JPH07260128A - 煤吹装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧力容器内に設置される炉またはボイラー等
の伝熱管壁に付着する煤等を除去する煤吹装置の改良。 【構成】 短ストローク抜差型のランス管（１７）が挿
入される拡開孔（１２）を囲んで、伝熱管壁（４）の外
面に、環状のガス室（１３ｂ）を有するシール箱（１
３）を取付け、炉内（３）よりも高圧の不活性シールガ
スを供給する。この不活性ガスは、ガス室（１３ｂ）の
内側壁に開けられた開口（１３ｃ）を通り、ランス管
（１７）の先端外周を包んで拡開孔（１２）から炉内
（３）へ送給される。これにより、炉内（３）と圧力容
器（２）室内の断熱が保たれ、ランス管（１７）も高温
ガスに晒されない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、煤吹装置、特に圧力容
器内に収容設置される炉またはボイラー等の伝熱管壁の
ための煤吹装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、圧力容器内に収容設置する炉また
はボイラー等の伝熱管壁のための煤吹装置として図４に
示すような構成のものが使用されている。この図におい
て、（０１）は圧力容器内に収容されたボイラー等の伝
熱管壁、（０２）は伝熱管壁（０１）外面の保温材、
（０３）はボイラー等の外壁、（０５）は伝熱管壁（０
１）の孔を貫通し先端部を伝熱管壁（０１）の内外面に
溶接接合したノズル管、（０６）はノズル管（０５）先
端に設けたノズル、（０７）はノズル管（０５）の後端
に接続されて圧力容器内から圧力容器の外へ延びる噴射
媒体供給管をそれぞれ示す。すなわち、この煤吹装置は
可動部のない固定型のノズル管（０５）だけで構成され
ており、必要に応じ噴射媒体を圧力容器外から圧力容器
内の供給管（０７）を通して送給し、ノズル（０６）か
ら伝熱管壁（０１）へ噴射して除煤を行なっていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の煤吹装置
は、伝熱管壁に接合して設けられているので、伝熱管壁
の内部を流れる流体により冷却されはするものの、噴射
媒体を噴射しない時もノズル管（０５）とノズル（０
６）が絶えず伝熱管壁（０１）の内側で高温雰囲気に晒
されているから、高温酸化反応により焼損劣化したり、
ノズル（０６）やノズル管（０５）自体が煤の付着によ
り詰まったりするのを避けられなかった。

【０００４】また、ノズル管（０５）とノズル（０６）
が固定されているから、噴射媒体による除煤が小範囲に
限定されるという問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決す
るために本発明においては、圧力容器内に収容された炉
またはボイラーの伝熱管壁に付着する煤等を除去するた
めに上記圧力容器内に設けられる煤吹装置において、環
状のガス室を有し、同ガス室の内側壁に貫通孔が設けら
れ、かつ上記伝熱管壁に形成された拡開孔を囲んで同伝
熱管壁の外面に接合固定したシール箱と、同シール箱の
端面に同シール箱と同軸に所要角度回動可能に支持され
上記拡開孔よりも直径の小さいランス管を短ストローク
抜差できるように構成された煤吹装置本体と、上記煤吹
装置本体を所要角度往復回動させる駆動手段とを具え
る。

【０００６】

【作用】本発明は上記構成を有するので、煤吹運転時に
は、ランス管を短ストローク前進させ、煤吹装置本体を
往復回動させつつ、ランス管先端から噴射媒体を噴射し
て伝熱管壁に付着する煤等を除去する。煤吹運転停止時
には、煤吹装置本体の回動と噴射媒体の供給を止めると
ともに、ランス管を元の位置に後退させる。

【０００７】一方、シール箱の環状のガス室へ不活性の
圧力ガスを供給すると、この圧力ガスは、上記ガス室内
側壁の貫通孔を通りシール箱中心部から拡開孔内を経て
ボイラー等の炉の内部へ吹き出し、このガス流れが伝熱
管壁の拡開孔部で内外の熱の伝達と炉内ガスの吹き出し
を遮断する。ランス管の直径は拡開孔よりも小さいか
ら、ランス管が前進して拡開孔内に挿入されている煤吹
運転時でも、ランス管先端部の外周をシールガスが流れ
ており、内外の遮断とランス管の保護は確保される。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。図１は本発明の煤吹装置の一実施例を示す縦
断側面図、図２は図１のII−II矢視横断面図、図３は圧
力容器内に収容されたガス化炉に上記煤吹装置を装着し
た状態の一例を示す縦断側面図である。

