JPH07268010A - 蛍光性色素を含有した光硬化性樹脂、これらの硬化方法、及びこれらの硬化物の製造装置 - Google Patents

蛍光性色素を含有した光硬化性樹脂、これらの硬化方法、及びこれらの硬化物の製造装置

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JPH07268010A
JPH07268010A JP5840394A JP5840394A JPH07268010A JP H07268010 A JPH07268010 A JP H07268010A JP 5840394 A JP5840394 A JP 5840394A JP 5840394 A JP5840394 A JP 5840394A JP H07268010 A JPH07268010 A JP H07268010A
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light
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fluorescent dye
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JP5840394A
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Nobuyoshi Tajima
信芳 田島
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】光の照射により硬化した部分と未硬化の部分を
正確に区別できる光硬化性樹脂を提供すること。 【構成】光の照射によって重合することにより、溶剤に
不溶化するか、又は液体から固体に変化する光硬化性樹
脂であって、光重合性樹脂、光重合開始剤、及び蛍光性
色素を含有したことを特徴とする光硬化性樹脂。本発明
は上記光硬化性樹脂を使用した硬化物の製造方法、及び
該光硬化性樹脂を使用する光硬化物の製造装置も開示す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛍光性色素を含有し、
光の照射によって溶剤に不溶化するするか、又は液体か
ら固体に変化する光硬化性樹脂に関する。また、本発明
は、この光硬化性樹脂の硬化方法、及び該光硬化性樹脂
の硬化物を形成する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光硬化性樹脂は、光源の安定性や光硬化
性樹脂の保存状態によって、更には季節や湿度によって
その硬化性が異なる。従って、精密な硬化物を得るため
には、光の照射によって硬化部分と硬化していない部分
とを区別し、評価できる手段が必要となる。
【0003】従来の光硬化性樹脂は、硬化部が透明であ
るか、又は半透明であり、未硬化部と同色であるため各
々を区別することは困難であった。このような困難を回
避するためには、例えば、硬化した部分を発色するよう
にすればよい。例えば、特開平2−85856号には、
光の照射によって硬化された部分にのみ色素が形成され
る色素前駆体を含有した光硬化性樹脂が開示されてい
る。この樹脂は、光硬化された部分が発色するので、硬
化部分と未硬化部分が区別できる。
【0004】また、特開昭60−168615には、感
熱性発色材が含有された光硬化性樹脂が開示されてい
る。この樹脂は、赤外線の照射によって感熱発色材が発
色するものである。
【0005】しかし、特開平2−85856号に記載の
発明では、光の照射によって色素前駆体が反応し、色素
を生成して発色するものであるため、樹脂の硬化部分の
発色は色素前駆体の光反応性に依存することになる。更
には、光硬化性樹脂の硬化部分そのものが発色していな
いため、樹脂の硬化した部分と一致した発色が必ずしも
得られるものではない。
【0006】また、特開昭60−168615号に記載
された発明でも、赤外線の熱により感熱発色材が発色す
るものであるので、発色は感熱発色材の熱反応性に依存
することになる。更に、光硬化性樹脂の硬化部分そのも
のが発色するものではないので樹脂の硬化した部分と一
致した発色が必ずしも得られるものではない。
【0007】このように、従来の発明では、着色した部
分か必ずしも樹脂の硬化部分に一致しないため、硬化し
た部分と未硬化の部分の正確な判断が困難であるという
問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑みてなされたもので、光の照射により硬化した部分と
未硬化の部分を正確に区別できる光硬化性樹脂を提供す
ることをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下に示す
発明(1)の光硬化性樹脂によって達成される。即ち、
本発明(1)は、光の照射によって重合することによ
り、溶剤に不溶化するか、又は液体から固体に変化する
光硬化性樹脂に蛍光性色素を含有したことを特徴とする
光硬化性樹脂である。
【0010】以下本明細書中で光硬化性樹脂とは、特に
断わらない限り、蛍光性色素を含有する蛍光性光硬化性
樹脂をいうものとする。以下に本発明(1)を更に詳細
に説明する。
【0011】本発明の光硬化性樹脂は、光重合性樹脂
(オリゴマー、モノマー)、光開始剤、及び蛍光性色素
から成る。また、本発明の光硬化性樹脂は、硬化物の架
橋度を上げるため、任意に二官能性モノマーを含有して
もよい。
【0012】本発明に使用しうる光重合性樹脂は、特に
限定されるものではない。例えば、ラジカル重合型の光
重合性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、アク
リル系樹脂、エン・チオール系樹脂等を挙げることがで
きる。具体的には、不飽和ポリエステル系では、スチレ
ン、ビニルトルエン等のビニル基を有するエステル系モ
ノマー、又は不飽和二重結合を有する非ビニル系オリゴ
マーを含有するポリエステル系樹脂がある。また、アク
リル系の樹脂としては、アクリロイル基を有するモノマ
ー又はオリゴマーであり、その骨格を構成する分子構造
により、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアク
リレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリ
レート等がある。更に、エン・チオール系の樹脂として
は、オレフィンとメルカプタンとの共重合体のようなポ
リエン樹脂とチオールのラジカル付加反応で架橋する樹
脂がある。
【0013】また、カチオン重合型の光重合樹脂として
は、官能基として炭素原子2個と酸素原子1個とから構
成される三員環(オキシラン環)を有するエポキシ系樹
脂を挙げることができる。具体的には、ビスフェノール
型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族型
エポキシ樹脂等がある。
【0014】更に、本発明の光硬化性樹脂は、上記の光
重合性樹脂に限らず、ケイ皮酸系、スチルバゾール系、
ジアゾ系等の樹脂を使用しうる。本発明では、上記光重
合性樹脂を単独でも、また複数組み合わせて使用するこ
ともできる。
【0015】本発明において、光硬化性樹脂を硬化して
得られる硬化物の架橋度を上げることもできる。この場
合には、N,N’−メチレンビスアクリルアミド又はメ
チレングリコールジメチルアセタール等の二官能性モノ
マーを加えることが好ましい。
【0016】本発明に使用しうる光開始剤は、特に限定
されるものではない。上記樹脂の重合を開始しうるもの
であればよい。光開始剤には、ラジカル重合開始剤、カ
チオン重合開始剤等がある。
【0017】ラジカル重合開始剤としては、ジヒドロキ
シアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−
フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合
開始剤、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピル
ベンゾインエーテル等のベンゾインエーテル系重合開始
剤、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘ
キシルフェニルケトン等のベンジルケタール系重合開始
剤、ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン等のケ
トン系重合開始剤等がある。
【0018】また、カチオン重合開始剤としては、芳香
族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩、メタロセン化合物等がある。本発明に使用
しうる蛍光性色素は、特に限定されるものではないが、
例えば染料として使用しうるキサンテン骨格を有するエ
オシン、ローダミン、フルオレセイン等の化合物があ
る。これらの蛍光性色素は、木下一彦、御橋廣眞編「蛍
光測定」(学会出版センター)、161〜203頁、1
983年に記載されているが、本願発明で特に好ましく
使用しうる蛍光性色素は、ローダミンB、エオシン−5
−ヨードアセトアミドである。
【0019】本発明において、上記の各成分の配合量
は、光重合性樹脂100重量部に対して、光開始剤0.
