JPH07276013A - 双ロール式連続鋳造におけるダミーシートの装着方法および挿入装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、双ロール式連続鋳造において、鋳
造に先立ちロール間に装着するダミーシートの効率的装
着方法および挿入装置を提供する。 【構成】 搬送ヘッド１０を鋳造ラインの始端側ピンチ
ロール３位置に待機させ、双ロール１を通じて繰り出し
たダミーシート１１を搬送ヘッドの後端部に接合し、次
いでダミーシートを順次繰り出しながらダミーシートを
ライン終端側のピンチロール８位置まで牽引し、ピンチ
ロールを通過した時点で搬送ヘッド１０およびダミーシ
ート１１の末端部を一定長さ残して切離し、ついで両端
でダミーシートを把持してルーパー５のダンサーロール
５ａでダミーシートの張力を調整して装着を完了する。 【効果】 ダミーシートに牽引力のみ作用させて敷設す
るので、ダミーシート先端がロールで突っかかることも
なく、駆動力を利用するので作業の省力化と作業効率の
向上を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、双ロール式連続鋳造に
おいて、鋳造に先立ちロール間に装着するダミーシート
の装着方法および挿入装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】内側に向って回転する一対の冷却ロール
間に溶融金属を注入し、これを急冷凝固して金属薄板を
製造する双ロール式連続鋳造方法はベッセマー法として
知られており、この方法によるときは、従来のような多
段階にわたる熱延工程を必要とすることなく、また最終
形状にする圧延も軽度なもので済むために、工程および
設備の簡略化が可能となる。

【０００３】図４は、この双ロール式連続鋳造方法を実
施する装置の一例を示し、この鋳造装置は、互いに逆方
向に回転する一対の冷却ロール２１ａ，２１ｂを適当な
間隔で配置し、ロール軸方向両端をサイド堰２２で仕切
って湯溜まり部２３を形成する。

【０００４】そして上方から湯溜まり部２３に溶融金属
を注入しながら互に内側に回転させると、注入された溶
融金属は冷却ロール２１ａ，２１ｂと接触し、抜熱され
てその結果それぞれの冷却ロール表面に凝固シェル２４
が形成される。この凝固シェル２４は成長しながらロー
ルの回転に伴って接合し、さらにキスポイント２５にて
圧下されて所定の厚さの薄板鋳片２６となり、ロールの
下方に送出されて金属薄板を製造する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところでこの鋳造に先
立ち、溶湯の漏洩を防ぎ、また鋳造を円滑に立ち上がら
せてこれをコイラに誘導するために、ロール間にはダミ
ーシートが装着される。

【０００６】このダミーシートは、鋳造開始後の鋳片引
き抜き駆動源として鋳片を確実に巻取装置に導くため
に、鋳造ロールのキッシングポイントから鋳造ライン最
終のコイラあるいはコイラ真近まで挿入される。

【０００７】しかしながらこの鋳造ラインは、途中に鋳
片を牽引するピンチロールや、また調質炉，ルーパー，
冷却装置等の諸設備が設置され、その総延長は数十メー
トルにも達するが、従来はこれらダミーシートの装着は
大部分が作業員の手により実施され、従って準備に多大
の労力と時間を要していた。

【０００８】本発明は上記課題に鑑み、省力化を図ると
ともに効率よくダミーシートの装着が可能な双ロール式
連続鋳造におけるダミーシートの装着方法および挿入装
置を提供する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の装着方法は、水
平かつ平行に配置した双ロール間に溶融金属を注入し、
これを急冷凝固して金属薄板を製造する双ロール式連続
鋳造の鋳造初期におけるダミーシート装着方法におい
て、先ずダミーシート挿入装置を前記双ロールの直上に
配置し、同時にダミーシート搬送ヘッドを鋳造ライン終
端側からラインに挿入し、該搬送ヘッドを鋳造ライン始
端側まで移送し、引き続き前記挿入装置より繰り出した
ダミーシートを双ロールを通して鋳造ラインに誘導し、
該シートを前記搬送ヘッドに接合したのち、前記挿入装
置より順次ダミーシートを繰り出しながらラインを運転
して搬送ヘッドをライン終端側まで移動させ、双ロール
とコイラ間の所定の区間までダミーシートを通板させた
のち、搬送ヘッドを取り外すことによりダミーシートの
装着を行うことを特徴とする双ロール式連続鋳造におけ
るダミーシートの装着方法である。

