JPH07268057A - ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法 - Google Patents

ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法

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JPH07268057A
JPH07268057A JP6062818A JP6281894A JPH07268057A JP H07268057 A JPH07268057 A JP H07268057A JP 6062818 A JP6062818 A JP 6062818A JP 6281894 A JP6281894 A JP 6281894A JP H07268057 A JPH07268057 A JP H07268057A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ラクタイド(A)と、両末端に水酸基を有す
るポリエステル(B)と、多官能性イソシアネート
(C)とを必須成分として反応させることを特徴とする
ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方
法。 【効果】 本発明は、汎用性樹脂として使用し得る十分
な強度、成形時の熱安定性を有し、用途に応じた剛性、
柔軟性、透明性を有する分解性の高分子量のウレタン結
合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法を提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラクタイド系ポリエス
テルを製造する際、多官能性イソシアネートを用いるこ
とにより、得られるラクタイド系ポリエステルの分子量
を増大させることを特徴とする、ウレタン結合含有ラク
タイド系ポリエステルの製造方法である。
【0002】本製造方法によって製造されたウレタン結
合含有ラクタイド系ポリエステルは生分解性を有し、押
出成形、射出成形、インフレーション成形、積層成形、
プレス成形等の種々の方法により成形加工を行うことが
でき、汎用樹脂に使用されている既存装置を用いて成形
することが可能であり、成形用樹脂、フィルム材料等に
有用で、特に包装用樹脂として有用である。
【0003】例えば、フィルム用途としては、ゴミ袋、
レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類、農業用、食品用、
工業用、繊維用、雑貨等の包装材用途や、結束テープ、
農業用マルチフィルム等、またシート、射出成形品とし
ては、農業用、食品用、工業用シートを始め、トレー、
日用雑貨、食品容器、養生シート、苗木ポット、産業資
材、工業用品等として有用である。
【従来の技術】
【0004】近年、環境問題等から、優れた生分解性を
有する乳酸系ポリマーを、広く汎用ポリマーとして活用
しようとする研究が盛んに行われ、製造方法に関する多
くの研究、特許出願がなされている。しかし従来の乳酸
もしくはラクタイドの重合体であるポリ乳酸、もしくは
ラクタイドと他のモノマーとの共重合体は、成形時に分
解が起こり、成形温度の制約を受ける。また成形時の分
解のために、成形物の強度も十分な性能を有していると
は言い難く、未だに汎用樹脂として用いにくい問題点が
あり、これらポリ乳酸類の改良が嘱望されている。
【0005】特開平5−148352号公報には、数平
均分子量4,000以上のポリ乳酸を融点以上の溶融状
態で、ポリ乳酸100重量部に対して、0.1〜5重量
部のジイソシアネートを添加し、反応させるウレタン結
合を含むポリ乳酸の製造方法について記載されている。
【0006】製造方法としては、減圧下に乳酸を縮合し
て得られたポリ乳酸にジイソシアネートを反応させる製
造方法と、得られたポリ乳酸の延伸フィルムが記載され
ている。しかしながら、該製造方法ではポリ乳酸は縮合
によって製造され、実施例によれば数平均分子量で1
8,000程度である。これにジイソシアネートを反応
させても、得られるポリマーの数平均分子量は40,6
00に留まり、この程度の分子量では、実用強度が不足
していると考えられる。また、ポリ乳酸とジイソシアネ
ートの反応に限定されており、ラクタイド系ポリエステ
ルとイソシアネートを反応させる記載はない。
【0007】また特公昭63−48548号公報には、
ポリ乳酸およびポリエーテルウレタンまたはポリエステ
ルウレタンからなる抗凝塊形成性材料が記載されてい
る。該発明は生物適合性をもった抗凝塊形成材を得る目
的で、セグメント化したポリマーを作るために、材料の
高い強度や透明性等は考えられていない。
【0008】また、高分子量のポリ乳酸にイソシアネー
トを反応させる場合、高粘性のポリマーの反応の上、反
応する末端基が少なく、反応は通常、非常に難しい。特
にポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸の縮合体の如
きポリエステルでは、その末端基はヒドロキシル基とカ
ルボキシル基となり、イソシアネートと反応するヒドロ
キシル基は非常に少なくなる。
【0009】このためにジイソシアネートによるポリマ
ー鎖の連結反応は非常に難しく、ポリマー鎖の全てを連
結することは事実上、不可能である。また、この公報で
は、ポリ乳酸およびポリエーテルウレタンまたはポリエ
ステルウレタンからなる抗凝塊形成性材料用途に限定さ
れ、本発明で目的とする汎用の成形用の樹脂への応用は
示唆されていない。
【0010】米国特許公報5202413号には、数平
均分子量500〜20,000のヒドロキシル基、また
はアミノ基を持つポリマーとラクタイドの共重合体にジ
アシルクロライド、またはジイソシアネートでポリマー
を連結する方法が開示されている。
【0011】この特許中ではラクタイドと共重合するポ
リマーは、数平均分子量500〜20,000の、ポリ
アルキルエーテル、ポリエステル、ポリシロキサンを挙
げており、特にポリエステルの場合、ジオール成分には
メチレン数が2〜6のメチル側鎖のないジオールを、ジ
カルボン酸成分に脂肪族、環状脂肪族、または芳香族ジ
カルボン酸からなるポリエステルを挙げている。
【0012】実施例も数平均分子量3,400のポリエ
チレンアジペート、数平均分子量2,900〜8,00
0のポリエチレンオキサイド又は数平均分子量2,00
0のポリカプロラクトンとラクタイドを予め共重合化し
て、この後にトルエンジイソシアネートでポリマーをつ
なぐ方法の記載がある。
【0013】ラクタイドと共重合するポリマーの分子量
が20,000までに限られると、得られるラクタイド
と共重合したポリマーの分子量も低いものに抑えられ、
これをジイソシアネートやアシルクロライド等でつない
でも、得られるポリマー中に、ジイソシアネートやアシ
ルクロライド等で2量化、3量化したものが混在し、更
に比較的低分子量のポリマーが残留することにより、得
られるポリマーはさほど分子量が高くならず、その強度
は不足しがちである。
【0014】これらの従来の技術をまとめると、汎用樹
脂としては未だに強度に乏しく、フィルム、シート等の
材料樹脂として使用できなかったり、透明性を欠く欠点
があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、汎用性樹脂として使用し得る十分
な強度、成形時の熱安定性を有し、用途に応じた剛性、
柔軟性、透明性を有する分解性の高分子量のウレタン結
合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法を提供する
ことにある。
【0016】
【課題の解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、ラクタイドと、種々の構成割合からなる脂肪族ジ
カルボン酸成分および/または芳香族ジカルボン酸成分
とジオール成分とから成るポリエステルと、多官能性イ
ソシアネートとを、必須の反応成分として反応させるこ
とにより、成形時にモノマーへの分解を抑制し広い範囲
の成形温度をもち、高い強度と成形時の熱安定性を持つ
こと、
【0017】また、硬質で加水分解され易いポリ乳酸に
対し、疎水的なポリエステルと共重合化を行なうことに
より加水分解性が抑えられ、かつ脂肪族ジカルボン酸成
分および芳香族ジカルボン酸成分の割合を任意に変える
ことにより、高いガラス転移点と融点を持つ硬質な樹脂
から、フィルム状に加工した際に引き裂き強度に優れ、
折り割れしにくい靱性の高い柔軟な性質を有する樹脂ま
での様々なラクタイド系ポリエステルを製造できるこ
と、即ち、
【0018】汎用性樹脂として使用し得る十分な強度、
成形時の熱安定性を有し、用途に応じた剛性、柔軟性、
透明性を有する、分解性の高分子量ウレタン結合含有ラ
クタイド系ポリエステルを製造し得ることを見いだし
て、本発明を完成するに到った。
【0019】
【構成】即ち、本発明は、ラクタイド(A)と、両末端
に水酸基を有するポリエステル(B)と、多官能性イソ
シアネート(C)とを必須成分として反応させることを
特徴とするウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステル
の製造方法である。
【0020】更に、本発明は両末端に水酸基を有するポ
リエステル(B)が、重量平均分子量40,000〜2
00,000であることを特徴とするウレタン結合含有
ラクタイド系ポリエステルの製造方法。
【0021】上述の両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)が、芳香族環を10重量%〜35重量%含有す
るポリエステルであることを特徴とするウレタン結合含
有ラクタイド系ポリエステルの製造方法。
【0022】また本発明は、ラクタイド(A)と、両末
端に水酸基を有するポリエステル(B)と、多官能性イ
ソシアネート(C)を共に混合して反応させることを特
徴とするウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの
製造方法である。
【0023】また該両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)が、重量平均分子量40,000〜250,0
00であることを特徴とするウレタン結合含有ラクタイ
ド系ポリエステルの製造方法である。
【0024】また該両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)が、芳香族環を10〜35重量%含有するポリ
エステルであることを特徴とするウレタン結合含有ラク
タイド系ポリエステルの製造方法である。
【0025】また本発明は、ラクタイド(A)と、両末
端に水酸基を有するポリエステル(B)との割合が、5
0/50〜98/2であり、(A)と(B)の重量の合
計と多官能性イソシアネート(C)の割合が、95/5
〜99.9/0.1であるウレタン結合含有ラクタイド
系ポリエステルの製造方法を含む。
【0026】本発明は、ラクタイド(A)と、両末端に
水酸基を有するポリエステル(B)とを、開環重合触媒
の存在下で開環共重合せしめて、重量平均分子量1万〜
50万のラクタイド系ポリエステルを製造し、これに更
に多官能性イソシアネート(C)を反応させることを特
徴とするウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの
製造方法である。