001〜30重量部、蛍光性色素、0.001〜30重
量部である。光開始剤が上記重量部より少ない場合は光
硬化が十分に起こらない。一方、上記範囲よりも多く光
開始剤を含有しても重合効率が変わらず経済性に欠け
る。また、蛍光性色素が上記範囲よりも少ないと、蛍光
が観測されず、上記範囲より多く使用すると濃度消光を
起こし好ましくない。濃度消光が生じる濃度は、光重合
性樹脂と蛍光性色素の種類によって異なる。従って、螢
光色素は、濃度消光が生じない範囲で多量に使用するこ
とが好ましい。
【0020】また、光硬化性樹脂の硬化物の架橋度を上
げる場合の二官能性モノマーの含有量は、光重合性樹脂
100重量部当たり0.1〜200重量部である。次
に、本願発明の光硬化性樹脂の調製及び硬化の一態様を
説明する。
【0021】本願発明の光硬化性樹脂を調製するために
は、先述の光重合性樹脂、光開始剤、及び蛍光性色素を
上記割合の範囲内で混合する。混合方法は、これら樹脂
等を均一にし得るものであれは特に限定されないが、暗
所で樹脂を容器に入れ攪拌機で攪拌する等の方法を用い
ることが好ましい。本光硬化性樹脂で、二官能性モノマ
ーを混合することは、硬化物の架橋度を上げることがで
きるので好ましい。
【0022】得られた光硬化性樹脂をガラス板のような
基板上に塗布し、マスクを通して超高圧水銀灯等を光源
として紫外線を照射する。この紫外線照射によって光開
始剤が励起され、重合が開始されて、本発明の光硬化性
樹脂が硬化する。本発明の光硬化性樹脂では、蛍光性色
素を含有するので、蛍光性色素が蛍光を発する波長の光
を、光照射した光硬化性樹脂に照射することによって蛍
光を観察することができる。本発明では光照射で硬化し
た部分のみの蛍光が減光若しくは消光する。
【0023】この蛍光の減光若しくは消光は、本発明の
光硬化性樹脂が硬化することによって生じるものであ
り、蛍光性色素が反応することによって起こるものでは
ない。従って、硬化物が溶媒を吸収して膨潤し、硬化度
が低下したような場合、蛍光が再び観測される。このよ
うに、蛍光の有無は、本発明の光硬化性樹脂の硬化を直
接反映するものである。
【0024】蛍光の減光若しくは消光の原因は、第1に
樹脂が硬化することによって、硬化部分の分子が凝縮
し、これによって樹脂に含有された蛍光性色素の硬化部
分での単位当たりの濃度が高くなり、濃度消光が生じる
ためであると考えられる。また、第2に樹脂が消光分子
として働くことが考えられる。即ち、樹脂の硬化によっ
て、蛍光性色素と、消光分子である樹脂との衝突確率が
増加し、励起された蛍光分子が脱励起されるため蛍光の
減光あるいは消光が起こると考えられる。第3には、樹
脂が硬化することにより、蛍光性色素と樹脂、又は蛍光
性色素同士の相互作用が強くなり、これにより蛍光分子
はエネルギー移動によって失活し、蛍光が減光あるいは
消光すると考えられる。
【0025】ここで、濃度消光とは、蛍光体において、
賦活剤の濃度がある程度以上に増加すると発光の明るさ
が減少してくることをいう。これは、活性化された原子
同士の相互作用によるものであり、吸収されたエネルギ
ーが賦活原子の間の伝達過程で非輻射過程へ遷移するた
めに起こる。
【0026】また、消光分子とは、励起された蛍光分子
と反応して一時的に複合体を形成し、蛍光分子を脱励起
させる分子をいう。この消光は、一般に蛍光分子と消光
分子の衝突確率に比例する。
【0027】
【作用】光重合性樹脂に、重合開始剤、蛍光性色素、及
び必要に応じて二官能性モノマーを含有させた光硬化性
樹脂を調製する。該光硬化性樹脂を基板上に塗布し、光
源を用いて紫外光を照射し、樹脂を硬化させる。得られ
た光照射物に、蛍光を観測しうる波長の光を照射し、蛍
光を観察する。光硬化した部分は、蛍光が減光している
か、あるいは消光しているため、容易に光硬化した部分
と未硬化の部分を厳密に区別することが可能となる。
【0028】
【実施例】以下に本発明の光硬化性樹脂を実施例に基づ
いて更に詳細に説明する。 実施例1 (I)光硬化性樹脂の調製 重合性モノマーとしてN,N−ジメチルアミノエチルア
クリレート(50g)、光開始剤としてベンゾフェノン
(2g)、蛍光性色素としてオクタデシルローダミンB
(2g)、及び二官能性モノマーとしてN,N’−メチ
レンビスアクリルアミド(3g)を攪拌機を用いて混合
し、光硬化性樹脂1(57g)を調製した。
【0029】ここで、ベンゾフェノンは340nm近傍
の紫外光でラジカルを生成し、重合を開始するものであ
り、可視領域の光では重合開始剤として作用しない。
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート及びN,
N’−メチレンビスアクリルアミドはラジカル重合型の
光重合樹脂である。更に、オクタデシルローダミンBは
525nm近傍の光によって励起され、585nm近傍
の蛍光を発する蛍光性色素である。 (II)光硬化性樹脂の硬化 次に、図1から3を用いて本発明の光硬化性樹脂1の硬
化物を形成するプロセスを示す。
【0030】図1に示すように、上記(I)で調製した
光硬化性樹脂1をガラス基板2上に塗布し、マスク3を
通して露光した。光源には超高圧水銀灯(ウシオ電気
製)4を使用し、10秒間光照射した。この超高圧水銀
灯4は、250から700nmの波長域の光を発する光
源であり、特に紫外線領域の365nm、405nm及
び436nmの波長の強度が強いものである。従って、
超高圧水銀灯の紫外光によってベンゾフェノンがラジカ
ルを生じ重合が起こる。
【0031】露光後、ガラス基板上の光硬化性樹脂1に
は、硬化部5と未硬化部6が存在するが、これらの部分
は透明かつ同色であるためマスク3の形状に露光されて
いるかどうかを目視で判断することはできなかった(図
2)。この基板2上の露光した光硬化性樹脂1に対し
て、オリンパス光学工業製落射蛍光装置(図示せず)を
用い、G励起用フィルターを介して蛍光像を観察した。
ここで、オリンパス光学工業製落射蛍光装置は光源とし
て超高圧水銀灯を用いるものである。また、G励起用フ
ィルターは、励起フィルター、ダイクロイックミラー及
び吸収フィルターから成るものである。該励起フィルタ
ーにはEY475及びBP545を組み合わせて用い、
吸収フィルターにはO570を用いた。この組み合わせ
によって、励起光として、475から545nmの波長
域の光を選択的に照射し、オクタデシルローダミンBを
励起し、該化合物の発する570nm以上の波長域の蛍
光を観測することができる。例えば、図2の形状で露光
した場合は、図3に示されるように未硬化部6が蛍光を
発する。
【0032】このように、蛍光の有無あるいは濃淡から
硬化状態を判断することが可能になった。本実施例は各
種変更又は修正が可能である。例えば、N,N−ジメチ
ルアミノエチルアクリレートは、他の公知の光重合性モ
ノマー若しくはオリゴマーに代えることが可能である。
また、オクタデシルローダミンBは公知の他の蛍光性色
素に変更することができ、二官能性モノマーは使用しな
くてもよい。
【0033】実施例2 (I)光硬化性樹脂の調製 光重合性オリゴマーとしてウレタンアクリレート(30
g)、イソボニルアクリレート(30g)及びトリメチ
ロールプロパントリアクリレート(20g)使用した。
また、光開始剤としてベンゾフェノン(2g)、蛍光性
色素としてエオシン−5−ヨードアセトアミド(4g)
を使用した。これらの各成分を、攪拌機で混合し、光硬
化性樹脂10(86g)を調製した。ここで、エオシン
−5−ヨードアセトアミドは500nm近傍の光によっ
て励起され、570nm近傍の蛍光を発行する蛍光性色
素である。 (II)光硬化性樹脂の硬化 上記(1)で得られた光硬化性樹脂を接着剤として使用
する例を説明する。
【0034】図5に示すように、ガラス板11及び12
をずらして接触させ、該ガラス板の接触している部分の
両端部に上記(I)で調製した樹脂10を塗った。高圧
水銀灯(図示せず)を光源とする紫外線照射装置によ
り、樹脂10を塗った部分に紫外線照射した。照射時間
