JPH07272224A - 磁気抵抗効果素子とその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子とその製造方法

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JPH07272224A
JPH07272224A JP6060459A JP6045994A JPH07272224A JP H07272224 A JPH07272224 A JP H07272224A JP 6060459 A JP6060459 A JP 6060459A JP 6045994 A JP6045994 A JP 6045994A JP H07272224 A JPH07272224 A JP H07272224A
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JP
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magnetoresistive effect
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JP6060459A
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English (en)
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Masanori Ueno
昌紀 上野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】多層膜を使用した磁気抵抗効果素子で、安定的
に高いMR比を有しており、かつMR比の減少に関する
耐熱性も優れている磁気抵抗効果素子とその製造方法の
提供。 【構成】(1) 強磁性金属層3と非磁性金属層1との間
に、両層の成分を含む混合層2が形成してある磁気抵抗
効果素子。 (2) 強磁性金属層3および非磁性金属層1を成膜する毎
に、それらの成膜初期において、基板に積層している金
属層に高エネルギービームを照射して、強磁性金属層3
と非磁性金属層1との間に両層の成分を含む混合層2を
形成する磁気抵抗効果素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度磁気記録装置に
記録される磁気記録を読み取る際に使用する磁気ヘッド
に用いる磁気抵抗効果素子とその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置における磁気記録の密
度が高くなるにつれ、磁気ディスク装置用薄膜磁気ヘッ
ドの再生専用の素子として磁気抵抗効果素子が使われ始
めた。
【0003】この磁気抵抗効果素子を使用した磁気ヘッ
ドは、従来のインダクティブ型薄膜磁気ヘッドよりも高
い再生出力を有しており、しかもその出力は磁気ディス
クの周速に依存しないので、インダクティブ型磁気ヘッ
ドを使用した場合と比較して磁気ディスク装置を小型化
することができる。
【0004】現在、磁気抵抗効果素子として用いられて
いるNiFeの磁気抵抗変化率(以下、MR比と表す)は約
2%である。しかし、近年磁気ディスク装置に対してさ
らに高密度の記録性能が求められており、それを再生す
るために従来のものより大きなMR比を有する磁気抵抗
効果素子の開発が求められている。
【0005】パーマロイより大きなMR比を有する材料
として強磁性金属層と非磁性金属層を交互に積層した金
属多層膜の使用が検討されている。この多層膜として例
えばCo/Cu 系やNiFe/Cu 系の膜がよく知られている(Co
/Cu 系多層膜の参考文献、Parkinら、フィジカル・レビ
ュー・レターズ、第66巻、第16号、2152〜2155ページ、
NiFe/Cu 系多層膜の参考文献、中谷ら、IEEEトランザク
ションズ・オン・マグネティックス、第28巻、第5 号、
2668〜2670ページ) 。
【0006】しかし、これらの多層膜のMR比は非磁性
金属層の厚みの関数として変化するので、その厚みを数
Å変化させるだけでMR比は数〜数10%変化する。従っ
て、大きなMR比を得るためには、非磁性金属層を積層
する毎にその厚みをÅのオーダーで制御しなければなら
ず、目的のMR比を有する多層膜を使用した磁気抵抗効
果素子を歩留り良く製造することは非常に困難であっ
た。
【0007】また、このような多層膜の各層の厚みは10