【0027】また該両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)が、重量平均分子量40,000〜200,0
00であることを特徴とするウレタン結合含有ラクタイ
ド系ポリエステルの製造方法を含む。
【0028】また該両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)が、芳香族環を10〜35重量%含有するポリ
エステルであることを特徴とするウレタン結合含有ラク
タイド系ポリエステルの製造方法を含む。
【0029】またラクタイド(A)と両末端に水酸基を
有するポリエステル(B)との割合を50/50〜98
/2とし、開環重合触媒の存在下に開環共重合せしめて
得られるラクタイド系ポリエステルと、(A)と(B)
の重量の合計と多官能性イソシアネート(C)の割合
が、95/5〜99.9/0.1であるウレタン結合含
有ラクタイド系ポリエステルの製造方法をも含むもので
ある。
【0030】更に、本発明は、両末端に水酸基を有する
ポリエステル(B)に、多官能性イソシアネート(C)
を反応せしめて得られる両末端に水酸基を有するウレタ
ン結合含有ポリエステルと、ラクタイド(A)とを、開
環共重合させることを特徴とするウレタン結合含有ラク
タイド系ポリエステルの製造方法である。
【0031】また該両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)が、重量平均分子量40,000〜200,0
00であるウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステル
の製造方法を含む。
【0032】また該両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)が、芳香族環を10〜35重量%含有するポリ
エステルであることを特徴とするウレタン結合含有ラク
タイド系ポリエステルの製造方法を含む。
【0033】また両末端に水酸基を有するポリエステル
(B)に多官能性イソシアネート(C)を反応せしめて
得られる両末端に水酸基を有するウレタン結合含有ポリ
エステルが、重量平均分子量60,000〜400,0
00であることを特徴とするウレタン結合含有ラクタイ
ド系ポリエステルの製造方法を含む。
【0034】また両末端に水酸基を有するポリエステル
(B)に多官能性イソシアネート(C)を反応せしめて
得られる両末端に水酸基を有するウレタン結合含有ポリ
エステルが、芳香族環を10〜35重量%含有するウレ
タン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法を含
む。
【0035】また本発明は、これらの重合反応を、反応
装置にスタティック・ミキサーを用いることを特徴とす
るウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方
法と、2槽以上の直列に連結した攪拌式反応器を用いた
連続重合装置を用いることを特徴とするウレタン結合含
有ラクタイド系ポリエステルの製造方法をも含むもので
ある。
【0036】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
で用いるラクタイド、両末端に水酸基を有するポリエス
テル、多官能性イソシアネートについて順に説明する。
本発明で使用するラクタイドは、乳酸が二分子間で環状
エステル化した化合物で、立体異性体を有するモノマー
である。すなわち、ラクタイドには2つのL−乳酸から
なるL−ラクタイド、D−乳酸からなるD−ラクタイ
ド、L−乳酸とD−乳酸からなるMESO−ラクタイド
が存在する。
【0037】L−ラクタイド、またはD−ラクタイドの
みを含む共重合体は結晶化し、高融点が得られるが、本
発明のウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルは、
これら3種のラクタイドを組み合わせることにより、用
途に応じた好ましい樹脂特性を実現できる。
【0038】本発明では、高い熱物性を発現するために
は、用いるラクタイドは、L−ラクタイドを総ラクタイ
ド中、75%以上含むものが好ましく、さらに高い熱物
性を発現するためには、ラクタイドはL−ラクタイドを
総ラクタイド中90%以上を含むものが好ましい。
【0039】本発明で使用する両末端基に水酸基を有す
るポリエステル(B)としては、芳香族ジカルボン酸成
分とジオール成分からなる芳香族ポリエステルが挙げら
れる。用いられる芳香族ポリエステルとしては、無溶剤
の溶融状態でラクタイドと共重合させる場合には、融点
または軟化点のいずれか低い方が200℃以下のもので
あれば良く、なかでも80〜190℃のものが特に好ま
しい。
【0040】通常汎用される市販ポリエチレンテレフタ
レートは、通常220〜255℃の軟化点を有し、本発
明の製造方法に適合しにくいものであるが、特殊な低軟
化点を有するポリエチレンテレフタレート(軟化点20
0℃以下)を作成して用いることにより、本発明の共重
合体の製造方法により、着色のない、高分子量の良好な
乳酸系共重合体を得ることが出来る。
【0041】本発明に用いられる芳香族ポリエステル中
の芳香族ジカルボン酸成分は、特に限定されないが、具
体的にはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸、無水フタル酸、等が挙げられる。
この他にはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸等とのアルコール、およびジオー
ルとのエステルが挙げられる。
【0042】芳香族ポリエステル中のジオール成分に関
しては、ジオールであれば特に種類を問わないが、なか
でも炭素数が2〜10のジオールが好ましく、具体的に
はエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレ
ングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリ
コール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、ジブタンジオール、3−ヒドロキシ
ピバリルピバレート等、および、水添ビスフェノールA
が挙げられる。
【0043】特に、得られる共重合体の透明度を高くす
る為には、ネオペンチルグリコールを含むことが好まし
く、ジオール成分中の20モル%以上含むことが好まし
い。また、本発明に用いられる両末端に水酸基を有する
ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成
分からなる脂肪族系ポリエステルも使用することができ
る。
【0044】本発明で使用する脂肪族ポリエステル中の
脂肪族ジカルボン酸成分は、特に限定されないが、なか
でも炭素原子数4〜14の脂肪族ジカルボン酸であるこ
とが好ましい。具体的にはコハク酸、アジピン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸等が挙げられる。この他にダイマー酸等も使
用することが出来る。またジオール成分に関しては、特
に種類を問わないが、前述のジオール成分を用いること
ができる。
【0045】このため、ジカルボン酸成分とジオール成
分のモル比は1前後であることが好ましい。脂肪族ジカ
ルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分の量比は、特に
は問わないが、なかでも脂肪族ジカルボン酸成分が全ジ
カルボン酸成分中にモル分率として10〜50%含まれ
ることが好ましい。
【0046】また、芳香族・脂肪族ポリエステル中の芳
香族ジカルボン酸成分は、具体的には、フタル酸、イソ
フタル酸および/またはテレフタル酸が好ましく、この
他には、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられ
る。脂肪族ジカルボン酸成分は炭素数4〜20の脂肪族
ジカルボン酸成分であることが好ましい。
【0047】具体的にはコハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、等が挙げられる。この他にダイマー酸等も挙
げられる。ジオール成分に関しては、特に種類を問わな
いが、前述のジオール成分を用いることができる。
【0048】本発明により得られたウレタン結合含有ラ
クタイド系ポリエステルをシート化すると、高い強度の
シートから柔軟なシートまでを得ることができる。具体
的には引っ張り粘弾性として500〜50,000kg
/cm2 のシートが得られる。引っ張り粘弾性試験につ
いては、セイコー電子株式会社製の固体粘弾性測定装置
DMS200を使用し、測定条件は温度23℃、相対湿
度50%である。以下、断りのない限り、引っ張り粘弾
性はこの条件で測定したものを指す。
【0049】また本発明では、芳香族ポリエステルと、
芳香環を含まない脂肪族ポリエステルの両ポリエステル
を同時に原料として使用することも可能である。この場
合も両ポリエステルとも分子量1000以上の高分子量
のものが好ましく、特に、重量平均分子量で40,00
0〜250,000であることが好ましい。
【0050】また、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエ
ステルの量比は問わないが、実用上、十分な強度、柔軟
性、透明性を持つ為には、芳香族ポリエステル、およ
び、脂肪族ポリエステルの合計100重量部に対して、
芳香族ポリエステルが1〜49重量部、および、脂肪族
ポリエステルが1〜49重量部が含まれることが好まし
い。
【0051】本発明で使用する芳香族ポリエステル、脂
肪族ポリエステル、及び芳香族・脂肪族ポリエステルと
しては、融点または軟化点のいずれか低い方が200℃
以下のものが好ましく、なかでも80〜190℃のもの
が好ましい。また、芳香族ポリエステルの結晶性、非晶
性は問わないが、透明性を持ったポリエステルがより好
ましい。本発明で言う、融点は示差走査熱量分析法(D
SC)によるもので、軟化点はJIS−K−2531に
準じるものである。
【0052】以下に本発明の各製造方法ごとに、これら
両末端に水酸基を有するポリエステルの好ましい条件に
ついて示す。ラクタイド(A)と両末端に水酸基を有す
るポリエステル(B)、および多官能性イソシアネート
(C)を一度に混合し重合を行う場合には、得られるウ
レタン結合を有する高分子量ラクタイド系共重合体の分
子量を高分子量化する目的で、両末端に水酸基を有する
ポリエステル(B)が重量平均分子量で40,000〜
200,000、数平均分子量で20,000〜10
0,000であることが好ましい。
【0053】さらに両末端に水酸基を有するポリエステ
ルの溶解性と製造の容易性の観点から、両末端に水酸基
を有するポリエステル(B)が、重量平均分子量で4
0,000〜100,000、数平均分子量で20,0
00を超え50,000であることが好ましい。またラ
クタイド(A)と、両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)との割合が、50/50〜98/2であると、
得られるウレタン結合を有する高分子量ラクタイド系共
重合体の分子量が高くなり好ましい。
【0054】さらに好ましくは、(A)/(B)が85
/15〜98/2であると、得られるウレタン結合を有
する高分子量ラクタイド系共重合体の透明性が高くな
る。また(C)は、(A)と(B)の重量の合計と多官
能性イソシアネート(C)の割合が、95/5〜99.
