JPH0726351A - 高温強度の優れたフェライト系耐熱鋼 - Google Patents

高温強度の優れたフェライト系耐熱鋼

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JPH0726351A
JPH0726351A JP17128093A JP17128093A JPH0726351A JP H0726351 A JPH0726351 A JP H0726351A JP 17128093 A JP17128093 A JP 17128093A JP 17128093 A JP17128093 A JP 17128093A JP H0726351 A JPH0726351 A JP H0726351A
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JP
Japan
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temperature strength
less
high temperature
resistant steel
strength
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JP17128093A
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English (en)
Inventor
Takehiro Oono
丈博 大野
Toshihiro Uehara
利弘 上原
Toshio Fujita
利夫 藤田
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スチームタービンの蒸気温度を620℃程度
まで高めることが可能で、比較的安価な耐熱鋼を提供す
る。 【構成】 重量%で、C0.05〜0.20%、Si
0.3%以下、Mn0.05〜1.5%、Ni0.4〜
0.9%、Cr8.0〜13.0%、Mo0.05%を
越え0.50%以下、W2.0〜3.5%、V0.05
〜0.30%、Nb0.01〜0.20%、N0.01
〜0.1%、B0.014%を越え0.060%以下を
含み、残部が実質的にFeおよび不可避の不純物よりな
る高温強度の優れたフェライト系耐熱鋼であり、また注
意深く制御されたBとNiとを組み合わせることで2.
1%未満のCoを添加することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は火力発電用スチームター
ビン部品、ガスタービン部品等に利用可能で、特にター
ビンブレード、タービンディスク、ボルト等に最適な高
温強度の優れたフェライト系耐熱鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、火力発電は効率向上の点から高温
高圧化が目指されており、スチームタービンの蒸気温度
は現在最高の566℃から、600℃〜620℃さらに
究極的には650℃が目標となっている。蒸気温度を高
めるためには、従来使われているフェライト系耐熱鋼よ
り高温強度の優れた材料が必要である。これに対して、
オーステナイト系耐熱合金の中には高温強度の優れた物
があるが、熱膨張係数が大きいために熱疲労強度が劣る
こと、高価であることなどの点から実用化には問題があ
る。このため、近年高温強度を改良した新しいフェライ
ト系耐熱鋼が多数提案されている。その例としては、特
開昭62−103345号、特開平4−371552
号、特開平2−290950号等がある。特に、本発明
者のうちの一人が発明に関与した特開平2−29095
0号においては、CoおよびWを従来の同系統の合金よ
り比較的多く添加することで一段と高温強度の高いフェ
ライト系耐熱鋼が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−290950号に開示される耐熱鋼は、高価なCo
を2.1〜10.0%含むために材料コストが比較的高
くなるという問題がある。前述の様にオーステナイト系
耐熱合金に比較してフェライト系耐熱鋼の一つの有利性
は比較的安価であるという点であるため、Co添加量の
少ない合金が望まれている。本発明の目的は、タービン
ブレード、タービンディスクやボルト等に適用でき、ス
チームタービンの蒸気温度を620℃程度まで高めるこ
とが可能で、比較的安価な耐熱鋼を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特開平2
−290950号に開示される耐熱鋼をもとに、Coの
添加量を低減させるべく種々の検討を行った。その結
果、2.1%以上のCo含有鋼は確かに650℃での使
用を前提とした高温におけるクリープ強度は高いが、6
20℃程度での使用を前提とした場合は、Coを無添加
またはCoを2.1%未満で添加しても、Bを従来鋼よ
りも多く添加し、かつNi量を注意深く制御することで
十分な高温強度を維持できることを見出した。ここでB
とNiの添加量は、Co量との兼ね合いで決定される必
要があり、Coが無添加または低い場合は、B,Niと
も高めの添加量とし、逆にCo量が高い場合は特にB添
加量を下げることにより、620℃程度までの高温強度
が得られる。
【0005】すなわち本発明の第1発明は、重量%で、
C0.05〜0.20%、Si0.3%以下、Mn0.
05〜1.5%、Ni0.4〜0.9%、Cr8.0〜
13.0%、Mo0.05%を越え0.50%以下、W
2.0〜3.5%、V0.05〜0.30%、Nb0.
