JPH07268194A - 脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)組成物 - Google Patents

脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)組成物

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JPH07268194A
JPH07268194A JP6176498A JP17649894A JPH07268194A JP H07268194 A JPH07268194 A JP H07268194A JP 6176498 A JP6176498 A JP 6176498A JP 17649894 A JP17649894 A JP 17649894A JP H07268194 A JPH07268194 A JP H07268194A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリ(2−オキセタノン)100重量部に対
して、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カ
ルシウムなどのアルカリ土類金属の塩酸塩、硫酸塩、炭
酸塩およびケイ酸塩からなる群から選ばれた少なくとも
一種のアルカリ土類金属塩0.1〜70重量部を含有し
てなるポリ(2−オキセタノン)組成物、並びにポリ
(2−オキセタノン)やポリ(β−ヒドロキシ酪酸)な
どのα位に水素原子を有する脂肪族ポリ(β−ヒドロキ
シカルボン酸)100重量部に対して、塩化カルシウム
などのアルカリ土類金属の塩酸塩0.1〜2重量部を含
有してなる脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)組
成物。 【効果】 本発明の組成物は、溶融成形時、保存、使用
時におけるポリ(2−オキセタノン)をはじめとするβ
−ポリエステルの分子量低下が抑制され、物性的により
良好であり、より長期にわたり安定なβ−ポリエステル
成形品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境中で微生物の作用
により分解するプラスチック材料である脂肪族ポリ(β
−ヒドロキシカルボン酸)の溶融成形時の熱分解および
保存時の加水分解などの自然分解を抑制する安定組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】α位に水素原子を有する脂肪族ポリ(β
−ヒドロキシカルボン酸)は、α位に水素原子を有する
β−ヒドロキシカルボン酸のエステル構造を主鎖の基本
的繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルであり、この
中のいくつかは、微生物の作用により環境中で分解する
事が知られている。特に、ポリ(2−オキセタノン)と
ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)は多くの種類の酵素で分解
されること(向井、土肥、瀬間、富田、高分子論文集、
Vol.50, No.10, 715-722 (1993))や、分解環境中に多
くの分解微生物が存在していること(H. Nishida and
Y. Tokiwa, Journal of Environmental Polymer Degrad
ation, Vol.1, No.3, 227-233 (1993))などが見い出さ
れてきた。また、環境中の多くのバクテリアが、多種類
のα位に水素原子を有する脂肪族ポリ(β−ヒドロキシ
カルボン酸)を細胞内でエネルギー貯蔵物質として生合
成することが解ってきた(H. Brandl, R. A. Gross, R.
W.Lenz, and R. C. Fuller, Advances in Biochemical
Engineering/Biotechnology, Vol.41, 77-93 (199
0))。これらの結果から、α位に水素原子を有するポリ
(β−ヒドロキシカルボン酸)の多くが、微生物によっ
て分解されるポリマーである可能性が示唆されている。
近年の深刻な廃棄物問題の対策の一つとして、環境中で
分解するプラスチックが望まれており、α位に水素原子
を有する脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)は、
まさにその要望されているプラスチック材料である。
【0003】α位に水素原子を有する脂肪族ポリ(β−
ヒドロキシカルボン酸)の中で、ポリ(2−オキセタノ
ン)は、2−オキセタノンから化学反応により合成され
るポリエステルである。2−オキセタノンからポリ(2
−オキセタノン)への重合反応式は、下式の通りであ
る。
【0004】
【化1】
【0005】バクテリアによって生合成されるポリ(β
−ヒドロキシ酪酸)は完全なD体であり、この様な光学
活性なポリマーは、化学合成によっても得られている
(Y. Hori, M. Suzuki, A. Yamaguchi, and T. Nishish
ita, Macromolecules, Vol.26,5533-5534 (1993))。
【0006】α位に水素原子を有する脂肪族ポリ(β−
ヒドロキシカルボン酸)は生分解性が良好な材料である
が、加熱による分解もまた起こりやすい材料である。例
えば、ポリ(2−オキセタノン)については、グレシャ
ムらが、300gのポリ(2−オキセタノン)を200
℃/80mmHgで熱分解し、275gの粗アクリル酸
を得ている(T.L.Gresham,J.E.Jansen, and F.W.Shave
r, Journal of American Chemical Society,70,998(194
8))。ジャックスらは、ポリ(2−オキセタノン)の熱
分解を180〜220℃の範囲で検討し、熱分解が分子
鎖中でランダムに起こる反応と末端から進行する反応が
あることを報告している(V.Jaacks,S.Iwabuti, and F.