9/0.1であることが好ましい。
【0055】ラクタイド(A)と、両末端に水酸基を有
するポリエステル(B)とを、開環重合触媒の存在下で
開環共重合せしめて、重量平均分子量1万〜50万の高
分子量ポリエステルを製造し、これに更に多官能性イソ
シアネートを反応させて製造する場合は、両末端に水酸
基を有するポリエステル(B)は重量平均分子量1万〜
50万の高分子量ポリエステルを製造する目的で両末端
に水酸基を有するポリエステル(B)が、重量平均分子
量で40,000〜200,000、数平均分子量で2
0,000〜100,000であることが好ましい。
【0056】また両末端に水酸基を有するポリエステル
の溶解性と製造の容易性の観点から両末端に水酸基を有
するポリエステル(B)が重量平均分子量で40,00
0〜100,000、数平均分子量で20,000を超
え50,000であることが好ましい。
【0057】さらに、両末端に水酸基を有するポリエス
テルの構造としては、溶解性、製造の容易性から構造中
に芳香族環を10〜35重量%含有するポリエステルで
あることが好ましい。このような両末端に水酸基を有す
るポリエステルは非晶的となり、得られるウレタン結合
を有する高分子量ラクタイド系共重合体の透明性が高く
なり、また剛性が高くなる。
【0058】多官能性イソシアネート(C)を重量平均
分子量1万〜50万の高分子量ポリエステル両末端に反
応する場合は、高分子量ポリエステルと多官能性イソシ
アネート(C)の割合が、95/5〜99.9/0.1
であることが好ましい。続いてラクタイド(A)とイソ
シアネートと反応した重量平均分子量1万〜50万の高
分子量ポリエステルとの割合が50/50〜98/2で
あると得られるウレタン結合を有する高分子量ラクタイ
ド系共重合体の分子量が高くなる。
【0059】さらに好ましくは、ラクタイド(A)とイ
ソシアネートと反応した重量平均分子量1万〜50万の
高分子量ポリエステルとの割合が85/15〜98/2
であると、得られるウレタン結合を有する高分子量ラク
タイド系共重合体の透明性が高くなる。
【0060】多官能性イソシアネート(C)を両末端に
水酸基を有するポリエステル(B)に反応させた後、ラ
クタイド(A)と重合する場合は、両末端に水酸基を有
するポリエステル(B)を製造終了後、これに、多官能
性イソシアネート(C)を加え重量平均分子量60,0
00〜400,000のウレタン結合含有ポリエステル
を製造する。
【0061】この目的のために両末端に水酸基を有する
ポリエステル(B)が、重量平均分子量で40,000
〜200,000、数平均分子量で20,000〜10
0,000であることが好ましい。また、両末端に水酸
基を有するポリエステルの溶解性、製造の容易性の観点
から重量平均分子量で40,000〜100,000、
数平均分子量で20,000を超え50,000である
ことが好ましい。
【0062】さらに、両末端に水酸基を有するポリエス
テルの構造としては、溶解性、製造の容易性から構造中
に芳香族環を10重量%〜35重量%含有するポリエス
テルであることが好ましい。このような両末端に水酸基
を有するポリエステルは非晶的となり、得られるウレタ
ン結合を有する高分子量ラクタイド系共重合体の透明性
が高くなり、また剛性が高くなる。
【0063】多官能性イソシアネート(C)を両末端に
水酸基を有するポリエステル(B)と反応する際の
(B)と(C)の割合は、95/5〜99.9/0.1
であることが好ましい。続いてラクタイド(A)と、ウ
レタン結合含有ポリエステルとの割合が50/50〜9
8/2であると、得られるウレタン結合を有する高分子
量ラクタイド系共重合体の分子量が高くなる。さらに好
ましくは、85/15〜98/2であると得られるウレ
タン結合を有する高分子量ラクタイド系共重合体の透明
性が高くなる。
【0064】本発明で使用する多官能性イソシアネート
(C)とは、2つ以上のイソシアネート基を持ったもの
が好ましく、特に官能基の種類としてイソシアネート基
のみを持つものが好ましい。得られるウレタン結合含有
ラクタイド系ポリエステルが実質上、線状構造を有する
ものを得る目的の場合には、2官能性のものが好まし
い。
【0065】これらの具体例としては、例えば、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシ
アネート、2,5−トリレンジイソシアネート、トルエ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネート、ジイソシアネー
ト修飾したポリエーテル、ジイソシアネート修飾したポ
リエステル、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0066】更に成形加工時に熱安定性の良いウレタン
結合含有ラクタイド系ポリエステルを得る目的で、多官
能性イソシアネートが3官能性以上のものを用いること
ができる。この場合、得られたポリマー鎖はスター状に
なる。このようなものを得る為には、ペンタエリスリト
ールに2官能性イソシアネートで修飾したものに代表さ
れる、多価アルコールに2官能性イソシアネートで修飾
した化合物、上記の多価イソシアネート修飾したポリエ
ーテル、同様な多価イソシアネート修飾したポリエステ
ル等の使用が挙げられる。
【0067】本発明で使用する多官能性イソシアネート
(C)としては、数種の多官能性イソシアネートを併用
することも可能で、少量の3官能性以上のイソシアネー
トを2官能性イソシアネートに併用し、ゲル化させずに
反応し高分子量化させることができる。
【0068】また、2官能性、および/または3官能性
以上のイソシアネートに単官能性イソシアネートを併用
することができる。単官能性イソシアネートを併用する
ことによってポリマー中の末端水酸基をウレタン結合に
よってエンドキャップすることができ、ラクタイド系重
合体の高温下でのモノマーへの熱分解反応を防止でき
る。
【0069】この際の多官能性イソシアネートと単官能
性イソシアネートの量比は、特に限定されるものではな
いが、平均NCO当量が1.3〜2.0となる範囲で単
官能イソシアネートを併用すると、得られるポリマー高
分子量体となり、またゲル化せずに好ましい。
【0070】使用する単官能性イソシアネートは特に限
定されるものではないが、ヘキサメチレンイソシアネー
ト、トルエンイソシアネート、キシレンイソシアネー
ト、フェニレンイソシアネート、ナフタレンイソシアネ
ート、イソホロンイソシアネート、又は、これらの混合
物等が挙げられる。
【0071】製造手順として、ラクタイド(A)と両末
端に水酸基を有するポリエステル(B)、および多官能
性イソシアネート(C)を一度に混合して重合を行う場
合には、(A)と(B)の重量の合計と多官能性イソシ
アネート(C)の割合が、95/5〜99.5/0.5
であることが好ましい。
【0072】またラクタイド(A)と両末端に水酸基を
有するポリエステル(B)を開環重合触媒(D)の存在
下に重合後、多官能性イソシアネート(C)を反応しウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルを製造する場
合には、(A)と(B)の重量の合計と多官能性イソシ
アネート(C)の割合が、95/5〜99.9/0.1
であることが好ましい。
【0073】また多官能性イソシアネート(C)を両末
端に水酸基を有するポリエステル(B)に反応させた
後、ラクタイド(A)と重合させる場合は、両末端に水
酸基を有するポリエステル(B)を製造終了後、これ
に、多官能性イソシアネート(C)を加え、この際、
(B)の重量と多官能性イソシアネート(C)の重量割
合が、95/5〜99.9/0.1であることが好まし
い。
【0074】重合反応には、開環重合触媒(D)を使用
することが望ましく、本発明で使用する開環重合触媒と
しては、一般に環状エステル類の開環重合触媒、エステ
ル交換触媒としても知られる錫、亜鉛、鉛、チタン、ビ
スマス、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属およびそ
の誘導体が挙げられる。これらの誘導体については特に
金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ま
しい。具体的には、オクタン酸錫、塩化錫、塩化亜鉛、
酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコキシチ
タン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウムが適してい
る。
【0075】開環重合触媒(D)の量は、ラクタイド
(A)および両末端に水酸基を有するポリエステル
(B)および/または多官能性イソシアネート(C)の
合計の重量に対して0.005〜0.2重量%が好まし
い。重合速度が十分に速く、かつ得られたウレタン結合
含有ラクタイド系ポリエステルの着色を少なくするため
には、特に0.01〜0.1重量%が好ましい。
【0076】多官能性イソシアネート(C)とポリマー
鎖末端のヒドロキシル基を反応させ、ウレタン結合を形
成するには、触媒を使用することもできる。本発明で使
用する触媒としては、一般にウレタン化触媒として知ら
れる触媒はいずれも使用可能であり、例えば、4級アミ
ンや、錫、亜鉛、鉛、チタン等の金属およびその誘導体
が挙げられる。
【0077】これらの誘導体については特に金属有機化
合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ましい。具体
的には、テトラメチルアンモウム塩、テトラエチルアン
モウム塩、テトラプロピルアンモウム塩、テトラブチル
アンモウム塩、オクタン酸錫、塩化錫、塩化亜鉛、酢酸
亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコキシチタン
が適している。
【0078】ウレタン結合を形成する触媒としては、開
環重合触媒としても使用できるIVa、IVb、Va族の金
属およびその誘導体が好ましく、特に、錫、亜鉛、鉛、
チタン等の金属およびその誘導体が挙げられる。これら
の誘導体については特に金属有機化合物、炭酸塩、酸化
物、ハロゲン化物が好ましい。具体的には、オクタン酸
錫、塩化錫、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩
化チタン、アルコキシチタンが適している。
