JPH07274287A - マイクロ圧電振動子とその製造方法及びマイクロ圧電振動子モジュールとその製造方法 - Google Patents

マイクロ圧電振動子とその製造方法及びマイクロ圧電振動子モジュールとその製造方法

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JPH07274287A
JPH07274287A JP6074194A JP6074194A JPH07274287A JP H07274287 A JPH07274287 A JP H07274287A JP 6074194 A JP6074194 A JP 6074194A JP 6074194 A JP6074194 A JP 6074194A JP H07274287 A JPH07274287 A JP H07274287A
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JP
Japan
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piezoelectric
micro
piezoelectric vibrator
substrate
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Withdrawn
Application number
JP6074194A
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English (en)
Inventor
Hideo Adachi
日出夫 安達
Takuya Imahashi
拓也 今橋
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生体が有する圧覚情報または粘弾性特性やその
異方性、非線形性触覚情報を検出するために、圧電素子
に弾性部材を接合して不要振動を含まない共振先鋭度Q
mの大きな効率の良い圧電振動をすることを特徴とす
る。 【構成】このマイクロ圧電振動子は、パターン電極3
6、33を配置して厚さ方向に分極された薄板状圧電素
子15と、この薄板状圧電素子15と接合状態にある弾
性部材16を有している。そして、上記薄板状圧電素子
15は、基板14によって、その周囲が保持されて構成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はマイクロ圧電振動子及
びこのマイクロ圧電振動子を利用した医療分野の診断・
治療に用いる圧覚、触覚センサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療技術の発展と共に、患者に苦
痛がなく、操作者の熟練度を必要としない、診断・治療
システムとして、低浸襲診断・治療技術が注目されてい
る。具体的には、内視鏡下での外科手術やカテーテル用
いた診断・治療が、膵胆管疾患や脳血管疾患の診断・治
療に用いられている。
【0003】しかしながら、これらの診断・治療は、安
全性、操作性といった面でまだ改善の余地が残されてい
る。例えば、内視鏡下の手術では、把持鉗子や処置具で
膵胆管等の生体組織を把持、押圧、切開等の処置をする
際、操作者が直接手指で触れるわけではないので、過度
に把持、押圧することが、希であるが起こり得る。ま
た、脳疾患診断・治療時のカテーテルの挿入操作は、現
時点では完全に操作者の勘と技能に依存している。この
ように、低浸襲診断・治療技術が発達するにつれて、患
者の負担は軽減されてきているが、安全性という点では
未だ改善の余地が残されている。
【0004】このようなニーズに対し、マイクロマシン
の技術を用いて解決しようというコンセプトが提唱され
ている。図19は、このコンセプトを示したものであ
る。これは脳血管疾患、特に脳動脈瘤の診断・治療に関
するものであり、脳動脈瘤を切除するために、脳血管診
断治療用マイクロカテーテル1を脳血管に挿入し、動脈
瘤部を塞栓している様子を示している。この場合、脳動
脈の径は、2mm程度のところを湾曲させながら目的の
部位まで挿入して行くので、マイクロカテーテル操作部
2を操作し、マイクロカテーテル1の先端が血管壁にぶ
つかりながら挿入されて行くことになる。したがって、
ひとつ操作を間違えると、脳血管に傷をつけ、脳機能障
害を引き起こす恐れがある。
【0005】そこで、管壁にマイクロカテーテル1の先
端が接触圧を受けるや否や、その信号をマイクロカテー
テルの操作者が知り、この情報を基に接触圧を回避する
方向に湾曲操作するシステムが必要となる。
【0006】このようなシステムには種々の要素技術が
必要であるが、接触圧等の生体情報を検出する圧覚セン
サや触覚センサは重要である。例えば、図20を参照す
ると、マイクロカテーテル1の湾曲部3には、触覚セン
サ4及び極細内視鏡5が取付けられている。そして、こ
のようなマイクロカテーテル1が、血管6内の内部7に
挿入され、照射光8の照射により異常組織9が発見され
る。
【0007】ここでは、このような接触圧等の生体情報
を検出する圧覚センサや触覚センサを、マイクロ圧覚セ
ンサまたはマイクロ触覚センサと称することとする。前
者は、血管や、膵・胆管のような粘弾性体の圧力感を検
出するもの、後者は更に生体が持っている非線形粘弾性
特性や、粘弾性特性の異方性といった高度の触覚と称し
て、これを検出できるセンサという用い方をしている。
【0008】ところで、このようなニーズに応えること
を目的としたマイクロ圧覚センサ、またはマイクロ触覚
センサは、従来は皆無であった。他の目的、例えば自動
車用としては、半導体歪ゲージが一般的である。例えば
特開平5−21814号公報に開示されている圧力セン
サは、シリコン基板と、この基板上に形成されたガラス
厚膜と、このガラス厚膜上に形成されたシリコン薄膜
と、その所定領域に形成されたピエゾ抵抗効果領域と、
これに接続されたリード線から成り、上記シリコン薄膜
の所定領域に対応するガラス厚膜を上記シリコン基板を
含まない受圧部とした構造となっている。
【0009】このように、半導体プロセスを用いた製造
方法によると、微細加工が容易で、微少な圧力センサを
実現することが可能である。また、センサ駆動回路をシ
リコン基板部にモノリシックに形成し、スマートセンサ
化している圧力センサも既に市販されている。
【0010】しかしながら、この場合、検出できるのは
圧力情報のみであり、接触、しかも生体のような粘弾性
体の接触、押圧状態の検出に利用することは不可能であ
る。また、図19及び図20に示されるように、マイク
ロカテーテル1の先端に付設できるほど小さいものでは
ない。
【0011】生体のような粘弾性体の測定に適した方法
として、研究が進んでいるのは、例えば、尾股定夫:
「硬さ知覚用触覚センサの開発」、センサ技術1990
年9月号PP27〜PP31に記載されているような圧
電振動子を用いる方法である。
【0012】図21は、上記の圧電振動子の構造を示し
たものである。PZT振動子10を硬質のウレタンフォ
ーム11の中に固定してセンサプローブとしたもので、
先端部がr=1〜1.5mmの球状部12に加工されて
いて、圧電振動子10と回路とで自励発振回路を構成し
ている。この自励発振回路の発振周波数の接触圧の加わ
った時の変化を見ることにより、対象物の硬さを検出で
きる構造になっている。
【0013】しかしながら、これは対象が生体表面、例
えば皮膚であったり、生体外に摘出した臓器を体外で測
定するという用い方をするので、これに用いられるセン
サは、その寸法を特に小さくする必要は無いものであっ
た。
【0014】ところが、図19に示されたような医療応
用コンセプトを実現するためには、例えばマイクロカテ
ーテル径1.5mmφの先端に複数マウントできる最大
のセンサ寸法である0.5mm□×0.2mmという寸
法にすることが必要である。しかしながら、上述したセ
ンサ構造や動作原理では実現不可能なことは明らかであ
り、また上述した生体の有する粘弾性特性の非線形性
や、異方性を検出することも難しい構造となっている。
【0015】ここで、圧電振動子をマイクロ化できなか
った理由をまとめて記載すると以下のようになる。すな
わち、圧電振動子をマイクロ化すると、i)静電容量の
低下による電気インピーダンスの上昇が起こり、S/N
が悪くなる。ii)S/N悪化を避けるためには圧電振動
子の直近に駆動回路を配置することが必要であり、上述
したように縦波及び横波超音波応答を用いることが効果
的だが、回路構成が複雑になり、この回路と圧電振動子
で構成されるモジュールの寸法が大きくなってしまう。
iii)マイクロ寸法の圧電振動子を製造する技術がなかっ
た。
【0016】このうち、上記i)に関しては、圧電素子
の厚さを小さくすることと誘電率の大きな圧電材料を用
いることが有効である。以下に、他の理由を含めて圧電
厚膜の成膜技術が重要であることを述べる。
【0017】圧電振動子を利用することは、生体の硬さ
柔らかさを検出するのに極めて有用であるが、上述した
センサ寸法に収めるための圧電振動子形成手段がなかっ
たことが挙げられる。圧電振動子の形状は、面積を微小
化しなくてはならない時、例えば、本発明の目的の場合
のように、0.5mm□以下に収めようとすると、数十
μmの厚さの圧電素子の実現が必要となる。
【0018】その理由は、厚さ数μmでは厚み縦振動を
用いると、共振周波数が高くなりすぎ、センサ信号の制
御が難しくなるという欠点が生じる。更に、基板に接触
させると、純粋な厚み振動にならず、基板と一体的に振
動する屈曲振動を起こす。この場合、基板のマウントの
仕方によって、感度等のセンサ特性が大きく変化し、圧
電振動子の利用目的を達成できなくなる。
【0019】更に、圧電振動部のみを基板から遊離させ
て純粋な厚み縦振動のみを励起しようとすると、厚さ数
μmでは機械的強度が弱く接触圧によって破壊される虞
れがある。更に、圧電素子は良く知られているように、
体積効果素子であるので、圧電素子の振動応答によって
生体の機械的特性を検出する、という本発明のようなセ
ンサ原理を用いる場合、圧電振動子の発生振動エネルギ
ーが大きいほど感度やS/Nが良くなるということは、
容易に推測できることである。
【0020】一方、100μm以上の厚さでは、上記の
問題は無いが、静電容量が小さくなることによりインピ
ーダンスが高くなりすぎ、S/Nが悪くなるという欠点
が生じる。
【0021】以上の理由により、マイクロ圧電センサを
実現するには、厚さが数十μmの範囲の圧電厚膜とその
