JPH072620B2 - 固形化粧料の製造方法 - Google Patents

固形化粧料の製造方法

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JPH072620B2
JPH072620B2 JP60038463A JP3846385A JPH072620B2 JP H072620 B2 JPH072620 B2 JP H072620B2 JP 60038463 A JP60038463 A JP 60038463A JP 3846385 A JP3846385 A JP 3846385A JP H072620 B2 JPH072620 B2 JP H072620B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 固形化粧料に関する。アイライナー,アイブロウなど
で、細径の棒状体として使用されるものに特に好適であ
る。
(従来の技術) 固形化粧料は一般に着色料と賦形材とからなっている。
着色料は顔料や染料,賦形材は高級アルコール,高級脂
肪酸,木ロウ等ワックスなどで、流動パラフィン,ラノ
リン,ワセリンなどの油状物や半固体状物も含有される
ことが多い。
固形物化、従って、成形は、着色料と賦形材とを十分に
混練後、押出成形したり、型に流し込んだりしてなされ
るが、顔料表面に賦形材を着け、圧縮して固形物化され
る場合などもある。
(発明が解決しようとする問題点) 固形化粧料は使用にあたって摩耗しなければならず、従
って、自己摩耗性を有する必要があるが、形状維持のた
めに使われる賦形材は十分に形状維持ができるだけ使う
と肌への塗布感や呈色性を悪いものとしてしまう。逆
に,できるだけ肌への塗布感や呈色性を良好にせんとす
る形状維持性を犠牲にせざるを得ない。現状市販の棒状
化粧料など,上記した形状維持性と肌への塗布感や呈色
性との相関関係が極めて低レベルのところで我慢して使
用されている訳である。
上記については,固形化粧料を,棒状等の所定の成形物
形状を有する、無機顔料の自己摩耗性多孔質焼結成形体
とこの焼結成形体の気孔に含浸された着肌物質とよりな
すことで大巾に改善できる。
しかし,その製造の仕方によって得られる品質特性は大
きく変化し,時として,形状維持性は良くても肌への塗
布感や呈色性は必ずしも良好と言えないものになること
がある。
本発明は,品質特性が良好な製品を得るに好適な製造方
法を提供せんとするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、焼結材料と少なくとも焼結開始時に残存する
気孔形成材とを混合し棒状に成形する工程、次いで成形
物を焼結処理し焼結処理と同時に気孔形成材を除去、も
しくは焼結処理後に残存する気孔形成材を除去すること
によって無機顔料の自己摩耗性多孔質焼結成形体を得る
工程、その後該焼結成形体の気孔中に着肌性物質を含浸
させる工程とよりなる固形化粧料の製造方法を要旨とす
る。
無機顔料の一例は,タルク,カオリン,ベントナイト,
炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,ケイ酸マグネシウ
ム,無水ケイ酸,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化鉄,酸化
クロム,グンジョウなどで,1種もしくは2種以上の組み
合わせ物とされる。好適なものの一例は粘土系のカオリ
ンやベントナイトなどであり,入手容易であるばかりか
比較的低温の焼結処理で十分となる。色の範囲について
は,他の無機顔料との共存によって種々の色とすること
ができる。2種以上の組み合わせ物の場合,少くとも1
種の無機顔料が焼結成形体中で骨格を形成しておればよ
い。また,使用する材料,即ち,焼結材料としては焼結
成形体として存在する無機顔料そのものでなくてもよ
い。例えば有機ベントナイトのように改質処理されたも
のを焼結材料として使えば,焼結処理によって変化する
し,その他,焼結材料の中には焼結処理時の雰囲気によ
って変成を受けるものなども多く存在する。
焼結成形体の有する気孔に含浸される着肌性物質として
は,賦形材として前に例記したものをはじめ,また,乳
