JPH07278091A - 抗血栓症剤 - Google Patents

抗血栓症剤

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JPH07278091A
JPH07278091A JP7043915A JP4391595A JPH07278091A JP H07278091 A JPH07278091 A JP H07278091A JP 7043915 A JP7043915 A JP 7043915A JP 4391595 A JP4391595 A JP 4391595A JP H07278091 A JPH07278091 A JP H07278091A
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JP7043915A
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Daniel J Sall
ダニエル・ジョン・サール
Robert T Shuman
ロバート・セオドア・シューマン
Gerald F Smith
ジェラルド・フロイド・スミス
Michael Robert Wiley
マイケル・ロバート・ウィリー
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Eli Lilly and Co
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Eli Lilly and Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規L−アルギニンアルデヒド誘導体および
その製法ならびにこれらの化合物を含む医薬的製剤を提
供する。 【構成】 式I: 【化1】 [ここに、R1、XおよびYは明細書中と同義である]
で示される化合物はトロンビン阻害剤、凝固阻害剤およ
び血栓塞栓症剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は哺乳類における有用な
抗凝固剤であるトロンビン阻害剤に関する。殊に、高度
な抗凝固作用、抗血栓症作用およびトロンビン選択性を
持つL−アルギニンアルデヒド誘導体に関する。血液凝
固の過程にある血栓症はトロンビンの形成に至る複雑な
蛋白質分解的過程がトリガーする。トロンビンは、血漿
に可溶性であるフィブリノーゲンのAα−鎖およびBβ
−鎖から活性化ペプチドを蛋白質分解的に除去して不溶
性のフィブリン形成を開始する。
【0002】
【従来の技術】抗凝固は現在ではヘパリン類とクマリン
類の投与により達成されている。凝固と血栓症の非経口
的薬理学的コントロールはヘパリン類の使用によるトロ
ンビンの阻害に基づいている。ヘパリンは内因性抗トロ
ンビンIII(トロンビンの主たる生理学的阻害剤)の
阻害効果を促進することによって間接的にトロンビンに
作用する。抗トロンビンIII濃度が血漿中で変化する
ためおよび表面−結合トロンビンがこの間接的機構に対
して抵抗性であると思われるため、ヘパリン類が無効な
処置になることもある。凝固検定は効果と安全性とに関
連すると信じられるので、凝固検定(殊に、活性化部分
トロンボプラスチン時間(APTT)検定)ではヘパリ
ン濃度を監視しなければならない。クマリンはプロトロ
ンビンおよび他のこの型の蛋白質の合成における転写後
のガンマカルボキシル化を阻害することによってトロン
ビンの発生を妨害する。その作用機構のために、クマリ
ン類の効果は投与後6〜24時間と、徐々にしか現れる
ことができない。さらに、これらは選択的抗凝固剤では
ない。クマリン類もまた凝固検定(殊にプロトロンビン
時間(PT)検定)で監視する必要がある。
【0003】最近、天然基質と類似の様式で蛋白質分解
酵素によって認識される小さな合成ペプチドについて、
興味が持たれている。Bajuszなど、J.Med.
Chem.、33巻、1729〜1735頁(1990
年)はD−Phe−Pro−Arg−H、Boc−D−
Phe−Pro−Arg−HおよびD−MePhe−P
ro−Arg−Hのようなトリペプチドアルデヒドに強
力で直接的なトロンビン阻害を証明した。多数の研究
者、例えば、Shumanなど、J.Med.Che
m.、36巻、314〜319頁(1993年)ならび
に欧州特許出願公開第479489号および第5425
25号、が医薬製剤を開発する努力において類似体を合
成した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ヘパリン類およびクマ
リン類は効果的な抗凝固剤であり、既知のトリペプチド
アルデヒドからの薬剤は現れておらず、この類の化合物
が継続して有望視されているにも関わらず、選択的にト
ロンビンに作用し、抗トロンビンIIIに非依存的であ
り、投与直後に阻害作用を示し、さらに止血を維持する
ために必要な血餅の分解を阻害しない抗凝固剤への需要
が存在する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は以下に定義する
本発明の化合物が強力で選択的なトロンビン阻害剤であ
るとの発見を指向するものである。従って、強力なトロ
ンビン阻害剤であり、抗凝固剤として有用な新規L−ア
ルギニンアルデヒド誘導体を提供することが本発明の第
一義的目的である。他の目的、特徴および利点は以下の
記載と請求項から当業者にとっては明白になるであろ
う。
【0006】本発明は式:
【化3】 [ここに、R1は水素である。Xはプロリニルまたはア
ゼチジニル−2−カルボニルである。Yは:
【化4】 で示される基である。Zはヒドロキシ、C1〜C4−アル
コキシまたは−NHR2である。R2は水素、C1〜C6
アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、基−C
(C=O)R5または−S(O)n−R5である。R5はC
1〜C4−アルキル、C1〜C2−パーフルオロアルキル、
1〜C4−アルコキシ、(C1〜C4−アルコキシ)−C
1〜C4−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
アミノ、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ、ジ(C1
4)−アルキルアミノ、非置換または置換アリール
(ここにアリールはフェニルまたはナフチル、同一また
は相異なる、硫黄、酸素および窒素から選択されるヘテ
ロ原子1個または2個を持つ5員または6員の非置換ま
たは置換ヘテロ環、または同一または相異なる、硫黄、
酸素および窒素から選択されるヘテロ原子1個または2
個を持つ9員または10員の非置換または置換縮合双環
ヘテロ環基を表す)である。nは1または2である。R
3はC1〜C4−アルキル、非置換または置換フェニルま
たは非置換または置換ベンジルである。Z1は結合また
は−CH2−である。R4はC1〜C6−アルキル、C1
4−アルコキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、
非置換または置換アリール(ここに、アリールはフェニ
ルまたはナフチル、同一または相異なる、硫黄、酸素お
よび窒素から選択されるヘテロ原子1個または2個を持
つ5員または6員の非置換または置換ヘテロ環、または
同一または相異なる、硫黄、酸素および窒素から選択さ
れるヘテロ原子1個または2個を持つ9員または10員
の非置換または置換双環ヘテロ環基を表す)である。Z
が−NHR2である時には、これはR3と一緒になってア
ゼチジニル基、5員または6員環の非置換または置換飽
和含窒素ヘテロ環または9員または10員の非置換また
は置換縮合双環含窒素ヘテロ環基であることができる。
3およびR4はまとめてシクロペンチル、シクロヘキシ
ルまたは9員または10員の非置換または置換の双環炭
化水素基であることができる。
【0007】但し、(a−i)R3がメチルまたはエチ
ルであり、Z1が結合であり、R4がシクロペンチル、シ
クロヘキシル、非置換または置換のアリールであってア
リールがフェニルまたはナフチルであるか、R4がチエ
ニルまたはフリルであり、Xがプロリニルまたはアゼチ
ジニル−2−カルボニルである時、または(a−ii)
4−Z1−がまとめてメチルまたはエチルを形成し、R
3が非置換または置換フェニルであり、そしてXがプロ
リニルまたはアゼチジニル−2−カルボニルである時、
または(b−i)R3がメチルまたはエチルであり、Z1
が−(CH2)−であり、R4が非置換または置換フェニ
ルであり、Xがアゼチジニル−2−カルボニルである
時、または(b−ii)R4−Z1−がまとめてメチルま
たはエチルを形成し、R3が非置換または置換ベンジル
であり、そしてXがアゼチジニル−2−カルボニルであ
る時、またはさらに、(c)R3およびR4がまとめてシ
クロペンチルまたはシクロヘキシルを表し、Xがプロリ
ニルである時には、Zはヒドロキシ、C1〜C4−アルコ
キシまたはNHR2ではないものとする(ここで、R2
水素、C1〜C6−アルキルまたは基−C(C=O)R5
であり、R5はC1〜C4−アルキル、C1〜C2−パーフ
ルオロアルキルまたはC1〜C4−アルコキシであるもの
とする)。]で示されるトロンビン阻害化合物またはそ
の医薬的に許容しうる塩またはこの化合物または塩の医
薬的に許容しうる溶媒和物を提供する。
【0008】前記式Iで示される化合物の特別な一群は
式Iで示される化合物において、R1は水素であり、X
はプロリニルまたはアゼチジニル−2−カルボニルであ
り、Yは:
【化5】 で示される基であり、R3はC1〜C4−アルキルであ
り、Z1は結合または−CH2−であり、R4は非置換ま
たはモノ置換フェニルであり、Zは−NHR2であり、
2は−C(C=O)R5で、R5が窒素原子1個を持つ
9員または10員の非置換またはモノ置換の縮合双環ヘ
テロ環基であるか、またはR2が−SO25であって、
5がC1〜C4−アルキルであり、R3およびZはまとめ
てアゼチジニル基を形成するか、または窒素原子1個ま
たは2個を持つ5員または6員の非置換ヘテロ環であっ
てよい、ものから構成されるものまたはその医薬的に許
容しうる塩または該化合物または塩の医薬的に許容しう
る溶媒和物である。
【0009】式Iで示される化合物に加え、本発明は式
Iで示される化合物を医薬的に許容しうる担体、希釈剤
または添加剤とともに含む医薬的な製剤を提供する。本
発明はまた式Iで示される化合物の凝固阻害用量をこの
処置を要する哺乳類に投与することを含む、哺乳類にお
ける凝固を阻害する方法も提供する。本発明はさらに式
Iで示される化合物をのトロンビン阻害用量をこの処置
を必要とする哺乳類に投与することを含む、トロンビン
を阻害する方法を提供する。 さらに、本発明は式Iで示される化合物をこの処置を必
要とする哺乳類に投与することを含む、血栓塞栓症の処
置法を提供する。この発明はトロンビンの新規阻害剤、
この化合物を活性成分として含む医薬組成物、および静
脈血栓症、肺塞栓症、動脈性血栓症、殊に心筋虚血、心
筋梗塞および脳血栓症のような血栓塞栓症、血管形成術
および冠状動脈バイパス手術後に現れるような一般的過
凝固状態および局所的過凝固状態、および炎症過程に関
連する一般的組織損傷の予防および処置のための抗凝固
剤としてのこの化合物の使用に関する。
【0010】用語「アルキル」それ自体または他の置換
基の一部としてメチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチルおよびs
ec−ブチルのような指定する数の炭素原子を持つ直線
状または分枝状鎖のアルキル残基を意味する。用語「ア
ルコキシ」は酸素原子によって親基に結合している指定
する数の炭素原子を持つ直線状または分枝状鎖のアルキ
ル残基を意味する。用語「ハロ」はクロロ、フルオロ、
ブロモまたはヨードを意味する。用語「ジ(C1〜C4
アルキル)アミノ」は各アルキル基が独立に指定する数
の炭素原子を持つ基−N(C1〜C4−アルキル)2を意
味する。用語「パーフルオロアルキル」はトリフルオロ
メチルおよびペンタフルオロエチルのような指定する数
の炭素原子を持ち、すべての可能な原子価がフッ素原子
で置換されている直線状または分枝状鎖アルキル残基を
意味する。用語「5員または6員のヘテロ環」は窒素原
子1個または2個、硫黄原子1個、酸素原子1個、窒素
原子1個および硫黄原子1個、または窒素原子1個およ
び酸素原子1個を含む安定な構造を与える5員または6
員環のどれかを意味する。5員環は二重結合1個または
2個を持ち、6員環は二重結合2個または3個を持つ。
ヘテロ環にはフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリ
ル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イ
ソチアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、
ピラジニル、オキサジニルおよびチアジニルを含む。
【0011】用語「9員または10員のヘテロ環」は前
記5員または6員環のどれかがベンゼン環、シクロヘキ
サン環または他の6員ヘテロ環に縮合し安定な構造を与
える縮合双環ヘテロ環基のどれかを意味する。これらの
ヘテロ環にはインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリ
ル、ベンズオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベ
ンゾピラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズ
イミダゾリルおよびベンゾチアゾリルを含む。用語「9
員または10員の双環炭化水素基」は:
【化6】 [ここに、Qは−CH2−、−CH=CH−または−C
2−CH2−である。Zは式Iのために前記定義したも
のと同義である。破線は環内における不飽和の存在また
は不在を意味する]で示される縮合双環基を意味する。
これらの縮合双環基の代表例にはインダニル、ジヒドロ
ナフチルおよびテトラヒドロナフチルを含む。プロリニ
ルおよびアゼチジン−2−カルボニルと記載する基は各
々式:
【化7】 で示され、各々ProおよびAztと略記する。
【0012】式Iの表示において、Xのカルボニル官能
基は式Iに記載されたアミノ基に結合している。前記ヘ
テロ環の多くがタウトマー型として存在しうることは認
識されるであろう。これらの型はすべてこの発明の範囲
内に含まれる。前記アリール、ヘテロ環および双環性炭
化水素はすべて非置換であるか、またはハロ、ヒドロキ
シル、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ア
ミノ(−NH2)、(モノ(C1〜C4−アルキル)アミ
ノ、メルカプト、および(C1〜C4−アルキル)チオ
(−S(O)p1〜C4−アルキル)、−NHS(O)p
(C1〜C4−アルキル)、−NHC(O)C1〜C4−ア
ルキル、−S(O)pNH2、−S(O)pNH(C1〜C
4−アルキル)および−S(O)pN(C1〜C4−アルキ
ル)2であって、pが0、1または2であるものから独
立に選択される安定な構造を与える置換基1個または2
個で置換されている。式Iおよび続くXにおける星印は
(L)であるキラル中心を示す。さらに、Y置換基およ
びY置換基上の置換基によってはさらにジアステレオマ
ーも存在しうる。本発明の化合物はジアステレオマー2
種またはそれ以上の混合物ならびに各々の異性体も含
む。
【0013】本発明の好適な化合物は前記定義の式Iで
示される化合物であって、Zが−NHR2であり、R2
−C(C=O)R5または−S(O)n−R5であり、R3
がC1〜C4−アルキルであり、R4が非置換または置換
アリール、ここにアリールはフェニルまたはナフチルで
あり、R5がC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキ
シ、窒素原子1個または2個を持つ5員または6員の非
置換または置換ヘテロ環または窒素原子1個または2個
を持つ9員または10員の非置換または置換の縮合双環
ヘテロ環基であり、nが1または2であるか、またはZ
とR3とをまとめてアゼチジニル基、窒素原子1個また
は2個を持つ5員または6員の非置換または置換のヘテ
ロ環または窒素原子1個または2個を持つ9員または1
0員の非置換または置換の縮合双環性ヘテロ環基を与
え、ここにX、Z1およびR1は式Iのための前記定義と
同義であるものおよびその医薬的に許容しうる塩および
溶媒和物である。
【0014】殊に好適な本発明の化合物の第一の群は前
記定義の式Iで示される化合物であって、R1が水素で
あり、Zが−NHR2であり、R2が−C(C=O)R5
であり、R3がC1〜C4−アルキルであり、Z1が−CH
2−であり、R4が非置換またはモノ置換フェニルであ
り、R5がC1〜C4−アルコキシまたは窒素原子1個を
持つ9員または10員の非置換またはモノ置換の縮合双
環ヘテロ環基であり、Xが式Iのための前記定義と同義
であるものおよびその医薬的に許容しうる塩および溶媒
和物である。
【0015】殊に好適な本発明の化合物の第二の群は前
記定義の式Iで示される化合物であって、R1が水素で
あり、Zが−NHR2であり、R2が−SO25であり、
3がC1〜C4−アルキルであり、R4が非置換またはモ
ノ置換フェニルであり、R5がC1〜C4−アルキルであ
り、XおよびZ1が式Iのための前記定義と同義である
ものおよびその医薬的に許容しうる塩および溶媒和物で
ある。
【0016】殊に好適な本発明の化合物の第三の群は前
記定義の式Iで示される化合物であって、R1が水素で
あり、Zが−NHR2であり、R4が非置換またはモノ置
換フェニルであり、ZとR3とがまとめてアゼチジニル
基または窒素原子1個または2個を持つ5員または6員
の非置換ヘテロ環を与え、Xが式Iのための前記定義と
同義であるものおよびその医薬的に許容しうる塩および
溶媒和物である。
【0017】前記の通り、本発明は前記式Iで定義され
る化合物の医薬的に許容しうる塩を含む。この発明の特
定的化合物は十分に塩基性の官能基1個またはそれ以上
を持つことができ、それ故に非毒性の無機および有機酸
多数のどれとも反応して医薬的に許容しうる塩を形成す