製造工技術が必要になる。圧電厚膜とその加工技術につ
いての先行技術としては、以下に記載するものがある。
その1つは、特開平3−283583号公報に開示され
ている。これは、PZT粉末をガラスフリットや有機バ
インダと混合して作成したペーストを、スクリーン印刷
によって印刷、焼成したもので、数十μmの圧電厚膜を
得ることができる。
【0022】しかし、圧電素子面積はスクリーンの精細
度に依存し、また基板の小ささに限界があり、センサ寸
法を上記した寸法に収めるためには、切断加工が必要と
なる。また、ペーストに含むガラスフリット成分によっ
ては満足できる圧電特性が得られない場合がある。
【0023】他の厚膜形成方法としては、電気泳動電着
法による厚膜形成技術が、特開昭63−110681号
公報に開示されている。この方法は、アルコール系溶媒
に酸またはアルカリを添加し、圧電体粉末を分散させた
電解液を用い、電気泳動電着法によって電極形成された
基板上に圧電セラミクスを付着させ、その後焼結温度で
焼成させ、厚膜を得るという方法である。この特開昭6
3−110681号公報による先行技術は、硝酸や塩
酸、アンモニア等の電解液を用いた湿式成膜法なので、
基板に対する悪影響が大きいという欠点を有している。
【0024】例えば、センサ駆動回路モジュールを製造
する場合、厚膜形成基板は、既にこのような回路構造を
モノリシックに形成済みの基板を用いることになるし、
センサ構造上、厚膜形成後に基板をエッチング加工する
必要があっても、厚膜成膜時にはエッチング等の化学的
な変化を受けることが好ましくない。
【0025】更に他の厚膜形成法としては、特開平4−
188503号公報に開示された厚膜の製造方法があ
る。これは、粒径が1μm以下のセラミクス系誘電体微
粒子をガス中に浮遊させてエアゾル化し、これをノズル
を介して高速で基板上に噴射して推積させ、厚さ1〜2
0μmのセラミクス誘電体厚膜層を形成する技術であ
る。この方法によると、他の上述した先行例が有する欠
点が全て解決されている。
【0026】しかしながら、この特開平4−18850
3号公報の先行技術には、単に電極の施された基板に厚
膜形成し、その上に上部電極を形成した誘電体コンデン
サ素子の構造を開示しているのみで、他の構造、例えば
厚み振動をする部分に基板材料が接していないので、屈
曲振動を励起させないで、厚み振動のみを励振できる構
造については全く開示されていない。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】このように、特開平5
−21814号公報の技術は、半導体エピゾ抵抗効果を
用いた圧力センサで、半導体内に駆動回路を形成しやす
くスマートセンサ化の実現可能性は大きいが、押圧力の
検出ができても粘弾性体である生体の接触、押圧状態の
検出は難しいという課題を有している。
【0028】また、尾股定夫:「硬さ知覚用触覚センサ
の開発」、センサ技術1990年9月号PP27〜PP
31に開示された技術は、圧電振動子を用いているの
で、生体の粘弾性特性の検出は可能である。しかし、粘
弾性の非線形性や異方性についての情報は得られない。
更に、マイクロ化が難しく、マイクロ構造に加工できた
としても共振周波数が厚み振動に比べ、かなり低いの
で、インピーダンスが大きく制御しにくく、S/Nも悪
いという課題を有している。
【0029】更に、特開平3−283583号公報に
は、圧電厚膜の形成方法が開示されている。この方法に
よって厚膜形成は可能であるが、板上に全面で付着して
いて効率よく利用できる振動モードは屈曲振動であり、
厚み縦振動や、厚みすべり振動は励起できない。また、
最初からマイクロサイズの基板に形成することは不可能
で、基板上に厚膜形成後、基板ごと切断加工することに
なり、バンドリングが難しくなるという課題を有してい
る。
【0030】上記特開昭63−110681号公報に
は、他の圧電厚膜形成法が開示されている。この方法で
は、複雑な表面構造の基材に厚膜を形成できるが、電解
質溶液を用いた湿式成膜なので、基板に対するダメージ
が大きく、信頼性が要求されるセンサ用圧電厚膜の形成
法には適していない。
【0031】加えて、上記特開平4−188503号公
報の技術は、上記した厚膜形成法に比べて欠点が少ない
が、具体的なデバイス構造は誘電体コンデンサを開示し
ているのみで、圧電振動子への応用についての記載は全
く無い。
【0032】この発明は上記課題に鑑みてなされたもの
で、生体が有する圧覚情報または粘性特性やその異方
性、非線形といった触覚情報を検出することのできるマ
イクロ圧電振動子とその製造方法及びマイクロ圧電振動
子モジュールとその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0033】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、そ
の両面にパターン化したパターン電極を配置した薄板状
圧電素子と、この薄板状圧電素子の近傍に設けられて該
圧電素子を保持する基板と、上記薄板状圧電素子の少な
くとも上記パターン電極で挟まれた領域で該圧電素子が
分極状態にあり、該パターン電極が配置された位置で上
記圧電素子と接合される弾性部材とを具備することを特
徴とする。
【0034】またこの発明は、その両面にパターン化し
た電極を施して薄板状圧電素子を形成する工程と、上記
圧電素子の周辺で、該圧電素子を基板に保持させる工程
と、上記圧電素子の少なくともパターン電極で挟まれた
領域で、上記圧電素子が分極状態にあり、上記パターン
電極が配置された位置で弾性部材を上記圧電素子に接合
された状態にする工程とを具備し、上記弾性部材と基板
の間に存在する空隙部が化学エッチング法によって形成
されることを特徴とする。
【0035】更にこの発明は、両面にパターン化したパ
ターン電極を配置した薄板状圧電素子と、この圧電素子
の近傍に設けられて該圧電素子を保持する基板と、上記
圧電素子の少なくとも上記パターン電極で挟まれた領域
で、上記圧電素子が分極状態にあり、該パターン電極が
配置された位置で上記圧電素子と接合される弾性部材と
を具備し、上記基板が、圧電振動子駆動回路を集積的に
配設していることを特徴とする。
【0036】
【作用】この発明のマイクロ圧電振動子にあっては、圧
電素子に弾性部材を接合しているので、共振器長が長く
なる。このため、マイクロ圧電振動子全体としての共振
周波数が低下し、動作させやすい周波数領域になる。ま
た、圧電素子は、その周囲で保持され、しかもパターン
電極で振動を励起し、圧電素子の周辺のみで保持してい
るので、振動の漏洩が起こらず、厚み閉じ込め振動のみ
が起こる。更に、弾性部材に圧電素子よりQmの大きな
材料を用いることにより、圧電振動子の平均的なQmが
大きくなり、不要振動を含まない共振先鋭度Qmの大き
な効率の良い圧電振動となる。加えて、接合した弾性部
材が保持基板として配設されているので、基板が振動に
悪影響を及ぼすことがない。この圧電振動は圧電素子の
厚さ方向、すなわち弾性部材の表面で、面に垂直な方向
の振動をする。したがって、弾性部材の表面を対象物に
接触、押圧すると、対象物の深さ方向の粘弾性特性の情
報を得ることができる。これによって、弾性部材が対象
物から接触、押圧を受けた時、大きな共振周波数や共振
抵抗の変化を示すことになり、高感度のセンサとして用
いることができる。
【0037】また、この発明にあっては、弾性部材が基
板材料と同一の場合、化学エッチング法、とりわけフォ
トリソグラフィー法を併用したSiプロセスを利用する
ことが有利である。また基板をSiとし、エッチング液
をSiにはエッチング能力があるがPZTにはエッチン
グ能力のないものとする。これにより、目的の領域に微
細な弾性部材領域を所定の空隙部寸法で基板面に垂直方
向に容易にできる。また、エッチングはSiを全てエッ
チングしたところPZT圧電素子材料がエッチングされ
ることはない。
【0038】更に、この発明にあっては、圧電素子をそ
の周辺で保持した基板に接合用電極や配線を設けてお
き、インバータ回路チップ等のセンサ駆動回路部品を混
成的に接合配設する。これにより、配線に重畳する高周
波雑音等を除去できる。
【0039】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を説
明する。図1乃至図5はこの発明による第1の実施例を
示したものである。図1はこの発明によるマイクロ圧電
振動子の構成を示した図で、図1(a)は上面図、
(b)は断面図、(c)はこの断面図の一部の拡大図、
(d)は裏面から見た下面図である。図2乃至図5は、
図1のマイクロ圧電振動子の製造工程を示した図であ
る。
【0040】この発明によるマイクロ圧電振動子は、図
1に示されるように、基板14が、圧電素子15をその
周囲で保持するように設けられている。そして、圧電素
子15には弾性部材16が接合されており、更に付加的
な構成要素として、背面保護膜17、表面保護膜18、
空隙部19及び20が、基板14及び圧電素子15上に
設けられている。
【0041】次に、図2乃至図5を参照して、その製造
方法について説明する。図2(a)はマイクロ圧電振動
子の上面図、同図(b)は断面図、同図(c)及び
(d)は圧電素子の表裏面の電極付設状況を示し、図3
は圧電素子15を基板14に熱圧着接合した後の状態を
示したもので、図3(a)は上面図、同図(b)は断面
図、同図(c)は同図(b)の一部を拡大して示した断
面図である。同実施例では、センサ駆動回路等の回路が
モノリシックに集積化した半導体基板から成っている。
【0042】上記センサ駆動回路は、圧電素子15の分
極部151 と弾性部材16から成るマイクロ圧電振動子
と共に発振回路を構成するためのインバータ回路を、少
なくとも1つ集積化している。該インバータ回路は、n
- Si基板21にp- 領域22を形成し、更にn+ 領域
23、24、メタルゲート領域25を形成し、pチャン
ネルMOSを構成している。同様に、p+ 領域26、2
7及びメタルゲート領域25とで、nチャンネルMOS
を構成する。
【0043】これらの両MOSが相補的な接続になるよ
うにし、共通のメタルゲート25及び配線28で、イン
バータ回路がモノリシックに構成されている。共通のメ
タルゲート25からの端子パッド29がインバータ回路
の入力部に、配線28で共通化したパッド部30がイン
バータ回路の出力部に相当する。
【0044】尚、領域31は、インバータ回路を含んだ
発振回路の出力を信号処理する回路をモノリシックに集
積配設している領域である。この基板14には、圧電素
