JPH0726924B2 - Nmrスペクトルを発生させる高周波パルスのカスケード - Google Patents

Nmrスペクトルを発生させる高周波パルスのカスケード

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JPH0726924B2
JPH0726924B2 JP2513615A JP51361590A JPH0726924B2 JP H0726924 B2 JPH0726924 B2 JP H0726924B2 JP 2513615 A JP2513615 A JP 2513615A JP 51361590 A JP51361590 A JP 51361590A JP H0726924 B2 JPH0726924 B2 JP H0726924B2
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、核磁気共鳴の応答信号の包絡線が周波数空
間中でほぼ矩形関数となり、均一静磁界中に存在する試
料にn個の高周波パルスのシーケンスを照射して核磁気
共鳴信号のスペクトルを発生させる方法に関する。
選択された周波数帯域にわたって核スピンを励起あるい
は反転させる能力は最近の核磁気共鳴の多くの実験で重
要な部門になっている。高分解能NMR分光では、関連す
る周波数領域の幅を制限することが、特に二次元や三次
元分光で往々望ましい。周波数を選択できる励起は、二
次元あるいは三次元のスペクトルを一次元に圧縮する全
てのクラスの実験の不可欠な構成要素である。選択でき
る励起の多分最も重要な応用はNMR画像処理法である。
これに関連して、二つの特に重要な問題を言及する必要
がある。つまり、周波数スペクトルで明確な矩形窓を介
した反転、およびここでも周波数スペクトルの矩形窓を
介した縦方向磁化から出発して、最小の位相分散で横方
向磁化を励起する問題である。
矩形状の反転と励起に対して多くの著者によって提起さ
れている多くの方法では、多くのものが合成パルスを応
用することに基づいている。これ等のパルスは一連の硬
いパルスで構成され、互いに位相がずれているが、矩形
状の包絡線と一定の振幅を有する。矩形状の反転と励起
を行う他の方法は、振幅や位相の変調を利用している。
その外、純粋に振幅変調された包絡線を有するパルスの
みが考えられる。スピンを反転させるため、HF(高周
波)パルスを利用できる。このパルスの包絡線は、例え
ばガウス、sinc、あるいはエルミート関数のような簡単
な解析関数で表せる。解析関数で表せる包絡線を有する
同相励起を与えるただ一つの振幅変調パルスは、270゜
の共鳴時のフリップ角(flip angle)を有するガウスパ
ルスである。このパルスを用いて上記の問題を一部解決
できるが、高度な応用では、位相分散が残り、選択性が
不足しているので、未だに問題が解決されていないで残
っている。
成形されたパルスを最適にする初期の努力は、時間領域
中の任意の包絡線を多数の離散時間間隔に分割し、信号
の応答が最終目標関数を良く近似するまで、HF振幅を各
個別時間間隔の中で変化させることに基づいている。こ
のため、洗練化に関して種々の提案が導入されている、
特に“Proceedings of the Fourth Annual Meeting of
the Sociaty of Magnetic Resonance in Medicine,Lond
on,August 1985,p.958 ff"中のConolly等による最適制
御技術,J.Magn.Reson.74,226(1987)中のMurdoch等の
共役勾配法、およびMagn.Reson.Med.5,217(1987)中の
Ngo等によるブロッホ方程式の線形化がそうである。
事実、これ等の方法は優れた結果を与えている。その場
合、Ngo等の方法は理想的な信号応答に相当近いもので
あった。しかし、得られた包絡線はそれを規定するのに