【００１０】また上記ダミーシートの装着方法において
は、双ロールの直下に、双ロールから鋳造ライン始端側
のピンチロールに向けて一定の曲率を有するダミーシー
ト挿入ガイドを設け、該ガイドにより、双ロール間を通
して繰り出されたダミーシートをラインに誘導するとよ
い。

【００１１】さらに本発明の挿入装置は、双ロール式連
続鋳造機の双ロールの直上と退避位置との間を走行可能
とした台車上に、ダミーシートを巻回支持する巻取りリ
ールを取り付け、該巻取りリールにその正逆転と回転速
度を調整する制御装置、及び停止時のリール保持機構を
備えたことを特徴とする双ロール式連続鋳造におけるダ
ミーシートの挿入装置である。

【００１２】

【作用】双ロール式連続鋳造において鋳造に先立ちダミ
ーシートを敷設する場合には、鋳造を行う双ロール位置
から巻取りを行う鋳造ライン終端のコイラあるいはコイ
ラ真近まで敷設する必要があり、その間には前記したよ
うに調質炉，ルーパー，冷却装置等が設置され、その総
延長は数十メートルにも達する。

【００１３】ダミーシートには、比較的薄い鋼板を使用
するために、ロールピッチの粗いラインではダミーシー
トのみを送り出そうとしても、ダミーシート先端がロー
ル間で垂れ下がり、ロールに突っかかるため搬送が困難
となる。

【００１４】本発明の装着方法は、ダミーシートより若
干厚くしてロール間でも撓むことなく、搬送可能な搬送
ヘッドを使用し、この搬送ヘッドを鋳造ラインの始端側
に待機させ、双ロールを通じて繰り出したダミーシート
を搬送ヘッドに接合する。

【００１５】次いでダミーシートを双ロール側より順次
繰り出しながら鋳造ラインを運転駆動することにより、
ダミーシートは搬送ヘッドにより牽引されながら敷設さ
れてライン終端側まで移動する。

【００１６】搬送ヘッドはダミーシートの敷設が完了し
た時点でダミーシート先端部から取り外され、またダミ
ーシートの末端部も双ロールのキスポイント位置より一
定長さ残して切離す。

【００１７】ここで、鋳造ライン始端側は双ロールによ
り、また終端側はピンチロールによりダミーシートを把
持してライン内に設けたルーパーのダンサーロールを下
降し、ダミーシートの張力を調整して装着を完了する。

【００１８】このようにダミーシートの先端に搬送ヘッ
ドを取り付け、ダミーシートを双ロール側より順次繰り
出しながら鋳造ラインを運転駆動することにより、ダミ
ーシートは搬送ヘッドに牽引されながら敷設され、ダミ
ーシートには牽引力のみが作用するために、ダミーシー
ト先端がロール間で突っかかることはなく、また鋳造ラ
インの駆動力を利用できるので、作業員の手に頼ること
はなく容易に敷設できる。

【００１９】また上記の装着方法において、双ロールの
直下に、双ロールから鋳造ライン始端側のピンチロール
に向けて一定の曲率を有するダミーシート挿入ガイドを
設けることにより、挿入装置より繰り出したダミーシー
トを鋳造ライン始端側まで誘導し、かつこのシートを搬
送ヘッドに接合する作業が容易となる。

【００２０】なおこの挿入ガイドは、油圧シリンダー等
にて送り出し，引っ込み可能な構造とし、ダミーシート
の装着が完了すれば鋳造ラインより外して引っ込み格納
しておき、必要に応じて鋳造ライン内に送り出すように
すればよい。

【００２１】本発明のダミーシートの挿入装置は、双ロ
ールの直上と退避位置間を適宜走行し、その台車上に取
り付けた巻取りリールは、正逆転および可変速制御装置
およびリール保持機構を操作して、ダミーシートを適宜
速度で送り出し，巻き戻し、さらに適宜位置でリールを
保持する。