01〜0.20%、N0.01〜0.1%、B0.01
4%を越え0.060%以下を含み、残部が実質的にF
eおよび不可避の不純物よりなることを特徴とする高温
強度の優れたフェライト系耐熱鋼であり、より好適な範
囲は、重量%で、C0.09〜0.13%、Si0.1
5%以下、Mn0.3〜0.7%、Ni0.4〜0.8
%、Cr9.0〜12.0%、Mo0.1〜0.2%、
W2.4〜3.0%、V0.15〜0.25%、Nb
0.05〜0.13%、N0.02〜0.04%、B
0.015〜0.030%を含み、残部が実質的にFe
および不可避の不純物よりなることを特徴とする高温強
度の優れたフェライト系耐熱鋼である。
【0006】本発明の第2発明は、重量%で、C0.0
5〜0.20%、Si0.3%以下、Mn0.05〜
1.5%、Ni0.05〜0.9%、Cr8.0〜1
3.0%、Mo0.05%を越え0.50%以下、W
2.0〜3.5%、V0.05〜0.30%、Nb0.
01〜0.20%、Co、2.1%未満、N0.01〜
0.1%、B0.010%を越えて含有し、かつNiと
Coの関係がNi+Co≧0.4、かつ、CoとBの関
係が1.75<Co+125B≦7.50を満足し、残
部が実質的にFeおよび不可避の不純物よりなることを
特徴とする高温強度の優れたフェライト系耐熱鋼であ
り、より好適な範囲は、C0.09〜0.13%、Si
0.15%以下、Mn0.3〜0.7%、Ni0.3〜
0.7%、Cr9.0〜12.0%、Mo0.1〜0.
2%、W2.4〜3.0%、V0.15〜0.25%、
Nb0.05〜0.13%、Co0.5〜2.0%、N
0.02〜0.04%、B0.010〜0.030%を
含み、NiとCoの関係がNi+Co≧0.4、かつ、
CoとBの関係が1.75<Co+125Bを満足し、
残部が実質的にFeおよび不可避の不純物よりなるフェ
ライト系耐熱鋼である。
【0007】本発明鋼を、本発明と比較的近い組成を有
する従来の耐熱鋼と比較すると、例えば特開昭62−1
03345号に開示される耐熱鋼はタービンローター
に、また特開平4−371552号に開示される耐熱鋼
は主にボイラー管に用いられるものであるが、これらは
いずれもBの添加量が0.01%以下であるため、本発
明鋼よりクリープ破断強度は低い。
【0008】
【作用】以下、本発明における各元素の限定理由につい
て述べる。Cは、焼入れ性を確保し、また焼戻し過程で
236型炭化物を析出させて高温強度を高めるために
不可欠の元素であり、最低0.05%を必要とするが、
0.20%を越えるとM236型炭化物を過度に析出さ
せ、マトリックスの強度を低めて却って長時間側の高温
強度を損うので、0.05〜0.20%に限定する。望
ましくは、0.09〜0.13%である。Siは、La
ves相の生成を促し、また粒界偏析等により延性を低
下させるので、有害元素として0.30%以下に限定す
る。望ましくは0.15%以下である。Mnは、δフェ
ライトの生成を抑制し、M236型炭化物の析出を促進
する元素として最低0.05%は必要であるが、1.5
%を越えると耐酸化性を劣化させるので、0.05〜
1.5%に限定する。望ましくは0.3〜0.7%であ
る。
【0009】Crは、耐酸化性を付与し、M236型炭
化物を析出させて高温強度を高めるために不可欠の元素
であり、最低8%必要であるが、13%を越えるとδフ
ェライトを生成し、高温強度および靭性を低下させるの
で8.0〜13.0%に限定する。望ましくは9.0〜
12.0%である。Moは、M236型炭化物の微細析
出を促進し凝集を妨げる作用があり、このため高温強度
を長時間保持するのに有効で、最低0.05%必要であ
るが、0.50%以上になるとδフェライトを生成しや
すくするので0.05%を越え0.50%以下に限定す
る。望ましくは0.1〜0.2%である。WはMo以上
にM236型炭化物の凝集粗大化を抑制する作用が強
く、またマトリックスを固溶強化するので高温強度の向
上に有効である。そのため最低2.0%必要であるが、
3.5%を越えるとδフェライトやLaves相を生成
しやすくなり逆に高温強度を低下させるので2.0〜
3.5%に限定する。望ましくは2.4〜3.0%であ
る。
【0010】Vは、炭窒化物を析出して高温強度を高め
る作用があり、最低0.05%を必要とするが、0.3
%を越えると炭素を過度に固定し、M236型炭化物の
析出量を減じて逆に高温強度を低下させるので0.05
〜0.3%に限定する。望ましくは0.15〜0.25
%である。Nbは、NbC炭化物を生成して結晶粒の微
細化に有効であり、また一部は焼入れの際固溶して焼戻
し過程でNbCを析出することにより高温強度を高める
作用があり、最低0.01%必要であるが、0.20%
を越えるとVと同様炭素を過度に固定し、M236型炭
化物の析出量を減少し高温強度の低下を招くので0.0
1〜0.20%に限定する。望ましくは0.05〜0.
