JPH072723Y2 - 油圧ショベルのエクステンションブーム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、油圧ショベルのエクステンションブームに関
するものである。

〔従来の技術〕 周知のように、油圧ショベルは汎用性に優れている関係
上、油圧ショベルはそのアタッチメントを変えることに
より各種の作業、例えば掘削した土砂のダンプトラック
への積み込み作業、建築物の解体作業等に多用されてい
る。ところが、作業現場の状況によってはブームとアー
ムとこれらを屈曲作動させる油圧シリンダ等とからなる
作業装置の高さが低い、所謂小型の機種を使用せざるを
得ない場合が多々ある。そのような場合、以下のような
方法にて作業装置の全長を延長している。

先ず、第一の従来例では、その要部構成説明図の第３図
において示すように、バケット（58）を取外したアーム
（57）の先端側に、エクステンションアーム（60）を外
嵌して、ピン（60a）により固着すると共に、そにエク
ステンションアーム（60）の遊端側でバケット（58）を
装着していた。故に、このエクステンションアーム（6
0）の長さ分だけ作業装置の全長が延長される。なお、
アーム（57）を支持している符号（56）で示す部品はブ
ームであり、図示省略しているが、このブーム（56）は
走行装置により旋回自在に支持されてなる旋回フレーム
に連結されているのは勿論である。

次の第二の従来例では、その要部構成説明図の第４図に
おいて示すように、標準仕様のブームの長さよりもその
長さが長い特殊仕様になるロングブーム（56）を、走行
装置（52）で旋回自在に支持されてなる旋回フレーム
（51）に装着することにより、作業装置の全長を延長し
ていた。なお、旋回フレーム（51）とロングブーム（5
6）との間に設けられている部品はブームシリンダ（5
5）であり、またこのロングブーム（56）にそのボトム
側が枢着されているのはアームシリンダ（57a）であ
る。

また、第三の従来例では、その要部構成説明図の第５図
において示すように、標準仕様のブーム（56）の下部と
走行装置（52）により旋回自在に支持されている旋回フ
レーム（51）との間にエクステンションブーム（61）を
介設すると共に、これら両者を油圧シリンダ（62）によ
り屈曲自在に支持してなる、所謂２ピースタイプブーム
として作業装置の全長を延長していた。なお、旋回フレ
ーム（51）とエクステンションブーム（61）の間に配設
されている油圧シリンダはブームシリンダ（55）であ
り、またこのブーム（56）にそのボトム側が枢着されて
いる油圧シリンダはアームシリンダ（57a）である。

このように、上記した例では何れも作業装置の全長が延
長されるので、標準仕様の作業装置を装着した油圧ショ
ベルでは不可能な作業を容易に実施することができる。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記した従来の技術によれば、標準仕様の作業装置を備
えた油圧ショベルでは不可能な作業が可能になるのでそ
れなりに有用であるが、未だ以下に説明するような問題
点を持っている。

即ち、第一の従来例では、アームの先端にエクステンシ
ョンアームを外嵌するのであるから、作業装置の先端側
が重くなのでこれを装着した油圧ショベルの安定性が悪
くなり、例えばバケットを装着する場合には標準仕様の
バケット容量よりも小容量のバケットを装着しなければ
ならず、作業能率が減少するのに加えて、作業中におい
て転倒する恐れが生じる。勿論、旋回フレームの後方に
重い重量のカウンターウエイトを装着すれば安定生を確
保できるが、このフレームを支持する旋回リングギヤ等
に過大な負荷が作用するので油圧ショベルにとって決し
て好ましいことではない。

また、第二の従来例では、作業装置のアームの重量が変
わらないものの、特殊仕様のロングブームを必要とする
ので経済的に不利になるのに加えて、水平方向の作業半
径が必然的に大きくなるので、第一の従来例と同様な問
題点がある。

また、第三の従来例では油圧シリンダを作動して下側の
エクステンションブームを垂直に近い状態にすれば、作
業時の安定性を損なうことなく作業装置の必要高さを維
持することができるが、油圧シリンダを始め、これを作
動させる為の操作弁等を必要とするので、経済的に不利
になるばかりでなく、メインテナンス上も不利になると
いう問題点も生じることになる。

