JPH07264985A - 魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油 - Google Patents

魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油

Info

Publication number
JPH07264985A
JPH07264985A JP6087433A JP8743394A JPH07264985A JP H07264985 A JPH07264985 A JP H07264985A JP 6087433 A JP6087433 A JP 6087433A JP 8743394 A JP8743394 A JP 8743394A JP H07264985 A JPH07264985 A JP H07264985A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
sardine
mackerel
fish
odor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6087433A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Konishi
寛昭 小西
Kiyoshi Tatsumi
清 巽
Noribumi Sato
則文 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority to JP6087433A priority Critical patent/JPH07264985A/ja
Priority to US08/378,276 priority patent/US5693835A/en
Priority to DE69515919T priority patent/DE69515919T2/de
Priority to EP95101137A priority patent/EP0665287B1/en
Publication of JPH07264985A publication Critical patent/JPH07264985A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚臭の発生を低減せしめると共にドコサヘキ
サエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)
などの高度不飽和脂肪酸を相当量含有するイワシおよび
/またはサバ油を提供する。 【構成】 油脂の脂肪酸残基中に含まれるドコサヘキサ
エン酸(DHA)濃度が1〜13%の範囲にあり、エイコ
サペンタエン酸(EPA)濃度が3〜18%の範囲にあっ
て、トランス異性体含有率が4%以上であるイワシおよ
び/またはサバ油。 【効果】 このイワシおよび/またはサバ油は魚臭の発
生が少なく、しかも、ドコサヘキサエン酸(DHA)や
エイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪
酸を相当量含有しているので、食品素材に適したもので
あり、また、医薬品素材としても利用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚臭が低減されたイワ
シおよび/またはサバ油に関する。本発明のイワシおよ
び/またはサバ油は、魚臭や戻り臭が低減されていると
共にドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエ
ン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸を相当量含有し
ているので、一般の食品や医療食などの油脂素材として
有用である。
【0002】
【従来の技術】油脂は、蛋白質、炭水化物と並び食品の
三大栄養素の一つであって、エネルギー源として重要な
役割を果たしており、日本人においては食事中の総エネ
ルギーに占める脂肪エネルギーの比率は約25%に達して
いる現状にある。また、油脂は生体を構成する重要な成
分でもあり、食物からの脂肪摂取が欠乏すると様々な症
状や障害が現れることが多数報告されている。
【0003】また、油脂はグリセロール骨格に脂肪酸3
分子がエステル結合した構造を有しており、脂肪酸の種
類や組合せによって性状や生体内での役割を大きく左右
される。そして、この脂肪酸の中でも、高度不飽和脂肪
酸には、それ自体あるいはその代謝生産物に生体内で有
用な生理機能を示すものが多い。例えば、リノール酸や
α−リノレン酸は欠乏すると、皮膚異常、組織再生力の
減退、病気感染に対する感受性の増加などの症状をもた
らし、かつ、これらの脂肪酸は生体内で合成されず食事
から摂取しなければならないので、必須脂肪酸とされて
