JPH072679A - 腫瘍免疫治療剤 - Google Patents

腫瘍免疫治療剤

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JPH072679A
JPH072679A JP13935693A JP13935693A JPH072679A JP H072679 A JPH072679 A JP H072679A JP 13935693 A JP13935693 A JP 13935693A JP 13935693 A JP13935693 A JP 13935693A JP H072679 A JPH072679 A JP H072679A
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政 好 弘 重
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三 郎 南
Mitsuru Tokura
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体自身の免疫作用を増強させることによ
り、遠隔転移を阻止し、腫瘍組織を周囲の健常組織から
分離、明確化させて、外科的手術によって腫瘍を切除し
易くするための腫瘍免疫治療剤を提供する。 【構成】 末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を
有する分子量1,500〜10,000のキトサンオリ
ゴマーを有効成分として含有することを特徴とする腫瘍
免疫治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キトサンオリゴマーを
局部注射し、生体自身の免疫作用を活性化して、腫瘍組
織を周囲の健常組織から分離、明確化させ、外科的手術
によって腫瘍を完全に切除し、腫瘍細胞の転移、増殖を
し難くするための腫瘍免疫治療剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ペット動物等の腫瘍や肉腫等の腫
瘍の発生による死亡が、生体の死亡原因の中の多くの部
分を占めており、その治療法については種々の研究がな
されている。しかしながら、このような腫瘍の発生の原
因はウイルス等により発生する原因のはっきりしたもの
もあるが、その発生原因について未だ明確に解明される
までに至ってはいない。しかし、腫瘍の発生は、生体内
の器官の組織の一部分である細胞に、機械的刺激、化学
物質等の化学的刺激、X線等の物理的刺激、ウイルスの
感染等の外因性の刺激、或いは、素因、遺伝、ホルモン
異常等の内因性の刺激が与えられることによって正常細
胞より腫瘍細胞に変化するものと考えられている。この
ような腫瘍には病理学的に良性なものと、悪性なものと
があるが、悪性な腫瘍及び肉腫においては生命に係わる
ため特に問題となる。このような悪性の腫瘍細胞の出現
に対しては、その初期には生体内の免疫作用によってあ
る程度の阻止を行なうことができるようであるが、増殖
が進につれ免疫作用が低下し、更に腫瘍細胞の増殖が活
発化して、その器官の正常な機能を営み難くして、機能
の低下を起こさせたり、益々この腫瘍細胞が正常細胞を
破壊しながら増殖して巨大化する。更に、この腫瘍細胞
は血管系或いはリンパ管系を利用して生体内の他の部位
にまで遠隔転移して増植する。そして、最終的には重要
な生命維持器官までをも冒して生体を死にまで追いやっ
てしまう。一方、本発明者等は先に「キチン誘導体によ
る菌体の増殖抑制効果」について、第5回キチン・キト
サンシンポジウム(佐賀)発表要旨集 A03 第12
〜13頁 1991年7月に発表した。しかし、これら
の抑制効果はいずれも細菌に対するものであり、しか
も、生体内での免疫による作用効果については何等の確
認もされていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような腫瘍の治療
方法としては、早期発見による早期切除を行なうことが
最も優れた治療法ではあるが、実際上、早期に発見する
ことができる腫瘍は極めて限られた症例のみであり、現
状の、ほとんどの例ではかなり腫瘍が発育した段階で発
見され、それから治療が施されている。従って、その治
療法には、現在のところ、外科的療法と、抗癌剤剤を使
用する化学療法、放射線療法、免疫療法とを組み合わせ
る治療法等が試みられている。しかしながら、これらの
治療法を組み合わせてみても、再発、転移の予測をする
ことは不可能である。また、現在開発されている抗癌剤
は、生体の正常な増殖機能までをも阻害する物質である
ことから、その物質自体の激しい副作用によって、逆に
生体内の防御能力をも破壊してしまうので、結果とし
て、腫瘍の転移を促進させる危険性を十分に孕んでい
る。このような腫瘍の完全な治療法を確立することは人
類の夢であり、様々な方面から開発が試みられている
が、決定的な治療法については現在のところ未だ見出だ
されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意
研究を重ねた結果、特定な構造の化合物が、生体内の免
疫作用を増強させることにより、腫瘍組織を周囲の健常
組織から分離、明確化させることができるようになり、