従って、本考案は上記問題点を解決し、安定性を損なう
ことなく作業装置の高さを高め得る低コストの油圧ショ
ベルのエクステンションブームの提供を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記した問題点を解決する為に本考案が採用した油圧シ
ョベルのエクステンションブームの構成は、前後進自在
な走行装置により旋回自在に支持される旋回フレームの
ブームの揺動支持位置と該揺動支持位置より前側の前記
ブームを揺動させるブームシリンダのシリンダ支持位置
とに垂直状態で着脱自在に装着され、上部に、前記揺動
支持位置とシリンダ支持位置と同位置関係を有する前記
ブームの一端を支持するブーム支持部と、前記ブームシ
リンダの一端が枢着されるシリンダ枢着部とを有してな
ることを特徴とする。

〔作用〕

本考案では油圧ショベルのエクステンションブームの構
成を以上のようにしたので、作業装置の垂直方向の高さ
は高くなり、かつ着脱自在で、しかも上部に、旋回フレ
ームに設けられた揺動支持位置とシリンダ支持位置と同
位置関係を有するブームの一端を支持するブーム支持部
と、ブームシリンダの一端が枢着されるシリンダ枢着部
とを有している為、複数のエクステンションブームを多
段に積み重ねることによりその高さを自由に高くするこ
とができるが、このことによって水平方向の作業範囲が
大きくなることがない。

しかも、このエクステンションブーム自体の重量は旋回
フレームによって受け持たれるので、作業装置自体の先
端の重量が重くなることがなく、余分な油圧シリンダを
装着する必要がない。

〔実施例〕

本考案の実施例を、油圧ショベルの模式的構成説明図の
第１図を参照しながら説明する。

即ち、図において示す符号（１）は旋回フレームであ
り、この旋回フレーム（１）は一対の無限軌道により前
後進自在に走行する走行装置（２）により支持されてい
る。そして、旋回フレーム（１）の、図における上部に
おいて斜め上下位置関係を有して穿設されたピン孔には
連結ピン（３）、（４）を各々嵌装し、これらの連結ピ
ン（３）、（４）により、旋回フレーム（１）にエクス
テンションブーム（10）を固着した。

そして、このエクステンションブーム（10）を、油圧シ
ョベルの前後方向に長径を有する矩形断面の箱型構造と
し、その下部に前記連結ピン（３）、（４）が嵌装され
るピン孔と同様な位置関係を有すると共に、同内径のピ
ン孔（図示省略）を穿設し、さらに上部にも前記連結ピ
ン（３）、（４）が嵌合されるピン孔と同位置関係を有
すると共に、同内径のピン孔（図示省略）を穿設してな
る構成とした。次いで、このような構成になるエクステ
ンションブーム（10）の下部のピン孔を旋回フレーム
（１）の上側のピン孔に合わせると共に、各々のピン孔
に連結ピン（３）、（４）を嵌装してこのエクステンシ
ョンブーム（10）を固着した。また、このエクステンシ
ョンブーム（10）の上部の二つの貫通孔のうち、図にお
ける左側の貫通孔に嵌装したシリンダ連結ピン（3a）に
よりブームシリンダ（５）のボトム側を、右側の貫通孔
に嵌合したブーム連結ピン（4a）によりブーム（６）の
一端を各々支持すると共に、このブーム（６）の遊端側
にはアーム（７）を連結し、またこのアーム（７）の先
端にはバケット（８）を装着して、所謂前記エクステン
ションブーム（10）の上側は標準仕様の油圧ショベルの
作業装置をそのまま装着してなる構成とした。

なお、ブーム（６）にそのボトム側が枢着されると共に
ロッドの先端がアーム（７）の一端に枢着されている油
圧シリンダはアームシリンダ（7a）であり、、またこの
アーム（７）にそのボトム側が枢着され、ロッド先端が
バケット（８）に枢着されている油圧シリンダはバケッ
トシリンダ（8a）である。

以下、このような構成になるエクステンションブーム
（10）を装着した油圧ショベルの作用態様を説明する
と、第１図からよく理解されるように、ブーム（６）の
装着位置は旋回フレーム（１）の通常の油圧ショベルに
おけるブーム支持位置の真上方にあるから、その作業装
置の全体高さはエクステンションブーム（10）の高さ分
だけ高くなるが、作業装置の水平方向の長さは変わるこ
とがない。当然油圧ショベル自体の安定性に関しては、
モーメント計算上ではエクステンションブーム（10）を
装着していない状態で標準仕様の作業装置を装着した油
圧ショベルに比較して若干不利になるが、作業中におい
てこのエクステンションブーム（10）を装着したことに
よる油圧ショベル自体の安定性に対して殆ど悪影響を及
ぼすことがなかった。