子15を基板に対して定位置に配設できるようにするた
めの接合用パッド32a、32b、32c、及び圧電素
子15の圧電活性部電極33で圧電素子を接合させるた
めの接合用パッド34が、例えば鉛−錫−銀合金等の低
融点合金を用いて、蒸着等の手段で形成されている。ま
た、その他、誘電体コンデンサ部の下部電極との接合パ
ッド32d、32eが、同様の手段で形成されている。
これら、接合パッド、インバータ入出力電極パッド以外
の面は、熱酸化等の手段でSi酸化膜が形成されてい
て、絶縁性の表面となっている。
【0045】一方、上記基板14に、その周囲で基板1
4に接合させる圧電素子15は、基板に接合する側の面
は図2(d)に示されるように、接合部35a、35
b、35c、圧電活性部電極36、誘電体コンデンサ用
電極37、38が形成されている。その反対側の面(図
2(c))には、圧電活性部電極33、誘電体コンデン
サ用電極39、40が形成されている。
【0046】上記電極36、33の間は、厚さ方向に分
極されていた圧電活性領域151 が形成されている。上
記圧電素子15は、ジルコンチタン酸鉛(PZT)やP
LZTチタン酸ビスマス系等の圧電セラミクスを電極形
成後分極したもので、従って、分極状態152 にある圧
電活性領域151 と、未分極状態の領域153 とから成
っている。
【0047】このような圧電素子15を、図2(d)側
の電極面を基板14に接するように熱圧着接合する。こ
の熱圧着温度は、圧電素子15のキューリ温度を考慮し
て、200℃以下で行うようにする。
【0048】尚、領域153 は、必ずしも未分極状態で
なくても良く、領域151 と同様に分極状態にあっても
良い。図4は、基板14に凹部を形成し、この凹部に弾
性部材16を形成した状態を示している。この弾性部材
16は、圧電素子15の支持基板14の凹部の内側壁と
接しないように、空隙部19を介して配置されている。
【0049】このような構成は、基板14に凹部を形成
後、弾性部材16をマイクロ接合する方法と、空隙部1
9のみを化学的にエッチングすることにより、弾性部材
16を残すという、2つの方法がある。前者はマイクロ
接合が難しい反面、弾性部材19の材料の選択性や寸
法、特に厚さの決定の仕方に融通性を持たせられるとい
う長所を有する。一方、後者は基板材料と同一材料、同
一厚さとなり、前者の方法のような融通性を持たない反
面、加工が容易という長所がある。
【0050】同実施例に用いる基板材料は、センサ駆動
回路をモノリシックに併設できるSi半導体を用いる
が、Si単結晶は機械的品質係数Qmが5000以上と
高く、また、その厚さもセンサ駆動回路を併設した部分
の厚さは10μmあれば十分なので、弾性部材19の最
適な厚みに基板14の厚さを合わせるという設計が可能
となる。
【0051】尚、弾性部材16の底面形状は、圧電素子
15の圧電活性領域151 に合わせて形成した電極15
4 に相似であり、その寸法は電極154 の寸法の±50
%以内が好ましい。この寸法より大きいと、空隙部19
が狭くなり、弾性部材16の側壁と基板14の凹部内側
壁同士が接触し、マイクロ圧電振動子が効率の良い振動
をしなくなり、センサとしての感度低下やS/N劣化に
つながることになる。
【0052】また、−50%より小さすぎると、マイク
ロ圧電振動子が2つの高さ成分を有する効果が歴然と
し、種々の振動モードが励起され、やはり効率の良い振
動をしなくなるため、センサとしての感度低下やS/N
劣化につながることになる。
【0053】尚、上記何れかの方法で弾性部材16を形
成しようとも、この高さ設計にはもう1つ重要な条件が
必要である。それは、マイクロ圧電振動子は圧電素子1
5、とりわけ圧電活性部153 と弾性部材16、及び両
者の接合層(図示せず)から成り、その両端面155
156 で最大の変位をし、節の部分で変位しないという
定在波振動をする。この際、定在波振動の節部を、その
構造体の機械的強度が最も弱いところになるように設計
することは重要な設計要件である。上述した層状構造に
於いては、接合層がそこに相当する部位であることは容
易に想像のつくところである。基板14や弾性部材16
の厚さは、以上のような考え方を盛り込んで設計される
ことになる。
【0054】図5は、更にワイヤボンディング等の手段
により、圧電素子15の圧電活性部151 とインバータ
回路と、一対の誘電体コンデンサ部41、42を配線4
3、44で接続して発振回路を構成した状態を示してい
る。尚、この発振回路には、その他図示されていない帰
還抵抗が必要で、端子パッド30、25の間にモノリシ
ックに接続されている。また、45は配線である。
【0055】更に、以上のようにして構成されたマイク
ロ圧電振動子に対し、機械的強度の補強、及び耐環境特
性、例えば耐湿性や医療応用時に必要な耐滅菌性を向上
させるために、背面側、表面側にそれぞれ保護膜17、
18を塗布、蒸着等の手段で形成する。
【0056】尚、このとき、この保護膜がマイクロ圧電
振動子の振動効率を低下させないように、空隙部20、
19を形成させておくことが必要である。次に、以上の
ような工程によって得られたマイクロ圧電振動子の作用
について説明する。
【0057】直流電圧をインバータ回路の電源端子46
に印加すると、マイクロ圧電振動子は、その共振周波数
で発振する。この発振状態に於ける機械的品質係数Qm
が大きい程、共振周波数や共振周波数に於ける共振抵抗
は接触物による影響を大きく受けるので、この効果をセ
ンサに用いる。しかし、比較的緻密で加工性の良いマイ
クロ寸法に適したPZTは、通常ソフト系PZT材料に
属し、機械的品質係数Qmは100以下と小さいため、
そのままでは本方式の圧力センサには不向きである。
【0058】そこで、本発明ではQmの大きな弾性材料
を接合し、見掛けのQmを上昇させている。そして、構
造的に最も機械的強度が弱いと見なせる接合部に振動の
節が来るように設計することによって、機械的強度を上
げている。更に、このように弾性部材を接合すること
は、以下に詳述するマイクロ構造ならではの好ましい効
果をももたらす。
【0059】上述したように、マイクロカテーテルに搭
載する圧覚、触覚センサは、そのモジュール寸法として
50μm□×200μmと小さい。これに対して、圧電
活性領域を、例えば200μm□×100μmとし、比
誘電率2000の圧電材料を用いたとすると、この時の
静電容量は7.1pFと非常に小さい。ここで、浮遊容
量による感度やS/Nの劣化を防ぐには、少なくとも1
0pFは必要である。このためには、圧電素子の厚さを
更に薄くする必要がある。
【0060】しかしながら厚さを減らすと、例えば厚さ
を25μmにした時、静電容量は52.8pFと大きく
なるものの、共振周波数も80MHzと上昇し、センサ
駆動が難しくなる。ここで、上記実施例のように弾性部
材16を接合することによって、共振周波数は低下させ
ることができる。
【0061】以上のように、圧電素子15を駆動回路を
モノリシックに配設した基板14に、圧電素子15の周
辺部にて接合し、圧電素子15の圧電活性領域に機械的
品質係数の大きな弾性部材を、基板に接触しないように
接合することにより、微小寸法で振動効率の良いマイク
ロ圧電振動子が得られ、高感度、高S/N圧覚センサが
得られる。
【0062】更に、副部材として、保護膜を付設するこ
とによって、高信頼性の圧覚センサが得られるようにな
る。尚、この第1の実施例では、圧電素子の基板への接
合は、上述したように低融点金属合金を用いたが、必ず
しもこの方法に限定されるものではない。例えば、絶縁
性の接着剤を用いたり、圧電素子として透明性の良いP
LZTや、強誘電体単結晶材料や水晶を用い、接着剤と
して光硬化性樹脂を用い、これらの透明圧電素子越しに
光を照射し、加熱せずに接着剤を硬化させ、接合すると
いう方法も考えられる。
【0063】次に、この発明の第2の実施例について説
明する。図6は、この発明による第2の実施例によるマ
イクロ圧電振動子の構成を示したものである。
【0064】上述した第1の実施例は、図1乃至図5に
示されるように、圧電素子15の圧電活性部の分極方向
は、圧電板の厚さ方向となっている。また、駆動電極も
圧電素子の表裏面に施されているので、圧電振動はいわ
ゆる厚み縦振動である。したがって、この振動方向に関
する振動応答が得られる。
【0065】しかしながら、検出対象物が生体のように
異方性が大きく、特に表面に沿った方向の粘弾性特性を
検出したい場合、上述した第1の実施例に示す構造では
このニーズに応えられない虞れがある。この第2の実施
例は、このようなニーズに応えるもので、生体等の表面
に沿った方向の機械的特性、特に粘弾性を検出すること
を目的としている。
【0066】本実施例の第1実施例と構造的に異なる点
は圧電活性領域に於ける分極方向が圧電素子の面に沿っ
た方向になっていると言う点だけで、他の部分について
は全く同じである。
【0067】このような構成にすることによって、マイ
クロ圧電振動子は厚みすべり振動を起こす。この振動
は、生体等の対象物に対し横振動波を起こし、これに対
する機械的応答を検出することができる。
【0068】このようにして、表面に沿った方向の機械
的特性、特に粘弾性を検出することができる。次に、こ
の発明の第3の実施例について説明する。
【0069】図7は、この発明による第3の実施例の構
成を示したもので、同図(a)は保護膜を形成する前、
すなわち同図(c)、(d)に示される圧電素子を接合
した後の構造の上面図、同図(b)はその断面図、同図
(c)、(d)は圧電素子に施された電極及び、接合パ
ッドを示した図である。
【0070】この構造は、上述した第1及び第2の実施
例が、それぞれ縦振動応答か、横振動かの何れか一方だ
けを検出できる構造だったのに対し、第3の実施例は同
時に両方の検出ができるようにしているのが特徴であ
る。これを実現するために、1枚の圧電素子内に2つの
圧電活性領域を形成する。
【0071】すなわち、一方の分極方向は板の厚さ方
法、他方は板の面に沿って分極された状態になってい
る。このような分極方法が、図8(a)〜(g)に示さ
れる。図8(a)に示されるように、PZT圧電セラミ
クス、例えば加工性の良いソフト系PZTセラミクス
を、ダイシングソー等の手段で角型に加工し(46)、
その両端エッジ部に分極用電極47a、47bを形成す
る。そして、この電極47a、47b間に直流電源48
を用いて直流電圧を印加する。これによって、板の面に
沿った分極Ps49が生じる。
【0072】次に、上記分極電極47a、47bを酸で
エッチングして除去する。次いで、板の両端部に分極電