ることができる。酸付加塩を形成するために通常に採用
される酸は塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、燐
酸などのような無機酸およびp−トルエンスルホン酸、
メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスル
ホン酸、炭酸、コハク酸、安息香酸、酢酸などのような
有機酸である。それで、医薬的に許容しうる塩の例は硫
酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、
燐酸塩、一水素燐酸塩、二水素燐酸塩、メタ燐酸塩、ピ
ロ燐酸塩、塩化物、臭素化物、ヨード化物、酢酸塩、プ
ロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸
塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸
塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハ
ク酸塩、スベリン酸塩、セバカン酸塩、フマル酸塩、マ
レイン酸塩、ブチン−1,4−ジ酸塩、ヘキシン−1,
6−ジ酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安
息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸
塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、
キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロ
ピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガ
ンマ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、
メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレ
ン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸
塩、マンデル酸塩などである。好適な医薬的に許容しう
る酸付加塩は塩酸、臭素化水素酸および硫酸のような鉱
酸とともに形成されるものである。
【0018】前記のように、本発明は式Iで示される化
合物およびその医薬的に許容しうる塩の溶媒和物を含
む。本発明の特定の化合物またはその医薬的に許容しう
る塩は水または通常の有機溶媒と溶媒和物を形成しう
る。この溶媒和物も本発明の化合物の範囲内に含む。
【0019】式Iで示される化合物は同時にまたは逐次
に対応する式II:
【化8】 [ここに、グアニジノ基上のPはアミノ保護基を示し、
PYは式Iで示される化合物のための独立に選択された
アミノ保護基Pを持ちうる残基Yを示し、ここにYには
塩基性NH部分を含む]で示される化合物の保護基Pを
除去し、その後、式Iで示される化合物の塩が必要な時
には医薬的に許容しうる酸と塩を形成することによって
製造される。例えば、式IIで示される化合物であって
アミノ保護基がベンジルオキシカルボニルであるものを
パラジウム炭触媒上、常圧の希エタノール性塩酸中での
加水素分解によって式Iで示される対応する化合物の塩
酸塩に変換しうる。式IIで示される化合物は式:PY
(C=O)−X−Arg(P)−Hとも示されるが、こ
こでXはPro(プロリニル)またはAzt(アゼチジ
ニル−2−カルボニル)である。
【0020】式Iで示される化合物は公知のペプチド結
合法によって製造される。この方法の一つに従えば、Y
が式Iのための前記定義と同義を持ち、Pはアミノ保護
基である酸:PY−COOHをカルボキシ保護プロリン
(またはアゼチジン−2−カルボキシエステル)と結合
してジペプチドを形成する。次にプロリン部分のカルボ
キシ保護エステル基を除去(脱閉鎖または脱エステル
化)し、ジペプチドの遊離酸型をアルギニンのラクタム
型と結合する。上記反応順序を次の反応式1に示す:
【化9】 [ここにPはアミノ保護基を示す] 結合したArg(P)ラクタム生成物(c)を好ましく
は水素化アルミニウムリチウムまたは水素化トリ−t−
ブトキシアルミニウムリチウムである水素化物還元剤と
不活性溶媒または溶媒混合物中で反応させてラクタム環
を還元して(P)がアミノ保護基である式:PY(C=
O)−Pro−Arg(P)−Hで示されるアルギニン
アルデヒド型のトリペプチドを提供する。保護基は金属
触媒上の水素化のような当業者に公知の操作により除去
される。
【0021】アルギニンのラクタム型はアミノ保護アル
ギニン[Arg−OH]の分子内結合によって得られ
る。例えば、式:
【化10】 [ここに、Bocはt−ブチルオキシカルボニルであ
る。Cbzはベンジルオキシカルボニルである]で示さ
れるBoc−Arg(Cbz)OHを第一に、たとえば
クロロギ酸エチルからクロロギ酸イソブチルのようなク
ロロホーメートエステルで活性混合無水物のような活性
エステル型に変換する。エステル形成はN−メチルモル
ホリンのような三級アミンの存在下に実施する。トリエ
チルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような
追加的なまたは別の三級アミン塩基の添加で内部アシル
化が起きて、次式:
【化11】 に示すジ−アミノ保護アルギニンのラクタム型を得る。
前式に示すPY(C=O)−Pro−OHとの結合で使
用する前に、Bocまたは他のアミン保護基をトリフル
オロ酢酸またはHClで選択的に除去すれば必要な遊離
アミノ基を得る。
【0022】Yが式Iのための前記定義と同義であるP
YCOOH化合物とプロリンエステルとの結合は第一に
アミノ酸のアミノ基の保護により実施する。アミノ基の
一時的保護または閉鎖に通常使用される通常のアミノ保
護基が採用される。アミノ保護基は化合物の他の官能基
が反応する間にアミノ官能基を閉鎖または保護するため
に通常採用されるアミノ基の置換基を示す。そのような
アミノ保護基の例はホルミル基、トリチル基、フタルイ
ミド基、トリクロロアセチル基、クロロアセチル、ブロ
モアセチルおよびヨードアセチル基、ベンジルオキシカ
ルボニル、t−ブトキシカルボニル、4−フェニルベン
ジルオキシカルボニル、2−メチルベンジルオキシカル
ボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−
フルオロベンジルオキシカルボニル、4−クロロベンジ
ルオキシカルボニル、3−クロロベンジルオキシカルボ
ニル、2−クロロベンジルオキシカルボニル、2,4−
ジクロロベンジルオキシカルボニル、4−ブロモベンジ
ルオキシカルボニル、3−ブロモベンジルオキシカルボ
ニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−シア
ノベンジルオキシカルボニル、2−(4−キセニル)イ
ソプロポキシカルボニル、1,1−ジフェニルエタン−
1−イルオキシカルボニル、1,1−ジフェニルプロパ
ン−1−イルオキシカルボニル、2−フェニルプロパン
−2−イルオキシカルボニル、2−(p−トルイル)プ
ロパン−2−イルオキシカルボニル、シクロペンタニル
オキシカルボニル、1−メチルシクロペンタニルオキシ
カルボニル、シクロヘキサニルオキシカルボニル、1−
メチルシクロヘキサニルオキシカルボニル、2−メチル
シクロヘキサニルオキシカルボニル、2−(4−トルイ
ルスルホニル)エトキシカルボニル、2−(メチルスル
ホニル)エトキシカルボニル、2−トリフェニルホスフ
ィノ)エトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシ
カルボニル(「FMOC」)、2−(トリメチルシリ
ル)エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、1
−(トリメチルシリルメチル)−1−プロペニルオキシ
カルボニル、5−ベンズイソオキサリルメトキシカルボ
ニル、4−アセトキシベンジルオキシカルボニル、2,
2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−エチニル
−2−プロポキシカルボニル、シクロプロピルメトキシ
カルボニル、4−(デシルオキシ)ベンジルオキシカル
ボニル、イソボルニルオキシカルボニル、1−ピペリジ
ルオキシカルボニルなどのようなウレタン型閉鎖基、ベ
ンゾイルメチルスルホニル基、2−(2−ニトロ)フェ
ニルスルフェニル基、ジフェニルホスフィンオキシド基
などのアミノ保護基を含む。採用するアミノ保護基の種
類は誘導化されたアミノ基が分子上の他の位置における
後続反応の条件に安定であって、適当な点で分子の残部
を損なうことなしに除去できる限り、限定的でない。好
適なアミノ保護基はベンジルオキシカルボニル、アリル
オキシカルボニル、t−ブトキシカルボニルおよびトリ
チル基である。セファロスポリン、ペニシリンおよびペ
プチド技術で使用される同様なアミノ保護基も前記用語
に包含される。前記用語により示される基の他の例は
J.W.Barton、「有機化学における保護基(P
rotective・Groups・in・Organ
ic・Chemistry)」、J.G.W.McOm
ie編、Plenum・Press、ニューヨーク、
N.Y.、1973年、第2章およびT.W.Gree
ne、「有機合成における保護基(Protectiv
e・Groups・in・Organic・Synth
esis)」、John・Wiley・and・Son
s、ニューヨーク、N.Y.、1981年、第7章に記
載されている。関連する用語「保護されたアミノ」は前
記アミノ保護基で置換されたアミノ基を定義する。
【0023】結合反応を実施するに当り、アミノ保護基
が無傷である条件下に除去できるプロリンのためのエス
テル保護基を採用する。アシル化用酸PYCOOHのア
ミノ保護基は後続するアルギニンラクタム化合物との
(c)型にいたる結合反応の間にアミノ基を保護する位
置に残る。この明細書に使用するカルボキシ保護エステ
ル基は化合物の他の官能基で反応が実施されている間に
カルボン酸基を閉鎖または保護するために通常に採用さ
れるカルボン酸基のエステル誘導体の一つを示す。この
ようなカルボン酸保護基の例はC1〜C3−アルキル、ベ
ンジル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、
3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベン
ジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6
−トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4
−メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,
4’−ジメトキシベンズヒドリル、2,2’,4,4’
−テトラメトキシベンズヒドリル、t−ブチル、t−ア
ミル、トリチル、4−メトキシトリチル、4,4’−ジ
メトキシトリチル、4,4’,4”−トリメトキシトリ
チル、2−フェニルプロパン−2−イル、トリメチルシ
リル、t−ブチルジメチルシリル、フェナシル、2,
2,2−トリクロロエチル、2−(トリメチルシリル)
エチル、2−(ジ(n−ブチル)メチルシリル)エチ
ル、p−トルエンスルホニルエチル、4−ニトロベンジ
ルスルホニルエチル、アリル、シンナミル、1−(トリ
メチルシリルメチル)−1−プロペン−3−イルなどの
基を含む。採用するカルボキシ保護基の種類は誘導化さ
れたカルボキシ基が後続する分子内の他の位置における
反応の条件に安定で、適当な点で分子の残部を損なうこ
となしに除去できる限り、限定的でない。殊に、カルボ
キシ保護分子を強い求核性塩基またはラネイニッケルの
ような高度に活性化された金属触媒を採用する還元条件
に暴露しないことが肝要である(このような過激な離脱
条件は以下に検討するアミノ保護基を除去する時も避け
るべきである)。好適なカルボキシ保護基はC1〜C3
アルキルおよびベンジル基である。これらの基の他の例
はE.Haslam、「有機化学における保護基(Pr
otective・Groups・in・Organi
c・Chemistry)」、J.G.W.McOmi
e編、Plenum・Press、ニューヨーク、N.
Y.、1973年、第5章およびT.W.Green
e、「有機合成における保護基(Protective
・Groups・in・Organic・Synthe
sis)」、John・Wiley・and・Son
s、ニューヨーク、N.Y.、1981年、第5章に記
載されている。
【0024】Xがアゼチジニル(またはプロリニル)で
ある式Iで示される化合物は既知のペプチド結合方法に
より同様にして製造される。その方法の一つに従えば、
アルギニン(e)の環状ラクタム型を製造し、アミノ保
護アゼチジン−2−カルボン酸(d)と次に示すように
して結合してジペプチド(f)を得る:
【化12】 [ここに、Pはベンジルオキシカルボニル(Cbz)
基、t−ブトキシカルボニル(Boc)、p−トルエン
スルホニルなどのようなアミノ保護基を示す] 好ましくは、使用するアミノ保護基は水素化または緩和
な酸(たとえば、トリフルオロ酢酸)または強酸(たと
えば、HCl)での処理により除去できるものである。
適当な他のアミノ保護基の例は「有機合成における保護
基(Protective・Groups・in・Or
ganic・Synthesis)」、第2版、T.
W.GreeneおよびPeter・G.M.Wut
s、第7章、第309〜405頁、(1991年)、J
ohn・Wiley・and・Sons・Inc.出版
に記載がある。Bocまたは他の適当な保護基をアゼチ
ジン環窒素から除去し、次に所期のアミノ酸アシル基で
アシル化して次に示すようにトリペプチドを得る:
【化13】 本発明の化合物でXがアゼチジニル−2−カルボニルで
あるものについて例示し、記載したが、当業者はこれら
の操作を使用してXがプロリニルである本発明の化合物
を得ることができることも認識するであろう。
【0025】結合したArg(P)ラクタム生成物
(g)を水素化物還元剤、好ましくは水素化リチウムア
ルミニウムまたは水素化トリ−t−ブトキシアルミノリ
チウム、で不活性溶媒または溶媒混合物中でラクタムを
還元してPがアミノ保護基を示すものである式:PY
(C=O)−Azt−Arg(P)−Hで示されるアル
ギニンアルデヒド型トリペプチドを得る。保護基は金属
触媒上の水素化のような当業者に公知の操作によって除
去される。使用した保護基に依存して保護基をY基から
およびアルギナール基から同時にまたは逐次に除去しう
る。あるいは、本発明の化合物はPYCOOH酸とカル
ボキシ保護2−アゼチジン−カルボン酸との結合によっ
ても製造される。カルボキシを脱保護してジペプチドと
し、これを次にアミノ保護ラクタム型アルギニンと前記
のようにして結合する。次にトリペプチドを還元して前
記のようにしてアミノ保護アルギナールトリペプチドを
得る。PYCOOH化合物の結合は第一にアミノ酸のア
ミノ基を保護して実施する。アミノ基の一時的な保護ま
たは閉鎖のためには通常に用いられる通常のアミノ保護
基を採用できる。この保護基の例は前に記載した。前記
結合反応は冷時、好ましくは約−20℃および約15℃
の間の温度で、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホ
ルムなどのような通常の溶媒またはこのような溶媒の混
合物のような不活性溶媒中で実施する。結合反応ではア
シル化酸の活性エステルが用いられる時には一般に無水
条件が使用される。
【0026】Y置換基のための中間体(すなわち、式:
Y−COOHで示されるα,α−ジ置換アミノ酸)が商
業的に入手できない式Iで示される化合物に対しては、
出発アミノ酸誘導体は下記反応式2に示す方法により容
易に製造できる。適当なα−アミノエステルをベンゾフ
ェノンイミンと縮合して得られるイミンをカリウムt−
ブトキシドまたはリチウム・ビス(トリメチルシリル)
アミドのような強塩基で脱プロトン化する。得られるカ
ルバニオンを次にハロゲン化一級アルキル、アリル性ハ
ロゲン化アルキルまたはベンジル性ハロゲン化アルキル
のような適当な求電子剤と処理する。イミンを次に水性
の酸(約1Nから約3N−無機酸、好ましくはHCl)
で処理して除去し、得られるアミノ酸誘導体を前記のよ
うな式Iで示される化合物にまで進行させる。反応式
2:
【化14】 反応式2において、Z1、R4およびR3は式Iのために
定義したものと同義であり、Lは有効な脱離基、好まし
くはハロ、であり、「エステル」は適当なカルボキシ保
護基、好ましくはC1〜C4−アルキル、である。化合物
(1)はさらに通常の合成操作を用いて反応させて式I
のために定義したような所期のZ置換基を与える。この
操作は適当な保護基によるアミノ基の閉鎖、カルボキシ
基の脱閉鎖および次に結合を実施して前記のような本発
明の化合物を得る。N−置換(Aztのような)された
α−アミノ酸エステル(すなわち、Zが−NHR2であ
り、R3とまとめた式Iで示される化合物)は強塩基
(リチウムジイソプロピルアミド、LDAのような)お
よびR4とZ1とが式Iで定義したものであり、Lは、好
ましくはハロのような有効な脱離基である求電子剤R4
−Z1−Lを使用すれば塩基性反応条件に安定な窒素保
護基(P)を採用する限り、直接にα−置換することが
できる。α−アミノ酸エステルをα−置換する両操作法
はエナンチオマーの混合物を与えるが、これは分離する
かまたはラセミ混合物にすることができる。
【0027】適当なα−置換−α−アミノ酸(式Iの置
換基Y)を製造するための別の方法は、ストレッカー合
成による。一般にα−アミノニトリルはアルデヒドまた
はケトンとNaCNとNH4Clとで処理することによ
って製造する。この合成法およびその変法に関する詳細
はMarch、「最新有機化学(Advanced・O
rganic・Chemistry)」、第3版、Jo
hn・Wiley・and・Sons・Inc.(19
85年)、855〜856頁にある。本発明の化合物は
