JPH07266483A - 硫化亜鉛層を含む積層体 - Google Patents

硫化亜鉛層を含む積層体

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JPH07266483A
JPH07266483A JP6166194A JP6166194A JPH07266483A JP H07266483 A JPH07266483 A JP H07266483A JP 6166194 A JP6166194 A JP 6166194A JP 6166194 A JP6166194 A JP 6166194A JP H07266483 A JPH07266483 A JP H07266483A
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JP
Japan
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layer
zinc sulfide
oxide
vapor deposition
laminated body
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JP6166194A
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English (en)
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Haruo Uyama
晴夫 宇山
Takahiro Harada
隆宏 原田
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】積層体の層間の引っ張り応力あるいは圧縮応力
の差を十分に相殺し、良好な密着性を有する積層体を得
る。 【構成】少なくとも1層の硫化亜鉛層を含み、硫化亜鉛
層と他の層との層間のうち、少なくとも引っ張り応力あ
るいは圧縮応力の差による応力の相殺が困難な層間に、
10オングストローム以上の酸化物層あるいは酸化物含
有層が形成される積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫化亜鉛層を少なくと
も1層以上含む積層体に係り、とくに、ホログラムの蒸
着層や光学的多層膜に利用される積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】硫化亜鉛は、光学的性質において屈折率
が高いという特性から、これを薄膜として金属あるいは
セラミックス等と積層してなる積層体として用いること
により、ホログラム、光学的多層膜等として有用なもの
である。
【0003】従来より、このような積層体を製造するた
めに、例えば金属あるいはセラミックスなどを連続的に
真空蒸着法により形成する場合には、基材と金属あるい
はセラミックスとの密着性を向上させるためにコロナ処
理などの放電による処理が施されている。また、同様の
目的を達成するために親水化工程を設けることもでき
る。このような処理、工程によりある基材と金属あるい
はセラミックスとの密着性は向上し得る。
【0004】また、セラミックス−セラミックス、金属
−セラミックスなどの組合せで薄膜を積層する場合に
は、成膜時に蒸着速度、温度を制御し、引っ張り応力と
圧縮応力を相殺し緩和する必要がある。しかしながら、
これらの操作によって十分な緩和を行なうことは困難で
あり、これが障害となって、積層数に制限があった。
【0005】このように、従来の積層体の製造方法にお
いては、密着性の向上は可能であったが、引っ張り応力
あるいは圧縮応力の差を十分に相殺し得ないために、基
材あるいは先に形成された層の表面層を破壊する場合が
あった。例えば、蒸着速度を変え、膜の応力を制御する
方法によれば、わずかの蒸着速度の差で、これらの応力
が相殺されずに、クラックや剥離が生じてしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みてなされたもので、積層体の層間の引っ張り応力あ
るいは圧縮応力の差を十分に相殺し得、これにより良好
な密着性を示し、かつ基材あるいは先に形成された層の
表面層にクラックや剥離等を生じることなく硫化亜鉛層
を含む積層体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の積層体は、少な
くとも1層の硫化亜鉛層を含む積層体であって、硫化亜
鉛層と他の層との層間のうち、少なくとも引っ張り応力
あるいは圧縮応力の差による応力の相殺が困難な層間
に、10オングストローム以上の酸化物層あるいは酸化
物含有層が形成されることを特徴とする。
【0008】他の層としては、例えば引張り応力や圧縮
応力の差による応力の相殺できない基材、金属層、セラ
ミックス層等が使用し得る。
【0009】本発明の積層体においては、このような引
張り応力や圧縮応力の差による応力の相殺できない基材
−硫化亜鉛、金属層−硫化亜鉛間あるいはセラミックス
層−硫化亜鉛層間において、10オングストローム以
上、好ましくは10〜100オングストローム、より好
ましくは10〜50オングストロームの酸化物層あるい
は酸化物を含む層が生成されている。
【0010】積層体を形成するための酸化物あるいは酸
化物を含む層の厚さが、好ましくは10〜100オング
ストロームあるのは、100オングストロームを越える
と硫化亜鉛およびそれと接するセラミックスあるいは金
