JPH0726104A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JPH0726104A
JPH0726104A JP19563993A JP19563993A JPH0726104A JP H0726104 A JPH0726104 A JP H0726104A JP 19563993 A JP19563993 A JP 19563993A JP 19563993 A JP19563993 A JP 19563993A JP H0726104 A JPH0726104 A JP H0726104A
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JP
Japan
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weight
polyorganosiloxane
component
flame retardant
rubber
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Pending
Application number
JP19563993A
Other languages
English (en)
Inventor
Seiichi Nochimori
誠一 後守
Hidemi Hishikawa
英海 菱川
Kenju Furuyama
建樹 古山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 摺動性、難燃性および成形加工性に優れた難
燃性樹脂組成物を提供する。 【構成】 (A)ポリオルガノシロキサン系グラフト共
重合体5〜95重量%、(B)ポリカーボネート95〜
5重量%〔ただし、(A)+(B)=100重量%〕、
および(C)リン系難燃剤を、(A)成分および(B)
成分の合計量100重量部に対し、1〜40重量部配合
してなる難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動性、難燃性および
成形加工性に優れた難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂とポリカーボネートとのアロ
イは、耐熱性、耐衝撃性、成形加工性の優れた樹脂とし
て知られている。しかしながら、ギヤー、軸受け、キー
ボードなどの機構部品に必要な摺動性材料としては、摺
動性が悪く使用できないし、難燃性も不充分である。ま
た、ABS樹脂とポリカーボネートとのアロイにリン化
合物を加えた非ハロゲン難燃樹脂が、最近、上市された
が、難燃性を有するものの、摺動性が悪く、上記分野に
使用することはできない。
【0003】一方、摺動性の優れた材料として、ポリア
セタールやフッ素コーティングのABS樹脂などがある
が、いずれも難燃材料ではない。また、摺動性の優れた
ポリオルガノシロキサン系熱可塑性樹脂が提案されてい
るが(特開平2−8209号公報)、これも難燃材料で
はない。このように、摺動材料でかつ難燃性を併せ持
ち、機構部品に使用し得る材料がないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、摺動性、難燃性およ
び成形加工性に優れた難燃性樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)グラフ
ト交叉剤を0.1〜50重量%共縮合した変性ポリオル
ガノシロキサン(a)5〜90重量%の存在下に、芳香
族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アク
リル酸エステル、酸無水物系単量体およびマレイミド系
化合物の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分
(b)95〜10重量%〔ただし、(a)+(b)=1
00重量%〕を重合して得られるポリオルガノシロキサ
ン系熱可塑性樹脂(A−1)(以下「ポリオルガノシロ
キサン系熱可塑性樹脂(A−1)」ともいう)、あるい
は該(A−1)成分と、必要に応じて上記(a)成分以
外のゴム状重合体(a′)の存在下または非存在下に上
記単量体成分(b)を重合して得られる(ゴム変性)熱
可塑性樹脂(A−2)(以下「(ゴム変性)熱可塑性樹
脂(A−2)」ともいい、(A−1)成分およびこれと
必要に応じて使用される(A−2)成分を総称して
「(A)成分」ともいう)5〜95重量%、(B)ポリ
カーボネート95〜5重量%〔ただし、(A)+(B)
=100重量%〕、ならびに(C)リン系難燃剤を、上
記(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に
対し、1〜40重量部、配合したことを特徴とする難燃
性樹脂組成物を提供するものである。
【0006】本発明のポリオルガノシロキサン系熱可塑
性樹脂(A−1)に使用される変性ポリオルガノシロキ
サン(a)は、オルガノシロキサン(I)とグラフト交
叉剤(II) とを共縮合して得られる。ここで、オルガノ
シロキサン(I)としては、例えば一般式R1 n SiO
(4-n)/2 (式中、R1 は置換または非置換の1価の炭化
水素基であり、nは0〜3の整数を示す)で表される構
造単位を有するものであり、直鎖状、分岐状または環状
構造を有するが、好ましくは環状構造を有するオルガノ
シロキサンである。このオルガノシロキサン(I)の有
する置換または非置換の1価の炭化水素基としては、例
えばメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、フェ
ニル基、およびそれらをハロゲン原子またはシアノ基で
置換した置換炭化水素基などを挙げることができる。ま
た、前記平均組成式中、nの値は0〜3の整数である。
【0007】オルガノシロキサン(I)の具体例として
は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチル
シクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロ
キサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメ
チルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合
物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサ
ンを挙げることができる。なお、このオルガノシロキサ
ン(I)は、あらかじめ縮合された、例えばポリスチレ
ン換算の重量平均分子量が500〜10,000程度の
ポリオルガノシロキサンであってもよい。また、オルガ
ノシロキサン(I)が、ポリオルガノシロキサンである
場合、その分子鎖末端は、例えば水酸基、アルコキシ
基、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メ
チルフェニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル
基などで封鎖されていてもよい。
【0008】また、本発明で使用されるグラフト交叉剤
(II) は、例えば次のものを挙げることができる。 (イ)
【0009】
【化1】
【0010】(式中、R2 は水素原子または炭素数1〜
6のアルキル基を示す)で表される不飽和基と、アルコ
キシシリル基とを併せ持つグラフト交叉剤。
【0011】(ロ)R3 p SiO(3-p)/2 (式中、R3
はビニル基またはアリル基、pは0〜2の整数を示
す。) 具体例;ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニル
テトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキ
シシラン。
【0012】(ハ)HSR4 SiR5 q (3-q)/2 (式
中、R4 は炭素数1〜18の2価または3価の飽和脂肪
族炭化水素基、R5 は炭素数1〜6の脂肪族不飽和基を
含有しない1価の炭化水素基であり、qは0〜2の整数
を示す。) 具体例;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ
ン。
【0013】(ニ) (式中、R6 は水素原子、メチル基、エチル基、プロピ
ル基またはフェニル基、rは1〜6の整数、sは0〜2
の整数を示す。) 具体例;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシ
シラン。
【0014】これらのグラフト交叉剤(II) のうち、特
に好ましくは前記(イ)で表される不飽和基とアルコキ
シシリル基とを併せ持つ化合物である。この(イ)グラ
フト交叉剤について、さらに詳述すると、前記一般式の
2 としては、水素原子または炭素数1〜6のアルキル
基であるが、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基
が好ましく、さらに好ましくは水素原子またはメチル基
である。
【0015】これらの(イ)グラフト交叉剤としては、
具体的にはp−ビニルフェニルメチルジメトキシシラ
ン、1−(m−ビニルフェニル)メチルジメチルイソプ
ロポキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチレン
メチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルフェノキ
シ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(p−ビニ
ルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、
1−(o−ビニルフェニル)−1,1,2−トリメチル
−2,2−ジメトキシジシラン、1−(p−ビニルフェ
ニル)−1,1−ジフェニル−3−エチル−3,3−ジ
エトキシジシロキサン、m−ビニルフェニル−〔3−
(トリエトキシシリル)プロピル〕ジフェニルシラン、
〔3−(p−イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピ
ル〕フェニルジプロポキシシランなどのほか、これらの
混合物を挙げることができる。(イ)グラフト交叉剤と
しては、好ましくはp−ビニルフェニルメチルジメトキ
シシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジ
メトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プ
ロピルメチルジメトキシシランであり、さらに好ましく
はp−ビニルフェニルメチルジメトキシシランである。
この(イ)グラフト交叉剤を用いたものは、グラフト率
の高いものが得られ、従って一段と優れた本発明の目的
とする組成物が得られる。
【0016】このグラフト交叉剤(II) の使用割合は、
(I)成分と(II) 成分の合計量中、0.1〜50重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは
0.5〜5重量%であり、0.1重量%未満では得られ
る変性ポリオルガノシロキサン(a)と単量体成分
(b)とのグラフト重合において高いグラフト率が得ら
れず、その結果、変性ポリオルガノシロキサン(a)と
グラフトされた(共)重合体間の界面接着力が低下し、
層状剥離が生じ、得られるポリオルガノシロキサン系熱
可塑性樹脂(A−1)に充分な衝撃強度が得られない。
一方、グラフト交叉剤(II) の割合が50重量%を超え
ると、グラフト率は増大するが、グラフトされた(共)
重合体の重合がグラフト交叉剤(II) の増加とともに低
下し、この(共)重合体が低分子量となり、その結果、
充分な衝撃強度が得られない。
【0017】変性ポリオルガノシロキサン(a)は、前
記オルガノシロキサン(I)とグラフト交叉剤(II) と
を、例えばアルキルベンゼンスルホン酸などの乳化剤の
存在下にホモミキサーなどを用いて剪断混合し、縮合さ
せることによって製造することができる。この乳化剤
は、オルガノシロキサン(I)の乳化剤として作用する
ほか縮合開始剤となる。この乳化剤の使用量は、(I)
成分および(II) 成分の合計量に対して、通常、0.1
〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%程度である。
なお、この際の水の使用量は、(I)成分および(II)
成分100重量部に対して、通常、100〜500重量
部、好ましくは200〜400重量部である。また、縮
合温度は、通常、5〜100℃である。
【0018】なお、変性ポリオルガノシロキサン(a)
の製造に際し、得られる樹脂の耐衝撃性を改良するため
に、第3成分として架橋剤を添加することもできる。こ
の架橋剤としては、例えばメチルトリメトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ンなどの3官能性架橋剤、テトラエトキシシランなどの
4官能性架橋剤を挙げることができる。この架橋剤の添
加量は、オルガノシロキサン(I)およびグラフト交叉
剤(II) の合計量に対して、通常、10重量%以下、好
ましくは5重量%以下程度である。なお、このようにし
て得られる変性ポリオルガノシロキサン(a)のポリス
チレン換算重量平均分子量は、通常、30,000〜
1,000,000、好ましくは50,000〜30
0,000程度である。
【0019】次に、このようにして得られる変性ポリオ
ルガノシロキサン(a)に、単量体成分(b)をグラフ
ト重合することにより、グラフト共重合体〔グラフトさ
れていない(共)重合体を含む〕を含有するポリオルガ
ノシロキサン系熱可塑性樹脂(A−1)が得られる。
【0020】本発明に使用される単量体成分(b)は、
芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)