【０００９】まず図３において、圧力容器（２）内に収
容設置されたガス化炉（３）の伝熱管壁（４）の外側
に、煤吹装置（１）が取付けられている。この煤吹装置
（１）は、ガス化炉（３）のバーナー（５）に近く煤の
最も付着し易いディフューザー部（６）に対し、上から
下へノズルを向けて、伝熱管壁（４）の周囲の複数箇所
に設けられる。

【００１０】（７）は圧力容器（２）外部の図示されな
い蒸気発生源等から圧力容器（２）内に除煤用の噴射媒
体を導く噴射媒体供給管、（８）は同様に不活性圧力ガ
ス供給源から圧力容器（２）内にシール用の不活性ガス
を導くシールガス供給管、（９）および（１０）は同様
に不活性圧力ガス供給源から圧力容器（２）内に抜差駆
動用の不活性ガスを導く駆動ガス供給管、（７ａ），
（８ａ），（９ａ），（１０ａ）は上記各供給管
（７），（８），（９），（１０）と煤吹装置（１）間
をそれぞれ接続する可撓管、（１１）は圧力容器（２）
の外部で上記各供給管（７），（８），（９），（１
０）に設けられた操作バルブである。

【００１１】次に図１において、（１２）はガス化炉
（３）の伝熱管壁（４）に形成された拡開孔、（１３）
は同拡開孔（１２）を囲み伝熱管壁（４）の外面に溶接
固定したシール箱である。（１３ａ）はシール箱（１
３）とシールガス供給管（図３の符号（８））系の可撓
管（８ａ）との接続部、（１３ｂ）はシール箱内の環状
のガス室、（１３ｃ）は環状のガス室（１３ｂ）の内側
壁に開けられて拡開孔（１２）へ通じる開口である。
（１４）は煤吹装置本体の取付け用として上記シール箱
（１３）の端面に同軸にフランジ状に一体結合された環
状板である。

【００１２】（１５）は煤吹装置本体のシリンダー部、
（１７）はシリンダー部（１５）内にピストン移動可能
に支持され先端にノズル（１６）を備えたランス管、
（１８）はシリンダー部（１５）の後端にフランジ（１
８ａ）部で結合支持され先端部を上記ランス管（１７）
内に軸方向へ相対移動可能に嵌挿された噴射媒体送出し
管である。（１９），（１９）はシリンダー部（１５）
の前端フランジ（１５ａ）内と上記噴射媒体送出し管フ
ランジ（１８ａ）内にそれぞれ形成された駆動ガス導入
部である。（２０）はランス管（１７）後端に取付けら
れた検出棒（２０ａ）とリミットスイッチ（２０ｂ），
（２０ｂ）からなるランス管位置検出器である。（２
１）はシリンダー前端フランジ（１５ａ）部を回動可能
に環状板（１４）上に支持する複数の円弧形支持片であ
る。（２３）はシリンダー部（１５）回動用の駆動手段
（シリンダー）であって、上記支持されたシリンダー前
端フランジ（１５ａ）部から放射方向へ突設したアーム
（２２）の端部と圧力容器（２）内の固定部との間を連
結して設けられている（図２も参照）。

【００１３】シリンダー部（１５）の前端は、図示され
ないベアリングおよびシール等を介して上記環状板（１
４）の開口部内に同軸を維持するように嵌挿されてい
る。そしてこの状態のもとで、図２中に示すように、環
状板（１４）にボルト止めされた円弧形支持片（２１）
によって、シリンダー前端フランジ（１５ａ）が環状板
（１４）に対し回動可能に支持されている。また、シー
ル箱（１３）の接続部（１３ａ）、噴射媒体送出し管
（１８）の接続端（１８ｂ）および駆動ガス導入部（１
９），（１９）は、各供給管系にそれぞれ可撓管（７
ａ），（８ａ），（９ａ），（１０ａ）を介して接続さ
れている。なお（２４）は、圧力容器（２）内の固定架
台（２５）上に設けられてシリンダー部（１５）後端の
フランジ部（１８ａ）を支持する円弧状の滑り支持台で
ある。