【００２２】

【実施例】以下本発明を図面に基づいて詳細に説明す
る。図１および図２は本発明のダミーシートの装着方法
を示し、図１は双ロール連続鋳造機の装置構成の一例、
図２（ａ）〜（ｄ）は装着手順の一例を示す略側面図で
ある。また図３はダミーシート挿入装置の一例を示す側
面図である。

【００２３】図１において、 連続鋳造機の構成は、薄
肉鋳片を鋳造する双ロール１の直上にダミーシート挿入
装置２が設けられ、双ロールから鋳造ラインに沿って始
端側の第１のピンチロール３，調質炉４，ルーパー５，
冷却装置６と終端側の第２のピンチロール７が列設さ
れ、最終位置にコイラ８が設けられる。

【００２４】また双ロールの下部には油圧シリンダー９
ａにて送り出し，引っ込み可能なように双ロール１から
第１のピンチロール３に向けて一定の曲率を有するダミ
ーシート挿入ガイド９が設けられる。なお１０は待機中
の搬送ヘッドである。

【００２５】図３に示すダミーシート挿入装置２は、連
続鋳造機の双ロール１の直上と退避位置間を走行可能と
した台車２ａ上に、ダミーシート１１を水平に巻回支持
する巻取りリール２ｂを取り付け、該巻取りリールには
正逆転とともに可変速とする制御装置２ｃと停止時のリ
ール保持機構２ｄを備えており、可変速制御装置２ｃお
よびリール保持機構２ｄを操作して、ダミーシート１１
を適宜速度で送り出し，巻き戻し、さらに適宜位置でリ
ールを保持する。

【００２６】以下ダミーシートの装着方法を図２に示す
装着手順に従って説明する。先ず第１段階として、
（ａ）図に示すように第１および第２のピンチロール
３，７を開放し、ルーパー５はそのダンサーロール５ａ
を上限位置にして待機させ、またダミーシート挿入装置
２を退避位置より双ロール１の直上に移動させる。また
油圧シリンダー９ａにてダミーシート挿入ガイド９を双
ロール直下の所定位置に送り出し、引き続きダミーシー
トの搬送ヘッド１０をコイラ８直前に設けた第２のピン
チロール７より鋳造ラインに挿入する。

【００２７】次に第２段階として、（ｂ）図に示すよう
に鋳造ラインに挿入した前記搬送ヘッド１０を鋳造ライ
ン始端側の第１のピンチロール３位置まで移送し、この
ロールにて搬送ヘッドを把持する。引き続きダミーシー
ト挿入装置２より双ロール１を通じてダミーシート１１
を繰り出し、ダミーシート挿入ガイド９にて第１のピン
チロール３位置まで誘導し、ここでダミーシート１１を
搬送ヘッド１０の後端部に接合する。

【００２８】次に第３段階として、（ｃ）図に示すよう
に鋳造ラインを運転し、この運転速度に合わせるように
挿入装置２を駆動して、順次ダミーシート１１を繰り出
しながら搬送ヘッド１０を終端側の第２のピンチロール
７位置まで移動する。この間ダミーシート１１は、搬送
ヘッド１０により牽引されながら敷設される。

【００２９】次に第４段階として、（ｄ）図に示すよう
に搬送ヘッド１０が第２のピンチロール７を通過した時
点で、ダミーシート１１先端部をピンチロール７で把持
して搬送ヘッド１０を取り外すとともに、ダミーシート
１１の末端部も双ロール１のキスポイント１ａ位置より
一定長さ残して挿入装置２より切離す。引き続き挿入装
置２および搬送ヘッド１０をそれぞれの退避位置および
待機位置に移動させるとともに、ダミーシート挿入ガイ
ド９も格納位置に収容する。

【００３０】次いで第１および第２のピンチロール３，
７でダミーシート１１を把持したまま、ライン内に設け
たルーパー５のダンサーロール５ａを下降してダミーシ
ート１１の張力を調整し、装着を完了する。

