JPH0727231A - 膨張黒鉛シートガスケット - Google Patents

膨張黒鉛シートガスケット

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JPH0727231A
JPH0727231A JP17648593A JP17648593A JPH0727231A JP H0727231 A JPH0727231 A JP H0727231A JP 17648593 A JP17648593 A JP 17648593A JP 17648593 A JP17648593 A JP 17648593A JP H0727231 A JPH0727231 A JP H0727231A
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JP
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expanded graphite
graphite sheet
gasket
sheet gasket
thickness
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JP17648593A
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Takahito Nishida
田 隆 仁 西
Minoru Asahina
稔 朝比奈
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
Original Assignee
Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明に係る膨張黒鉛シートガスケットは、膨
張黒鉛シートと、金属箔または高分子フィルムとが順次
積層されてなるガスケットであって、該ガスケットの表
面層がいずれも膨張黒鉛シートからなっており、上記金
属箔または高分子フィルムが少なくとも2層以上、好ま
しくは3層以上含まれていることを特徴としている。本
発明の好ましい態様においては、上記金属箔の厚さは
0.01〜0.025mmであり、また、上記高分子フ
ィルムの厚さは0.005〜0.05mmであることが
望ましい。 【効果】このガスケットは、透過漏洩量が著しく少な
く、曲げ強度、取扱性に優れている。このような膨張黒
鉛シートガスケットでは、従来例に比べて、使用される
金属箔または樹脂フィルムの総厚さを少なくすることが
できる。このため、所望の層構成の原反シートを容易に
所定形状に打ち抜いて作製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、膨張黒鉛シートガスケッ
トに関し、さらに詳しくは透過漏洩が著しく少なく、シ
ール性に優れた膨張黒鉛シートガスケットに関する。
【0002】
【従来技術】膨張黒鉛は、無機材料であるにもかかわら
ず柔軟性があり、非酸化性雰囲気下では、極低温から超
高温までの広い温度範囲において引張強さ等の機械的性
能が一定であり、耐熱性、耐薬品性などの物理・化学的
性質に優れており、従来より、ガスケットあるいはパッ
キン等のシール材として用いられている。
【0003】その使用例として、当初は金属製平形ガス
ケットの表面に膨張黒鉛ギャザーテープを貼付してなる
ガスケットが使用された。しかしこのガスケットでは、
ギャザーテープ内部を通じた透過漏洩の問題以上に、貼
付されたテープの重なり部分あるいは内径部に生じたシ
ワ(皺)部分での接面漏洩が多く、低面圧下における高
気密性を確保することは困難であるとの問題点があっ
た。
【0004】また、厚い金属板に膨張黒鉛シートを貼合
わせてなる金属平形ガスケットも知られている。このガ