100〜500の独立したパラメータを必要とするので、実用
的な応用は恐ろしく面倒になる。
それ故、この発明の課題は、できる限り少ない調節パラ
メータを有するn個のHFパルスのシーケンスによって、
周波数空間で矩形波特性を有する核磁気共鳴スペクトル
を発生させる、請求の範囲第1項の前段に規定する方法
を提供することにある。
上記の課題は、この発明により、2≦n≦10であり、前
記シーケンスのn個の高周波パルスが振幅変調され、各
々の振幅分布がベル型曲線の形状に近く、全体のパルス
列の振幅分布が3・n個のパラメータwkmax,tkmax,akを
可変して周波数空間での核磁気共鳴信号の応答の包絡線
の矩形関数からのずれを最小にする適当な最適化手順で
求め、ここで、wkmaxが極値の位置tkmaxでのシーケンス
のk番目のパルスの相対振幅で、akがこのk番目のパル
スの幅を意味することによって解決されている。
パルスのシーケンスは、容易に再現できる良く知られた
HFパルスの重ね合わせから成り、これ等のパルスの数n
は高々10に制限されている。このことは、どんな場合で
も、信号応答の包絡線を矩形関数に最適に近似するのに
充分である。調べるべき自由なパラメータの全数は3・
n以上になることはない。
ベル曲線状のHFパルスのこの発明によるシーケンスを最
適にすることは、先ず周知のように、ベル曲線を特徴付
けるパラメータ,wkmax,tkmaxおよびakを変えて行われ、
これ等のパラメータは周波数空間で核磁気共鳴信号応答
の包絡線の矩形関数からのずれが最小になるまで可変さ
れる。最適化はただ一回だけでよく、振幅分布w1(t)
に対する最適パラメータを確定するので、最適化処理が
早いことは問題にならない。原則的に、これ等のパラメ
ータは多少制限された推測によっても、ないしは試行
で、あるいは「手で」行う簡単な繰り返しで求めること
ができる。
周波数空間での核磁気共鳴の信号応答の包絡線の矩形関
数からのずれを最小にすることは、自動データ処理装置
の助けを借りて数値最適プログラムを使用して特に簡単
に、しかも楽に行える。
この発明の方法の有利な構成によれば、周波数空間で核
磁気共鳴の信号応答の包絡線の矩形関数からのずれを最
小にすることが、包絡線の矩形関数からのずれを表す所
定の誤差関数を最適にして行われる。この最適化は誤差
関数が所定の限界値以下になった時に中断される。
前記シーケンスのベル曲線状のHFパルスは、一般に少し
非対称であってもよい。この発明による方法の特別な実
施例の場合、シーケンスは振幅分布がローレンツ曲線の
形状に従うHFパルスを有する。HFパルスの振幅分布がガ
ウス曲線の形状に従う実施例は特に有利である。以下に
述べる特別なパラメータは、ガウスパルス・カスケード
に対して特に求めたもので、非常に良好な結果となる。
この発明による方法の特別な構成では、1シーケンス当
たりのHFパルスの数はn=3になる。こうして、核磁気
モーメントを選択的に反転させるのに特に適したパルス
シーケンスが生じる。
反転信号応答の包絡線は、この発明による方法を利用す
る場合、パラメータwkmax,tkmax/tpおよびΔtk1/2/tpが
それぞれ間隔 1.2<w2max/w1max<1.5;0.3<w3max/w1max<0.7 15<Δt1 1/2/tp<25;15<Δt2 1/2/tp<25;20<Δt3 1/2/
tp<30; 20<t1max/tp<40;40<t2max/tp<60;70<t3max/tp<9
0; に対応する値となる時に特に近接する。この場合、Δtk
1/2は、パルス振幅の半分wkmax/2とak=ln2/(Δt
k1/2のとき、k番目のパルスのパルス半値幅であ
る。特に、パラメータがそれぞれ w1max=−1.00;w2max=1.37;w3max=0.49; Δt1 1/2/tp=18.9;Δt2 1/2/tp=18.3;Δt3 1/2/tp=24.