【0079】次に、具体的な製造方法を順に説明する。
ラクタイド(A)と両末端に水酸基を有するポリエステ
ル(B)、および多官能性イソシアネート(C)を一度
に混合し重合を行う場合、混合物を加温溶融させ、また
は溶剤によって混合後、開環重合触媒(D)を添加す
る。重合温度はラクタイドの融点以上であると、重合系
を均質にでき、速い重合速度が得られて望ましい。この
方法の場合、ラクタイド、末端に水酸基を有するポリエ
ステル及び多官能性イソシアネートとを一度に重合・反
応でき、速い反応を行え好ましい。
【0080】ラクタイド(A)と両末端に水酸基を有す
るポリエステル(B)を開環重合触媒(D)の存在下に
重合後、多官能性イソシアネート(C)を反応しウレタ
ン結合含有ラクタイド系ポリエステルを製造する場合
は、(A)と(B)の混合物を加温溶融、または溶剤に
よって混合後、開環重合触媒(D)を添加する。この
際、重合温度はラクタイドの融点以上であると、重合系
を均質にでき、速い重合速度が得られて望ましい。
【0081】多官能性イソシアネート(C)との反応
は、重合完了後、無溶剤で重合を行った場合には100
℃〜210℃の温度で10〜120分間攪拌下に反応さ
せる。また溶剤と共に重合を行った場合は、80〜21
0℃の温度で10〜120分間反応を行うことが好まし
い。この際、必要に応じ、触媒を添加してもよい。
【0082】この方法は、多官能性イソシアネートの反
応時に過剰のイソシアネートがポリマーの末端基に結合
したエンドキャップとなり、熱によるポリマーのモノマ
ーへの分解を防止できて好ましい。また、ポリ乳酸のよ
うなヒドロキシカルボン酸の縮合体状のポリエステルに
イソシアネートを反応させる場合と異なり、本発明では
多官能性イソシアネートと反応するポリエステルの両末
端基は水酸基であり、反応性末端基が多くなり、ポリマ
ー鎖全てを連結することも可能となる。
【0083】両末端に水酸基を有するポリエステル
(B)に、多官能性イソシアネート(C)を反応させた
後、ラクタイド(A)と重合する際は、両末端に水酸基
を有するポリエステル(B)を製造終了後、これに、多
官能性イソシアネート(C)を加温溶融、または溶剤に
よって混合後、必要に応じ、触媒を添加し、反応させ
る。
【0084】無溶剤の場合は100℃〜210℃の温度
で10〜120分間、攪拌下に行うか、溶剤と共に重合
を行った80〜210℃の温度で10〜120分間、反
応を行うことが好ましい。この後、ラクタイド(A)と
多官能性イソシアネート(C)を反応した両末端に水酸
基を有するポリエステル(B)を混合し重合を行う場
合、混合物を加温溶融させ、または溶剤によって混合
後、開環重合触媒(D)を添加する。
【0085】重合温度はラクタイドの融点以上である
と、重合系を均質にでき、速い重合速度が得られて望ま
しい。この方法の場合、ラクタイドと、多官能性イソシ
アネートと反応した両末端に水酸基を有するポリエステ
ルとを重合する時にエステル交換反応が起こり均質な共
重合体が得られ好ましい。
【0086】無溶剤系での重合温度は、ラクタイドの融
点以上、かつ185℃以下の温度が重合の平衡上望まし
く、また分解反応にともなうウレタン結合含有ラクタイ
ド系ポリエステルの着色を防ぐことができる。ラクタイ
ドの融点は100℃付近であり、100℃以上185℃
以下の温度、更に好ましくは、145〜180℃が重合
の平衡上望ましく、分解反応にともなうウレタン結合含
有ラクタイド系ポリエステルの分子量の低下や着色を防
ぐことができる。
【0087】即ち、ラクタイドを溶融し、更に共重合に
使用するポリエステルを、このラクタイドに溶解させて
重合させることが好ましい。更にこの温度で、ポリエス
テルが溶融状態またはラクタイドに溶解して重合を行う
ことができる。
【0088】ラクタイドの分解、着色を防ぐため、重
合、および、多官能性イソシアネート(C)との反応に
適した雰囲気は乾燥した不活性ガスがよい。特に窒素、
アルゴンガス雰囲気下、またはバブリング状態で行う。
同時に原料となる両末端に水酸基を有するポリエステル
(B)またはこれらの混合物は水分を除去し、乾燥させ
ておく必要がある。
【0089】また、ラクタイドは溶剤に溶解できるた
め、溶剤等を使用して重合できる。使用できる溶剤の例
として、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレ
ン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソプロ
ピルエーテルが挙げられる。
【0090】本発明のウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルは、通常の重合釜を使用し製造することも可
能であるが、高分子量化に伴う高粘度化の為に、通常の
重合槽を使用した共重合反応では混合攪拌が妨げられ、
局部加熱による部分変質が起こり易い。重合槽からの生
成物の抜き出しの際も、器壁或いは攪拌翼へ生成物が付
着して、収率の低下を招く。このために、連続的に製造
を行う方法によって収率、生産性の向上を図れる。
【0091】連続的生産方法の一例として、本ウレタン
結合含有ラクタイド系ポリエステルのように原料の粘度
が低くポリマーの粘度が1万ポイズを越えるような高粘
度となるような粘度変化の激しく、かつ、熱分解を受け
るような樹脂では温度管理が難しい為に、反応の進行と
共に攪拌方法を変化し、効率の良い温度制御のできるの
2槽以上の直列に連結した攪拌式反応器使用が好まし
い。
【0092】2槽以上の直列に連結した攪拌式反応器を
用いた連続重合法とは、複数の攪拌式反応器を直列的に
連結し、最初の反応器内である程度まで重合反応を進
め、次いで反応物を次の反応槽に移送してさらに反応を
進め、さらに必要に応じ、次々に他の反応槽に移送して
反応を進める方法である。この方法では原料が生成物中
に未反応のまま混入する可能性があり、この解決のため
には反応槽をより多くすることが好ましい。
【0093】ここで言う攪拌式反応器とは、攪拌機を有
する動的混合装置のことであり、具体的には、動力機に
接続した攪拌翼を持った攪拌装置を備えた反応釜を指
す。使用される攪拌反応器中の攪拌翼の形状について
は、多槽の反応装置を用いた連続反応の場合、反応初期
の段階で使用する反応器では低粘度の状態であり、翼形
状は特に問わなくとも攪拌は良好に行われるが、反応器
中の上下流を効率よく発生させる目的で、タービン翼、
ファードラー翼、ヘリカルリボン翼もしくはこれらの多
段翼が好ましい。
【0094】またはアンカー翼のように反応系全体を均
質に攪拌できる翼も好ましい。反応中期、後期の段階で
使用する反応器では、高粘度の状態であって、翼形状は
攪拌に大きく影響を与える。反応器中の壁部付近が特に
攪拌が困難であり、壁部からの反応物のかき取りを効率
よく行う目的で、タービン翼、ヘリカルリボン翼、アン
カー翼のように反応系全体を均質に攪拌できる翼が好ま
しい。
【0095】連続的に原料を供給しながら同量の生成物
を抜き出して製造を行う方法の場合、総反応器数が多い
ほど、生成物中に未反応の原料の混入が少なくなる。さ
らに、反応器の容量が小さくなり反応器毎の攪拌動力は
少なく済み、熱媒による温度コントロールが容易にな
る。しかし、反応器数が多くなるほど、装置の動力器の
数は多くなり、また、反応器と反応器をつなぐポンプの
数も多くなり、制御が複雑化する。
【0096】装置が複雑化することは、経済上好ましく
ない為、用いる攪拌式反応器数は、十分な混合効果が得
られる範囲内で、できるだけ少なく設定すべきである。
反応槽の容量が原料の供給量に比較し大過剰の場合、反
応器数は2個以上で充分と考えられるが、反応槽の容量
を原料供給量に対して大過剰にすることは経済上好まし
くなく反応器数は3個以上がよいと考えられる。さら
に、反応器数が増加し装置の複雑化を招くことも操作
上、経済性から好ましくなく、反応器数は3〜5槽が好
ましい。
【0097】1例として挙げられる潜熱冷却式の攪拌式
反応器は、原料モノマーまたは溶剤の蒸発熱を使用して
反応温度を制御できる能力を持った反応器で、反応器に
原料を入れると反応器上部に空間ができ、溶液上部の液
面からの蒸散による熱の発散によって冷却が可能となる
反応器である。このために、温度コントロールが容易で
あり、反応温度を高く設定でき、高い生産性を実現でき
る特徴を有する。反応器の上部にモノマーおよび/また
は溶媒を捕捉するためのコンデンサーが設置される。
【0098】この場合、反応槽から反応槽への送液は槽
毎にポンプを必要とする。原料液をポンプによってこの
第1の攪拌式反応槽に供給し、続く第2槽へは第1反応
槽からポンプで送り出すことになる、第3槽以降は同様
にポンプで送液されることになる。
【0099】また、1例として挙げられる満液式の攪拌
式反応器は、多槽の反応器を直列に配置し単一のポンプ
を使用して多槽の反応器を送液できる装置である。反応
器に原料を入れる際に1機のポンプを用いればよく、ま
た、密閉系で反応が可能で外部大気に接触せずに原料仕
込みから、反応、脱揮、ポリマーのペレット化までを行
なうことができる。これは従来のバッチ式反応装置によ
る製造では得られない利点であり、特に本発明に用いら
れる熱、酸素、水分により分解する分解性ポリマーの製
造に極めて適した連続重合方法である。
【0100】また、他の連続生産方法としてスタティッ
ク・ミキサーの使用が好ましい。ここで言うスタティッ
ク・ミキサーとは、攪拌機を有する混合装置に対して、
可動部分の無い、即ち攪拌機のない静的混合装置のこと
であり、具体的には、管内に固定された可動部分の無い
ミキシング・エレメントにより、流れを分割し、かつ流
れ方向を転換または反転させ、流れを縦方向、横方向に
分割・転換・反転を繰り返す事により溶液を混合する混
合装置を言う。スタティック・ミキサーの種類によって
は、管外周部に熱交換の為のジャケットが備えられてい
るものもあり、またミキシング・エレメント自体に熱媒
体を通す熱交換の為のチューブが備えられているものも
ある。
【0101】スタティック・ミキサーは、通常管状であ
り、複数のスタティック・ミキサーを線状に連結し、不
活性ガス雰囲気下で原料仕込み口から原料を連続的に供
給し、重合物がスタティック・ミキサー内を連続的に移
動することにより、重合を連続的に、しかも外部大気に
全く触れることなく、原料仕込みから、重合、脱輝、ポ
リマーのペレット化までを行なうことが出来る。