〜20Å程度であるために、薄膜磁気ヘッドを作製する際
のベーク処理などの高温下での処理によって、多層膜の
積層界面で原子の拡散が生じて積層構造の乱れによるM
R比の減少が起こるという欠点もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題点を鑑みなされたものであり、その目的は多層膜を
使用した磁気抵抗効果素子であっても、製造された磁気
抵抗効果素子は、従来のものと比較して、安定的に高い
MR比を有しており、かつMR比の減少に関する耐熱性
も優れている磁気抵抗効果素子とその製造方法を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の(1)
の「磁気抵抗効果素子」および(2) の「磁気抵抗効果素
子の製造方法」にある。
【0010】(1) 強磁性金属層と非磁性金属層とを交互
に積層した多層膜を備える磁気抵抗効果素子において、
強磁性金属層と非磁性金属層との間に両層の成分を含む
混合層が存在していることを特徴とする磁気抵抗効果素
子。
【0011】(2) 基板上に強磁性金属層と非磁性金属層
とを交互に積層する磁気抵抗効果素子の製造方法におい
て、強磁性金属層および非磁性金属層を成膜する毎に、
それらの成膜初期において、基板に積層している金属層
に高エネルギービームを照射して、強磁性金属層と非磁
性金属層との間に両層の成分を含む混合層を形成させる
ことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
【0012】
【作用】本発明者は、安定して高いMR比を有し、かつ
薄膜磁気ヘッドの製造プロセスにおける高温処理を施し
た際にも、MR比が大きくは減少することのない磁気抵
抗効果素子について種々検討した結果、強磁性金属層と
非磁性金属層の間に両層の成分を含む混合層を存在させ
ることにより、その目的を達成することに成功した。以
下、本発明の磁気抵抗効果素子とその製造方法について
詳しく説明する。
【0013】(1) 磁気抵抗効果素子について 図1は本発明の磁気抵抗効果素子の斜視図である。これ
を用いて本発明の磁気抵抗効果素子の構成を説明する。
本発明の磁気抵抗効果素子は、非磁性金属層1と強磁性
金属層3が交互に複数回積層されているものであって、
非磁性金属層1と強磁性金属層3の間に混合層2が存在
しているものである。なお、本発明の磁気抵抗効果素子
は、非磁性金属層1と強磁性金属層3が各々5〜20回程
度積層されているのが望ましい。
【0014】非磁性金属層1は、従来から多層膜の構成
材料として使用されている金属を用いて形成されたもの
であるが、そのなかでも電気伝導度の大きな金属を用い
るのが望ましい。それらの例としてAu,Ag,Cu,Cr,Mo, W
およびRu等がある。また、非磁性金属層の1層の厚み
は、薄すぎると磁気抵抗効果素子の耐熱性を向上させる
効果が減少し、厚すぎると電子の平均自由行程を超えて
しまい、MR比が減少するので、20〜60Å程度とするの
が好ましい。
【0015】強磁性金属層3は、従来から多層膜の構成
材料として使用されている金属を用いて形成されたもの
であるが、そのなかでも微小磁界において動作可能な軟
磁性金属を用いるのが望ましい。それらの例としてCo、
NiFe合金、NiFeCo合金およびNiCo合金等がある。また、
強磁性金属層3の1層の厚みは、薄すぎると強磁性金属
層としての働きがなく、また厚すぎても電子の平均自由
行程を超えてしまい、MR比が減少するので、10〜40Å
程度とするのが望ましい。
【0016】強磁性金属層3は、1種類の層とするか、
あるいは後で示す図10のように、異なる種類の金属を採
用して第1強磁性金属層6および第2強磁性金属層7を
交互に形成したものでもよい。例えば、第1強磁性金属
層としてNiFe合金、第2強磁性金属層としてCoを用いる
ことができる。
【0017】混合層2は、非磁性金属層1に使用されて
いる金属と強磁性金属層3に使用されている金属が混合
して形成したものである。あるいは、強磁性金属層とし
て異なる種類の金属を採用した場合は、混合層2は非磁
性金属層1と第1強磁性金属層6の両層の成分を持つも
のと非磁性金属層1と第2強磁性金属層7の両層の成分
を持つものの2種類となる。
【0018】また、混合層2の構成材料として、非磁性
金属層1と強磁性金属層3に使用されている金属の他
に、窒素等の元素を0.1 wt% 程度含ませても構わない。
非磁性金属層や強磁性金属層に含まれていない元素を含
有させるのは、耐熱性の向上のために望ましいからであ