3; t1max/tp=28.7;t2max/tp=50.8;t3max/tp=79.5 をとる時、特に良い近似になる。
パルスシーケンスw1(t)に4個のHFパルスを使用する
場合、この発明による方法は、横方向の磁化を同相励起
するのに特に良く適している。特に良好な結果は、パラ
メータwkmax,tkmax/tpおよびΔtk1/2/tpがそれぞれ間隔 0.95<w2max/w1max<1.35;−1.7<w3max/w1max<−1.3; −0.7<w4max/w1max<−0.4; 15<Δt1 1/2/tp<20;10<Δt2 1/2/tp<15;10<Δt3 1/2/
tp<15; 10<Δt4 1/2/tp<20; 5<t1max/tp<25;40<t2max/tp<60;55<t3max/tp<7
5; 75<t4max/tp<95; の対応する値の場合、特に、 w1max=0.62;w2max=0.72;w3max=−0.92; w4max=−0.33; Δt1 1/2/tp=17.2;Δt2 1/2/tp=12.9;Δt3 1/2/tp=11.
9; Δt4 1/2/tp=13.9; t1max/tp=17.7;t2max/tp=49.2;t3max/tp=65.3 t4max/tp=89.2; の時に得られる。
この発明による方法を、特にNMR断層撮影法、多次元NMR
分光で、特に容積選択NMR分光に対しての画像形成方法
の構成要素として使用することは、特に有利である。こ
の発明によるn個のHFパルスのシーケンスはNOESYパル
ス列の一部、あるいはCOSYパルス列の一部であってもよ
い。
この発明は請求の範囲第18項の前段部分に規定するNMR
分光計にも係わり、この分光計の記憶器は請求の範囲第
1項の特徴部分のHFパルスのシーケンスを発生させるデ
ータの組を有する。このような分光計は、この発明によ
る方法の上記構成を実行できるように構成されている。
この発用を、以下に図面に示す実施例に基づきより詳し
く記載し説明する。説明、表および図面から読み取れる
特徴は、この発明の他の実施例の場合、単独あるいは任
意の組み合わせにして応用できる。
第1図 ガウスパルス・カスケードの数値計算した横方
向磁化<Mxy>(実線)を伴うフーリエ変換(破線)で
あり、個々の三つのパルスは公称フリップ角+45゜,−
90゜,+135゜を与え、 a) 個々のパルスの各々がフリップ角に比例する幅を
有するか、 あるいは、 b) 個々のパルスが等しい幅とフリップ角に比例する
振幅を有する、 第2図 反転パルスのMz応答の比較であり、これ等の包
絡線が a) 個別ガウスパルス、 b) Sincパルス、 c) n=3であるこの発明によるガウスパルス・カス
ケード、 第3図 スタート関数から出発して(a),種々の最適
化サイクル(b),(c),(d)の後のこの発明によ
る反転パルス・カスケードのMz応答、 第4図 a) n=4のスタート関数と同相励起した後
の対応するMxとMyの波形、 b) 最適化された励起カスケードと対応する最適化さ
れた信号、 第5図 a) 反転カスケードn=3の実験結果(上)
およびこの実験のシュミレーション結果(下)、 b) 励起カスケードn=4の実験結果(上)および対
応するシュミレーション計算(下)、 第6図 シュミレーションした状況の比較、 a) 90゜ガウスパルス、 b) 270゜ガウスパルス、 c) この発明による励起パルス・カスケード(n=
4)。
小さいフリップ角では、スピン系の周波数応答は時間領
域のパルスの包絡線のフーリエ変換に大体一致する。磁
化の軌跡がほぼ基準系の「北極」の近くで小さくはみ出
すように制限されている、共鳴の外れでは、上の等価性
は多きな有効フリップ角に対してさえも保持されること
が分かる。しかしながら、反転、再集束あるいは横方向
の磁化を有効に励起するのに必要なような、大きいフリ
ップ角での共鳴特性の予測に対して、上記等価性は完全
に崩れる。つまり、ガウス包絡線あるいはSinc包絡線を
有するパルスに有用な特性があるとしても、このこと
は、上記の包絡線のフーリエ変換が周波数領域でガウス
関数と矩形波関数の形状を有すると言う事実によるもの
ではない。
