JPH07265999A - アルミニウム合金製鋳造品の成形方法 - Google Patents
アルミニウム合金製鋳造品の成形方法Info
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- JPH07265999A JPH07265999A JP6347994A JP6347994A JPH07265999A JP H07265999 A JPH07265999 A JP H07265999A JP 6347994 A JP6347994 A JP 6347994A JP 6347994 A JP6347994 A JP 6347994A JP H07265999 A JPH07265999 A JP H07265999A
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Abstract
い圧縮比を満足できるレベルまで気孔生成率を下げるこ
とのできるアルミニウム製鋳造品の成形方法を提供する
ことを目的としている。 【構成】本発明のアルミニウム鋳造品の成形方法は、マ
グネシウム成分を0.3%以上含有したアルミニウム溶
湯を粒状微細化処理し、かつ、不活性ガスを用いた脱ガ
ス処理をして含有ガス量を0.15〜0.3cc/10
0gに保持し、前記アルミニウム溶湯を強制冷却できる
ように鋳造型(1) の下型(2) を冷却し、前記処理が施さ
れたアルミニウム溶湯を高温に保持したまま、押油用ホ
ッパー(10)を用いて前記鋳造型(1) に対して45゜から
60゜の範囲で傾斜させた角度で鋳造型(1) に流し込む
ようにしたことを特徴としている。
Description
ロシティの少ない高品質のアルミニウム製鋳造品を成形
する方法に関する。
ンのブロック、特にシリンダヘッドをアルミニウム合金
の鋳造成形で形成することが行われている。このエンジ
ンをアルミニウム合金で形成することはガソリンエンジ
ンだけにとどまらずディーゼルエンジンでも行われてい
るのであるが、ディーゼルエンジンはガソリンエンジン
に比べて燃焼室内の圧縮比が20〜24と非常に高く、
鋳造成形時に微細な気孔が内部に複数形成されてしまう
アルミ合金鋳造品をそのままシリンダヘッドとして使用
すると弁間部に亀裂が入るという問題があった。また、
シリンダヘッドにおける吸排気バルブのバルブシートを
焼結リングの圧入で形成するのではなく、合金粉末をレ
ーザで溶融するレーザクラッド法で形成する場合にも母
材となるアルミニウム製シリンダヘッドに気孔が多数存
在するとレーザでシート用合金粉末を溶融する際に母材
から気泡が発生してシート成形に支障をきたすという問
題がある。従って、従来は上記の問題点を解決するため
に、鋳造成形されたアルミニウム合金製のシリンダブロ
ックのシールの必要な部分、即ち燃焼室に対応する部分
の表面をレーザー等で溶かして再度固めて、前記表面の
表層の組織を微細化して気孔をなくす、いわゆるリメル
ティング処理を行っていた。
ング処理は、鋳造成形されたアルミニウム合金製シリン
ダヘッドの燃焼室に対応する部分の表面をレーザ等によ
り再度溶かし固めるという作業を常温の雰囲気の中で行
い、被処理部分をかなりの早さで強制冷却することがで
きるので被処理部分のシール性は非常に高くなるという
利点はあるが、鋳造成形後にリメルティング処理のため
の工程を増やさなければならず、かつ、そのリメルティ
ング処理がかなり手間のかかる作業であるため、製造コ
スト及び時間の増加は避けられない。また、近年の車両
の軽量化及びエンジンの高出力化に伴い、ガソリンエン
ジンのシリンダヘッドにも高い圧縮比が要求されはじめ
ているので、上記リメルティング処理をしないでも高い
圧縮比で使用することのできるアルミニウム合金製のシ
リンダヘッドの開発が強く要求されている。以上シリン
