JPH07268497A - ハロゲン化金属の還元反応装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 還元反応時に圧抜管内に付着する還元金属を
自動除去し、真空分離時に副生化合物等の付着を防止で
きるハロゲン化金属の還元反応装置を提供する。 【構成】 ハロゲン化金属装入管２と還元剤装入管４を
備え、外周部に加熱手段６を有する反応容器１におい
て、上部に水平枝管７をもつ圧抜管８を垂直に設置し、
該圧抜管８に連設された支持台10に、上端部の回転駆動
装置９に着脱可能に軸支された回転軸11と、回転軸先端
に固定された回転円板部材13に撹拌治具12を垂設した機
構の第１の付着物除去手段と、前記圧抜管８の水平枝管
７に系内圧力に連動して開閉作動する圧抜バルブ14と、
エアシリンダー15を介して圧抜管８に内部まで突出する
伸縮掃除杆16を備えた機構の第２の付着物除去手段とを
装備することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化金属を還元
反応させ、生成した金属から副生成物を除去して金属製
品を得るための還元反応装置に係り、詳しくは、反応容
器の圧抜き機構に改良を加えて製造操業の円滑化を図っ
たハロゲン化金属の還元反応装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ハロゲン化金属の還元反応により製造さ
れる金属の代表的な例としては、金属チタンがある。こ
の方法により金属チタンを工業的に製造するには、反応
容器内において四塩化チタンをマグネシウムで還元し、
適時、副生する塩化マグネシウムを排除しながら金属チ
タンを生成し、還元反応後に金属チタンから残留する副
生塩化マグネシウムおよび未反応のマグネシウムを真空
分離して生成金属チタンを精製するプロセスが採られて
いる。

【０００３】還元反応装置としては、上部にハロゲン化
金属装入管と真空分離用側管を有する還元剤装入管を備
え、外周部が加熱手段で被包された密閉構造の反応容器
が用いられるが、反応容器には反応過程で系内の圧力上
昇を制御するために容器上部に開閉バルブを備える圧抜
管が設置されている。ところが、圧抜管の内面には還元
反応段階に生成した還元金属が固着し、また真空分離後
には還元反応により副生する化合物や未反応の還元剤成
分が付着して管内を閉塞する現象が発生する。

【０００４】このため、操業に際しては還元反応段階お
よび反応終了後に、突き棒を用いて圧抜管の内面に付着
した還元金属および副生化合物等を人為的に掻き落とす
作業を行っているが、これら付着物は強固に固着してい
るので除去清掃作業には相当の困難性を要し、これが安
全な連続操業を阻害して製品コストを高める要因となっ
ていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点の解消を図り、還元反応時に圧抜管内面に付着
する還元金属を自動的に除去し、かつ真空分離段階にお
ける副生化合物等の付着を防止することができる操業性
に優れたハロゲン化金属の還元反応装置を提供すること
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるハロゲン化金属の還元反応装置は、上
部にハロゲン化金属装入管および真空分離用側管を有す
る還元剤装入管を備え、外周部を加熱手段により被包さ
れた密閉構造の反応容器において、前記反応容器の上部
に水平枝管を有する圧抜管を垂直に設置し、該圧抜管に
連設された支持台に、上端部の回転駆動装置に着脱可能
に軸支された回転軸と、該回転軸の先端部に固定された
回転円板部材に撹拌治具を垂設した機構の第１の付着物
除去手段と、前記圧抜管の水平枝管に反応容器の圧力度
合に連動して開閉作動する圧抜バルブと、エアシンダー
を介して前記圧抜バルブの開口時に圧抜バルブを貫通し
て圧抜管の内部まで突出する伸縮掃除杆を備えた機構の
第２の付着物除去手段とを装備してなることを構造上の
特徴とする。

【０００７】この構造において、第１の付着物除去手段
を構成する円板状部材は、圧抜管の内部を水平枝管の上
部から下部位置まで移動可能に回転軸に固定されてお
り、撹拌治具は前記回転円板部材の下面縁端部に金属製
の棒および／またはチェーンとして吊り下げ状態に垂設
することが好ましい。更に圧抜バルブの前面には、吸引
装置を設置することが好適な構造態様となる。

【０００８】

【作用】本発明に係るハロゲン化金属の還元反応装置に
よれば、第１の付着物除去手段となる回転軸に固定され
た回転円板部材と、これに垂設された撹拌治具が、還元
反応過程を通じて回転駆動して圧抜管内面に付着する還
元金属を自動的に掻き落す機能を営む。同時に第２の付
着物除去手段を構成する伸縮掃除杆が、反応容器の圧力
上昇に連動して開口した圧抜バルブを貫通して圧抜管内
に突出して、水平枝管および圧抜バルブの内面に付着す
る還元金属を除去する。したがって、これら第１の付着
物除去手段および第２の付着物除去手段による付着物除
去作用が共働して、還元反応時における生成還元金属に
よる圧抜管、水平枝管および圧抜バルブの閉塞は完全に
防止される。