以下では、特に選択的な反転にも同相励起にも利用でき
る振幅変調パルスの新しいクラスを説明し、これ等のパ
ルスを解析的に、 の形で記載する。この関数は時間間隔tpの包絡線を表
し、n個のガウス関数を重ね合わせて構成されている。
その場合、k番目のガウス関数に対して、極値の位置が
tkmaxで、ピークの振幅がwkmaxで、そして幅が、 ak=ln2/(Δt1/2 で与えられ、Δt1/2はパルス振幅が半分の場合のk番
目のパルスのパルス半値幅である。関数П(0,tp)はt
=0とtpの間で値1となり、それ以外では値0になるボ
ックス関数である。
フーリエ等価性が共鳴から周波数が大きくずれても(Ω
/w1max>1)当てはまるので、理想的なパルス・カスケ
ードのフーリエ変換は主要な周波数帯域の外でできる限
り0に近くにある必要がある。それ故、振幅の急激な変
化を避ける必要がある。何故なら、その変化が誤ったフ
ーリエ変換を導くからである。従って、通常の矩形状包
絡線とは逆に、カスケードの個別パルスのパルス波形を
ガウス関数として選んだ。更に、一個のパルスのフーリ
エ変換の波形は振幅でなく、その幅だけに影響される。
加算と移動の定理による直接の結果として、同じ幅を有
し(全てのkに対してak=a)、異なった振幅を有する
n個のずれたガウスパルスのカスケードは、同じ幅(お
よび異なった振幅)を有するn個のガウス包絡線の和で
構成されるフーリエ変換を有することが分かる。つま
り、 それ故、周波数空間でのガウスパルスは周波数に依存す
る位相のみが付属し、これ等の位相はカスケードの時間
のずれを反映している。このことから、ガウスカスケー
ドの出力シーケンスは同じ幅akと振幅Ωkmaxを有する個
別パルスを保有し、これ等のパルスが好ましい公称フリ
ップ角に応じて可変すると言うことが判る。こうして、
励起が個別ガウスパルスの励起と同じように早く終わる
と期待できる。
この議論を実証するため、第1図は個々のパルスがそれ
ぞれ+45゜,−90゜および+135゜の共鳴時の公称フリ
ップ角を有する二つのガウスパルス・カスケードに関す
る<Mxy>応答の数値シュミレーションと共にフーリエ
変換を示す。振幅が一定で、幅がフリップ角に比例する
場合には、励起波形のテール部分が非常にゆっくりと零
になることが判る。これに反して、同じパルス幅で、フ
リップ角に比例する振幅のガウスパルスのカスケード
は、非常に急激に落ち着く応答になる。フーリエ変換は
共鳴時の特性を直接予測していないことも判る。パルス
期間の変調に反して、振幅変調の原理を任意に位相のず
れたパルスカスケードに容易に拡張できるけれども、今
のところ一定の位相を有するパルス列のみを考えること
にする。その場合、もちろん位相反転(例えば、xから
−xへの反転)は許される。第1図のパルス応答は、規
格化された周波数のずれΩ/w1maxの関数として表わされ
る。その場合、Ω=w0−WHFとW1maxはそれぞれ周波数の
ずれと90゜パルスの最大HF振幅である。
これ等のパルスは、改良されたシンプレクス(Simple
x)手順で電算機上で最適化される。その場合、矩形状
の目標関数からのずれが最小にされる。上記のフーリエ
条件は、所望の共鳴の外れた状況に対して充分である
が、必ずしも必要ではないことが判る。パルス幅akが異
なるカスケードも同じように良好な応答信号になると良
い。従って、等式(1)の全ての独立パラメータで最適
にすることが行える。ブロッホ方程式を満たすパルス応
答の誤差を最小にすることは、多数の平坦な見掛け上の
最低値の存在により特に困難になる。この問題は、最適
化手順の間に誤差関数の形状を再定義して最も簡単に解
決される。
3つのパルスから成るパルス・カスケードに対する出発
値として、以下のシーケンスを選ぶ。つまり、 G{270゜-x}G{270゜x}G{180゜x} [3] このシーケンスは、通常の反転パルスが続く単純な準備
サイクルで構成されている。G{270゜-x}G{270゜
x}のサイクルは、共鳴のところで実効果を有するので
なく、矩形状の反転波形を発生させるため、次に続く18
0゜パルスの作用に対して好ましい方法で共鳴から外れ