アクリル酸エステル、酸無水物系単量体およびマレイミ
ド系化合物の群から選ばれた少なくとも1種の単量体で
ある。ここで、芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシス
チレン、α−エチルスチレン、メチル−α−メチルスチ
レン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモス
チレン、トリブロモスチレン、クロルスチレン、ジクロ
ルスチレン、トリクロルスチレン、スチレンスルホン酸
ナトリウムなどが挙げられる。これらのなかで、スチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンが好まし
い。
【0021】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これ
らのなかで、アクリロニトリルが好ましい。(メタ)ア
クリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げら
れる。これらのなかで、メタクリル酸メチル、アクリル
酸ブチルが好ましい。酸無水物系単量体としては、無水
マレイン酸が好ましい。
【0022】マレイミド系化合物としては、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、
N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニ
ル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マ
レイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マレイミ
ド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、など
が挙げられる。これらのなかで、マレイミド、N−フェ
ニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ま
しい。これらの単量体成分(b)は、1種単独であるい
は2種以上を併用することができる。
【0023】変性ポリオルガノシロキサン(a)の存在
下で重合される単量体成分(b)の好ましい組み合わせ
は、以下のとおりである。 (1)芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物 (2)芳香族ビニル化合物/(メタ)アクリル酸エステ
ル (3)上記(1)/(メタ)アクリル酸エステル (4)芳香族ビニル化合物/マレイミド系化合物 (5)上記(1)/マレイミド系化合物 (6)上記(2)/マレイミド系化合物 (7)上記(1)/酸無水物系単量体 (8)上記(2)/酸無水物系単量体 (9)上記(3)/酸無水物系単量体 (10)上記(4)/酸無水物系単量体
【0024】変性ポリオルガノシロキサン(a)に単量
体成分(b)をグラフト重合する際の仕込み組成は、
(a)成分5〜90重量%、好ましくは10〜60重量
%、さらに好ましくは10〜40重量%、(b)成分9
5〜10重量%、好ましくは90〜40重量%、さらに
好ましくは90〜60重量%〔ただし、(a)+(b)
=100重量%〕であり、(a)成分が5重量%未満で
は充分な摺動性、衝撃強度が得られず、一方(a)成分
が90重量%を超えると外観不良や衝撃強度の低下を生
じる。
【0025】このようにして得られるポリオルガノシロ
キサン系熱可塑性樹脂(A−1)のグラフト率は、10
重量%以上、好ましくは20重量%以上、さらに好まし
くは30重量%以上程度である。ポリオルガノシロキサ
ン系熱可塑性樹脂(A−1)のグラフト率が10重量%
未満では、得られる組成物の成形時の成形収縮が大きく
なり、さらに外観不良、衝撃強度の低下が生じるので好
ましくない。このグラフト率は、重合開始剤の量および
種類、重合温度、重合方法などを適宜選択することによ
り、調整することができる。
【0026】なお、ポリオルガノシロキサン系熱可塑性
樹脂(A−1)の製造時に用いる変性ポリオルガノシロ
キサン(a)の平均粒子径は、好ましくは5,000Å
以下、さらに好ましくは4,000Å以下、特に好まし
くは3,000Å以下である。この平均粒子径が5,0
00Åを超えると、摺動性が充分でなく、また成形時の
成形収縮が大きくなるので好ましくない。この際、使用
する変性ポリオルガノシロキサン(a)の平均粒子径
は、該(a)成分の製造時に攪拌条件を選択することに
より、あるいは各種粒子径の該(a)成分をブレンドす
ることにより、調整することができる。
【0027】本発明に使用されるポリオルガノシロキサ
ン系熱可塑性樹脂(A−1)を製造するに際しては、例
えば変性ポリオルガノシロキサン(a)に単量体成分
(b)を通常のラジカル重合によってグラフト重合し、
グラフト共重合体を含有する組成物として得られる。こ
こで、ラジカル重合開始剤の種類によっては、前述のよ
うにアルキルベンゼンスルホン酸により酸性となってい
る変性ポリオルガノシロキサン(a)のラテックスを、
アルカリで中和する必要がある。このアルカリとして
は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミ
ン、トリエチルアミンなどが用いられる。
【0028】また、ラジカル重合開始剤としては、例え
ばクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベン
ゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパ
ーオキサイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類から
なる酸化剤と、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレー
ト処方、含糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレート処方
の混合処方などの還元剤との組み合わせによるレドック
ス系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムな
どの過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル
−2,2′−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイ
ルアザイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有
機過酸化物などを挙げることができ、好ましくは前記レ
ドックス系の開始剤である。これらのラジカル重合開始
剤の使用量は、使用される単量体成分(b)100重量
部に対し、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.