【０００９】還元反応が終了し、還元反応の副生化合物
および未反応の還元剤成分を真空分離する段階で、第１
の付着物除去手段を構成する回転円板部材の回転を止め
て圧抜管の下部位置まで降下して圧抜管を閉止すると、
前記還元反応の副生化合物や未反応の還元剤成分が圧抜
管内面に侵入する現象は阻止され、これら成分の付着は
未然に防止される。このため、真空分離後に圧抜管の内
部を人為的に清掃除去する煩雑な作業は一切不要とな
る。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細
に説明する。なお、実施例は四塩化チタンを溶融マグネ
シウム還元剤で還元反応させて金属チタンを製造するプ
ロセスを対象としているが、本発明によるハロゲン化金
属の還元反応装置はこの製造例に限られるものではな
い。

【００１１】図１は本発明に係るハロゲン化金属の還元
反応装置を示した断面図、図２は圧抜管部位の部分拡大
断面図である。これらの図において、１は反応容器で、
上蓋部にハロゲン化金属装入管２および真空分離用側管
３を有する還元剤装入管４と、底部から副生する塩化マ
グネシウムを系外に排除するための副生化合物抜出管５
をそれぞれ備えた密閉構造を呈しており、外周部は適宜
な加熱手段６の区画によって被包されている。

【００１２】反応容器１の上蓋部には上記したハロゲン
化金属装入管２および還元剤装入管４のほか、上部に水
平枝管７を有する圧抜管８が垂直に設置されている。そ
して前記圧抜管８には上端部にモーター等の回転駆動装
置９を設けた支持台１０が連設されており、該回転駆動
装置９に着脱可能に軸支された回転軸１１の先端部に撹
拌治具１２を垂設した回転円板部材１３が固定され、こ
れら一連機構により第１の付着物除去手段が形成されて
いる。

【００１３】回転円板部材１３は回転軸１１に固定され
ており、還元反応時には水平枝管７の上部に位置して圧
抜管８の内面を摺動しながら回転する。撹拌治具１２は
金属製の棒、チェーンもしくはチェーンの先端に棒を接
続した長尺部材として回転円板部材１３の下面縁端部に
吊り下げた状態で係着され、回転円板部材１３の回転に
伴って圧抜管８の内面を擦りながら回動する。なお、撹
拌治具１２の長さは圧抜管８の長さ以上とし、垂設本数
は１本に限らず複数本であってもよい。

【００１４】一方、水平枝管７には例えばセンサー機構
により反応容器１の圧力度合に連動して開閉作動する圧
抜バルブ１４と、エアシリンダー１５を介して前記圧抜
バルブ１４の開口時に圧抜バルブ内を貫通して圧抜管８
の内部まで突出する伸縮掃除杆１６が装備されており、
これら機構により第２の付着物除去手段が形成されてい
る。エアシリンダー１５による伸縮掃除杆１６の突出作
動は圧抜バルブ１４の開口作動と連動する機構とし、例
えば反応容器１の内圧が上昇して圧抜バルブ１４が開口
した際に圧抜バルブ１４が開口した信号を受けて伸縮掃
除杆１６が自動的に前後移動を繰り返すように設計され
る。この機構により、内圧が下降すると伸縮掃除杆１６
が後退し、この後退信号を受けて圧抜バルブ１４は閉止
する。また、圧抜バルブ１４の前面には吸引装置１７が
設置されている。

【００１５】上記の構造を備える還元反応装置を用いて
金属チタンを製造する場合には、まず加熱手段６により
反応容器１を加熱した状態で、反応容器１に還元剤装入
管４から反応容器１内に溶融マグネシウムを注入し、つ
いでハロゲン化金属装入管２を介して四塩化チタンを滴
下する。同時に、回転円板部材１３を水平枝管７の上部
に位置させた状態で回転駆動装置９を駆動させ、回転軸
１１を回転させる。滴下した四塩化チタンが溶融マグネ
シウムに接触すると、反応容器１の内部で四塩化チタン
がマグネシウムにより還元される反応が生じ、金属チタ
ン塊１８と塩化マグネシウムが生成する。還元反応で副
生した塩化マグネシウムは、適時、副生化合物抜出管５
を通じて系外に除去される。