このように分離した腫瘍部分のみを健常組織を切除する
ことなく、手術により切除することによって治療するこ
とができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った
ものである。すなわち、本発明の腫瘍免疫治療剤は、末
端に2,5−アンヒドロマンニトール基を有する分子量
1,500〜10,000のキトサンオリゴマーを有効
成分として含有することを特徴とするものである。
【0005】[発明の具体的説明] [I] 腫瘍免疫治療剤 (1) 化学構造 本発明の腫瘍免疫治療剤において有効成分として用いら
れる、末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を有す
る分子量1,500〜10,000(7糖〜61糖)、
好ましくは3,000〜8,000(15糖〜48
糖)、特に好ましくは4,500〜6,000(23糖
〜36糖)のキトサンオリゴマーとしては、一端に構造
式が、
【0006】
【化2】
【0007】の2,5‐アンヒドロマンニトール基を有
しており、他端の構造式が、
【0008】
【化3】
【0009】を示すものであり、これら両端が、
【0010】
【化4】
【0011】で表わされる構造式の単位の鎖を、6〜6
0個、好ましくは14〜47個、特に好ましくは22〜
35個結合したものであり、その鎖の一部に
【0012】
【化5】
【0013】で表わされる構造式の単位を50%以下の
範囲で含むことがある末端に2,5‐アンヒドロマンニ
トール基を有するキトサンオリゴマーである。
【0014】具体的には、以下に示す構造式で表わされ
るものである。
【0015】
【化6】
【0016】(式中のm+nは0〜60、好ましくは1
4〜48であり、特に好ましくは22〜36であり、n
はmの50%以下の数である。) また、これら末端に2,5‐アンヒドロマンニトール基
を有するキトサンオリゴマー中のN−アセチルアミノ基
/アミノ基との比率が50/50〜10/90であるこ
とが好ましい。
【0017】(2) 物理・化学的性状 このような末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を
有する分子量1,500〜10,000のキトサンオリ
ゴマーは、比較的低分子量であり、末端に2,5−アン
ヒドロマンニトール基を有していることから安定なた
め、水に溶解して使用することができる。また、水溶性
であるということは、任意の量を容易に患部へ注入し、
局部的にも免疫能を上昇させることができるものと考え
られる。従って、本発明のキトサンオリゴマーにおいて
は分子量が上記範囲内であることが重要である。分子量
が上記範囲未満であると移動性に富み過ぎて本発明の効
果を十分に発揮することができないおそれがある。更
に、分子量が上記範囲を超えると水溶性が低下して本発
明の効果を発揮することができない。
【0018】(3) 末端に2,5−アンヒドロマンニト
ール基を有するキトサンオリゴマーの製造 (a) 原 料 本発明の腫瘍免疫治療剤に有効成分として含有されるキ
トサンオリゴマーを製造するために用いられる原料とし
ては、一般式
【0019】
【化7】
【0020】で表わされる末端に2,5−アンヒドロマ
ンノース基を有する分子量1,500〜10,000の
キトサンオリゴマーを含有しているものである。この末
端に2,5−アンヒドロマンノース基を有する分子量
1,500〜10,000のキトサンオリゴマーは末端
に反応性の高いアルデヒド基を有していることから、反
応性に富んでおり、着色や再結合し易いとの欠点を有し
ているので、これをアルコール基に還元することによっ
て、末端の構造式を
【0021】
【化8】
【0022】の2,5‐アンヒドロマンニトールとする
ことにより、本発明の腫瘍に対して効果のある末端に
2,5−アンヒドロマンニトール基を有する分子量1,
500〜10,000のキトサンオリゴマーを有効成分
として含有する腫瘍免疫治療剤とすることができる。
【0023】(b) 還元反応 前記2,5‐アンヒドロマンノース基を有するキトサン
オリゴマーの還元反応は、反応性が高いアルデヒド基を
有しているので、着色や再結合し易く、緩やかに還元さ
せることによって2,5‐アンヒドロマンニトール基と
することができる。このような還元反応に使用できる還
元剤としては、アルデヒド基を緩やかに還元させること
のできる還元剤であれば公知のいずれのものをも選択す
ることもできる。具体的にはラネーニッケル、Ni‐カ
ーボンなどのニッケル系水素化還元用触媒、Pd‐カー
ボンなどのパラジウム系水素化還元用触媒、水素化ジイ
ソブチルアルミニウム、、有機スズ水素化物、ヒドロシ
ランなどの金属水素化物;水素化アルミニウムリチュウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、
水素化ホウ素リチュウム、水素化ホウ素カルシウム、水
素化ホウ素亜鉛などの金属水素錯化合物;ジボラン、ア
ルキルボランなどを挙げることができる。これら還元剤
の中で特に好適な還元剤としては、水素化ジイソブチル
アルミニウム、有機スズ水素化物、ヒドロシランなどの
金属水素化物、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホ
ウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素
リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素亜鉛
などの金属水素錯化合物、ジボラン、アルキルボランな
どを挙げることができるが、これらの中でも金属水素錯
化合物、特に水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カ
リウムなどの水素化ホウ素化合物による還元剤を用いる
ことが最適である。還元剤はキトサンオリゴマー中の
2,5‐アンヒドロマンノース基1モル当たり、一般に
1モル以上、好ましくは1.5〜3モルの量比で添加し
て、キトサンオリゴマー中の2,5‐アンヒドロマンノ
ース基を2,5‐アンヒドロマンニトール基に還元す
る。該還元反応は一般に100℃以下、好ましくは室温
以下の温度で、一般に常圧下で、数時間行なわれる。
【0024】(c) 2,5−アンヒドロマンノース基含有
キトサンオリゴマーの製造 上記末端に2,5−アンヒドロマンノース基を有するキ
トサンオリゴマーの製造用の原料として用いられる末端
に2,5−アンヒドロマンノース基を有するキトサンオ
リゴマーは、通常、海老、蟹などの甲殻類、カブト虫、
コオロギなどの昆虫類、シイタケ、糸状菌類の細胞壁の
構成成分として含有されているキチン質を希塩酸で処理
して炭酸カルシウムを除き、アルカリ溶液で短時間処理
してタンパク質等を除いたキチンを濃アルカリで加熱し
て脱アセチル化させて得られた高分子のキトサンを、亜
硝酸又は亜硝酸塩と反応させて解重合させて、中和する
ことによって得られたものである。更に、特定な分子量
のキトサンオリゴマーにまで分画することによって、本
発明の腫瘍免疫治療剤の有効成分として含有されるキト
サンオリゴマーを得ることができる。このような高分子
のキチン又はキトサンを、亜硝酸と反応させて解重合さ
せて、中和し、更に、特定な分子量のキトサンオリゴマ
ーにまで分画する方法については、特開平4−1036
02号公報に記載される方法によって製造することがで
きる。
【0025】(d) 生成物 このように各種多糖類毎に分別して得られる一定した分
子量のキトサンオリゴ糖として単離すれば、効力の高い
特定の分子量のキトサンオリゴ糖を高濃度に含有してい
ることから、より一層高い効果を発揮させることができ
る。また、還元末端側に2,5‐アンヒドロマンニトー
ル基を有するキトサンオリゴマーは、水溶性で、反応性
が低く、熱安定性が高いので、着色し難く、極めて安定
な化合物である。
【0026】[II] 医薬組成物の調製 (1) 腫瘍免疫治療剤 上記のように分画して得られる分子量が一定した1,0
00〜12,000の範囲のものを、更にキトサンオリ
ゴマーの貧溶媒で、かつ水と良く混合する析出剤によっ
て分離精製を行ない、分子量が1,500〜10,00
0の範囲内の2,5‐アンヒドロマンニトール基を有す
るキトサンオリゴマーのみを単離して、これをそのまま
或いは、薬理学的に許容される塩として、水に溶解して
免疫治療剤が調製される。
【0027】(2) 医薬組成物の調製 本発明の末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を有
する分子量1,500〜10,000のキトサンオリゴ
マー及びその薬理学的に許容される塩を有効成分として
含有してなる腫瘍免疫治療剤は、人及び人以外の動物
に、その投与経路に応じた適当な剤形とした医薬組成物
に形成される。具体的には静注、筋注等の注射剤、直腸
投与剤、油脂性座剤、水性座剤等の種々の形態に調製す
ることができる。これらの中でも腫瘍の周囲或いは腫瘤
内に分割して注射することが好ましい。これらの各種製
剤は、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、湿
潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝
剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化
剤、安定剤等を配合して、常法によって製造することも
できる。
【0028】[III] 治 療 (1) 治療対象 本発明の腫瘍免疫治療剤を用いることにより効果を発揮
することができる病状としては、各種腫瘍細胞によって
生じた、いぼ状、茸状、ポリープ状、乳頭状、樹皮状、
ハナキャベツ状等の形状をした腫瘍であり、病理学的に
は、乳頭腫、腺腫、嚢腫等の良性上皮性腫瘍や、線維
腫、脂肪腫、軟骨腫、骨腫、筋腫、血管腫等の非良性上
皮性腫瘍、或いは、癌腫等の悪性上皮性腫瘍や、肉腫等
の悪性非上皮性腫瘍を挙げることができる。これら腫瘍
の中でも、特に血管、リンパ管等を通じて他の臓器に遠
隔転移して、生体の生命まで奪うまでに増殖する癌腫及
び肉腫等の悪性の腫瘍において特に顕著な効果が認めら
れる。これら腫瘍に適用する場合には、後述のように、
免疫異種抗体による免疫異物除去作用が発揮されるため
であろうと思われる。また、上記腫瘍に特別に効果が認
められるが、膿瘍においても免疫効果を発揮することが
でき、膿瘍の場合には手術による切除を行なわなくても
