JPH07272A - 調理用鍋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、熱源により加熱した時に短時間で
内鍋全体が均一に加熱され被調理物全体を均一に調理す
るとともに鍋からの放熱を少なくして被調理物の調理や
保温を効率よく行う調理用鍋を提供することを目的とす
るものである。 【構成】 本発明の調理用鍋４は、そのほとんどまたは
全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末５‥を圧縮して高
温により焼結した基材により構成し、この鍋４を熱源に
より加熱する場合に、鍋全体を均一に、且つ短時間で加
熱可能としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば電気炊飯器の内
鍋やガスコンロ等に載置して調理する鍋に有用な調理用
鍋に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に電気炊飯器に使用される内鍋は、
絞り加工等により成形が簡単であり、且つ安価で軽量な
ことからアルミニウムが用いられている。

【０００３】ところが、電気炊飯器の場合は炊飯用の主
ヒータを炊飯器本体内の底部に設けて前記主ヒータの上
に内鍋を載せて加熱するようにしていることから、炊飯
時には主ヒータが内鍋の底部を集中して加熱するため、
内鍋の底部の温度上昇が早く炊き上がりが早くなるもの
の内鍋の側面は前記主ヒータよりも離れているため温度
上昇が遅く底部に比べて炊き上がりが遅くなり出来映え
の悪いものとなった。

【０００４】特に、内鍋の上方中央部は前述のように側
面からの熱伝導が悪いために生煮えの状態となり味の悪
いものとなる。このため、内鍋内の各部の御飯を均一に
炊き上げることを目的として、例えば特開平２−９５３
１８号に見られるように内鍋を収納する内鍋収納容器の
側面に側面ヒータを設け、該側面ヒータを炊飯中に通電
して内鍋全体から加熱するようにしている。勿論、この
側面ヒータは主として蓋ヒータや前記主ヒータとともに
炊飯終了後の保温時に通電して御飯を内鍋の全面から保
温するために設けたものであるが、炊飯時には発熱量を
大きく、保温時には発熱量を小さくする必要がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のアル
ミニウムによる内鍋は、確かに成形が簡単で軽量である
ものの内鍋全体を短時間で高温にすることができずヒー
タが位置する部分の温度は高いが他の部分は低くなって
温度ムラを生じ炊き上がりが悪くなる欠点があった。こ
のことは、前記内鍋を軽量にするためにその厚みを比較
的薄く成形したことに起因しており、ヒータの熱が薄い
内鍋を伝達してヒータの取付位置に対応する御飯が必要
以上に高温となるためである。さらに、前述のアルミニ
ウムによる内鍋内に被調理物を入れガスコンロに載置し
て加熱した場合にはガスバーナの炎がリング状であるた
めに被調理物の底にリング状の焦げ部分ができ、特にホ
ットケーキのような狐色に焼き上げる菓子においては見
映えが悪く視覚的な美味しさを欠くものであった。

【０００６】また、前記アルミニウムによる内鍋は、い
わゆる熱容量が小さいために熱しやすく冷めやすい性質
がある。このことから、保温時には内鍋からの放熱を考
慮して主ヒータや側面ヒータの発熱量を微妙にコントロ
ールする必要があり、その制御が難しかった。

【０００７】そこで本発明は、ヒータやガスバーナ等の
熱源により加熱した時、短時間で内鍋全体が均一に加熱
され被調理物全体を均一に調理するとともに鍋からの放
熱を少なくして被調理物の調理や保温を効率よく行うこ
とができる調理用鍋を提供することを課題とするもので
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の調理用鍋は、そ
のほとんどまたは全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末
を圧縮して高温により焼結した基材により構成したもの
である。

【０００９】また、前記鍋の内底部の中央部に、鍋内の
上方に向かって延びる伝熱棒を垂設してもよい。また、
前記伝熱棒の周壁に、前記鍋内の水量を表す水位表示部
を設けてもよい。

【００１０】また、本発明の調理用鍋は、そのほとんど
または全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末に磁性材料
を混合した材料を圧縮して高温により焼結した基材によ
り構成することができる。

【００１１】また、前記鍋を施蓋する蓋体のほとんどま
たは全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末を圧縮して高
温により焼結した基材により構成することもできる。