酸付加塩の型で単離するのが最善である。前記のような
酸で形成した式Iで示される化合物の塩はこの抗血栓症
剤の投与のための医薬的に許容しうる塩として、またこ
れらの薬剤の製剤の製造のために有用である。他の酸付
加塩を製造してこのペプチドの単離および精製において
使用しうる。例えば、メタンスルホン酸、n−ブタンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびナフタレンス
ルホン酸のようなスルホン酸で形成した塩をそのように
使用しうる。
【0028】式Iで示される化合物の精製のため、およ
び同時に所期の安定な塩型を製造するための好適な方法
は、米国特許第5250660号に記載されている。こ
の方法に従えば、水性成分がpH2.5の硫酸または塩
酸からなり、アセトニトリルが有機成分であるC18逆相
クロマトグラフィーによる分取精製により安定な硫酸塩
または塩酸塩が得られる。酸性溶出液のpHをヒドロキ
シル型塩基性アニオン交換樹脂、たとえば、Bio−R
ad・AG−1X8、で約pH4と約6との間に調整す
る。pHの調整後、トリペプチド硫酸塩または塩酸塩の
溶液を凍結乾燥して純粋な塩を乾燥粉末の形で得る。こ
の工程の一例において、粗製EtOCO−D−Phe
(α−Me)−Pro−ArgH・HClを水に溶か
し、溶液をVydac・C18・RPHPLCカラム(5
cm×50cm)に入れる。2%から20%B(溶媒A
=0.05%HCl、溶媒B=アセトニトリル)の勾配
で280分間(10mL/分)、続いて40分間20%
Bの同一組成液を用いる。多数の画分を取り、分析用P
RHPLCで測定して生成物を含むものを集める。集め
た画分のpHをヒドロキシド型AG−1X8樹脂(Bi
o−Rad、3300・Ragatta・Blvd.,
Richmond,CA・94804)で4.5に調整
する。溶液を濾過し、濾液を凍結乾燥すれば純粋なD
−,L−,L−トリペプチドを塩酸塩の形で得る。
【0029】Y置換基のジアステレオマーの光学活性異
性体もまたこの発明の一部である。この光学活性異性体
は対応する光学活性前駆体から前記方法またはラセミ混
合物の分割により製造しうる。この分割はキラル試薬で
の誘導およびクロマトグラフィーまたは反復結晶化を続
けて実施することができる。キラル追加体の標準的方法
による除去は本発明の化合物またはその前駆体の実質的
に光学的に純粋な異性体を与える。分割に関するさらな
る詳細はJacquesなど、エナンチオマー、ラセメ
ートおよび分割(Enantiomers,Racem
ates,and・Resolutions)、Joh
n・Wiley・and・Sons・Inc.(198
1年)に見られる。
【0030】この発明の化合物の合成における最初の出
発物質として採用される化合物は良く知られており、商
業的に入手できないものは当業者により通常に採用され
る標準的操作により容易に合成される。
【実施例】
【0031】以下の実施例は本発明をさらに記載するた
めに提供するが、その限定として解釈すべきではない。
以下の実施例におけるRf値は、特段の記載がない限
り、キーゼルゲル60F−254(メルク社、ダルムシ
ュタット)を用いる次の溶媒系によるシリカゲル薄層ク
ロマトグラフィーにより測定した。 (A)クロロホルム−メタノール−酢酸、135:1
5:1、v:v:v。 (B)酢酸エチル−酢酸−無水エタノール、90:1
0:10、v:v:v。 (C)クロロホルム−メタノール−酢酸、90:30:
5、v:v:v。 (D)酢酸エチル。 実施例で用いた分析用HPLCは次の通りであった:方法1. 0.46cm×10cmのVydac・C18
相カラムを用いるWaters・600E。クロマトグ
ラムはA=0.1%(v:v)TFAを含む水およびB
=0.1%(v:v)TFAを含むアセトニトリルの勾
配を用い、214nMでのLDCで監視した。方法2. 0.46cm×10cmの大きさのVydac
・C18逆相カラムを用いるファルマシアFPLC。監視
は214nMでPharmacia・UV−MでA=
0.1%(v:v)TFAを含む水またはB=0.1%
(v:v)TFAを含むアセトニトリルの勾配を用いて
行った。方法3. 0.46cm×10cmのVydac・C18
相カラムを用いるHitachi・L−6200。標品
はA(0.1%(v:v)TFA水)およびB(アセト
ニトリル中、0.1%(v:v)TFA)からなる勾配
を用いて溶出した。クロマトグラムはL−4000UV
検出器を用いて214nmで監視した。
【0032】この明細書で用いる略号は次の意味を持
つ。 アミノ酸:Arg=アルギニン、Pro=プロリン、A
zt=アゼチジン−2−カルボン酸。 Boc=t−ブチルオキシカルボニル(t−ブトキシカ
ルボニル)。 BzlまたはBn=ベンジル。 Cbz=ベンジルオキシカルボニル。 DCC=ジシクロヘキシルカーボジイミド。 DMF=ジメチルホルムアミド。 DMSO=ジメチルスルホキシド。 EtOAc=酢酸エチル。 Et2O=ジエチルエーテル。 EtOH=エタノール。 FAB−MS=高速原子衝撃質量スペクトル。 FD−MS=電界脱離質量スペクトル。 HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物。 HPLC=高速液体クロマトグラフィー。 IR=赤外スペクトル。 LAH=水素化アルミニウムリチウム。 NMR=核磁気共鳴。 NMI=N−メチルインドール−2−カルボニル。 Phg=フェニルグリシン。 RPHPLC=逆相高速液体クロマトグラフィー。 TFA=トリフルオロ酢酸。 THF=テトラヒドロフラン。 TLC=薄層クロマトグラフィー。 OPFF=ペンタフルオロフェノキシ。 PFF=ペンタフルオロフェニル。
【0033】特段の記載がない限り、pH調整および後
処理は水性の酸または塩基溶液で行った。RPHPLC
は0.05%(v:v)HCl水(実施例では「A」と
記載した)とアセトニトリル(実施例では「B」と記載
した)とを用いて実施した。AとBとの混合比はv:v
である。1H−NMRを記載したものでは、反応で得た
生成物をプロトンNMRで分析して記載の化合物が得ら
れたことを確認した。
【0034】実施例1 1−メチルインドール−2−カ
ルボニル−D−(α−メチル)フェニルグリシニル−A
zt−Arg−H・塩酸塩の製造 A)Boc−Arg(Cbz)−OH −5℃に冷却したBoc−Arg(HCl)−OH(8
2.1g、250ミリモル)の5N−NaOH(240
mL)溶液に5N−NaOH(250mL)の添加でp
Hを13.2〜13.5に維持しながらクロロギ酸ベン
ジル(143mL、1.0モル)(4eq)を55分間
に滴加した。水層を分離し、Et2O(2×500m
L)で抽出した。水層を3N−H2SO4(560mL)
でpH3.0まで酸性化し、EtOAc(550mL)
で抽出した。有機層を分離し、水層をEtOAcを追加
して抽出した。有機層を集め、水で洗い、乾燥(MgS
4)し、真空下に蒸発乾固して標記化合物(66.1
g、収率65%)を得た: TLC・Rf(C)0.43。FD−MS408
(M+)。1HNMR(CDCl3)δ1.42(s,9
H),1.61〜1.91(m,4H),3.23〜
3.41(m,2H),4.17(d,1H),5.2
1(s,2H),5.62(d,1H),7.30〜
7.42(m,6H),8.27(m,1H)。
【0035】B)Boc−Arg(Cbz)−ラクタム −10℃に冷却したBoc−Arg(Cbz)−OH
(A)(66.0g、0.162モル)の無水THF
(230mL)溶液にN−メチルモルホリン(18.7
mL、1.05eq)、続いてクロロギ酸イソブチル
(22.5mL、1.05eq)を添加した。反応物を
−10℃で5分間撹拌し、トリエチルアミン(23.5
mL、1.05eq)を添加した。反応物を−10℃で
1時間および室温で1時間撹拌後、反応物を氷水1Lに
注入した。得られた沈殿を濾取し、冷水で洗浄し、真空
下に乾燥した。生成物をEtOAcから結晶化して標記
化合物を白色固体(38.05g、収率60%)として
得た: TLC・Rf(A)0.77。FD−MS391(MH
+)。1 HNMR(CDCl3)δ1.48(s,9H),1.
78〜1.98(m,2H),2.50(m,1H),
3.41(m,1H),4.43(m,1H),4.9
0(m,1H),5.16(s,2H),5.27
(m,1H),7.28〜7.45(m,6H),9.
41(m,1H),9.68(m,1H)。
【0036】C)HCl・Arg(Cbz)−ラクタム HCl(g)飽和EtOAc(7.2L)溶液を−10
℃でBoc−Arg(Cbz)−ラクタム(B)(64
1g、1.64モル)のCH2Cl2(3L)溶液に30
分間にわたり滴加した。反応物を−10℃で1時間撹拌
し、徐々に(3時間)室温まで温めた。ジエチルエーテ
ル(12L)を添加し、沈殿を濾取し、ジエチルエーテ
ルで洗浄し、真空下に乾燥して標記化合物(580g)
を得た:TLC・Rf(C)0.29。FD−MS29
1(MH+)。
【0037】D)Nα−ジフェニルメチレン−DL−フ
ェニルグリシン・メチルエステル 室温でベンゾフェノンイミン(53.8g、297ミリ
モル)の塩化メチレン(500mL)溶液にDL−フェ
ニルグリシンメチルエステル塩酸塩(59.9g、29
7ミリモル)を添加し、反応物を48時間撹拌した。反
応混合物を水(200mL)で3回洗浄し、有機層を分
離し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、真空下に濃縮し
て透明な油状物を得た。この油状物をペンタンから結晶
化して標記化合物(98.5g、収率100%)を得
た: FAB−MS330(MH+)。 元素分析:C2219NO2として計算値:C,80.2
2;H,5.81;N,4.25。実験値:C,80.
50;H,5.93;N,4.14。
【0038】E)Nα−ジフェニルメチレン−DL−
(α−メチル)−フェニルグリシン・メチルエステル Nα−ジフェニルメチレン−DL−フェニルグリシン・
メチルエステル(D)(14.8g、44.8ミリモ
ル)の無水THF(200mL)溶液を18−クラウン
−6(11.8g、44.8ミリモル)、水素化カリウ
ム(11.2g、67.3ミリモル)、THF(100
mL)の混合物中に不活性雰囲気下に滴加した。反応物
にヨウ化メチル(6.0mL、89.7ミリモル)のT
HF(20mL)溶液を滴加した。反応物をさらに1.
5時間室温で撹拌した。反応物にD、HOAc(7.0
mL)、水(25mL)およびTHF(30mL)を含
む溶液を滴加した。反応物を酢酸エチルと水で希釈し、
有機層を分離し、水で3回洗い、乾燥(MgSO4
し、濾過した。濾液を真空下に濃縮して油状物を得、こ
れをヘキサンから結晶化して標記化合物(10.2g、
収率66%)を得た:FAB−MS344(MH+)。 元素分析:C2321NO2として計算値:C,80.4
4;H,6.15;N,4.08。実験値:C,80.
40;H,6.26;N,4.03。
【0039】F)DL−(α−メチル)フェニルグリシ
ン Nα−ジフェニルメチレン−DL−(α−メチル)−フ
ェニルグリシン・メチルエステル(E)(72.4g、
211ミリモル)の5N−HCl(400mL)溶液を
還流(24時間)した。溶液を室温まで冷却し、濾過
し、濾液のpHを希NH4OH溶液で5.8に調整し
た。水性溶液を結晶化が開始するまで真空下に濃縮し
た。反応物を5℃に一夜保存し、沈殿を濾取し、真空下
に乾燥して標記化合物(22g、収率63%)を得た: FAB−MS166(MH+)。
【0040】G)D−(α−メチル)フェニルグリシン DL−(α−メチル)フェニルグリシン(F)(87
g、431.4ミリモル)の水溶液を5N−NaOHで
pH6.0に調整した。沈殿を濾取し、乾燥して白色固
体82gを得た。固体(82g)を96%ギ酸(750
mL)に懸濁し、反応混合物に無水酢酸(200mL、
431.4ミリモル)を徐々に添加した。反応物を室温
で30分間撹拌し、溶液を真空下に濃縮して油状物とし
た。油状物をEtOAc(1500mL)に溶解し、水
で3回洗浄し、乾燥(MgSO4)した後、濾過した。
濾液を真空下に濃縮し、EtOAc/ヘキサンから結晶
化してNα−ホルミル−DL−(α−メチル)−フェニ
ルグリシン(77.9g、93%)の白色固体を得た。
このNα−ホルミル−DL−(α−メチル)−フェニル
グリシン(77.3g、400ミリモル)をEtOAc
(450mL)およびEtOH(50mL)中に溶解し
た。この溶液にキニン(68.18g、210ミリモ
ル)とジエチルエーテル(1000mL)とを添加し
た。溶液を室温に維持(24時間)した。得られた結晶
性物質を濾過し、母液を真空下に濃縮して白色固体とし
た。白色固体をEtOAcに懸濁し、1.5N−クエン
酸、水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過した。濾
液を真空下に濃縮してNα−ホルミル−D−(α−メチ
ル)−フェニルグリシン(26.3g、収率67%)の
白色固体とした。[α]D=−61°(c=0.5/M
eOH)。このNα−ホルミル−D−(α−メチル)−
フェニルグリシン(25g、124ミリモル)を2N−
HCl(130mL)に懸濁し、反応物を還流(2時
間)した。反応混合物を室温まで冷却し、水性溶液を結
晶化が開始するまで真空下に濃縮した。沈殿を集め、真
空下に乾燥して純粋な標記化合物(18.6g、収率7
4%)を得た。
【0041】H)1−メチルインドール−2−カルボニ
ル−D−(α−メチル)フェニルグリシン D−(α−メチル)フェニルグリシン(G)(2.01
g、10ミリモル)の水溶液に2N−NaOHを添加し
てpHを6.5に調整し、溶液を凍結乾燥した。固体を
DMF(30mL)、ビス(トリメチルシリル)アセト
アミド(3.7mL、15ミリモル)に懸濁し、1−メ
チルインドール−2−カルボン酸ペンタフルオロフェニ
ルエステル(3.41g、10ミリモル)を反応物に添
加した。反応混合物を60℃で撹拌(24時間)し、真
空下に濃縮して油状物とした。残渣を水(100m
L)、ジエチルエーテル(50mL)に溶解し、2N−
NaOHでpHを9.0に調整した。水層を分離し、E
tOAc(150mL)を添加し、溶液を5N−HCl
でpH2.8まで酸性化した。有機層を分離し、乾燥し
(MgSO4)、濾過し、真空下に濃縮して標記化合物
の無晶形固体(2.27g、収率70%)とした: FAB−MS323(MH+)。
【0042】I)1−メチルインドール−2−カルボニ
ル−D−(α−メチル)フェニルグリシニル−Azt−
OH 1−メチルインドール−2−カルボニル−D−(α−メ
チル)フェニルグリシン(H)(2.2g、6.9ミリ
モル)のEtOAc(25mL)溶液に2,4,5−ト
リクロロフェノール(1.65g、8.3ミリモル)、
DCC(1.72g、8.3ミリモル)を添加し、0℃
に冷却した。反応物を0℃で1時間および室温で1.5
時間撹拌した。得られた沈殿を濾去し、母液を真空下に
濃縮して油状物とした。得られた油状物をピリジン(3
5mL)に溶解し、反応混合物にL−アゼチジン−2−
カルボン酸(0.7g、6.9ミリモル)およびトリエ
チルアミン(0.97mL、6.9ミリモル)を添加し
た。反応物を室温で撹拌(24時間)した後、ピリジン
を真空下に除去して油状物とした。残渣を水(100m
L)とジエチルエーテル(50mL)とに溶解し、溶液
のpHを2N−NaOHで9.0に調整した。水層を分
離し、EtOAc(150mL)を添加し、3N−HC
lで溶液をpH3.0に調整した。有機層を分離し、乾
燥し(MgSO4)、濾過し、濾液を真空下に蒸発して
粗製標記化合物の無晶形固体(2.3g)とした。この
粗製固体(2.3g)を段階溶出(CHCl3100か
らCHCl3−MeOH70:30)を使用するシリカ
ゲル上クロマトグラフィーにより精製して純標記化合物
を無晶形固体(0.81g、収率29%)として得た:
FD−MS406(MH+)。
【0043】J)1−メチルインドール−2−カルボニ
ル−D−(α−メチル)フェニルグリシニル−Azt−
Arg(Cbz)−ラクタム フラスコ1に1−メチルインドール−2−カルボニル−
D−(α−メチル)フェニルグリシニル−Azt−OH
(I)(0.51g、1.5ミリモル)をDMF(10
mL)に溶解し、−15℃に冷却し、N−メチルモルホ
リン(0.17mL、1.55ミリモル)、続いてクロ
ロギ酸イソブチル(0.19mL、1.41ミリモル)
を加えた。反応混合物を−15℃で2分間撹拌した。フ
ラスコ2中でHCl・Arg(Z)−ラクタム(C)
(0.46g、1.41ミリモル)をDMF(10m
L)に溶解し、0℃に冷却し、ジイソプロピルエチルア
ミン(0.27mL、1.55ミリモル)を添加した。
反応混合物を0℃で2分間撹拌した。フラスコ2の内容
物をフラスコ1に添加し、反応混合物を4時間(−15
℃)、続いて室温で24時間撹拌した。1N−NaHC
3(2mL)溶液を加え、反応混合物を真空下に濃縮
した。残渣をEtOAc(100mL)と水(50m
L)に溶解した。有機層を分離し、1N−NaHC
3、水と0.1N−HClで順次に洗浄した。有機層
を乾燥(MgSO4)し、濾過し、真空下に蒸発して標
記化合物の無晶形固体(0.88g、収率92%)とし
た: TLC・Rf(A)0.74。FAB−MS678(M
+)。
【0044】K)1−メチルインドール−2−カルボニ
ル−D−(α−メチル)フェニルグリシニル−Azt−
Arg−H・HCl 1−メチルインドール−2−カルボニル−D−(α−メ
チル)フェニルグリシニル−Azt−Arg(Cbz)
−ラクタム(J)(0.81g、1.19ミリモル)の
撹拌、冷(−70℃)無水THF(50mL)溶液に窒
素雰囲気下に1M−水素化アルミニウムリチウムのTH
F(1.2mL、1.2ミリモル)溶液を添加した。反
応物を−70℃で30分間撹拌した。THF(5mL)
の0.5N−H2SO4(5mL)溶液を反応物に滴加し
た。反応物をEtOAc(100mL)と水(50m
L)で希釈した。有機層を分離し、乾燥(MgSO4
し、濾過し、真空下に濃縮乾固して無晶形固体(0.7
6g)を得た。固体をエタノール(100mL)、水
(25mL)および1N−HCl(1.67mL、1.