【0102】本発明のウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルの製造には、スタティック・ミキサーを備え
た重合装置のみで全ての重合反応を行なうこともできる
が、スタティック・ミキサーは、ポリマーが高粘度化す
る重合後半に、特にその攪拌効果を顕著に発揮する為
に、重合初期におけるポリマー粘度の比較的低い段階で
は、通常の攪拌器を有する重合槽において重合させ、後
半のポリマーが高粘度化する工程をスタティック・ミキ
サーを備えた重合装置で行うこともできる為、攪拌式重
合槽と、これに連結したスタティック・ミキサーを備え
た連続重合装置も用いる事が出来る。
【0103】ラクタイド、ポリエステル系重合体、およ
び得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステル
は溶剤等に溶解し易く溶剤等を使用して重合できる。ま
た、得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステ
ルは融点が高い上、溶融粘度が高く、重合させ難いが、
溶剤を加えることによって重合系の粘度は下がり、攪拌
が容易になり、重合を行いやすくなる。
【0104】特にスタティックミキサーを備えた連続重
合装置を使用する場合、重合溶液の押し出し圧力が下が
り、また、温度コントロールを目的として熱媒用内部装
置や攪拌を目的とした邪魔板を持った重合装置では装置
を軽装化でき有効である。攪拌が容易なために温度コン
トロールが容易で重合装置中で温度が均質であり、着色
等がより少ないウレタン結合含有ラクタイド系ポリエス
テルが得られる。
【0105】多官能性イソシアネート(C)との反応さ
せる際は、重合後期に多官能性イソシアネート(C)が
添加されるように添加ラインを設置し反応を行うことが
できる。
【0106】使用する溶剤の例として、ベンゼン、トル
エン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプ
ロピルエーテルが好ましく用いられる。溶剤を使用した
重合を行う場合、重合速度は遅くなる。これを改良する
目的で重合温度は140〜195℃にすることが好まし
い。
【0107】重合または多官能性イソシアネート(C)
との反応に際し、水分が入り込むと阻害が起こり、かつ
分解反応が促進される為に、乾燥した不活性ガス雰囲気
下がよい。特に窒素、アルゴンガス雰囲気下、または不
活性ガス通気下で重合を行うことが好ましい。
【0108】重合後期に残留したラクタイド、溶剤およ
び臭気を持った物質を取り除く目的で減圧下に脱揮を行
うことが望ましい。この脱揮工程によって残留ラクタイ
ド量を減少することができ、得られたウレタン結合含有
ラクタイド系ポリエステルの保存安定性を著しく増すこ
とが出来る。
【0109】残留ラクタイドは、ウレタン結合含有ラク
タイド系ポリエステルをシート・フィルムにした場合、
水分の付着等による加水分解や熱による融着の原因とな
り好ましくない。また製品化したフィルム・シートから
昇華により飛散し好ましくない。この為、本発明のウレ
タン結合含有ラクタイド系ポリエステル中の残留ラクタ
イド量は、2重量%以下にすることが望ましい。さらに
好ましくは1重量%以下にする。
【0110】具体的な脱揮の方法としては、重合後に減
圧下、加熱しながら取り出しを行う方法が好ましい。ウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの分子量を低
下させない為に、脱揮条件は、脱揮時間は2〜30分、
温度は145〜230℃、減圧度は0.1〜200To
rrで行なうことが好ましい。その他の脱揮方法として
は、重合終了後に、ウレタン結合含有ラクタイド系ポリ
エステルをペレット化、または粉砕し、減圧下、加熱し
ながら取り出しを行う方法がある。
【0111】この場合もウレタン結合含有ラクタイド系
ポリエステルの分子量を低下させない目的で、脱揮時間
は2〜400分、温度は60〜200℃、減圧度は0.
1〜50Torrが好ましい。
【0112】他の残存ラクタイドを減少させる方法とし
ては、重合反応終了後に、ウレタン結合含有ラクタイド
系ポリエステルを溶剤に溶解し、貧溶剤に加えることに
よって重合体を得る再沈澱法がある。ウレタン結合含有
ラクタイド系ポリエステルを溶解する溶剤としては、ベ
ンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロ
ヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルイソブ
チルケトン、メチルエチルケトン、
【0113】イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、
クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロ
ベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン等
と、これらの混合溶剤が溶解性が良く好ましく、貧溶剤
としては水、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、ノナン、デカン、ジエチルエーテル等とこれらの混
合溶剤が挙げられる。
【0114】再沈澱は、室温または加温した溶剤に2〜
20重量%の濃度でウレタン結合含有ラクタイド系ポリ
エステルを溶解後、攪拌しながら2〜15倍量の貧溶剤
中に徐々に加え、10〜180分静置し沈澱を生成させ
取り出しを行う方法が好ましい。取り出した沈澱を減圧
下または、および加熱状態下に残留した溶剤を取り除
く。これらの脱揮方法によって、通常、2.5%程度残
留しているラクタイドを1.0%以下、さらに必要に応
じ、0.1%以下に減少させることができる。
【0115】本発明の共重合体を製造する際、ラクタイ
ド(A)以外の環状エステル類を、更に加えてウレタン
結合含有ラクタイド系ポリエステルを作ることもでき
る。特に軟質化を目的としてラクトンを1〜20重量%
加えることが出来る。
【0116】ラクタイド以外に加える環状エステル類に
ついては特に限定はないが、具体的にはグリコライド等
のヒドロキシ酸の環状二量化物や、分子内ラクタイド
類、特にε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、γ
−ウンデカラクトン等が挙げられる。ラクトン類の量が
増加するとガラス転移点、融点が低くなり柔軟性が高く
なる。
【0117】本発明による製造方法は、高い剛性を有す
るウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルから、高
い柔軟性を有するウレタン結合含有ラクタイド系ポリエ
ステルまでを提供できる。即ち、分解性、引っ張り弾性
率にして500〜50,000kg/cm2 を有し、広
く汎用樹脂として使用し得るシート・フィルム等の包装
材料用樹脂、発泡用樹脂、押し出し成形用樹脂、射出成
形用樹脂、インキ用樹脂、ラミネーション用樹脂等の汎
用樹脂として有用なポリマーを提供することができ、特
に包装材料用ポリマーの製造方法として有用である。
【0118】これらシート・フィルム等の成膜の際に、
一般的なフィラー、例えばタルク、炭酸カルシウム、シ
リカ、クレー、ケイソウ土、パーライト等の無機系充填
剤、或いは木粉等の有機系充填剤を混入添加しても良
い。また、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ
ール(BHT)、ブチル・ヒドロキシアニソール(BH
A)の様な酸化防止剤、サリチル酸誘導体、ベンゾフェ
ノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、およ
び、燐酸エステル、カルボジイミド等の安定剤を使用
し、成形時の熱的安定性を向上させることができる。
【0119】これらの安定剤の添加量は、特に限定され
るものではないが、ウレタン結合含有ラクタイド系ポリ
エステルの重量に対して、通常0.01〜1%の量で添
加することが好ましい。また、本発明のウレタン結合含
有ラクタイド系ポリエステルは、単独で十分な可塑性が
あり、良好な成形性を有するが、更に高い成形加工性、
柔軟性を図る場合には、アジピン酸ジオクチル、セバシ
ン酸ジオクチル、トリオクチルトリメリテート、フタル
酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ポリプロピレングリ
コールアジピン酸、アジピン酸ブタンジオール等の可塑
剤を添加しても良い。
【0120】なかでも、アジピン酸系ポリエステル可塑
剤は、特に成形加工性、柔軟性から好ましく、重量平均
分子量が20,000以下、かつポリエステルの末端が
アルコール等で封止されているものが、該ポリマーとの
相溶性が良く特に好ましい。これらの可塑剤の添加量
は、特に限定されるものではないが、過剰の可塑剤が樹
脂から溶出する現象、ブリーディングを避ける目的で、
ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの重量に対
して1〜30%の量で添加することが好ましい。
【0121】またステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグ
ネシウム、ステアリン酸カルシュウム等の金属石鹸類、
鉱油、流動パラフィン、エチレンビスステアリルアマイ
ド等の滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸
エステル等の非イオン系、アルキルスルホン酸塩等のイ
オン系等の界面活性剤、酸化チタン、カーボンブラック
の様な着色剤等の添加も何等差し支えない。
【0122】また、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニ
ウム等の無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビ
スイソブチロニトリル、スルホニルヒドラジド等の有機
系発泡剤等の添加により、もしくはペンタン、ブタン、
フレオン等の発泡剤を本発明ポリマーに事前に含浸させ
るか、押出工程の途中で押出機内に直接供給することに
より発泡体とすることもできる。また押出ラミ、ドライ
ラミ或いは共押出により紙、アルミホイル、或いは他の
分解性ポリマーフィルムとの多層化も可能である。
【0123】本発明で得られるウレタン結合含有ラクタ