スケットでは、ガスケットの総厚さに占める金属部分の
割合が大きく、また相手部材であるフランジとの接触面
用シール材としてガスケットの表面に膨張黒鉛シートが
貼付されているため、ギャザーテープに見られたような
接面漏洩の問題はなく、膨張黒鉛層も薄く、その膨張黒
鉛部分を通じる透過漏洩は少ない。しかしながら、ガス
ケットの製造に際し、金属板と膨張黒鉛シートとを貼合
わせて打ち抜く作業については、金属板が厚いため打抜
き加工性に欠けるとの問題点が残った。
【0005】そのため、現在では、打抜き加工性に問題
の少ないSUS薄板の上下面に、膨張黒鉛を貼合わせた
ものが一般的に使用されている。また、特開平4-62
042号公報には、膨張黒鉛シート表面に多孔質フッ素
樹脂(PTFE多孔質フィルム)を任意の接着剤を介し
て積層してなる複合ガスケット材料が開示されており、
また芯材として金属薄板を挿入した態様も記載されてい
る。
【0006】これら複合ガスケットにおける金属板(パ
ンチングメタル、金網等を含む)、あるいはPTFE多
孔質フィルムは、いずれも膨張黒鉛シート単体の強度的
もろさを改善するために用いられており、膨張黒鉛シー
トの補強部材としての機能を果している。しかしなが
ら、このようなガスケットでは、ガスケット厚さの大部
分を膨張黒鉛が占めており、透過漏洩が多く、気密性が
充分でないとの問題点がある。
【0007】詳説すれば、膨張黒鉛シートは、それ自体
で通常0.8〜1.5g/cm3(多くは、1.0g/
cm3)の密度を有し、300kgf/cm2以上の面圧
下では1.7g/cm3以上の密度となるが、通常用い
られる100〜200kgf/cm2程度の面圧下で
は、膨張黒鉛シートの層間を貫通する透過漏洩を抑制す
るには密度不足となる。
【0008】例えば、100〜200kgf/cm2
度の一般的な低面圧下において、上記のような膨張黒鉛
シートを使用しようとすると、10ー1〜10ー2atm・
cc/sの浸透漏洩が生じてしまうとの問題点がある。
なお、このような浸透漏洩は、一般的な漏洩検出法であ
る石鹸水塗布法により調べることができ、石鹸水が塗布
された膨張黒鉛シートに連続的な発泡が認められること
から確認できる。
【0009】このような低面圧下において浸透漏洩を生
じるような膨張黒鉛シートガスケットを、一般的な用途
で使用することは困難である。このような膨張黒鉛シー
トガスケットを用いて高い気密性を確保するためには、
フランジ部のボルト等の締め付け具を堅固に締め付ける
必要があるが、これらシートガスケットの用いられるJ
IS10〜20Kフランジでは、ボルト許容応力を大き
く超える締付け力となってしまい、現実的には対応困難
である。
【0010】なお、特開平2-57764号公報には、
膨張黒鉛基体の表面にシリコン樹脂系皮膜が形成された
ガスケットが記載されているが、このガスケットも透過
漏洩について特に考慮されておらず、そのシール性は必
ずしも十分ではない。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、ガスケット内
部を通づる内部流体の透過・浸透漏洩が少なく、気密
性、曲げ強度、取扱性に優れ、容易に打抜いて作製し得
るような膨張黒鉛シートガスケットを提供することを目
的としている。
【0012】
【発明の概要】本発明に係る膨張黒鉛シートガスケット
は、膨張黒鉛シートと、金属箔または高分子フィルムと
が順次積層されてなるガスケットであって、該ガスケッ
トの表面層がいずれも膨張黒鉛シートからなっており、
かつ上記金属箔または高分子フィルムが少なくとも2層
以上、好ましくは3層以上含まれていることを特徴とし
ている。
【0013】本発明の好ましい態様においては、上記金
属箔の厚さは0.01〜0.025mmであり、また、
上記高分子フィルムの厚さは0.005〜0.05mm
であることが望ましい。