た磁化を準備する。フーリエ変換に関して考察すると、
同じ幅であって、フリップ角に比例する振幅の三つのガ
ウスパルス全てが選択される。
第2図には、Mz磁化が(a)180゜ガウスパルス、
(b)180゜Sincパルス、および(b)等式[3]のカ
スケードを使用して規格化された周波数のずれの関数と
して比較されている。ガウスパルスは、5%でw1maxを
通過し、Sincパルスは最大値の各々の側に4つの零交点
を有し、そしてカスケードは表1のサイクル1によるパ
ラメータを示している。第2図cのカスケードの結果
は、選択された帯域内で全く完全でないが、所望の帯域
外の誤った励起は個々のガウスパルスおよびSinc関数に
比べて改善を示している。それ故、シーケンスG{270
-x}G{270゜x}G{180゜x}は最適化の出発値と
して利用される。
第3図a〜dは最適化手順で連続したサイクルによるMz
磁化波形を示す。この場合、(a)は出発関数、
(b),(c)と(d)は、第一、第二および第三の最
適化サイクルの結果である。ここで最後のものは最終的
に得られた反転カスケードG3である。得られたパルスの
パラメータは表1に記載されている。各々の最適化サイ
クル(150回の繰り返し)に対して、二つの誤差関数fin
とfoutが定義される。一つは、励起矩形波ないしは反転
矩形波の内部で一定周波数のものと、前記矩形波の外で
一定周波数のものである。即ち、 この場合、Mkはk番目のずれで、Mz応答が0を通過する
地点が1の場合のt=tpに対する磁化応答である。間隔
mとm′は応答が自由に動いてもよく、誤差関数に寄与
しない、小さな移行領域に対応する。これ等の誤差関数
は、 finvout(Mk)=fexcout(Mk)=(Mkx2+Mky2)a
[6] finvin(Mk)=b(1+Mkz) [7] fexcin(Mk)=c[(1−Mkx)+dMky2]g +h(Mkx2+Mky2) [8] ここで、下付添字invとexcは反転パルスあるいは励起パ
ルスを最適にするために使用する関数に関連する。等式
(6)〜(8)の誤差関数を規定するパラメータa〜h
は最適化の間にサイクル毎に可変でき、表1に値mと
m′およびカスケードの個別パルスの各々に対するパラ
メータと一緒に与えてある。その場合、最後のパラメー
タはシーケンスの時間間隔tpの単位でk番目のパルスの
位置tkmaxにして示してあり、相対振幅wkmaxと線幅Δtk
1/2も同様にtpの単位で示してある。等式[8]中のc
かhは零であることに注意しよう。最適化は80の等周波
数に対して行われ、ブロッホ方程式を200の等しい時間
間隔で積分して数値的に解いてそれぞれの応答を計算し
た。周波数のずれを25の等周波数で大体1になるように
選び、繰り返し毎に何らかの変化が1になるように計算
するため、誤差関数を規格化した。最適化サイクルの各
々は誤差関数のシンプレックス最小化を150回繰り返し
て構成されている。第3図a〜dには、各サイクル後に
生じたパルス波形も示してある。パルスが徐々に最適化
されることが分かる。G3と称する最後の反転パルスは、
表1に示すパラメータを有し、サイクル0での初期値に
かなり似ている。この結果を得るには、最適化手順にた
だ3回のサイクルしか必要としなかった。この手順は、
VAX8500組み合わせて14mipsの場合、約15分の電算機時
間を必要とした。
このG3カスケードは反転に対してだけでなく、再集束す
るパルスとしても利用できる。上記のパルスがこの目的
に対して最適にされていなくても、これに関しても有利
になっている。この特性は、以下で励起パルスを構成す
るために利用される。
他の目的は、特定な周波数間隔で縦方向の磁化を横方向
の磁化にできる限り少ない位相分散で移行させるパルス
を見つけることにある。選択された間隔の外では、出力
状態ができる限り僅かに乱れるべきである。これ等の要
請は「矩形状同相励起」と言う用語でまとめることがで
きる。この目的のために今まで、ただ3個のガウスパル
スを用いた適当なパルス・カスケードが未だ見出されて
いない。最も簡単な4つのパルス・カスケードは通常の
270゜ガウス励起パルスである。このパルスには、再集
束するパルスとしてのG3カスケードが追従する。