イド系ポリエステルは、良い生分解性を持ち、汎用樹
脂、包装材料等に使用された後に廃棄されたり、製造工
程上から廃棄されたとしても、廃棄物の減量に役立つ。
特に海中に投棄された場合でも、加水分解、微生物等に
よる分解を受ける。海水中での分解も数カ月の間に樹脂
としての強度が劣化し、外形を保たないまでに分解可能
である。
【0124】
【実施例】以下に実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明する。なお、例中の部は特に記載の
ない限り全て重量基準である。
【0125】(実施例1)芳香族ジカルボン酸成分およ
び脂肪族ジカルボン酸成分を含むポリエステル(テレフ
タル酸成分14モル%、イソフタル酸成分16モル%、
アジピン酸成分20モル%、エチレングリコール成分2
8モル%、ネオペンチルグリコール成分22モル%、重
量平均分子量52,100、数平均分子量26,700
(ポリスチレン換算))5部に、L−ラクタイド94
部、トルエンジイソシアネート1部を加えて、不活性ガ
ス雰囲気下で、145℃で1時間、溶融・混合させ、開
環重合触媒としてオクタン酸錫を0.02部加えた。
【0126】165℃、2時間の反応を行い、生成した
共重合体を取り出した。得られたウレタン結合含有ラク
タイド系ポリエステルは黄色を帯びた透明な樹脂であっ
た。ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下G
PCと略す。)の結果から原料芳香族ジカルボン酸成分
および脂肪族ジカルボン酸成分を含むポリエステルの分
子量よりも大きな重量平均分子量200,900を持
つ、ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルが確認
された。
【0127】反応後のGPCの結果、共重合体由来の画
分は単一で、単一の共重合体が生成していることが確認
され、残留したラクタイド由来の小さな画分も確認され
た。ラクタイドモノマーは4.0%が残留した。このウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの示差熱量分
析(以下DSCと略す。)を行った結果、ガラス転移点
は55.0℃、融点は165.9℃であった。
【0128】得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルをプレス条件、175℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で厚さ100μ、10cmX1
0cmのシートを作成し、この時の分子量低下を測定し
た。このシートを、JIS−K−7128の方法に従い
エレメンドロフ引き裂き試験機を使用し引き裂き試験を
行い、また、同じシートを中心より折り曲げシート面が
完全に合わさるまで折り曲げ、開くことを割れるまで繰
り返す、折り曲げ試験を行った。結果を表に示した。
【0129】(実施例2)芳香族ジカルボン酸成分およ
び脂肪族ジカルボン酸成分を含むポリエステル(テレフ
タル酸成分14モル%、イソフタル酸成分16モル%、
アジピン酸成分20モル%、エチレングリコール成分2
8モル%、ネオペンチルグリコール成分22モル%、重
量平均分子量52,100、数平均分子量26,700
(ポリスチレン換算))20部に、L−ラクタイド75
部、D−ラクタイド4部、
【0130】多官能性イソシアネートとして大日本イン
キ化学工業株式会社製バーノックDN980を1部加え
て、不活性ガス雰囲気下で、145℃で1時間、溶融・
混合させ、開環重合触媒としてオクタン酸錫を0.02
部加え、155℃、1時間の反応を行い、生成した共重
合体を取り出した。得られたウレタン結合含有ラクタイ
ド系ポリエステルは黄色を帯びた透明な樹脂であった
が、溶媒に溶解せず、GPC測定ができなかった。DS
Cを行った結果、ガラス転移点は不明で、融点は14
8.8℃であった。
【0131】(実施例3)芳香族系ポリエステル(テレ
フタル酸成分50モル%、エチレングリコール成分50
モル%、重量平均分子量10,800、数平均分子量
6,800(ポリスチレン換算))97重量部にジフェ
ニルメチレンジイソシアネート3重量部を加えて、溶剤
としてトルエンを100重量部加えて不活性ガスで雰囲
気を置換し、85℃で1.5時間、両者を反応させた。
反応後、減圧下にトルエンを除いた。
【0132】ここで生成したウレタン結合を持った原料
芳香族系ポリエステルは重量平均分子量43,100、
数平均分子量22,300でGPCのピークは単一で、
単一の生成物が生成していた。生成したウレタン結合を
持った原料芳香族系ポリエステル10重量部にL−ラク
タイド90重量部を加えて、不活性ガスで雰囲気を置換
し、135℃で1時間、両者を溶融・混合させ、開環重
合触媒としてオクタン酸錫を200ppm加えた。この
後、165℃、1.5時間、反応を行い、生成した共重
合体組成物を取り出した。
【0133】得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルは褐色を帯びた透明な樹脂であった。GPC
の結果から重量平均分子量145,200を持ったウレ
タン結合含有ラクタイド系ポリエステルが確認された。
GPCのピークは単一で、単一の共重合体が生成してい
た。ラクタイドモノマーは3.3%が残留した。このウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルのDSCを行
った結果、ガラス転移点は46.7℃、融点は166.
5℃であった。
【0134】(実施例4)芳香族・脂肪族系ポリエステ
ル(テレフタル酸成分33モル%、アジピン酸成分17
モル%、エチレングリコール成分23モル%、ネオペン
チルグリコール成分27モル%、重量平均分子量49,
800、数平均分子量24,500(ポリスチレン換
算))98重量部にジフェニルメチレンジイソシアネー
ト1.5重量部とフェニルイソシアネート0.5重量部
とを加えて、溶剤としてトルエンを100重量部加えて
不活性ガスで雰囲気を置換し、85℃で1.0時間、両
者を反応させた。
【0135】反応後、減圧下にトルエンを除いた。ここ
で生成したウレタン結合を持った原料芳香族系ポリエス
テルは重量平均分子量72,200、数平均分子量2
1,000でGPCのピークは単一で、単一の生成物が
生成していた。続いてこの生成したウレタン結合を持っ
た原料芳香族・脂肪族系ポリエステル5重量部にL−ラ
クタイド90重量部、D−ラクタイド5重量部を加え
て、不活性ガスで雰囲気を置換し、135℃で1時間、
両者を溶融・混合させ、開環重合触媒としてオクタン酸
錫を200ppm加えた。
【0136】この後に165℃、1.5時間、反応を行
い、生成した共重合体組成物を取り出した。得られたウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルは褐色を帯び
た透明な樹脂であった。GPCの結果から重量平均分子
量186,700を持ったウレタン結合含有ラクタイド
系ポリエステルが確認された。
【0137】GPCのピークは単一で、単一の共重合体
が生成していた。ラクタイドモノマーは3.4%が残留
した。このウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステル
のDSCの結果、ガラス転移点は53.2℃、融点は1
71.6℃であった。
【0138】得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルをプレス条件、175℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で厚さ100μm、10cmX
10cmのシートを作成し、この時の分子量低下を測定
した。このシートを、引き裂き試験を行い、また、折り
曲げ試験を行った。結果を表に示した。
【0139】(実施例5)脂肪族系ポリエステル(コハ
ク酸成分50モル%、エチレングリコール成分50モル
%、重量平均分子量38,200、数平均分子量18,
900)98部に大日本インキ化学工業株式会社製パン
デックスP−870(NCO%=3.0)2部を80℃
で2時間反応させた。反応後、減圧下でトルエンを除い
た。
【0140】生成したウレタン結合含有ポリエステル
は、重量平均分子量234,000、数平均分子量4
0,300であった。このウレタン結合含有ポリエステ
ル10重量部にL−ラクタイド90重量部を加えて、不
活性ガスで雰囲気を置換し、165℃で1時間、両者を
溶融・混合させ、開環重合触媒としてオクタン酸錫を2
00ppm加えた。
【0141】この後8時間、反応を行ったところ、重量
平均分子量356,000、数平均分子量131,00
0の褐色を帯びた透明な共重合体組成物が得られた。ラ
クタイドモノマーは殆ど残留しなかった。このウレタン
結合含有ラクタイド系ポリエステルのDSCの結果、ガ
ラス転移点は38.6℃、融点は149.1℃であっ
た。
【0142】得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルをプレス条件、175℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で厚さ100μm、10cm×
10cmのシートを作成し、この時の分子量低下を測定
した。このシートを、引き裂き試験を行い、また、折り
曲げ試験を行った。結果を表に示した。
【0143】(実施例6)芳香族・脂肪族系ポリエステ
ル(テレフタル酸成分33モル%、アジピン酸成分17
モル%、エチレングリコール成分23モル%、ネオペン
チルグリコール成分27モル%、重量平均分子量49,
800、数平均分子量24,500(ポリスチレン換
算))99.5重量部にイソホロンジイソシアネート
0.5重量部、溶剤としてトルエンを100重量部加え
て不活性ガスで雰囲気を置換し、85℃で1.0時間、
両者を反応させた。
【0144】反応後、減圧下にトルエンを除いた。ここ
で生成したウレタン結合を持った原料芳香族系ポリエス
テルは重量平均分子量98,300、数平均分子量4
1,900でGPCのピークは単一で、単一の生成物が
生成していた。生成したウレタン結合を持った原料芳香
族・脂肪族系ポリエステル10重量部にL−ラクタイド
85重量部、D−ラクタイド5重量部を加えて、不活性
ガスで雰囲気を置換し、110℃で1時間、両者を溶融
・混合させ、開環重合触媒としてオクタン酸錫を200