る。
【0019】混合層2の1層の厚さは、1〜10Å程度が
望ましい。
【0020】(2) 磁気抵抗効果素子の製造方法について 図2は本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法を模式的に
示した図である。これを用いて、本発明の磁気抵抗効果
素子の製造方法を説明する。
【0021】基板11は通常の磁気抵抗効果素子を製造す
る際に用いられるものであって、例えば、ガラス、セラ
ミックス等を使用することができる。
【0022】強磁性金属層と非磁性金属層を基板に交互
に成膜する方法としては、通常行われているスパッタリ
ング法や真空蒸着法を用いることができる。図2は、イ
オンビームスパッタリング法を用いて多層膜を積層する
例を示している。
【0023】図2中の符号13は、基板照射用のイオン源
である。この例では基板を照射する高エネルギービーム
源としてイオンビーム源を使用しているが、電子ビー
ム、レーザービーム等の高エネルギービーム源も使用で
きる。
【0024】ターゲット12は、強磁性金属層の構成材料
となる金属の面(ターゲット12-1)と非磁性金属層の構
成材料となる金属の面(ターゲット12-2)からなるもの
である。それらの原料については上記(1) で述べた。
【0025】本発明方法は、まず多層膜形成用のスパッ
タ用イオン源14からイオンビームを発生させて、強磁性
金属層用ターゲット12-1若しくは非磁性金属層用ターゲ
ット12-2へ照射し、ターゲットの表面原子を飛び出させ
て基板11上に強磁性金属層若しくは非磁性金属層を形成
する(ここでは以下の説明が行いやすいように強磁性金
属層を始めに形成したものとする。)。
【0026】次に非磁性金属形成用ターゲット12-2に、
スパッタ用イオン源14からのイオンビームが照射される
ように、ターゲット12を反転させてその位置を調整す
る。その後、イオンビームを非磁性金属形成用ターゲッ
ト12-2に向けて照射することにより非磁性金属の原子を
発生させて、基板11上の強磁性金属層の上に非磁性金属
層を形成する。
【0027】この時、非磁性金属層の成膜開始と同時に
基板照射用のイオン源13からイオンビームを発生させ
て、基板11上に積層している強磁性金属層に向けて照射
する。
【0028】この操作によって、基板11上に積層してい
た強磁性金属層の表面は逆スパッタリングされて、強磁
性金属原子が膜表面から抜け出す。抜け出した強磁性金
属原子は、成膜用のスパッタリングによって発生した非
磁性金属原子と混合しながら強磁性金属層の上に混合層
を形成していく。基板照射用のイオン源13の作動を停止
してからは、強磁性金属の原子が膜表面から抜け出すこ
とがなく、成膜のためのスパッタ用イオン源14からのイ
オンビームによって発生した非磁性金属原子が混合層の
上に積層して非磁性金属層を形成していく。
【0029】ここまでの操作によって、強磁性金属層、
混合層および非磁性金属層を基板11の上に順次形成する
ことができる。さらに上記の操作を繰り返すことによっ
て、基板表面の非磁性金属層の上に混合層を積層し、そ
の上に強磁性金属層を積層することができる。このよう
にして強磁性金属層と非磁性金属層の間に混合層が存在
するものを任意の回数に積層した、本発明の磁気抵抗効
果素子を製造するのである。
【0030】混合層に窒素を混合する場合は、基板照射
用イオン源13からのイオンビームとして窒素を含むイオ
ンビームを用いる。
【0031】以下、本発明の磁気抵抗効果素子が安定し
て高いMR比を有し、かつMR比の減少に関する耐熱性
が高い理由を述べる。
【0032】図3は本発明の磁気抵抗効果素子の一部縦
断面を拡大して示したものである。
【0033】図中の強磁性金属層3の内部の矢印は、磁
化方向を示している。
【0034】本発明の磁気抵抗効果素子には、混合層2
の形成のための、基板上の非磁性金属層1あるいは強磁
性金属層3への高エネルギービームの照射による逆スパ
ッタリング現象が起きている。この逆スパッタリング現
象を起こすと、強磁性金属層3から強磁性金属原子が飛
び出すので、強磁性金属層3の表面の荒さが増加する。
これにより強磁性金属層3は磁気的に小さな領域に分断
される(小さな領域とは図3中において強磁性金属層3
の点線で分断された領域を指している。)。
【0035】また強磁性金属層3の界面には混合層2が
存在するために、強磁性金属層3の表面付近の磁気モー
メントは減少する。このため非磁性金属層1を介した強