【0014】上記のような本発明に係る膨張黒鉛シート
ガスケットは、透過漏洩量が著しく少なく、曲げ強度、
取扱性に優れている。このような膨張黒鉛シートガスケ
ットでは、従来例に比べて、使用される金属箔または樹
脂フィルムの総厚さを少なくすることができる。このた
め、所望の層構成の原反シートを容易に所定形状に打ち
抜いてリングガスケット等を作製することができる。
【0015】すなわち、従来例では膨張黒鉛シートの脆
さを補強し、その取扱性を向上させる目的でステンレス
鋼板等が一層、膨張黒鉛シートの中心に挿入されていた
が(特開平4-62042号公報参照)、本発明におい
ては、金属箔もしくは高分子フィルムと膨張黒鉛シート
とが交互に積層されているので、総厚さの等しい一層の
金属板もしくは樹脂板を用いたと同等以上の強度が得ら
れ、従来例のものより金属もしくは高分子層の総厚さを
減ずることも可能であり、膨張黒鉛シートの脆さを十分
に補強し、しかも曲げ強度および取扱性を向上させるこ
とができる。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る膨張黒鉛シー
トガスケットについて添付図面を参照しつつ具体的に説
明する。なお、図中において同一符号は、同一部材を表
わす。
【0017】本発明に係る膨張黒鉛シートガスケット
は、例えば、図1に示すように、膨張黒鉛シート1A、
1B、1Cと、金属箔または高分子フィルムからなる非
透過層2A、2Bとが順次積層された構造を有してい
る。この膨張黒鉛シートガスケット10では、ガスケッ
トの上下表面層は、いずれも膨張黒鉛シート1A、1C
からなっており、2層の金属箔または高分子フィルムか
らなる非透過層2A、2Bがこれらの膨張黒鉛シート間
に挟まれている。
【0018】このような膨張黒鉛シートガスケットを構
成する、金属箔あるいは高分子フィルムからなる非透過
層について説明する。 [金属箔]この膨張黒鉛シートガスケット10におい
て、非透過層を構成する金属箔2A、2Bとしては、ス
テンレス鋼、鋼鉄、アルミ、銅、ニッケル等、特に限定
されず各種金属箔を用いることができるが、耐熱性およ
び耐食性を考慮すると、オーステナイト系のステンレス
鋼箔が望ましい。腐食され易い金属箔の場合には、その
表面に亜鉛メッキ等の表面処理が施されていてもよい。
【0019】金属箔の厚さは、通常0.01〜0.2m
m、好ましくは0.01〜0.025mmであることが
望ましい。このような厚さの金属箔2A,2Bを用いる
ことにより、金属箔の箔面を介した、層に垂直な方向Y
の内部流体透過は抑制され、それによって膨張黒鉛シー
ト1A、1B、1C内部を透過する、層に平行な方向X
の透過量は膨張黒鉛シート1A、1B、1Cだけを積層
してなる膨張黒鉛シートと等しい厚さの膨張黒鉛単体に
おけるX方向の透過量に比べて著しく少なくできる。ま
たこのような厚さの金属箔は、容易に入手でき、取扱も
容易である。 [高分子フィルム]高分子フィルムとしては、サラン等
のポリ塩化ビニリデン系、マイラー等のポリエチレンテ
レフタレート系あるいはテドラ等のフィルムが非透過性
に優れるため好ましく用いられるが、耐熱性の点からP
TFE、PFA、ポリイミド等のフィルムを用いてもよ
く、また膨張黒鉛シートガスケットの使用される温度範
囲によってはポリ塩化ビニール、ナイロン等のフィルム
を用いてもよい。
【0020】またこのような高分子フィルムの表面に
は、非透過性に優れる酸化シリコンあるいはアルミ等の
薄膜が形成されていることが好ましく、この酸化シリコ
ン膜などの薄膜がその表面に形成された高分子フィルム
を用いると、非透過性に著しく優れた膨張黒鉛シートガ
スケットが得られる。
【0021】また、このような高分子フィルムを用いる
場合には、一層当りのフィルムの厚さを増加させれば、
より非透過性に優れた膨張黒鉛シートガスケットが得ら