いる。
【0004】これらの必須脂肪酸と並んで、ドコサヘキ
サエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)
は、循環器系疾患やその他の成人病の予防および治療に
有効であるとされており、近年、注目を集めている高度
不飽和脂肪酸である。そして、特に血小板凝集能低下、
血中コレステロール低下、血糖値低下などの血液循環器
系への作用、肝中性脂肪低下やリウマチの治療および予
防効果、各種悪性腫瘍発生率低下作用、アトピー、喘
息、花粉症などに対する免疫調整作用、さらには、最近
注目されている作用として、学習機能や記憶力の向上及
び改善、痴呆症抑制、視力の向上あるいは低下の抑制な
どの神経系に関する作用が報告されている〔「機能性脂
質の開発と応用」佐藤清隆他監修、シーエムシー「食品
と開発」1992年8月号、健康産業新聞社発行〕。
【0005】このように各種の生理機能が報告されてい
るドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン
酸(EPA)は、多くの魚類や鯨の油脂中に存在してお
り、魚種や鯨、または、それらの部位により、あるいは
漁獲の場所と時期により、これらの含有量が異なる。そ
して、イワシ、アジ、サバなどの小型魚の油脂中にはエ
イコサペンタエン酸(EPA)が、カツオ、カジキ、カ
ンパチ、サメなどの大型魚の油脂中にはドコサヘキサエ
ン酸(DHA)が、それぞれ多量に含まれていることが
知られている〔油脂化学便覧第4版〕。
【0006】これらの魚種や鯨の中で、とりわけイワシ
やサバは、内蔵にも肉にも多量の脂肪を持ち、その体脂
肪中に高度不飽和脂肪酸を多量に含有している。
【0007】一般にイワシとは、ニシン目ニシン科 Clu
peidaeのマイワシ、ウルメイワシ亜科Dussumieriinaeの
ウルメイワシ、カタクチイワシ科 Engraulidaeのカタク
チイワシ、およびこれらの近縁種を意味するが、学術的
には、マイワシは Sardinops属、ウルメイワシはEtrume
us属、カタクチイワシは Engraulis属に分類される。ま
た、イワシは世界中の海洋に分布しており、種類によっ
てSardin、Pilchard、Anchovy、Clupeoid、Herring-lik
e fishes などと呼ばれている。このイワシは、魚体重
の10%程度を脂肪が占めており、その体脂肪中にドコサ
ヘキサエン酸(DHA)を4〜14%、エイコサペンタエ
ン酸(EPA)を10〜23%というように、高度不飽和脂
肪酸を多量に含有している。イワシは、利用価値の高い
魚として古くより重宝されており、なますにしたり焼い
たりして、また、塩漬け、粕漬け、塩麹漬け、塩干しな
どの保存処理して、あるいは油漬けの缶詰、瓶詰めなど
に加工して流通され、食に供されている。さらには、飼
料や肥料としても利用されている。このイワシは生産量
の多い魚で、日本における漁獲量は約 272万トン(1992
年) であり、この他に約3万トンを輸入している現状に
ある〔「1993年度版、食品・生産・輸入・消費(水産・
水産加工品編) 」、食品流通研究会、1993年発行〕。
【0008】また、一般にサバとは、スズキ目サバ科Sc
ombridae15属48種の総称であり、主にマサバとゴマサバ
を指す。サバは、日本近海および熱帯、亜熱帯の海域に
分布しており、ラテン名は Scomberで、mackerel
〔英〕、 maquereau〔仏〕、 makrele〔独〕、 makreel
〔蘭〕などと呼ばれ、漁業の対象となっている。このサ
バは、魚体重の10〜15%程度を脂肪が占めており、その
体脂肪中にドコサヘキサエン酸(DHA)を4〜18%、
エイコサペンタエン酸(EPA)を7〜20%というよう
に、高度不飽和脂肪酸を多量に含有している。サバは大
群で回遊する性質を有するので、ヨーロッパ、地中海地
方、日本などでは古くから重要な食用魚とされてきた。
このサバの国内生産量は1980年には 100万トンを越えて
いて、その後は年々減少してきているが、約30万トンの
漁獲量 (1992年) を維持している。輸入量も多く、ノル
ウェーやその他の国から約14万トンを輸入している現状
にある〔「1993年度版、食品・生産・輸入・消費(水産
・水産加工品編) 」、食品流通研究会、1993年発行〕。
【0009】通常、イワシ油やサバ油は、魚体全体もし
くは魚体の一部分から搾汁し、デカンテーションや遠心
分離などの操作により、油分から水溶性画分を除去する
ことで得られる。さらに、この油分に分別やウィンタリ
ングなどの操作を行ってドコサヘキサエン酸(DHA)
やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂
肪酸を濃縮し、それらの含有量を上昇せしめることも可
能である。一方、食品素材にとって香りは重要な因子で