は1分であった。照射後、樹脂が完全に硬化しているか
どうかを目視で判断することはできなかった。硬化が終
了しているかどうかを観察するために、照射後の樹脂1
0の蛍光像を観察した。
【0035】蛍光像の観察は、オリンパス光学工業製落
射蛍光装置を用い、G励起用フィルターを介して行っ
た。その結果、光硬化性樹脂10からはほとんど蛍光が
観測されなかった。このことから、上記照射で、光硬化
性樹脂10の硬化が終了しているものと判断した。
【0036】以上のように、蛍光像が観測されないこと
により、接着剤として使用される本発明の光硬化性樹脂
の硬化状態が容易に判断できる。以下では、本発明の光
硬化性樹脂を硬化させる装置と、その装置を用いた硬化
方法の実施例を説明する。
【0037】実施例3 本実施例の硬化物形成装置を図6を参照して説明する。 (I)硬化物形成装置 図6は、光硬化性樹脂を用いた硬化物の形成装置を示
し、光硬化性樹脂を塗布した基板20を搬送するための
ベルトコンベアー31とモーター32を有している。こ
のベルトコンベアー31の上部には光硬化性樹脂を硬化
するための超高圧水銀灯22、23、及び24並びに蛍
光像を観察するための蛍光性色素励起用の超高圧水銀灯
25が設けられている。超高圧水銀灯22、23、及び
24は、搬送されてきた未硬化の光硬化性樹脂を塗布し
た基板20を効率よく照射しうるようにベルトコンベア
ーに向けて設置される。図6では3つの超高圧水銀灯を
設置した例を示したが、これに限定されるものではな
く、本発明では該水銀灯を1機から10機まで設置する
ことができる。設置台数は、光硬化性樹脂の硬化のしや
すさによって適宜選択すればよい。また、蛍光性色素の
励起用の超高圧水銀灯25は、その光が励起フィルター
26、ダイクロイックミラー27を介して観察対象物で
ある基板21に照射されるように設置されている。更
に、本発明の装置では、ベルトコンベアー上の基板21
を観測するためのSITカメラ29が、ダイクロイック
ミラー27の上方に吸収フィルター28を介して設置さ
れている。基板21上の光硬化性樹脂から発せられる蛍
光は、ダイクロイックミラー27及び吸収フィルター2
8を経てSITカメラ29で受光される。該SITカメ
ラ29で受光した光は、モニター30に映し出される。
【0038】ここで、励起フィルター26は、蛍光性色
素を励起する波長の光を選択的に透過するものであり、
吸収フィルター28は、蛍光性色素の蛍光の波長の光を
選択的に透過するものである。ダイクロイックミラー2
7は、光源25から照射された光を反射して基板21に
照射し、基板21からの蛍光を透過する働きをする。
【0039】(II)上記装置を用いた光硬化性樹脂の硬
化方法 前記実施例1で説明したのと同様の方法で調製された光
硬化性樹脂を塗布した基板20をベルトコンベアー31
に乗せ、超高圧水銀灯(22、23、24)下に搬送す
る。光硬化性樹脂は、ベルトコンベアー31上で移動し
ながら、超高圧水銀灯(22、23、24)で照射され
硬化される。硬化された樹脂を有する基板21は、ベル
トコンベアー上を移動し、蛍光観察用の光が照射してい
る位置に来たとき、蛍光像が観察される。
【0040】モニター31に映し出された蛍光像によっ
て、光硬化性樹脂の硬化状態が評価できる。十分に硬化
していない場合は、再度ベルトコンベアー31に乗せる
か、又はベルトコンベアー31を逆に回転させることに
より、光硬化性樹脂を硬化させるための超高圧水銀灯
(22、23、24)の下に移動させ、再度硬化させ
る。更に、新たに未硬化の光硬化性樹脂を硬化する場合
は、ベルトコンベアー31の回転速度を遅くする等の手
段をとることができる。
【0041】本装置の、超高圧水銀灯22、23、24
は、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンラン
プにすることもできる。また、蛍光観察用の超高圧水銀
灯は、キセノンランプ、ハロゲンランプとすることがで
きる。更に、光硬化性樹脂を硬化させる超高圧水銀灯2
2、23、24の下部に、光硬化性樹脂が硬化する波長
の光を選択的に透過するフィルターを設置することも可
能である。
【0042】実施例4 本実施例の三次元光硬化物形成装置を図7及び図8を参
照して説明する。ここで、図7は本発明の装置で形成さ
れる三次元光硬化物の一例である。
【0043】(I)三次元光硬化物形成装置 図8には、光硬化性樹脂を用いた三次元硬化物形成装置
が示されており、槽33には、本発明の光硬化性樹脂3
4が充填されている。該槽33はXYステージ35上に
置かれており、2次元的に移動できるようになってい
る。XYステージに対して垂直に設けられたZ軸ステー
ジ36の上端には支持棒37が取り付けられており、支
持棒の他端にはベースプレート38が固定されている。
ベースプレート38は、前記Zステージと支持棒37に
よって上昇または下降が可能である。槽33の上部には
レンズ39、ダイクロイックミラー40および41が設
置されている。光硬化性樹脂を硬化させるための光源4
2は、光源からの光が、光シヤッター43、ダイクロイ
ックミラー40、及びレンズ39を介して、光硬化性樹
脂34に照射されるように配置される。レンズ39は、
光源42からの光を光硬化性樹脂34の表面部分に集光
するためのものである。このレンズ39を操作すること
によって、光硬化性樹脂に照射する光のスポット径を調
節することができる。また、蛍光性色素の励起用の光源
44は、その光が励起フィルター45、ダイクロイック
ミラー41、ダイクロイックミラー、レンズ39を介し
て光硬化性樹脂34に照射されるように設置されてい
る。本発明においては、光源として超高圧水銀灯を最も
好適に使用しうるが、これに限定されるものではない。
更に、本発明の装置では、ダイクロイックミラー41の
上部に吸収フィルター46を介して蛍光性色素の蛍光を
観測するためのSITカメラ47が設置されている。光
硬化性樹脂から発せられる蛍光は、ダイクロイックミラ
ー40、41、及び吸収フィルター46を経てSITカ
メラ47で受光される。該SITカメラ47で受光した
光は、モニター30に映し出され、VTR48に録画さ
れる。XYステージ35、及びZステージ36、及び光
シヤッター37は、パーソナルコンピューター49によ
って制御される。
【0044】(II)上記装置を用いた光硬化性樹脂の三
次元硬化物の形成方法 槽33に本発明の光硬化性樹脂(例えば、実施例1
(I)で調製されたようなもの)を充填し、この光硬化
性樹脂槽33に光源42から光硬化性樹脂の硬化する波
長の光を照射する。XYステージ35の移動と光シヤッ
ター43の開閉によって図7に示したような目的とする
三次元硬化物50の中心軸a−a’に垂直な平面での断
面形状に相当する光のパターンを照射する。これによ
り、所定の厚みを持った硬化層51を形成する。この硬
化で得られる硬化層51の厚みは1μmから1mmとな
るように選択することが好ましい。次にZステージを新
たに形成する硬化層の分だけ降下し、同様の行程で、硬
化層51の上部に接着するように新たな硬化層を作成す
る。この操作を繰り返して硬化層51を複数層積み重ね
ることにより所望の三次元硬化物を形成することができ
る。
【0045】また、スポット径よりも小さい三次元硬化
物を得たい場合は、硬化が完全に終了する前に硬化物が
所望の大きさになった時点でXYステージ35を移動す
るように設定すればよい。
【0046】また、本実施例は種々の変更若しくは修正
が可能である。例えば、本装置は、硬化性樹脂の液面の
上方から光を照射して、硬化する方法(自由液面法)で
あるが、光硬化性樹脂の容器の下方から光を照射して硬
化する方法(規制液面法)とすることもできる。
【0047】また、光硬化性樹脂を硬化する光の波長
と、蛍光性色素を励起する光の波長がほぼ同じになる樹
脂を用いることもでき、その場合は、光源44、励起フ
ィルター45、ダイクロイックミラー41は、設ける必
要はない。