【００１４】次に図２において、シリンダー部（１５）
は、前端フランジ（１５ａ）の上下２か所を、前記円弧
形支持片（２１）により環状板（１４）に対して回動可
能に、保持されている。シール箱（１３）の接続部（１
３ａ）と噴射媒体送出し管（１８）の接続部（１８ｂ）
は、鉛直上方を中立位置としてそれぞれ可撓管（８
ａ），（７ａ）に接続され、また駆動ガス導入部（１
９）は、水平方向を中立位置として側方から可撓管（９
ａ），（１０ａ）に接続されている。シリンダー前端フ
ランジ（１５ａ）に取付けられたアーム（２２）は、同
様に水平方向を中立位置として駆動手段（２３）の伸縮
駆動端に連結されている。又この状態でランス管（１
７）のノズル（１６）は、鉛直下方を向いている。

【００１５】上記駆動手段（２３）（シリンダー）は、
可撓管（３０ａ）および固定管路（３０）により、ヘッ
ド側及びロッド側を圧力容器（２）外の不活性圧力ガス
供給源（２７）に切換弁（２６）を介して接続されてい
る。そして切換弁（２６）と駆動手段（２３）との間の
固定管路（３０）上には、双方向に逆止弁（２８）と絞
り弁（２９）が設けられていて、シリンダー（２３）は
伸縮速度を調節された低速度（例えば中立位置から片側
３０度の角度を数秒間で往復する速さ）で伸縮駆動さ
れ、シリンダー部（１５）を介して煤吹装置本体全体を
ランス管（１７）軸を中心とし中立位置の左右両側に各
３０度、合計角６０度の範囲を往復して連続回動するよ
うになっている。不活性圧力ガス供給源（２７）は、前
記ランス管（１７）の伸縮用の駆動ガス源あるいはシー
ル用ガス源等と共用することができる。

【００１６】次に上述した装置の作用について説明す
る。一般的に上記装置のガス化炉（３）内は１２００〜
１３００℃、３０気圧、圧力容器（２）内の空間部は３
５０℃、３０気圧のような高温、高圧の雰囲気下にあ
る。ガス化炉（３）内の圧力よりも若干高い圧力のシー
ルガスが操作バルブ（１１）による制御でシールガス供
給管（８）および可撓管（８ａ）を経てシール箱（１
３）に供給され、環状ガス室（１３ｂ）および開口（１
３ｃ）を通って拡開孔（１２）からガス化炉（３）内へ
連続して送られる。ガス化炉（３）の内の高温のガスお
よび温度は、このシールガスによって遮断されている。

【００１７】この状態において、煤吹作動しない時は、
操作バルブ（１１）による駆動ガス供給系（９），（１
０）の制御により、シリンダー部（１５）内のランス管
（１７）を図１の実線で示す位置に後退させておく。ま
た煤吹作動させる時には、ランス管（１７）を鎖線（１
７′）で示される差込み位置へ短ストローク摺動移動し
た後、噴射媒体供給系（７）のバルブ（１１）を操作し
て高圧蒸気等の噴射媒体を送出し管（１８）経由でラン
ス管（１７）へ送り、ノズル（１６）から下向きに噴出
させる。同時にこれと連動して、駆動手段（２３）を駆
動し煤吹装置本体全体を低速度で軸線まわりに往復回動
させる。こうして伝熱管壁（４）およびディフューザー
（６）のまわりの広い範囲の除煤を行なう。