ダヘッドを例に採って説明したが、高い圧力下で使用す
るアルミニウム鋳造品は全て上記したようなポロシティ
の発生に対する対策を施さなければならないという問題
がある。そこで本発明は上記問題点を解決し、鋳造成形
後の段階で要求される高い圧縮比を満足できるレベルま
で気孔生成率を下げることのできるアルミニウム製鋳造
品の成形方法を提供することを目的としている。
に本発明のアルミニウム鋳造品の成形方法は、マグネシ
ウム成分を0.3%以上含有したアルミニウム溶湯を粒
状微細化処理し、かつ、不活性ガスを用いた脱ガス処理
をして含有ガス量を0.15〜0.3cc/100gに
保持し、前記アルミニウム溶湯を強制冷却できるように
金型の全部または一部を冷却し、前記処理が施されたア
ルミニウム溶湯を高温に保持したまま、押油用ホッパー
を用いて前記金型に対して45゜から60゜の範囲で傾
斜させた角度で金型に流し込むようにしたことを特徴と
するものである。好ましくは、前記金型はシリンダヘッ
ド用の金型であり得、その場合には金型の燃焼室に対応
する部分を、対応するアルミニウム溶湯を強制冷却でき
るように冷却する。また、前記金型の燃焼室に対応する
部分の温度は、対応するアルミニウム溶湯の温度が18
゜〜6゜C/秒の冷却速度で冷却できるような温度に冷
却され得る。 前記脱ガス処理は回転式脱ガス処理であ
ることが望ましい。好ましくは、上記粒状微細化処理は
ナトリウム又は/及びストロンチウム、アンチモンを添
加することにより行われ得る。
方法によれば、まずマグネシウム0.3%以上含有した
アルミニウム溶湯を微細化処理し、かつ不活性ガスを用
いた脱ガス処理を行って含有ガス量を0.15〜0.3
cc/100gまで引き下げる。そして、前記処理が施
されたアルミニウム溶湯を高温に保持したまま一部また
は全部を冷却した金型に、型に対して45゜〜60゜傾
斜させた角度で流し込みアルミニウム製鋳造品を成形す
る。
成形方法(以下単に鋳造方法を称する)の一実施例につ
いて説明する。図1は本発明の鋳造方法に使用する鋳造
装置の一実施例を示している。図中1は鋳造型を示して
おり、この鋳造型1は下型2、左右の横型3,4及び上
型5から構成され、内部に所望の形状のシリンダヘッド
を成形するための鋳造空間6を形成している。前記下型
2は、シリンダヘッドの底面、即ち燃焼室に、横型3,
4はシリンダヘッドの側面に、上型5はシリンダヘッド
の上面に各々対応している。各型2,3,4,5はシリ
ンダヘッドのウォータジャケット(図示せず)や吸気通
路(図示せず)等を形成するための中子3aを支持して
いる。下型2には冷却水通路7が設けられている。この
冷却水通路7は下型2の表面、即ちシリンダヘッドの燃
焼室に対応する面を冷却するように下型2全体に配設さ
ており、冷却水供給装置8から冷却水が供給される(図
2参照、本図は下型2の概略上面図である。)。前記冷
却水供給装置8は流し込まれるアルミニウム溶湯の温度
に応じて冷却水の供給量を制御し、鋳造空間6に流し込
まれるアルミニウム溶湯の下型2の表面に対応する部分
の温度を18゜C〜6゜C/秒の冷却速度で冷却する。
例えば、流し込まれるアルミニウム溶湯の温度が720
゜Cの場合には、冷却水供給装置8は下型の表面温度が
常に140゜C〜200゜Cの範囲内にはいるように冷
却水の供給量を制御する。また、横型3と上型5との境
界面にはアルミニウム溶湯を流すための湯口9が形成さ
れている。この湯口9は鋳造空間6に流し込まれるアル
ミニウム溶湯の流速を落とさないように、水平面に対し
て約45゜傾斜している。この湯口9から鋳造機10を
用いてアルミニウム溶湯を注入する。前記押湯用ホッパ
10もまた、水平面に対して約45゜傾斜しており、ア
ルミニウム溶湯を急速に鋳造空間6に注入することによ