【００３１】このようにダミーシートは、双ロール直上
に設けたダミーシート挿入装置により順次繰り出され、
また鋳造ラインの駆動力を利用してダミーシートは搬送
ヘッドに牽引されながら敷設され、従ってロール間で突
っかかることもなく、また多数の作業員の手に頼ること
はなく容易に敷設できる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明した如く本発明のダミーシート
の装着方法および挿入装置によれば、ダミーシートの先
端に搬送ヘッドを取り付け、ダミーシートを双ロール側
より順次繰り出しながら鋳造ラインを運転駆動すること
により、ダミーシートは搬送ヘッドに牽引されながら敷
設され、ダミーシートには牽引力のみが作用するため
に、ダミーシート先端がロール間で突っかかることもな
く、また鋳造ラインの駆動力を利用できるので、多数の
作業員の手に頼ることはなく容易に敷設でき、作業の省
力化と作業効率の向上を図り得る。

【００３３】また上記の装着方法において、双ロールの
直下に一定の曲率を有するダミーシート挿入ガイドを設
けることにより、挿入装置より繰り出したダミーシート
を鋳造ラインのピンチロール位置まで円滑に誘導でき、
搬送ヘッドの接合作業も容易なって作業効率が向上す
る。

【００３４】ダミーシートの挿入装置は、ダミーシート
を適宜速度で送り出し，巻き戻し、さらに適宜位置でリ
ールを保持する構造なっており、円滑にダミーシートを
敷設でき、作業の省力化と作業効率の向上を図り得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】双ロール連続鋳造機の装置構成の一例を示す略
側面図である。

【図２】（ａ）〜（ｄ）図は本発明のダミーシート装着
手順の一例を示す略側面図である。

【図３】本発明のダミーシート挿入装置の一例を示す概
略側面図である。

【図４】従来の双ロール式連続鋳造装置の一例を示す略
側面図である。

【符号の説明】

１ 双ロール １ａ キスポイント ２ ダミーシート挿入装置 ２ａ 台車 ２ｂ 巻取りリール ２ｃ 可変速制御装置 ２ｄ リール保持機構 ３，７ ピンチロール ４ 調質炉 ５ ルーパー ５ａ ダンサーロール ６ 冷却装置 ８ コイラ ９ ダミーシート挿入ガイド ９ａ 油圧シリンダー １０ 搬送ヘッド １１ ダミーシート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平かつ平行に配置した双ロール間に溶
   融金属を注入し、これを急冷凝固して金属薄板を製造す
   る双ロール式連続鋳造の鋳造初期におけるダミーシート
   装着方法において、先ずダミーシート挿入装置を前記双
   ロールの直上に配置し、同時にダミーシート搬送ヘッド
   を鋳造ライン終端側からラインに挿入し、該搬送ヘッド
   を鋳造ライン始端側まで移送し、引き続き前記挿入装置
   より繰り出したダミーシートを双ロールを通して鋳造ラ
   インに誘導し、該シートを前記搬送ヘッドに接合したの
   ち、前記挿入装置より順次ダミーシートを繰り出しなが
   らラインを運転して搬送ヘッドをライン終端側まで移動
   させ、双ロールとコイラ間の所定の区間までダミーシー
   トを通板させたのち、搬送ヘッドを取り外すことにより
   ダミーシートの装着を行うことを特徴とする双ロール式
   連続鋳造におけるダミーシートの装着方法。
2. 【請求項２】 双ロールの直下に、双ロールから鋳造ラ
   イン始端側のピンチロールに向けて一定の曲率を有する
   ダミーシート挿入ガイドを設け、該ガイドにより、双ロ
   ール間を通して繰り出されたダミーシートをラインに誘
   導する請求項１記載の双ロール式連続鋳造におけるダミ
   ーシートの装着方法。
3. 【請求項３】 双ロール式連続鋳造機の双ロールの直上
   と退避位置との間を走行可能とした台車上に、ダミーシ
   ートを巻回支持する巻取りリールを取り付け、該巻取り
   リールにその正逆転と回転速度を調整する制御装置、及
   び停止時のリール保持機構を備えたことを特徴とする双
   ロール式連続鋳造におけるダミーシートの挿入装置。