【００１２】

【作用】本発明は、そのほとんどまたは全部を熱伝導が
良好なカ−ボン粉末を圧縮して高温により焼結し所望の
形状に成形したため、ヒータやガスバ−ナ−等の熱源に
より加熱した場合は熱源の熱がカ−ボンの熱伝導性質に
よって短時間で鍋の各部の温度が上昇し被調理物全体を
均一に加熱する。そして、前記鍋はカ−ボン粉末を圧縮
して高温により焼結したことにより、その鍋形状を保持
することから比較的厚みがあり熱容量が大きくなる。鍋
の加熱時には前述のようにカ−ボン粉末によって被調理
物が短時間に、且つ均一に加熱され、加熱停止後は鍋自
身の熱容量により放熱が少なくなり、必要以上の熱源の
消費を抑える。

【００１３】また、前記鍋の内底部の中央部に、鍋内の
上方に向かって延びる伝熱棒を垂設すれば、特に内容積
の大きな鍋にあっても前記伝熱棒によって鍋内の中央部
や上部の被調理物を積極的に加熱して被調理物全体を均
一に加熱する。

【００１４】また、前記伝熱棒の周壁に、前記鍋内の水
量を表す水位表示部を設ければ、鍋の内壁に設けたもの
に比べて水位の確認が行いやすくなる。

【００１５】また、前記鍋は、主に熱伝導が良好なカ−
ボン粉末であり一部を磁性材料を用いて混合し、その
後、圧縮して高温により焼結し所望の形状に成形すれ
ば、例えば、熱源として誘導コイルに電流を流し、その
渦電流により加熱するいわゆる誘導加熱式の調理器にも
使用できる。この場合でも鍋全体が短時間で加熱され、
且つ、カ−ボン粉末により鍋全体の温度が均一となる。

【００１６】また、前記鍋の上方開口部の周縁にフラン
ジを設け、該フランジに載置するそのほとんどまたは全
部を熱伝導が良好なカ−ボン粉末を圧縮して高温により
焼結し所望の形状に成形した蓋を設ければ、前記鍋の熱
がフランジを介して蓋に伝導し、被調理物は鍋の底面と
側面のみならず蓋の温度による上面からも加熱される。

【００１７】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図１は本発明の調理用鍋（４）を実装し、ヒータ（３）
によって加熱する電気炊飯器の断面図、図２は同じく調
理用鍋（４）の断面図、図３は調理用鍋（４）の伝熱棒
（８）を拡大した側面図である。

【００１８】図において、（１）は鍋本体、（２）は該
鍋本体（１）内の底部に設置したヒータ（３）を有する
ド−ナッツ状の熱板である。（４）は前記鍋本体（１）
内に収納し、その底部を前記熱板（２）に載置する調理
用の鍋で、これを構成する基材は、そのほとんどまたは
全部を熱伝導が良好なカ−ボン粉末（５）‥を圧縮して
有底筒状に成形後高温により焼結して構成しており、こ
の成形品はその形状（鍋形状）を維持するために比較的
厚みを有している。そして、前記鍋（４）の上方開口部
（６）の周縁にはフランジ（７）を設けている。前記カ
−ボン粉末（５）‥の単体での熱伝導率（λ）は、０.
１６（Ｋｃａｌ／ｍｈ℃）であるが、圧縮し高温度で焼
成することにより密度が高くなり、数倍の熱伝導率とな
る。

【００１９】また、前記カ−ボン粉末（５）‥の比重量
（γ）は、１,５４０（Ｋｇ／ｍ³）であり、比較的、熱
伝導率が高く、一般的に軽量とされるアルミニウムの比
重量（γ）＝２,７１０（Ｋｇ／ｍ³）に比べて軽い。例
えば、前述したように、圧縮して高温により焼結した場
合の本発明の成形品の重量を１とした場合に、本発明の
成形品と同寸法のアルミニウムは１．４５，鉄は４．２
３，銅は４．８２であり、非常に軽量となる。（８）は
前記鍋（４）の内底部の中央部に該鍋内の上方に向かっ
て延びる伝熱棒で、前記鍋（４）と一体に垂設してお
り、その周壁には鍋内の水量を表す目盛（９）‥を印し
た水位表示部（１０）を設けている。この場合の目盛
（９）‥は鍋のどの方向からも確認ができるように伝熱
棒（８）の周囲に設けることが望ましい。