治療することができる。
【0029】(2) 投 与 (a) 投与方法 本発明の腫瘍免疫治療剤の投与方法としては、動物の場
合には腹腔内注射、皮下注射、静脈又は動脈への血管内
注射及び注射による局所投与、患部への直接塗布等の方
法が、人の場合には静脈又は動脈への血管内注射及び注
射による局所投与等の方法、患部への直接塗布等の方法
を挙げることができるが、特に注射針及び注射器等を使
用して、直接腫瘍内に或いは腫瘍の周囲に注入する方法
が好ましい。
【0030】(b) 投与量 本発明の腫瘍免疫治療剤の投与量としては、動物試験の
結果及び種々の情況を勘案して、連続的又は完結的に投
与した時に総投与量が一定量を越えないように定められ
る。具体的には投与量は、投与方法、患者又は被処理動
物の状況、例えば、年齢、体重、性別、感受性、食餌、
投与時間、併用する薬剤、患者又はその病気の程度に応
じて変化することことは言うまでもなく、また、一定の
条件の下における適量と投与回数は、上記指針を基とし
て専門医の適量決定試験によって決定されなければなら
ない。具体的には、単回投与毒性については、今のとこ
ろ観察されていないが、投与量としては体重1kg当た
り100mg以下で、有意量の投与をすれば良い。
【0031】(3) 治療効果 本発明の腫瘍免疫治療剤が腫瘍に効果を発揮することが
できる理由は現在のところ未だ解明できていないが、本
発明の腫瘍免疫治療剤は、腫瘍細胞自体に直接影響を与
える作用は存在していないように観察されるが、本発明
の腫瘍免疫治療剤を適用することにより、図7に示すよ
うに、腫瘍組織を周囲の健常組織から分離、明確化する
働きが観察されるとの現象を有していることから、以下
に示す〜の如き作用、効果があるのではないかと考
える。
【0032】 腫瘍の増殖過程は腫瘍細胞自体の分裂
増殖によってもたらされるものであるが、この過程には
栄養血管の増数が必要となる。また、腫瘍細胞が増殖す
る際には、周囲組織に対してヘパラナーゼ等の蛋白質分
解酵素を産出することが知られている。しかし、これら
腫瘍細胞の産出する血管増殖因子の産生能、酵素産性能
或いは産生された物質自体を阻害或いはブロックするこ
とができる効果があることから免疫作用があるものと考
えられる。 可移植性の腫瘍細胞が生体に接種した場合、本剤が
腫瘍の生着、増殖及び器官の機能停止を防止することに
より免疫反応の低下を防いで、マクロファージや多形核
白血球(PMN)を主体とする生体内のどん食細胞を活
性化させることによって腫瘍細胞を孤立させることがで
きるものではないかと考える。また、本発明の腫瘍免疫
治療剤を膿瘍に適用する場合の効果も、非特異的免疫担
当細胞による免疫異物除去作用によって治癒するものと
思われる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて詳細に説明するが、本
発明はかかる実施例に限定されるものではない。 実施例1〜3 (1) 末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を有す
るキトサンオリゴマーの製造2,5‐アンヒドロマンノース基を有するキトサンオリ
ゴマーの製造 内容積500ミリリットルの撹拌機付ガラス製ビーカー
に30メッシュパスのフレーク状キトサン(分子量:4
0,000)10gを入れて、これに酢酸水溶液100
ミリリットル(可溶化剤/水:10容量%)を攪拌下に
少量づつ加えて溶解し、氷水浴で充分冷却して4℃とし
た。次いで、亜硝酸ナトリウム10%水溶液14.5ミ
リリットル(亜硝酸/キトサン中のグルコサミン残基
(モル比):0.5)を加え、水溶液中4℃で攪拌下に
2時間反応させて、2,5‐アンヒドロマンノース基を
有するキトサンオリゴマーを製造した。
【0034】2,5‐アンヒドロマンニトール基を有す
るキトサンオリゴマーの製造 反応終了後、15ミリリットルの濃アンモニア水で中和
させた後、更に水素化ホウ素ナトリウム1.6g(亜硝
酸ナトリウムに対して2倍モル)を加えて、室温で一晩
攪拌して、還元反応を行なって、2,5‐アンヒドロマ
ンニトール基を有するキトサンオリゴマーを製造した。
【0035】分 画 還元反応終了後、反応液から不溶物を取り除くために濾
過し、濾液を100ミリリットルまで濃縮した。次い
で、これにメタノールを加えて沈殿させた。その後、メ
タノールの使用量は濃縮液:メタノールにして1:3
(第1分画)、1:5(第2分画)、1:10(第3分
画)にて分画させた。更に、濃縮を乾固するまで行な
い、メタノールとアセトンを加えて生成物を沈殿させ
た。その際、メタノール:アセトンが1:2(第4分
画)にして分別した。これらの沈殿は十分にアセトン、
エーテルで洗浄し、真空デシケーター内で乾燥させた。
上記分画された第1〜4分画の沈殿物を採取し、この沈
殿物を赤外線分析、高速液体クロマトグラフィー及び脱
アセチル化分析を行なって、特に第3分画生成物につい
ては、平均分子量が5,150、N−アセチルアミノ基
/アミノ基との比率が40/60である2,5‐アンヒ
ドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマーである
ことが確認された。
【0036】その赤外線分析、高速液体クロマトグラフ