極50a、50bを形成し、その間に直流電源51から
の電圧によって板の厚み方向に分極処理する(52;図
8(b)、(c))。このA領域の分極形成には2種類
の構造が有り、同図(e)及び(f)は、もう一つの例
を示したものである。
【0073】次に、分極電極50a、50bまたは50
a′、50b′を、分極電極47a、47bを除去した
のと同じ方法で除去する。更に、駆動用のパターン電極
を、図8(b)の構成に対しては図8(f)、図8
(d)の構成に対しては図8(g)のようになるように
マスク蒸着法、またはフォトリソグラフィー法を用いて
形成する。
【0074】図8(f)及び(g)は、図7(d)に示
されたパターン電極構造に対応されて示されるもので、
その裏面の電極構造が図7(c)に対応していることは
いうまでもない。
【0075】このような電極形状の時、電極53、54
での圧電振動は、分極49の方向に沿った厚みすべり振
動を、また分極55、56に於いては厚み縦振動をす
る。以上のようにして形成した圧電振動子を、上述した
第1及び第2の実施例と同様な方法で基板141 に接合
し、弾性部材の形成や保護膜の形成方法も同じ方法を用
いる。
【0076】尚、駆動回路は、第1及び第2の実施例と
同様、この圧電素子に一体的に形成した2対の誘電体コ
ンデンサ(57a、57b)、(58a、58b)と、
参照番号22a、23a、24a、22a′、24
a′、25a、26a、27a、28a、30a、29
aと22b、23b、24b、22b′、24b′、2
5b、26b27b、28b、30b、29bから成る
一対のインバータ回路を半導体基板にモノリシックに形
成している。
【0077】このように構成されたマイクロ圧電振動子
の動作について、図7及び図9を参照して説明する。図
9は、図7のマイクロ圧電振動子をセンサに応用した場
合の信号伝送系を示すブロック図である。
【0078】インバータ回路電源供給端子46a、46
bに直流電圧を供給すると、分極状態49が面方向にあ
る圧電活性領域59にある圧電素子と、それに接合され
た弾性体16aとから成るマイクロ圧電振動子が、厚み
すべり振動Ws (共振周波数fs 、振幅As )を起こ
す。一方、分極状態52が厚さ方向に向いている圧電活
性領域60では、厚み縦振動Ws (共振周波数ft 、振
幅At )を起こす。
【0079】したがって、At とfs は、近接して配置
した弾性部材16a、16bの先端表面61a、61b
が、例えば深さ方向には硬い(弾性係数が大きく粘性係
数が小さい)が、面方向には柔らかい(粘性係数が大き
く、弾性係数が小さい)対象物に、直接または保護膜越
しに接触すると、弾性の大きな粘弾性体の時はAt とA
s が大きく変化する。また、逆に深さ方向には柔らか
く、両方向に硬い場合には、粘性の大きな粘弾性体の時
はft とfs が、弾性の大きな粘弾性体の時はft とA
s が大きく変化する。
【0080】尚、ft とfs は同一寸法の場合、異なる
値をとるので、信号伝達、再生がしやすくなる。すなわ
ち、インバータの回路出力端子30a、30bの出力を
合成した結果を、同一の信号伝達経路64を用いて遠隔
地に伝達し、そこで、この信号をそれぞれft とfs
中心周波数とする2つのフィルタ67、68にかけて検
波することにより、対象物の粘弾性とその異方性を知る
ことが可能となる。
【0081】図9は、この信号伝送系を示したものであ
り、インバータ出力端子30a、30bと、2信号合成
器63と、信号伝送線64と、増幅器65と、信号分配
器66と、フィルタ67、68とにより構成されてい
る。
【0082】マイクロ圧電振動子の出力信号Ws (f
s 、As )、Wt (ft 、At )は、2信号合成器で合
成されて単一の信号W(Ws 、Wt )に変換される。信
号伝送線64を経て、減衰またはノイズが重畳し、信号
W′となって数メートル隔てた部位に信号伝達される。
この伝達された信号W′は、増幅器65によって増幅さ
れ、信号分配器66にて2つの同一の信号に分配され
る。このうち、一方は中心周波数f0 =fs 、帯域Δf
s を有したフィルタ67に通すことにより信号Wsに、
他方は中心周波数f0 =ft 、帯域Δft を有したフィ
ルタ68に通すことによりWt に復調することができ
る。
【0083】尚Δfs 、Δft は、該マイクロ圧電振動
子を圧覚または触覚センサとして用いた時、対象物に接
触、押圧した時の共振周波数の変化量より大きな値に設
定する必要があるが、現実的にはこれらの値はfs 、f
t に対し5〜10%である。
【0084】以上のように、分極された圧電活性部と弾
性部材の対構成を2対以上、特に圧電活性部の分極方向
が異なるようにすることによって、対象物の粘弾性特
性、及びその異方性を検出できるように、多くの情報が
得られるようになる。また、弾性部材を接合させるとい
う手段はセンサの感度を向上させ、振動の節を接合面に
なるように設計することによって、機械的な強度が増
し、信頼性が向上する。
【0085】更に、共振周波数の異なる振動モードを用
いるので、信号伝送線は省線化でき、図19に示された
ようなマイクロカテーテルに配設するセンサとして好ま
しいものとなる。
【0086】次に、この発明の第4の実施例を説明す
る。上述した第1乃至第3の実施例は、何れも基板をマ
イクロ圧電振動子駆動回路をモノリシックに配設した半
導体基板を用いた場合ものであった。この第4の実施例
は、集積回路チップの能動素子やLCR等の受動素子を
外付けすることによって、センサの駆動回路等の回路を
形成できるような配線、電極が施されている基板を用い
ている。これは、半導体でも酸化マグネシウムのアルミ
ナ、ジルコニアのような絶縁基板でも良いし、また金属
板の表面をサーメット加工した基板でも良い。
【0087】以下、図10の回路構成図と図11に示さ
れる実際の構造図を参照して、詳細に説明する。マイク
ロ圧電振動子モジュール71には、2つの異なる振動応
答を扱えるようになっている。その一方は、圧電活性部
72aと弾性体61aから成るマイクロ圧電振動子72
aと、同一の圧電素子内73aに形成した一対の誘電体
コンデンサ74a、75aと、帰還抵抗76aと、イン
バータ回路半導体チップ77aとから成る発振回路の出
力である。他方は、圧電活性部72bと弾性体61bと
から成るマイクロ圧電振動子72bと、同一の圧電振素
子内73bに形成した一対の誘電体コンデンサ74b、
75bと、帰還抵抗76bと、インバータ回路半導体チ
ップ77bとから成る発振回路の出力である。
【0088】上記インバータ回路77a、77bへの動
作電源電圧の供給は、配線78a、78bを経て、タイ
マ回路79の出力によって行われる。上記インバータ回
路77a、77bはまた、配線80a、80bを介して
接地される。
【0089】タイマ回路79の電源供給端子へは、電源
電圧供給用配線81から直接接続されると共に、タイマ
動作開始信号入力端子には電源電圧供給用配線81から
直流電圧遮断用コンデンサC1 82を経て接続されてい
る。タイマ回路79の出力は、上記したように、インバ
ータ回路77a、77bの電源供給端子に接続されると
共に、他のインバータ回路83の入力端子に接続され
る。このインバータ回路83の出力端子は、コンデンサ
3 84と抵抗R1 85から成る時定数回路に接続さ
れ、ダイオード86を介してモジュールパッド87に接
続されている。
【0090】また、インバータ回路77a、77bの出
力Ws 、Wt は、それぞれに接続された配線を経て、共
に2信号合成器63の入力端子に接続される。2信号合
成器63の出力は、直流遮断用コンデンサC2 89を経
て電源電圧供給用配線81に接続される。
【0091】尚、上記タイマ回路79は、配線89′に
よってモジュールパッド88に接続されている。以上
が、1つのマイクロ圧電振動子モジュールに納められて
いる。パッド87からは、隣接した他のマイクロ圧電振
動子モジュールのタイマ回路90のタイマ動作開始指示
信号入力端子91に接続されている。
【0092】次に、このような回路構成及びモジュール
構造の動作について説明する。距離を隔てて配置された
操作部、例えば図19のコンセプト図に対応させて表現
すると、マイクロカテーテル操作部2に設置したマイク
ロ圧電振動子モジュール回路用駆動電源92の電圧Vc
を、距離を隔てた配線64を経てタイマ回路79、90
…に供給する。マイクロカテーテルを挿入し始めると共
に、センシング開始指示信号パルス93を、コンデンサ
0 94を介して操作部パルサ回路95から送信する。
【0093】この信号93によってタイマ回路79が起
動し、その出力がオンになり、インバ―タ回路77a、
77bやマイクロ圧電振動子を含んだ発振回路が動作
し、インバータ出力端子Ws (fs 、As )、Wt (f
t 、At )がそれぞれ出力される。この両出力を2信号
合成器63で和信号または差信号に合成する。この合成
信号は、コンデンサC2 89を経て、配線81の直流電
圧に重畳され、距離を隔てた操作部に設置されたコンデ
ンサC0 94を通って、信号分配器66によって等分配
される。更に、fs 、ft に中心に周波数を持ち、比帯
域幅5〜10%の特性を持ったバンドパスフィルタ6
7、68にかけ、元の信号Ws 、Wt を復調する。
【0094】この復調した信号の中心周波数や振幅の変
化は、マイクロ圧電振動子が粘弾性体負荷の接触、押圧
によって変化する量に対応するのでセンサ信号を距離を
隔てて検出できることに相当する。
【0095】尚、96はマイクロ圧電振動子モジュー
ル、97はパッド87からの出力信号、98は操作部で
ある。以上は、マイクロ圧電振動子モジュール96の振
動応答を距離を隔てて検出したが、実施にはマイクロマ
ニピュレータに複数のマイクロ圧電振動子モジュールを
搭載し、圧覚、触覚信号を検出することが必要である。
マイクロ圧電振動子モジュール96に搭載しているイン
バータ83、時定数回路84、85は、この目的のため
に必要になっている。
【0096】すなわち、タイマ回路79の出力がオンに
なった瞬間、端子87にはダイオード86のため電圧は
発生しない。しかし、マイクロ圧電振動子モジュール9
6のセンサ動作がタイマ設定時間後に終了すると同時
に、端子87に正極性のパルスが出力され、隣接したマ
イクロ圧電振動子モジュールのタイマ回路90の起動信
号入力端子に入力され、そのマイクロ圧電振動子モジュ
ールがセンサ動作するようになる。
【0097】そして、1つのマイクロ圧電振動子モジュ
ールのタイマ設定時間をt秒、マイクロ圧電振動子モジ