れるが、厚手の高分子フィルムに代えて薄手の高分子フ
ィルムを用い、その薄手の高分子フィルムの積層数(す
なわち膨張黒鉛シートと高分子フィルムの繰り返し積層
数)を増加させることにより厚手の高分子フィルムを用
いた以上の効果を得ることができる。なお、厚手の高分
子フィルムを用いた場合には、得られる膨張黒鉛シート
ガスケットの耐熱性が低下する傾向がある。
【0022】これらの点を考慮すると、本発明における
高分子フィルムの厚さは、通常0.005〜0.2m
m、好ましくは0.005〜0.05mmであることが
望ましい。 [膨張黒鉛シート]本発明で用いられる膨張黒鉛シート
10は、黒鉛を硫酸等で処理し、次いで熱により黒鉛結
晶層間を膨張させて得られるフレーク状膨張黒鉛粉末
を、ロールにてシート状に成形して得られる。フレーク
状膨張黒鉛粉末からシート状物を形成する過程におい
て、膨張黒鉛の結晶面は、層状に配向し、膨張黒鉛シー
トの流体透過性は、異方性を示すようになる。すなわち
膨張黒鉛シートでは、層に垂直な方向Yの透過性に比べ
て、層内肉部を通じた層に平行な方向Xの流体透過性が
大きくなる傾向がある。このような層に平行な方向の透
過性を抑制するには、より薄い膨張黒鉛シートを用いる
ことが望ましいが、取扱いの容易さを考慮すると、本発
明における膨張黒鉛シート10の厚さは、通常0.1〜
0.5mm、好ましくは0.1〜1mmであることが望
ましい。
【0023】また、本発明においては、上記の高純度の
膨張黒鉛シートに代えて、バインダーもしくは繊維等を
配合した可撓性の高い膨張黒鉛シートを用いてもよい。
バインダーとしては一般的にゴムが用いられる。このよ
うなバインダーを用いてなるシートは著しく可撓性に優
れている。このため、後述するように膨張黒鉛シートガ
スケットを製造する際には、長尺の可撓性膨張黒鉛シー
トおよび金属箔(あるいは高分子フィルム)を用いて積
層工程を連続的に(連尺で)実施し、ロール状に膨張黒
鉛シートガスケットを巻取ることができる。
【0024】本発明に係る膨張黒鉛シートガスケットで
は、同じ厚さの膨張黒鉛のみからなる従来の膨張黒鉛シ
ートに比べ、ガス、液体等の内部流体の透過漏洩量は著
しく小さい。
【0025】例えば、図1に示すような層構成の膨張黒
鉛シートガスケットにおいて、膨張黒鉛シートの厚さが
0.5mmであり、SUS箔の厚さが0.02mmであ
る場合には、100kgf/cm2の締め付け面圧下
で、窒素ガス(内圧10kgf/cm2)の漏洩量は、
7×10ー4atm・cc/sとなる。
【0026】一方、同じ厚さの膨張黒鉛シートのみから
なる従来例のガスケット(厚さ1.5mm)では、窒素
ガスの漏洩量は、1×10ー1atm・cc/sとなる。
また、補強用SUS鋼板(厚さ0.4mm)の上下面
に、厚さ0.7mmの膨張黒鉛シートを積層してなる従
来例のガスケットでは、窒素ガスの漏洩量は、8×10
ー2atm・cc/sとなる。
【0027】このように本発明に係る膨張黒鉛シートガ
スケットは、石油化学プラント等の一般的な用途におけ
る許容漏洩量1×10ー3atm・cc/sを十分に満足
している。このような本発明に係る膨張黒鉛シートガス
ケットは、200〜300℃の高温域においても、従来
の石綿ジョイントシートガスケットに代えて用いること
ができる。
【0028】また、本発明に係る膨張黒鉛シートガスケ
ットでは、金属箔または高分子フィルムが各膨張黒鉛シ
ート間に介挿され、金属箔または高分子フィルムからな
る非透過層を二層以上有しているので、膨張黒鉛シート
自体の脆さは補強され、取扱性に優れ、曲げ強度に優れ
ている。
【0029】本発明に係る膨張黒鉛シートガスケット
は、その表面が膨張黒鉛シート層にて構成されているた
めに、フランジ面等の相手部材とのなじみ性に優れてい
る。 [膨張黒鉛シートガスケットの製造]図1に示すような