1〜3重量部程度である。
【0029】この際のラジカル重合法としては、乳化重
合あるいは溶液重合によって実施することが好ましい。
乳化重合に際しては、公知の乳化剤、前記ラジカル開始
剤、連鎖移動剤などが使用される。ここで、乳化剤とし
ては、オレイン酸カリウム、ロジン酸カリウムなどのア
ニオン系乳化剤、あるいはポリオキシエチレンアルキル
エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル
などのノニオン系乳化剤の1種または2種以上を挙げる
ことができる。乳化剤の使用量は、単量体成分(b)に
対して、通常、0.5〜5重量%程度である。連鎖移動
剤としては、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメル
カプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシ
ルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、臭
化エチレンなどのハロゲン化合物が、単量体成分(b)
に対して、通常、0.02〜1重量%使用される。
【0030】乳化重合に際しては、ラジカル重合開始
剤、乳化剤、連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各
種電解質、pH調整剤などを併用して、単量体成分
(b)100重量部に対して、通常、水を100〜50
0重量部と、前記ラジカル重合開始剤、乳化剤、連鎖移
動剤などを前記範囲内の量を使用し、重合温度5〜10
0℃、好ましくは50〜90℃、重合時間0.1〜10
時間の条件で乳化重合される。なお、乳化重合の場合
は、オルガノシロキサン(I)とグラフト交叉剤(II)
との縮合によって得られる、変性オルガノポリシロキサ
ン(a)を含有するラテックスに、単量体成分(b)お
よびラジカル開始剤を加えることによって実施すること
もできる。
【0031】一方、溶液重合の場合は、変性ポリオルガ
ノシロキサン(a)および単量体成分(b)を、有機溶
媒に溶解し、これにラジカル開始剤、必要に応じて連鎖
移動剤、各種添加剤を加えてラジカル重合させる。この
溶液重合で使用される有機溶媒としては、トルエン、n
−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、テトラヒ
ドロフランなどが挙げられる。溶液重合に際しては、ラ
ジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤などを併用
して、単量体成分(b)100重量部に対して、通常、
有機溶媒を80〜500重量部と、前記ラジカル重合開
始剤、連鎖移動剤などを前記範囲内の量を使用し、重合
温度5〜150℃、好ましくは50〜130℃、重合時
間1〜10時間の条件で溶液重合される。この溶液重合
の場合は、乳化重合の場合よりも不純物を著しく減少す
ることができる。
【0032】本発明に使用されるポリオルガノシロキサ
ン系熱可塑性樹脂(A−1)は、乳化重合により製造し
た場合、通常の方法により凝固させ、得られた粉末を水
洗したのち、乾燥することによって精製される。また、
溶液重合の場合、水蒸気蒸溜によって未反応のモノマー
と溶媒を留去したのち、得られる樹脂の塊を細かく砕い
て乾燥することによって精製される。
【0033】上記(A)成分には、ポリオルガノシロキ
サン系熱可塑性樹脂(A−1)のほかに、必要に応じて
上記(a)成分以外のゴム状重合体(a′)の存在下に
上記単量体成分(b)を重合して得られるゴム変性熱可
塑性樹脂および/または上記単量体成分(b)を重合し
て得られる熱可塑性樹脂からなる(ゴム変性)熱可塑性
樹脂(A−2)を配合してもよい。
【0034】上記ゴム状重合体(a′)としては、ポリ
ブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソ
プレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチ
レン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレ
ン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、イソブチ
レン−イソプレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−
ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブ
タジエン−スチレンラジアルテレブロック共重合体、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、SE
BSなどの水素添加ジエン系(ブロック、ランダム、お
よびホモ)重合体、ポリウレタンゴム、アクリルゴムな
どが挙げられる。これらのなかで、ポリブタジエン、ブ
タジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−
(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン−1−
(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジエン系重合体が
好ましい。
【0035】また、(ゴム変性)熱可塑性樹脂(A−