ュールの数をnとした時、t×n秒後に再度センサ動作
開始指示パルス93を操作源92のパルサ回路95から
出力させる。
【0098】以上のようにして、複数のマイクロ圧電振
動子から成る圧覚センサにより、粘弾性体へのマイクロ
カテーテルの接触状況を、距離を隔てた所で検出するこ
とができるようになる。
【0099】次に、この発明の第5の実施例について説
明する。図12乃至図16は、この第5の実施例に従っ
たマイクロ圧電振動子の製造方法による工程図である。
各図に於いて、(a)は上面図、(b)は断面図であ
る。
【0100】n- Si基板100にp- 拡散領域101
を形成し、その中に一対のp+ 拡散領域102、103
とメタルゲート104領域を形成することによってPチ
ャンネルMOSを、また一対のn+ 拡散領域105、1
06とメタルゲート104によってnチャンネルMOS
をそれぞれ形成している。また、コンタクトホール10
7、108間を配線109、110で相補的に接続し、
またメタルゲートが両MOSで共有化されているので、
これらから構成され、入力端子をメタルゲート、出力端
子を端子パッド111、電源端子をコンタクトホール1
12からのパッド113、接地端子をコンタクトホール
114からのパッド115としたインバータ回路が構成
される。
【0101】更に、マイクロ圧電振動子形成部である領
域はSi表面が酸化され、絶縁膜が薄く形成され、その
上に圧電素子の圧電活性部の片側電極となる電極11
6、マイクロ圧電振動子、インバータ回路、帰還抵抗
(図示せず)と共に発振回路の構成要素となる誘電体コ
ンデンサ用片側電極117、118を、通常のSiデバ
イス技術で作成する(119、106)(以上図1
2)。
【0102】尚、メタルゲート用金属材料としては、後
工程に加熱処理工程があるので、タングステンやモリブ
デンが好ましい。また、電極116、117、118用
の材料としては、パラジウム、白金、銀、金のような材
料が好ましい。
【0103】上記電極118はメタルゲート金属に、ま
た電極117はパッド115に接続されている。上記領
域は発振回路の出力を種々信号処理する回路であり、図
11の片側の回路に相当する回路が構成されている。こ
のような回路構成は、以上に記載したようなモノリシッ
ク半導体基板でも良いし、上述した第4の実施例のよう
に、後に個別部品を混成的に配設しても良い。
【0104】次に、ジェットプリンティング法でPZT
厚膜を形成する。ジェットプリンティングに使うPZT
粉末材料は、成膜のやり易さ、圧電性の良さ、機械的強
度の面からソフト系PZTが好ましい。次いで、400
℃〜700℃、10分〜60分、または急速加熱法(R
TP)の場合には、500℃〜700℃、5〜60秒、
空気中、酸素−窒素混合ガス、または酸素雰囲気中で熱
処理を行う(以上図13)。
【0105】次に、金、銀、アルミニウム、パラジウ
ム、ニッケル等の上部電極122、123、124を真
空蒸着、スパッタ、ジェットプリンティング法等の方法
で形成する。上部電極形成後、場合によっては同一の条
件で再熱処理する(以上図14)。
【0106】更に、Si基板をTMAH,EDP,KO
H等のエッチャントを用いてエッチングし、空隙部12
5を形成する。これによって、実質的に弾性部材126
と圧電振動子を周囲で保持する基板部127に分割され
る。
【0107】尚、図15では、エッチングが圧電材料面
まで完全に到達しているように示してあるが、必ずしも
その必要はなく、必要とするマイクロ圧電振動子仕様、
すなわちセンサ仕様の程度に応じて、図17(c)に示
されるように、むしろSi材料部を僅かに、例えば基板
の厚さの10%程度残し(128)、機械的強度の向上
と圧電素子の露出面132の耐湿性や耐滅菌性の向上を
図ることも、場合によっては必要である。
【0108】次いで、メタルゲート電極104と上部電
極122との間に直流電圧を印加し、更に分極処理し
て、電極116と122間に挟まれた圧電素子領域を圧
電活性化する(以上、図15)。
【0109】次に、結線129、130、131をし、
耐滅菌性、耐湿性の向上を目的に検出対象物接触側A面
と裏面Bにシリコン樹脂や、ポリウレタン樹脂やテフロ
ン樹脂(商品名)等のような耐滅菌性、耐湿性の良い保
護膜132、133を塗布、蒸着等の手段で形成する。
【0110】尚、裏面B側は直接振動面に接触するとマ
イクロ圧電振動子の振動効率が低下し、検出感度が低下
する。したがって、ワックス等、加熱飛散する樹脂を振
動面を被うようにして付着させ、保護膜133の加熱硬
化時の熱で、このワックス等を飛散させることによっ
て、空洞(空隙部134)を形成する(以上、図1
6)。
【0111】このように、第5の実施例に従った構造の
マイクロ圧電振動子モジュールは、少なくとも1つの、
圧電活性部と弾性体から成るマイクロ圧電振動子と、上
記したインバータ回路等から成る発振回路の出力、すな
わち中心周波数と振幅は、対象物が接触した時としない
時で大きく変化し、特に生体のような粘弾性を対象物と
した時に、周波数の変化の仕方と振幅の変化の仕方を個
別に定量化することによって、粘弾性特性を知ることが
できる。
【0112】尚、同実施例では、発振器を1つ設けたモ
ジュールとして述べたが、図11に示されるように、複
数の発振器、すなわちセンサ部を設けた構造にも適用で
きる。
【0113】この第5の実施例の製造方法によれば、圧
電セラミクスの研磨や切断工程が皆無で、また基板への
接合工程や組立工程もない。このように、極めて簡単な
工程で製造できるので、信頼性の高いマイクロ圧覚・触
覚センサを得ることができるようになる。
【0114】次に、図18(a)〜(f)の製造工程図
を参照して、この発明による第6の実施例を説明する。
この第6の実施例の目的は、厚さの面内ばらつきの小さ
な圧電素子を有したマイクロ圧電振動子モジュールとモ
ジューレアレイを製造することである。
【0115】上述した第5の実施例のような圧電厚膜の
製造方法として、ジェット・プリンティング法を用いる
と、上記したような望ましい効果が得られる。この方法
を用いたマイクロ圧電振動子モジュールの製造方法につ
いて、以下に述べる。
【0116】マイクロ圧電振動子モジュール用駆動回路
をモノリシックに形成したエレメント137を、Siウ
ェーハ136′薄片上に2次元に規則正しく形成する。
そして、単位エレメント137が形成されたSiウェー
ハ136′の薄片の一部に、圧電素子サイズに同一の寸
法の貫通孔138の位置が厚膜形成部139に合うよう
に接合用低融点金属140を介して接合する(以上、
(a)〜(d))。
【0117】この上からジェットプリンティングのノズ
ル1411 をウェーハに近接させて図示矢印F方向に走
査させ、孔138をマスクとして厚膜1391 、139
2 、1393 、…を形成する。しかる後、400℃〜6
00℃、10分〜60分、または急速加熱法(RTP)
の場合には500℃〜700℃、5〜60秒、空気中、
酸素−窒素混合ガス、或いは酸素雰囲気中で熱処理を行
うことにより、厚膜焼結体を得ると同時に、Siウェー
ハ136及び136′を低融点金属部1401、1402
、1403 、…を溶融させて解離させる。
【0118】その後、各モジュールの境界線1421
1422 、1423 、…で切断する。この切断の仕方に
よって、単一のマイクロ圧電振動子モジュール、または
1次元、2次元のマイクロ圧電振動子モジュールアレイ
が得られることは容易に分かる。
【0119】このように、第6の実施例によれば、単一
だけでなく、1次元、2次元のマイクロ圧電振動子モジ
ュールアレイが得られるだけでなく、上記した熱処理温
度、雰囲気による半導体回路が受けるダメージが減り、
また厚膜の膜厚分布が良くなり、厚膜のエッジ143が
明確になり、きれいなパターンを形成できるという長所
も有している。
【0120】尚、この発明の上記実施態様によれば、以
下の如き構成が得られる。 (1) 両面にパターン化した電極を施した薄板状圧電
素子と、この圧電素子の周辺で、該圧電素子を保持する
基板と、上記圧電素子の少なくともパターン電極で挟ま
れた領域で、上記圧電素子が分極状態にあり、該パター
ン電極が配置された位置で、上記圧電素子に接合された
弾性部材とを具備することを特徴とするマイクロ圧電振
動子。
【0121】(2) 上記マイクロ圧電振動子に於い
て、分極された圧電素子部と弾性部材の対構成が2つ以
上あることを特徴とする上記(1)に記載のマイクロ圧
電振動子。
【0122】(3) 上記マイクロ圧電振動子に於い
て、マイクロ圧電振動子を形成していない、他の圧電素
子部に誘電体コンデンサを複数併設した構造を有するこ
とを特徴とする上記(1)に記載のマイクロ圧電振動
子。
【0123】(4) 上記マイクロ圧電振動子に於い
て、2つ以上の分極された圧電素子の分極方向が互いに
異なる方向を有していることを特徴とする上記(2)に
記載のマイクロ圧電振動子。
【0124】(5) 上記圧電素子に接合された弾性部
材が基板材料の材質と同一であることを特徴とする上記
(1)に記載のマイクロ圧電振動子。 (6) 上記圧電素子に接合された弾性部材の厚さが基
板の厚さと同一であることを特徴とする上記(1)に記
載のマイクロ圧電振動子。
【0125】(7) 上記マイクロ圧電振動子に於い
て、該弾性部材と基板の間に空隙部が存在することを特
徴とする上記(1)に記載のマイクロ圧電振動子。 (8) 上記空隙部の深さDと基板の板厚Hの関係が、 0.9H≦D≦H の関係にあることを特徴とする上記(7)に記載のマイ
クロ圧電振動子。
【0126】(9) 上記弾性部材は、その機械的品質
係数Qmが上記圧電素子の機械的品質係数Qmより大き
いことを特徴とする上記(1)に記載のマイクロ圧電振
動子。
【0127】(10) 上記弾性部材の底面形状が上記
圧電素子のパターン電極の形状に相似で、寸法が該圧電
素子のパターン電極の±50%以内であることを特徴と
する上記(1)に記載のマイクロ圧電振動子。
【0128】(11) 上記弾性部材と該圧電素子の厚
さが、該マイクロ圧電振動子の厚さ方向基本振動の定在
波の節が上記弾性部材と圧電素子の接合面に一致する寸
法になっていることを特徴とする上記(1)に記載のマ
イクロ圧電振動子。
【0129】(12) 表裏に施した表面保護膜を更に
具備することを特徴とする上記(1)に記載のマイクロ
圧電振動子。 (13) 上記マイクロ圧電振動子の圧電素子側面で、
上記保護膜と圧電素子に形成されたパターン電極部との
間に空隙部を有することを特徴とする上記(12)に記
載のマイクロ圧電振動子。