ィー及び元素分析の結果を図1及び図2〜5に示す。な
お、高速液体クロマトグラフイー分析における条件は以
下の通りであった。 カラム:アサヒパック GFA−30F 流 速:0.3ミリリットル/分 温 度:50℃ 移動相:0.5%酢酸緩衝液 pH :4.0 その結果を図2〜5に示す。各分画中の生成物は以下に
示すものであった。
【0037】第1分画 〔図2〕 収 量:7.2重量% ピークa−1:原料キトサン ピークa−2:キトサンオリゴマー88.5% 分子量 :40,000〜1,300 (246 糖〜7 糖) ピークa−3:酢酸ナトリウム
【0038】第2分画 〔図3〕 収 量:15.2重量% ピークb−1:原料キトサン ピークb−2:キトサンオリゴマー99.7モル% 分子量 :45,000〜1,300 、(277 糖〜7 糖) ピークb−3:酢酸ナトリウム
【0039】第3分画 〔図4〕 収 量:8.4重量% ピークc−1:キトサンオリゴマー100モル% 分子量 :25,000〜1,000 、(154 糖〜5 糖) ピークc−2:酢酸ナトリウム
【0040】第4分画 〔図5〕 収 量:42.2重量% ピークd−1:キトサンオリゴマー97.4モル% 分子量 :25,000〜1,300 、(154 糖〜7 糖) ピークd−2:キトサンオリゴマー2.6モル% 分子量 :1,300 〜900 、(7 糖〜5 糖) ピークd−3〜7:各種塩
【0041】腫瘍免疫治療剤の調製 上記キトサンオリゴマーの製造によって製造した第3分
画の平均分子量が5,150、N−アセチルアミノ基/
アミノ基との比率が40/60である末端に2,5−ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー2
50mgを、生理食塩水100mlに溶解して、2.5
mg/mlの濃度の末端に2,5−アンヒドロマンニト
ール基を有するキトサンオリゴマーを有効成分として含
有する腫瘍免疫治療剤を調製した。
【0042】各種腫瘍に対する抗腫瘍効果 表1に示す犬3例の腫瘍発生後凡そ1カ年以上経過した
ものと考えられるが、これら腫瘍に対して、本腫瘍免疫
治療剤を注射器を用いて腫瘍の周囲に注入した。すなわ
ち、実施例1に対しては25mg(2.5mg/ml)
を3〜4日おきに5回、実施例2に対しては3.75m
g(2.5mg/ml)を3〜4日おきに10回、実施
例3に対しては25mg(2.5mg/ml)を3〜4
日おきに5回注入した。注入後の一般状態及び局所反応
について肉眼的に観察した。注入後、実施例1〜3に対
しては腫瘍の摘出手術を実施し、摘出した腫瘍に対して
は組織学的な検査を行ない観察を実施したところ、表1
に示すような、いずれも悪性の腫瘍であった。特に、実
施例2においては、注入前に疼痛を訴え、跛行し、腫瘤
は硬固であったものが、注入後、第5回目の注入で腫瘍
は軟化し、第6回目の注入で跛行が消失した。腫瘍も若
干縮小したが、第10回目の注入でも図6に示すように
腫瘍の大きさにさほどの変化がないので摘出手術を行な
った。摘出された腫瘍は、図7に示すように、健常細胞
との限界が明瞭であり、簡単に摘出することができた。
また、摘出された腫瘍を病理組織学的検査をしたとこ
ろ、図8に示すような紡錘細胞が渦巻状に配列する神経
鞘腫の特徴像を示していた。
【0043】 表 1 動物 種 類 性別 発生 大きさ 腫瘍の状況 転帰 組織分類 部位 初診 投与後 実施例1 犬 チャウ 雄 腹壁 手拳大 固着 分 離 治癒 体表腫瘍 チャウ 腫瘍 実施例2 犬 雑 種 雄 前腕 鶏卵大 固着 分 離 治癒 悪性神経 鞘腫 実施例3 犬 柴 雄 肛門 ビー玉 固着 分 離 治癒 肛門線腫 腫瘍 大
【0044】これらの実施例の結果から、本剤の注入に
より、生体自身の免疫作用が惹起され、創内の正常化が
速やかに生じて、腫瘍との分界が明確に進行したものと
考えられる。本剤には腫瘍の育成を阻止する効果は存在
しないものの、腫瘍を健常組織から分離させる作用があ
ることが明らかになった。このようなことから、簡単な
外科的手術によって腫瘍の完全な摘出術が可能となり、
摘出手術後2カ年経過するが、その後の再発もみられて
いないことから転移は起こらなかったものと判断され
る。 実施例4〜6 表2に示す猫4例の体表の外傷性感染症を生理食塩水で
洗浄した後、実施例1にて調製した生理食塩水に溶解し
た末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマー(2.5mg/mlの濃度)を有効成
分として含有する腫瘍免疫治療剤を創腔内に1〜2ml
注入した。創は肉眼的に毎日観察した。その結果を表2
に示す。
【0045】 表 2 動物 種類 性別 疾 患 初診時滲出 2日目滲出 7日目滲出 実施例4 猫 雑種 雄 皮下膿瘍 +++ − 治 癒 実施例5 猫 雑種 雄 皮下膿瘍 +++ − 治 癒 実施例6 猫 雑種 雄 皮下膿瘍 +++ − 治 癒
【0046】これらの3例は初診時いずれも激しい滲出
が認められたが、本剤の注入により速やかに滲出が停止
し、7日目には創は治癒していた。
【0047】
【発明の効果】これらの実験結果から、このような効果
が得られるのは、腫瘍周囲組織に対する抗炎症効果と、
腫瘍増殖に対する血管新生と腫瘍産生酵素のブロックに