ある。一般的に魚油は、ドコサヘキサエン酸(DHA)
やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂
肪酸を相当量含有していて利用価値の高い油脂である
が、特有の臭気(魚臭)を有しているので、食品素材と
しての利用が制限されている。これはイワシ油において
も同様である。
【0010】現在、魚臭については、活性炭、活性白
土、珪藻土などへの吸着、分子蒸留、あるいは水蒸気蒸
留により、その除去が試みられている。しかし、このよ
うな脱臭処理を行った魚油を食品に配合すると保存中に
魚臭が発生する。この魚臭は、主に高度不飽和脂肪酸で
あるドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエ
ン酸(EPA)などが酸化劣化を受けて発生するもので
あって、臭気成分としては、ノナジエナール、デカトリ
エナール、ヘキセナール、ヘプテナールなどのアルデヒ
ドやオクタジエノンなどのケトンであると報告されてい
る〔Karahadian and Linsay, J. of Am. Oil Chemists'
Society, Vol.66, no.7, p.953, 1989 〕。
【0011】イワシ油やサバ油についても、これらの臭
気成分の除去や発生の抑制が重要な課題であり、前述し
たように、活性炭、活性白土、珪藻土などへの吸着、分
子蒸留、あるいは水蒸気蒸留による魚臭の除去が試みら
れている。しかし、これらの方法により処理したカツオ
油やサバ油も保存中に魚臭を発生するので、ビタミン
E、アスコルビン酸及びその誘導体、レシチン、その
他、各種の酸化防止剤を多量に用いて酸化劣化を抑制す
ることが不可欠となっている現状にある。
【0012】一方、還元処理により安定化された魚油と
して、イワシ油やサバ油を原料とした硬化魚油が従来か
ら製造されており、融点が20〜45℃、好ましくは35℃以
上に上昇した硬化魚油は食品素材として使用し易いとさ
れている〔油脂・油糧ハンドブック、阿部芳郎監修、幸
書房発行〕。しかし、このような硬化魚油では、魚油中
に含まれている高度不飽和脂肪酸が還元され消失してい
る。したがって、現在入手可能な硬化魚油中には、ドコ
サヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(E
PA)が含まれていないか、ごく僅かに残存しているの
みである。この状況は、イワシ油やサバ油の場合も同様
であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑みなされたものであって、その目的は、多くの生理
活性を有するので有用な食品素材となり得るが、特有の
臭気を発生するが故に食品素材としての利用が困難であ
るか、もしくは、その利用が限定されているイワシ油や
サバ油から、魚臭の発生を低減せしめると共にドコサヘ
キサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EP
A)などの高度不飽和脂肪酸を相当量含有するイワシ油
やサバ油を提供することにある。
【0014】本発明者らは、係る目的を達成するため
に、イワシおよび/またはサバ油の還元処理を行い、そ
の保存試験を実施した結果、魚臭の発生が顕著に抑制さ
れると共に優れた風味安定性を示すことを見出した。そ
して、この結果に基づき、鋭意研究を重ねた結果、魚臭
の発生を低減せしめると共にドコサヘキサエン酸(DH
A)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽
和脂肪酸を相当量含有するイワシおよび/またはサバ油
を製造するための還元処理条件を見出し、本発明を完成
するに至った。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の魚臭が低減され
たイワシおよび/またはサバ油は、イワシやサバから搾
汁したイワシおよび/またはサバ油を還元処理すること
により得ることができる。原料となるイワシ油は、イワ
シの魚体から搾油されたものを用いる。また、原料とな
るサバ油は、サバの魚体から搾油されたものを用いる。
これらの魚油は、魚体全体ではなく、肝臓などの臓器部
分や頭部、眼部など部分を限定して魚油を採取しても構
わない。
【0016】本発明の魚臭が低減されたイワシおよび/
またはサバ油を得るために行う還元処理は触媒存在下で
行うが、ここで用いることのできる触媒として、還元ニ
ッケル、ギ酸ニッケル、ラネーニッケル、ホウ化ニッケ
ルなどのニッケル触媒やリチウムアルミニウムハイドラ
イド、水素化ホウ素ナトリウム、さらにプラチナ、パラ
ジウム、鉄、銅などから構成される金属触媒、ランタン
系やカルシウム系の水素貯蔵(吸蔵)合金などを例示す
ることができる。これらの触媒については、その触媒活