G{270゜x}G3x [9] このカスケードを出発値として利用した。一つのカスケ
ードの位相は以下では第一個別パルスの位相を代表する
添字で示す。それ故、等式[9]のシーケンスの共鳴時
の全体のフリップ角は+90゜になる。最適化の経過は表
2に示してある。励起は本来困難な問題であるから、最
適化はゆっくりと集束し、11回のサイクルで約90分の電
算機時間を必要とした。
第4図は、最適化で発生するような、スタートパルスに
対する応答(a)と最終パルスに対する応答(b)を示
す。後者は以下でG4と呼ぶ。振幅Mxyが最大値の90%以
上である範囲を利用可能な帯域と定義すると、この窓の
中でG4パルスの位相の最大のずれは5゜以下になる。
ガウスパルス・カスケードを用いた応答をブリュッカー
(Bruker)社の型式AM400分光計で行った。この分光計
には、オックスフォード・リサーチ・システム(Oxford
Research Systems)社の選択的に励起を行う装置(Ser
ies No.H1657/0013)が装備されている。Aspect 3000 C
omputerで行われるパスカル・プログラムでパルス波形
を発生させる。この電算機は、波形記憶器用のデータを
作成するため、ブリュッカー(Bruker)社の型式SHAPE
−PACKAGEによって利用されるデータファイルを発生す
る。その際、反転ないしは励起の場合の包絡関数の発生
は、簡素な9ないし12の関連パラメータを入力すること
に限定される。これ等のパラメータは表1ないし2の終
わりにそれぞれ提示されている。
第1図〜第3図で使用したボックスと第4図の左ボック
スは、使用したガウスパルス・カスケードの各々の包絡
線を示す。
第5図aはG3カスケードの実験的な特性を示す。これ等
の結果はシーケンス G3−90゜−データ収集 [10] を設定して得られる。その場合、90゜パルスは通常の硬
い非選択パルスである。送信器の周波数を段階的に増や
して(Cr(acac)を添加した)ベンゼンのプロトン共
鳴の位置を可変した。G3カスケードの位相はΦ=0゜,9
0゜,180゜および270゜回転した。他方、受信器の位相
は、G3カスケードによって発生した磁化のZ成分のみを
測定できることを保証するため、一定に維持された。理
論との一致は良好である。第5図aの上の図は実際の実
験結果を示し、下の図はこの実験のシュミレーションを
示す。中心で完全に反転していることは、試料中のHF均
一性を示す。この均一性は半値幅がw1=0.12・w1nomina
lを有するフリップ角のローレンツ分布によって表せ
る。HF不均一性は合成された波形に僅かな影響しか与え
ない。この効果は理論によっても予見されている。
第5図bはG4カスケードに対する結果の類似な事実を示
す。これは、簡単なG4データ収集シーケンスと上に説明
したように送信器の周波数を段階的に増やして得られ
る。再び、理論と実験の一致はほぼ正確である。これ等
のスペクトルに対して周波数に依存する位相補正を行わ
なかった。パルス応答は、励起帯域の限界まで一定の位
相を有していることが注目される。
比較のために、第6図に(a)個別90゜ガウスパルス、
(b)270゜ガウスパルスおよび(c)G4励起カスケー
ドのシュミレートされた特性を示す。前記カスケードが
パルス応答の波形自体や位相特性に対してかなりの改善
を示す。
この発明による方法、特にG3反転カスケードとG4の励起
カスケードの使用はNMR断層撮影の画像発生方法の一部
としても使用される。この発明によるパルスシーケンス
は実験的に容易に発生させることができるので、多次元
NMR分光、特に体積選択NMR分光へのこのシーケンスの応
用が有利である。n個のHFパルスのこの発明によるシー
ケンスは、相関するNMR分光に対して、特別なパルス列
(COSY)あるいはNOESYパルス列の一部であってもよ
い。
一般的に、上で詳しく議論したガウスパルスの代わり
に、僅かに非対称であるほぼベル型曲線状の振幅分布を
有する他のHFパルスもこの発明によるHFパルスシーケン
スの構成要素として利用できる。このようなベル型曲線
は、例えば周知のローレンツ関数でも記載される。即