Galil, Kinetics and Mechanism of Polyreactions, In
t. Symp.Macromol. Chem. Prepr.,5,375(1969))。ま
た、バクテリアによって生合成されたポリ(β−ヒドロ
キシカルボン酸)については、国岡らが、170℃以上
の温度で主鎖のエステル基のランダム開裂が起こると報
告している(M. Kunioka and Y.Doi, Macromolecules,
Vol.23, 1933-1936 (1990))。そして、これらの熱分解
反応は、いずれもカルボニル基のα位に活性水素が存在
することと、さらにβ位にエステル酸素が結合している
ことに起因しており、β−CH水素移動反応が進行する
ためと報告されている。このような熱分解反応は、α位
に水素原子を有するポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)
に特異的であり、ポリ(γ−ヒドロキシカルボン酸)の
熱分解は分子内エステル交換反応によって進行し(R. A
bate, A. Ballistreri, G. Montaudo, and G. Impallom
eni, Macromolecules, Vol.27, 332-336 (1993))、ポ
リ(α−ヒドロキシカルボン酸)も熱分解は分子内エス
テル交換反応で進行しグリコリドやラクチドの様な環状
化合物を生成する。従って、一般的に、α位に水素原子
を有する脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)は、
他の類似した脂肪族ポリエステルに比べて、その熱分解
温度は低い(D. Garozzo, M. Giuffrida, and G. Monta
udo, Macromolecules, Vol.19, 1643-1649 (1986))。
【0007】さらに、α位に水素原子を有する脂肪族ポ
リ(β−ヒドロキシカルボン酸)は、加水分解もまた起
こりやすい材料である。マチスンは、ポリ(2−オキセ
タノン)の繊維およびフィルムの加水分解性を検討し、
37℃の緩衝液中でポリ(2−オキセタノン)が少しづ
つ分解し、分子量低下と物性低下が進行することを報告
した(Torbjorn Mathisen, Monica Lewis, and Ann-Chr
istine Albertsson, Jounal of Applied Polymer Scien
ce,39,591-601(1990), 42,2365-2370(1991))。
【0008】一般に、ほとんどのプラスチック材料は、
程度に差はあるものの、熱分解が進行する。熱分解によ
って、プラスチックの分子量は低下し、それに伴い、成
形品の物性も低下する。特に、熱可塑性のプラスチック
材料は、溶融成形によって製品化されるため、熱分解し
やすい性質は大きな問題である。また、主鎖中にエステ
ル結合およびアミド結合などの加水分解しやすい構造単
位を有するプラスチック材料は、水分の作用により少し
づつではあるが分子量低下を引き起こし、プラスチック
材料あるいは製品を長期間保存あるは使用している間に
物性低下が生じる。
【0009】この様な分解→分子量低下→物性低下の連
鎖に対して、それぞれのプラスチック材料に関して、そ
の分解原因に対応した特有の安定化方法が検討、開発さ
れている。しかしながら、ポリ(2−オキセタノン)や
ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)などのα位に水素原子を有
する脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)は、その
熱分解および加水分解などの自然分解を抑制する効果的
な安定化方法がまだ見いだされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ポリ(2−オキセタノ
ン)およびポリ(β−ヒドロキシ酪酸)のようなα位に
水素原子を有する脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン
酸)の溶融成形時の熱分解、並びに保存・使用時の自然
分解を抑制し、フィルムなどへの溶融成形をより容易に
し、長期安定性を付与する脂肪族ポリ(β−ヒドロキシ
カルボン酸)組成物の開発を課題とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ポリ(2−オキ