よるものと理解される。特に、腫瘍増殖に対する血管新
生のブロックは本剤による免疫増強作用の結果、腫瘍組
織が周囲から孤立させられたために起こったものと思わ
れる。腫瘍組織の外科的な摘出は、完璧な抗腫瘍剤が存
在していない現状においては、腫瘍治療の第1番目に選
択される方法であるが、これまでは悪性腫瘍において健
常組織との境界が不明瞭なため手術が極めて不正確にな
らざるを得なかった。しかしながら、本剤の適用によ
り、極めて悪性度の高い神経鞘腫や肛門線腫においても
分離できることになることから、腫瘍の外科治療面にお
ける手術療法の範囲を大きく発展させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明実施例において分画された分子
量25,000〜1,300の2,5‐アンヒドロマン
ニトール基を有するキトサンオリゴマーの赤外線分析に
よって描かれた図である。
【図2】図2は、本発明実施例において分画された、第
1分画の2,5‐アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー分析に
よって描かれた図である。
【図3】図3は、本発明実施例において分画された、第
2分画の2,5‐アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速クロマトグラフィー分析によっ
て描かれた図である。
【図4】図4は、本発明実施例において分画された、第
3分画の2,5‐アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速クロマトグラフィー分析によっ
て描かれた図である。
【図5】図5は、本発明実施例において分画された、第
4分画の2,5‐アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速クロマトグラフィー分析によっ
て描かれた図である。
【図6】図6は本発明実施例における生物の腫瘍部位の
形態の外観を表わす写真である。
【図7】図7は、本発明実施例における腫瘍と健常組織
との限界が明瞭に分離されていることを示す生物の形態
を表わす写真である。
【図8】摘出された腫瘍の生物の病理組織学的形態の所
見を示す写真である。
【符号の説明】
a−1 原料キトサン、 a−2 分子量40,000〜1,300の2,5‐ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 a−3 酢酸ナトリウム、 b−1 原料キトサン、 b−2 分子量45,000〜1,300の2,5‐ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 b−3 酢酸ナトリウム、 c−1 分子量25,000〜1,000の2,5‐ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 c−2 酢酸ナトリウム、 d−1 分子量25,000〜1,300の2,5‐ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 d−2 分子量1,300〜900の2,5‐アンヒド
ロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 d−3〜7 各種塩
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】近年、ペット動物等の腫瘍や肉腫等の腫
瘍の発生による死亡が、生体の死亡原因の中の多くの部
分を占めており、その治療法については種々の研究がな
されている。しかしながら、このような腫瘍の発生の原
因はウイルス等により発生する原因のはっきりしたもの
もあるが、その発生原因について未だ明確に解明される
までに至ってはいない。しかし、腫瘍の発生は、生体内
の器官の組織の一部分である細胞に、機械的刺激、化学
物質等の化学的刺激、X線等の物理的刺激、ウイルスの
感染等の外因性の刺激、或いは、素因、遺伝、ホルモン
異常等の内因性の刺激が与えられることによって正常細
胞より腫瘍細胞に変化するものと考えられている。この
ような腫瘍には病理学的に良性なものと、悪性なものと
があるが、悪性な腫瘍及び肉腫においては生命に係わる
ため特に問題となる。このような悪性の腫瘍細胞の出現
に対しては、その初期には生体内の免疫作用によってあ
る程度の阻止を行なうことができるようであるが、増殖
が進むにつれ免疫作用が低下し、更に腫瘍細胞の増殖が
活発化して、その器官の正常な機能を営み難くして、機
能の低下を起こさせたり、益々この腫瘍細胞が正常細胞
を破壊しながら増殖して巨大化する。更に、この腫瘍細
胞は血管系或いはリンパ管系を利用して生体内の他の部
位にまで遠隔転移して増植する。そして、最終的には重
要な生命維持器官までをも冒して生体を死にまで追いや
ってしまう。一方、本発明者等は先に「キチン誘導体に
よる菌体の増殖抑制効果」について、第5回キチン・キ
トサンシンポジウム(佐賀)発表要旨集 A03 第1
2〜13頁 1991年7月に発表した。しかし、これ
らの抑制効果はいずれも細菌に対するものであり、しか
も、生体内での免疫による作用効果については何等の確