ppm加えた。
【0145】この後、165℃、1.5時間で反応を行
い、生成した共重合体組成物を取り出した。得られたウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルは褐色を帯び
た透明な樹脂であり、GPCの結果から重量平均分子量
290,100を持ったウレタン結合含有ラクタイド系
ポリエステルが確認された。GPCのピークは単一で、
単一の共重合体が生成していた。ラクタイドモノマーは
2.4%が残留した。このウレタン結合含有ラクタイド
系ポリエステルのDSCを行った結果、ガラス転移点は
55.1℃、融点は173.0℃であった。
【0146】得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルをプレス条件、175℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で厚さ100μm、10cmX
10cmのシートを作成し、この時の分子量低下を測定
した。このシートを、引き裂き試験を行い、また、折り
曲げ試験を行った。結果を表に示した。
【0147】(実施例7)芳香族・脂肪族系ポリエステ
ル(テレフタル酸成分33モル%、アジピン酸成分17
モル%、エチレングリコール成分23モル%、ネオペン
チルグリコール成分27モル%、重量平均分子量52,
100、数平均分子量26,700(ポリスチレン換
算))10部にL−ラクタイド90部を加えて、不活性
ガス雰囲気下で、165℃で1時間、両者を溶融・混合
させ、開環重合触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えて8時間、反応を行った。
【0148】得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルは無色透明な樹脂であった。GPCの結果か
ら重量平均分子量144,400のウレタン結合含有ラ
クタイド系ポリエステルが確認された。このラクタイド
系ポリエステル99.5重量部にイソホロンジイソシア
ネート0.5重量部を加えて、溶媒としてトルエンを1
00重量部加え、不活性ガスで雰囲気を置換し、触媒と
しテトラエチルアンモニウムクロライドを50ppm加
え、90℃で1時間、両者を反応させた。
【0149】この後に165℃、1.5時間、反応を行
い、生成した共重合体組成物を取り出した。得られたウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルは白色を帯び
た透明な樹脂であった。GPCの結果から重量平均分子
量274,700を持ったウレタン結合含有ラクタイド
系ポリエステルが確認された。GPCのピークは単一
で、単一の共重合体が生成していた。ラクタイドモノマ
ーは2.8%が残留した。このウレタン結合含有ラクタ
イド系ポリエステルのDSCを行った結果、ガラス転移
点は54.2℃、融点は171.1℃であった。
【0150】得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポ
リエステルをプレス条件、175℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で厚さ100μm、10cmX
10cmのシートを作成し、この時の分子量低下を測定
した。このシートを、引き裂き試験を行い、また、折り
曲げ試験を行った。結果を表に示した。
【0151】(実施例8)本実施例では、ヘリカル型の
攪拌翼を備えた4リッターの内容量を持った満液式の攪
拌式反応器を3器直列に連結した反応装置と、この最終
反応槽に1/2インチのスタティック・ミキサー(ノリ
タケ製ケニックス式スタティックミキサー)を介して2
機の脱揮槽に接続した反応装置を使用した。
【0152】原料供給は窒素ガス雰囲気下、ラクタイド
とヒドロキシル基を持ったポリマーを110℃でトルエ
ン15%溶液としてプランジャーポンプを使用し、原料
の平均滞留時間が8時間になるように第1反応器へ供給
した。触媒はオクタン酸スズを用い、第1反応器の前に
添加した。スタティック・ミキサーへの入り口にイソホ
ロンジイソシアネートの40%トルエン溶液を注入でき
るように注入ラインをつけた。各々の成分の供給量を下
表に示す。
【0153】 原料供給流量 : 1.5 l/時間 触媒供給流量 : 0.5 ml/時間 イソシアネート溶液供給流量 : 19.0 ml/時間
【0154】原料のラクタイド、ヒドロキシル基を有す
るポリマー成分を下表に示した。 L−ラクタイド 73% D−ラクタイド 4% ヒドロキシル基を有するポリマー 10% トルエン 13%
【0155】ヒドロキシル基を有するポリマーとしてポ
リエステルを使用し構成成分はコハク酸50モル%、エ
チレングリコール50モル%、数平均分子量77,00
0(ポリスチレン換算)である。
【0156】触媒としてのオクタン酸スズは400pp
mとなるように供給した。生成ポリマーの抜き出しは最
終反応槽の槽上部の排出部より、ギヤーポンプを用いて
連続的に抜き出した。
【0157】使用した4槽の反応装置の制御温度を下表
に示す。 第1反応槽反応温度 : 155 ℃ 第2反応槽反応温度 : 155 ℃ 第3反応槽反応温度 : 165 ℃
【0158】脱揮処理の条件は、第1脱揮装置の前の熱
交換器の温度:220℃、脱揮槽の真空度:110To
rrであった。第2脱揮装置の前の熱交換器の温度:2
05℃、脱揮槽の真空度:8Torrであった。
【0159】得られた重合物をペレット化した後に、各
種の性状や物性測定を行った。得られたペレットはわず
かに黄色を帯びた透明な樹脂であった。GPCの結果か
ら分子量283,800を持ったラクタイド系共重合体
が確認された。ラクタイドモノマーは0.6%が残留
し、トルエンは確認されなかった。
【0160】DSCの結果、融点は172.9℃とわか
った。ホットプレス機で175℃、200kg/cm
2 、2分間の条件下で200μm厚のフィルムを作成
し、引っ張り弾性率を測定したところ13,000kg
/cm2 であった。
【0161】(実施例9)内径0.5インチ、長さ60
センチのスタティック・ミキサーを4基直列に連結した
循環重合ラインと、内径3/4インチ、長さ50センチ
のスタティック・ミキサー(ノリタケ製、ミキシングエ
レメント15個内蔵)を2基直列に、循環用ギヤポンプ
を備えた循環重合ラインより引き続き連結した重合ライ
ンとからなる重合領域を有する連続重合装置を用いた。
【0162】触媒は触媒供給ポンプにより、主原料供給
ポンプの直前で内径1/4インチ、長さ15.5cmの
スタティックミキサー(ノリタケ製、ミキシングエレメ
ント12個内臓)により主原料と混合される。
【0163】窒素ガス雰囲気下で調製した主原料溶液と
して、L−ラクタイド78部、D−ラクタイド4部、予
めイソホロンジイソシアネートによって高分子量化した
芳香族・脂肪族系ポリエステル(テレフタル酸成分14
モル%、イソフタル酸成分16モル%、アジピン酸成分
20モル%、エチレングリコール成分28モル%、
【0164】ネオペンチルグリコール成分22モル%、
重量平均分子量87,300、数平均分子量39,10
0(ポリスチレン換算))の50%トルエン溶液18
部、触媒として2−エチルヘキサン酸亜鉛0.04部用
い、以下の条件で連続的に重合した。
【0165】主原料供給流量: 400ml/時間 触媒供給流量: 1.6ml/時間 反応温度: 160℃ 循環重合ラインに循環される流量: 2l/時間 還流比: 5
【0166】この重合溶液を高粘度用の保温可能なギヤ
ポンプで熱交換器、脱揮槽等からなる装置へ重合溶液を
導き、脱揮処理を行った。脱揮装置の前の熱交換器の温
度は200℃、脱揮槽の真空度は4〜10Torrであ
った。得られたウレタン結合含有ラクタイド系ポリエス
テルは黄色みを帯びた透明の樹脂で、これをペレット化
した後に、各種の性状や物性測定を行った。GPCの結
果から重量平均分子量301,000のウレタン結合含
有ラクタイド系ポリエステルが確認された。融点は17
1.1℃であった。
【0167】このウレタン結合含有ラクタイド系ポリエ
ステルペレットをホットプレスを使用し、様々な温度で
厚さ10cm×10cm、100μmのシートを作成し
た。プレス条件、165℃、200kg/cm2 、2分
間の条件下で重量平均分子量301,000のペレット
によって重量平均分子量290,000のシートが得ら
れた。分子量の低下は3.7%であった。
【0168】プレス条件、175℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で重量平均分子量301,00
0のペレットによって重量平均分子量288,000の
シートが得られた。分子量の低下は4.3%であった。
【0169】プレス条件、185℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で重量平均分子量301,00
0のペレットによって重量平均分子量259,000の
シートが得られた。分子量の低下は14.0%であっ
た。
【0170】175℃でプレスしたシートを、JIS−
K−7128の方法に従いエレメンドロフ引き裂き試験
機を使用し引き裂き試験を行った結果、90gの荷重の
時に引き裂かれた。
【0171】同じシートを中心より折り曲げシート面が
完全に合わさるまで折り曲げ、開くことを割れるまで繰
り返す、折り曲げ試験を行った。結果、10回目の折り
曲げに耐えることができた。
【0172】175℃でプレスしたシートを、海水中、
35℃に浸漬し、生分解試験を試みた。結果を表1に示
す。
【0173】
【0174】(比較例1)L−ポリ乳酸(重量平均分子
量273,000、数平均分子量140,000(ポリ
スチレン換算))99.5重量部にイソホロンジイソシ
アネート0.5重量部とを加えて、溶剤としてトルエン
を100重量部加えて不活性ガスで雰囲気を置換し、8
5℃で1.0時間、両者を反応させた。反応後、減圧下
にトルエンを除いた。
【0175】ここで生成したウレタン結合を持ったポリ
乳酸は重量平均分子量523,300でGPCのピーク
は単一ではなく、約52%が高分子量化し、重量平均分
子量261,000の未反応のポリ乳酸と考えられるピ
ークが48%残留していた。
【0176】このウレタン結合含有ラクタイド系ポリエ
ステルのDSCを行った結果、ガラス転移点は41.2
℃、融点は158.2℃であった。この高分子量ポリ乳