67ミリモル)に溶解し、5%Pd/C触媒(0.5
g)の存在下に常温、常圧下に水素化した。反応終了
後、触媒を濾去した。濾液を100mLまで真空下に濃
縮し、凍結乾燥した。白色固体を水に溶解し、ミリポア
0.5μm濾板を通して濾過し、凍結乾燥して純標記化
合物(0.445g、収率64%)を得た:FAB−M
S546(MH+)。 [α]D=−42.9°(c=0.5/0.01N−H
Cl)。
【0045】実施例2 D−プロリニル−(α−ベンジ
ル)−L−プロリニル−L−アルギニン−アルデヒド二
塩酸塩二水和物の製造
【化15】 A)N−Cbz−Pro−OMe N−Cbz−プロリン(140g、562ミリモル)の
メタノール(850mL)溶液にp−トルエンスルホン
酸一水和物(5g、26ミリモル)を加えた。溶液を加
熱還流し、撹拌を12時間継続した。加熱マントルを除
去し、室温まで冷却後、溶媒をロータリーエバポレータ
で除去した。残渣を酢酸エチル(500mL)に溶解
し、飽和NaHCO3(300mL)で2回および食塩
水(200mL)で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、
濾過し、濃縮して無色油状物(129g、収率88%)
を得た: FD−MS263(M+)。 元素分析:C1417NO4として計算値:C,63.8
7;H,6.51;N,5.32。実験値:C,64.
03;H,6.56;N,5.28。
【0046】B)N−Cbz−D,L−Pro−(α−
ベンジル)−OMe −78℃の0.5M−カリウムヘキサメチルジシラジド
のトルエン溶液(200mL、100ミリモル)に、N
2下にN−Cbz−Pro−OMeのテトラヒドロフラ
ン(150mL)溶液を滴下漏斗から1時間にわたって
添加した。次にこの混合物に臭化ベンジル(11.9m
L、100ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液(50
mL)を別の滴下漏斗から15分間にわたって添加し
た。20時間撹拌した後、冷浴を去り、1N−クエン酸
(100mL)を添加した。次に溶液を真空下に約10
0mL容まで濃縮し、次に酢酸エチル(300mL)と
水(200mL)とに分配した。有機層を次に1N−ク
エン酸(100mL)、飽和NaHCO3で2回、食塩
水で2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空下
に濃縮してコハク色の油状物を得た。油状物を次にシリ
カゲル上でクロマトグラフし、ヘキサンから20%酢酸
エチル/ヘキサンまでの勾配で溶出した。TLCで判定
して生成物を含む画分を集め、濃縮して無色油状物(2
6.9g、収率76%)を得た:1 HNMR。
【0047】C)N−Cbz−D,L−Pro−(α−
ベンジル)−OH N−Cbz−D,L−Pro−(α−ベンジル)−OM
e(26.9g、76ミリモル)のp−ジオキサン(2
00mL)溶液にLiOH・H2O(12.8g、30
4ミリモル)の水(100mL)溶液を添加した。溶液
を加熱還流し、12時間撹拌を継続した。加熱マントル
を次に除去し、室温まで冷却した後、ロータリーエバポ
レータで溶媒を除去した。残渣を水(300mL)に溶
解し、ジエチルエーテル(200mL)で洗浄した。水
層を次に1N−クエン酸で酸性化し、ジエチルエーテル
(300mL)で3回抽出した。エーテル抽出物を集
め、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して白色固体
(23.9g、収率92%)を得た:1 HNMR。FD−MS・m/e340(MH+)。 元素分析:C2021NO4として計算値:C,70.7
8;H,6.24;N,4.13。実験値:C,71.
00;H,6.38;N,4.17。
【0048】D)N−Cbz−D−Pro−(α−ベン
ジル)−Pro−OMe N−Cbz−D−Pro−(α−ベンジル)−OH(2
3g、68ミリモル)、Pro−OMe・HCl(14
g、85ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ル(11.4g、85ミリモル)およびN,N−ジイソ
プロピルエチルアミン(35.4mL、203ミリモ
ル)のジクロロメタン(400mL)溶液に1−(3−
ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
塩酸塩(16.2g、85ミリモル)を添加した。12
時間撹拌後、溶媒を真空下に除去した。残渣を酢酸エチ
ル(500mL)に溶解し、1N−クエン酸(200m
L)で2回、飽和NaHCO3水で2回および食塩水で
2回洗浄した。酢酸エチルをロータリーエバポレーショ
ンで除去して黄色油状物を得た。この油状物をクロマト
グラフし、ヘキサンから30%酢酸エチル/ヘキサンま
での勾配溶媒で溶出した。高Rfジアステレオマー(T
LC・Rf0.38、10:1クロロホルム:メタノー
ル)のみを含む画分を集め、濃縮して白色結晶性固体
(10.5g、34%)を得た。続いて、このジアステ
レオマーの構造および立体化学を単結晶X線回折の分析
によってN−Cbz−D−Pro−(α−ベンジル)−
Pro−OMeであると証明した:1 HNMR。FD−MS・m/e450(M+)。 元素分析:C263025として計算値:C,69.3
1;H,6.71;N,6.22。実験値:C,69.
18;H,6.73;N,6.25。
【0049】E)N−Cbz−D−Pro−(α−ベン
ジル)−Pro−OH N−Cbz−D−Pro−(α−ベンジル)−Pro−
OMe(8g、17.8ミリモル)のp−ジオキサン
(200mL)溶液を激しく撹拌しつつ、これにLiO
H・H2O(3g、71ミリモル)の水(100mL)
溶液を添加した。12時間後、溶液を真空下に50mL
容まで濃縮し、水(100mL)で薄め、ジエチルエー
テル(150mL)で2回抽出した。5N−HCl水で
水層をpH2に調整し、得られた沈殿を濾取し、水洗
し、乾燥して白色固体(4.2g、収率54%)を得
た。水層を集め、酢酸エチル(250mL)で2回抽出
し、得られた有機層を食塩水(200mL)で洗浄し、
Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して同一の生成物を
別に3.2g(収率41%)を得た(合計収率95
%):1HNMR。FD−MS・m/e437(M
+)。 元素分析:C252825として計算値:C,68.7
9;H,6.47;N,6.42。実験値:C,68.
51;H,6.51;N,6.45。
【0050】F)D−Pro−(α−ベンジル)−Pr
o−Arg−H・2HCl 実施例1−Jと1−Kに記載したものと実質的に均等な
方法によって、LAHを−78℃で用いる代わりにLi
Al(O−t−Bu)3Hを−23℃で用いてD−Pr
o−(α−ベンジル)−Pro−Arg−H・2HCl
二水和物1.3gをN−Cbz−D−Pro−(α−ベ
ンジル)−Pro−OHから製造した。RPHPLCに
よる精製は不要であった。1 HNMR。FAB−MS・m/e443(MH+)。 元素分析:C233463・2.5HCl・2H2Oと
して計算値:C,48.49;H,7.16;N,1
4.75。実験値:C,48.84;H,7.05;
N,14.48。
【0051】実施例3 プロリニル−(α−ベンジル)
−L−プロリニル−L−アルギニンアルデヒド二塩酸塩
の製造
【化16】 A)N−Cbz−Pro−(α−ベンジル)−Pro−
OMe N−Cbz−Pro(α−ベンジル)−Pro−OMe
は実施例2−Dで製造した。黄色油状物のシリカゲルク
ロマトグラフィー後、低Rfの物質(TLC・Rf0.
31、クロロホルム:メタノール10:1)を含む画分
を集め、濃縮して白色泡状物(9.6g、収率31%)
を得、これをN−Cbz−Pro−(α−ベンジル)−
Pro−OMeであると同定した:1 HNMR。FD−MS・m/e450(M+)。 元素分析:C263025として計算値:C,69.3
1;H,6.71;N,6.22。実験値:C,69.
25;H,6.93;N,6.16。
【0052】B)Pro(α−ベンジル)−Pro−A
rg−H・2HCl 実施例2−Eと2−Fに記載したものと実質的に均等な
方法によって、2.0gのPro(α−ベンジル)−P
ro−Arg−H・2HCl二水和物をN−Cbz−P
ro−(α−ベンジル)−Pro−OMeから製造し
た。RPHPLCによる精製は不要であった。1 HNMR。FAB−MS・m/e443(MH+)。 元素分析:C233463・3HCl・2.5H2Oと
して計算値:C,46.28;H,7.09;N,1
4.08。実験値:C,46.67;H,7.13;
N,13.75。
【0053】実施例4 アゼチジニル(α−ベンジル)
−L−プロリニル−L−アルギニンアルデヒド二塩酸塩
の製造
【化17】 A)Azt(α−ベンジル)−Pro−Arg−H・2
HCl 実施例1−Aおよび2に記載したものと実質的に均等な
方法により、1.5gのAzt(α−ベンジル)−Pr
o−Arg−H・2HClをアゼチジン−2−カルボン
酸から製造した。RPHPLCによる精製は不要であっ
た:1 HNMR。FD−MS・m/e429(MH+)。 元素分析:C223263・2.5HCl・2H2Oと
して計算値:C,47.55;H,6.98;N,1
5.12。実験値:C,47.21;H,6.62;
N,14.83。
【0054】実施例5 N−エトキシカルボニル−D−
フェニルアラニル(α−メチル)−L−プロリニル−L
−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化18】 A)EtOCO−D,L−Phe(α−Me)−OH D,L−Phe(α−Me)−OH(7.5g、42ミ
リモル)のテトラヒドロフラン(250mL)懸濁液を
撹拌しながら、これにN,O−ビス(トリメチルシリ
ル)アセトアミド(12.8g、62.8ミリモル)を
添加した。溶液が透明化した後に溶液を0℃に冷却し、
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.4g、42
ミリモル)、続いてクロロギ酸エチル(4.5g、42
ミリモル)を添加した。2時間後、水(100mL)を
添加し、次に有機溶媒を真空下に除去した。水層を1N
−NaOHで希釈し、ジエチルエーテルで2回洗った。
水層を次に濃HClでpH2まで酸性化し、酢酸エチル
で3回抽出した。酢酸エチル抽出物を集め、乾燥(Na
2SO4)し、濾過し、真空下に濃縮して白色固体10.
3g(98%収率)を得た:1 HNMR。
【0055】B)EtOCO−D,L−Phe(α−M
e)−Pro−OBzl EtOCO−D,L−Phe(α−Me)−OH(1
0.3g、41ミリモル)、HOBT(5.5g、41
ミリモル)、Pro−OBzl・HCl(9.9g、4
1ミリモル)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミ
ン(15.9g、123ミリモル)のジメチルホルムア
ミド(200mL)溶液を0℃で撹拌しながら、これに
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカル
ボジイミド・HCl(8.6g、45ミリモル)を添加
した。16時間撹拌後、溶媒を真空下に除去し、残渣を
酢酸エチル(500mL)に溶解した。有機層を0.1
N−HClで3回、飽和NaHCO3水で3回および食
塩水で1回洗浄した。有機層を次に乾燥(Na2SO4
し、濾過し、真空下に濃縮した。残渣をシリカゲル上ク
ロマトグラフし、1:1−酢酸エチル:ヘキサンで溶出
して生成物を含有する画分(TLCで判断して)を集
め、真空下に濃縮して白色泡状物13.5g(収率75
%)を得た:1 HNMR。FD−MS・m/e438(M+)。 元素分析:C253025として計算値:C,68.4
7;H,6.90;N,6.39。実験値:C,68.
20;H,7.09;N,6.28。
【0056】C)EtOCO−D,L−Phe(α−M
e)−Pro−OH EtOCO−D,L−Phe(α−Me)−Pro−O
Bzl(13.2g、30ミリモル)のp−ジオキサン
(250mL)溶液を撹拌しながら、これにLiOH・
2O(6.3g、151ミリモル)の水(125m
L)溶液を添加した。2.5時間撹拌後、溶媒を真空下
に除去し、残渣を水で希釈し、ジエチルエーテルで3回
洗浄した。水層を次に濃HClでpH2とし、酢酸エチ
ルで3回抽出した。酢酸エチル抽出物を集めて乾燥(N
2SO4)し、濾過し、真空下に濃縮して白色固体1
0.7gを得た:1 HNMR。FD−MS・m/e349(MH+)。 元素分析:C182425として計算値:C,62.0
5;H,6.94;N,8.04。実験値:C,62.
29;H,6.98;N,8.12。
【0057】D)Boc−Arg(Cbz)−OH 三頚フラスコ内でBoc−Arg(HCl)−OH(8
2.1g、250ミリモル)を5N−NaOH(240
mL)に溶解した。反応混合物を−5℃に冷却し、5N
−NaOH(250mL)でpHを13.2〜13.5
に維持しながらクロロギ酸ベンジル(143mL、1.
0モル)を滴加(55分間)した。反応混合物を−5℃
でさらに1時間撹拌し、水(100mL)とジエチルエ
ーテル(500mL)とで希釈した。水層を分離し、ジ
エチルエーテル(500mL)で2回抽出した。水層を
次に3N−H2SO4(560mL)でpH3.0まで酸
性化し、酢酸エチル(550mL)で抽出した。水層を
分離し、酢酸エチルで1回抽出した。酢酸エチル層を集
め、水洗し、乾燥(MgSO4)し、真空下に濃縮して
白色固体66.1g(収率65%)を得た:1 HNMR。FD−MS408(M+)。
【0058】E)Boc−Arg(Cbz)−ラクタム Boc−Arg(Cbz)−OH(66.0g、0.1
62モル)をテトラヒドロフラン(230mL)に溶解
し、−10℃に冷却した。この溶液にN−メチルモルホ
リン(18.7mL、0.17モル)、続いてクロロギ
酸イソブチル(22.5mL、0.17モル)を添加し
た。−10℃で5分間撹拌後、トリエチルアミン(2
3.5mL、0.17モル)を添加した。さらに−10
℃で1時間後、混合物を室温まで温め、撹拌を室温で1
時間継続した。反応混合物を次に氷−水1Lに注入し、
得られた沈殿を濾取し、冷水で洗浄し、真空下に乾燥し
た。生成物を酢酸エチルから結晶化して白色固体38g
(収率60%)を得た:1HNMR。FD−MS391
(MH+)。
【0059】F)2HCl・Arg(Cbz)−ラクタ
ム HCl(g)を飽和した酢酸エチル(7.2L)を−1
0℃でジクロロメタン(3L)に溶解したBoc−Ar
g(Cbz)−ラクタム(641g、1.64モル)の
溶液に30分間にわたって滴加した。−10℃で1時間
後、冷浴を除去し、溶液を3時間に室温まで温めた。ジ
エチルエーテル(12L)を添加し、得られた沈殿を濾
過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥して580
g(収率97%)を得た: FD−MS291(MH+)。
【0060】G)EtOCO−D−Phe(α−Me)
−Pro−Arg(Cbz)ラクタム フラスコ1内でEtOCO−D,L−Phe(α−M
e)−Pro−OH(6g、17.2ミリモル)をジメ
チルホルムアミド(100mL)に溶解し、−15℃に
冷却し、N−メチルモルホリン(1.7g、17.2ミ
リモル)、続いてクロロギ酸イソブチル(2.4g、1
7.2ミリモル)を添加した。反応混合物を−15℃で
10分間撹拌した。フラスコ2内でHCl・Arg(C
bz)ラクタム(6.3g、17.2ミリモル)をジメ
チルホルムアミド(100mL)に溶解し、0℃に冷却
し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.5g、
34.5ミリモル)を添加した。フラスコ2の内容物を
一度にフラスコ1に加え、反応混合物を室温まで徐々に
(24時間)温めた。次に飽和NaHCO3水(100
mL)を添加し、溶媒を真空下に除去した。残渣を酢酸
エチルと水とに分配し、分液した。有機層を0.01N
−HClで2回、飽和NaHCO3で2回および食塩水
で1回洗った。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濾液を
真空下に濃縮した。残渣をシリカゲル上でクロマトグラ
フし、酢酸エチルで溶出してジアステレオマー生成物を
分離した。純EtOCO−D−Phe(α−Me)−P
ro−Arg(Cbz)ラクタム(TLCRf=0.5
7、酢酸エチル:アセトニトリル4:1)を含む画分を
集め、真空下に濃縮して白色泡状物1.3gを得た。純
EtOCO−Phe(α−Me)−Pro−Arg(C
bz)ラクタム(TLC・Rf=0.44、酢酸エチ
ル:アセトニトリル4:1)を含む画分を集め、真空下
に濃縮して白色泡状物1.7gを得た。ジアステレオマ
ー2種の混合物を含む画分を集めて真空下に濃縮して白
色泡状物3.3gを得た。混合物を再びクロマトグラフ
して各ジアステレオマーの純画分を集めて最初のクロマ
トグラフィーからのものと合し、真空下に濃縮してEt
OCO−D−Phe(α−Me)−Pro−Arg(C
bz)ラクタム計2.1g(20%)およびEtOCO
−Phe(α−Me)−Pro−Arg(Cbz)ラク
タム計3.7g(35%)を得た。ジアステレオマー型
トリペプチドの構造は暫定的に対応するアルギニンアル
デヒドの生物学的活性からの類推により決定した:1 HNMR。FD−MS・m/e621(MH+)。 元素分析:C324067として計算値:C,61.9
2;H,6.50;N,13.54。実験値:C,6
1.74;H,6.51;N,13.33。
【0061】H)EtOCO−D−Phe(α−Me)
−Pro−Arg−H・HCl EtOCO−D−Phe(α−Me)−Pro−Arg
(Cbz)ラクタム(2g、3.2ミリモル)のテトラ
ヒドロフラン(50mL)溶液を−23℃で撹拌しなが
ら、1N−LiAl(O−t−Bu)3H(4.8m
L、4.8ミリモル)のテトラヒドロフラン溶液を徐々
に添加した。2.5時間後、反応混合物を冷1N−HC
l(50mL)の溶液に撹拌しながら注入した。次にこ
の溶液を水(100mL)で希釈し、1:1テトラヒド
ロフラン:ヘキサン(200mL)で洗浄し、酢酸エチ
ルで2回とn−ブタノールで1回抽出した。酢酸エチル
およびn−ブタノール抽出物を集め、乾燥(Na2
4)し、真空下に濃縮した。残渣を次にエタノール
(75mL)に溶解し、次に水(25mL)と1N−H
Cl(10mL)とを添加した。この撹拌溶液に次に5
%Pd炭(1g)を添加した。次にこの溶液にH2
1.5時間通じ、次にN2を通して反応を止め、硅藻土
床で濾過した。エタノールを真空下に35℃で除去し、
次に残渣を水(25mL)中に再溶解した。Bio・R
adイオン交換樹脂(塩基型)で水溶液のpHを4.7
に調整し、濾過し、凍結乾燥して白色粉末1.15gを
得た。生成物を次にRPHPLC(98/2(A:
B)、40分から80/20(A:B)280分までの
勾配で上げ、400分まで持続)により精製して純Et
OCO−D−Phe(α−Me)−Pro−Arg−H
・HCl・二水和物0.49g(29%)を得た:1 HNMR。FAB−MS・m/e489(MH+)。 元素分析:C243665・HClとして計算値:C,
54.91;H,7.10;N,16.01;Cl,
6.75。実験値:C,54.89;H,7.12;
N,15.81;Cl,6.87。
【0062】実施例6 N−エチルスルホニル−D−フ
ェニアラニル(α−メチル)−L−プロリニル−L−ア
ルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化19】 A)EtSO2−D,L−Phe(α−Me)−OH D,L−Phe(α−Me)−OH(9g、50ミリモ
ル)のテトラヒドロフラン(250mL)懸濁液を撹拌
しながら、これにN,O−ビス(トリメチルシリル)ア
セトアミド(15.3g、75ミリモル)を添加した。
透明化後、溶液を−78℃に冷却し、N,N−ジイソプ
ロピルエチルアミン(6.5g、50ミリモル)、続い
て塩化エタンスルホニル(7.1g、55ミリモル)を
添加した。混合物を室温まで徐々に温めた。16時間
後、水(100mL)を添加し、次に有機溶媒を真空下
に除去した。水層を1N−NaOHで希釈し、ジエチル
エーテルで2回洗浄した。水層を次に濃HClでpH3
まで酸性化し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル
抽出液を集め、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、真空下
に濃縮して白色泡状物4.9g(36%)を得た:1 HNMR。FD−MS・m/e271(M+)。 元素分析:C1217NO4Sとして計算値:C,53.