磁性金属層3の間の相互作用力は弱められ交換結合は断
ち切られる。そうすると各強磁性金属層3の磁気的に小
さな領域同士は、静磁気的な相互作用を受け、強磁性金
属層3中の磁化は様々な方向を向く。つまり、多層膜中
において隣なり合う強磁性金属層3の互いの磁化の配置
は、非磁性金属層1および混合層2を挟んで磁化が反平
行になっている部分や平行になっている部分あるいは任
意の角度を持っている部分が混在する状態となる。
【0036】この中で隣り合う強磁性金属層3の互いの
磁化の配置が反平行になっている部分、すなわち反強磁
性的配置の部分の電気抵抗は大きい。この部分が外部磁
場によって強磁性的配置になることによって電気抵抗は
減少する。この時に大きなMR比が発現する。要するに
MR比を高めるには、隣り合う強磁性金属層同士の磁化
方向をなるべく反平行状態にしておくのが望ましいので
ある。
【0037】一方、図4、5は従来の磁気抵抗効果素子
の断面を示した図である。図4は隣会う強磁性金属層3
の磁化が互いに反平行、すなわち反強磁性的配置のもの
を示している。図5は隣会う強磁性金属層3の磁化が互
いに平行、すなわち強磁性的配置のものを示している。
従来の磁気抵抗効果素子においては、MR比を大きくす
る手段として、隣り合う強磁性金属層の磁化が図4のよ
うに反平行となるように非磁性金属層の厚みを制御して
いた。しかし、従来の磁気抵抗効果素子に使用されてい
た多層膜は、非磁性金属層の膜厚の微妙な変化によっ
て、強磁性金属層間の相互作用が変化するという性質を
有しており、非磁性金属層を形成する際のÅのオーダー
の膜厚制御のずれにより、隣り合う強磁性金属層の磁化
は図5のように平行になっていた。このような平行な磁
化方向を有する多層膜では高いMR比は得られない。
【0038】しかし、本発明の磁気抵抗効果素子は、非
磁性金属層の膜厚を制御して強磁性金属層の磁化が互い
に反平行、すなわち反強磁性的配置にするのではなく、
強磁性金属層と非磁性金属層の間に混合層を存在させる
ことにより、反強磁性的配置を誘起しているので、従来
のような非磁性金属層の膜厚をÅのオーダーで制御する
必要はなく、安定して高いMR比を有する磁気抵抗効果
素子となる。
【0039】一方、本発明の磁気抵抗効果素子は従来の
ものと比較して、MR比の減少に関する耐熱性が高い。
従来の磁気抵抗効果素子の熱処理の際のMR比の減少
は、各層の厚みが薄いことが原因となって生じる。例え
ば、従来の磁気抵抗効果素子に用いられているCo/Cu や
NiFe/Cu 多層膜において、最もMR比が大きくなるのは
非磁性金属層であるCu層の厚みが10Åの場合であるが、
この程度の厚みでは薄膜磁気ヘッドの製造プロセスの高
温熱処理の際に、膜中の原子の拡散が起こり、多層構造
自体が崩れてしまってMR比が大きく減少していた。
【0040】しかし、本発明の磁気抵抗効果素子の非磁
性金属層は、Åのオーダーでその厚みを制御する必要は
なく、従来ものと比較して厚く成膜することができる。
また、本発明の磁気抵抗効果素子には、従来のそれには
ない混合層が非磁性金属層と強磁性金属層の間に必ず存
在しており、それらが非磁性金属層および強磁性金属層
を熱的に保護する働きをしている。すなわち、本発明の
磁気抵抗効果素子は、従来のものと比較して非磁性金属
層が厚いという点と、混合層が存在するという点におい
て、MR比の減少に関する耐熱性が高いのである。また
窒素イオン・ビームを使用して混合層を作成した場合に
は、強磁性金属層と非磁性金属層の成分の一部が窒素イ
オンによって窒化され、その金属窒化物が混合層に含ま
れるので、金属窒化物が原子の拡散を阻害し耐熱性がさ
らによくなる。
【0041】本発明の磁気抵抗効果素子の感度をさらに
高め且つ出力信号の直線性を向上させるために、ソフト
バイアス、シャントバイアス、永久磁石バイアス、バー
バーポールバイアス、セルフバイアスのような横バイア
ス印可機構あるいはこれらを2つ以上組み合わせたもの
を付加することもできる。
【0042】
【実施例1】本発明の磁気抵抗効果素子を作製し、MR
比とMR比の減少に関する耐熱性を測定した。
【0043】図1は作製した磁気抵抗効果素子の斜視図
を示したものである。まず、基板(図示していない)と
して用いたガラスの上に、イオン・ビーム・スパッタリ
ング装置を用いて、強磁性金属層3としてのNi80Fe20(a
t %) と非磁性金属層1としてのCuを交互に成膜した。
NiFe層の1層の厚みは20Å、Cu層の1層の厚みは35Åと
し、それぞれ10回づつ成膜した。スパッタイオンビーム