化型,軟膏型,エマルション型など種々の化粧料におい
て基材として使用されている他のものも含め,種々のも
のが使用できる。含浸し難い場合には,適宜加熱や加圧
をしたり溶剤を併用したりすればよい。また,染料,香
料,酸化防止剤,防腐剤など併用することもできる。同
じ焼結体を用い,着肌性物質を変えるだけでも種類の異
なる固形化粧料とすることができる。
気孔形成材は,その名が示すとおり,気孔を形成するた
めに使用される材料であり,例えば焼結処理時の熱によ
って,あるいはまた,焼結処理後の薬品処理によって
と,最終的には少くともその一部が除去されることによ
って気孔率の制御に役立つものであり,前述したよう
に,焼結処理における少くとも焼結開始時に残存するも
のでなければならない。従って,使用し得る物質として
は各種無機物,有機物が挙げられるが,焼結材料の種類
や焼結処理時の雰囲気などとの関係で適宜選択する必要
がある。その結果は,また,気孔形成材の除去処理の方
法とも関係することになる。例えば,亜鉛,銅,アルミ
ニウムなどの金属を使用する場合,焼結処理時の雰囲気
によって酸化,炭酸化,窒化などの化合物化することも
あるので,除去処理もその化合物が除去できるものを選
択し,また,塩化ナトリウムや硫酸カリウムのように水
溶性のものを使用する場合には,焼結粉末の成形体を作
る際に,成形助材としてのポリビニルアルコールなどの
水溶性樹脂と溶剤としての水との組み合わせを選択する
ことは望まれず,その代わりに,焼結処理後,酸やアル
カリによらず水による溶解除去が可能であるし,また,
前記したポリビニルアルコールなどの成形助材の中で炭
素収率の高いものを使用すれば,焼結処理を窒素ガスな
ど非酸化性の雰囲気でなすことにより気孔形成材たらし
めることができるが,焼結処理と工程の一連性はともか
く,あらためて酸化性雰囲気による処理を施さなければ
安定な炭化物の除去は困難である。
焼結材料として粘土系のものを使用することは,その低
温焼結が可能であることにより,気孔形成材として使用
できるものの範囲を大きくできる点で有利である。特
に,気孔形成材として炭素質物質,例えばカーボンブラ
ックや黒鉛,を,しかも,焼結処理時,格別に非酸化性
雰囲気と酸化性雰囲気の両者を必要とせずに使用でき
る。即ち,酸素100%といったように積極的な酸化雰囲
気における焼結処理を施したり,焼結処理時の昇温速度
を余程少さくしなければならない場合はともかく,通常
の焼結処理ならば空気雰囲気であっても,焼結開始時に
これら炭素質物質は十分に残存し得る。従って,焼結処
理と気孔形成材の除去処理が容易かつ同時になし得る訳
である。
製品を得るにあたっては,例えば,焼結材料と気孔形成
材と,必要に応じて使用されるポリビニルアルコール,
ポリ塩化ビニル,ポリメチルメタクリレート,ABS樹脂な
どの成形助材,可塑剤,溶剤,安定剤,焼結助材などを
ミキサーやロール機で混練(混合)後,棒状その他の適
宜形状に成形し,これを焼結処理し,また,必要に応じ
て気孔形成材の除去処理を焼結処理の途中工程もしくは
別工程としてあらためてなし,その後,着肌性物質を含
浸するが,焼結材料と気孔形成材とを先ずドライブレン
ドしておくなど工程は適宜変更できるし,成形助材など
使用しないで型入れ状態のまま焼結処理して製品を得る
ことなどもできる。ちなみに,使用材料によっても異な
るが,焼結成形体の有する気孔率は好ましくは50%〜90
%程度,より好ましくは65%〜85%程度とすると概して
よい。
(作用) 以下,本発明者の考察を記す。
気孔形成材が気孔形成のためのものであることは前述し
たが,焼結開始時,従って,焼結骨格が形成され始める
時,残存していることにより,その焼結骨格が有するこ
とになる多孔質度の設定に寄与することになる。即ち,
気孔率そのものは,焼結材料その他の材料の種類とか使
用割合とか,また,焼結処理条件などによって種々のも
のとなし得るが,多孔質度は気孔率のみならず気孔径の
分布如何にもよるものであり,この気孔径の分布が気孔
形成材の使用によって変化する。気孔径の分布が変われ
ば,焼結成形体とともに品質特性を決める着肌性物質の
含有量も変わる。結局,気孔形成材の使用によって品質
特性が変わる訳で,この変化が良好な方向になることに