因みに、11TON積みのダンプトラックには積み込み作業
をすることのできない0.3m³クラスの油圧ショベルに、
高さ1mのエクステンションブームを適用することによ
り、何の支障もなくバケットで掘削した土砂等をダンプ
トラックに積み込むことができた。

また、多段のエクステンションブームを装着した油圧シ
ョベルの模式的構成説明図の第２図において示すよう
に、上記した構成になるエクステンションブームを多段
に積み重ねることにより、さらに作業装置の高さを高く
することができる。この図はアームの先端に建築物を挟
圧破砕して解体するアタッチメント、所謂ニブラ（９）
を装着してなるもので、このように標準仕様の作業装置
のアームの先端にニブラ（９）を装着したものでは不可
能な高さの建築物を、より大型クラスの油圧ショベルを
活用するまでもなく、この小型クラスの油圧ショベルで
容易に解体することができるので、油圧ショベルの汎用
性をさらに拡大することができるだけでなく、小型ショ
ベルであるが故に工事費の削減が可能になり経済的にも
極めて有利になった。そして、エクステンションブーム
（10）を取外した後、その位置に標準仕様のブーム
（６）とブームシリンダ（５）とを連結することによ
り、容易に標準仕様の作業装置を装着してなる油圧ショ
ベルに復元することができる。

なお、上記例では無限軌道を備えた走行装置を有してな
る油圧ショベルについて説明したが、タイヤ走行になる
走行装置を有してなる油圧ショベルにもこの考案になる
エクステンションブーム（10）を適用することができ
る。

また、以上説明した実施例は本考案の具体例に過ぎず、
従ってこの実施例によってこの考案の技術的思想の範囲
が限定されるものではない。

〔考案の効果〕

本考案になるエクステンションブームを油圧ショベルに
適用すれば、作業装置の垂直方向の高さは高くなり、同
構成の複数のエクステンションを多段に積み重ねること
によりその高さを自由に高くしても、作業装置の水平方
向の作業範囲が大きくなることがなく、しかもこのエク
ステンションブームの重量は旋回フレームによって受け
持たれるので、第一の従来例のように標準容量のバケッ
トより小容量のバケットを装着する必要がなくなり、こ
れを装着した油圧ショベルの安定性が悪くなることもな
くなった。

また、第二の従来例のように、このブームは水平方向の
作業半径が大きくならないので、これを水平方向に揺動
させても作業時の安定性が損なわれれず、そして特殊仕
様のロングブームを必要としないので経済的に極めて有
利になった。

また、第三の従来例のように、余分な油圧シリンダやこ
れを作動させる為の操作弁等を設ける必要もないので、
その構造が簡単であって、しかも経済的にも極めて有利
になった。

従って、本考案によって安定性を損なうことなく作業装
置の高さを高め得る低コストの極めて優れ、かつ有用な
油圧ショベルのブームエクステンションを実現すること
ができたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す油圧ショベルの模式的構
成説明図、第２図は多段のエクステンションブームを装
着した油圧ショベルの模式的構成説明図、第３図は従来
の第一例の作業装置の延長方法の構成説明図、第４図は
従来の第二例の作業装置の延長方法の構成説明図、第５
図は従来の第三例の作業装置の延長方法の構成説明図で
ある。 （１）……旋回フレーム、（２）……走行装置、
（３）、（４）……連結ピン、（3a）……シリンダ連結
ピン、（4a）……ブーム連結ピン、（５）……ブームシ
リンダ、（６）……ブーム、（10）……エクステンショ
ンブーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前後進自在な走行装置により旋回自在に支
   持される旋回フレームのブームの揺動支持位置と該揺動
   支持位置より前側の前記ブームを揺動させるブームシリ
   ンダのシリンダ支持位置とに垂直状態で着脱自在に装着
   され、上部に、前記揺動支持位置とシリンダ支持位置と
   同位置関係を有する前記ブームの一端を支持するブーム
   支持部と、前記ブームシリンダの一端が枢着されるシリ
   ンダ枢着部とを有してなることを特徴とする油圧ショベ
   ルのエクステンションブーム。