【0048】光硬化性樹脂を硬化させるための光源42
の光は、超高圧水銀灯を用いた場合、ガウスビームであ
るため光の中心から外側になるにしたがって光の強度が
弱い。従って、光硬化性樹脂は照射された光のスポット
の中央から硬化が開始し、次第に硬化部がスポット径ま
で広がる。本発明の光硬化性樹脂では硬化した部分の蛍
光が消光されるため、蛍光像を観察することにより硬化
状態を知ることができる。更に、本発明の装置を用いる
ことによって、光硬化性樹脂を硬化させながら同時に蛍
光を測定し、硬化状態を評価しながら硬化層を形成する
ことができる。また、本発明の装置では、第一に光硬化
性樹脂の硬化を行い、次いで、蛍光のみを観察すること
もでき、光硬化性樹脂の硬化後の状態を評価することも
できる。
【0049】実施例5 本実施例の三次元光硬化物形成装置を図9を参照して説
明する。 (I)三次元光硬化物形成装置 本実施例の装置は、図9に示される三次元光硬化物形成
装置である。本実施例の装置は、前記実施例4の三次元
光硬化物形成装置の、光硬化性樹脂を硬化するための光
源42をアルゴンガスレーザー52に置き換えたもので
ある。他の構成は実施例と4と同様である。
【0050】(II)上記装置を用いた光硬化性樹脂の三
次元硬化物の形成方法 光硬化性樹脂の硬化のための光源をアルゴンガスレーザ
ーに変更した以外、実施例4の(II)と同様にして三次
元硬化物を形成した。
【0051】本実施例では光硬化性樹脂の硬化のための
光源にアルゴンガスレーザーを使用したことにより蛍光
観察用の光のスポットよりも光硬化性樹脂を硬化させる
ための光のスポットの径を小さくすることができる。従
って、本発明の装置は、非常に微細な構造物を形成する
場合に有効である。
【0052】実施例6 本実施例の三次元光硬化物形成装置を10図で説明す
る。 (I)三次元光硬化物形成装置 本実施例の装置は、図10に示されている三次元光硬化
物形成装置である。本実施例の装置は、前記実施例5の
三次元光硬化物形成装置のSITカメラ47とVTR4
8の間に画像処理装置60を設けたことを特徴とする。
該画像処理装置は、SITカメラ47からの画像を画像
処理するものである。
【0053】本発明の光硬化性樹脂を用いて硬化物を形
成すると硬化部は、蛍光が消失する。しかし、光硬化性
樹脂に含有される光重合性樹脂の材質や硬化状態によっ
ては硬化部分と未硬化部分の境界がぼやけて観測される
場合がある。かかる場合にSITカメラ48で得られた
画像を画像処理装置60で処理する。本発明の装置で
は、SITカメラ48で得られた蛍光像を画像処理装置
60で微分等の処理を行う。この操作によって、硬化部
分と未硬化部分の境界を鮮明にすることができる。
【0054】(II)上記装置を用いた光硬化性樹脂の三
次元硬化物の形成方法 SITカメラ48で得られた画像を画像処理装置60で
処理する以外、実施例5の(II)と同様にして三次元硬
化物形成した。
【0055】実施例7 本発明の三次元光硬化物形成装置を図11で説明する。 (I)三次元光硬化物形成装置 本実施例の装置は、実施例6の図10で示される装置の
吸収フィルター46とSITカメラ47の間にダイクロ
イックミラー70を設け、更に該ダイクロイックミラー
で分けられた蛍光を測定する蛍光光度計71を設置した
ことを特徴とする。蛍光光度計71の出力(蛍光強度)
は、パーソナルコンピューター49に送られ硬化状態を
解析するために使用される。その他の構成は、前記実施
例6と同様である。
【0056】(II)上記装置を用いた光硬化性樹脂の三
次元硬化物の形成方法 本装置を用いた光硬化性樹脂の三次元構造物の形成方法
は、上記実施例6と同様であるが、特に、本装置では、
ダイクロイックミラー70で分けられた蛍光を蛍光光度
計71で測定し、その蛍光強度の減少率によって硬化状
態をパーソナルコンピューターで解析し、XYステージ
35の移動を制御する。
【0057】このように、本発明の装置は、蛍光性色素
の発した光を測定する蛍光光度計71を設けることによ
って、蛍光強度から硬化物の形成の進行状態を判断する
ことができる。また、前記の蛍光強度をパーソナルコン
ピューター47により解析し、本装置のXYステージを
制御することによってより精密な硬化物を形成すること
ができる。
【0058】実施例8 本実施例の装置及び光硬化性樹脂の硬化方法を図12を
参照して説明する。本実施例は、光硬化性樹脂を硬化す
るための光源と蛍光を観測するために蛍光性色素を励起
する光源とを同一の光源とした例である。
【0059】(I)三次元硬化物形成装置 図12は、光硬化性樹脂を用いた三次元光硬化物形成装
置図であり、槽33には本発明の光硬化性樹脂34が充
填されている。該槽33はXYステージ35上に置かれ
ており、2次元的に移動できるようになっている。XY
ステージに対して垂直に設けられたZ軸ステージ36の
上端には支持棒37が取り付けられており、支持棒の他
端にはベースプレート38が固定されている。ベースプ
レート38は、前記Zステージと支持棒37によって上
昇または下降が可能である。槽33の上部にはレンズ3
9、ダイクロイックミラー40が設置されている。光源
42は、光硬化性樹脂を硬化するための光源と蛍光を観
測するために蛍光性色素を励起する光源の両方の役割が
ある。該光源42は、光源からの光が、光シヤッター4
3、フィルターガラス80、ダイクロイックミラー4
0、及びレンズ39を介して、光硬化性樹脂34に照射
されるように配置される。レンズ39は、光源42から
の光を光硬化性樹脂34の表面部分に集光するためのも
のである。このレンズ39を操作することによって、光
硬化性樹脂に照射する光のスポット径を調節することが
できる。本願発明においては、光源として超高圧水銀灯
を最も好適に使用しうるが、これに限定されるものでは
ない。更に、本発明の装置では、ダイクロイックミラー
40の上部に吸収フィルター46を介して蛍光性色素の
蛍光を観測するためのSITカメラ47が設置されてい
る。光硬化性樹脂から発せられる蛍光は、レンズ39、
ダイクロイックミラー40及び吸収フィルター46を経
てSITカメラ47で受光される。該SITカメラ47
で受光した光は、モニター30に映し出され、VTR4
8に録画される。XYステージ35、及びZステージ3
6、及び光シヤッター37は、パーソナルコンピュータ
ー49によって制御される。
【0060】本発明に使用しうるフィルターガラス80
は、光硬化性樹脂が硬化する波長の光と、蛍光性色素を
励起する波長の光を選択的に透過するためのものであ
る。従って、光硬化性樹脂が硬化する波長の光と、蛍光
性色素を励起する波長の光とを共に、且つ選択的に透過
するものを用いる。例えば、紫外線で硬化する光硬化性
樹脂で、オクタデシルローダミンBを含んだものを硬化
する場合は、適切なフィルターガラスとして、300n
mから550nm付近の光を選択的に透過するホヤカラ
ーフィルターガラスB−410を用いる。
【0061】なお、蛍光像のみを観測する場合は、フィ
ルターガラス80を、蛍光性色素が励起される波長の光
を選択的に透過する励起フィルターに交換すればよい。 (II)上記装置を用いた光硬化性樹脂の三次元硬化物の
形成方法 本発明の上記装置を用いた光硬化性樹脂の三次元硬化物
の形成方法を説明する。
【0062】槽33に本発明の光硬化性樹脂を充填す
る。光源42からの光は、光シャッター43、フィルタ
ーガラス80、ダイクロイックミラー40及びレンズ3
9を通して、前記光硬化性樹脂槽33に照射される。光
源42からの光は、フィルターガラス80によって光硬
化性樹脂の硬化する波長の光と、該光硬化性樹脂に含有
される蛍光性色素を励起する波長の光に絞られる。XY
ステージ35の移動と光シヤッター43の開閉によって
図7に示す目的の三次元硬化物50の中心軸a−a’に
垂直な平面での断面形状に相当する光のパターンを照射
する。これにより、所定の厚みを持った硬化層51を形
成する。本発明の装置では、光硬化性樹脂の硬化する波