13%である。Nは、Vの窒化物を析出し、また固溶し
た状態でMoやWと共同でIS効果(侵入型固溶元素と
置換型固溶元素の相互作用)により高温強度を高める作
用があり、最低0.01%は必要であるが0.1%を越
えると延性を低下させるので0.01〜0.1%に限定
する。望ましくは0.02〜0.04%である。
【0011】Coは、前述の様にクリープ強度を増加さ
せる効果がある。この理由はおそらくCoがM236
炭化物の微細析出と粗大化防止の作用を有するためと考
えられ、特に高温長時間側でその効果が顕著である。さ
らにCoはδフェライトの生成を抑制する効果も有す
る。しかしながら、Coはコストを増加させるため出来
るだけ低く抑えることが望ましい。特開平2−2909
50号に記載の650℃で104時間以上のような条件
下においては確かに2.1%以上のCoの添加が有効で
ある。しかし本発明で対象とする620℃付近で104
時間以上のような条件下においては、Coが無添加また
は2.1%以下でも後述するように0.01%を越える
Bの添加および、適正量のNi、W、Moの添加と組合
わせることにより十分なクリープ強度を保つことができ
る。従ってCoは無添加または2.1%未満に限定し
た。望ましくは0.5〜2.0%である。
【0012】Bは、粒界強化作用およびM236中に固
溶しM236型炭化物の凝集粗大化を妨げる作用により
高温強度を高める。本発明鋼は、前述の様に従来鋼より
も高いBを添加して高温強度の増加を図ったものであ
り、Co無添加の場合には、0.014%を越える量が
必要である。しかし、Coを添加した場合には、Coの
効果との相乗作用により、より低いB量でも高強度が達
成できる。この場合、B量が0.01%を越え、かつ実
験的指標として、Co+125Bの値が1.75を越え
ることが必要である。しかし過度に添加すると溶接性や
鍛造性を害し製造が困難となると共に、Co添加量が多
い場合には、Laves相を生成しやすくなり、却って
高温強度を低下させる。したがって、Co無添加の場合
には0.060%以下、Co添加の場合にはCo+12
5Bの値として7.50以下に限定した。望ましくはC
o無添加の場合、0.015〜0.030%、Co添加
の場合、0.010%を越え0.030%以下、かつ、
Co+125Bの値が1.75を越える範囲である。
【0013】Niは、δフェライトの生成を抑制し靭性
を付与する元素である。特にCoが無添加または添加量
が少ない場合には、δフェライトの生成を抑えるために
多く添加されることが必要となる。そのためNiは、最
低0.05%以上で、かつNi+Coの値を0.4以上
に限定した。一方、Niは0.9%を越えるとA1変態
点を下げる効果のためにクリープ破断強度を低下させる
ので、0.9%以下に限定する。望ましくは0.3〜
0.7%である。
【0014】
【実施例】表1に示す組成の合金を真空誘導溶解によっ
て、10kgのインゴットに鋳造し、30mm角の棒に
鍛造後、1100℃×1Hrの焼入れ、750℃×1H
rの焼戻しを行って、650℃−25kgf/mm2
クリープ破断試験を実施し、その結果を表1に併せて示
す。表1から本発明鋼のNo.1〜10は、比較鋼N
o.21〜26および従来鋼No.32(特開昭62−
103345号に相当)および従来鋼No.33(特開
平4−371552号に相当)よりもはるかに高いクリ
ープ破断強度を有する。また本発明鋼は、Coを2.1
%以上含有する従来鋼No.31(特開平2−2909
50号に相当)に比較してCoを無添加または2.1%
未満の少量添加にもかかわらずほぼ同等のクリープ破断
強度を有することがわかる。
【0015】
【表1】
【0016】また、本発明鋼No.1,No.5、比較
鋼No.22および従来鋼No.31について種々の応
力下でクリープ破断試験を行い、得られたデータから6
20℃−104時間クリープ破断強度を推定し、その結
果を表1に併せて示す。本発明鋼は比較鋼よりも明らか
にクリープ破断強度が高く、また従来鋼No.31(特
開平2−290950号に相当)に比較してCoを無添
加または2.1%未満の少量添加にもかかわらずこの温