属独自の機能が阻害されてしまう傾向があるからであ
る。また、10オングストローム未満であると、酸化物
の効果が得られない。
【0011】基材は、ポリエチレンテレフタレートやポ
リエチレンナフタレートなどで代表されるポリエステル
フィルムなど高分子ポリマーであっても、紙であっても
金属箔であっても目的に応じていれば、いかなるもので
あっても特に限定されるものではない。
【0012】金属としてはアルミニウムが好ましい。
【0013】セラミックスとしては例えばフッ化アルミ
ニウム、フッ化マグネシウムなど硫化亜鉛の屈折率より
低いフッ化物、二酸化珪素、酸化アルミニウムなど硫化
亜鉛の屈折率より低い酸化物等が使用できる。
【0014】酸化物層は、積層される各層を強制的に酸
化して得ることができる。積層体中に酸化しにくい層が
含まれる場合には、隣接する層を酸化して得られた酸化
物層を設けることができる。また、本発明においては、
少なくとも硫化亜鉛層とその他の層との層間には、少な
くとも亜鉛を含む酸化物層が形成される。このとき、そ
の他の層が酸化可能なものであれば、硫化亜鉛を酸化し
て得られた層とその他の層との間に、その他の層を酸化
して得られた酸化物層がさらに形成されてもよい。
【0015】本発明に係る積層体に用いられる薄膜の形
成方法は、真空蒸着法が好ましく、材料の加熱方法は、
電子ビーム加熱、抵抗加熱、誘導加熱のいずれも使用可
能である。
【0016】真空蒸着法における酸化物層の形成方法と
しては、硫化亜鉛層を蒸着する際に、系の中に酸素を送
り込むことにより、強制的に酸化物を形成することがで
きる。
【0017】
【作用】本発明の積層体においては、硫化亜鉛層と他の
層との層間に、10オングストローム以上の酸化物層あ
るいは酸化物含有層を形成することにより、引っ張り応
力あるいは圧縮応力の差による応力の相殺を可能とす
る。基材−硫化亜鉛層間、金属層−硫化亜鉛層間、セラ
ミックス層−硫化亜鉛層間、さらにはこれらの組み合わ
せと共に積層し得る金属層−セラミックス層間、セラミ
ックス層−セラミックス層間に良好な密着性を得る。
【0018】本発明によれば、このようにして、耐熱性
の硫化亜鉛層を含む積層体において良好な密着性が得ら
れる。
【0019】
【実施例】
実施例 1 透明ホログラム転写箔形成用のエンボス形成したウレタ
ン系樹脂フィルムを基材として、この基材上に透明蒸着
層として硫化亜鉛(ZnS)を蒸着した。詳細には、こ
のエンボス形成したウレタン系樹脂を巻取式真空蒸着機
に装着し、硫化亜鉛を蒸着源として、誘導加熱方式で蒸
着源を加熱し、基材付近に分圧で5×10-5Torr以
下の酸素を混入させ、硫化亜鉛を基材上に500オング
ストローム析出させた。得られた蒸着層の密着性をセロ
テープによる剥離試験で評価した。その結果を表1に示
す。
【0020】また、作製した硫化亜鉛蒸着フィルムに関
して、接着アンカー層、接着層を設け、透明ホログラム
転写箔を作成した後、転写性、転写後の視認性、耐熱
性、柔軟性を測定した。その結果を転写箔適性として表
1に示す。
【0021】さらに、硫化亜鉛−基材間の界面の状態を
オージェ電子分光法により調べた。その結果を図1に実
線で示す。図1に示すように、30から40オングスト
ロームの酸化物層の存在が認められた。また、表1に示
すように密着性および転写箔適性は良好であった。
【0022】実施例 2 ポリエチレンテレフタレート基材上に、順次、硫化亜鉛
(ZnS)、フッ化マグネシウム(MgF2 )、硫化亜
鉛を蒸着させた。詳細には、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム(厚さ12μm)を巻取式真空蒸着機に装着
し、硫化亜鉛、フッ化マグネシウムを蒸着源として、誘
導加熱方式で蒸着源を加熱し、蒸発させた。それぞれの
薄膜の生成時に基材付近に分圧で5×10-5Torr以
下の酸素を混入させ、それぞれを順次、基材上に500
オングストロームずつ析出させた。作製した蒸着フィル
ムに関して、セロテープによる剥離試験を行い、その密
着性を測定、評価した。その結果を表1に示す。
【0023】また、硫化亜鉛−フッ化マグネシウム間の
界面の状態をオージェ電子分光法により調べた。その結
果を図2に実線で示す。図2に示すように、硫化亜鉛
層、フッ化マグネシウム層の双方に20オングストロー
ム程度ずつ酸素の存在が認められ、これらは金属と結合
を有していることが分かった。硫化亜鉛層には亜鉛酸化
物の存在が認められ、フッ化マグネシウム層にはフッ化
マグネシウムと酸化物の存在が認められた。また、表1
に示すように密着性は良好であった。
【0024】実施例 3 ポリエチレンテレフタレート基材上に、順次、硫化亜鉛
(ZnS)、アルミニウムを蒸着させた。詳細には、ポ
リエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)を
巻取式真空蒸着機に装着し、硫化亜鉛、アルミニウムを
蒸着源として、誘導加熱方式で蒸着源を加熱し、蒸発さ
せた。それぞれの薄膜の生成時に基材付近に分圧で5×
10-5Torr以下の酸素を混入させ、それぞれを順
次、基材上に800オングストロームずつ析出させた。
作製した蒸着フィルムに関して、密着性をセロテープに
よる剥離試験で測定、評価した。その結果を表1に示
す。
【0025】また、硫化亜鉛−アルミニウム間の界面の
状態をオージェ電子分光法により調べた。その結果を図
3に実線で示す。図3に示すように、硫化亜鉛層、アル
ミニウム層の双方に20オングストローム程度ずつ酸素