12;H,6.32;N,5.16。実験値:C,5
3.36;H,6.16;N,5.08。
【0063】B)EtSO2−D−Phe(α−Me)
−Pro−Arg−H・HCl 実施例5−B、5−C、5−Gおよび5−Hに記載した
ものと実質的に均等な方法により、EtSO2−D−P
he(α−Me)−Pro−Arg−H・HClを1.
1g製造した。ジアステレオマーペプチドはラクタム段
階(実施例5−G参照)でシリカゲルクロマトグラフィ
ー(EtSO2−D−Phe(α−Me)−Pro−A
rg(Cbz)ラクタム、TLC・Rf=0.75、
4:1酢酸エチル:アセトニトリル)で分離した。Et
SO2−D−Phe(α−Me)−Pro−Arg−H
・HClはRPHPLC(98/2(A/B)40分か
ら80/20(A/B)280分まで上げ、400分ま
で維持)で精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e509(MH+)。 元素分析:C233665S・HClとして計算値:
C,50.68;H,6.84;N,15.42。実験
値:C,50.59;H,6.67;N,15.35。
【0064】実施例7 N−エトキシカルボニル−フェ
ニルアラニル(α−メチル)−L−プロリニル−L−ア
ルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化20】 EtOCO−Phe(α−Me)−Pro−Arg−H
・HCl 実施例5−Hに記載したものと実質的に均等な方法によ
り、0.78g(42%)のEtOCO−Phe(α−
Me)−Pro−Arg−H・HClをEtOCO−P
he(α−Me)−Pro−Arg(Cbz)ラクタム
(EtOCO−Phe(α−Me)−Pro−Arg
(Cbz)ラクタムの製造は実施例5−Gを参照)から
製造した。EtOCO−Phe(α−Me)−Pro−
Arg−H・HCl水和物はRPHPLC(95/5
(A/B)40分から80/20(A/B)280分ま
で、400分まで維持)により精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e489(MH+)。 元素分析:C243665・1.1HCl・0.5H2
Oとして計算値:C,53.61;H,7.14;N,
15.63;Cl,7.25。実験値:C,54.0
1;H,6.70;N,15.12;Cl,7.18。
【0065】実施例8 N−(1−メチルインドリル−
2−カルボニル)−D−フェニルアラニル(α−メチ
ル)−L−プロリニル−L−アルギニンアルデヒド・二
塩酸塩の製造
【化21】 A)NMI−OPFF N−メチルインドール−2−カルボン酸(25g、14
3ミリモル)とペンタフルオロフェノール(35.3
g、192ミリモル)のテトラヒドロフラン(250m
L)溶液に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−
エチルカルボジイミド・HCl(30.5g、159ミ
リモル)を添加した。5時間撹拌後、溶液をジクロロメ
タン(200mL)およびヘキサン(300mL)で希
釈した。有機層を1N−NaHSO4(100mL)で
1回、1N−K2CO3(100mL)で3回および食塩
水で2回洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濾
過し、真空下に濃縮して黄褐色固体を得、これをヘキサ
ンから再結晶して灰白色固体38g(78%収率)を得
た:1 HNMR。FD−MS・m/e341(M+)。 元素分析:C168NO25として計算値:C,56.
32;H,2.36;N,4.10。実験値:C,5
6.53;H,2.37;N,4.20。
【0066】B)NMI−D,L−Phe(α−Me)
−OH D,L−Phe(α−Me)−OH(2.5g、14ミ
リモル)のジメチルホルムアミド(50mL)懸濁液を
撹拌しつつ、これにN,O−ビス(トリメチルシリル)
アセトアミド(4.3g、21ミリモル)を添加した。
溶液の透明化後に、NMI−OPFF(5g、14.7
ミリモル)を添加し、反応物を65℃に加熱した。16
時間後、加熱マントルを去り、水(20mL)を添加し
た。次に溶媒を真空下に除去し、残渣を1N−NaOH
に溶解し、ジエチルエーテルで3回洗浄した。水層を次
に5N−HClでpH3まで酸性化し、酢酸エチルで3
回抽出した。酢酸エチル抽出液を集め、乾燥(Na2
4)し、濾過し、真空下に濃縮して黄色油状物を得、
これをシリカゲル上クロマトグラフし、70%酢酸エチ
ル:ヘキサン(0.5%酢酸)で溶出した。TLCで判
断して生成物を含有する画分を集め、真空下に濃縮し
た。残渣をトルエンに溶解し、(酢酸を除くために)3
回真空下に濃縮して白色固体4g(85%収率)を得
た:1 HNMR。FD−MS・m/e336(M+)。 元素分析:C202023として計算値:C,71.4
1;H,5.99;N,8.33。実験値:C,71.
66;H,6.15;N,8.05。
【0067】C)NMI−D−Phe(α−Me)−P
ro−Arg−H・HCl 実施例5−B、5−C、5−Gおよび5−Hに記載した
ものと実質的に均等な方法により、NMI−D−Phe
(α−Me)−Pro−Arg−H・HClを1.4g
製造した。ジアステレオマーペプチドをラクタム段階
(実施例5−G参照)でシリカゲルクロマトグラフィー
(NMI−D−Phe(α−Me)−Pro−Arg
(Cbz)ラクタム、TLC・Rf=0.35、酢酸エ
チル)により分離した。NMI−D−Phe(α−M
e)−Pro−Arg−H・HClはRPHPLC(9
5/5(A/B)から70/30(A/B)180分ま
で、400分まで維持)により精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e574(MH+)。 元素分析:C313974・HClとして計算値:C,
61.02;H,6.61;N,16.07;Cl,
5.81。実験値:C,61.30;H,6.40;
N,15.98;Cl,6.09。
【0068】実施例9 1−(エチルスルホニルアミ
ノ)シクロヘクソイル−L−プロリニル−L−アルギニ
ンアルデヒド塩酸塩の製造
【化22】 1−(エチルスルホニルアミノ)シクロヘキソイルPr
o−Arg−H・HCl 実施例6に記載したものに実質的に均等な方法により、
0.95gの1−(エチルスルホニルアミノ)シクロヘ
キソイル−Pro−Arg−H・HCl水和物を1−ア
ミノシクロヘキサン−1−カルボン酸から製造した。1
−(エチルスルホニルアミノ)シクロヘキソイル−Pr
o−Arg−H・HCl水和物はRPHPLC(98/
2(A/B)から80/20(A/B)まで、240
分)により精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e473(MH+)。 元素分析:C203665S・HCl・H2Oとして計
算値:C,45.58;H,7.46;N,15.9
4;Cl,6.73。実験値:C,45.49;H,
7.37;N,15.65;Cl,6.54。
【0069】実施例10 1−(1−メチルインドリル
−2−カルボニルアミノ)シクロヘキソイル−L−プロ
リニル−L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化23】 1−(N−メチルインドリル−2−カルボニルアミノ)
シクロヘキソイル−Pro−Arg−H・HCl 実施例8に記載したものと実質的に均等な方法により、
1.9gの1−(N−メチルインドリル−2−カルボニ
ルアミノ)シクロヘキソイル−Pro−Arg−H・H
Cl・水和物を1−アミノシクロヘキサン−1−カルボ
ン酸から製造した。RPHPLCによる精製は不要であ
った。1 HNMR。FAB−MS・m/e538(MH+)。 元素分析:C283974・2HCl・1.5H2Oと
して計算値:C,52.75;H,6.96;N,1
5.38。実験値:C,53.11;H,7.03;
N,15.17。
【0070】実施例11 N−エチルスルホニルフェニ
ルアラニル(α−メチル)−L−プロリニル−L−アル
ギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化24】 N−EtSO2−Phe(α−Me)−Pro−Arg
−H・HCl 実施例6に記載したものと実質的に均等な方法によっ
て、0.73gのEtSO2−Phe(α−Me)−P
ro−Arg−H・HCl二水和物をEtSO2−Ph
e(α−Me)−Pro−Arg(Cbz)ラクタム
(TLC・Rf=0.66、酢酸エチル:アセトニトリ
ル4:1)から製造した。EtSO2−Phe(α−M
e)−Pro−Arg−H・HClはRPHPLC(9
8/2(A/B)から85/15(A/B)まで、18
0分)により精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e509(MH+)。 元素分析:C233665S・HCl・2H2Oとして
計算値:C,47.54;H,7.11;N,14.4
6;Cl,6.10。実験値:C,47.80;H,
6.65;N,14.23;Cl,6.67。
【0071】実施例12 N−(1−メチルインドリル
−2−カルボニル)−フェニルアラニル(α−メチル)
−L−プロリニル−L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の
製造
【化25】 N−メチルインドリル−2−カルボニル−Phe(α−
Me)−Pro−Arg−H・HCl 実施例8に記載したものと実質的に均等な方法により、
0.29gのN−メチルインドリル−2−カルボニル−
Phe(α−Me)−Pro−Arg−H・HCl・水
和物をN−メチルインドリル−2−カルボニル−Phe
(α−Me)−Pro−Arg(Cbz)ラクタム(T
LC・Rf=0.30、酢酸エチル)から製造した。N
MI−Phe(α−Me)−Pro−Arg−H・HC
l・水和物はRPHPLC(95/5(A/B)から7
0/30(A/B)まで、180分、400分まで維
持)により精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e574(MH+)。 元素分析:C313974・1.1HCl・1.5H2
Oとして計算値:C,58.10;H,6.78;N,
15.30;Cl,6.09。実験値:C,58.2
5;H,6.55;N,15.00;Cl,6.25。
【0072】実施例13 N−エトキシカルボニル−D
−フェニルアラニル(α−エチル)−L−プロリニル−
L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化26】 A)N−(ジフェニルメチレン)Phe−OMe Phe−OMe・HCl(89.3g、414ミリモ
ル)のジクロロメタン(500mL)懸濁液を撹拌しつ
つ、これにベンゾフェノンイミン(75g、414ミリ
モル)のジクロロメタン(400mL)溶液を添加し
た。16時間撹拌した後、溶液を濾過し、水で洗い、乾
燥(Na2SO4)し、真空下に濃縮した。残渣をジエチ
ルエーテルから再結晶して白色固体107g(75%収
率)を得た: 1 HNMR。FD−MS・m/e343(M+)。
【0073】B)N−(ジフェニルメチレン)Phe
(α−Et)−OMe カリウムt−ブトキシド(9g、80ミリモル)のテト
ラヒドロフラン(500mL)溶液を−78℃で撹拌し
つつ、これにN−(ジフェニルメチレン)Phe−OM
e(25g、73ミリモル)のテトラヒドロフラン(2
50mL)溶液を添加した。10分後、ヨウ化エチル
(12.5g、80ミリモル)のテトラヒドロフラン
(200mL)溶液を添加した。次に冷浴を除去し、溶
液を16時間撹拌した。溶液を次に濾過し、溶媒を真空
下に除去した。残渣をジエチルエーテルに溶解し、水で
2回、食塩水で1回洗浄し、次に乾燥(Na2SO4
し、濾過し、真空下に濃縮した。残渣をシリカゲル上で
クロマトグラフし、5%酢酸エチル:ヘキサンから10
%酢酸エチル:ヘキサンまでの段階勾配で溶出した。T
LCで判断して生成物を含む画分を集め、真空下に濃縮
して18.1g(70%収率)の濃黄色油状物を得た:1 HNMR。FD−MS・m/e371(M+)。
【0074】C)D,L−Phe(α−Et)−OMe N−(ジフェニルメチレン)−Phe(α−Et)−O
Me(17.6g、47.4ミリモル)のメタノール
(200mL)溶液を撹拌しつつ、これに5N−HCl
(15mL、75ミリモル)を添加した。3時間後、溶
媒を真空下に除去し、残渣を水に溶解し、ジエチルエー
テルで3回洗浄した。水層を次に固体のNaHCO3
pH10に調整し、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エ
チル抽出液を集め、次に乾燥(Na2SO4)し、濾過
し、真空下に濃縮して8.75g(89%収率)の透明
な無色油状物を得た:1 HNMR。FD−MS・m/e208(MH+)。
【0075】D)D,L−Phe(α−Et)−OH D,L−Phe(α−Et)−OMe(24g、116
ミリモル)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液を
撹拌しつつ、5N−NaOH(24mL、120ミリモ
ル)、続いて水(50mL)およびメタノール(50m
L)を添加し、溶液を加熱還流した。16時間後、溶液
を室温に冷却し、溶媒を真空下に除去した。残渣を水に
溶解し、ジエチルエーテルで3回洗浄した。5N−HC
lでpHを6に調整し、溶液を真空下に約50mL容ま
で濃縮した。沈殿を濾取し、水で洗浄し、乾燥して1
7.5g(78%収率)の白色固体を得た:1 HNMR。FD−MS・m/e194(MH+)。 元素分析:C1115NO2として計算値:C,68.3
7;H,7.82;N,7.25。実験値:C,68.
58;H,7.65;N,7.41。
【0076】E)EtOCO−D−Phe(α−Et)
−Pro−Arg−H・HCl 実施例5に記載したものと実質的に均等な方法によっ
て、2.65gのEtOCO−D−Phe(α−Et)
−Pro−Arg−H・HClエタノーレートをD,L
−Phe(α−Et)−OHから製造した。EtOCO
−D−Phe(α−Et)−Pro−Arg−H・HC
lエタノーレートのRPHPLCによる精製は必要がな
かった。ジアステレオマーペプチドはジペプチドエステ
ル段階(実施例5−B参照)でシリカゲルクロマトグラ
フィー(EtOCO−D−Phe(α−Et)−Pro
−OBzl;TLC・Rf=0.66、50%酢酸エチ
ル:ヘキサン)により分離した:1 HNMR。FAB−MS・m/e503(MH+)。 元素分析:C253865・1.1HCl・0.5Et
OHとして計算値:C,55.20;H,7.50;
N,14.85;Cl,6.89。実験値:C,55.