には、Arを使用し、加速電圧300V、加速電流60mAの条件
で照射した。
【0044】また、強磁性金属層3および非磁性金属層
1を成膜する際には、成膜開始時より10秒間だけ窒素イ
オン・ビームを基板に照射して、基板上の金属層を逆ス
パッタリングすることによって原子を飛び出させて、成
膜用スパッタリングによってターゲットから飛ばされて
きた金属原子と混合することによりNiFeとCuの混合層2
を形成した。この混合層2には窒素イオン・ビームを照
射した際の窒素が若干取り込まれており、その内部に金
属窒化物が形成されていた。照射した窒素イオン・ビー
ムの加速電圧と加速電流はそれぞれ300Vと20mAであっ
た。
【0045】この操作によって、非磁性金属層1と強磁
性金属層3の間に混合層2が存在する本発明の磁気抵抗
効果素子を作製することができた。
【0046】図6は上記の磁気抵抗効果素子を加工して
電極を付加したものを示したものである。成膜後の磁気
抵抗効果素子をフォトリソグラフィー法とイオンミリン
グ法を用いて100 μm ×3μm の矩形に加工した。その
後、電極5としてCuをスパッタリングで成膜し、フォト
リソグラフィー法とウエットエッチング法によって電極
5を加工して図6に示すような磁気抵抗効果素子を作製
した。このような磁気抵抗効果素子を50個作製し、MR
比とMR比の減少に関する耐熱性を測定した。
【0047】(1) MR比について MR比を測定する際の条件として、磁気抵抗効果素子の
長手方向と垂直な方向に±200 Oe の磁場を印加した。
また比較のために厚さ15ÅのNiFeと厚さ21ÅのCuをそれ
ぞれ10回づつ積層した従来の多層膜磁気抵抗効果素子を
50個作製し、同じ条件のもとでMR比を測定した。
【0048】図7は本発明の磁気抵抗効果素子50個につ
いてMR比を測定した結果を示したものである。図8は
従来の磁気抵抗効果素子50個についてMR比を測定した
結果を示したものである。
【0049】本発明の磁気抵抗効果素子は、ほとんどの
素子においてそれらのMR比が5.0%を中心に4.0 〜6.0
%の値を示していることより、安定的に高いMR比を
持つ素子であることが図7から分かる。一方、混合層を
持たない従来の磁気抵抗効果素子は、MR比が3.0 %付
近に分布の中心があるが、かなりその値がばらついてい
ることより、安定的に高いMR比を持つ素子ではないこ
とが図8から分かる。
【0050】(2) 耐熱性について 上記(1) の測定を終えた磁気抵抗効果素子に高真空中に
おいて温度 550℃までのアニール処理を施し、再びMR
比を測定することによって耐熱性を評価した。
【0051】図9は本発明の磁気抵抗効果素子(本発明
例)と従来のそれ(比較例)にアニール処理を施し、そ
の熱処理温度の違いによってMR比が変化する様子を示
したものである。本発明の磁気抵抗効果素子では、約40
0 ℃の熱処理まではMR比の値は変化せず、それ以上の
温度で熱処理を行うとMR比は減少している。一方、従
来の磁気抵抗効果素子では、約200 ℃の熱処理を境にし
てそれ以上の温度で熱処理を行うとMR比が減少し始め
約500 ℃の熱処理ではMR比がほぼ0%になってしま
う。このように本発明の磁気抵抗効果素子は、従来のそ
れと比較してMR比の減少に関する耐熱性に優れてい
る。
【0052】
【実施例2】2種類の強磁性金属層と混合層を有する本
発明の磁気抵抗効果素子を作製し、MR比を測定した。
図10は作製した磁気抵抗効果素子の縦断面を示したもの
である。
【0053】基板としてガラス(図示していない)を用
い、その上にイオンビームスパッタリング装置によって
多層膜を成膜した。まず、第1強磁性金属層6として厚
さ20ÅのNiFeを成膜し、その上に非磁性金属層1として
厚さ35ÅのCuを成膜した。なお、Cuの成膜を開始してか
ら10秒間は基板照射用のイオン源から窒素イオン・ビー
ムを発生させて基板上のNiFe層の逆スパッタリングを行
ったので、NiやFe原子とCu原子が混在した厚さ約3Åの
混合層2をNiFe層とCu層の間に成膜することができた。
照射した窒素イオン・ビームの加速電圧と加速電流は30
0Vと20mAであった。
【0054】さらにその上に第2強磁性金属層7として
厚さ20ÅのCoを成膜した。なお、Coの成膜を開始してか
ら10秒間は基板照射用のイオン源から窒素イオン・ビー
ムを発生させて基板上の非磁性金属層1であるCu層の逆
スパッタリングを行ったので、Co原子やCu原子が混在し
た厚さ約4Åの混合層2をCo層とCu層の間に成膜するこ