セタノン)をはじめとするα位に水素原子を有する脂肪
族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)に特定の無機化合
物を添加することによって、ポリマーの熱分解および自
然分解を抑制することができる事を見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、ポリ(2−オキセタノ
ン)100重量部、並びにアルカリ土類金属の塩酸塩、
硫酸塩、炭酸塩およびケイ酸塩からなる群から選ばれた
少なくとも一種のアルカリ土類金属塩0.1〜70重量
部を含有してなるポリ(2−オキセタノン)組成物であ
る。
【0013】他の発明は、α位に水素原子を有する脂肪
族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)100重量部、並
びにアルカリ土類金属の塩酸塩0.1〜2重量部を含有
してなる脂肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)組成
物である。
【0014】本発明において、ポリ(2−オキセタノ
ン)とは、基本的に2−オキセタノンの開環重合によっ
て得られる構造を持つ重合体であるが、単量体単位とし
て2−オキセタノン以外の環状エステル化合物を0.1
〜20重量%共重合している重合体も含む。該環状エス
テル化合物としては、たとえば、β−ブチロラクトン、
ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラク
トン、およびε−カプロラクトン等である。以下、上記
共重合体も含めて単にポリ(2−オキセタノン)と記
す。該ポリ(2−オキセタノン)は、数平均分子量およ
び重量平均分子量が通常10000以上の重合体であ
る。
【0015】本発明におけるα位に水素原子を有する脂
肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)〔以下、β−ポ
リエステルという〕とは、α位の二つの水素原子の少な
くとも一つがアルキル基によって置換されていないβ−
ヒドロキシカルボン酸のエステル構造を繰り返し単位と
する脂肪族ポリエステルである。
【0016】具体的に例示すれば、ポリ(2−オキセタ
ノン)の様なαおよびβ位−無置換体;ポリ(β−ヒド
ロキシ酪酸)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ
(β−ヒドロキシヘキサノエート)、(β−ヒドロキシ
酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸)コポリマーのようなβ位
−1置換体;ポリ(β−ヒドロキシイソ吉草酸)のよう
なβ位−2置換体;ポリ(α−メチル−β−プロピオラ
クトン)、および、ポリ(α−プロピル−β−プロピオ
ラクトン)のようなα位−1置換体である。これらの中
でも、優れた生分解性の点でαおよびβ位−無置換体お
よびβ位−1置換体が好ましく選択される。
【0017】本発明におけるアルカリ土類金属とは、カ
ルシウム、マグネシウム、バリウムなどであるが、環境
への影響などから、カルシウムおよびマグネシウムが特
に公好適である。
【0018】本発明におけるアルカリ土類金属の塩酸
塩、硫酸塩、炭酸塩およびケイ酸塩(以下、これらを総
称してアルカリ土類金属塩という)とは、具体的には、
塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの塩酸塩;硫酸
マグネシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩;オルトケイ酸カ
ルシウム、メタケイ酸カルシウム、ケイ酸二石灰、ケイ
酸三石灰、ケイ酸カルシウムナトリウム、ケイ酸アルミ
ニウムカルシウム、オルトケイ酸マグネシウム、メタケ
イ酸マグネシウム、タルクなどの水化ケイ酸マグネシウ
ム、ケイ酸マグネシウムカルシウムなどのケイ酸塩であ
る。これらのアルカリ土類金属塩の中でも、その安定化
効果の点で塩酸塩が、また、吸湿性が低く取り扱いやす
い点でケイ酸塩が最も好適に用いられる。これらアルカ
リ土類金属塩の各塩は、単独のみならず、複数組み合わ
せて用いることも可能である。
【0019】上記したアルカリ土類金属塩のポリ(2−
オキセタノン)への添加量は、添加後のポリ(2−オキ
セタノン)の加工性や添加・加工後の成形品の機械的物