って、アルミニウム溶湯の湯回りをよくし、下型2の温
度が低いために必要以上に速く凝固して湯が回らなくな
ることを防止している。
成分を0.3%以上含有するように管理されたアルミニ
ウム合金を加熱して溶かして作られ、高温(約720゜
C)に保たれている。また、このアルミニウム溶湯に
は、凝固した時に組織形態が長い針状にならずに粒状微
細化するようにナトリウムを添加して改良処理を施す。
さらに、溶湯の状態で、内部に高速回転式のノズルを挿
入し、該ノズルを高速回転させながら直径1〜4mmの
不活性ガス気泡を溶湯の中に放出して溶湯内の残留ガス
を0.15〜0.3cc/100gまで除去する脱ガス
処理が施される。以上のような処理が施されたアルミニ
ウム溶湯を鋳造装置10を用いて鋳造型1の鋳造空間6
に注入すると、アルミニウム溶湯の下型2に対応する部
分が下型2によって冷却され、他の部分よりも速く凝固
して燃焼室に対応する部分の表面の組織が微細になり気
孔ができる割合も低下し、気孔が極めて少なく、かつ機
械強度が高い燃焼室を備えたシリンダヘッドを成形する
ことができる。
法との対比説明を行う。表1は、本実施例の鋳造方法と
従来の鋳造方法との条件を示す表である。本実施例の鋳
造方法ではJIS規格AC4C相当の材質のアルミニウ
ム合金を使用し、従来の鋳造方法ではJIS規格AC2
B相当の材質のアルミニウム合金を使用する。尚、表1
に示すように、本実施例の鋳造方法ではマグネシウム成
分が3%以上含まれているアルミニウム合金を使用し、
従来の鋳造方法ではマグネシウム成分を0.3%以下含
有しているアルミニウム合金を使用する。
合金製シリンダヘッドの燃焼室における弁間部の気孔率
及びデンドライトアーム間隔(DAS)を測定した結果
を示す表を表2に、また、成形されたシリンダヘッドの
燃焼室における弁間部の組織を200倍に拡大した部分
拡大図を図3に示す。
成形されたシリンダヘッドの気孔率が0.6%以上なの
に対して本実施例の方法で鋳造されたシリンダヘッドの
気孔率は0.1%と非常に低い。また、DASも従来の
鋳造方法では40〜60μmであるのに対して本実施例
の鋳造方法では23μmまで下げることができる。この
レベルまで気孔率を下げることができればリメルティン
グ処理を施さずに鋳造後のシリンダヘッドをそのまま使
用することができ、また、前記バルブシートをレーザで
成形する公知のレーザクラッド法を用いても気泡の発生
がなくなる。また、図3から本実施例の鋳造方法で成形
されたシリンダヘッドの方が従来の鋳造方法で成形され
たシリンダヘッドに比べて組織形態が極めて微細になっ
ていることが分かる。
る弁間部の機械強度を測定した結果を示しており、この
表3から明かなように、本実施例の方法で成形されたシ
リンダヘッドの燃焼室部分は組織形態が微細化し、DA
Sが低くなっているので従来の方法で成形されたシリン
ダヘッドに比べて機械強度も向上している。
理を行うためにナトリウムを添加しているが、これは本
実施例に限定されることなく、アルミニウム合金が凝固
する際にその組織を微細化できるものであれば任意のも
のでよく、例えばストロンチウムでもよく、アンチモン
でもよい。また、本実施例では、実験中に脱ガス処理を
行うための方法として、溶湯の状態で、内部に高速回転
式のノズルを挿入し、該ノズルを高速回転させながら直
径1〜4mmの不活性ガス気泡を溶湯の中に放出して溶
湯内の残留ガスを除去する方法を説明しているが、これ
は本実施例に限定されることなく溶湯中の残留ガス量を
0.15〜0.3cc/100gまで除去できる方法で
あれば任意の方法でよいことはもちろんである。さら
に、本実施例ではシリンダヘッドを例に採って説明して
いるが、成形される製品はシリンダヘッドに限られずア
ルミニウム製鋳造品であれば任意のものでよいことはも