【００２０】（１１）は前記フランジ（７）に載置して
施蓋する鍋（４）の蓋で、前記鍋（４）と同様にそのほ
とんどまたは全部を熱伝導が良好なカ−ボン粉末（５）
‥を圧縮して高温により焼結し所望の形状に成形した基
材により構成している。

【００２１】（１２）は前記鍋本体（１）に開閉自在に
設けられ前記蓋（１１）の上方を覆う蓋体である。（１
３）は前記ヒータ（３）の中央部より露出して前記鍋
（４）の外底面に当接する調理（炊飯）状態検出用の温
度センサーで、複数の温度、例えば調理（炊飯）完了の
検出、保温温度等を検出して制御回路（図示せず）に入
力する。

【００２２】次に動作について説明する。始めに、所定
量の米を前記鍋（４）内に入れた後、米量に応じた水を
入れるわけであるが、この時の水量は前記伝熱棒（８）
に印された目盛（９）に合わせて入れる。

【００２３】その後、前記鍋（４）を前記ヒータ（３）
に載置し、前記蓋（１１）を前記鍋（４）のフランジ
（７）に載置して蓋体（１２）を閉じる。前記ヒータ
（３）の通電により該ヒータの熱は前記鍋（４）の外底
部に伝導しカ−ボンの熱伝導性質によって短時間に鍋の
各部の温度が上昇する。同条件による実験結果では、本
発明の成形品は、アルミニウムに比べて７２％早い時間
で所定の温度に達した。

【００２４】また、カ−ボンの熱伝導性質によって高温
となった鍋（４）のフランジ（７）から前記蓋（１１）
に熱伝導して、該蓋も前記鍋（４）の温度に近い温度ま
で上昇して鍋内の米と水を上方から加熱する。同時に前
記鍋（４）の内部中央部（図１のＰ）は前記伝熱棒
（８）によって積極的に加熱される。

【００２５】このため、前記鍋（４）は炊飯開始後の短
時間で各部の温度がほぼ均一となり該鍋内の各部の米と
水を均一に効率よく加熱する。

【００２６】かくして、前記鍋（４）内の水がなくなり
急激に温度上昇すると、この温度上昇を検出した温度セ
ンサー（１３）はその信号を制御回路に入力して前記ヒ
ータ（３）の通電を停止する。その後、前記鍋（４）内
の温度が保温温度（約７０度）まで低下すると、前記ヒ
ータ（３）に通電して再び前記鍋（４）を加熱するわけ
であるが、この場合のヒータ（３）の発熱量は前記鍋
（４）の厚みによって熱容量が大きく放熱が少なくなる
ことから、少ない発熱量にて加熱することにより前記鍋
（４）の全体と蓋（１１）を同時に均一に加熱し、全面
保温ができる。

【００２７】図４は本発明の調理用鍋を実装し、誘導加
熱にて加熱する電気炊飯器の断面図である。一般的には
カ−ボンは非磁性体であるため、誘導コイルに通電して
も渦電流の発生がなく発熱をしない。このため、本実施
例では、前記鍋（４）をカ−ボン粉末により成形した場
合であっても、誘導加熱にて加熱することができるよう
にしている。即ち、前記鍋（４）の外底部と外側下部と
に配置した誘導コイル（１４）、（１５）により前記鍋
（４）自体を発熱させるべく、前記鍋（４）は、主に熱
伝導が良好なカ−ボン粉末（５）‥を使用し、一部に鉄
粉等の磁性材料（１６）‥を混合し、その後、圧縮して
高温により焼結し所望の形状に成形している。従って、
前記誘導コイル（１４）、（１５）に通電すると、磁性
材料（１６）‥を介して渦電流が発生し鍋自身が発熱す
る。

【００２８】尚、本実施例では、誘導コイルを鍋の外底
部と外側下部とに配置したが、外側下部の誘導コイルは
必ずしも必要としない。

【００２９】また、上記実施例では熱源としてヒータを
用いたり誘導コイルにより鍋自身を発熱させたが、ガス
コンロのバーナーであってもよく、被調理物は煮物料理
であってもよい。