性などの変化を勘案して、さらに、用途などに合わせて
選択する事ができるが、ポリ(2−オキセタノン)10
0重量部に対して0.1〜70重量部が好適に実施しう
る範囲である。0.1重量部未満の添加量では、添加物
によるポリ(2−オキセタノン)の安定化効果は非常に
小さい。一方、70重量部を超える添加量では、安定化
効果よりもポリ(2−オキセタノン)組成物の加工性の
低下、機械的物性の低下などの問題が生じる。ただし、
アルカリ土類金属の塩酸塩に関しては、吸湿性が比較的
高いため、より限定された範囲、具体的には、0.1〜
2重量部で添加することがより好ましい。
【0020】アルカリ土類金属の塩酸塩については、ポ
リ(2−オキセタノン)に限定されず、前述のβ−ポリ
エステルに対しても安定化効果を発揮する。その添加量
は、β−ポリエステル100重量部に対して、0.1〜
2重量部が好適に実施される範囲である。β−ポリエス
テルを製造後1回の溶融加工で成形体を得る場合には、
2重量部を超えて上述の通り70重量部まで含有させて
もその熱安定化効果は十分発揮されるが、2回以上の複
数回の溶融加工工程を経て成形体を得る場合には、2重
量部以下で含有させることが特に好ましい。2重量部を
超えて含有させると加工後に加工体が比較的早く吸湿
し、その吸湿した水分の影響で2回目以降の溶融加工時
の熱安定化効果が減退する。即ち、アルカリ土類金属の
塩酸塩を0.1〜2重量部含有させた場合には、複数回
の溶融加工工程を経てもその大きな熱安定効果が維持さ
れ分子量の低下の防止効果が著しい。
【0021】上記のアルカリ土類金属塩をポリ(2−オ
キセタノン)などのβ−ポリエステルへ添加配合する方
法に関しては、通常の配合技術、混合技術が用いられ
る。アルカリ土類金属塩はβ−ポリエステルの加水分解
を極力回避するために無水物を用いるか、または一般公
知の手段で乾燥処理を行った後に、β−ポリエステルへ
添加混合することが望ましい。添加混合手段としては、
例えば、スーパーミキサー、リボンブレンダー、バンバ
リーミキサー、エクストルーダーなどの装置を用いた添
加混合が可能である。
【0022】又、ポリ(2−オキセタノン)へのアルカ
リ土類金属塩の添加配合方法の一つとして、アルカリ土
類金属塩上に2−オキセタノンの重合開始剤、例えば第
4級アンモニウムカルボキシレート類やアルカリ金属カ
ルボキシレートのクラウンエーテル錯体類などを担持さ
せ、これらの担持開始剤を用いた2−オキセタノンのシ
ード重合により得たアルカリ土類金属塩含有ポリ(2−
オキセタノン)を本発明の組成物とする方法も採用でき
る。
【0023】2−オキセタノンのシード重合とは、例え
ば以下の方法でポリ(2−オキセタノン)を製造する方
法である。上記アルカリ土類金属塩担持開始剤にガス
状、液状あるいは溶液状の2−オキセタノンを接触させ
ることによりポリ(2−オキセタノン)をアルカリ土類
金属塩表面に析出させ、重合用シードを製造する。この
重合用シードをそのまま、あるいはさらに開始剤を担持
させて2−オキセタノンの沈澱重合を行い、粒子状のポ
リ(2−オキセタノン)を製造する方法である。
【0024】本発明の組成物は、その目的、用途に応じ
て、酸化防止剤、離型剤、、耐候剤、帯電防止剤、着色
剤、補強材、界面活性剤、無機充填材などの補助目的成
分も添加することができる。
【0025】本発明の組成物を溶融成形してフィルムな
どの成形品を製造する方法として、通常の成形方法が用
いられる。例えば押し出し成形法および射出成形法、ブ
ロー成形法、カレンダー成形法などが採用可能であり、
さらに、フィルム成形に関しては、ロール延伸法、テン
ター法、インフレーション法による一軸および二軸延伸
法も採用可能である。
【0026】本発明の組成物の成形は、β−ポリエステ
ルの種類や、成形方法、成形品の種類に依ってそれぞれ
適当な成形条件が選択されるが、通常、80℃〜250
℃の温度範囲で行なわれる。
【0027】尚、本発明における組成物とは、前記各必
須成分及び任意成分からなる混合物のみならず、ペレッ
ト、さらには溶融加工された成形体をも含む概念であ
る。
【0028】
【作用】本発明の組成物中のアルカリ土類金属塩は、溶
融成形時や成形品の保存、使用時のポリ(2−オキセタ
ノン)の分子量の低下を抑制する。また、アルカリ土類
金属の塩酸塩は、ポリ(2−オキセタノン)を含むβ−
ポリエステルに対して、それらの分子量低下抑制に顕著
な効果を発現する。この様な特性を発現する理由につい