19;H,7.13;N,14.55;Cl,6.7
9。
【0077】実施例14 N−エトキシカルボニルフェ
ニルアラニル(α−エチル)−L−プロリニル−L−ア
ルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化27】 EtOCO−Phe(α−Et)−Pro−Arg−H
・HCl 実施例13に記載したものと実質的に均等な方法によ
り、2.15gのEtOCO−Phe(α−Et)−P
ro−Arg−H・HClエタノーレートをEtOCO
−Phe(α−Et)−Pro−OBzl(TLC・R
f=0.77、50%酢酸エチル:ヘキサン)から製造
した。EtOCO−Phe(α−Et)−Pro−Ar
g−H・HCl・エタノーレートのRPHPLCによる
精製は必要なかった:1 HNMR。FAB−MS・m/e503(MH+)。 元素分析:C253865・2HCl・0.5EtOH
として計算値:C,52.17;H,7.24;N,1
4.04。実験値:C,52.33;H,6.96;
N,13.99。
【0078】実施例15 N−エトキシカルボニル−D
−フェニルアラニル(α−n−プロピル)−L−プロリ
ニル−L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化28】 A)D,L−Phe(α−n−Pr)−OMe 実施例13−Aおよび13−Bに記載したものと実質的
に均等な方法により、10.1g(63%)のD,L−
Phe(α−n−Pr)−OMeをN−(ジフェニルメ
チレン)−Phe−OMeとヨウ化n−プロピルとから
製造した:1HNMR。FD−MS・m/e222(M
+)。
【0079】B)EtOCO−D,L−Phe(α−n
−Pr)−OH D,L−Phe(α−n−Pr)−OMe(9g、41
ミリモル)のテトラヒドロフラン(250mL)溶液を
0℃で撹拌しつつ、これにN,N−ジイソプロピルエチ
ルアミン(5.3g、41ミリモル)、続いてクロロギ
酸エチル(4.4g、41ミリモル)を添加した。3.
5時間後、溶媒を真空下に除去し、残渣を酢酸エチルに
溶解した。有機層を飽和NaHCO3で2回、食塩水で
1回洗浄し、次に乾燥(Na2SO4)し、濾過し、真空
下に濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(120m
L)に溶解し、この溶液を激しく撹拌しながら、これに
5N−NaOH(11mL、55ミリモル)、続いてメ
タノール(30mL)を添加した。溶液を55℃に加熱
し、48時間撹拌した。溶液を次に室温まで冷却し、溶
媒を真空下に除去した。残渣を水に溶解し、ジエチルエ
ーテルで2回洗浄した。水層を濃HClでpH3に調整
し、酢酸エチルで2回抽出した。酢酸エチル抽出液を集
め、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、真空下に濃縮して
10.3g(91%)の黄色固体を得た:1 HNMR。FD−MS・m/e279(M+)。
【0080】C)EtOCO−D−Phe(α−n−P
r)−Pro−Arg−H・HCl 実施例5−B、5−C、5−Gおよび5−Hに記載した
ものと実質的に均等な方法により、0.69gのEtO
CO−D−Phe(α−n−Pr)−Pro−Arg−
H・HClを製造した。ジアステレオマーペプチドはジ
ペプチドエステル段階(実施例5−B参照)でシリカゲ
ルクロマトグラフィー(EtOCO−D−Phe(α−
n−Pr)−Pro−OBzl;TLC・Rf=0.7
7、50%酢酸エチル:ヘキサン)により分離した。E
tOCO−D−Phe(α−n−Pr)−Pro−Ar
g−H・HClはRPHPLC(98/2(A/B)6
0分から80/20(A/B)300分まで)により精
製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e517(MH+)。 元素分析:C264065・HClとして計算値:C,
56.46;H,7.47;N,15.19。実験値:
C,56.22;H,7.41;N,15.11。
【0081】実施例16 N−エトキシカルボニルフェ
ニルアラニル(α−n−プロピル)−L−プロリニル−
L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化29】 EtOCO−Phe(α−n−Pr)−Pro−Arg
−H・HCl 実施例15に記載されたものと実質的に均等な方法によ
り、0.34gのEtOCO−Phe(α−n−Pr)
−Pro−Arg−H・HClをEtOCO−Phe
(α−n−Pr)−Pro−OBzl(TLC・Rf=
0.67、50%酢酸エチル:ヘキサン)から製造し
た。EtOCO−Phe(α−n−Pr)−Pro−A
rg−H・HClはRPHPLC(98/2(A/B)
60分から80/20(A/B)300分まで)により
精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e517(MH+)。 元素分析:C264065・HClとして計算値:C,
56.46;H,7.47;N,15.19。実験値:
C,56.75;H,7.55;N,15.47。
【0082】実施例17 N−エトキシカルボニル−D
−フェニルアラニル(α−n−ブチル)−L−プロリニ
ル−L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化30】 EtOCO−D−Phe(α−n−Bu)−Pro−A
rg−H・HCl 実施例15に記載されたものと実質的に均等な方法によ
り、2.2gのEtOCO−D−Phe(α−n−B
u)−Pro−Arg−H・HClをN−(ジフェニル
メチレン)−Phe−OMeおよびヨウ化n−ブチルか
ら出発して製造した。ジアステレオマーペプチドをジペ
プチドエステル段階で(EtOCO−D−Phe(α−
n−Bu)−Pro−OBzl。TLC・Rf=0.8
6、50%酢酸エチル:ヘキサン)シリカゲルクロマト
グラフィーにより分離(実施例5−B参照)した。Et
OCO−D−Phe(α−n−Bu)−Pro−Arg
−H・HClはRPHPLC(98/2(A/B)60
分から85/15(A/B)300分まで)により精製
した:1 HNMR。FAB−MS・m/e531(MH+)。 元素分析:C274265・HClとして計算値:C,
57.18;H,7.64;N,14.82。実験値:
C,57.32;H,7.74;N,14.95。
【0083】実施例18 N−エトキシカルボニルフェ
ニルアラニル(α−n−ブチル)−L−プロリニル−L
−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化31】 EtOCO−Phe(α−n−Bu)−Pro−Arg
−H・HCl 実施例17に記載されたものと実質的に均等な方法によ
り、1.47gのEtOCO−Phe(α−n−Bu)
−Pro−Arg−H・HClをEtOCO−Phe
(α−n−Bu)−Pro−OBzl(TLC・Rf=
0.74、50%酢酸エチル:ヘキサン)から製造し
た。EtOCO−Phe(α−n−Bu)−Pro−A
rg−H・HClはRPHPLC(98/2(A/B)
60分から85/15(A/B)300分まで)により
精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e531(MH+)。元
素分析:C274265・HClとして計算値:C,5
7.18;H,7.64;N,14.82。実験値:
C,56.92;H,7.59;N,14.76。
【0084】実施例19 N−エチルスルホニル−
(D,L)−フェニルグリシル(α−メチル)−L−プ
ロリニル−L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化32】 EtSO2−D,L−Phg(α−Me)−Pro−A
rg−H・HCl 実施例15に記載されたものと実質的に均等な方法によ
り、0.21gのEtSO2−D,L−Phg(α−M
e)−Pro−Arg−H・HCl水和物をD,L−P
hg−OMe・HClから出発し、EtOCOClの代
わりにEtSO2Clを、ヨウ化n−プロピルの代わり
にCH3Iを用いて製造した。EtSO2−D,L−Ph
g(α−Me)−Pro−Arg−H・HCl・水和物
はRPHPLC(98/2(A/B)30分から80/
20(A/B)240分まで)によって精製した。この
合成経路の間ではジアステレオマーを分離できなかった
ので、生成物は異性体混合物として製造し、検定した:1 HNMR。FAB−MS・m/e495(MH+)。 元素分析:C223465S・1.2HCl・H2Oと
して計算値:C,47.49;H,6.74;N,1
5.10。実験値:C,47.50;H,6.44;
N,14.91。
【0085】実施例20 N−エトキシカルボニルグリ
シニル(α,α−ジ−n−ブチル)−L−プロリニル−
L−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化33】 EtOCO−Gly(α,α−ジ−n−Bu)−Pro
−Arg−H・HCl 実施例15に記載されたものと実質的に均等な方法によ
り、1.4gのEtOCO−Gly(α,α−ジ−n−
Bu)−Pro−Arg−H・HCl水和物をN−(ジ
フェニルメチレン)Gly−OEtおよびヨウ化n−ブ
チル2当量から出発して製造した。中間体EtOCO−
Gly(α,α−ジ−n−Bu)−Pro−Arg(C
bz)ラクタムの還元は還元剤として水素化アルミニウ
ムリチウムを−78℃で用いること以外は実施例5−G
に記載されたものと同様な方法によって行った。EtO
CO−Gly(α,α−ジ−n−Bu)−Pro−Ar
g−H・HCl水和物はRPHPLC(98/2(A/
B)60分から80/20(A/B)320分まで)に
より精製した:1 HNMR。FAB−MS・m/e497(MH+)。 元素分析:C244465・1.2HCl・H2Oとし
て計算値:C,51.62;H,8.52;N,15.
05;Cl,7.62。実験値:C,51.82;H,
7.91;N,14.69;Cl,7.75。
【0086】実施例21 N−メチルスルホニル−D−
フェニルアラニル(α−メチル)−L−プロリニル−L
−アルギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化34】 MeSO2−D−Phe(α−Me)−Pro−Arg
−H・HCl 実施例6に記載されたものと実質的に均等な方法によ
り、0.16gのMeSO2−D−Phe(α−Me)
−Pro−Arg−H・HCl水和物をEtSO2Cl
の代わりにMeSO2Clを用いて製造した。ジアステ
レオマーペプチドはトリペプチドアルギニンアルデヒド
段階でRPHPLC(98/2(A/B)80分から8
5/15(A/B)320分まで)により分離した。立
体化学は実施例21および実施例22のトロンビン阻害
活性に基づいて暫定的に決めた:1 HNMR。FAB−MS・m/e495(MH+)。 元素分析:C223465S・1.1HCl・H2Oと
して計算値:C,47.81;H,6.77;N,1
5.20;Cl,7.06。実験値:C,47.73;
H,6.45;N,15.25;Cl,7.12。
【0087】実施例22 N−メチルスルホニルフェニ
ルアラニル(α−メチル)−L−プロリニル−L−アル
ギニンアルデヒド塩酸塩の製造
【化35】 MeSO2−Phe(α−Me)−Pro−Arg−H
・HCl 実施例6に記載されたものと実質的に均等な方法によ
り、0.16gのMeSO2−Phe(α−Me)−P
ro−Arg−H・HCl水和物をEtSO2Clの代
わりにMeSO2Clを用いて製造した。ジアステレオ
マーペプチドはトリペプチドアルギニンアルデヒド段階
でRPHPLC(98/2(A/B)80分から85/
15(A/B)320分まで)により分離した。立体化
学は実施例21および実施例22のトロンビン阻害活性
に基づいて暫定的に決めた:1 HNMR。FAB−MS・m/e495(MH+)。元
素分析:C223465S・1.1HCl・H2Oとし
て計算値:C,47.81;H,6.77;N,15.
20;Cl,7.06。実験値:C,47.81;H,
6.38;N,14.96;Cl,7.06。
【製剤】
【0088】本発明の化合物は自然の体内血栓分解能力
を有意に妨害することなしに(本化合物は繊維素溶解に
は低い阻害効果を持つ)血液凝固に関する他のプロテイ
ナーゼおよび非酵素蛋白質と比べてトロンビンを選択的
に阻害するするものと信じられる。さらに、この選択性
は血栓溶解および繊維素溶解の実質的な妨害なしに血栓
溶解剤の使用を可能にするものと信じられる。本発明の
側面の一つにおいてはこの処置を必要とする哺乳類に有
効(トロンビン阻害)用量の式Iで示される化合物を投
与することを含む哺乳類のトロンビンを阻害する方法を
提供する。他の側面では、本発明はこの処置を必要とす
る哺乳類に有効(血栓塞栓症治療および/または予防
量)用量の式Iで示される化合物を投与することを含む
哺乳類の血栓塞栓症を処置する方法を提供する。他の側
面では、本発明は処置を必要とする哺乳類に有効(凝固
阻害)用量の式Iで示される化合物を投与することを含
む哺乳類の血液凝固を阻害する方法を提供する。本発明
の方法が意図する血栓阻害、凝固阻害および血栓塞栓症
処置は適切であれば医学的な治療および/または予防的
な処置の双方を含む。
【0089】別の側面では、本発明はヒトまたは動物に
おいて、トロンビンの阻害を必要とする状況の処置に関
する。本発明の化合物はヒトを含む動物において血液お
よび組織内の血栓症および過凝固の処置または予防にお
いて有用であることが期待される。本化合物が潜在的な
有用性を持つ疾患は血液および組織における血栓症およ
び過凝固の処置または予防にある。本化合物が処置およ
び/または予防において潜在的な有用性を持つ疾患は、
静脈血栓症および肺塞栓症、心筋虚血症のような動脈血
栓症、心筋梗塞症、不安定狭心症、血栓症由来の発作お
よび末梢性動脈血栓症を含む。さらに、本化合物には冠
動脈疾患、脳動脈疾患および末梢性動脈疾患のような動
脈硬化症の予防に有用性が期待される。さらに、本化合
物には心筋梗塞における血栓溶解にも有用性が期待され
ている。さらに、本化合物には血栓溶解、経皮管腔間血
管形成術(PTCA)および冠バイパス手術後の再閉塞
への処置または予防における有用性が期待されている。
さらにマイクロ外科手術後の再血栓症の予防に有用性が
期待される。さらに、本化合物には人工の臓器および心
臓弁に関する抗凝固処置に有用性が期待される。さら
に、本化合物には血液透析および播種性静脈内凝固にお
ける抗凝固処置に有用性が期待される。さらに別の期待
される有用性はカテーテルおよび患者の生体内で使用さ
れる機械装置の洗浄において、および血液、血漿および
他の血液製剤に対する生体外抗凝固剤として有用性が期
待される。さらに、本化合物は転移を含む癌、関節炎お
よび糖尿病を含む炎症性疾患のような血液凝固が基本的
な寄与過程であるか、第二次病理の原因であろう疾患ま
たは障害において有用性が期待される。本抗凝固化合物
は経口的にまたは非経口的、たとえば静脈内点滴(i
v)、筋肉内注射(im)または皮下に(sc)に、投
与される。
【0090】治療的および/または予防的な効果を得る
ためにこの発明により投与される化合物の具体的用量は
勿論、例えば、投与される化合物、投与速度、投与経路
および処置される症状を含む、症例をめぐる個々の状況
により決定される。前記有用性の各々のための典型的な
日用量は約0.01mg/kgと約1000mg/kg
との間である。用量範囲は、たとえば予防的な使用では
変化しうるし、毎日1回で投与しうるし、毎日3または
5回のような多回用量も適当でありうる。特殊な状況で
は、本発明の化合物は約0.01mg/kg/時と約2
0mg/kg/時との間の速度、好ましくは約0.1m
g/kg/時と約5mg/kg/時との間の速度のiv
点滴で投与される。また、本発明の方法は血栓溶解剤、
たとえば組織プラスミノーゲンアクティベータ(t−P
A)、修飾t−PA、ストレプトキナーゼまたはウロキ
ナーゼとともに実用される。血塊の形成が起き、動脈ま
たは静脈が部分的または完全に閉鎖された時には通常血
栓分解剤を用いる。本発明の化合物はこの溶解剤の前ま
たは同時に、またはその使用後に投与され、好ましく
は、さらに血栓形成の再発を予防するためにアスピリン
と共に投与される。また、本発明の方法は血小板凝集を
阻止する血小板グリコプロテイン受容体(IIb/II
Ia)拮抗剤とともに実用される。本発明の化合物は
(IIb/IIIa)拮抗剤の前または同時に、または
その使用後に血塊の発生または再発を予防するために投
与することができる。本発明の方法はアスピリンととも
に実用される。本発明の化合物はアスピリンの投与前ま
たは同時に、またはその使用後に血栓発生または再発を
予防するために投与することができる。前記のように、
好ましくは本発明の化合物は血栓溶解剤およびアスピリ
ンとともに投与される。
【0091】この発明は前記治療方法における使用のた
めの医薬的製剤も提供する。本発明の医薬的製剤は式I
で示される化合物のトロンビン阻害有効量を医薬的に許
容しうる担体、添加剤または希釈剤とともに含む。経口
投与のためには抗血栓症化合物はゼラチンカプセル剤ま
たは結合剤、滑沢剤などのような添加剤を含みうる錠剤
に製剤化される。非経口的投与のためには抗血栓症剤
は、たとえば生理学的食塩水(0.9%)、5%デキス
トロース、リンゲル液などのような医薬的に許容しうる
希釈剤中に製剤化される。本発明の化合物は約0.1m
gと約1000mgとの間の用量を含む単位用量製剤と
して製剤化することができる。本化合物は、例えば硫酸
塩、酢酸塩または燐酸塩のような、医薬的に許容しうる
塩の型であるのが好ましい。単位用量製剤の一例は5m
gの本発明の化合物を医薬的に許容しうる塩として10
mLの無菌ガラスアンプル内に含む。単位用量製剤の他
の例は等張食塩水20mLを医薬的に許容しうる塩とし
ての本発明の化合物10mgを無菌アンプル内に含む。
本発明の化合物は経口、経直腸、経皮、皮下、静脈内、
筋肉内および鼻内を含む種々の経路で投与することがで
きる。本発明の化合物は好ましくは投与前に製剤化する
ことができる。本発明の別の態様は式Iで示される化合
物またはその医薬的に許容しうる塩または溶媒和物の有
効量を医薬的に許容しうる担体、希釈剤または添加剤と
共に含む医薬的製剤である。
【0092】そのような製剤における活性成分はその製
剤で重量比0.1%から99.9%を占める。「医薬的
に許容しうる」とは、担体、希釈剤または添加剤がその
製剤の他の成分に適合し、その処方に対して有害ではな
いことを意味する。本発明の医薬的製剤は周知の容易に
入手しうる添加剤を用いて公知の操作により製造され
る。この発明の組成物は患者に対して投与後に活性成分
の迅速的、持続的または遅延的な放出をもたらすように
当業界で周知の操作を採用して製剤化しうる。本発明の
組成物を造るに当り、活性成分は通常、担体と混合する
か、担体で希釈するか、またはカプセル、分包包装、紙
または他の容器の形でありうる担体内に封入されよう。
担体が希釈剤の役目をする時、これは固体、半−固体ま
たは液体物質でありうるが、これは活性成分のための基
剤、添加剤または媒体として作用する。そこで、本組成