性や要求される反応条件に応じて適宜選択して用いる。
【0017】次に、還元処理の手順について説明する。
まず、イワシから搾汁したイワシ油および/またはサバ
から搾汁したサバ油と適宜選択した触媒とを反応容器に
注入する。なお、イワシ油および/またはサバ油と触媒
の割合は、用いる触媒種により異なるので、用いる触媒
種に応じて決定する。また、イワシ油および/またはサ
バ油と触媒とは、必ずしも一緒に反応容器に注入する必
要はなく、先にイワシ油および/またはサバ油を注入し
て所定の条件に到達した後、触媒を注入しても良いし、
その逆の操作を行っても構わない。さらに、反応容器
は、耐圧式で撹拌装置が装備されているものが好ましい
が、その形状やサイズについては特に限定されず、バッ
チ式であっても構わないし、また、連続式であっても構
わない。
【0018】反応容器に供給されたイワシ油および/ま
たはサバ油と触媒については、撹拌しながら減圧操作
(5torr以下)を行うことにより、十分脱気、脱水を行
う。なお、用いるイワシ油および/またはサバ油が十分
脱水されている場合には、必ずしもこの減圧操作を行う
必要はない。この操作が完了した後、反応容器を所定の
反応温度まで昇温する。この反応温度域は、用いる触媒
種により異なるので、用いる触媒種に応じて決定する。
そして、所定反応温度に達したならば、必要に応じて水
素ガスを反応容器に供給し、還元反応を開始する。
【0019】還元反応を開始してから所定の時間が経過
した後、撹拌を止め、水素ガスを用いた場合には水素ガ
スを反応容器から除去することにより、あるいは、用い
た触媒種によっては、水、酸、もしくはアルカリを加え
ることにより、還元反応を停止する。また、急激な温度
操作が可能な反応容器を用いている場合には、反応容器
内のカツオ油の温度を速やかに50℃以下、望ましくは10
℃以下に冷却することにより、還元反応を停止すること
もできる。
【0020】その後、還元処理を行ったイワシおよび/
またはサバ油を反応容器から取り出すが、その際には、
酸化劣化を避けるため、イワシおよび/またはサバ油を
20℃以下に冷却しておくことが好ましい。そして、反応
容器から取り出したイワシおよび/またはサバ油から触
媒および水分などの夾雑物を除去する。これらを除去す
る方法として、固形物を除去するには、濾過操作が有効
である。この濾過操作を行うに際しては、必要に応じ濾
過助剤として活性白土や珪藻土を用いても構わない。ま
た、活性白土や珪藻土に、シリカゲルやフロリジルなど
の吸着剤を混合して用いても構わない。一方、水分を除
去するには、減圧乾燥を行うことが簡便であるが、凍結
乾燥を行ったり、脱水剤を用いても構わない。このよう
な操作を行うことにより、本発明の魚臭が低減されたイ
ワシおよび/またはサバ油を得ることができるが、必要
に応じて水蒸気蒸留などの脱臭操作を行っても構わな
い。なお、得られたイワシおよび/またはサバ油につい
ては、保存中の酸化劣化を防止するために、酸化防止剤
を添加し、不活性ガスを吹き込んだ後、冷蔵保存するこ
とが好ましい。
【0021】この還元処理により、イワシおよび/また
はサバ油中に含まれる上述した魚臭成分やそれらの前駆
体は、還元、異性化もしくは分解を受け、魚臭を発生し
ない化学成分に変換されるので魚臭の発生は低減される
が、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエ
ン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸は相当量残存し
ている。なお、本発明の魚臭が低減されたイワシおよび
/またはサバ油については、ドコサヘキサエン酸(DH
A)を1〜13%の範囲で含有し、かつ、エイコサペンタ
エン酸(EPA)を3〜18%の範囲で含有している。ま
た、本発明の魚臭が低減されたイワシおよび/またはサ
バ油のトランス異性体含有率は4%以上であり、十分安
定化されたイワシおよび/またはサバ油となっていた。
一方、通常のイワシ油やサバ油は位置異性体を殆ど含ま
ず、トランス異性体含有率は1〜2%以下であった。な
お、トランス異性体含有率の測定は、日本油化学協会制
定、基準油脂分析試験法 2. 4. 24 、あるいは、Offici
al and Tentative Methodsof the American Oil Chemis
ts' Society, Official Method Cd 14-61に従って行っ
た。
【0022】なお、必要に応じて、本発明の魚臭が低減
されたイワシおよび/またはサバ油と他の食用油脂を混
合して用いることもできるし、また、予めイワシおよび
/またはサバ油と他の食用油脂を混合した後、還元処理
を行って、本発明の魚臭が低減されたイワシおよび/ま
たはサバ油を製造することもできる。
【0023】さらに、本発明の魚臭が低減されたイワシ