ては未だ明確ではないが、下式に示したように、おもに
アルカリ土類金属がβ−ポリエステル末端のカルボン酸
基と反応し、イオン結合を形成することによるためと考
えられる。
【0029】
【化2】
【0030】この様なイオン結合反応が、β−ポリエス
テルの分子末端から進行する熱分解および加水分解を抑
制しているものと推測される。また、アルカリ土類金属
は二価であるため、二つのβ−ポリエステル末端と反応
することが可能であり、結果としてβ−ポリエステルの
分子量を増大させる機能をも有していると考えられる。
【0031】また、塩のアニオン成分は、これらアルカ
リ土類金属がβ−ポリエステルの主鎖部分に直接作用
し、アルカリ加水分解反応を引き起こす事を抑制してい
るものと推測される。
【0032】
【発明の効果】本発明の組成物を用いることにより、溶
融成形時や保存、使用時にポリ(2−オキセタノン)を
はじめとするβ−ポリエステルの分子量が低下すること
を抑制することができ、物性的により良好であり、より
長期にわたり安定なβ−ポリエステル成形品が得られ
る。
【0033】本発明の組成物を用いて、種々の製品、例
えば、ゴミ袋、レジ袋などのフィルム類、紙おむつ、生
理用品などの衛生用品、マルチフィルム、結束テープ、
苗用ポット、漁網、海苔網などの農林漁業用資材、食品
トレー、卵パックなどの食品関係製品などの溶融成形が
可能である。本発明の組成物より成形された製品は、自
然環境中に放置された場合でも微生物によって分解さ
れ、また、コンポストプラントによって堆肥に変換され
る。
【0034】
【実施例】本発明を、実施例により、さらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0035】実施例1〜6、比較例1〜3 重量平均分子量453、400のポリ(2−オキセタノ
ン)100重量部に表1に示したアルカリ土類金属塩、
および比較例としてアルカリ土類金属の水酸化物、代表
的な塩化ビニル樹脂の熱安定化剤の5重量部を添加し、
CSI MAXミキシングエクストルーダー(カスタム
サイエンティフィック インスツルメント社製)を用
いて、130℃で溶融混合しダイスから押し出すことに
よりストランドを成形した。但し、比較例1だけは、本
発明に用いられるアルカリ土類金属塩他添加剤を一切添
加しなかった。得られたストランドは、サイズ排除クロ
マトグラフィーを用いて分子量を測定した。得られた各
組成物の重量平均分子量は表1に併記した。表1の結果
から、比較例の結果と比べて実施例の各組成物の分子量
は高く、添加した化合物によりポリ(2−オキセタノ
ン)の溶融成形時の分子量低下が抑制された事が明かで
ある。
【0036】
【表1】
【0037】実施例7〜11、比較例4、5 重量平均分子量453、400のポリ(2−オキセタノ
ン)100重量部に添加剤としてタルクを表2に示した
量添加し、実施例1〜6と同様にして、CSIMAX
ミキシングエクストルーダーを用いて、130℃で溶融
混合しながらストランドを成形した。得られたストラン
ドは、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分子量を
測定した。得られた各組成物の重量平均分子量は表2に
併記した。
【0038】
【表2】
【0039】実施例12〜17、比較例6 実施例1〜6および比較例1で成形したストランドを切
断してペレット状のサンプルを作成し、これらのサンプ
ルの加熱下での加水分解促進試験を行った。即ち、50
℃/100%湿度の雰囲気のオーブン中にサンプルを置
き、所定時間保持した後、ペレットサンプルを取り出
し、クロロホルムに溶解してサイズ排除クロマトグラフ
ィーを用いて分子量を測定した。得られた重量平均分子
量は表3に示した。表3の結果から、比較例6の無添加
ポリ(2−オキセタノン)に比べて、実施例12〜17
の分子量低下が遅く、加熱・加湿下での加水分解が抑制
されていることが明かである。
【0040】
【表3】
【0041】実施例18〜23、比較例7 重量平均分子量334、000のポリ(2−オキセタノ
ン)100重量部に、表4に示した量の無水の塩化カル
シウムを添加し、CSI MAX ミキシングエクスト
ルーダー(カスタム サイエンティフィック インスツ
ルメント社製)を用いて、130℃で溶融混合しダイス
から押し出すことによりストランドを成形した。押し出
されたストランドは、チョッパーで切断しペレットを作
成した。溶融押し出し→ストランド→ペレット化はさら