膨張黒鉛シートガスケットを製造するには、例えば、図
1に示す層構成となるように接着剤を介して膨張黒鉛シ
ートと金属箔(あるいは高分子フィルム)とを順次積層
し、得られた積層物を上から押圧すればよい。
【0030】あるいは、図1に示す層構成となるように
接着剤を介してセットされた3枚の膨張黒鉛シートと2
枚の金属箔(あるいは高分子フィルム)とを1組のロー
ル間に挿通させて、このロールにて押圧してもよい。
【0031】このように膨張黒鉛シートガスケットを製
造する際に用いられる金属箔、高分子フィルムは、表面
処理されていてもよく、表面処理されていなくともよ
い。金属箔の場合には、亜鉛メッキまたは亜鉛蒸着など
の表面処理が施された金属箔を用いると、耐食性に優れ
た膨張黒鉛シートガスケットを得ることができ、またサ
ンドブラストなどの粗面化処理が施された金属箔を用い
ると、層間接着強度に優れた膨張黒鉛シートガスケット
が得られるため好ましい。
【0032】また、高分子フィルムの場合には、酸化シ
リコンあるいはアルミ等の薄膜がフィルムの表面に形成
されていると、非透過性に優れた膨張黒鉛シートガスケ
ットが得られるため好ましい。なお高分子フィルムの表
面に酸化シリコン、アルミ等の薄膜を形成するには、蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレーテング法等の方
法を採用すればよい。
【0033】接着剤としては、従来公知の種々の熱硬化
性または熱可塑性接着剤が用いられる。接着剤は、通常
5〜20mg/m2の量で用いられる。このような量で
接着剤を用いると、接着層の熱劣化および接着層の軟化
による層間すべりを効果的に防ぐことができる。なお、
膨張黒鉛シートガスケットをフランジ面に取付た後で
は、接着層自体の強度はとくに要求されない。
【0034】上記のようにして作製されたシート状ガス
ケットは、容易に打ち抜くことができ、例えば、リング
状等の所望形状とされる。本発明に係る膨張黒鉛シート
ガスケットは、以上詳述したように膨張黒鉛シートと、
金属箔または高分子フィルムとが順次積層された構造を
有しており、ガスケットの上下表面層は、いずれも膨張
黒鉛シートからなっており、金属箔または高分子フィル
ムからなる非透過層が2層以上含まれている限り、積層
数は特に限定されない。例えば、図2に示す膨張黒鉛シ
ートガスケット10Aのように、厚さ0.35mmの膨
張黒鉛シート1A、1B、1C、1D4層と、厚さ0.
05mmのSUS板2A、2B、2C3層とからなって
いてもよい。このような膨張黒鉛シートガスケットは著
しく非透過性に優れている。この膨張黒鉛シートガスケ
ット(厚さ:1.55mm)10A(イ)のシール可能
内圧P[MPa]と締付応力σ[MPa]との関係を図
3に示す。
【0035】なお、厚さ1.5mmの膨張黒鉛シートの
みからなる、従来例に係る膨張黒鉛シートガスケット
(ロ)について測定したシール可能内圧P[MPa]と
締付応力σ[MPa]との関係も図3に併せて示す。
【0036】この図3を参照すると、上記のような本発
明の膨張黒鉛シートガスケット(イ)10Aでは、同程
度の厚さの従来例に係る膨張黒鉛シートガスケット
(ロ)に比べて、同じ締付応力で著しく大きなシール可
能内圧(約4.1倍)が得られることが解る。
【0037】なお、膨張黒鉛シートガスケットのシール
可能内圧P[MPa]と締付応力σ[MPa]との関係
は、以下の条件にて測定した。 フランジ: JIS10K 25A SUS304 F.F10μm 判定 :膜流量計(感度2×10ー4Pa・m3/s) ガスケット:JIS 10K 25A (イ):本発明に係る膨張黒鉛シートガスケット (ガスケットの厚さ1.55mm,膨張黒鉛シート0.35mm×4
枚,SUS薄板×3枚)。 (ロ):従来例に係る膨張黒鉛製シートガスケット(厚