度域における長時間クリープ破断強度は、ほぼ同等であ
る。
【0017】
【発明の効果】本発明による耐熱鋼をタービンブレー
ド、タービンディスクやボルト等に適用すれば、スチー
ムタービンの蒸気温度を620℃程度まで高めることが
可能となり、比較的安価な材料が提供できるうえ、火力
発電の効率向上に顕著な効果が期待できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C0.05〜0.20%、S
    i0.3%以下、Mn0.05〜1.5%、Ni0.4
    〜0.9%、Cr8.0〜13.0%、Mo0.05%
    を越え0.50%以下、W2.0〜3.5%、V0.0
    5〜0.30%、Nb0.01〜0.20%、N0.0
    1〜0.1%、B0.014%を越え0.060%以下
    を含み、残部が実質的にFeおよび不可避の不純物より
    なることを特徴とする高温強度の優れたフェライト系耐
    熱鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、C0.05〜0.20%、S
    i0.3%以下、Mn0.05〜1.5%、Ni0.0
    5〜0.9%、Cr8.0〜13.0%、Mo0.05
    %を越え0.50%以下、W2.0〜3.5%、V0.
    05〜0.30%、Nb0.01〜0.20%、Co、
    2.1%未満、N0.01〜0.1%、B0.010%
    を越えて含有し、かつNiとCoの関係がNi+Co≧
    0.4、CoとBの関係が1.75<Co+125B≦
    7.50を満足し、残部が実質的にFeおよび不可避の
    不純物よりなることを特徴とする高温強度の優れたフェ
    ライト系耐熱鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、C0.09〜0.13%、S
    i0.15%以下、Mn0.3〜0.7%、Ni0.4
    〜0.8%、Cr9.0〜12.0%、Mo0.1〜
    0.2%、W2.4〜3.0%、V0.15〜0.25
    %、Nb0.05〜0.13%、N0.02〜0.04
    %、B0.015〜0.030%を含み、残部が実質的
    にFeおよび不可避の不純物よりなることを特徴とする
    高温強度の優れたフェライト系耐熱鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で、C0.09〜0.13%、S
    i0.15%以下、Mn0.3〜0.7%、Ni0.3
    〜0.7%、Cr9.0〜12.0%、Mo0.1〜
    0.2%、W2.4〜3.0%、V0.15〜0.25
    %、Nb0.05〜0.13%、Co、0.5〜2.0
    %、N0.02〜0.04%、B0.010%を越え
    0.030%以下を含み、NiとCoの関係がNi+C
    o≧0.4、かつ、CoとBの関係が1.75<Co+
    125Bを満足し、残部が実質的にFeおよび不可避の
    不純物よりなることを特徴とする高温強度の優れたフェ
    ライト系耐熱鋼。
JP17128093A 1993-07-12 1993-07-12 高温強度の優れたフェライト系耐熱鋼 Pending JPH0726351A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5820817A (en) * 1997-07-28 1998-10-13 General Electric Company Steel alloy
JP2008307679A (ja) * 2007-06-15 2008-12-25 Alstom Technology Ltd フェライト/マルテンサイト9〜12%Cr鋼の表面処理方法
EP2116626A1 (de) * 2008-02-25 2009-11-11 ALSTOM Technology Ltd Kriechfester Stahl

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