ちろんである。シリンダヘッド以外の製品を成形する場
合でも、高い圧力がかかる部分に対応する金型を冷却す
る。
によれば、気孔率を著しく下げることができるので、鋳
造後にリメルティング処理等の対策を施す必要がなくな
るという効果を奏し、また、DASもかなり小さくな
り、生成品のアルミニウム組織が緻密になるので、機械
強度が向上するという効果を奏する。
によれば、まずマグネシウム0.3%以上含有したアル
ミニウム溶湯を微細化処理し、かつ不活性ガスを用いた
脱ガス処理を行って含有ガス量を0.15〜0.3cc
/100gまで引き下げ、そして、前記処理が施された
アルミニウム溶湯を高温に保持したまま、一部または全
部が冷却された鋳造型に、型に対して45゜〜60゜傾
斜させた角度で流し込むので、アルミニウム溶湯の冷却
した部分に対応する部分が他部分に比べて速い速度で強
制冷却されて、従来の鋳造成形で成形されたアルミニウ
ム製鋳造品に比べて極めて気孔の少ない鋳造品を成形す
ることができるという効果を奏する。
例を示す概略断面図
ミニウム製シリンダヘッドの燃焼室部分の組織形態を示
す部分拡大図 (b)従来の鋳造方法により成形されたアルミニウム製
シリンダヘッドの燃焼室部分の組織形態を示す部分拡大
図
ィ)の少ない高品質のアルミニウム合金製鋳造品を成形
する方法に関する。
ンの構成部品、特にシリンダヘッドをアルミニウム合金
の鋳造で形成することが行われている。このエンジンを
アルミニウム合金で形成することはガソリンエンジンだ
けにとどまらずディーゼルエンジンでも行われているの
であるが、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比
べて燃焼室内の圧縮比が20〜24と非常に高く、鋳造
成形時に微細な気泡(ポロシティ)が内部に多数形成さ
れてしまうアルミニウム合金製鋳造品を、そのままシリ
ンダヘッドとして使用すると弁間部に亀裂が入ったり、
微細な気泡が繋がって圧漏れを生じ、燃焼室内の圧縮比
が低下する等の問題があった。また、シリンダヘッドに
おける吸排気バルブのバルブシートを焼結リングの圧入
で形成するのではなく、合金粉末をレーザで溶融するレ
ーザクラッド法で形成する場合にも母材となるアルミニ
ウム合金製シリンダヘッドに気泡が多数存在するとレー
ザでシート用合金粉末を溶融する際に母材から気泡が発
生してシート成形に支障をきたすという問題がある。従
って、従来は上記の問題点を解決するために、鋳造成形
されたアルミニウム合金製のシリンダヘッドのシールの
必要な部分、即ち燃焼室に対応する部分の表面をタング
ステンの電極と不活性ガスを用いるTIG法等で溶かし
て再度固めて、前記表面の表層の組織を微細化して気泡
をなくす、いわゆるリメルティング処理を行っていた。
ング処理は、鋳造成形されたアルミニウム合金製シリン
ダヘッドの燃焼室に対応する部分の表面をTIG法等に
より再度溶かし固めるという作業を常温の雰囲気の中で
行い、被処理部分をかなりの早さで強制冷却することが
できるので被処理部分のシール性は非常に高くなるとい
う利点はあるが、鋳造成形後にリメルティング処理のた
めの工程を増やさなければならず、かつ、そのリメルテ
ィング処理がかなり手間のかかる作業であるため、製造
コスト及び時間の増加は避けられない。また、近年の車
両の軽量化及びエンジンの高出力化に伴い、ガソリンエ
ンジンのシリンダヘッドにも高い圧縮比が要求されはじ
めているので、上記リメルティング処理をしないでも高
い圧縮比で使用することのできるアルミニウム合金製の
シリンダヘッドの開発が強く要求されている。以上シリ
ンダヘッドを例に採って説明したが、高い圧力下で使用
するアルミニウム合金製の鋳造品は全て上記したような
微細な気泡(ポロシティ)の発生に対する対策を施さな