ち、 Sk(t)=wkmax/π・ak[ak2+(t−tkmax)] である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ボーデンハウゼン・ジェフレィ スイス国、ツェーハー―1009 プリー、シ ュメン・デ・ロシュ、11 (72)発明者 エムスリィ・リンドン スイス国、ツェーハー―1003 ローザン ヌ、シュノー・ドゥ・ブール、1

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の過程、 a) k番目のHFパルスが振幅wkmax,極値の位置tkmax,
    および幅akを有し、個数nが少なくとも2より大きく10
    以下の振幅変調されたベル曲線状のHFパルスからなるパ
    ルスシーケンスを選び、 b)各HFパルスの振幅、極値の位置および幅を変えて、
    周波数空間での信号応答の包絡線の矩形関数からのずれ
    を最小にし、 c)前記パルスシーケンスを均一磁界中に設置された試
    料に照射して、周波数空間でほぼ矩形状の包絡線を有す
    る核磁気共鳴信号応答を発生する、 から成る、核磁気共鳴信号のスペクトルを発生する方
    法。
  2. 【請求項2】周波数空間での核磁気共鳴信号の応答の包
    絡線の矩形関数からのずれを最小にすることは、自動デ
    ータ処理装置で改良されたシンプレックス手順で行われ
    ることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】周波数空間での核磁気共鳴信号の応答の包
    絡線の矩形関数からのずれを最小にすることは、矩形関
    数からの包絡線のずれを表す所定の誤差関数を最適化し
    て行われることを特徴とする請求の範囲第1項または第
    2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】誤差関数の絶対値が所定の限界値以下にな
    ると、最適化の打ち切りが行われることを特徴とする請
    求の範囲第3項に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記シーケンスは高周波パルスを含み、そ
    の振幅分布はローレンツ曲線の形状となることを特徴と
    する請求の範囲第1〜4項の何れか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記シーケンスは高周波パルスを含み、そ
    の振幅分布はガウス曲線の形状となることを特徴とする
    請求の範囲第1〜4項の何れか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】n=3であり、核磁気モーメントを選択的
    に反転させる方法が使用されることを特徴とする請求の
    範囲第1〜6項の何れか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】パラメータwkmax,tkmax/tpおよびΔtk1/2/
    tpは、間隔 1.2<w2max/w1max<1.5;0.3<w3max/w1max<0.7 15<Δt1 1/2/tp<25;15<Δt2 1/2/tp<25;20<Δt3 1/2/
    tp<30; 20<t1max/tp<40;40<t2max/tp<60;70<t3max/tp<9
    0; からそれぞれ一つの適当な値を占め、ここで、Δtk1/2
    がパルス振幅の半分wkmax/2の時のk番目のパルスのパ
    ルス半値幅を意味し、そしてak=ln2/(Δtk1/2
    あることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の方法。
  9. 【請求項9】パラメータwkmax,tkmax/tpおよびΔtk1/2/
    tpは、それぞれ値 w1max=−1.0;w2max=1.37;w3max=0.49; Δt1 1/2/tp=18.9;Δt2 1/2/tp=18.3;Δt3 1/2/tp=24.