物は錠剤、丸剤、粉末剤、ロゼンジ剤、オブラート剤、
分包包装剤、エリキシール剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シ
ラップ剤、エアロゾル剤(固体としてまたは液体媒体
中)、軟および硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射
液剤、無菌包装粉末などのような形であることができ
る。
【製剤例】
【0093】以下の製剤例は説明であって、如何なる意
味でも本発明の範囲を限定することを意図するものでは
ない。「活性成分」は、もちろん、式Iで示される化合
物またはその医薬的に許容しうる塩または溶媒和物を意
味する。製剤例1 下記成分を用いて硬ゼラチンカプセルを製造
する:量(mg/カプセル) 活性成分 250 乾燥澱粉 200 ステアリン酸マグネシウム 10 合計 460mg
【0094】製剤例2 下記成分を用いて錠剤を製造す
る:量(mg/カプセル) 活性成分 250 微結晶セルロース 400 二酸化ケイ素 10 ステアリン酸 合計 665mg 各成分を混合、打錠して665mg重の錠剤を造る。
【0095】製剤例3 下記成分を含むエアロゾル液剤
を製造する: 活性化合物をエタノールと混合し、混合物をプロペラン
ト22の一部に加え、−30℃に冷却し、充填器に移
す。次に所要量をステンレス鋼容器に充填し、残りのプ
ロペラントで希釈する。次にバルブ部品を容器に取付け
る。
【0096】製剤例4 活性成分60mgを含む錠剤を
以下のようにして製造する: 活性成分 60 mg 澱粉 45 mg 微結晶セルロース 35 mg ポリビニルピロリドン 4 mg (10%水溶液として) ナトリウムカルボキシメチル澱粉 4.5mg ステアリン酸マグネシウム 0.5mg タルク 1 mg 合計 150 mg 活性成分、澱粉およびセルロースを米局方45番篩で篩
過し、よく混合する。ポリビニルピロリドン含有水溶液
を得られた粉末と混合し、次に混合物を米局方14番篩
で篩過する。得られる顆粒を50℃で乾燥し、米局方1
8番篩で篩過する。次にあらかじめ米局方60番篩で篩
過しておいたナトリウムカルボキシメチル澱粉、ステア
リン酸マグネシウムおよびタルクを顆粒に加え、混合
後、打錠機で打錠して各150mg重の錠剤を得る。
【0097】製剤例5 活性成分80mgを含むカプセ
ル剤を以下のようにして製造する: 活性成分 80 mg 澱粉 59 mg 微結晶セルロース 59 mg ステアリン酸マグネシウム 2 mg 合計 200 mg 活性成分、セルロース、澱粉およびステアリン酸マグネ
シウムを混合し、米局方45番篩を通し、200mg量
を硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0098】製剤例6 活性成分225mgを含む坐剤
を以下のようにして製造する: 活性成分 225 mg 飽和脂肪酸グリセリド 2000 mg 合計 2225 mg 活性成分を米局方60番篩で篩過し、予め必要最小限の
熱量を用いて融解しておいた飽和脂肪酸グリセリドに懸
濁する。次に混合物を2g容の坐剤金型に注入し、放冷
する。
【0099】製剤例7 5mL用量当り活性成分50m
gを含む懸濁剤を次のようにして製造する: 活性成分 50mg ナトリウムカルボキシメチルセルロース 50mg シロップ 1.25mL 安息香酸液 0.10mL 矯味剤 適量 着色剤 適量 精製水を加えて合計 5 mL 活性成分を米局方45番篩で篩過し、ナトリウムカルボ
キシメチルセルロースおよびシラップと混合して軟らか
いペーストとする。安息香酸液、矯味剤および着色剤を
水の一部で希釈し、撹拌しながら添加する。次に十分量
の水を加え、所定容量とする。
【0100】製剤例8 静脈内製剤を以下のようにして
製造しうる: 活性成分 100 mg 等張食塩水 1000 mL 前記成分の溶液を一般的に毎分1mLの速度で対象の静
脈内に投与する。
【作用】
【0101】本発明によって提供される化合物(式I)
は哺乳類におけるトロンビンの作用を選択的に阻害す
る。本発明の化合物が有効で、経口的に活性なトロンビ
ン阻害剤であることの性能は、次の検定1種またはそれ
以上で評価される。トロンビンの阻害は発色原基質であ
るN−ベンゾイルーL−フェニルアラニル−L−バリル
−L−アルギニル−p−ニトロアニリド(N−ベンゾイ
ルーL−Phe−L−Val−L−Arg−p−ニトロ
アニリド)をトロンビンに加水分解させて検定法で測定
されるトロンビンのアミダーゼ活性の試験管内阻害によ
り証明される。この検定は次のように実施する:50μ
Lの緩衝液(0.03M−トリス、0.15M−NaC
l、pH7.4)、25μLのヒトのトロンビン液(精
製ヒトトロンビン、Enzyme・Research・
Laboratories、South・Bend、イ
ンディアナ。8NIH単位/mL)および25μLの被
検化合物溶液(50%メタノール中、v/v)を混合す
る。次に150μLの発色原基質の水溶液(0.25m
g/mL)を添加し、基質の加水分解速度をp−ニトロ
アニリンの放出による405nmの反応を監視して測定
する。標準曲線を遊離トロンビン濃度を加水分解速度に
対してプロットすることにより作成する。次に各検定で
テスト化合物について観測された加水分解速度を標準曲
線を用いて「遊離トロンビン」値に変換する。結合トロ
ンビン(テスト化合物に結合したもの)は各検定で観測
された遊離トロンビンの量を各検定で用いたトロンビン
の初期値から差引くことによって算出する。各検定にお
ける遊離の阻害剤の量は結合トロンビンのモル数を添加
した阻害剤(テスト化合物)のモル数から差引くことに
よって算出する。Kass値はトロンビンとテスト化合
物(I)との間の反応のための仮の平衡定数である。
【数1】トロンビン + I ⇔ トロンビン−I Kass=[トロンビン−I]÷[(トロンビン)×
(I)] Kass値をテスト化合物の全濃度範囲について算出
し、平均値をモル当りリットルの単位で報告する。
【0102】ヒトのトロンビンについて前記した操作に
実質的に従い、ヒトの他の血液凝固系セリンプロテアー
ゼを用い、フィブリン溶解系セリンプロテアーゼを用い
て、下記の適当な発色原基質について、本発明の化合物
の凝固因子セリンプロテアーゼおよびフィブリン溶解性
セリンプロテアーゼに関する選択性ならびにそれらがヒ
ト血漿血塊のフィブリノリシス阻害が実質的に存在しな
いことを評価する。ヒトのX、Xa、IXa、XIaお
よびXIIa因子はEnzyme・Research・
Laboratories、サウスベンド、インディア
ナから、ヒトのウロキナーゼはLeo・Pharmac
euticals、デンマークから購入し、組換え活性
化C蛋白(aPC)はイーライ・リリー社で実質的に米
国特許第4981952号に従って製造する。発色原基
質:N−ベンゾイル−Ile−Glu−Gly−Arg
−p−ニトロアニリド(Xa因子用)、N−Cbz−D
−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(Xa
因子の基質としてIXa因子検定用)、ピログルタミル
−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(XIa因子用
およびaPC用)、H−D−Pro−Phe−Arg−
p−ニトロアニリド(XIIa因子用)およびピログル
タミル−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(ウロキ
ナーゼ用)はKabi・Vitrum、ストックホル
ム、スゥエーデンまたはMidwest・Biotec
h,Fishers、インディアナから購入する。牛ト
リプシンはWorthington・Biochemi
cals、フリーホルド、ニュージャージーから、ヒト
の血漿カリクレインはKabi・Vitrum、ストッ
クホルム、スゥエーデンから購入する。血漿カリクレイ
ン用の発色原基質H−D−Pro−Phe−Arg−p
−ニトロアニリドはKabi・Vitrum、ストック
ホルム、スゥエーデンから購入する。ヒトのトロンビン
用およびトリプシン用の基質N−ベンゾイル−Phe−
Val−Arg−p−ニトロアニリドは本発明の化合物
のために前記した操作に従って既知のペプチド結合法を
用いて商業的に入手可能な反応剤から合成したか、また
はMidwest・Biotech,Fishers、
インディアナから購入する。
【0103】ヒトのプラスミンはBoehringer
・Mannheim、インディアナポリス、インディア
ナから購入し、nt−PAは単鎖活性対照物としてAm
erican・Diagnostica、グリニッチ、
コネチカットから購入し、修飾−t−PA6(mt−P
A6)はイ−ライ・リリー社で公知方法(Burckな
ど、J.Biol.Chem.、265巻、5120〜
5177頁(1990年)の操作により製造する。プラ
スミンの発色原基質H−D−Val−Leu−Lys−
p−ニトロアニリドおよび組織プラスミノーゲン活性化
因子(t−PA)基質H−D−Ile−Pro−Arg
−p−ニトロアニリドはKabi・Vitrum、スト
ックホルム、スゥエーデンから購入する。前記の発色原
基質で、3字の略号、Ile、Glu、Gly、Pr
o、Arg、Phe、Val、LeuおよびLysは対
応するアミノ酸基イソロイシン、グルタミン酸、グリシ
ン、プロリン、アルギニン、フェニルアラニン、バリ
ン、ロイシンおよびリジンのそれぞれを示すために用い
る。次の表Iは式Iで示される指定した化合物で得られ
たKass値を表示する。
【表1】 Kass(L/モル × 106 実施例No. ヒトトロンビン Xa トリプシン プラスミン t−PA 1 79 0.06 29 0.55 0.02 2 12 0.13 14 0.31 0.0034 3 350 0.27 43 0.77 0.0045 4 75 0.12 17 0.17 0.0028 5 75 0.044 2.4 0.059 0.00079 6 24 0.11 20 0.31 0.051 7 5.0 0.025 1.7 0.020 0.00072 8 25 0.013 1.3 0.0083 0.0022 9 3.2 0.036 0.42 0.010 0.00034 10 5.7 0.024 0.45 0.0071 0.0011 11 0.6 0.027 1.7 0.056 0.007 12 2.8 0.002 0.18 0.001 0.009 13 57 0.036 4.9 0.12 0.002 14 6.5 0.078 4.7 0.058 0.001 15 47 0.030 4.9 0.12 <0.001 16 38 0.077 7.3 0.074 <0.001 17 66 0.095 21 0.066 <0.001 18 47 0.088 15 0.13 0.001 19 430 0.49 42 1.2 0.023 20 24 0.22 38 0.24 0.010 21 31 0.23 28 0.56 0.027 22 2.1 0.033 1.4 0.031 0.0023
【0104】トロンビン阻害剤は好ましくはウロキナー
ゼ、組織プラスミノーゲンアクティベータ(t−PA)
およびストレプトキナーゼにより誘発されるフィブリノ
シスを温存すべきである。これはストレプトキナーゼ、
t−PAまたはウロキナーゼ血栓溶解療法に対する補佐
剤としてのこれらの薬剤の治療的使用に対しておよび内
因性フィブリン溶解性−温存(t−PAおよびウロキナ
ーゼに関して)抗血栓症剤としてのこれらの薬剤の使用
に対して重要であろう。フィブリン溶解性プロテアーゼ
のアミダーゼ活性に関する阻害の欠如に加え、このよう
なフィブリン溶解系の温存は、各フィブリン分解性プラ
スミノーゲン活性化剤によるヒトの血漿血塊およびそれ
らの分解を使用して研究することができる。
【0105】材料 犬の血漿は無麻酔雑種犬(両性、Hazelton−L
RE、カラマズー、ミシガン、米国)から静脈穿刺によ
り採取し、3.8%クエン酸塩に入れる。フィブリノー
ゲンは新鮮犬血漿から調製し、ヒトのフィブリノーゲン
はイン−デートACDヒト血液の画分I−2から公知操
作および指示書に従って調整する。Smith、Bio
chem.J.、185巻、1〜11頁(1980年)
およびSmithなど、Biochemistry、1
1巻、2958〜2967頁(1972年)。ヒトのフ
ィブリノーゲン(98%純/プラスミン不含)はAme
rican・Diagnostica、グリニッチ、コ
ネチカットからのものである。フィブリノーゲンI−2
製品の放射能標識は以前に報告されたようにして行う。
Smithなど、Biochemistry、11巻、
2958〜2967頁(1972年)。ウロキナーゼは
Leo・Pharmaceuticals、デンマーク
から2200プラウ単位/バイアルを購入する。ストレ
プトキナーゼはHoechst−Roussel・Ph
armaceuticals、ソマービル、ニュージャ
ージーから購入する。
【0106】方法−t−PAによるヒト血漿血塊の分解に対する効果 ヒトの血漿血塊はマイクロ試験管内で50μLトロンビ
ン(73NIH単位/mL)を0.0229uCi−1
25ヨード標識フィブリノーゲンを含むヒトの血漿(1
00μL)に加えて形成する。血塊分解は血塊に50μ
Lのウロキナーゼまたはストレプトキナーゼ(50、1
00または1000単位/mL)で重積し、室温で20
時間インキュベートすることによって研究する。インキ
ュベーション後、試験管をBeckman・Micro
fuge内で遠心分離する。25μLの上清液を1.0
mL容の0.03M−トリス/0.15M−NaCl緩
衝液に添加し、ガンマ計数を行う。計数対照である10
0%分解はトロンビン(および置換すべき緩衝液)を除
外することによって得る。トロンビン阻害剤である化合
物を1、5および10μg/mLの濃度で重積溶液中に
入れて予想されるフィブリン分解の阻害について評価す
る。概略のIC50値の近似値はフィブリン分解剤の指定
濃度で50%分解を表すであろう値のデータ値から直線
的外挿により予測する。
【0107】抗凝固活性 物質 犬血漿およびラット血漿は無麻酔雑種犬(両性、Haz
elton−LRE、カラマゾー、ミシガン、米国)ま
たは麻酔したSprague−Dawleyラット(H
arlan・Sprague−Dawley社、インデ
ィアナポリス、インディアナ、米国)から静脈穿刺によ
り採取し、3.8%クエン酸塩に入れる。フィブリノー
ゲンはインデートACDヒト血液の画分I−2から公知
操作および指示書に従って調製する。Smith、Bi
ochem.J.、185巻、1〜11頁(1980
年)およびSmithなど、Biochemistr
y、11巻、2958〜2967頁(1972年)。ヒ
トのフィブリノーゲンは(98%純/プラスミン不含品
として)はAmerican・Diagnostic
a、グリニッチ、コネチカットから購入する。凝固剤で
あるACTIN、トロンボプラスチンおよびヒトの血漿
はBaxter・Healthcare社、Dade・
Division、マイアミ、フロリダからのものであ
る。Parke−Davis(Ann・Arbor.ミ
シガン)からの牛トロンビンを血漿中の凝固検定法のた
めに用いる。
【0108】方法 抗凝固測定 凝固検定操作は前記の通りである。Smithなど、T
hrombosis・Research、50巻、16
3〜174頁(1988年)。全ての凝固検定測定には
CoAScreener凝固装置(American・
LABor社)を用いる。プロトロンビン時間(PT)
は0.05mLの食塩水と0.05mLのトロンボプラ
スチン−C試薬とを被検血漿0.05mLに添加して測
定する。活性化した部分トロンボプラスチン時間(AP
TT)は0.05mLの被検血漿を0.05mLのアク
チン試薬と120秒間インキュベートし、続いて0.0
5mLのCaCl2(0.02M)を添加することのよ
って測定する。トロンビン時間(TT)は0.05mL
の食塩水と0.05mLのトロンビン(10NIH単位
/mL)とを0.05mLの被検血漿に添加することに
よって測定する。式Iで示される化合物を広範囲の濃度
にわたってヒトまたは動物の血漿に添加してAPTT、
PTおよびTT検定について延長効果を測定する。直線
的外挿を行って各検定で凝固時間を倍加するに必要な濃
度を予測する。
【表2】 動物 雄性のSprague−Dawleyラット(350〜
425g、Harlan・Sprague−Dawle
y社、インディアナポリス、IN)をキシラジン(20
mg/kg、皮下)とケタミン(120mg/kg、皮
下)とで麻酔し、温水ブランケット(37℃)に固定し
た。頚動脈血管にカニューレを点滴用に挿入した。
【0109】動静脈シャントモデル 左頚静脈および右頚動脈に20cm長のポリエチレンP
R60チュービングのカニューレを挿入した。内腔内に
綿糸(5cm)を持つ大きい管(PE190)の6cm
中央断面を長断面間に摩擦固定して動静脈シャント回路
を完成した。血液をシャント内に15分間にわたって循
環した後に、糸を注意深く取出して秤量した。濡れた糸
の重量を糸と血栓の合計重量から差引いた(J.R.S
mith、Br.J.Pharmacol.、77巻:
29頁、1982年参照)。
【0110】動脈損傷のFeCl3モデル 頚動脈を中心線腹側頚管切開により隔離する。各動脈の
下に熱電対を置き、血管温度を帯チャート記録紙上に連
続的に記録する。チューブのカフ(0.058ID×
0.077OD×4mm、Baxter医術級シリコ
ン)を長軸方向に切断し、頚動脈の周りの熱電対の直上
に置く。FeCl36水和物を水に溶かし、濃度(20
%)をFeCl3のみの実際の重量で表示する。動脈を
損傷して血栓症を誘発するために、カフに2.85μL
をピペットで入れて、熱電対プローブ上の動脈を潜らせ
る。動脈閉塞は迅速な温度低下で示される。閉塞までの
時間を分単位で示し、FeCl3の添加と血管温度の迅
速な温度低下との間の経過時間を表す(K.D.Kur
z、Thromb.Res.、60巻:269頁、19
90年参照)。
【0111】突発性血栓分解モデル 試験管内データはペプチドトロンビン阻害剤がトロンビ
ンを阻害するが、高濃度ではプラスミンおよび組織プラ
スミノーゲンアクティベータのような他のセリン・プロ
テアーゼも阻害するかもしれないことを示唆する。これ
らの化合物が生体内でフィブリノリシスも阻害するかど
うかを評価するため、突発性トロンボリシスの速度を肺
循環に標識全血血塊を移植することにより、測定する。
ラット血液(1mL)をウシトロンビン(4IU、Pa
rke・Davis)および125I−ヒトフィブリノー
ゲン(5μCi、ICN)と迅速に混合し、直ちにシリ
コン処理管に取り、37℃で1時間インキュベートす
る。熟成した血栓を管から取出し、切断して1cm断片
とし、ノルマル食塩水で3回洗浄し、各断片をガンマ計
数管でカウントする。カウント数の判った断片をカテー
テル内に吸引し、これを続いて頚静脈に移植する。カテ
ーテルのチップを右心房の近くまで進め、血塊を浮かせ
て肺循環内に入れる。移植1時間後、心臓および肺臓を
取出し、別々にカウントする。血栓溶解を次の百分率で
表示する:
【数2】%トロンボリシス=[(注入cpm−肺臓cp
m)]÷ (注入cpm)×100 移植した血塊のフィブリノリシス溶解は時間依存的に発
生する(J.P.Clozel、Cardiovas.