ければならないという問題がある。そこで本発明は上記
問題点を解決し、鋳造成形後の段階で要求される高い圧
縮比を満足できるレベルまで気泡生成率を下げることの
できるアルミニウム合金製の鋳造品の成形方法を提供す
ることを目的としている。
に本発明のアルミニウム合金製の鋳造品の成形方法は、
マグネシウム成分を0.3%以上含有したアルミニウム
溶湯を粒状微細化処理し、かつ、不活性ガスを用いた脱
ガス処理をして含有ガス量を0.15〜0.3cc/1
00gに保持し、前記アルミニウム溶湯を強制冷却でき
るように金型の全部または一部を冷却し、前記処理が施
されたアルミニウム溶湯を高温に保持したまま、注湯用
ホッパーを用いて前記金型に対して45゜から60゜の
範囲で傾斜させた角度で金型に流し込むようにしたこと
を特徴とするものである。好ましくは、前記金型はシリ
ンダヘッド用の金型であり得、その場合には金型の燃焼
室に対応する部分を、対応するアルミニウム溶湯を強制
冷却できるように冷却する。また、前記金型の燃焼室に
対応する部分の温度は、対応するアルミニウム溶湯の温
度が18゜C〜6゜C/秒の冷却速度で冷却できるよう
な温度に冷却され得る。 前記脱ガス処理は回転式脱ガ
ス処理であることが望ましい。好ましくは、上記粒状微
細化処理はナトリウム又はストロンチウム及びアンチモ
ンを添加することにより行われ得る。
成形方法によれば、まずマグネシウム0.3%以上含有
したアルミニウム溶湯を微細化処理し、かつ不活性ガス
を用いた脱ガス処理を行って含有ガス量を0.15〜
0.3cc/100gまで引き下げる。そして、前記処
理が施されたアルミニウム溶湯を高温に保持したまま一
部または全部を冷却した金型に、型に対して45゜〜6
0゜の範囲に傾斜させた角度で流し込みアルミニウム合
金製鋳造品を成形する。
品の成形方法(以下単に鋳造方法を称する)の一実施例
について説明する。図1は本発明の鋳造方法に使用する
鋳造装置の一実施例を示している。図中1は鋳造型を示
しており、この鋳造型1は下型2、左右の横型3,4及
び上型5から構成され、内部に所望の形状のシリンダヘ
ッドを成形するための鋳造空間6を形成している。
尚、本実施例においては、前記下型2及び左右の横型
3,4は金型で構成され、また、上型5は砂型で構成さ
れている。前記下型2は、シリンダヘッドの底面、即ち
燃焼室に、横型3,4はシリンダヘッドの側面に、上型
5はシリンダヘッドの上面に各々対応している。各型
2,3,4はシリンダヘッドのウォータジャケット(図
示せず)や吸気通路(図示せず)等を形成するための中
子3aを支持している。下型2には冷却水通路7が設け
られている。この冷却水通路7は下型2の表面、即ちシ
リンダヘッドの燃焼室に対応する面を冷却するように下
型2全体に配設されており、冷却水供給装置8から冷却
水が供給される(図2参照、本図は下型2の概略上面図
である。)。前記冷却水供給装置8は流し込まれるアル
ミニウム溶湯の温度に応じて冷却水の供給量を制御し、
鋳造空間6に流し込まれるアルミニウム溶湯の下型2の
表面に対応する部分の温度を18C゜〜6゜C/秒の冷
却速度で冷却する。例えば、流し込まれるアルミニウム
溶湯の温度が720゜Cの場合には、冷却水供給装置8
は下型の表面温度が常に140゜C〜200゜Cの範囲
内にはいるように冷却水の供給量を制御する。また、横
型3と上型5との境界面にはアルミニウム溶湯を流すた
めの湯口9が形成されている。この湯口9は鋳造空間6
に流し込まれるアルミニウム溶湯の流速を落とさないよ
うに、水平面に対して45゜傾斜している。この湯口9
から注湯用ホッパ10を用いてアルミニウム溶湯を注入
する。前記注湯用ホッパ10もまた、水平面に対して4
5゜傾斜しており、アルミニウム溶湯を急速に鋳造空間
6に注入することにより、アルミニウム溶湯の湯回りを