長の光と、該光硬化性樹脂に含有される蛍光性色素を励
起する波長の光が同時に照射されるため、この硬化層5
1の形成は、蛍光を測定しながら行うことができる。従
って、より正確に硬化層51の形成を行うことが可能で
ある。
【0063】この硬化で得られる硬化層51の厚みは1
μmから1mmとなるように選択することが好ましい。
次にZステージを新たに形成する硬化層の分だけ降下
し、同様の行程で、硬化層51の上部に接着するように
新たな硬化層を作成する。この操作を繰り返して硬化層
51を複数層積み重ねることにより所望の三次元硬化物
を形成することができる。
【0064】また、本発明の装置でも、スポット径より
も小さい三次元硬化物を得たい場合は、上記実施例3と
同様に、硬化が完全に終了する前に硬化物が所望の大き
さになった時点でXYステージ35を移動するように設
定すればよい。
【0065】また、本実施例は種々の変更若しくは修正
が可能である。例えば、本装置は、硬化性樹脂の液面の
上方から光を照射して、硬化する方法(自由液面法)で
あるが、光硬化性樹脂の容器の下方から光を照射して硬
化する方法(規制液面法)とすることもできる。
【0066】本発明の装置は、光硬化性樹脂の硬化と蛍
光性色素の励起を同一の光源で行うことができる。本発
明は、先に説明した(1)以外に、以下の(2)から
(15)に示す光硬化性樹脂、その硬化方法、及び該光
硬化性樹脂の硬化物を形成する装置に関する。
【0067】なお、従属関係を明らかにするため(1)
の発明を並記した。 (1) 光の照射によって重合することにより、溶剤に
不溶化するか、又は液体から固体に変化する光硬化性樹
脂であって、光重合性樹脂、光重合開始剤、及び蛍光性
色素を含有したことを特徴とする光硬化性樹脂。 (2) 前記蛍光性色素が重合する光の波長と異なる波
長の光によって励起され発光する蛍光性色素であること
を特徴とする上記(1)に記載の光硬化性樹脂。 (3) 前記蛍光性色素が、前記光硬化性樹脂の重合す
る光の波長よりも長波長の光によって励起され発行する
蛍光性色素であることを特徴とする上記(2)に記載の
光硬化性樹脂。 (4) 前記蛍光性色素の濃度が、蛍光性色素の濃度に
対して蛍光強度をプロットしたグラフのピーク値近傍の
濃度であることを特徴とする上記(1)ないし(3)に
記載の光硬化性樹脂。 (5) 前記光硬化性樹脂が、接着剤であることを特徴
とする上記(1)ないし (4)に記載の光硬化性樹脂。 (6) 前記光重合性樹脂が、ラジカル重合型の不飽和
ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、及びエン・チオ
ール系樹脂からなる群から選択されることを特徴とする
上記(1)ないし(5)に記載の光硬化性樹脂。 (7) 前記蛍光性色素が、キサンテン骨格を有する蛍
光性色素であることを特徴とする上記(1)ないし
(6)に記載の光硬化性樹脂。 (8) 上記(2)ないし(7)に記載の光硬化性樹脂
を硬化させるための方法であって、該光硬化性樹脂に、
該光硬化性樹脂が重合する波長の光を照射して該硬化性
樹脂を硬化させる段階と、前記段階と同時か又はその後
に、蛍光性色素が励起される波長の光を照射し、蛍光像
を観測する段階とを具備したことを特徴とする硬化方
法。 (9) 上記(2)ないし(7)に記載の光硬化性樹脂
を使用した硬化物を製造するための装置であって、該光
硬化性樹脂に、該光硬化性樹脂が重合する波長の光を照
射して該硬化性樹脂を硬化させる手段と、前記光照射と
同時か又はその後に、蛍光性色素が励起される波長の光
を照射する励起された手段と、該蛍光性色素の発行する
光を観察する光学系とを具備することを特徴とする装
置。 (10) 上記(2)ないし(7)に記載の光硬化性樹
脂に光のパターンを照射して該パターン形状の光硬化層
を形成する光硬化物形成装置において、前記光硬化性樹
脂が重合する波長の光を照射して該光硬化性樹脂を硬化
する手段と、前記光照射と同時又はその後に、前記蛍光
性色素が励起される波長の光を照射する手段と、該励起
された前記蛍光性色素の発する光を観察する光学系とを
具備することを特徴とする光造形装置。 (11) 上記(2)ないし(7)に記載の光硬化性樹
脂に光のパターンを照射して該パターン形状の光硬化層
を形成し、該光硬化層を複数層積み重ねて三次元硬化物
を形成する三次元光硬化物形成装置において、該光硬化
性樹脂が重合する波長の光を照射して該光硬化性樹脂を
硬化する手段と、前記硬化手段の段階と同時か又はその
後に、蛍光性色素が励起される波長の光を照射する手段
と、該励起された蛍光性色素の発する光を観察する光学
系とを具備することを特徴とする光硬化物形成装置。 (12) 上記(9)ないし(11)に記載の、光硬化
性樹脂を用いる硬化物の製造装置において、蛍光性色素
の発した蛍光を受光するカメラと、前記カメラによって
受光した光の画像を画像処理する装置とを更に具備する
ことを特徴とする光硬化性樹脂を用いる硬化物の製造装
置。 (13) 上記(9)ないし(12)に記載の、光硬化
性樹脂を用いる硬化物の製造装置において、蛍光性色素
の発した蛍光を測定する蛍光光度計を更に具備すること
を特徴とする光硬化性樹脂を用いる硬化物の製造装置。 (14) 上記(13)に記載の、光硬化性樹脂を用い
る硬化物の製造装置において、蛍光性色素の蛍光強度の
減少率によって、光硬化性樹脂の硬化状態を判断し、パ
ーソナルコンピューターによってフィードバックさせる
ことを特徴とする光硬化性樹脂を用いる硬化物の製造装
置。 (15) 上記(9)ないし(13)に記載の、光硬化
性樹脂を用いた硬化物の製造装置において、光硬化性樹
脂を硬化させるための光源と、蛍光性色素を励起する光
源とを同一の光源とし、該光源から発せられる光の波長
域が、光硬化性樹脂の重合する波長域と、蛍光性色素を
励起する波長域の両方を有することを特徴とする光硬化
性樹脂を用いる硬化物の製造装置。
【0068】以下に上記(2)から(15)の発明につ
いて説明する。まず、(2)及び(3)の発明について
説明する。(2)及び(3)では上記(1)で説明した
本願発明の光硬化性樹脂をそのまま使用することができ
る。即ち、本発明(2)及び(3)の光硬化性樹脂には
光重合性樹脂、光開始剤、蛍光性色素、及び必要に応じ
て二官能性モノマーが含有される。但し、(2)及び
(3)の光硬化性樹脂では、光重合性樹脂を重合させる
光の波長と、蛍光性色素を励起する波長とを異なるよう
にするため蛍光性色素を適切に選択する必要がある。例
えば、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートを光重合
性樹脂に使用し、光開始剤にベンゾフェノンを使用した
場合、蛍光性色素はオクタデシルローダミンB(525
nm)を用いることが好ましい。
【0069】特に(3)に示される発明では、蛍光性色
素の励起波長を光重合性樹脂を重合するための光の波長
より長波長、特に可視光とすることが好ましい。これ
は、本発明の光硬化性樹脂のほとんどが紫外光で硬化す
るものであるため、蛍光性色素の消光状態を観察するに
は光硬化性樹脂の硬化しない紫外領域以外の光で蛍光を
観測することが好ましいためである。このような条件に
適した光硬化性樹脂は、例えば光重合性樹脂としてN,
N−ジメイルアミノエチルアクリレート、光開始剤とし
てベンゾフェノン、蛍光性色素としてオクタデシルロー
ダミンB(525nm)を用いたものがある。
【0070】この光硬化性樹脂は、超高圧水銀灯のよう
な光源を使用して硬化される。 (作用)本発明の光硬化性樹脂には光重合性樹脂、光開
始剤、蛍光性色素、及び必要に応じて二官能性モノマー
が含有される。本発明においては該光硬化性樹脂が重合
する光の波長域と異なる励起波長域を有する蛍光性色素
を含有するようにする。このような各成分を混合し、光
硬化性樹脂を調製する。得られた光硬化性樹脂は、超高
圧水銀灯等で光照射することにより硬化する。得られた
硬化物に蛍光性色素を励起する光を照射することによ