【0130】(14) 上記薄板状圧電素子がバルクセ
ラミクス薄片加工し、微細切断加工によって製造された
ものであることを特徴とする上記(1)に記載のマイク
ロ圧電振動子。
【0131】(15) 上記基板と上記圧電素子の接合
部が圧電素子の電極/低融点金属層/基板の積層構造に
なっていることを特徴とする上記(14)に記載のマイ
クロ圧電振動子。
【0132】(16) 両面にパターン化した電極を施
して薄板状圧電素子を形成する工程と、上記圧電素子の
周辺で、該圧電素子を基板に保持する工程と、上記圧電
素子の少なくともパターン電極で挟まれた領域で、上記
圧電素子が分極状態にあり、上記パターン電極が配置さ
れた位置で、弾性部材で上記圧電素子に接合する工程と
を具備し、上記弾性部材と基板の間に存在する空隙部が
化学エッチング法によって形成されることを特徴とする
マイクロ圧電振動子の製造方法。
【0133】(17) 上記(16)に記載のマイクロ
圧電振動子の製造方法に於いて、上記パターン電極の形
状に相似で、且つそれより寸法の大きな底面形状を有す
る柱状の陥没部を形成する工程と、この陥没部を形成す
る工程の後、該陥没部の底面形状と相似でそれより寸法
が小さいが上記パターン電極寸法より大きい柱状弾性部
材を接合する工程とを更に具備することを特徴とする上
記(16)に記載のマイクロ圧電振動子の製造方法。
【0134】(18) 両面にパターン化した電極を施
して薄板状圧電素子を形成する工程と、上記圧電素子の
周辺で、該圧電素子を基板に保持する工程と、上記圧電
素子の少なくともパターン電極で挟まれた領域で、上記
圧電素子が分極状態にあり、上記パターン電極が配置さ
れた位置で、弾性部材で上記圧電素子に接合する工程と
を具備し、上記薄板状圧電素子が厚膜成膜法によって形
成されることを特徴とする上記(16)に記載のマイク
ロ圧電振動子の製造方法。
【0135】(19) 上記厚膜成膜法がジェットプリ
ティング法(ガス・テポジット法)であることを特徴と
する上記(18)に記載のマイクロ圧電振動子の製造方
法。 (20) 基板の厚膜形成側表面に、予め圧電素子の片
側電極となるパターン電極を形成する工程と、両面にパ
ターン化した電極を施して薄板状圧電素子を形成する工
程と、上記圧電素子の周辺で、該圧電素子を基板に保持
する工程と、上記圧電素子の少なくともパターン電極で
挟まれた領域で、上記圧電素子が分極状態にあり、上記
パターン電極が配置された位置で、弾性部材で上記圧電
素子に接合する工程とを具備し、上記薄板状圧電素子を
形成する工程は、両面にパターン化した電極を施してバ
ルクセラミクス薄片加工し、微細切断加工した後、熱処
理工程と、他の側の電極形成工程と、分極処理工程とを
経て形成することを特徴とする圧電活性な圧電素子部の
製造方法。
【0136】(21) 両面にパターン化した電極を施
した薄板状圧電素子と、この圧電素子の周辺で、該圧電
素子を保持する基板と、上記圧電素子の少なくともパタ
ーン電極で挟まれた領域で、上記圧電素子が分極状態に
あり、該パターン電極が配置された位置で、上記圧電素
子に接合された弾性部材とを具備し、上記基板が、圧電
振動子駆動回路を混成的に配設していることを特徴とす
るマイクロ圧電振動子モジュール。
【0137】(22) 両面にパターン化した電極を施
した薄板状圧電素子と、この圧電素子の周辺で、該圧電
素子を保持する基板と、上記圧電素子の少なくともパタ
ーン電極で挟まれた領域で、上記圧電素子が分極状態に
あり、該パターン電極が配置された位置で、上記圧電素
子に接合された弾性部材とを具備し、上記基板が、圧電
振動子駆動回路をモノリシックに配設した半導体基板で
あることを特徴とするマイクロ圧電振動子モジュール。
【0138】(23) 上記(21)若しくは(22)
に記載のマイクロ圧電振動子モジュールに於いて、分極
された圧電素子部と弾性部材の対構成を2つ以上有し、
上記圧電振動子駆動回路は、複数の圧電振動子と複数の
インバータ回路から成る複数の発振回路と、該複数の発
振回路の複数の出力を合成する合成回路と、この構成回
路の出力を増幅する増幅回路と、この増幅回路の出力を
検波する検波回路と、この検波回路の出力を周波数値に
変換する電圧−周波数変換回路と、駆動するセンサを順
次切り換える手段とを備えることを特徴とする上記(2
1)若しくは(22)に記載のマイクロ圧電振動子モジ
ュール。
【0139】(24) 上記(21)若しくは(22)
に記載のマイクロ圧電振動子モジュールに於いて、2つ
以上の分極された圧電素子の分極方向が互いに異なる方
向を有し、上記マイクロ圧電振動子モジュールを構成す
る圧電振動子駆動回路は、複数の圧電振動子と複数のイ
ンバータ回路から成る複数の発振回路と、該複数の発振
回路の複数の出力を合成する合成回路と、この構成回路
の出力を増幅する増幅回路と、この増幅回路の出力を検
波する検波回路と、この検波回路の出力を周波数値に変
換する電圧−周波数変換回路と、駆動するセンサを順次
切り換える手段とを備えることを特徴とする上記(2
1)若しくは(22)に記載のマイクロ圧電振動子モジ
ュール。
【0140】(25) 上記(21)若しくは(22)
に記載のマイクロ圧電振動子モジュールに於いて、分極
された圧電素子部と弾性部材の対構成を2つ以上有し、
上記圧電振動子駆動回路は、複数の圧電振動子と複数の
インバータ回路から成る複数の発振回路と、該複数の発
振回路の複数の出力を合成する合成回路と、この合成回
路の出力を増幅する増幅回路と、この増幅回路の出力を
低周波数に分周する分周回路と、この分周回路の出力を
外部に無線で伝達するFM送信回路と、駆動するセンサ
を順次切り換える手段とを備えたことを特徴とする上記
(21)若しくは(22)に記載のマイクロ圧電振動子
モジュール。
【0141】(26) 上記(21)若しくは(22)
に記載のマイクロ圧電振動子モジュールに於いて、2つ
以上の分極された圧電素子の分極方向が互いに異なる方
向を有し、上記圧電振動子駆動回路は、複数の圧電振動
子と複数のインバータ回路から成る複数の発振回路と、
該複数の発振回路の複数の出力を合成する合成回路と、
この合成回路の出力を増幅する増幅回路と、この増幅回
路の出力を低周波数に分周する分周回路と、この分周回
路の出力を外部に無線で伝達するFM送信回路と、駆動
するセンサを順次切り換える手段とを備えたことを特徴
とする上記(21)若しくは(22)に記載のマイクロ
圧電振動子モジュール。
【0142】(27) 両面にパターン化した電極を施
して、バルクセラミクス薄片加工し、微細切断加工によ
って形成される薄板状圧電素子と、この圧電素子の周辺
で、該圧電素子を保持する基板と、上記圧電素子の少な
くともパターン電極で挟まれた領域で、上記圧電素子が
分極状態にあり、該パターン電極が配置された位置で、
上記圧電素子に接合された弾性部材とを具備し、上記薄
板状圧電素子は、該圧電素子の中央部若しくはその近傍
に、複数の分極領域が予め形成されたものであることを
特徴とするマイクロ圧電振動子モジュール。
【0143】(28) 両面にパターン化した電極を施
した薄板状圧電素子と、この圧電素子の周辺で、該圧電
素子を保持する基板と、上記圧電素子の少なくともパタ
ーン電極で挟まれた領域で、上記圧電素子が分極状態に
あり、該パターン電極が配置された位置で、上記圧電素
子に接合された弾性部材とを具備し、上記基板の接合部
が圧電素子の電極/樹脂接着剤層/基板の積層構造にな
っていることを特徴とするマイクロ圧電振動子モジュー
ル。
【0144】(29) 上記圧電素子に用いる材料は光
透過性物質から成ることを特徴とする上記(28)に記
載のマイクロ圧電振動子モジュール。 (30) 上記光透過性物質は、強誘電体単結晶若しく
は透明セラミクスであることを特徴とする上記(29)
に記載のマイクロ圧電振動子モジュール。
【0145】(31) 上記樹脂接着剤層は、紫外線硬
化樹脂から成ることを特徴とする上記(30)に記載の
マイクロ圧電振動子モジュール。 (32) 上記(19)に記載のマイクロ圧電振動子の
製造方法に於いて、上記薄板状圧電素子を形成する工程
は、該圧電素子の形状及び寸法にほぼ等しい形状、寸法
の孔の開いたマスクを基板上に配置し、この孔空き部越
しにジェットプリンティングした後、該マスクを除去す
ることによって所定の寸法に形成することを特徴とする
マイクロ圧電振動子モジュールの製造方法。
【0146】(33) 上記(1)に記載のマイクロ圧
電振動子を1次元若しくは2次元に配列したことを特徴
とするアレイ型マイクロ圧電振動子モジュール。 (34) 単一のアレイ型のマイクロ圧電振動子モジュ
ールの製造方法に於いて、第1のSiウエ−ハ上に、単
位のマイクロ圧電振動子駆動回路を集積回路プロセスを
用いて2次元状に規則正しく配列形成する工程と、上記
第1のSiウェーハと同一寸法の第1のSi−ウエ−ハ
を上記第1のSiウェーハの圧電厚膜形成側の面に接合
する工程と、単位のマイクロ圧電振動子駆動回路の配列
の規則性に合致し、且つ圧電厚膜形成予定領域に合致し
た位置で、接合した第1及び第2のSiウエーハに圧電
厚膜の寸法にほぼ等しい孔を同じ規則性で開けるSiウ
エーハマスク形成工程と、このSiウエーハマスクで形
成されたSiウエーハマスクに向けてジェット噴射ノズ
ルを相対的に走査してジェットプリントする工程と、上
記Siウエーハマスクの接合部を溶解除去し、Siウエ
ーハマスクを剥離除去する工程と、熱処理工程と、裏面
電極形成工程と、上記裏面電極とこの裏面電極に対向し
た電極との間に直流電圧を印加する分極工程と、マイク
ロ圧電振動子駆動回路の端子と、誘電体コンデンサ部、
圧電活性領域電極間を接続する配線工程と、弾性部材と
基板の間に存在する空隙部を形成する工程と、表面保護
膜を形成する工程と、単位のマイクロ圧電振動子と駆動
回路から成るモジュールが1つ若しくは所定の数の1次
元または2次元に配列したアレイ型マイクロ圧電振動子
モジュールを得る切断工程と、を具備することを特徴と
する単一のアレイ型のマイクロ圧電振動子モジュールの
製造方法。
【0147】(35) 上記(1)に記載のマイクロ圧
電振動子を構成する弾性部材頭部に直接、若しくは保護
膜を経て間接的に物体が接触、押圧する情報を、該マイ
クロ圧電振動子の共振周波数、または共振インピーダン
ス、または共振周波数を含む近傍の周波数での位相変化
に変換することによって、物体の接触、押圧状態を検出
することを特徴とするマイクロ圧覚若しくはマイクロ触
覚センサ。
【0148】上記(1)の実施態様によれば、圧電素子
に弾性部材を接合しているので、共振器長が長くなる。
