に急冷を行い、650〜770℃で巻取り、冷却後、
酸洗し、続いて72〜92%の冷延率で冷間圧延したの
ち、無酸化炉を有する連続溶融亜鉛めっき設備にて、無
酸化炉の燃焼空気比を0.85〜1.2に調整しなが
ら、加熱し、還元炉で雰囲気の露点を調整しながら、8
00〜880℃で20s以上焼鈍の後、3℃/s以上の
冷却速度で冷却し、その後、440〜460℃で溶融亜
鉛めっきを施し、続いて500〜600℃で合金化処理
を行い、冷却後、続いてスキンパスを伸び率0.8〜
1.5%で行なうことを特徴とする成形性に優れ、塗装
焼付け硬化性を有し、かつ塗装焼付け性の変動の少ない
自動車用合金化溶融亜鉛めっき高強度冷延鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
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