り、蛍光像を測定する。本発明の光硬化性樹脂では、硬
化物を評価するための蛍光性色素の消光状態を観測する
ときに、前記光硬化性樹脂が更に硬化することなく、蛍
光像が観測できる。
【0071】(2)及び(3)の実施例としては、光硬
化性樹脂が重合する光の波長域と異なる励起波長域を有
する蛍光性色素を含有するようにした上記の実施例1及
び2を挙げることができる。
【0072】(効果)本発明では、光硬化性樹脂の硬化
部と未硬化部をより容易に判別できる。更に本発明で
は、光硬化性樹脂に、光硬化性樹脂が重合する光の波長
域と異なる励起波長域を有する蛍光性色素を含有するこ
とにより、硬化物を評価するための蛍光像を観察する
際、前記硬化性樹脂が更に硬化しない。従って、光硬化
性樹脂の硬化状態の評価をより正確に行うことができ
る。
【0073】また、本発明は、接着剤の硬化状態も容易
に評価することが可能である。次に(4)の発明につい
て説明する。本発明では、光硬化性樹脂に含有される蛍
光性色素の濃度を調節する。従って、本発明で使用しう
る光重合性樹脂、光開始剤、蛍光性樹脂、二官能性モノ
マーは、先に説明したものをそのまま使用しうる。
【0074】本発明では、樹脂成分中の蛍光性色素の濃
度に対して蛍光強度をプロットすると、図4に示すよう
なグラフが得られる。ここでピーク値の濃度をCp 、蛍
光が消光する濃度をC0 とした。本発明では、光硬化性
樹脂に含有される蛍光性色素の濃度をピーク値(Cp )
の近傍の濃度にする。
【0075】ここで、ピーク値近傍の濃度は下式によっ
て表わされる範囲の濃度である。 ピーク値近傍の濃度=Cp −(Cp /n )〜Cp +
((Cp −C0 )/n) 但し、Cp はピーク値の濃度、C0 は蛍光が消光する濃
度であり、n は約1.5から2の値である。
【0076】(作用)本発明の光硬化性樹脂には光重合
性樹脂、光開始剤、蛍光性色素、及び必要に応じて二官
能性モノマーが含有される。本発明においては、該蛍光
性色素を図4に示されるグラフのピーク値近傍の濃度に
なるように調節する。このような各成分を混合し、光硬
化性樹脂を調製する。得られた光硬化性樹脂は、超高圧
水銀灯等で光照射することにより硬化する。得られた硬
化物に蛍光性色素を励起する光を照射することにより、
蛍光像を測定する。このようにして未硬化部分で観測さ
れる蛍光の強度と、硬化部分で観測される消光又は減光
された蛍光とのコントラストを増大することができる。
【0077】本発明の実施例は、光硬化性樹脂に含有さ
れる蛍光性色素の濃度をピーク値(Cp )近傍の濃度と
した以外、上記実施例1及び2と同様である。 (効果)光硬化性樹脂に含有される蛍光性色素の濃度を
ピーク値(Cp )近傍の濃度としたことにより、未硬化
部分で観測される蛍光の強度と、硬化部分で観測される
消光又は減光された蛍光とのコントラストが増大され、
硬化部と未硬化部をより容易に判別することができ、硬
化物の評価がより容易になる。
【0078】次に(5)の発明について説明する。
(5)の発明は、接着剤として使用しうる光硬化性樹脂
である。本発明の光硬化性樹脂も上記と同様、光重合性
樹脂、光開始剤、蛍光性樹脂、及び必要に応じて二官能
性モノマーを含有する。本発明で使用しうる光重合性樹
脂は、接着剤として使用しうるものであれば特に限定さ
れないが、張合せる材質によりポリアクリレート、ウレ
タンアクリレート、エポキシアクリレート等を使用する
ことができる。また、本発明では、これらの樹脂を適宜
混合して使用することもできる。
【0079】本発明の他の成分は、先に発明(1)で説
明したものをそのまま使用しうる。また、蛍光性色素は
上記発明(1)で説明したように、種々の波長で励起さ
れるものを使用しうる。
【0080】(作用)本発明の光硬化性樹脂には、接着
剤として使用しうる光重合性樹脂、光開始剤、蛍光性色
素、及び必要に応じて二官能性モノマーが含有される。
前記各成分を混合し、光硬化性樹脂を調製する。得られ
た光硬化性樹脂は、超高圧水銀灯等で光照射することに
より硬化する。得られた硬化物に蛍光性色素を励起する
光を照射することにより、蛍光像を測定する。得られた
蛍光像の消光状態から、接着剤の硬化を評価する。
【0081】本発明の実施例としては、上記(1)の実
施例2がある。 (効果)接着剤として使用しうる本発明の光硬化性樹脂
は、光照射された部分の蛍光が減光又は消光するため、
接着部分の蛍光像を測定することにより接着剤が硬化し
ているか否かを容易に判断することができる。
【0082】次に(6)の発明について説明する。本発
明(6)では、上記(1)から(5)に示した光硬化性
樹脂中の、光重合性樹脂としてラジカル重合型の光重合
性樹脂を使用する。更に、本発明の光硬化性樹脂には、
他の成分として光開始剤、蛍光性色素、及び必要に応じ
て二官能性モノマーが含有される。
【0083】本発明で使用しうるラジカル重合型の光重
合樹脂には、不飽和ポリエステル系、アクリル系、エン
・チオール系のものを挙げることができる。具体的に
は、先の(1)の発明で、例として挙げたものと同じも
のである。また、本発明では、開始剤として光ラジカル
開始剤を使用する。このラジカル開始剤には、先に
(1)で示したものがあるが、これらのうちアクリル系
が好ましく、アクリレートが特に好ましい。
【0084】ラジカル重合型の光重合性樹脂を含有する
光硬化性樹脂は、硬化の際の収縮率が大きくなるため硬
化部と未硬化部のコントラストを増大させることができ
る。 (作用)ラジカル重合型の光重合性樹脂、光開始剤、蛍
光性色素、及び必要に応じて二官能性モノマーを混合
し、光硬化性樹脂を調製する。得られた光硬化性樹脂
は、超高圧水銀灯等で光照射することにより硬化され
る。得られた硬化物に蛍光性色素を励起する光を照射す
ることにより、蛍光像を測定する。得られた蛍光像の消
光状態から、光硬化性樹脂の硬化を評価する。
【0085】本発明の実施例としては、光硬化性樹脂に
ラジカル重合型光重合性樹脂を使用した以外、上記実施
例1及び2と同様のものを挙げることができる。 (効果)光重合性樹脂にラジカル重合型の光重合性樹脂
を使用することにより、硬化の際の樹脂の収縮率が大き
くなり、硬化部と未硬化部のコントラストが増大する。
これにより、硬化部と未硬化部の判別が容易になるとと
もに、硬化物の評価がより正確になる。
【0086】次に、(7)の発明を説明する。本発明
(7)では、光硬化性樹脂中に、蛍光性色素としてキサ
ンテン骨格を有するものを含有する。更に、他の成分と
して光重合性樹脂、光開始剤、及び必要に応じて二官能
性モノマーが含有される。
【0087】本発明で使用しうるキサンテン骨格を有す
る蛍光性色素は、先の発明(1)で説明したものと同様
である。本発明においては、これらのうちローダミンが
好ましく、オクタデシルローダミンBが特に好ましい。
【0088】キサンテン骨格を有する蛍光性色素は、光
硬化性樹脂を硬化させるための光の波長と異なる波長、
特に可視光で励起される。一般の光硬化性樹脂は、紫外
光で硬化するものがほとんどであるので、光硬化性樹脂
の光かが更に進むことなく、光硬化性樹脂の硬化状態を
評価することができる。
【0089】(作用)光重合性樹脂、光開始剤、キサン
テン骨格を有する蛍光性色素、及び必要に応じて二官能
性モノマーを混合し、光硬化性樹脂を調製する。得られ
た光硬化性樹脂は、超高圧水銀灯等で光照射することに
より硬化される。得られた硬化物に蛍光性色素を励起す
る光(本発明の場合は可視光)を照射することにより、
蛍光像を測定する。得られた蛍光像の消光状態から、光
硬化性樹脂の硬化を評価する。
【0090】本発明の実施例は、蛍光性色素にキサンテ
ン骨格を有するものを使用した以外、上記(1)の実施
例1及び2と同様である。 (効果)蛍光性色素にキサンテン骨格を有するものを使
用することにより、蛍光性色素が励起され発光する光の
波長が可視領域となる。従って、硬化物を評価するため
の蛍光像を観察する際、前記硬化性樹脂が更に硬化する
ことがない。従って、光硬化性樹脂の硬化状態の評価を
