JPH0726985Y2 - 天ぷら鍋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は主として一般家庭で天ぷらやから揚げ、フライ
等の揚げ物料理をする際に用いる天ぷら鍋に関するもの
である。

〔従来の技術〕

周知の如く、一般家庭で天ぷら等の揚げ物料理をする際
には、天ぷら鍋に適量の油を入れて所定の温度に加熱
し、味付けや衣付けをした食材を加熱された油の中に入
れて揚げている。また、ポテトチップスなどを揚げる場
合、持手の付いた金属製中カゴを使用することもあっ
た。さらに、同じ油をそのまま何度も使っていると油の
中に油かすが溜まるので、調理後、鍋の油を油こし器に
移し替えることも行われている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述の油を移し替える作業は、油で火傷
をしないように油が冷えるのを待って行なわねばなら
ず、又、次回の調理時には再度鍋に油を入れる必要があ
り、大変煩わしいものであった。そのため、油こし器を
使用せずに油かすが溜まったままで調理を行なうことが
あり、その場合には油かすが揚げ物に付着して外観や風
味を損ねたり、油自身の劣化を早めたりするという欠点
があった。

そこで本考案は前記事情に基づいて成されたものであ
り、油こし器に油を移し替えなくても簡単に油かすを除
去でき、常に澄んだきれいな油でおいしく揚げ物料理を
行ない得る天ぷら鍋を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するための本考案による天ぷら鍋は、鍋
本体の略半分の深さでその鍋本体内に装着する器体を備
え、器体が耐熱耐油性ろ材からなり、器体の口縁に複数
の環状突片を付設したことを特徴とする。

〔作用〕

本考案による天ぷら鍋は、鍋本体内に装着する器体によ
り調理時に生ずる油かすをこし取って捨て去るものであ
る。

即ち、調理時には、油を半分ほど入れた鍋本体内に器体
を油に十分つかるように装着し、器体内で天ぷら等を揚
げ、調理後に、器体を油中より引き上げて油を切れば、
調理時に生じた油かすが器体に残るので、こし取った油
かすを捨てるものである。

又、器体が鍋本体の約半分の深さであるから、油を切る
際、器体口縁に付設した環状突片間に棒体（菜箸）を挿
通し、その棒体を鍋本体の口縁に掛け渡すことにより、
鍋本体内で器体を油面より浮いた状態に保持でき、その
まま蓋を被せることも可能である。

〔実施例〕

以下、本考案による天ぷら鍋について図面を参照しつつ
具体的に説明する。本案鍋は深底形の鍋本体１とその鍋
本体１内に装着する浅底形の器体２及び蓋３からなる。

鍋本体１は一本の長い柄４を有する厚肉アルミニウム合
金製片手鍋で、段状に広くなった口部５を有し、内表面
にこげつき防止用のフッ素樹脂加工を施し、外表面に装
飾用及び防銹用の耐熱塗膜層を装着してある。

器体２は鍋本体１の約半分の深さで底側がやや小径の浅
底形を成し、底部から周壁部を目の細かい耐熱耐油性ろ
材、例えば不織布のような素材で、周壁部の上端の口縁
６を腰のある素材、例えばボール紙で形成し、口縁６に
複数組の環状突片７を相対向して設けてある。

蓋３は鍋本体１の口部５をすっぽりと覆うもので、鍋本
体１の口部５よりやや小さい平坦な中央部８の周縁に、
彎曲しながら段状に低くなって鍋本体１の口部５に被さ
る環状段部９を介して、鍋本体１の口部５を囲む下向縁
部10を設け、この下向縁部10に持手11を付設してある。
持手11は線材を所定の間隔をあけて二つ折りにしたもの
で、下向縁部10に固着して下向きに屈曲させた段部12か
ら放射方向に伸びる長い把持部13に連続し、平行な線材
が彎曲してつながる把持部13の先端を斜め上方に屈曲さ
せてある。

本案鍋は上記構造を成すものであり、次にその使用方法
を説明する。まず蓋３を取り、器体２を鍋本体１内の底
に接する状態に装着すると共に鍋本体１内に半分ほど油
を入れて、即ち器体２内外に油を満たして加熱し、調理
可能な温度になったら、器体２内で揚げ物をする。揚げ
終わったなら、火を消し、器体口縁６の相対向する環状
突片7,7間に棒体（菜箸）14を挿通して器体２を持ち上
げ、鍋本体１の口部５に棒体14を掛け渡す。すると器体
２は油面より浮いた状態に保たれるので、器体２内の油
がこし落とされて器体２内に油かすのみが残る。調理を
終えたら、器体２を持上げてひっくり返し、内面に付着
した油かすを捨てる。

尚、油かすを熱いうちに捨てると、ポリエチレン製のゴ
ミ袋に穴があく恐れがあるので、冷えてから捨てなけれ
ばならない。その後本案鍋をしまうには、油を入れたま
ま器体２が浮いた状態で蓋４を被せる。又、器体２は別
途に保存又は破棄する場合もある。さらに、器体２を鍋
本体１内上部に保持するには、第３図図示の如く鍋本体
１の口部５に突起15を数個分散して設け、器体２の各環
状突片７を外側に折曲げて上記の突起15に係止するよう
にしてても良い。

尚、蓋３は第４図図示の如く裏返してペーパータオルを
敷けばバットとしても使え、その上持手11が付いている
ので片手で持て、盛り付けにも便利である。又、ポテト
チップス等を揚げる場合には、ろ材の目を粗くし、第５
図図示の如く環状突片7,7間に吊手16を取り付けて食材
を油中に出入れするバスケットとして器体２を使うこと
もできる。

〔考案の効果〕

本考案による天ぷら鍋は、上記の如く鍋本体内に装着す
る耐熱耐油性ろ材よりなる器体を有し、器体が鍋本体の
ほぼ半分の深さで、器体の口縁に複数の環状突片を設け
たものであるから、油を半分ほど入れた鍋本体内深くに
器体を装着し、器体内で揚げ物料理を行ない、その後鍋
本体内において器体を油中より引き上げた状態に保持す
ることにより、調理時に生じた油かすを鍋本体内におい
てこし分け、そのまま捨てることもできる。従って本案
鍋を用いれば、従来のように使用後の油を油こし器に移
し替えなくても、油かすを簡単に取り除けるので油が汚
れる恐れもなく、天ぷら等の揚げ物料理を常に澄んだ油
でおいしく作ることができる。又、別途に油こしを用意
する必要がないので、台所の狭い空間を効率的に使用で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による天ぷら鍋の分解斜視図、第２図は
その使用方法を示す斜視図、第３図は他の使用方法を示
す斜視図、第４図と第５図はその他の使用例を示す斜視
図である。 １……鍋本体、２……器体、６……口縁、７……環状突
片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鍋本体（１）の略半分の深さでその鍋本体
   （１）内に装着する器体（２）を備え、この器体（２）
   が耐熱耐油性ろ材からなり、器体（２）の口縁（６）に
   複数の環状突片（７）を付設したことを特徴とする天ぷ
   ら鍋