よくし、下型2の温度が低いために必要以上に速く凝固
して湯が回らなくなることを防止している。尚、前記注
湯用ホッパ10の傾斜角度は45゜に限定されるもので
はなく、45゜から60゜の範囲内であれば、どの角度
でもよい。
成分を0.3%以上含有するように管理されたアルミニ
ウム合金を加熱して溶かして作られ、高温(約720゜
C)に保たれている。また、このアルミニウム溶湯に
は、凝固した時に組織形態が長い針状にならずに粒状微
細化するようにナトリウムを添加して改良処理を施す。
さらに、溶湯の状態で、内部に高速回転式のノズルを挿
入し、該ノズルを高速回転させながら直径1〜4mmの
不活性ガス気泡を溶湯の中に放出して溶湯内の残留ガス
を0.15〜0.3cc/100gまで除去する脱ガス
処理が施される。以上のような処理が施されたアルミニ
ウム溶湯を注湯用ホッパ10を用いて鋳造型1の鋳造空
間6に注入すると、アルミニウム溶湯の下型2に対応す
る部分が下型2によって冷却され、他の部分よりも速く
凝固して燃焼室に対応する部分の表面の組織が微細にな
り気泡ができる割合も低下し、気泡が極めて少なく、か
つ機械強度が高い燃焼室を備えたシリンダヘッドを成形
することができる。
法との対比説明を行う。表1は、本実施例の鋳造方法と
従来の鋳造方法との条件を示す表である。本実施例の鋳
造方法ではJIS規格AC4C相当の材質のアルミニウ
ム合金を使用し、従来の鋳造方法ではJIS規格AC2
B相当の材質のアルミニウム合金を使用する。尚、表1
に示すように、本実施例の鋳造方法ではマグネシウム成
分が0.3%以上含まれているアルミニウム合金を使用
し、従来の鋳造方法ではマグネシウム成分を0.3%よ
り少なく含有しているアルミニウム合金を使用する。
合金製シリンダヘッドの燃焼室における弁間部の気泡率
及びデンドライトアーム間隔(DAS)を測定した結果
を示す表を表2に、また、成形されたシリンダヘッドの
燃焼室における弁間部の組織を200倍に拡大した部分
拡大図を図3に示す。
成形されたシリンダヘッドの気泡率が0.6%以上なの
に対して本実施例の方法で鋳造されたシリンダヘッドの
気泡率は0.1%と非常に低い。また、DASも従来の
鋳造方法では40〜60μmであるのに対して本実施例
の鋳造方法では23μmまで下げることができる。この
レベルまで気泡率を下げることができればリメルティン
グ処理を施さずに鋳造後のシリンダヘッドをそのまま使
用することができ、また、前記バルブシートをレーザで
成形する公知のレーザクラッド法を用いても気泡の発生
がなくなる。また、図3から本実施例の鋳造方法で成形
されたシリンダヘッドの方が従来の鋳造方法で成形され
たシリンダヘッドに比べて組織形態が極めて微細になっ
ていることが分かる。
る弁間部の機械強度を測定した結果を示しており、この
表3から明かなように、本実施例の方法で成形されたシ
リンダヘッドの燃焼室部分は組織形態が微細化し、DA
Sが低くなっているので従来の方法で成形されたシリン
ダヘッドに比べて機械強度も向上している。
理を行うためにナトリウムを添加しているが、これは本
実施例に限定されることなく、アルミニウム合金が凝固
する際にその組織を微細化できるものであれば任意のも
のでよく、例えばストロンチウムでもよく、アンチモン
でもよい。また、本実施例では、実験中に脱ガス処理を
行うための方法として、溶湯の状態で、内部に高速回転
式のノズルを挿入し、該ノズルを高速回転させながら直
径1〜4mmの不活性ガス気泡を溶湯の中に放出して溶
湯内の残留ガスを除去する方法を説明しているが、これ
は本実施例に限定されることなく溶湯中の残留ガス量を
0.15〜0.3cc/100gまで除去できる方法で
あれば任意の方法でよいことはもちろんである。さら
に、本実施例ではシリンダヘッドを例に採って説明して