2)に使用される単量体成分(b)は、上記ポリオルガ
ノシロキサン系熱可塑性樹脂(A−1)に使用される単
量体成分(b)と同様である。上記(ゴム変性)熱可塑
性樹脂(A−2)中のゴム状重合体(a′)の含有率
は、好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10
〜65重量%である。ゴム状重合体(a′)の含有率
が、5重量%未満の場合には耐衝撃性が充分でなく、一
方80重量%を超えるとグラフト率、樹脂の表面光沢お
よび成形加工性が低下する。
【0036】また、(ゴム変性)熱可塑性樹脂(A−
2)のグラフト率は、5〜200重量%、好ましくは1
0〜150重量%である。グラフト率が5重量%未満で
は、ゴム成分の添加効果が充分発揮されず、例えば充分
な耐衝撃性が得られない。一方、200重量%を超える
と、難燃時のドリッピング(溶融滴下)が起こりやすく
なる。ここで、グラフト率は、材料1gを精秤採取し、
これにアセトン20ccを加え、10時間振とうさせ、
その後、回転数20,000rpmの遠心分離機を用い
て可溶分と不溶分を分離し、不溶分を真空乾燥機で乾燥
し、不溶分(X)を得た。一方、重合組成と重合転化率
から不溶分(X)中のゴム量(R)を算出し、次式より
グラフト率を求めた値である。 グラフト率(%)=〔(X)−(R)〕×100/
(R)
【0037】さらに、(A−2)成分中のマトリックス
樹脂の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃
で測定)は、0.1〜1.2dl/g、好ましくは0.
2〜0.8dl/gである。極限粘度〔η〕が0.1d
l/g未満であると、衝撃強度が充分に発現されず、一
方1.2dl/gを超えると、成形加工性が低下する。
ここで、マトリックス樹脂とは、(A−2)成分中のグ
ラフト化ゴム成分以外の樹脂成分のことであり、上記極
限粘度〔η〕は、(A−2)成分のうち、メチルエチル
ケトン溶解分を常法に従って測定することによって求め
た値である。
【0038】このように、(A−2)成分は、上記ゴム
状重合体(a′)の存在下または非存在下に、単量体成
分(b)を重合して得られる重合体もしくはそれらの混
合組成物である。上記(ゴム変性)熱可塑性樹脂(A−
2)は、例えば ゴム状重合体(a′)の存在下に、単量体成分(b)
を重合する方法、 ゴム状重合体(a′)の存在下に、単量体成分(b)
の一部を重合し、残りの単量体成分(b)を別途重合
し、これらをブレンドするグラフト・ブレンド法、さら
には 上記またはの方法において、ゴム状重合体
(a′)を使用しない製造方法、によって得られる。 上記(A−2)成分の代表的な組成物は、ABS樹脂お
よび/またはスチレンとアクリロニトリル共重合体(A
S樹脂)とからなるゴム強化樹脂組成物を挙げることが
できる。
【0039】本発明で使用される上記(A)成分は、ポ
リオルガノシロキサン系熱可塑性樹脂(A−1)に、必
要に応じて(ゴム変性)熱可塑性樹脂(A−2)を組み
合わせて使用されるが、両者の割合は、(A−1)成分
が、5〜100重量%、好ましくは5〜95重量%、さ
らに好ましくは30〜90重量%、特に好ましくは50
〜80重量%である。(A−1)成分が5重量%未満で
は、得られる組成物の摺動性が低下する。
【0040】(A)成分の割合は、(A)成分および下
記(B)ポリカーボネートからなる樹脂成分中に、5〜
95重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに好ま
しくは15〜80重量%である。(A)成分の割合が、
5重量%未満では摺動性および成形加工性が劣り、一方
95重量%を超えると難燃性が劣るものとなる。
【0041】次に、本発明に使用される(B)ポリカー
ボネートとしては、種々のジヒドロキシアリール化合物
とホスゲンとの反応によって得られるもの(ホスゲン
法)、あるいはジヒドロキシアリール化合物とジフェニ
ルカーボネートとのエステル交換反応によって得られる
もの(エステル交換法)が挙げられる。代表的なポリカ
ーボネートとしては、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンとホスゲンとの反応によって得られ
るポリカーボネートである。
【0042】ここで、ポリカーボネートの原料となるジ
ヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フ
ェニルメタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパ
ン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロ
ロフェニル)プロパン、1,1′−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロペンタン、1,1′−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′−ジメチルジフェニルエーテル、4,4′−ジ
ヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキ
シ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,4′
−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒド
ロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,
4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′
−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキ
シ−4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,
4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルス
ルホン、ヒドロキノン、レゾルシンなどが挙げられ、こ
れらは、1種または2種以上で用いられる。特に好まし
いものは、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、すなわちビスフェノールAである。
【0043】(B)ポリカーボネートの粘度平均分子量
は、好ましくは15,000〜40,000〜さらに好
ましくは17,000〜35,000、特に好ましくは
18,000〜30,000である。
【0044】(B)成分の割合は、(A)〜(B)成分
からなる樹脂成分中に、95〜5重量%、好ましくは9
0〜10重量%、さらに好ましくは85〜20重量%で
ある。(B)成分の割合が、95重量%を超えると成形
加工性および難燃性が劣り(UL94試験で溶融滴
下)、一方5重量%未満では難燃性が劣るものとなる。
【0045】次に、本発明に使用される(C)リン系難
燃剤としては、有機系リン含有化合物、赤リン、ホスフ
ァゼン系化合物、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げら
れる。このうち、有機系リン含有化合物としては、トリ
フェニルホスフェートに代表されるホスフェート類、ト
リフェニルホスファイトに代表されるホスファイト類が
挙げられる。有機系リン含有化合物の具体例は、トリフ
ェニルホスフェート、トリチオフェニルホスフェート、
トリキシレニルホスフェート、トリキシレニルチオホス
フェート、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)
などが好ましい。また、ホスファゼン系化合物として
は、例えばホスフォニトリル誘導体 (ここで、mは繰り返し単位数を示す)であればよく、
例えばプロポキシホスファゼンオリゴマー、フェニルホ
スファゼンオリゴマーなどが挙げられる。これらの
(C)リン系難燃剤は、単独でも、あるいは2種以上を
混合して使用することもできる。
【0046】なお、(C)リン系難燃剤のほかに、必要
に応じてチッ素含有化合物、ケイ素含有化合物などの
(C)成分以外の非ハロゲン系難燃剤も併用することが
できる。このうち、チッ素含有化合物としては、トリア
ジン、トリアゾリジン、尿素、グアニジン、アミノ酸、
メラミンおよびその誘導体などが挙げられる。ケイ素含
有化合物としては、一般的なオルガノシロキサンが挙げ
られ、具体的にはシリコーンオイル、シロキサンレジ
ン、有機シラン化合物、ポリシランなど挙げられる。ま
た、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、二酸化ケ
イ素なども用いられる。これらの難燃剤は、単独である
いは2種以上組み合わせて用いられる。
【0047】本発明において、(C)リン系難燃剤の使
用量は、上記(A)成分および(B)成分の合計量10
0重量部に対し、1〜40重量部、好ましくは3〜30
重量部、さらに好ましくは5〜20重量部である。1重
量部未満では、難燃性が劣り、一方40重量部を超える
と、耐熱性が劣る。
【0048】本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応
じてガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、ワラストナ
イト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、マイ
カ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、硫酸バリウ
ム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化
亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの充
填材を1種単独であるいは2種以上併用することができ
る。これらの充填材うち、ガラス繊維および炭素繊維の
形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の
繊維長を有するものが好ましい。これらの充填材の配合
量は、本発明の難燃性樹脂組成物100重量部に対し、
5〜150重量部程度が好ましい。
【0049】また、本発明の難燃性樹脂組成物には、公
知のカップリング剤、耐光剤、酸化防止剤、可塑剤、着
色剤、滑剤、帯電防止剤、シリコンオイルなどの添加剤
を配合することができる。さらに、本発明の難燃性樹脂
組成物には、要求される性能に応じて、他の重合体、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
フェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリフッ化ビニ
リデン、スチレン−酢酸ビニリデン共重合体、ポリアミ
ドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどを、適
宜ブレンドすることができる。
【0050】本発明の難燃性樹脂組成物は、各種押出
機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用
い、各成分を混練りすることによって得られる。好まし
い製造方法は、二軸押出機を用いる方法である。また、
各成分の混練りに際しては、各成分を一括して混練りし
てもよく、多段添加式で混練りしてもよい。このように
して得られる本発明の難燃性樹脂組成物は、射出成形、
シート押し出し、真空成形、異形成形、発泡成形などに
よって、各種成形品に成形することができる。上記成形
法によって得られる各種成形品は、その優れた性質を利
用して、OA・家電分野、電気・電子分野などのギヤ
ー、キーボードなどの摺動性や難燃性を必要とする機構
部品に使用することができる。
【0051】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断ら
ない限り重量部および重量%である。また、実施例中、
各種の測定項目は、下記に従った。平均粒子径 分散粒子の平均粒子径は、あらかじめ乳化状態で合成し
たラテックスの粒子径がそのまま樹脂中の分散粒子の粒
子径を表すことを電子顕微鏡で確認したので、ラテック
ス中の分散粒子の粒子径を光散乱法で測定した。測定機
器は、大塚電子(株)製、LPA−3100を使用し、
70回積算でキュムラント法を用い、粒子径を計算し
た。
【0052】グラフト率 上記グラフト率の測定方法に準じて測定した。極限粘度 前記可溶分を真空乾燥機を用いて乾燥し、溶媒であるメ
チルエチルケトンに溶解し、30℃の温度条件によりウ
ベローデ型粘度計で測定した。
【0053】動摩擦係数 鈴木式摺動試験機を使用し、相手材としてはスチール
(S45C)を用いた。試験片は、外径25.6mm、
内径20.0mmの中空円筒状のものを用い、相手材も
同様の形状のものを用いた。動摩擦係数の測定条件は、
室温23℃、湿度50%の雰囲気中で荷重5kg、走行
速度3.75cm/秒で測定した。動摩擦係数は、次式
によって算出する。 μ=〔3×F×(r2 2 −r1 2 )〕/〔P×(r2 3
−r1 3 )〕 (式中、μは動摩擦係数、Fはロードセルに与える力、
Pは荷重、Rはロードセルまでのアーム長、r1 は内
径、r2 は外径を表す。)
【0054】難燃性 難燃性の試験は、Underwriters Laboratories Inc. Sub
ject-94 (UL-94) で評価した。すなわち、規格による垂
直試験において、1/8″×1/2″×5″の試験片を
5本用いて、それぞれについてブンゼンバーナーによる
10秒間の着火を2回行い、炎の持続時間の平均が5秒
以下(各10秒以下)で、消炎後の燃焼光の消滅が10
秒以下、延焼性滴下のないものをV−0とし、燃焼持続
時間が平均25秒以下(各30秒以下)で、燃焼滴下の
ないものをV−1、あるものをV−2とし、燃焼性を示
した。また、燃焼するものを、BNとした。
【0055】アイゾット衝撃強度 ASTM D256に準拠し、1/4″、23℃、ノッ
チ付きの試験条件で測定した。単位は、km・cm/c
mである。流動性(メルトフローレート;MFR ) MFRは、ASTM D1238に準拠し、220℃、
荷重10kgで測定した。単位は、g/10分である。
【0056】参考例1(変性ポリオルガノシロキサンR
−1〜3の製造) p−ビニルフェニルメチルジメトキシシランとオクタメ
チルシクロテトラシロキサンを、表1に示す割合で混合
し、これをドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶解
した蒸溜水300部中に入れ、ホモミキサーにより3分
間撹拌して乳化分散させた。この混合液を、コンデンサ
ー、チッ素導入口および撹拌機を備えたセパラブルフラ
スコに移し、撹拌混合しながら90℃で6時間加熱し、
5℃で24時間冷却することによって縮合を完結させ
た。得られた変性ポリオルガノシロキサン中のオクタメ
チルシクロテトラシロキサンの縮合率は92.8%であ
った。この変性ポリオルガノシロキサンラテックスを炭
酸ナトリウム水溶液でpH7に中和した。得られた変性
ポリオルガノシロキサンラテックスR−1の平均粒子径
は、2,800Åであった。変性ポリオルガノシロキサ
ンR−2〜R−3も、同様にして製造した。
【0057】
【表1】
【0058】参考例2〔ポリオルガノシロキサン系熱可
塑性樹脂A−1〜4の製造) 攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコ
に、イオン交換水100部、オレイン酸カリウム1.5
部、水酸化カリウム0.01部、t−ドデシルメルカプ
タン0.1部および表2に示す割合で、表1の変性ポリ
オルガノシロキサンラテックスと各種単量体からなるバ
ッチ重合成分を加え、攪拌しながら昇温した。温度が4
5℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウ
ム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒ
ドナトリウムスルホキシラート・二水塩0.2部および
イオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、ならびにジ
イソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を
添加し、1時間反応を続けた。
【0059】その後、イオン交換水50部、オレイン酸
カリウム1部、水酸化カリウム0.02部、t−ドデシ
ルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルベンゼンヒド
ロパーオキサイド0.2部および表2に示す割合の各種
の単量体よりなるインクレメント重合成分の混合物を3
時間にわたって連続的に添加し、反応を続けた。添加終
了後、さらに攪拌しながら1時間反応を続けたのち、
2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−6−t−ブ
チルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフラ
スコより取り出した。次いで、硫酸1.5を用いて生成
物を凝固させ、脱水、水洗、乾燥を行って、粉末状のポ
リオルガノシロキサン系熱可塑性樹脂A−1〜4を回収
した。表2に、重合転化率、グラフト率、極限粘度
〔η〕を示す。
【0060】
【表2】
【0061】実施例1〜7、比較例1〜6 表3〜4に示す配合処方で、各成分を、内径50mmの
押し出し機で温度200〜220℃にて溶融混練りし、
ペレットを作製した。このペレットを5oz射出成形機
〔東芝(株)製、IS−80A〕を用い、成形温度22
0℃で成形して試験片を作製し、その物性を評価た。結
果を表3(実施例1〜7)、表4(比較例1〜6)に示
す。
【0062】なお、実施例および比較例中の成分として
は、次のものを用いた。 AS樹脂;日本合成ゴム(株)製、AS230 PC(ポリカーボネート);帝人化成(株)製、パンラ
イトL−1125 TPP(トリフェニルホスフェート);大八化学工業
(株)製 TXP(トリキシレニルホスフェート);大八化学工業
(株)製
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】表3から明らかなように、実施例1〜7
は、本発明の難燃性樹脂組成物であり、摺動性(動摩擦
係数)および難燃性が優れており、強度特性(アイゾッ
ト衝撃強度)、成形加工性(メルトフローレート)も極
めて良好である。これに対し、表4から明らかなよう
に、比較例1〜2は、変性ポリオルガノシロキサン中の
グラフト交叉剤(p−ビニルフェニルメチルジメトキシ
シラン)が本発明の範囲外であり、これを用いたポリオ
ルガノシロキサン系熱可塑性樹脂A−2〜3のグラフト
率が低すぎ、または高すぎて適当でないため、強度特性
(アイゾット衝撃強度)が低下することが分かる。
【0066】比較例3〜4は、(C)リン系難燃剤であ
るトリフェニルホスフェート(TPP)の配合量が、本
発明の範囲外の場合、難燃性が劣ることが分かる。比較
例5〜6は、本発明の組成物の構成要件を欠く場合に
は、目的とする特性を得られないことが分かる。すなわ
ち、比較例5では、(A)成分と(C)リン系難燃剤と
の組み合わせであるが、(B)ポリカーボネートを欠く
ため、摺動性が良好であるものの、難燃性が劣る。比較
例6では、(B)ポリカーボネートと(C)リン系難燃
剤との組み合わせであるが、(A)成分を欠くため、摺
動性、難燃性(UL94試験で溶融滴下する)および成
形加工性が劣る。
【0067】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性、
摺動性、および成形加工性に優れているため、OA機
器、事務機器などの分野のギヤー、軸受け、キーボード
などの機構部品に好適に使用でき、その工業的意義は極
めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 69/00 LPP LPQ 83/10 LRT LRY

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)グラフト交叉剤を0.1〜50重
    量%共縮合した変性ポリオルガノシロキサン(a)5〜
    90重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化
    ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、酸無水物
    系単量体およびマレイミド系化合物の群から選ばれた少
    なくとも1種の単量体成分(b)95〜10重量%〔た
    だし、(a)+(b)=100重量%〕を重合して得ら
    れるポリオルガノシロキサン系熱可塑性樹脂(A−
    1)、あるいは該(A−1)成分と、必要に応じて上記
    (a)成分以外のゴム状重合体(a′)の存在下または
    非存在下に上記単量体成分(b)を重合して得られる
    (ゴム変性)熱可塑性樹脂(A−2)5〜95重量%、
    (B)ポリカーボネート95〜5重量%〔ただし、
    (A)+(B)=100重量%〕、ならびに(C)リン
    系難燃剤を、上記(A)成分および(B)成分の合計量
    100重量部に対し、1〜40重量部、配合したことを
    特徴とする難燃性樹脂組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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