より正確に行うことができる。これにより、硬化部と未
硬化部の判別が容易になるとともに、硬化物の評価がよ
り正確になる。次に、(8)の発明について説明する。
【0091】本発明は、上記(1)から(7)に記載さ
れた光硬化性樹脂の硬化方法に関する。本発明は、光重
合性樹脂、光開始剤、蛍光性色素、及び必要に応じて二
官能性モノマーを含有する光硬化性樹脂を用いて光硬化
物を形成するための方法であって、該光硬化性樹脂が重
合する波長の光を照射して該光硬化性樹脂を硬化させる
段階と、前記段階と同時か、又はその後に蛍光性色素が
励起される波長の光を照射し、該蛍光性色素から発せら
れる蛍光を観測する段階とを具備する。
【0092】本発明(8)で使用される光硬化性樹脂
は、先の(1)から(7)に示した何れのものも使用し
うる。本発明の第一の段階は、光硬化性樹脂が硬化する
光の波長を照射することによって行う。光照射の光源
は、使用する光硬化性樹脂の成分によって適宜選択す
る。例えば、ラジカル重合型の光重合樹脂を使用し、ベ
ンゾフェノン等の光開始剤を使用する場合は、超高圧水
銀灯、アルゴンガスレーザー等を用いることができる。
この光照射によって光重合性樹脂が重合し、光硬化性樹
脂の硬化物が得られる。
【0093】第二の段階は、前記段階と同時か、又はそ
の後に蛍光性色素が励起される波長の光を照射し、該蛍
光性色素から発せられる蛍光を観測するものである。蛍
光を測定するための光源は、蛍光性色素が励起される波
長のを有するものであれば特に限定されないが、超高圧
水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いるこ
とができる。
【0094】本発明において、特に蛍光性色素のみを励
起したい場合は、前記光源は、蛍光性色素のみを励起す
る光を取り出せるようにしておくことが必要である。こ
のような波長の光を取り出すためには、例えば、超高圧
水銀灯を用いた場合には、G励起用フィルター等を用い
ることができる。ここでG励起用フィルターとは、励起
フィルター、ダイクロイックミラー及び吸収フィルター
から成るものである。例えば、励起フィルターにEY4
75及びBP545を組み合わせて用い、吸収フィルタ
ーにO570を用いれば、励起光として、475から5
45nmの波長域の光を選択的に取り出すことができ
る。このような光は、例えばオクタデシルローダミンB
のような蛍光性色素を励起することができる。上記のよ
うな蛍光を測定するための装置としては、例えば、オリ
ンパス光学工業製落射蛍光装置がある。本発明において
は、光硬化性樹脂の硬化段階と、蛍光の測定を1つの装
置で行うことができる。
【0095】(作用)光重合性樹脂に、重合開始剤、蛍
光性色素、及び必要に応じて二官能性モノマーを含有さ
せた光硬化性樹脂を調製する。該光硬化性樹脂を基板上
に塗布し、光源を用いて紫外光を照射し、樹脂を硬化さ
せる。引き続き、得られた光照射物に、蛍光を観測しう
る波長の光を照射し、蛍光を観察する。光硬化した部分
は、蛍光が減光しているか、あるいは消光しているた
め、容易に光硬化した部分と未硬化の部分を厳密に区別
することが可能となる。
【0096】本発明(8)の硬化方法は、後述する
(9)から(15)の本発明の硬化物形成装置によって
実施することができ、その硬化方法は、各装置の説明で
示す硬化方法と同様である。
【0097】本発明においては、光硬化性樹脂の硬化と
蛍光性色素の励起を同時に行ってもよく、また別々に行
ってもよい。 (効果)上記(1)から(7)の発明の光硬化性樹脂を
用いて光硬化物を形成する方法において、該硬化性樹脂
が重合する波長の光を照射して該光硬化性樹脂を硬化す
る段階と、前記段階と同時か又はその後に、蛍光性色素
が励起される波長の光を照射する段階とを有し、該蛍光
性色素の発光する光を観察する。本方法では、該光硬化
性樹脂を硬化する段階と、蛍光性色素が励起される波長
の光を同時又は交互に照射し、蛍光性色素の発光する光
を観測することによって、硬化部と未硬化部を蛍光のコ
ントラストとして判別することができる。このように、
本発明の方法は効果物の形成と評価を同時に行うことが
できる顕著な効果を有する。
【0098】次に、上記発明(1)から(7)の光硬化
性樹脂を使用した硬化物を製造するための装置について
説明する。まず、発明(9)について説明する。
【0099】発明(9)は、光重合性樹脂、光開始剤、
蛍光性色素、及び必要に応じて二官能性モノマーを含有
した光硬化性樹脂に、該光硬化性樹脂が重合する波長の
光を照射して該光硬化性樹脂を硬化する手段と、前記硬
化手段の段階と同時か又はその後に、蛍光性色素が励起
され発光する波長の光を照射する手段と、該蛍光性色素
の発する光を観察する光学系とを具備する光造形装置で
ある。
【0100】本発明に対応する実施例には、上記実施例
3から8がある。 (作用)本発明の装置は、光硬化性樹脂が重合する波長
の光を照射して該光硬化性樹脂を硬化する手段と、蛍光
性色素が励起され発光する波長の光を照射する手段とを
設置し、光硬化性樹脂の硬化及びその硬化状態の観察と
評価を1行程で行うことができる装置である。
【0101】(効果)本発明の装置では、光硬化性樹脂
を硬化させる場合に、該光硬化性樹脂の硬化と、硬化状
態の評価を1行程で行うことができる。
【0102】次に発明(10)について説明する。発明
(10)は、光重合性樹脂、光開始剤、蛍光性色素、及
び必要に応じて二官能性モノマーを含有した光硬化性樹
脂に、光のパターンを照射して、該光硬化性樹脂を硬化
する手段と、前記硬化手段の段階と同時か又はその後
に、蛍光性色素が励起される波長の光を照射する手段
と、該蛍光性色素の発する光を観察する光学系とを具備
する光硬化物形成装置である。
【0103】本発明の実施例としては、上記実施例3か
ら8がある。 (作用)本発明の装置は、本発明の光硬化性樹脂が重合
する波長の光のパターンをを照射して該光硬化性樹脂を
硬化する手段と、蛍光性色素が励起され発光する波長の
光を照射する手段とを設置し、光硬化性樹脂の硬化及び
その硬化状態の観察と評価を1行程で行うことができる
装置である。これにより、光のパターンの形状の硬化物
を得ることができる。
【0104】(効果)本発明の装置では、光硬化性樹脂
を硬化させる場合に、該光硬化性樹脂の硬化と、硬化状
態の評価を1行程で行うことができる。
【0105】次に発明(11)について説明する。発明
(11)は、光重合性樹脂、光開始剤、蛍光性色素、及
び必要に応じて二官能性モノマーを含有した光硬化性樹
脂に光のパターンを照射して該パターン形状の光硬化層
を形成し、該光硬化層を複数層積み重ねて三次元硬化物
を形成する三次元光硬化物形成装置であって、該光硬化
性樹脂が重合する波長の光を照射して該光硬化性樹脂を
硬化する手段と、前記硬化手段の段階と同時か又はその
後に、蛍光性色素が励起される波長の光を照射する手段
と、該蛍光性色素の発する光を観察する光学系とを具備
することを特徴とする光硬化物形成装置である。
【0106】本発明の実施例は上記実施例4から8が該
当する。 (作用)本発明の装置は、本発明の光硬化性樹脂が重合
する波長の光のパターンを照射して該パターン形状の光
硬化物層を形成し、これを複数積層することによって三
次元硬化物を形成する。該光硬化物層を形成する段階
で、蛍光性色素が励起される波長の光を照射することに
より、光硬化性樹脂の硬化及びその硬化状態の観察をす
ることができる。本装置は、光硬化性樹脂の硬化及びそ
の硬化状態の観察と評価を1行程で行うことができる装
置である。これにより、光のパターンの形状の硬化物を
得ることができる。
【0107】(効果)本発明の装置では、光硬化性樹脂
を硬化させる場合に、該光硬化性樹脂の硬化と、硬化状
態の評価を1行程で行うことができる。
【0108】本発明の装置では、光硬化法によって硬化
物を形成しながら硬化状態の評価が行えるので、より精
度の高い構造体を形成することができる。次に発明(1
2)について説明する。