さ1.5mm)。
【0038】上記実施例においては膨張黒鉛シートガス
ケットの表面が、膨張黒鉛シートにて形成されている例
を示したが、図1に示すガスケットの表面層(膨張黒鉛
シート)1A、1C上には、図4に示す膨張黒鉛シート
ガスケット10Bのように、フランジ材よりも卑な(イ
オン化傾向の大きい)金属箔または高分子絶縁フィルム
4A、4Bがさらに積層されていてもよい。なお、図1
に示す膨張黒鉛シートガスケットの表面層1A、1Bを
構成する膨張黒鉛は、一般的にフランジ部材に比べて貴
電位側(イオン化傾向が小さい)にあるため、フランジ
等の相手部材の電位差腐食を招く虞があるが、この図4
に示すように、膨張黒鉛シートガスケットの表面層を構
成する膨張黒鉛シート1A、1C上にフランジ部材より
も卑な金属もしくは高分子絶縁フィルム4A、4Bを積
層することにより、フランジの腐食を効果的に防止する
ことができる。
【0039】このような金属としては、例えば亜鉛箔も
しくは蒸着等による亜鉛薄膜が挙げられ、高分子フィル
ムとしては、前述したような各種高分子フィルムが挙げ
られる。この金属および高分子フィルムの厚さは、前述
したと同様である。またこのような膨張黒鉛シートガス
ケットを製造するには、前述した膨張黒鉛シートガスケ
ットと同様にすればよい。
【0040】また、本発明においては、高純度の膨張黒
鉛シートに代えて、バインダーもしくは繊維を配合した
可撓性の高い膨張黒鉛シートを用いてもよい。バインダ
ーとしては一般的にゴムが用いられる。このようなバイ
ンダーを用いてなる薄片化黒鉛シートは著しく可撓性に
優れている。このため、膨張黒鉛シートガスケットを製
造する際には、長尺の薄片化黒鉛シートおよび金属箔
(あるいは高分子フィルム)を用いて積層工程を連続的
に(連尺で)実施し、ロール状に膨張黒鉛シートガスケ
ットを巻取ることができる。
【0041】本発明においては、例えば図1の全ての非
透過層2A、2Bが、全て同一の材料である金属箔また
は高分子フィルムから形成されていてもよく、また、例
えば非透過層2Aは金属箔からなり非透過層2Bは高分
子フィルムからなるなど各非透過層毎に異なる材料から
形成されていてもよい。さらには図5、図6に示すよう
に金属箔あるいは高分子フィルム2A、2Bと共に、金
網あるいはパンチングメタル20を併用してもよい。な
お、図6は、図5の膨張黒鉛シートガスケットの表面
(上下面)に、図4に示す膨張黒鉛シートガスケット1
0Bと同様にフランジ材よりも卑な金属箔または高分子
絶縁フィルム4A、4Bがさらに積層された態様を示
す。
【0042】本発明においては、非透過層および膨張黒
鉛シート層は、図1および図2に示すように通常、それ
ぞれ同一の厚さに設定されるが、各層毎に厚さが異なっ
ていてもよい。
【0043】また、上記実施例では、2層(図1)ある
いは3層(図2)の非透過層を有する膨張黒鉛シートガ
スケットについて説明したが、本発明においては上記の
ような例に限定されず、膨張黒鉛シートと非透過層の積
層数およびその厚さを調節することによりガスケットの
厚さを自在に変更することができる。
【0044】なお、前記図3に示すように、本発明に係
る膨張黒鉛シートガスケット(イ)では、従来例に係る
膨張黒鉛シートガスケット(ロ)に比べて著しく浸透漏
洩量が少ないのは、次のような理由に依るのであろうと
考えられる。
【0045】すなわち、本発明で用いられる膨張黒鉛シ
ートは、黒鉛を硫酸等で処理し、次いで熱により黒鉛結
晶層間を膨張させて得られるフレーク状膨張黒鉛粉末
を、ロールにてシート状に加圧成形したものである。こ
のフレーク状膨張黒鉛粉末からシート状物への成形過程
において、膨張黒鉛の結晶面は、層状に配向し、膨張黒
鉛シートの流体透過性は、異方性を示すようになる。し
かしながら薄片化膨張黒鉛は必ずしも均一には配向され