に2度繰り返した。但し、比較例7だけは、塩化カルシ
ウムを一切添加しなかった。得られたペレットは、サイ
ズ排除クロマトグラフィーを用いて分子量を測定した。
得られた各組成物の重量平均分子量は表4に併記した。
表4の結果から、比較例の結果と比べて実施例の各組成
物の分子量は高く、添加した化合物によりポリ(2−オ
キセタノン)の溶融成形時の分子量低下が抑制された事
が明かである。
【0042】
【表4】
【0043】実施例24、比較例8 重量平均分子量314、000のポリ(β−ヒドロキシ
酪酸)100重量部に、1重量部の無水塩化カルシウム
を添加し、CSI MAX ミキシングエクストルーダ
ー(カスタム サイエンティフィック インスツルメン
ト社製)を用いて175℃で溶融混合しダイスから押し
出すことによりストランドを成形した。得られたストラ
ンドは、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分子量
を測定した。その結果、重量平均分子量は283、00
0であった。一方、比較例8では、塩化カルシウムを添
加せずに行った。得られたストランドの重量平均分子量
を同様にしてサイズ排除クロマトグラフィーを用いて分
析した結果、234、000であった。これらの結果か
ら、添加した塩化カルシウムによりポリ(βーヒドロキ
シ酪酸)の溶融成形時の分子量低下が抑制された事が明
かである。
【0044】実施例25、比較例9 重量平均分子量381、000のβ−ヒドロキシ酪酸/
β−ヒドロキシ吉草酸コポリマー(β−ヒドロキシ吉草
酸含有率8%)100重量部に、1重量部の無水塩化カ
ルシウムを添加し、CSI MAX ミキシングエクス
トルーダー(カスタム サイエンティフィック インス
ツルメント社製)を用いて170℃で溶融混合しダイス
から押し出すことによりストランドを成形した。得られ
たストランドは、サイズ排除クロマトグラフィーを用い
て分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は33
5、000であった。一方、比較例9では、塩化カルシ
ウムを添加せずに行った。得られたストランドの重量平
均分子量を同様にしてサイズ排除クロマトグラフィーを
用いて分析した結果、297、000であった。これら
の結果から、添加した塩化カルシウムにより(β−ヒド
ロキシ酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸)コポリマーの溶融
成形時の分子量低下が抑制された事が明かである。
【0045】実施例26、27 重量平均分子量334、000のポリ(2−オキセタノ
ン)100重量部に、表5に示した量のアルカリ土類金
属塩酸塩を添加し、CSI MAX ミキシングエクス
トルーダー(カスタム サイエンティフィック インス
ツルメント社製)を用いて、130℃で溶融混合しダイ
スから押し出すことによりストランドを成形した。得ら
れたストランドは、サイズ排除クロマトグラフィーを用
いて分子量を測定した。得られた重量平均分子量は表5
に示した。比較例10、11の結果と比較して、ポリ
(2−オキセタノン)の溶融成形時の分子量低下が抑制
されたことが明かである。
【0046】比較例10、11 実施例26、27のアルカリ土類金属塩酸塩の代わりに
塩化カリウムを表5に示した量添加した以外は実施例2
5、26と同様にしてストランドの成形および分子量測
定を行った。得られた重量平均分子量は表5に併記し
た。
【0047】
【表5】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ(2−オキセタノン)100重量
    部、並びにアルカリ土類金属の塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩
    およびケイ酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種
    のアルカリ土類金属塩0.1〜70重量部を含有してな
    るポリ(2−オキセタノン)組成物。
  2. 【請求項2】 α位に水素原子を有する脂肪族ポリ(β
    −ヒドロキシカルボン酸)100重量部、並びにアルカ
    リ土類金属の塩酸塩0.1〜2重量部を含有してなる脂
    肪族ポリ(β−ヒドロキシカルボン酸)組成物。
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