認もされていなかった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような腫瘍の治療
方法としては、早期発見による早期切除を行なうことが
最も優れた治療法ではあるが、実際上、早期に発見する
ことができる腫瘍は極めて限られた症例のみであり、現
状の、ほとんどの例ではかなり腫瘍が発育した段階で発
見され、それから治療が施されている。従って、その治
療法には、現在のところ、外科的療法と、抗癌剤を使用
する化学療法、放射線療法、免疫療法とを組み合わせる
治療法等が試みられている。しかしながら、これらの治
療法を組み合わせてみても、再発、転移の予測をするこ
とは不可能である。また、現在開発されている抗癌剤
は、生体の正常な増殖機能までをも阻害する物質である
ことから、その物質自体の激しい副作用によって、逆に
生体内の防御能力をも破壊してしまうので、結果とし
て、腫瘍の転移を促進させる危険性を十分に孕んでい
る。このような腫瘍の完全な治療法を確立することは人
類の夢であり、様々な方面から開発が試みられている
が、決定的な治療法については現在のところ未だ見出だ
されていない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】(式中のm+nは6〜60、好ましくは1
4〜47であり、特に好ましくは22〜35であり、n
はmの50%以下の数である。) また、これら末端に2,5−アンヒドロマンニトール基
を有するキトサンオリゴマー中のN−アセチルアミノ基
/アミノ基との比率が50/50〜10/90であるこ
とが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】(2) 物理・化学的性状 このような末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を
有する分子量1,500〜10,000のキトサンオリ
ゴマーは、比較的低分子量のため水溶性であり、末端に
2,5−アンヒドロマンニトール基を有していることか
ら安定なため、水に溶解して使用することができる。ま
た、水溶性であるということは、任意の量を容易に患部
へ注入し、局部的にも免疫能を上昇させることができる
ものと考えられる。従って、本発明のキトサンオリゴマ
ーにおいては分子量が上記範囲内であることが重要であ
る。分子量が上記範囲未満であると移動性に富み過ぎて
本発明の効果を十分に発揮することができないおそれが
ある。更に、分子量が上記範囲を超えると水溶性が低下
して本発明の効果を発揮することができない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】で表わされる末端に2,5−アンヒドロマ
ンノース基を有する分子量1,500〜10,000の
キトサンオリゴマーを含有しているものである。この末
端に2,5−アンヒドロマンノース基を有する分子量
1,500〜10,000のキトサンオリゴマーは末端
に反応性の高いアルデヒド基を有していることから、反
応性に富んでおり、着色や再結合して毒性を示したりす
る可能性が高いとの欠点を有しているので、これをアル
コール基に還元することによって、末端の構造式を
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】[II] 医薬組成物の調製 (1) 腫瘍免疫治療剤 上記のように分画して得られる分子量が一定した1,0
00〜12,000の範囲のものを、更にキトサンオリ
ゴマーの貧溶媒で、かつ水と良く混合する析出剤によっ
て分離精製を行ない、分子量が1,500〜10,00
0の範囲内の2,5−アンヒドロマンニトール基を有す
るキトサンオリゴマーのみを単離して、これをそのまま
或いは、薬理学的に許容される塩として、水に溶解して
腫瘍免疫治療剤が調製される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】(2) 医薬組成物の調製 本発明の末端に2,5−アンヒドロマンニトール基を有
する分子量1,500〜10,000のキトサンオリゴ
マー及びその薬理学的に許容される塩を有効成分として
含有してなる腫瘍免疫治療剤は、人及び人以外の動物
に、その投与経路に応じた適当な剤形とした医薬組成物
に形成される。具体的には静注、筋注等の注射剤、直腸
投与剤、油脂性座剤、水性座剤等の種々の形態に調製す
ることができる。これらの中でも腫瘍の周囲或いは腫瘤
内に分割して局部注射することが好ましい。これらの各
種製剤は、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合
剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、
緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無
痛化剤、安定剤等を配合して、常法によって製造するこ
ともできる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】[III] 治 療 (1) 治療対象 本発明の腫瘍免疫治療剤を用いることにより効果を発揮
することができる病状としては、各種腫瘍細胞によって