いるが、成形される製品はシリンダヘッドに限られずア
ルミニウム合金製鋳造品であれば任意のものでよいこと
はもちろんである。シリンダヘッド以外の製品を成形す
る場合でも、高い圧力がかかる部分に対応する金型を冷
却する。
によれば、気泡率を著しく下げることができるので、鋳
造後にリメルティング処理等の対策を施す必要がなくな
るという効果を奏し、また、DASもかなり小さくな
り、生成品のアルミニウム組織が緻密になるので、機械
強度が向上するという効果を奏する。
形方法によれば、まずマグネシウム成分を0.3%以上
含有したアルミニウム溶湯を微細化処理し、かつ不活性
ガスを用いた脱ガス処理を行って含有ガス量を0.15
〜0.3cc/100gまで引き下げ、そして、前記処
理が施されたアルミニウム溶湯を高温に保持したまま、
一部または全部が冷却された鋳造型に、型に対して45
゜〜60゜の範囲で傾斜させた角度で流し込むので、ア
ルミニウム溶湯の冷却した部分に対応する部分が他部分
に比べて速い速度で強制冷却されて、従来の鋳造方法で
成形されたアルミニウム合金製鋳造品に比べて極めて気
泡の少ない鋳造品を成形することができるという効果を
奏する。
例を示す概略断面図
ミニウム合金製シリンダヘッドの燃焼室部分の組織形態
を示す部分拡大図 (b)従来の鋳造方法により成形されたアルミニウム合
金製シリンダヘッドの燃焼室部分の組織形態を示す部分
拡大図
Claims (7)
- 【請求項1】 マグネシウム成分を0.3%以上含有し
たアルミニウム溶湯を粒状微細化処理し、かつ、不活性
ガスを用いた脱ガス処理をして含有ガス量を0.15〜
0.3cc/100gに保持し、 前記アルミニウム溶湯を強制冷却できるように金型の全
部または一部を冷却し、 前記処理が施されたアルミニウム溶湯を高温に保持した
まま、押油用ホッパーを用いて前記金型に対して45゜
から60゜の範囲で傾斜させた角度で金型に流し込むよ
うにしたことを特徴とするアルミニウム鋳造品の成形方
法。 - 【請求項2】 前記金型を所望の形状のシリンダヘッド
が形成できるように構成し、かつ、金型の燃焼室に対応
する部分を、対応するアルミニウム溶湯を強制冷却でき
るように冷却することを特徴とする請求項1に記載のア
ルミニウム鋳造品の成形方法。 - 【請求項3】 前記金型を、アルミニウム溶湯の温度が
18゜C〜6゜C/秒の冷却速度で冷却できるような温
度まで冷却することを特徴とする請求項1または請求項
2に記載のアルミニウム鋳造品の成形方法。 - 【請求項4】 前記脱ガス処理が回転式脱ガス処理であ
ることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の
アルミニウム鋳造品の成形方法。 - 【請求項5】 アルミニウム溶湯にナトリウムを添加し
て粒状微細化処理を行うことを特徴とする請求項1〜4
の何れか一項に記載のアルミニウム鋳造品の成形方法。 - 【請求項6】 アルミニウム溶湯にストロンチウムを添
加して粒状微細化処理を行うことを特徴とする請求項1
〜5の何れか一項に記載の方法。 - 【請求項7】 アルミニウム溶湯にアンチモンを添加し
て粒状微細化処理を行うことを特徴とする請求項1〜6
の何れか一項に記載のアルミニウム鋳造品の成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06347994A JP3215769B2 (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | アルミニウム合金製鋳造品の成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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