ない。このため、従来の膨張黒鉛シートのみからなるガ
スケットにおいては、ガス、液体等の内部流体がガスケ
ット内を伝って浸透漏洩する際には、図7に示すように
フランジ50にて挟まれた膨張黒鉛シート層30内部の
薄片化膨張黒鉛間隙60を縫うように最も透過し易い部
分を通ると考えられる。
【0046】そこで、図8に示すように一層当りの膨張
黒鉛シートの厚さが小さくなるように膨張黒鉛シート間
に金属薄等の非透過層2Aを設けると、層間あるいは薄
片化膨張黒鉛間を伝わる浸透漏洩路60は遮断・減少さ
れ、かかる浸透漏洩の絶対量は著しく抑制されのであろ
うと考えられる。
【0047】
【発明の効果】本発明に係る膨張黒鉛シートガスケット
は、上記のように膨張黒鉛シートと、金属箔または高分
子フィルムが交互に積層されているので、浸透漏洩量は
著しく少なく、膨張黒鉛シートガスケットの脆さは補強
され、取扱性、曲げ強度、打抜加工性等に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、3枚の膨張黒鉛シートと2枚の非透過
層からなる本発明の膨張黒鉛シートガスケットの断面図
である。
【図2】図2は、4枚の膨張黒鉛シートと3枚の非透過
層からなる本発明の膨張黒鉛シートガスケットの断面図
である。
【図3】図3は、図2に示す本発明の膨張黒鉛シートガ
スケット(イ)および従来の膨張黒鉛シートガスケット
(ロ)のシール可能内圧Pと締付応力σとの関係を示す
グラフである。
【図4】図4は、図1に示す膨張黒鉛シートガスケット
の上下面に、フランジ材よりも卑な金属箔または高分子
絶縁フィルムが積層された、本発明の膨張黒鉛シートガ
スケットの断面図である。
【図5】図5は、図1に示す膨張黒鉛シートガスケット
の非透過層の両面に、金網あるいはパンチングメタルを
配置した、本発明に係る膨張黒鉛シートガスケットの断
面図である。
【図6】図6は、図4に示す膨張黒鉛シートガスケット
の非透過層の両面に、金網あるいはパンチングメタルを
配置した、本発明に係る膨張黒鉛シートガスケットの断
面図である。
【図7】図7は、薄片化膨張黒鉛の間隙あるいは層間を
伝わる流体の浸透漏洩の様子を模式的に説明する図面で
ある。
【図8】図8は、図7に示す膨張黒鉛シート(厚さt)
内に、非透過層2Aを3層設けてなる本発明の膨張黒鉛
シートガスケットにおける浸透漏洩の様子を模式的に説
明する図面である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D 膨張黒鉛シート 2A、2B、2C 金属箔または高分子フィルム 3A、3B、3C、3D、3E、3F 接着剤 4A、4B フランジ部材よりも卑な金属箔もしくは高
分子絶縁フィルム 10、10A、10B、10C 膨張黒鉛シートガスケ
ット 20、20A、20B、20C、20D 金網あるいは
パンチングメタル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膨張黒鉛シートと、金属箔または高分子フ
    ィルムとが順次積層されてなるガスケットであって、該
    ガスケットの表面層がいずれも膨張黒鉛シートからなっ
    ており、かつ上記金属箔または高分子フィルムが少なく
    とも2層以上含まれていることを特徴とする膨張黒鉛シ
    ートガスケット。
  2. 【請求項2】上記金属箔の厚さが0.01〜0.2mm
    であることを特徴とする請求項1に記載の膨張黒鉛シー
    トガスケット。
  3. 【請求項3】上記高分子フィルムの厚さが0.005〜
    0.05mmであることを特徴とする請求項1に記載の
    膨張黒鉛シートガスケット。
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