生じた、いぼ状、茸状、ポリープ状、乳頭状、樹皮状、
ハナキャベツ状等の形状をした腫瘍であり、病理学的に
は、乳頭腫、腺腫等の良性上皮性腫瘍や、線維腫、脂肪
腫、軟骨腫、骨腫、筋腫、血管腫等の非良性上皮性腫
瘍、或いは、癌腫等の悪性上皮性腫瘍や、肉腫等の悪性
非上皮性腫瘍を挙げることができる。これら腫瘍の中で
も、特に血管、リンパ管等を通じて他の臓器に遠隔転移
して、生体の生命まで奪うまでに増殖する癌腫及び肉腫
等の悪性の腫瘍において特に顕著な効果が認められる。
これら腫瘍に適用する場合には、後述のように、免疫異
種抗体による免疫異物除去作用が発揮されるためであろ
うと思われる。また、上記腫瘍に特別に効果が認められ
るが、膿瘍においても免疫効果を発揮することができ、
膿瘍の場合には手術による切除を行なわなくても治療す
ることができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】(b)投与量 本発明の腫瘍免疫治療剤の投与量としては、動物試験の
結果及び種々の状況を勘案して、連続的又は完結的に投
与した時に総投与量が一定量を越えないように定められ
る。具体的には投与量は、投与方法、患者又は被処理動
物の状況、例えば、年齢、体重、性別、感受性、食餌、
投与時間、併用する薬剤、患者又はその病気の程度に応
じて変化することことは言うまでもなく、また、一定の
条件の下における適量と投与回数は、上記指針を基とし
て専門医の適量決定試験によって決定されなければなら
ない。具体的には、単回投与毒性については、今のとこ
ろ観察されていないが、投与量としては体重1kg当た
り100mg以下で、有意量の投与をすれば良い。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明実施例において分画された分子
量25,000〜1,300の2,5−アンヒドロマン
ニトール基を有するキトサンオリゴマ−の赤外線分析に
よって描かれた図である。
【図2】図2は、本発明実施例において分画された、第
1分画の2,5−アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー分析に
よって描かれた図である。
【図3】図3は、本発明実施例において分画された、第
2分画の2,5−アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー分析に
よって描かれた図である。
【図4】図4は、本発明実施例において分画された、第
3分画の2,5−アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー分析に
よって描かれた図である。
【図5】図5は、本発明実施例において分画された、第
4分画の2,5−アンヒドロマンニトール基を有するキ
トサンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー分析に
よって描かれた図である。
【図6】図6は本発明実施例における生物の腫瘍部位の
形態の外観を表わす写真である。
【図7】図7は、本発明実施例における腫瘍と健常組織
との限界が明瞭に分離されていることを示す生物の形態
を表わす写真である。
【図8】摘出された腫瘍における生物の病理組織学的所
見を示す写真である。
【符号の説明】 a−1 原料キトサン、 a−2 分子量40,000〜1,300の2,5−ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 a−3 酢酸ナトリウム、 b−1 原料キトサン、 b−2 分子量45,000〜1,300の2,5−ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 b−3 酢酸ナトリウム、 c−1 分子量25,000〜1,000の2,5−ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 c−2 酢酸ナトリウム、 d−1 分子量25,000〜1,300の2,5−ア
ンヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 d−2 分子量1,300〜900の2,5−アンヒド
ロマンニトール基を有するキトサンオリゴマー、 d−3〜7 各種塩

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】末端に2,5−アンヒドロマンニトール基
    を有する分子量1,500〜10,000のキトサンオ
    リゴマーを有効成分として含有することを特徴とする腫
    瘍免疫治療剤。
  2. 【請求項2】末端に2,5−アンヒドロマンニトール基
    を有するキトサンオリゴマーの構造が、下記の構造式で
    表わされるものである請求項1に記載の腫瘍免疫治療
    剤。 【化1】 (式中のm+nは6〜60であり、nはmの50%以下
    の数である。)
  3. 【請求項3】キトサンオリゴマー中のN−アセチルアミ
    ノ基/アミノ基の比率が50/50〜10/90である
    請求項1又は2に記載の腫瘍免疫治療剤。
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