このため、マイクロ圧電振動子全体としての、共振周波
数が低下し、動作させやすい周波数領域になる。また圧
電素子は、その周囲で保持され、しかもパターン電極で
振動を励起し、圧電素子の周辺のみで保持しているの
で、振動の漏洩が起こらず、厚み閉じ込め振動のみが起
こる。更に、弾性部材に圧電素子よりQmの大きな材料
を用いることにより、圧電振動子の平均的なQmが大き
くなり、不要振動を含まない共振先鋭度Qmの大きな効
率の良い圧電振動となる。また当然ながら、接合した弾
性部材が保持基板として配設されているので、基板が振
動に悪影響を及ぼすことがない。この圧電振動は圧電素
子の厚さ方向、すなわち弾性部材の表面で、面に垂直な
方向の振動をする。したがって、弾性部材の表面を対象
物に接触、押圧すると、対象物の深さ方向の粘弾性特性
の情報を得ることができる。一方、変形例の構造は圧電
素子の分極方向が電極面に沿っているため、弾性部材の
表面で、面に沿った方向の振動をする。したがって、弾
性部材の表面を対象物に接触、押圧すると、対象物の横
方向の粘弾性特性の情報を得ることができる。
【0149】これにより、マイクロ圧電振動子は不要振
動を含まない共振先鋭度Qmの大きな効率の良い圧電振
動をするので、弾性部材が対象物から接触、押圧を受け
た時、大きな共振周波数や共振抵抗の変化を示すことに
なり、高感度のセンサとして用いることができる。
【0150】また、上記(2)の実施態様によれば、複
数対の圧電振動子が形成されていても、それぞれの圧電
活性部の電極はパターン電極となっていて厚み閉じ込め
振動をするので、それぞれの振動が干渉し合うことがな
く、個々に独立に振動させることができる。したがっ
て、例えば接触した対象物の離間した2点の粘弾性特性
の違いを検出することができる。
【0151】上記(3)の実施態様によれば、圧電振動
子と一対の誘電体コンデンサとインバータ回路で発振回
路を構成する。この一対のコンデンサを同一材料で形成
し、極力配線を減らす。したがって、同一素子エレメン
ト内にモノリシックにコンデンサを形成し、マイクロ化
を図ることが可能となる。
【0152】上記(4)の実施態様によれば、異なる方
向に分極した圧電活性領域を対にして用いるので、一方
は弾性体の表面に対して垂直方向、他方は表面に沿った
方向に振動する。また、両者の共振周波数はほぼ2:1
となる。故に、1つのマイクロ圧電振動子で、生体等の
対象物の粘弾性の異方性(深さ方向と両方向)を検出で
きる。
【0153】上記(5)の実施態様によれば、圧電素子
圧電活性部に接合する弾性部材も同じように機械的品質
係数Qmの大きい材料を用いることになる。しかも、基
板を周辺保持構造に加工した後に、接合するのではな
い。したがって、基板と共用することによって加工組立
を容易にし、且つ圧電振動子のみかけのQmを大きくし
てセンサの感度を向上させることができる。
【0154】上記(6)の実施態様によれば、弾性部材
の方を基板より厚くして突出し過ぎないようにでき、ま
た弾性部材を基板より薄くして、へこみ過ぎないように
する。したがって、弾性部材が過剰な力を受け、圧電素
子が破壊したり、受圧面である弾性部材の表面が生体対
象物に接触しくならないようになる。これによって、信
頼性の高いマイクロ圧電振動子が実現でき、信頼性の高
いマイクロ圧覚、マイクロ接触センサの利用が可能とな
る。
【0155】上記(7)の実施態様によれば、空隙部の
存在によって弾性部材断面と基板断面とがすれあった
り、ぶつかったりすることがない。よって、マイクロ圧
電振動子部の振動が基板に漏れて振動の効率を悪くする
ことがないので、機械的品質係数Qmの大きなマイクロ
圧電振動子が形成でき、高感度のマイクロ圧覚、マイク
ロ触覚センサを実現することができる。
【0156】上記(8)の実施態様によれば、圧電素子
の厚さがそのまま残るか、または、基板の材料がわずか
な厚さで残る。故に、僅かに残る厚さが薄すぎも厚すぎ
もしないので、機械的強度が保持され、また振動が弾性
部材から漏れて、マイクロ圧電振動子の機械的品質係数
が低下し、センサとして利用した時の感度が低下すると
いうこともない。また、0.9H≦D≦Hの場合は基板
の残る厚さが有るので、圧電素子を始め、基板の反対側
の表面に形成した部材が対象物側に直接露出しないの
で、耐湿、耐滅菌性に強く、信頼性の高いマイクロ圧
覚、触覚センサを実現することができる。
【0157】上記(9)の実施態様によれば、圧電素子
は誘電率や圧電定数の大きさ、機械的強度という点で機
械的品質係数Qmが小さい材料を使い、弾性部材は機械
的品質係数Qmの大きい材料を用いることになるので、
マイクロ圧電振動子の平均としてのQmが大きくなる。
これによって、誘電率が大きいので、面積が小さくても
浮遊容量に比べ大きな静電容量が得られる。また、圧電
定数が大きく、Qmも大きいので、感度が良く効率の良
いマイクロ圧覚、触覚センサを実現することができる。
【0158】そして、上記(10)の実施態様によれ
ば、−50%より小さいと圧電振動子の厚さが階段状と
なり、複数の振動モードがたち、振動エネルギーが分散
し目的とした振動モードの共振先鋭度が低下する。ま
た、+50%以上となると空隙部の空間が小さくなり、
水蒸気のような僅かなわずかなガスが吸着しやすくな
り、また、ほこり等の微粒子が入り込んだ時に、それを
介して基板断面と弾性部材断面とが擦れ合い特性が不安
定になる。±50%以内であれば、このようなことにな
らない。したがって、信頼性を低下させることなく良好
な振動子特性を示すことができる。
【0159】上記(11)の実施態様によれば、マイク
ロ圧電振動子の接合部で最も変位が小さくなるので、接
合部にかかる内部応力が少なくなる。したがって、マイ
クロ圧電振動子の節部が機械的強度の最も弱い接合部に
成るように設計するので、長期に渡ってマイクロ圧電振
動子が破壊することなく、高い信頼性で長期間使用する
ことができる。
【0160】上記(12)の実施態様によれば、マイク
ロ圧電振動子の構成部材や駆動回路素子が湿気、滅菌
液、血液に直接触れることがなくなる。また弾性部材に
も薄い膜として接するのみなので、マイクロ圧電振動子
の振動を阻害することはない。したがって、耐環境性に
優れたマイクロ圧電振動子が得られ、これによって、耐
環境性に優れたマイクロ圧覚センサやマイクロ触覚セン
サが得られる。また、裏面側は耐環境性だけでなく機械
的強度も増加する。
【0161】上記(13)の実施態様によれば、裏面側
の保護膜に直接触れないので、マイクロ圧電振動子のQ
mが低下せず、従ってマイクロ圧覚センサ、またはマイ
クロ触覚センサに利用した時、感度低下を起こさないで
保護膜の効果を発揮できる。
【0162】上記(14)の実施態様によれば、1枚の
薄板状圧電素子内に複数の異なる分極方向を形成する。
この薄板状圧電素子をマイクロ圧電振動子に用いること
により、機械的強度の大きな圧覚センサ、触覚センサが
得られる。
【0163】更に、上記(15)の実施態様によれば、
該接合層は薄板状圧電素子と、その周囲で支持する基板
との周囲保持部の接合及び圧電素子圧電活性部に施され
たパターン電極と、基板と同一材質から成る弾性部材と
の接合に併用する。したがって、圧電素子と基板との周
囲保持部での接合が強固になり信頼性向上に寄与すると
同時に、圧電素子と弾性部材の接合も圧電体より大きな
機械的品質係数Qを有する金属で行われるのでマイクロ
圧電振動子としてのQmも大きくでき、マイクロ圧覚セ
ンサ、マイクロ触覚センサとして利用する際の感度向上
につながる。また、キューリ温度以下の温度で融解する
低融点金属を用いるので、圧電素子の分極状態を劣化さ
せることもない。
【0164】上記(16)の実施態様によれば、目的の
領域に微細な弾性部材領域を所定の空隙部寸法で基板面
に垂直方向に容易にできる。また、エッチングはSiを
全てエッチングしたところでもPZT圧電素子材料がエ
ッチングされることはない。故に、微細なマイクロ圧電
振動子を同時に多数、ばらつきなく製造することができ
る。また、空隙の深さDと基板の板厚HがD=Hである
条件が自動的に実現される。
【0165】上記(17)の実施態様によれば、弾性部
材の材質、底面形状を選択できる範囲が広がる。したが
って、弾性部材表面に沿った振動に対してのみ弾性率の
大きな、異方性のある弾性材料を利用することが可能と
なる。
【0166】上記(18)の実施態様によれば、接着層
が一切なく、薄板状圧電素子が5〜50μmの厚膜とな
る。よって、最適の静電容量値が得られ、センサとして
利用するとS/Nの良好なセンサが得られる。また接着
時に必要なマイクロ位置合わせ、マイクロ接合、薄板状
電素子のマイクロハンドリングといった煩わしく、信頼
性に致命的な影響を及ぼしかねないマイクロ加工・組立
技術を用いないで済む。高信頼性、高品質のマイクロ圧
覚、接触センサを再現性良く、低いコストで製造できる
ようになる。
【0167】上記(19)の実施態様によれば、所定の
サイズ、例えば100ミクロン角のノズルを用いると、
そのサイズで膜厚が5〜50ミクロンのPZT厚膜が成
膜できる。これは、湿式成膜法ではなく、バインダ成分
を一切用いていない。したがって、フォトリソ工程を必
要としないで、微小サイズ5〜50ミクロンの圧電厚膜
が形成できる。また、圧電厚膜も、その内部に不要イオ
ンを残存しないので、経時特性に優れた圧電厚膜が得ら
れ、安定な動作をするマイクロ圧電振動子が得られる。
【0168】また、上記(20)の実施態様によれば、
マイクロ圧電振動子を構成する圧電厚膜の圧電活性部が
形成できる。したがって、マイクロ圧電振動子が再現性
良く得られる。
【0169】上記(21)の実施態様によれば、マイク
ロ圧電振動子とその駆動回路用部品を極近に近在させて
動作させる。したがって、配線に重畳する高周波雑音等
を除去できる。マイクロ圧電振動子と駆動回路をモジュ
ール化し極力マイクロ化すると共に、S/N劣化を防ぐ
ことができる。また、基板の材質の選択の自由度が大き
くなる。
【0170】上記(22)の実施態様によれば、モノリ
シックにマイクロ圧電振動子の駆動回路やセンサ信号処
理回路を半導体プロセスで形成しておき、圧電素子接合
後、Siマイクロ加工技術、特に化学エッチング法で弾
性部材部を形成することが容易にできる。これにより、
マイクロ化が可能なマイクロ圧電振動子モジュールが実
現でき、且つSiで弾性部材を構成することになるの
で、感度の良いセンサとして利用できる。
【0171】上記(23)及び(24)の実施態様によ
れば、マイクロ圧電振動子を含んだ複数の発振回路のそ
れぞれの出力、特にその発振回路数が異なる場合、その