とができた。
【0055】これまでの操作によって第1強磁性金属層
6、混合層2、非磁性金属層1、混合層2、第2強磁性
金属層7を積層することができた。さらに同様の操作を
繰り返して、非磁性金属層1が4回積層した本発明の磁
気抵抗効果素子を作製した。
【0056】なお、混合層2を形成する際に用いたイオ
ン・ビームとして、窒素イオン・ビームを採用したの
で、混合層2には窒素が若干量取り込まれてその内部に
金属窒化物が形成していた。
【0057】上記のようにして作製した磁気抵抗効果素
子をフォトリソグラフィー法とイオンミリング法を用い
て100 μm ×3 μm の矩形に加工し、電極としてCuをス
パッタリングで成膜してフォトリソグラフィー法とウエ
ットエッチング法を用いて先に示した図6のように加工
した。このような素子を50個作製し、素子の長手方向と
垂直な方向に±200 Oe の磁場を印加した状態のもとで
MR比を測定した。その後、これらの磁気抵抗効果素子
を高真空中において350 ℃でアニール処理を行って、再
びMR比を測定することによって耐熱性を評価した。比
較のために従来の磁気抵抗効果素子を50個作製し、本発
明の磁気抵抗効果素子と同様にMR比と耐熱性を測定し
た。
【0058】
【表1】
【0059】表1は本発明の磁気抵抗効果素子と従来の
それのMR比と耐熱性を測定した結果を示したものであ
る。なお、表1は、本発明の磁気抵抗効果素子と従来の
ものの各々50個についてMR比の度数分布を求め、高い
頻度を示したMR比を持つ素子の集団の中から無作為に
選択した各々3つの磁気抵抗効果素子の測定結果であ
る。熱処理前のMR比については本発明の磁気抵抗効果
素子も従来のものもそれほど変わりない値を示した。し
かし、熱処理後のMR比の結果から、本発明の磁気抵抗
効果素子のMR比は従来のそれと比較してMR比は減少
せず、従来のものよりも耐熱性が優れていることが分か
る。
【0060】
【実施例3】強磁性金属層としてNiFeCoを用い、非磁性
金属層としてAgを用いた多層膜に、ソフトバイアスを付
加した本発明の磁気抵抗効果素子を作製した。図11は作
製した磁気抵抗効果素子の縦断面を表した図である。
【0061】まず、表面を酸化して絶縁層を形成したSi
基板(図示していない)の上に、RFマグネントロン・
スパッタリング装置を用いることにより、ソフバイアス
膜10として厚さ250 ÅのCoZrMoアモルファス合金
と分離膜9として厚さ50ÅのTaを成膜した。次に強磁性
金属層としてNi80Fe5Co15(at%)と非磁性金属層としてAg
を組み合わせた多層膜8をイオン・ビーム・スパッタリ
ング法で成膜した。なお、NiFeCo層の1層の厚さは20
Å、Ag層の1層の厚さは40Åとし、各々の層を6回積層
した。各層を成膜する際には混合層を作製するために、
前述したように成膜開始時より10秒間Arイオン・ビーム
を基板に積層した強磁性金属層あるいは非磁性金属層に
照射することによりNi、FeおよびAg原子が混在した混合
層を形成した。照射したArイオン・ビームの加速電圧と
加速電流は300Vと20mAであった。
【0062】このようにして作製した本発明の磁気抵抗
効果素子をフォトリソグラフィー法とイオンミリング法
を用いて100 μm ×3 μm の矩形に加工した。さらに電
極としてCuをスパッタリングで成膜し、フォトリソグラ
フィー法とウエットエッチング法により先に示した図6
のように加工した。
【0063】この磁気抵抗効果素子のMR比を測定する
際には、素子の長手方向と垂直方向に±200 Oe の磁場
を印加した。その後これらの素子に高真空中において30
0 ℃のアニール処理を施して再びMR比を測定すること
により耐熱性を評価した。
【0064】図12は、熱処理を施す前の本発明の磁気抵
抗効果素子のMR曲線を示したものであり、図13は熱処
理を施した後の磁気抵抗効果素子のMR曲線を示したも
のである。なお、測定時のセンス電流は10mAに固定し
た。図12から、熱処理前のMR曲線の中心は、磁場を増
加した場合においても磁場を減少した場合においても、
右にシフトしており、バイアス磁場が十分に磁気抵抗効
果素子に印加されていることがわかる。また、MR比は
約4.5 %であり、この値はNiFe単層膜を多層膜の代わり
に使用した磁気抵抗効果素子のそれの約3倍の値を示し
ている。
【0065】熱処理後の磁気抵抗効果素子のMR比は約
4.2 %であり、熱処理前のそれと比較してもそれほど減
少していない。また、MR曲線の形から、半値幅が若干