酸をホットプレスを使用し、様々な温度で厚さ10cm
×10cm、100μmのシートを作成した。
【0177】プレス条件、165℃、200kg/cm
2 、2分間の条件下で高い方の重量平均分子量523,
300のペレットはシート化することによって高い方の
重量平均分子量491,000のシートが得られた。分
子量の低下は6.0%であった。
【0178】プレス条件、175℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で高い方の重量平均分子量52
3,300のペレットはシート化することによって高い
方の重量平均分子量435,000のシートが得られ
た。分子量の低下は17.8%であった。
【0179】プレス条件、185℃、200kg/cm
2 、1.5分間の条件下で高い方の重量平均分子量52
3,300のペレットはシート化することによって高い
方の重量平均分子量360,000のシートが得られ
た。分子量の低下は31.2%であった。
【0180】175℃でプレスしたシートを、JIS−
K−7128の方法に従いエレメンドロフ引き裂き試験
機を使用し引き裂き試験を行った結果、70gの荷重の
時に引き裂かれた。同じシートを中心より折り曲げシー
ト面が完全に合わさるまで折り曲げ、開くことを割れる
まで繰り返す、折り曲げ試験を行った。結果、5回目の
折り曲げに耐えることができた。
【0181】(比較例2)芳香族系ポリエステル(テレ
フタル酸成分50モル%、エチレングリコール成分50
モル%、重量平均分子量18,300、数平均分子量
8,700(ポリスチレン換算))10部にL−ラクタ
イド90部を加えて、不活性ガス雰囲気下で、165℃
で1時間、両者を溶融・混合させ、開環重合触媒として
オクタン酸錫を0.02部加えて8時間、反応を行っ
た。
【0182】得られたラクタイド系ポリエステルは無色
透明な樹脂であった。GPCの結果から重量平均分子量
46,600のラクタイド系ポリエステルが確認され
た。このラクタイド系ポリエステル99.5重量部にト
ルエンジイソシアネート0.5重量部を加えて、溶媒と
してトルエンを100重量部加え、不活性ガスで雰囲気
を置換し、90℃で1.5時間、両者を反応させた。
【0183】この後、更に165℃、1時間で反応を行
い、生成した共重合体組成物を取り出した。得られたウ
レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルは白色を帯び
た樹脂であった。GPCの結果では、重量平均分子量が
126,100、88,300、42,300の3つの
ピークから成るウレタン結合含有ラクタイド系ポリエス
テルがそれぞれ6.2%、82.5%、11.3%が確
認された。
【0184】このウレタン結合含有ラクタイド系ポリエ
ステルのDSCを行った結果、ガラス転移点は37.9
℃、融点は153.2℃であった。このウレタン結合含
有ラクタイド系ポリエステルペレットをホットプレスを
使用し、プレス条件、155℃、200kg/cm2
2分間の条件下で厚さ10cm×10cm、100μm
のシートを作成した。シートは脆い性質であった。
【0185】同じシートを中心より折り曲げシート面が
完全に合わさるまで折り曲げ、開くことを割れるまで繰
り返す、折り曲げ試験を行った。結果、1回目の折り曲
げに耐えることもできなかった。
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【発明の効果】本発明は、汎用性樹脂として使用し得る
十分な強度、成形時の熱安定性を有し、用途に応じた剛
性、柔軟性、透明性を有する分解性の高分子量のウレタ
ン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法を提供
できる。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクタイド(A)と、両末端に水酸基を
    有するポリエステル(B)と、多官能性イソシアネート
    (C)とを必須成分として反応させることを特徴とする
    ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、重量平均分子量40,000〜200,00
    0である請求項1記載のウレタン結合含有ラクタイド系
    ポリエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、芳香族環を10重量%〜35重量%含有する
    ポリエステルである請求項1記載のウレタン結合含有ラ
    クタイド系ポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 ラクタイド(A)と、両末端に水酸基を
    有するポリエステル(B)と、多官能性イソシアネート
    (C)とを共に混合して反応させることを特徴とするウ
    レタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、重量平均分子量40,000〜200,00
    0である請求項4記載のウレタン結合含有ラクタイド系
    ポリエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、芳香族環を10重量%〜35重量%含有する
    ポリエステルである請求項4記載のウレタン結合含有ラ
    クタイド系ポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 ラクタイド(A)と、両末端に水酸基を
    有するポリエステル(B)との割合が、50/50〜9
    8/2であり、(A)と(B)の重量の合計と多官能性
    イソシアネート(C)の割合が、95/5〜99.9/
    0.1である請求項4記載のウレタン結合含有ラクタイ
    ド系ポリエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 ラクタイド(A)と、両末端に水酸基を
    有するポリエステル(B)とを、開環重合触媒の存在下
    で開環共重合せしめて、重量平均分子量1万〜50万の
    ラクタイド系ポリエステルを製造し、これに更に多官能
    性イソシアネート(C)を反応させることを特徴とする
    ウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステルの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、重量平均分子量40,000〜200,00
    0である請求項8記載のウレタン結合含有ラクタイド系
    ポリエステルの製造方法。
  10. 【請求項10】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、芳香族環を10重量%〜35重量%含有する
    ポリエステルである請求項8記載のウレタン結合含有ラ
    クタイド系ポリエステルの製造方法。
  11. 【請求項11】 ラクタイド(A)と、両末端に水酸基
    を有するポリエステル(B)とを、50/50〜98/
    2の割合で開環重合触媒の存在下に開環共重合せしめて
    得られる重量平均分子量10万〜50万のラクタイド系
    ポリエステルと、(A)と(B)の重量の合計と多官能
    性イソシアネート(C)の割合が、95/5〜99.9
    /0.1である請求項8記載のウレタン結合含有ラクタ
    イド系ポリエステルの製造方法。
  12. 【請求項12】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)に、多官能性イソシアネート(C)を反応せしめ
    て得られる両末端に水酸基を有するウレタン結合含有ポ
    リエステルと、ラクタイド(A)とを、開環共重合させ
    ることを特徴とするウレタン結合含有ラクタイド系ポリ
    エステルの製造方法。
  13. 【請求項13】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、重量平均分子量40,000〜200,00
    0である請求項12記載のウレタン結合含有ラクタイド
    系ポリエステルの製造方法。
  14. 【請求項14】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)が、芳香族環を10重量%〜35重量%含有する
    ポリエステルである請求項12記載のウレタン結合含有
    ラクタイド系ポリエステルの製造方法。
  15. 【請求項15】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)に多官能性イソシアネート(C)を反応せしめて
    得られる両末端に水酸基を有するウレタン結合含有ポリ
    エステルが、重量平均分子量60,000〜400,0
    00である請求項12記載のウレタン結合含有ラクタイ
    ド系ポリエステルの製造方法。
  16. 【請求項16】 両末端に水酸基を有するポリエステル
    (B)に多官能性イソシアネート(C)を反応せしめて
    得られる両末端に水酸基を有するウレタン結合含有ポリ
    エステルが、芳香族環を10重量%〜35重量%含有す
    る請求項12記載のウレタン結合含有ラクタイド系ポリ
    エステルの製造方法。
  17. 【請求項17】 多官能性イソシアネート(C)の他
    に、平均NCO当量が1.3〜2.0となる範囲で単官
    能イソシアネートを併用する請求項1〜16のいずれか
    一つに記載のウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステ
    ルの製造方法。
  18. 【請求項18】 重合反応装置にスタティック・ミキサ
    ーを用いることを特徴とする請求項1〜16のいずれか
    一つに記載のウレタン結合含有ラクタイド系ポリエステ
    ルの製造方法。
  19. 【請求項19】 2槽以上の直列に連結した攪拌式反応
    器を用いた連続重合装置を用いることを特徴とする請求
    項1〜16のいずれか一つに記載のウレタン結合含有ラ
    クタイド系ポリエステルの製造方法。
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