および/またはサバ油について、保存試験を実施し、官
能評価を行ったところ、魚臭の発生が少なく、風味の点
においても優れていることが確認された。したがって、
本発明の魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油
は、食品素材としての利用に適したものであり、ミルク
セーキ、コーヒー飲料、乳酸菌飲料などの飲料、アイス
クリーム、ゼリー、ムース、ヨーグルトなどのデザート
類、味噌、畜肉、魚肉製品、粉ミルク類、チーズフー
ド、ファットスプレッドなどの乳製品や離乳食など、あ
らゆるタイプの食品の原料素材として有用であり、医薬
品の原料としても利用可能である。また、本発明の魚臭
が低減されたイワシおよび/またはサバ油を用いること
により、従来イワシ油やサバ油の風味安定性を確保する
ために用いていた抗酸化剤の添加量についても、その使
用を低減することが可能である。以下に実施例を示し、
本発明をさらに詳しく説明する。
【0024】
【実施例1】精製イワシ油(DHA: 6.5%、EPA:
19.3%、トランス異性体含有率: 0.8%)2kgを反応容
器(4l)に充填し、還元ニッケル触媒1.5g( 0.075重量
%)を添加した。そして、攪拌しながら5torr以下とな
るよう脱気、脱水操作を行った後、水素圧力が3kg/cm2
の雰囲気下、 130℃で15分間還元反応を行った。その
後、水素ガスを反応容器から除去して還元反応を停止
し、20℃以下に冷却した後、活性白土で処理し、本発明
の魚臭が低減されたイワシ油1.75kgを得た。なお、この
イワシ油のDHA含有率は 3.2%、EPA含有率は14.9
%であった。また、トランス異性体含有率は 4.2%であ
った。
【0025】次に、原料として用いた精製イワシ油とこ
の実施例で得られたイワシ油の保存試験を実施した。そ
れぞれのイワシ油 50gを容量 100mlのガラス製蓋付き容
器に入れ、酸化防止剤としてトコフェロール15mgを添加
し、50±1℃に保たれたオーブンに保存して、強制劣化
試験を行った。なお、官能評価は、訓練を受けた専門パ
ネラー10人により行い、魚臭の強度および好ましさにつ
いて、表1に示す基準により行った。
【0026】
【表1】 ──────────────────────────────────── 評価点 魚臭強度 好ましさ ──────────────────────────────────── 0 全く感じない 極めて悪い 1 ほとんど感じない 悪い 2 微かに感じる やや悪い 3 臭気を感じる どちらでもない 4 やや強く感じる 良い 5 強く感じる 極めて良い ────────────────────────────────────
【0027】パネラー全員の評価点の平均値を官能評価
点とし、強制劣化試験を行ったそれぞれのイワシ油につ
いての結果を表2に示す。
【0028】
【表2】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ───────────────────────── 0日目 3日目 0日目 3日目 ──────────────────────────────────── 精製イワシ油 1.5 3.8 3.9 1.8 本発明のイワシ油 1.0 1.9 4.2 3.6 ────────────────────────────────────
【0029】本発明のイワシ油は、精製イワシ油に比較
して、保存0日目から魚臭強度が弱く、好ましさの評価
が高かった。また、保存3日目においても、本発明のイ
ワシ油において魚臭の発生は抑制されており、好ましさ
の評価も高かった。
【0030】
【実施例2】精製イワシ油(DHA: 6.5%、EPA:
19.3%、トランス異性体含有率: 0.8%)500gを反応容
器(1l)に充填し、ラネーニッケル触媒 0.25g( 0.050
重量%)を添加した。そして、攪拌しながら5torr以下
となるよう脱気、脱水操作を行った後、水素圧力が4kg
/cm2の雰囲気下、 110℃で10分間還元反応を行った。そ
の後、水素ガスを反応容器から除去して還元反応を停止
し、20℃以下に冷却した後、活性白土で処理し、本発明
の魚臭が低減されたイワシ油432gを得た。なお、このイ
ワシ油のDHA含有率は 3.9%、EPA含有率は11.4%
であった。また、トランス異性体含有率は8.8%であっ
た。
【0031】次に、原料として用いた精製イワシ油とこ
の実施例で得られたイワシ油の保存試験を実施した。そ
れぞれのイワシ油 50gを容量 100mlのガラス製蓋付き容
器に入れ、酸化防止剤としてトコフェロール15mgを添加
し、30±1℃に保たれたオーブンに保存して、強制劣化
試験を行った。なお、官能評価は、訓練を受けた専門パ
ネラー10人により行い、魚臭の強度および好ましさにつ
いて、表1に示す基準により実施例1と同様に行った。