    3; t1max/tp=28.7;t2max/tp=50.8;t3max/tp=79.5 を占めることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】n=4であり、横方向磁化を同相励起す
    る方法を使用することを特徴とする請求の範囲第1〜6
    項の何れか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】パラメータwkmax,tkmax/tpおよびΔtk
    1/2/tpは、間隔 0.95<w2max/w1max<1.35;−1.7<w3max/w1max<−1.3; −0.7<w4max/w1max<−0.4; 15<Δt1 1/2/tp<20;10<Δt2 1/2/tp<15;10<Δt3 1/2/
    tp<15; 10<Δt4 1/2/tp<20; 5<t1max/tp<25;40<t2max/tp<60;55<t3max/tp<7
    5; 75<t4max/tp<95; からそれぞれ一つの適当な値を占め、ここで、Δtk1/2
    がパルス振幅の半分wkmax/2の時のk番目のパルスのパ
    ルス半値幅を意味し、そしてak=ln2/(Δtk1/2
    あることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の方法。
  12. 【請求項12】パラメータwkmax,tkmax/tpおよびΔtk
    1/2/tpは、それぞれ値 w1max=−0.62;w2max=0.72;w3max=−0.91; w4max=−0.33; Δt1 1/2/tp=17.2;Δt2 1/2/tp=12.9;Δt3 1/2/tp=11.
    9; Δt4 1/2/tp=13.9; t1max/tp=17.7;t2max/tp=49.2;t3max/tp=65.3 t4max/tp=89.2; を占めることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】NMR断層撮影法で断層画像を発生させる
    方法が使用されることを特徴とする請求の範囲第1〜12
    項の何れか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】多次元NMR分光を行う方法が使用される
    ことを特徴とする請求の範囲第1〜12項の何れか1項に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】体積選択的なNMR分光を行う方法が使用
    されることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の方
    法。
  16. 【請求項16】n個のパルスのシーケンスはNOESYパル
    ス列の一部であることを特徴とする請求の範囲第14項に
    記載の方法。
  17. 【請求項17】n個のパルスのシーケンスはCOSYパルス
    列の一部であることを特徴とする請求の範囲第14項に記
    載の方法。
  18. 【請求項18】高周波パルス発生器と、高周波パルスシ
    ーケンスを発生するため、データ文を記憶するための記
    憶器を保有し、前記高周波パルス発生器を駆動する装置
    とを備えた、核磁気共鳴分光計において、前記記憶器は
    振幅変調された高周波パルスのシーケンスを発生するデ
    ータの組を含み、前記パルスの振幅分布がそれぞれベル
    型曲線に従い、周波数空間での核磁気共鳴の信号応答の
    包絡線の矩形波関数からのずれを最小する判定基準の下
    で適当な最適手順により全体のパルスシーケンスの振幅
    分布が3・n個のパラメータ,wkmax,tkmax,akを変えて
    求まり、ここで、wkmaxが極値の位置tkmaxでのシーケン
    スのk番目のパルスの相対振幅であり、akがk番目のパ
    ルスの幅を意味し、その場合、2≦n≦10であることを
    特徴とする核磁気共鳴分光計。
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