Pharmacol.、12巻:520頁、1988年
参照)。
【0112】凝固パラメータ 血漿トロンビン時間(TT)および活性化部分トロンボ
プラスチン時間(APTT)をフィブロメータで測定す
る。血液を頚静脈カテーテルから採取し、クエン酸ナト
リウム(3.8%、血液9部に対して1部)を含む注射
筒に集める。TTを測定するために、ラットプラズマ
(0.1mL)を食塩水(0.1mL)およびウシのト
ロンビン(0.1mL、30U/mLトリス緩衝液、P
arke・Davis)と37℃で混合する。APTT
については、血漿(0.1mL)およびAPTT溶液
(0.1mL、Organon・Teknika)を5
分間(37℃)でインキュベートし、CaCl2(0.
1mL、0.025M)を加えて凝固を開始させる。検
定を2回行い、平均する。
【0113】生物学的利用能指数 TTの増加が親化合物によるトロンビン阻害のみに由来
するとの仮定に基づき、生物学的活性の一つである血漿
トロンビン時間(TT)を親化合物の測定の代わりに用
いる。該トロンビン阻害剤のTTに対する効果の時間的
経過を麻酔ラットへのi.v.迅速投与後および絶食無
麻酔ラットへの経口投与後に測定する。血液量および処
置時間から前処置反応値に戻るまでの時間経過を測定す
るのに要する測定点の制限のため、2集団のラットを用
いる。各標本集団は交代に順番で各時点を表す。時間経
過の平均TTを用いて曲線下面積(AUC)を算出す
る。生物学的利用能指数は次式により算出し、相対的活
性百分率として表示する。血漿TT時間経過の曲線下面
積(AUC)を測定し、用量について補正する。この生
物学的利用能を「%相対的活性」と命名し、次のように
して算出する
【数3】%相対的活性=(AUCpo÷AUCiv)×
(用量iv÷用量po)×100
【0114】化合物 化合物溶液は毎日新しくノルマル食塩水中に調製し、単
回注射するか、または実験摂動の15分前から始め、こ
れを通して継続的に点滴する。実験摂動は動静脈シャン
トモデルでは15分間、動脈損傷のFeCl3モデルお
よび突発性血栓溶解モデルでは60分間である。単回注
射用量はi.v.では1mL/kgおよび経口投与では
5mL/kgであり、点滴容量は3mL/時間である。
【0115】統計学 結果を平均値±SEMで表す。偏差の統計的有意差を検
出するために一元解析法を用い、次にDunnett検
定を応用してどの平均値に差があるか検出する。等平均
値の帰無仮説を否定する有意差水準はP<0.05であ
る。
【0116】動物 雄性犬(ビーグル、18月齢〜2年、12〜13kg、
Marshall・Farms、ノースローズ、ニュー
ヨーク14516)を一夜絶食し、ピュリナ保証処方食
餌(Purina・Mills、セントルイス、ミズー
リ)を薬物投与240分前に給餌する。水は自由摂取さ
せる。部屋は温度66〜74°F、相対湿度45〜50
%に維持、0600〜1800時まで照明する。
【0117】薬動力学的モデル 被検化合物を投与直前に無菌0.9%食塩水に溶解して
5mg/mL剤とする。犬に被検化合物2mg/kg用
量を経口投与により単回投与する。投与から0.25、
0.5、0.75、1、2、3、4および6時間後に血
液標本(4.5mL)を脳静脈から採取する。標本はク
エン酸化減圧式注射器内に入れ、氷上に保存し、遠心分
離して血漿を得る。血漿標本をジニトロフェニルヒドラ
ジン誘導体とし、HPLC(Zorbax・SB−C8
カラム)により、燐酸でpH7に調整したメタノール/
500mM−酢酸ナトリウム(60:40、v/v)で
溶出する。被検化合物の血漿内濃度を記録し、薬動力学
的パラメータである離脱速度定数Ke、全クリアランス
Clt、分配容積VD、血漿被検化合物最大濃度到達時
間Tmax、血漿被検化合物最大濃度時間Tmaxにお
ける濃度Cmax、血漿中半減期t0.5、曲線下面積
AUCおよび被検化合物吸収率Fを算出するために用い
る。
【0118】イヌ冠状動脈血栓症モデル イヌの外科手術および装置はJacksonなど、Ci
rculation、82巻、930〜940頁(19
90年)に記載の通り。雑種イヌ(6〜7月齢、両性、
Hazelton−LRE、カラマズー、MI、米国)
をペントバルビタールナトリウム(30mg/kg、静
脈内、i.v.)で麻酔し、挿管し、室の空気は循環す
る。呼吸容積と呼吸数を調整して血液PO2、PCO2
よびpHを正常限界内に維持する。第II誘導ECGを
記録するために皮下針状電極を挿入する。左頚静脈およ
び頚動脈を左中外側頚切開により隔離する。動脈血圧
(ABP)を頚動脈に挿入した補正済みMillarト
ランスデューサ(MPC−500型、Millar・I
nstruments、ヒューストン、Tx、米国)で
連続的に測定する。頚静脈にカニューレして実験中に血
液標本を採取する。さらに、両後肢の大腿静脈にもカニ
ューレして被検化合物を投与する。第5肋間腔で左開胸
術を行い、心臓を心臓周囲クラドルに懸垂する。左旋回
枝冠動脈(LCX)を第一主斜行心室間分枝近くで1〜
2cm断片を隔離する。26ゲージ針装着電線陽電極
(テフロン被覆、30ゲージ銀メッキ銅線)3〜4cm
長をLCXに挿入し、動脈内膜表面に接触させて(実験
の終りに確認する)設置する。陰極を皮下(s.c.)
部位に設置して刺激回路を完成する。可変プラスチック
閉塞器をLCX周囲で電極の部分上に設置する。補正済
み電磁流プローブ(Carolina・Medical
・Electronics、King、NC、米国)を
冠血流(CBF)の測定のために陽極の近くでLCXの
辺に設置する。閉塞器をLCXの機械的閉塞10秒後に
観測される充血性血流反応の40〜50%阻害を実現す
るように調整する。すべての血流力学およびECG測定
を記録しデータ処理系(M3000型、Modular
・Instruments、マルバーン、PA、米国)
で解析する。
【0119】血栓形成および化合物投与法 100μAの直流(DC)を陽極に流してLCXの最内
部に電気分解的損傷を作製する。電流を60分間維持し
た後に止めて、管が閉塞しているかどうか観察する。血
栓形成はLCXが完全に閉塞する(CBFゼロおよびS
−T部分の増加として検出する)まで自然に進行させ
る。閉塞血栓形成1時間後に化合物投与を開始する。本
発明の化合物0.5および1mg/kg/時の2時間点
滴を血栓症剤(たとえば、組織プラスミノーゲンアクテ
ィベータ、ストレプトキナーゼ、APSAC)の点滴と
同時に開始する。被検化合物の投与3時間後に再潅流を
行う。血栓溶解成功後に30分間以上持続するCBFゼ
ロを冠状動脈の再閉塞と定義する。
【0120】血液学およびテンプレート出血時間の測定 全血細胞数、ヘモグロビンおよびヘマトクリット値はク
エン酸塩化(3.8%)血液(クエン酸塩1部、血液9
部)標本40μLを血液分析器(Cell−Dyn・9
00、Sequoia−Turner、モントビュー、
CA、米国)を用いて測定する。歯肉テンプレート出血
時間をSimplate・II・bleding・ti
me・装置(Organon・Teknika・ダーラ
ム、NC、米国)を用いて測定する。この装置を用いて
イヌの左顎の上または下顎どちらかに歯肉に水平な2個
の切開をする。各切開は3mm幅×2mm深さである。
切開し、ストップウオッチを用いて出血する長さを測定
した。切開部から血液が泌出したら綿の塊を用いて吸取
る。テンプレート出血時間は切開から出血停止までの時
間である。出血時間は被検化合物投与直前(0分)、点
滴60分、被検化合物投与終了(120分)および実験
終了時に測定する。全データは一元的偏差分析(ANO
VA)により分析し、続いてスチューデント−ノイマン
−クエルスのポスト・ホック・t−検定により有意性を
測定する。反復測定ANOVAを用いて実験内時点間有
意差を測定する。最低p<0.05の水準にある値を統
計的な差があるとする。全測定値は平均値±SEMであ
る。全実験は米国生理学会の指導要領に従って行う。さ
らに詳細な操作の記載は、Jacksonなど、J.C
ardiovasc.Pharmacol.、21巻、
587〜599頁(1993年)に見出される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバート・セオドア・シューマン アメリカ合衆国46143インディアナ州グリ ーンウッド、ウィロー・ストリート2596番 (72)発明者 ジェラルド・フロイド・スミス アメリカ合衆国46217インディアナ州イン ディアナポリス、クウィーンズウッド・コ ート825番 (72)発明者 マイケル・ロバート・ウィリー アメリカ合衆国46268インディアナ州イン ディアナポリス、ラングウッド・ドライブ 7725番

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 [ここに、R1は水素である。Xはプロリニルまたはア
    ゼチジニル−2−カルボニルである。Yは: 【化2】 で示される基である。Zはヒドロキシ、C1〜C4−アル
    コキシまたは−NHR2である。R2は水素、C1〜C6
    アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、基−C
    (C=O)R5または−S(O)n−R5である。R5はC
    1〜C4−アルキル、C1〜C2−パーフルオロアルキル、
    1〜C4−アルコキシ、(C1〜C4−アルコキシ)−C
    1〜C4−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
    アミノ、モノ(C1〜C4)アルキルアミノ、ジ(C1
    4)−アルキルアミノ、非置換または置換アリール
    (ここにアリールはフェニルまたはナフチル、同一また
    は相異なる、硫黄、酸素および窒素から選択されるヘテ
    ロ原子1個または2個を持つ5員または6員の非置換ま
    たは置換ヘテロ環、または同一または相異なる、硫黄、
    酸素および窒素から選択されるヘテロ原子1個または2
    個を持つ9員または10員の非置換または置換縮合双環
    ヘテロ環基を表す)である。nは1または2である。R
    3はC1〜C4−アルキル、非置換または置換フェニルま
    たは非置換または置換ベンジルである。Z1は結合また
    は−CH2−である。R4はC1〜C6−アルキル、C1
    4−アルコキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、
    非置換または置換アリール(ここに、アリールはフェニ
    ルまたはナフチル、同一または相異なる、硫黄、酸素お
    よび窒素から選択されるヘテロ原子1個または2個を持
    つ5員または6員の非置換または置換ヘテロ環、または
    同一または相異なる、硫黄、酸素および窒素から選択さ
    れるヘテロ原子1個または2個を持つ9員または10員
    の非置換または置換の双環ヘテロ環基を表す)である。 Zが−NHR2である時には、これはR3と一緒になって
    アゼチジニル基、5員または6員環の非置換または置換
    飽和含窒素ヘテロ環または9員または10員の非置換ま
    たは置換の縮合双環含窒素ヘテロ環基であることができ
    る。R3およびR4はまとめてシクロペンチル、シクロヘ
    キシルまたは9員または10員の非置換または置換双環
    炭化水素基であることができる。但し、(a−i)R3
    がメチルまたはエチルであり、Z1が結合であり、R4
    シクロペンチル、シクロヘキシル、非置換または置換の
    アリールであってアリールがフェニルまたはナフチルで
    あるか、R4がチエニルまたはフリルであり、Xがプロ
    リニルまたはアゼチジニル−2−カルボニルである時、
    または(a−ii)R4−Z1−がまとめてメチルまたは
    エチルを形成し、R3が非置換または置換フェニルであ
    り、そしてXがプロリニルまたはアゼチジニル−2−カ
    ルボニルである時、または(b−i)R3がメチルまた
    はエチルであり、Z1が−(CH2)−であり、R4が非
    置換または置換フェニルであり、Xがアゼチジニル−2
    −カルボニルである時、または(b−ii)R4−Z1
    がまとめてメチルまたはエチルを形成し、R3が非置換
    または置換ベンジルであり、そしてXがアゼチジニル−
    2−カルボニルである時、またはさらに、 (c)R3およびR4がまとめてシクロペンチルまたはシ
    クロヘキシルを表し、Xがプロリニルである時には、 Zはヒドロキシ、C1〜C4−アルコキシまたはNHR2
    ではないものとする(ここで、R2は水素、C1〜C6
    アルキルまたは基−C(C=O)R5であり、R5はC1
    〜C4−アルキル、C1〜C2−パーフルオロアルキルま
    たはC1〜C4−アルコキシであるものとする)。]で示
    される化合物またはその医薬的に許容しうる塩またはこ
    の化合物または塩の医薬的に許容しうる溶媒和物。
  2. 【請求項2】 a.1−メチルインドリル−2−カルボ
    ニル−D−(α−メチル)フェニルグリシニル−L−ア
    ゼチジニル−2−カルボニル−L−アルギニンアルデヒ
    ド、 b.プロリニル(α−ベンジル)−L−プロリニル−L
    −アルギニンアルデヒドおよび c.アゼチジニル(α−メチル)−L−プロリニル−L
    −アルギニンアルデヒド から選択される請求項1の化合物またはその塩または溶
    媒和物。
  3. 【請求項3】 医薬的に許容しうる担体、希釈剤または
    添加剤とともに式Iで示される請求項1〜2のいずれか
    の化合物またはその医薬的に許容しうる塩または溶媒和
    物を含む医薬的製剤。
JP7043915A 1994-03-04 1995-03-03 抗血栓症剤 Withdrawn JPH07278091A (ja)

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US20655094A 1994-03-04 1994-03-04
US08/318,325 US5484772A (en) 1994-03-04 1994-10-05 Antithrombotic agents
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