その結果を表3に示す。
【0032】
【表3】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ───────────────────────── 0日目 7日目 0日目 7日目 ──────────────────────────────────── 精製イワシ油 1.4 4.1 4.0 2.0 本発明のイワシ油 0.9 2.5 4.3 3.4 ────────────────────────────────────
【0033】本発明のイワシ油は、精製イワシ油に比較
して、保存0日目から魚臭強度が弱く、好ましさの評価
が高かった。また、保存7日目においても、本発明のイ
ワシ油において魚臭の発生は抑制されており、好ましさ
の評価も高かった。
【0034】
【実施例3】十分に脱気および脱水を行った精製イワシ
油(DHA:13.3%、EPA:20.6%、トランス異性体
含有率: 0.8%)200gをヘキサン 500mlに溶解して反応
容器(2l)に充填し、パラヂウム触媒(Pd-CaCO3) 10g
を添加した。そして、1kg/cm2の水素雰囲気下、室温
(25℃) で1時間還元反応を行った。その後、イワシ油
を反応容器から取り出し、濾過により触媒を除去した
後、減圧乾燥を行ってヘキサンを除去し、活性白土で処
理して本発明の魚臭が低減されたイワシ油148gを得た。
なお、このイワシ油のDHA含有率は 6.2%、EPA含
有率は15.3%であった。また、トランス異性体含有率は
9.0%であった。
【0035】次に、原料として用いた精製イワシ油とこ
の実施例で得られたイワシ油について、大豆油と混合
し、保存試験を実施した。なお、精製イワシ油およびこ
の実施例で得られたイワシ油中のDHA含有率およびE
PA含有率については、混合油中で 3.0%になるよう大
豆油と混合した。それぞれの混合油 50gを容量 100mlの
ガラス製蓋付き容器に入れ、酸化防止剤としてトコフェ
ロール15mgを添加し、50±1℃に保たれたオーブンに保
存して、強制劣化試験を行った。なお、官能評価は、訓
練を受けた専門パネラー10人により行い、魚臭の強度お
よび好ましさについて、表1に示す基準により実施例1
と同様に行った。その結果を表4に示す。
【0036】
【表4】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ────────────────────────── 0日目 14日目 0日目 14日目 ──────────────────────────────────── 精製イワシ油 1.4 3.2 3.8 2.3 本発明のイワシ油 1.0 2.2 4.1 2.9 ────────────────────────────────────
【0037】本発明のイワシ油混合油は、精製イワシ油
混合油に比較して、保存0日目から魚臭強度が弱く、好
ましさの評価が高かった。また、保存14日目において
も、本発明のイワシ油混合油において魚臭の発生は抑制
されており、好ましさの評価も高かった。
【0038】
【実施例4】精製サバ油(DHA:12.8%、EPA:1
6.4%、トランス異性体含有率: 1.8%)500gを反応容
器(1l)に充填し、還元ニッケル触媒0.375g( 0.075重
量%)を添加した。そして、攪拌しながら5torr以下と
なるよう脱気、脱水操作行った後、水素圧力が3kg/cm2
の雰囲気下、 130℃で20分間還元反応を行った。その
後、水素ガスを反応容器から除去して還元反応を停止
し、20℃以下に冷却した後、活性白土で処理し、本発明
の魚臭が低減されたサバ油373gを得た。なお、このサバ
油のDHA含有率は 8.1%、EPA含有率は13.9%であ
った。また、トランス異性体含有率は 6.2%であった。
【0039】次に、原料として用いた精製サバ油とこの
実施例で得られたサバ油の保存試験を実施した。それぞ
れのサバ油 50gを容量 100mlのガラス製蓋付き容器に入
れ、酸化防止剤としてトコフェロール15mgを添加し、50
±1℃に保たれたオーブンに保存して、強制劣化試験を
行った。なお、官能評価は、訓練を受けた専門パネラー
10人により行い、魚臭の強度および好ましさについて、
表1に示す基準により行った。パネラー全員の評価点の
平均値を官能評価点とし、強制劣化試験を行ったそれぞ
れのサバ油について表5に示す。
【0040】
【表5】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ───────────────────────── 0日目 3日目 0日目 3日目 ──────────────────────────────────── 精製サバ油 1.4 3.7 3.6 1.8 本発明のサバ油 1.1 2.0 4.0 3.4 ────────────────────────────────────