【００１６】還元反応中に反応容器１の内圧が一定値を
越えと、圧抜バルブ１４が自動的に開口して系内圧力を
適正に減圧し、再び閉止状態に戻る。この反応段階で
は、圧抜管８および水平枝管７の内面や圧抜バルブ１４
の孔部にも生成した金属チタンが付着する。しかし、圧
抜管８の内面に付着する金属チタンは、回転円板部材１
３の回転と共に圧抜管８の内面を擦りながら回動する撹
拌治具１２の作用（第１の付着物除去手段）により悉く
掻き落とされ、一方、水平枝管７および圧抜バルブ１４
に付着する金属チタンは、圧抜バルブ１４の開口時にエ
アシリンダー１５を介して圧抜管８の内部まで突出する
伸縮掃除杆１６の作用（第２の付着物除去手段）により
間欠的に除去される。したがって、還元反応段階で圧抜
管８、水平枝管７および圧抜バルブ１４の内部が生成し
た金属チタンによって閉塞されることはなくなる。

【００１７】還元反応が終了したら、反応容器１のハロ
ゲン化金属装入管２、還元剤装入管４および副生化合物
抜出管５を閉止し、図３に示すように真空分離用側管３
を図示しないコンデンサーの接続配管１９に接続する。
同時に、回転軸１１の軸支部分を脱着し、回転駆動装置
９および支持台１０を圧抜管８から取り外して回転軸１
１を降下し、回転円板部材１３を圧抜管８の下部位置
（入口部）に移動する。ついで、加熱手段６により反応
容器１を加熱しながらコンデンサーを減圧し、金属チタ
ン塊１８中に含まれる未反応のマグネシウムや副生塩化
マグネシウム成分を真空分離する。真空分離の過程で
は、前記の未反応マグネシウムや塩化マグネシウムが揮
散するが、圧抜管８は回転円板部材１３によって入口部
位が閉鎖されているから、圧抜管８の内部にこれら成分
が付着する事態は完全に防止される。したがって、真空
分離後の圧抜管８の内部を清掃する作業は不要となる。

【００１８】

【発明の効果】以上のとおり、本発明に係るハロゲン化
金属の還元反応装置によれば、圧抜管に設置した第１の
付着物除去手段と第２の付着物除去手段が共動して自動
的に圧抜管内部を常に閉塞しない状態に保持する。した
がって、従来装置のように還元反応工程中および真空分
離工程後に圧抜管内を人手を介して清掃する困難な作業
が不要となるから、操業性ならびに生産性の向上と製造
コストの削減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例によるハロゲン化金属の還元反
応装置を示した断面図である。

【図２】図１の圧抜管部位を拡大して示した部分拡大断
面図である。

【図３】真空分離段階におけるハロゲン化金属の還元反
応装置の状態を示した断面図である。

【符号の説明】

１ 反応容器 ２ ハロゲン化金属装入管 ３ 真空分離用側管 ４ 還元剤装入管 ５ 副生化合物抜出管 ６ 加熱手段 ７ 水平枝管 ８ 圧抜管 ９ 回転駆動装置 10 支持台 11 回転軸 12 撹拌治具 13 回転円板部材 14 圧抜バルブ 15 エアシリンダー 16 伸縮掃除杆 17 吸引装置 18 金属チタン塊 19 接続装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部にハロゲン化金属装入管および真空
   分離用側管を有する還元剤装入管を備え、外周部を加熱
   手段により被包された密閉構造の反応容器において、前
   記反応容器の上部に水平枝管を有する圧抜管を垂直に設
   置し、該圧抜管に連設された支持台に、上端部の回転駆
   動装置に着脱可能に軸支された回転軸と、該回転軸の先
   端部に固定された回転円板部材に撹拌治具を垂設した機
   構の第１の付着物除去手段と、前記圧抜管の水平枝管に
   反応容器の圧力度合に連動して開閉作動する圧抜バルブ
   と、エアシンダーを介して前記圧抜バルブの開口時に圧
   抜バルブを貫通して圧抜管の内部まで突出する伸縮掃除
   杆を備えた機構の第２の付着物除去手段とを装備してな
   ることを特徴とするハロゲン化金属の還元反応装置。
2. 【請求項２】 第１の付着物除去手段を構成する回転円
   板部材が、圧抜管の内部を水平枝管の上部から下部位置
   まで移動可能に回転軸に固定され、前記回転円板部材の
   下面縁端部に金属製の棒および／またはチェーンからな
   る撹拌治具を吊り下げて垂設する請求項１記載のハロゲ
   ン化金属の還元反応装置。
3. 【請求項３】 圧抜バルブの前面に吸引装置を設置する
   請求項１又は２記載のハロゲン化金属の還元反応装置。