の存在する層が認められ、これらの酸素は金属と結合を
有していることが分かった。このようにして硫化亜鉛
層、アルミニウム層の双方に酸化物の存在が認められ
た。また、表1に示すように密着性は良好であった。
【0026】比較例 1 透明ホログラム転写箔形成用のエンボス形成したウレタ
ン系樹脂フィルムを基材として、その透明蒸着層として
硫化亜鉛(ZnS)を蒸着させた。詳細には、このウレ
タン系樹脂フィルムを巻取式真空蒸着機に装着し、硫化
亜鉛を蒸着源として、誘導加熱方式で蒸着源を加熱し、
蒸発させた。硫化亜鉛を基材上に500オングストロー
ム析出させた。得られた蒸着層の密着性をセロテープに
よる剥離試験で評価した。その結果を表1に示す。
【0027】また、作製した硫化亜鉛蒸着フィルムに関
して、接着アンカー層、接着層を設け、透明ホログラム
転写箔を作成した後、転写性、転写後の視認性、耐熱
性、柔軟性を測定した。その結果を転写箔適性として表
1に示す。
【0028】さらに、硫化亜鉛−フッ化マグネシウム間
の界面の状態をオージェ電子分光法により調べた。その
結果を図1に破線で示す。図1から明らかなように、硫
化亜鉛層に10オングストローム以下の酸化物層の存在
が認められた。また、表1に示すように、酸化物を強制
的に生成した場合(実施例1)に比べてその密着性およ
び転写箔適性は劣っていた。
【0029】比較例 2 ポリエチレンテレフタレート基材上に、順次、硫化亜鉛
(ZnS)、フッ化マグネシウム(MgF2 )、硫化亜
鉛を蒸着させた。詳細には、ポリエチレンテレフタレー
トフィルム(厚さ12μm)を巻取式真空蒸着機に装着
し、硫化亜鉛、フッ化マグネシウムを蒸着源として、誘
導加熱方式で蒸着源を加熱し、蒸発させた。それぞれを
順次、基材上に500オングストロームずつ析出させ
た。得られた蒸着層の密着性を密着性をセロテープによ
る剥離試験で測定、評価した。その結果を表1に示す。
【0030】また、硫化亜鉛−フッ化マグネシウム間の
界面の状態をオージェ電子分光法により調べた。その結
果を図2に破線で示す。図2に示すように硫化亜鉛層に
10オングストローム以下の酸化物層の存在が認められ
た。また、表1に示すように密着性は酸化物層を強制的
に生成した場合(実施例2)に比べて劣っていた。
【0031】比較例 3 ポリエチレンテレフタレート基材上に、順次、硫化亜鉛
(ZnS)、アルミニウムを蒸着させた。詳細には、ポ
リエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)を
巻取式真空蒸着機に装着し、硫化亜鉛、アルミニウムを
蒸着源として、誘導加熱方式で蒸着源を加熱し、蒸発さ
せた。それぞれを順次、基材上に800オングストロー
ムずつ析出させた。作製した蒸着フィルムに関して、密
着性はセロテープによる剥離試験で測定、評価した。そ
の結果を表1に示す。
【0032】また、硫化亜鉛−アルミニウム間の界面の
状態をオージェ電子分光法により調べた。その結果を図
3に破線で示す。図3に示すように、硫化亜鉛層、アル
ミニウム層の双方に10オングストローム以下の層にわ
たり酸素の存在が認められ、これらは金属と結合を有し
ていることが分かった。このように、硫化亜鉛層、アル
ミニウム層に酸化物の存在が認められた。また、表1に
示すように、密着性は酸化物層を強制的に生成した場合
(実施例3)に比べて劣っていた。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、基材−硫
化亜鉛層間、金属層−硫化亜鉛層間、セラミックス層−
硫化亜鉛層間、さらにはこれらの組み合わせと共に積層
し得る金属層−セラミックス層間、セラミックス層−セ
ラミックス層間に、クラックや剥離等を生じることなく
良好な密着性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1および比較例1にかかる積層体のオ
ージェ電子分光分析の結果を示すグラフ図。
【図2】 実施例2および比較例2にかかる積層体のオ
ージェ電子分光分析の結果を示すグラフ図。
【図3】 実施例3および比較例3にかかる積層体のオ
ージェ電子分光分析の結果を示すグラフ図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1層の硫化亜鉛層を含む積層
    体であって、硫化亜鉛層と他の層との層間のうち、少な
    くとも引っ張り応力あるいは圧縮応力の差による応力の
    相殺が困難な層間に、10オングストローム以上の酸化
    物層あるいは酸化物含有層が形成されることを特徴とす
    る積層体。
  2. 【請求項2】 前記他の層が金属、セラミックス、樹
    脂、および紙から選択される少なくとも一種であること
    を特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 【請求項3】 前記セラミックスは、フッ化アルミニウ
    ム、フッ化マグネシウム、二酸化珪素、及び酸化アルミ
    ニウムからなる群から選択される少なくとも1種である
    請求項1に記載の積層体。
  4. 【請求項4】 前記金属がアルミニウムであることを特
    徴とする請求項1に記載の硫化亜鉛層を含む積層体。
JP6166194A 1994-03-30 1994-03-30 硫化亜鉛層を含む積層体 Pending JPH07266483A (ja)

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