【0041】本発明のサバ油は、精製サバ油に比較し
て、保存0日目から魚臭強度が弱く、好ましさの評価が
高かった。また、保存3日目においても、本発明のサバ
油において魚臭の発生は抑制されており、好ましさの評
価も高かった。
【0042】
【実施例5】精製イワシ油(DHA: 6.5%、EPA:
19.3%、トランス異性体含有率: 0.8%)および精製サ
バ油(DHA:12.8%、EPA:16.4%、トランス異性
体含有率: 1.8%)を重量にして80対20の比率で混合し
た混合油(DHA: 8.8%、EPA:18.7%、トランス
異性体含有率: 1.0%)500gを反応容器(1l)に充填
し、還元ニッケル触媒0.5g(0.10重量%)を添加した。
そして、攪拌しながら5torr以下となるよう脱気、脱水
操作行った後、水素圧力が3kg/cm2の雰囲気下、130℃
で15分間還元反応を行った。その後、水素ガスを反応容
器から除去して還元反応を停止し、20℃以下に冷却した
後、活性白土で処理し、本発明の魚臭が低減されたイワ
シおよびサバ油380gを得た。なお、このイワシおよびサ
バ油のDHA含有率は 4.2%、EPA含有率は16.6%で
あった。また、トランス異性体含有率は 5.9%であっ
た。
【0043】次に、原料として用いた精製イワシおよび
サバ混合油とこの実施例で得られたイワシおよびサバ混
合油の保存試験を実施した。それぞれのイワシおよびサ
バ混合油 50gを容量 100mlのガラス製蓋付き容器に入
れ、酸化防止剤としてトコフェロール15mgを添加し、50
±1℃に保たれたオーブンに保存して、強制劣化試験を
行った。なお、官能評価は、訓練を受けた専門パネラー
10人により行い、魚臭の強度および好ましさについて、
表1に示す基準により行った。パネラー全員の評価点の
平均値を官能評価点とし、強制劣化試験を行ったそれぞ
れのイワシおよびサバ混合油について表6に示す。
【0044】
【表6】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ───────────────────────── 0日目 5日目 0日目 5日目 ──────────────────────────────────── 精製混合油 1.4 3.6 3.5 1.8 本発明の混合油 1.1 2.2 3.9 3.2 ────────────────────────────────────
【0045】本発明の混合油は、精製混合油に比較し
て、保存0日目から魚臭強度が弱く、好ましさの評価が
高かった。また、保存5日目においても、本発明の混合
油において魚臭の発生は抑制されており、好ましさの評
価も高かった。
【0046】
【発明の効果】本発明の魚臭が低減されたイワシおよび
/またはサバ油は、官能的に悪影響を及ぼす魚臭の発生
が少なく、しかも、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエ
イコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸
を相当量含有しているので、食品素材としての利用に適
したものであり、また、医薬品素材としても利用が可能
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の特性を有する魚臭が低減されたイワ
    シおよび/またはサバ油。 (1)油脂の脂肪酸残基中に含まれるドコサヘキサエン
    酸(DHA)濃度が1〜13%の範囲にある。 (2)油脂の脂肪酸残基中に含まれるエイコサペンタエ
    ン酸(EPA)濃度が3〜18%の範囲にある。 (3)トランス異性体含有率が4%以上である。
JP6087433A 1994-01-27 1994-03-31 魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油 Pending JPH07264985A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6087433A JPH07264985A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油
US08/378,276 US5693835A (en) 1994-01-27 1995-01-26 Fish oil having decreased fish odor and a method for preparing the same
DE69515919T DE69515919T2 (de) 1994-01-27 1995-01-27 Fischöl mit reduziertem Fischgeruch und Verfahren zu seiner Herstellung