【００３０】

【発明の効果】以上のように本発明の調理用鍋は、その
ほとんどまたは全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末を
圧縮して高温により焼結した基材により構成したため、
前記鍋を加熱した場合は、熱源の熱がカ−ボンの熱伝導
性質によって短時間で鍋の各部の温度が上昇し被調理物
全体を均一に加熱することができる。その結果、被調理
物の出来映えがよくなり、従来のように鍋の内壁上方に
位置する被調理物が加熱不足になるといった欠点がな
い。また、鍋は非常に軽量であり掃除や運搬が容易であ
る。

【００３１】さらに、前記鍋はカ−ボン粉末を圧縮して
高温により焼結したことにより、その鍋形状を保持する
ことから比較的厚みがあり熱容量が大きくなる。鍋の加
熱時には前述のようにカ−ボン粉末によって被調理物が
短時間に、且つ均一に加熱され、加熱停止後は鍋自身の
熱容量により放熱が少なくなり、必要以上の熱源の消費
を抑えることができる。

【００３２】また、前記鍋の内底部の中央部に、鍋内の
上方に向かって延びる伝熱棒を垂設すれば、前記伝熱棒
によって鍋内の中央部や上部の被調理物を積極的に加熱
して被調理物全体を均一に加熱することができ、特に内
容積の大きな鍋にあっては有効である。

【００３３】また、前記伝熱棒の周壁に、前記鍋内の水
量を表す水位表示部を設ければ、鍋内の水位の確認が鍋
の内壁に水位表示部を設けたものに比べて水位の確認が
行いやすくなる。

【００３４】また、本発明の調理用鍋は、そのほとんど
または全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末に磁性材料
を混合した材料を圧縮して高温により焼結した基材によ
り構成することにより、例えば、熱源として誘導コイル
に電流を流し、その渦電流により加熱するいわゆる誘導
加熱式の調理器にも使用できる。この場合でも鍋全体が
短時間で加熱され、且つ、カ−ボン粉末により鍋全体の
温度が均一となる。

【００３５】また、前記鍋を施蓋する蓋体のほとんどま
たは全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末を圧縮して高
温により焼結した基材により構成すれば、前記鍋の熱が
フランジを介して蓋に伝導し、被調理物は鍋の底面と側
面のみならず蓋の温度による上面からも加熱することが
出来、蓋を加熱するヒータが不要となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の調理用鍋を実装したヒータによって加
熱する電気炊飯器の断面図である。

【図２】同じく調理用鍋の断面図である。

【図３】同じく調理用鍋の伝熱棒を拡大した側面図であ
る。

【図４】本発明の調理用鍋を実装し誘導加熱にて加熱す
る電気炊飯器の断面図である。

【符号の説明】

１ 鍋本体 ４ 鍋 ５ カ−ボン粉末 ６ 上方開口部 ７ フランジ ８ 伝熱棒 １０ 水位表示部 １１ 蓋

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 そのほとんどまたは全部を、熱伝導が良
   好なカ−ボン粉末を圧縮して高温により焼結した基材に
   より構成したことを特徴とする調理用鍋。
2. 【請求項２】 前記鍋の内底部の中央部に、鍋内の上方
   に向かって延びる伝熱棒を垂設したことを特徴とする請
   求項１に記載の調理用鍋。
3. 【請求項３】 前記伝熱棒の周壁に、前記鍋内の水量を
   表す水位表示部を設けたことを特徴とする請求項２に記
   載の調理用鍋。
4. 【請求項４】 そのほとんどまたは全部を、熱伝導が良
   好なカ−ボン粉末に磁性材料を混合した材料を圧縮して
   高温により焼結した基材により構成したことを特徴とす
   る調理用鍋。
5. 【請求項５】 前記鍋を施蓋する蓋体のほとんどまたは
   全部を、熱伝導が良好なカ−ボン粉末を圧縮して高温に
   より焼結した基材により構成したことを特徴とする請求
   項１もしくは請求項４に記載の調理用鍋。