【0109】発明(12)は、上記(9)ないし(1
1)に記載の、光硬化性樹脂を用いる硬化物の製造装置
であって、蛍光性色素の発した蛍光を受光するカメラ
と、前記カメラによって受光した光の画像を画像処理す
る装置とを更に具備することを特徴とする光硬化性樹脂
を用いる硬化物の製造装置である。
【0110】本装置は、光硬化性樹脂の硬化及びその硬
化状態の観察と評価を1行程で行うことができる装置で
ある。本発明に対応する実施例としては、上記実施例6
及び7がある。
【0111】(作用)本発明は、上記(9)から(1
1)の装置に画像処理装置を設けたことを特徴とする。
該画像処理装置は、蛍光を受光するカメラからの画像を
画像処理するものである。本発明の光硬化性樹脂を使用
して硬化物を形成すると、硬化部は蛍光が消失するもの
の、使用した光重合性樹脂の材質や硬化状態によって硬
化部と未硬化部の境界がぼやけることがある。本発明の
装置では、前記画像処理装置を用いて蛍光像に対して微
分等の処理を行い、境界を鮮明にする。
【0112】本装置は、光硬化性樹脂の硬化及びその硬
化状態の観察と評価を1行程で行うことができる装置で
ある。 (効果)画像処理装置を設けたことにより、硬化部分と
未硬化部分の境界を鮮明にすることができ、硬化物の評
価をより正確に行うことができる。
【0113】次に、発明(13)について説明する。発
明(13)は、上記(9)ないし(12)に記載の、光
硬化性樹脂を用いる硬化物の製造装置において、蛍光性
色素の発した蛍光を測定する蛍光光度計を更に具備する
ことを特徴とする製造装置である。
【0114】この発明に対応する実施例には、上記実施
例7が該当する。 (作用)本発明の蛍光性樹脂が硬化すると蛍光が消光す
ることになるため、観測される蛍光の蛍光強度が減少す
ることになる。本装置は、蛍光光度計を設置することに
よって、蛍光性色素の蛍光強度を測定するため比較的弱
い蛍光でも検出することが可能になる。
【0115】本装置は、光硬化性樹脂の硬化及びその硬
化状態の観察と評価を1行程で行うことができる装置で
ある。 (効果)蛍光光度計を設けることによって、比較的弱い
蛍光強度の測定が可能になり、該蛍光強度から硬化物の
形成の進行状態を正確に判断することができる。
【0116】次に、発明(14)について説明する。発
明(14)は上記(13)に記載の光硬化性樹脂を用い
る硬化物の製造装置において、蛍光性色素の蛍光強度の
減少率によって、光硬化性樹脂の硬化状態を判断し、パ
ーソナルコンピューターによってフィードバックさせる
ことを特徴とする光硬化性樹脂を用いる硬化物の製造装
置である。
【0117】本発明に対応する実施例は上記実施例7で
ある。 (作用)上記(13)の蛍光光度計で得られた蛍光強度
の減少率から光硬化性樹脂の硬化状態を判断し、本発明
の装置の制御に反映させることができる。即ち、光硬化
性樹脂の硬化状態を判断し、所望の状態まで硬化した後
に、次の硬化行程に移るように制御することができる。
【0118】本装置は、光硬化性樹脂の硬化及びその硬
化状態の観察と評価を1行程で行うことができる装置で
ある。 (効果)上記(13)の蛍光光度計で得られた蛍光強度
をパーソナルコンピューターにより解析し、本装置の制
御に反映させることにより精密な硬化物を形成すること
ができる。
【0119】次に発明(15)について説明する。発明
(15)は、上記(9)ないし(13)に記載の光硬化
性樹脂を用いた硬化物の製造装置であって、光硬化性樹
脂を硬化させるための光源と、蛍光性色素を励起する光
源とを同一の光源とし、該光源から発せられる光の波長
域が、光硬化性樹脂の重合する波長域と、蛍光性色素を
励起する波長域の両方を有することを特徴とする硬化物
の製造装置である。
【0120】本発明に対応する実施例は、上記実施例8
である。 (作用)本発明の装置では、光硬化性樹脂を硬化させる
ための光と、蛍光性色素を励起する光との両方の光を発
する光源を用いることにより、光硬化性樹脂の硬化と蛍
光性色素の励起を同一の光源で行う。
【0121】従って、本装置は、光硬化性樹脂の硬化及
びその硬化状態の観察と評価を1行程で行うことができ
る装置である。 (効果)本発明の装置は、光硬化性樹脂の硬化と蛍光性
色素の励起を同一の光源で行うことができので、装置の
構成を簡単にすることができる。
【0122】
【発明の効果】本発明の蛍光性色素を含有した光硬化性
樹脂は、光照射によって硬化し、蛍光を測定すると、硬
化部分の蛍光が選択的に減光あるいは消光する。これに
よって硬化部分と未硬化部分とを明確に区別することが
でき、硬化物の評価を容易に行うことができる。
【0123】また、接着剤として本発明の光硬化性樹脂
を使用した場合も、光照射によって硬化した部分の蛍光
が消光するためその蛍光像を観測することによって、接
着剤としての光硬化性樹脂の硬化状態を判断することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の光硬化性樹脂を基板に塗布
し、マスクをかけて光照射する行程を示した断面図であ
る。
【図2】 図2は、基板上に塗布された本発明の光硬化
性樹脂をマスクをかけて硬化した直後の基板と光硬化性
樹脂の断面図である。
【図3】 図3は、蛍光性色素を励起し、蛍光を発した
ときの状態を表わした基板と本発明の光硬化性樹脂の断
面図である。
【図4】 図4は、本発明の光硬化性樹脂に含まれる蛍
光性色素の濃度に対して蛍光強度をプロットした図であ
る。
【図5】 図5は、本発明の光硬化性樹脂を接着剤とし
てガラス基板を接着した場合のガラス基板と本発明の光
硬化性樹脂の断面図である。
【図6】 図6は、光本発明の硬化樹脂を用いた硬化物
の形成装置である。
【図7】 図7は、本発明の光硬化性樹脂を用いて形成
された三次元光硬化物の一例である。
【図8】 図8は、本発明の光硬化性樹脂を用いて三次
元光硬化物を形成するための三次元光硬化物形成装置の
一例である。
【図9】 図9は、本発明の光硬化性樹脂を用いて三次
元光硬化物を形成するための三次元光硬化物形成装置の
一例である。
【図10】 図10は、本発明の光硬化性樹脂を用いて
三次元光硬化物を形成するための三次元光硬化物形成装
置の一例である。
【図11】 図11は、本発明の光硬化性樹脂を用いて
三次元光硬化物を形成するための三次元光硬化物形成装
置の一例である。
【図12】 図12は、本発明の光硬化性樹脂を用いて
三次元光硬化物を形成するための三次元硬化物形成装置
の一例である。
【符号の説明】
1、10、34…本発明の光硬化性樹脂;2、11…ガ
ラス基板;3…マスク;4、22、23、24、25、
42、44…光源;5…硬化部分;6…未硬化部分;1
1、12…ガラス板;20、21…基板;26、45…
励起フィルター;27、40、41、70…ダイクロイ
ックミラー;28、43…吸収フィルター;29、47
…SITカメラ;30…モニター;31…ベルトコンベ
アー;32…モーター;33…容器;35…XYステー
ジ;36…Zステージ;37…支持棒;38…ベースプ
レート;39…レンズ;48…VTR;49…パーソナ
ルコンピューター;50…三次元光硬化物;51…硬化
層;52…アルゴンガスレーザー;60…画像処理装
置;71…蛍光光度計;80…フィルターガラス

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の照射によって重合することにより、
    溶剤に不溶化するか、又は液体から固体に変化する光硬
    化性樹脂であって、光重合性樹脂、光重合開始剤、及び
    蛍光性色素を含有したことを特徴とする光硬化性樹脂。
JP5840394A 1994-03-29 1994-03-29 蛍光性色素を含有した光硬化性樹脂、これらの硬化方法、及びこれらの硬化物の製造装置 Withdrawn JPH07268010A (ja)

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