ついては,下記実施例並びにその評価結果が示すとおり
である。
(実施例) 以下,単に部とあるのは重量部を示す。
〈実施例1〉 粘土(ベントナイト系) 20部 酸化鉄 30部 鱗状黒鉛 30部 ポリメチルメタクリレート 30部 ジオクチルフタレート 30部 メチルエチルケトン 100部 上記配合材料をミキサー及びロール機で混練後,細線状
に押出成形し,長さ40mmに切断後,磁性坩堝に並べ入
れ,酸化性(空気)雰囲気下,24時間かけて780℃まで昇
温し,780℃で1時間保持した。自然冷却後,取り出した
ものは直径1.2mmの茶褐色の円柱状焼結成形体であり,
これに下記配合材料を一様に調整した着肌性物質を含浸
させた(含浸温度100℃)。
カルナバワックス 10部 セレシンワックス 10部 ミツロウ 10部 ワセリン 40部 ラノリン 20部 流動パラフィン 40部 ミリスチン酸イソプロピル 6部 〈実施例2〜4〉 実施例1において,黒鉛の使用量を10部,20部,40部とし
た以外,すべて実施例1と同様にしたものを順に実施例
2〜4とする。
〈実施例5〉 実施例1において,黒鉛に代えカーボンブラックを使用
した以外,すべて実施例1と同様にした。
〈実施例6〉 実施例1において,780℃までの熱処理を酸化性雰囲気か
ら非酸化性(密閉)雰囲気に変え,780℃で1時間保持
後,あらためて,空気雰囲気下,700℃3時間の処理を施
した以外,すべて実施例1と同様にした。
〈実施例7〉 実施例1において,黒鉛に代え塩化ナトリウム微粉を使
用した以外はすべて実施例1と同様にして得た焼結成形
体を,いったん充分に水洗,乾燥した後,実施例1同様
に着肌性物質を含浸させた。
〈比較例1〉 実施例1において,黒鉛を使用しなかった以外,すべて
実施例1と同様にした。
〈比較例2〉 粘土(ベントナイト系) 20部 酸化鉄 30部 ABS樹脂 42部 ジオクチルフタレート 30部 メチルエチルケトン 100部 上記配合材料を使用したこと,及び,780℃までの昇温を
10時間でなし,780℃で保持することなく,そのまま自然
冷却したこと以外は,すべて実施例1と同様にした。
〈比較例3〉 カルナバワックス 10部 パラフィンワックス 20部 キャンデリラワックス 3部 ミツロウ 1部 イソステアリン酸 5部 流動パラフィン 7部 メチルフェニルポリシロキサン 4部 上記配合材料を一様溶解した中に,酸化鉄40部とタルク
3部とを加え,ロール機で混練後,型に流し込んで直径
1.2mmの茶褐色の円柱状体を得た。
(発明の効果) 各例で得たものについて特性評価した結果を表−1に示
す。
(注1) 気孔率は着肌性物質含浸前の焼結成形体につ
いてのもので,置換法によって測定した(20℃)。即
ち,焼結成形体の体積をV,重量をW,水を煮沸含浸後の焼
結成形体の重量をW′,水の密度をDとしたとき, 気孔率={(W′−W)/DV}×100(%) (注2) 曲げ強さはレオメータを使用して測定した
(25℃)。
(注3) 肌への塗布感,呈色性は官能によるもので,
比較例2を基準とし,これにより良好なものを○,同等
のものを△,悪いものを×とした。
表−1より,本発明の製造方法が品質特性が良好な製品
を得るに好適な製造方法であること,また,これが,気
孔率の値が等しかった実施例1と比較例2との対比から
気孔形成材の使用によるものであることが判る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼結材料と少なくとも焼結開始時に残存す
    る気孔形成材とを混合し棒状に成形する工程、次いで成
    形物を焼結処理し焼結処理と同時に気孔形成材を除去、
    もしくは焼結処理後に残存する気孔形成材を除去するこ
    とによって無機顔料の自己摩耗性多孔質焼結成形体を得
    る工程、その後該焼結成形体の気孔中に着肌性物質を含
    浸させる工程とよりなる固形化粧料の製造方法。
JP60038463A 1985-02-27 1985-02-27 固形化粧料の製造方法 Expired - Lifetime JPH072620B2 (ja)

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