【００１８】一定時間の除煤運転の後、駆動手段（２
３）の駆動を停止し、ランス管（１７）を元の実線の抜
出し位置に短ストローク後退させる。この時、シリンダ
ー部（１５）内のランス管（１７）の前進・後退の停止
は、ストローク検出用ロッド（２０ａ）の移動をリミッ
トスイッチ（２０ｂ），（２０ｂ）が検出し、駆動ガス
供給管（９），（１０）の操作バルブ（１１）を閉操作
させることにより行なう。

【００１９】ランス管（１７）の直径は拡開孔（１２）
よりも小さいから、煤吹装置の除煤運転中、ランス管
（１７）が拡開孔（１２）を通ってガス化炉（３）内に
差込まれている時でも、ランス管（１７）の先端部外周
はシールガスで包囲されており、ガス化炉（３）内と圧
力容器（２）内との断熱が保たれ、ランス管（１７）も
高温ガスに晒されない。すなわち、除煤運転中と除煤停
止中のいずれの時も、シールガスでガス化炉（３）内と
圧力容器（２）内およびランス管（１７）先端との間の
断熱が保たれ、抜差型煤吹装置が炉（３）内高温によっ
て受ける焼損や高温劣化が大幅に軽減され、またこの状
態下でノズル（１６）から下方左右の広い範囲の除煤を
行なうことができる。

【００２０】以上本発明の一実施例を図面により説明し
たが、本発明の構成は上述した実施例によって限定され
るものではなく、短ストローク抜差型の煤吹装置自体の
構成、支持方法、煤吹装置本体を所要角度往復回動させ
る駆動手段および回動機構等は、他の任意の形式を適用
して実施し得るものである。

【００２１】

【発明の効果】本発明の煤吹装置は、高温、高圧下の狭
い圧力容器の内部に、容易に装着でき、煤の付着や焼損
が少なく、１個のノズルで炉内の広い範囲の除煤を行な
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の煤吹装置の一実施例を示す縦断
側面図である。

【図２】図２は図１のII−II矢視横断面図である。

【図３】図３は圧力容器内に収容されたガス化炉に上記
煤吹装置を装着した状態の一例を示す縦断側面図であ
る。

【図４】従来の煤吹装置の一例を示す説明図である。

【符号の説明】

（１） 煤吹装置 （２） 圧力容器 （３） ガス化炉 （４） 伝熱管壁 （５） バーナー （６） ディフューザー （７） 噴射媒体供給管 （８） シールガス供給
管 （８），（１０） 駆動ガス供給管 （７ａ),（８ａ),（９ａ),（１０ａ） 可撓管 （１１） 操作バルブ （１２） 拡開孔 （１３） シール箱 （１３ａ） 接続部 （１３ｂ） 環状ガス室 （１３ｃ） 開口 （１４） 環状板 （１５） シリンダー部 （１５ａ） シリンダー前端
フランジ （１６） 噴射ノズル （１７），（１７′） ランス管 （１８） 噴射媒体送出し
管 （１８ａ） シリンダー後端
フランジ （１８ｂ） 接続部 （１９） ランス管駆動ガ
ス導入部 （２０） ランス管位置検
出器 （２０ａ） 検出棒 （２０ｂ） リミットスイッ
チ （２１） 円弧形支持片 （２２） アーム （２３） 駆動手段 （２４） 滑り支持台 （２５） 固定架台 （２６） 切換弁 （２７） 不活性圧力ガス
供給源 （２８） 逆止弁 （２９） 絞り弁 （３０） 固定管路 （３０ａ） 可撓管

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧力容器内に収容された炉またはボイラ
   ーの伝熱管壁に付着する煤等を除去するために上記圧力
   容器内に設けられる煤吹装置において、環状のガス室を
   有し、同ガス室の内側壁に貫通孔が設けられ、かつ上記
   伝熱管壁に形成された拡開孔を囲んで同伝熱管壁の外面
   に接合固定したシール箱と、同シール箱の端面に同シー
   ル箱と同軸に所要角度回動可能に支持され上記拡開孔よ
   りも直径の小さいランス管を短ストローク抜差できるよ
   うに構成された煤吹装置本体と、上記煤吹装置本体を所
   要角度往復回動させる駆動手段とを具えたことを特徴と
   する煤吹装置。