狭くなっている以外は、磁場を増加した場合においても
磁場を減少した場合においても、MR曲線の中心は右に
シフトしていてバイアス磁場の印加も良好であり、熱処
理の影響はあまり受けていないことが図13から分かる。
【0066】
【発明の効果】本発明の磁気抵抗効果素子は、従来のも
のと比較して、安定的に高いMR比を有し、かつMR比
の減少に関して高い耐熱性を有する。また、本発明の磁
気抵抗効果素子の製造方法を用いれば、優れた性質を有
する磁気抵抗効果素子を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果素子の斜視図である。
【図2】本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法を説明す
る模式図である。
【図3】本発明の磁気抵抗効果素子の縦断面図である。
【図4】従来の磁気抵抗効果素子の縦断面であって、反
強磁性的状態のものを示す図である。
【図5】従来の磁気抵抗効果素子の縦断面であって、強
磁性的状態のものを示す図である。
【図6】本発明の磁気抵抗効果素子に電極を付加したも
のを示す図である。
【図7】本発明の磁気抵抗効果素子のMR比を測定した
結果を示す図である。
【図8】従来の磁気抵抗効果素子のMR比を測定した結
果を示す図である。
【図9】本発明の磁気抵抗効果素子と従来のそれにおけ
る、MR比と熱処理温度との関係を示す図である。
【図10】2種類の強磁性金属層を有する本発明の磁気抵
抗効果素子の縦断面図である。
【図11】本発明の磁気抵抗効果素子にソフトバイアス膜
と磁気分離膜を付加したものを示す図である。
【図12】熱処理を施す前の本発明の磁気抵抗効果素子の
MR曲線を示す図である。
【図13】熱処理を施した後の本発明の磁気抵抗効果素子
のMR曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 非磁性金属層 2 混合層 3 強磁性金属層 4 磁気抵抗効果素
子 5 電極 6 第1強磁性金属
層 7 第2強磁性金属層 8 多層膜 9 分離膜 10 ソフトバイアス
膜 11 基板 12 ターゲット 12-1 強磁性金属層用ターゲット 12-2 非磁性金属
層用ターゲット 13 基板照射用イオン源 14 多層膜成膜用
スパッタイオン源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強磁性金属層と非磁性金属層とを交互に積
    層した多層膜を備える磁気抵抗効果素子において、強磁
    性金属層と非磁性金属層との間に両層の成分を含む混合
    層が存在していることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】基板上に強磁性金属層と非磁性金属層とを
    交互に積層する磁気抵抗効果素子の製造方法において、
    強磁性金属層および非磁性金属層を成膜する毎に、それ
    らの成膜初期において、基板に積層している金属層に高
    エネルギービームを照射して、強磁性金属層と非磁性金
    属層との間に両層の成分を含む混合層を形成させること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
JP6060459A 1994-03-30 1994-03-30 磁気抵抗効果素子とその製造方法 Pending JPH07272224A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5715121A (en) * 1995-12-19 1998-02-03 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistance element, magnetoresistive head and magnetoresistive memory

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5715121A (en) * 1995-12-19 1998-02-03 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetoresistance element, magnetoresistive head and magnetoresistive memory

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