EP95101137A EP0665287B1 (en) 1994-01-27 1995-01-27 Fish oil having decreased fish odor and a method for preparing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6087433A JPH07264985A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07264985A true JPH07264985A (ja) 1995-10-17

Family

ID=13914741

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6087433A Pending JPH07264985A (ja) 1994-01-27 1994-03-31 魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07264985A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015232100A (ja) * 2014-06-11 2015-12-24 弘 沢上 脂質組成物、高度不飽和脂肪酸、それらの製造方法および製品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015232100A (ja) * 2014-06-11 2015-12-24 弘 沢上 脂質組成物、高度不飽和脂肪酸、それらの製造方法および製品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5006281A (en) Process for the production of a marine animal oil
JP2002540221A (ja) 海洋源からの精製されたトリグリセリドを、穏やかな安定性油に変換するプロセス
JPH0216195A (ja) 魚油の精製
JPH0216960B2 (ja)
JP5550147B2 (ja) 海産物油の脱臭および安定化
EA006503B1 (ru) Очистка сырых масел, содержащих pufa
US5693835A (en) Fish oil having decreased fish odor and a method for preparing the same
JP2008167685A (ja) 風味付けされた油脂の製造法
KR101045397B1 (ko) 오메가-3 지방산 함량이 높은 정제 오징어유의 제조방법
JP6704683B2 (ja) 油相及び水相を含有する液体調味料の製造方法
JPH07274826A (ja) 魚臭が低減されたマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪
JPH07268385A (ja) 魚臭が低減されたカツオおよび/またはマグロ油
JPH07264985A (ja) 魚臭が低減されたイワシおよび/またはサバ油
EP0581267B1 (en) Process for producing docosahexaenoic acid-enriched fish meat food
JP2003061577A (ja) 食用油脂製造方法及び食用油脂脱臭方法
JPS58849A (ja) 新規な食用油および油性栄養食品
JPS61119138A (ja) 食用調合油
JPS6390598A (ja) ドコサヘキサエン酸を含む脂質の製造法
JPH07216383A (ja) 魚臭を低減した魚油及びその製造法
Shahidi et al. Seal blubber oil: a novel source of ω3 fatty acids
Sathivel Production, process design and quality characterization of catfish visceral oil
OTIENO et al. Impact of modified industrial wet pressing on the quantity and quality of Nile perch oil extracted from the viscera.
Shahidi et al. Marine lipids as affected by processing and their quality preservation by natural antioxidants
JPH08308521A (ja) ドコサヘキサエン酸を含有する豆腐及びその製造方法
KR20100110971A (ko) 제올라이트를 이용한 어유의 어취 제거 방법