複数の処理回路(増幅器、2波合成回路)を経て複数の
信号を合成して、1つの振動にした上で電源線と導く。
したがって、1つのモジュール当たりのセンサ信号が複
数になっても、同一の電源線に乗せられるので、省線化
に貢献することができる。
【0172】そして、上記(25)及び(26)の実施
態様によれば、複数のセンサ信号が1つの信号へ合成さ
れた後、その出力を低周波数に分周されFM変調手段を
備えたFM送信回路を経て、無線で信号伝達される。し
たがって、更に省線化できると共に、1モジュール当た
り複数のセンサ信号をモニタできる位置の自由度が大き
くなる。例えば、マイクロカテーテルにセンサモジュー
ルを搭載し、カテーテルを体内に挿入する時、センサ信
号のモニタは必ずしもカテーテルの操作部を経る必要が
なくなり、操作性が大幅に飛躍する。
【0173】上記(27)の実施態様によれば、1つの
基板状圧電素子で異なる方向の振動を起こせるマイクロ
圧電振動子を構成する。したがって、このマイクロ圧電
振動子をマイクロ触覚センサに利用することにより、微
小寸法で異なる方向の対象物の粘弾性特性を検出できる
ようになる。
【0174】上記(28)の実施態様によれば、該接合
層は薄板状圧電素子と、その周囲で支持する基板との周
囲保持部の接合、及び圧電素子圧電活性部に施されたパ
ターン電極と、基板と同一材質から成る弾性部材との接
合に作用する。よって、低融点金属合金を用いて接合す
る時のように、基板側、圧電素子側共に接合用パッドを
必要としない。また弾性部材形成時、化学エッチング法
を使用すると、この絶縁性樹脂接着層の存在によって、
エッチングがストップし、圧電材料が腐食されることを
防げる。更に、この絶縁性樹脂接着層は最終的にも圧電
素子等、弾性部材、すなわち受圧部と反対側に配設され
た電極、配線、回路部品等に対する測定環境による損傷
を和らげるという効果を有している。
【0175】上記(29)及び(30)の実施態様によ
れば、透明であるため、接合部の接合状態が明瞭に観察
できる。これにより、圧電素子と基板、または圧電素子
と弾性部材の間に強固な接合状態を実現でき、信頼性の
高いマイクロ圧電振動子モジュールの実現に寄与する。
【0176】上記(31)の実施態様によれば、光照射
で接合を実現することができる。つまり、一切加熱を必
要とせずに接合ができるので、マイクロ圧電振動子モジ
ュールに歪を残さない。したがって、信頼性の高いセン
サモジュールを提供することができる。
【0177】上記(32)の実施態様によれば、孔空き
部越しジェットプリンティングし、該マスクを除去する
ことによって、厚さ分布が小さく、厚膜のエッジのきれ
いな微小寸法の圧電厚膜を形成することができる。
【0178】また、上記(33)の実施態様によれば、
1次元または2次元的に対象物に接触し、広がりのある
対象物の粘弾性特性分布を検出できるようになる。上記
(34)の実施態様によれば、一度にウェーハ単位の成
膜を行うことができるので、特性ばらつきの少ない、単
位、または1次元、または2次元モジュールが多数再現
性良く得られる。
【0179】そして、上記(35)の実施態様によれ
ば、マイクロ圧電振動子に圧力が加わったり、特定の機
械インピーダンスを有する対象物が接触すると、特定の
周波数でのマイクロ圧電振動子の位相が変化する。この
位相変化を検出する手段とで感度の良いマイクロ圧電セ
ンサとなる。したがって、感度、S/Nの良いマイクロ
圧電センサが得られる。
【0180】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、生体が
有する圧覚情報または粘性特性やその異方性、非線形と
いった触覚情報を検出することのできるマイクロ圧電振
動子とその製造方法及びマイクロ圧電振動子モジュール
とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による第1の実施例を示したマイクロ
圧電振動子の構成図で、(a)は上面図、(b)は断面
図、(c)は(b)の一部を拡大した断面図、(d)は
下面図である。
【図2】第1の実施例によるマイクロ圧電振動子の製造
工程途中を示したもので、(a)は上面図、(b)は断
面図、(c)は薄板状圧電素子の電極構造を示した図、
(d)は基板への接合面側に於ける薄板状圧電素子の電
極構造を示した図である。
【図3】第1の実施例によるマイクロ圧電振動子の製造
工程途中を示したもので、(a)は上面図、(b)は断
面図、(c)は(b)の一部を拡大して示した断面図で
ある。
【図4】第1の実施例によるマイクロ圧電振動子の製造
工程途中を示したもので、(a)は上面図、(b)は断
面図である。
【図5】第1の実施例によるマイクロ圧電振動子の製造
工程途中を示したもので、(a)は上面図、(b)は断
面図である。
【図6】この発明の第2の実施例を示した構造を示した
もので、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図7】この発明の第3の実施例によるマイクロ圧電振
動子の構造を示したもので、(a)は上面図、(b)は
断面図、(c)は圧電素子に施された電極及び接合パッ
ドを示した図、(d)は基板への接合面側に於ける圧電
素子の電極構造を示した図である。
【図8】第3の実施例によるマイクロ圧電振動子用薄板
圧電素子の製造工程を示した図である。
【図9】図7のマイクロ圧電振動子をセンサに応用した
場合の信号伝送系を示すブロック図である。
【図10】この発明の第4の実施例によるマイクロ圧電
振動子をセンサに応用した場合の信号処理系の回路図で
ある。
【図11】第4の実施例によるマイクロ圧電振動子モジ
ュールの構造を示したもので、(a)は上面図、(b)
は断面図、(c)は圧電素子の電極構造を示した図、
(d)は基板への接合面側に於ける圧電素子の電極構造
を示した図である。
【図12】この発明の第5の実施例に従ったマイクロ圧
電振動子モジュールの製造方法による工程途中を示した
もので、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図13】この発明の第5の実施例に従ったマイクロ圧
電振動子モジュールの製造方法による工程途中を示した
もので、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図14】この発明の第5の実施例に従ったマイクロ圧
電振動子モジュールの製造方法による工程途中を示した
もので、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図15】この発明の第5の実施例に従ったマイクロ圧
電振動子モジュールの製造方法による工程途中を示した
もので、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図16】この発明の第5の実施例に従ったマイクロ圧
電振動子モジュールの製造方法による工程を示したもの
で、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図17】第5の実施例の変形例を示したもので、
(a)は上面図、(b)及び(c)は断面図である。
【図18】この発明の第6の実施例によるマイクロ圧電
振動子モジュールとモジューレアレイの製造工程を示し
た図である。
【図19】従来の脳血管診断治療用マイクロカテーテル
の使用状態を示した図である。
【図20】図19のマイクロカテーテルの使用状態を拡
大して示した図である。
【図21】従来の圧電振動子の構造を示した図である。
【符号の説明】
14…基板、15…圧電素子、151 …分極部、16…
弾性部材、17…背面保護膜、18…表面保護膜、1
9、20…空隙部、21…n- Si基板、22…p-
域、23、24…n+ 領域、25…メタルゲート領域、
26、27…p+領域、28、43、44、45…配
線、29…端子パッド、30…パッド部、31…信号処
理回路、32a、32b、32c、32d、34…接合
用パッド、33…圧電活性部電極、35a、35b、3
5c…接合部、36…圧電活性部電極、37、38…誘
電体コンデンサ用電極、39、40…誘電体コンデンサ
用電極、41、42…誘電体コンデンサ部、46…電源
端子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 41/22 H03H 9/17 H // A61M 25/01 A61M 25/00 309 B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その両面にパターン化したパターン電極
    を配置した薄板状圧電素子と、 この薄板状圧電素子の近傍に設けられて該圧電素子を保
    持する基板と、 上記薄板状圧電素子の少なくとも上記パターン電極で挟
    まれた領域で該圧電素子が分極状態にあり、該パターン
    電極が配置された位置で上記圧電素子と接合される弾性
    部材とを具備することを特徴とするマイクロ圧電振動
    子。
  2. 【請求項2】 その両面にパターン化した電極を施して
    薄板状圧電素子を形成する工程と、 上記圧電素子の周辺で、該圧電素子を基板に保持させる
    工程と、 上記圧電素子の少なくともパターン電極で挟まれた領域
    で、上記圧電素子が分極状態にあり、上記パターン電極
    が配置された位置で弾性部材を上記圧電素子に接合され
    た状態にする工程とを具備し、 上記弾性部材と基板の間に存在する空隙部が化学エッチ
    ング法によって形成されることを特徴とするマイクロ圧
    電振動子の製造方法。
  3. 【請求項3】 両面にパターン化したパターン電極を配
    置した薄板状圧電素子と、 この圧電素子の近傍に設けられて該圧電素子を保持する
    基板と、 上記圧電素子の少なくとも上記パターン電極で挟まれた
    領域で、上記圧電素子が分極状態にあり、該パターン電
    極が配置された位置で上記圧電素子と接合される弾性部
    材とを具備し、 上記基板が、圧電振動子駆動回路を集積的に配設してい
    ることを特徴とするマイクロ圧電振動子モジュール。
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KR20160013557A (ko) 2014-07-28 2016-02-05 이종희 압전 펌프를 이용한 맥동억제 펌핑 방법
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