JPH07259621A - 内燃機関用燃料供給制御装置 - Google Patents

内燃機関用燃料供給制御装置

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JPH07259621A
JPH07259621A JP6049167A JP4916794A JPH07259621A JP H07259621 A JPH07259621 A JP H07259621A JP 6049167 A JP6049167 A JP 6049167A JP 4916794 A JP4916794 A JP 4916794A JP H07259621 A JPH07259621 A JP H07259621A
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JP
Japan
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intake air
air amount
internal combustion
combustion engine
fuel supply
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JP6049167A
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Katsunori Ueda
克則 上田
Toyoaki Fukui
豊明 福井
Satoshi Yoshikawa
智 吉川
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/04Introducing corrections for particular operating conditions
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
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    • F02B75/02Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、内燃機関用燃料供給制御装置に関
し、過渡運転状態であっても正確に吸入吸気量を予測し
て正確な燃料噴射量を設定できるようにすることを目的
とする。 【構成】 所望の吸気量検出時期に検出された吸気量情
報に基づき燃料量を設定する燃料量設定手段50と、燃
料量設定手段50で設定された燃料量に応じて燃料を供
給する燃料供給手段8とをそなえ、燃料量設定手段50
が、吸気量検出時期における吸気量検出結果と、この吸
気量検出結果とこれ以前に検出された吸気量情報との差
に予測情報を加味した値と、に基づき吸気量情報を推定
する吸気量推定手段51をそなえ、吸気量推定手段51
が、過渡運転状態検出手段54と、内燃機関の過渡運転
状態が検出されると推定吸気量と実際の吸気量との値が
近づくように予測情報を変更する予測情報変更手段53
とをそなえて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車に搭載される内
燃機関に用いて好適の、内燃機関用燃料供給制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料噴射装置をそなえた内燃機関
(エンジン)では、例えばエアフローセンサによって吸
気量を検出し、この吸気量に応じて燃料噴射量が決定さ
れて、空燃比(A/F)が制御されるようになってい
る。4サイクルエンジンの燃料噴射は、通常は吸気行程
終了前に行なわれるため、燃料噴射量を決定するための
吸気量(A/N:エンジン1回転当りの吸気量)情報
は、実際の吸気行程より前のタイミングでサンプリング
されることになる。つまり、図8に示すように、実際の
吸気量が決定される吸気終了時に対し、約2行程前の吸
気量検出値に基づいて燃料量が決定されているのであ
る。
【0003】図9は吸気量検出値と実際の吸気量との関
係を示すグラフであって、このグラフにおいて、線aは
エアフローセンサにより検出されたA/Nを示し、黒丸
で示す各点はエンジンの定常状態の運転時に吸気圧力か
ら推定したA/Nの値を示すものであって検出遅れ等の
ない実際の吸気量を示している。このグラフに示すよう
に、エアフローセンサにより検出されるA/N(線a)
は、黒丸で示す実際のA/N値に対してずれていること
がわかる。
【0004】図中、線bは線aに示すA/N検出値の結
果を2行程(360°)進めたものであるが、このよう
に線aを2行程進めてみるとA/N検出値と実際のA/
Nとが一致する。つまり、吸気量検出が、たしかに2行
程分遅れているのである。なお、線cはスロットル開度
を示している。ところで、2行程前の吸気量検出値に基
づいて燃料噴射量を決定すると、エンジンの運転状態の
過渡時には、実際の吸気量とその前のサンプリングで検
出された吸気量との差が大きくなってしまい、例えば、
車両加速時には、実吸気量が検出値よりも大きくなり、
車両減速時には、実吸気量が検出値よりも小さくなって
しまう。
【0005】正確な空燃比制御を行なうには、実際の吸
気量を精度良く且つ遅れなく検出することが必須条件と
なるが、実際には、燃焼室内への吸気が終了する以前に
燃料が噴射されるため、吸気量の検出遅れを回避するの
は非常に困難である。そこで、この検出遅れを補う方法
として、最新の検出値と前回の検出値との偏差を用いた
微分予測補正法が知られている。ここで、この微分予測
補正法による吸入吸気量の計算式を示すと、以下のよう
になる。
【0006】 A/NF(n)=A/N(n) +m・〔A/N(n) −A/N(n-1) 〕 A/NF(n):今回の予測値 A/N(n) :今回の吸気量検出値 A/N(n-1) :前回の吸気量検出値 m :予測ゲイン ここで予測ゲインmは、検出と吸気行程終了のタイミン
グ差によって定まる定数として与えられているものであ
る(通常mは1〜2)。
【0007】しかしながら、実際のエンジン加速時に
は、吸気量が、図10(a)に示すように直線的に増加
することは希であり、図10(b)に示すような非直線
を描いて加速する場合、予測ゲインmが固定値である
と、特に加速初期には予測不足が生じ易い。また、予測
ゲインmを大きくして積極的に補正を行なおうとする
と、今度は定常運転時に、吸気量検出値の微少変動を増
幅してしまい、燃料量が変動してしまう。この結果、A
/Fが変動して失火(ミスファイア)やトルク変動を誘
発するおそれがある。
【0008】なお、予測ゲインを変更できるようにした
技術として、例えば特公平4−19377号公報記載の
技術を挙げることができるが、この技術は、エンジンの
運転状態がアイドル状態か否かを判断して、エンジンの
運転状態に基づいてゲインを設定するものであり、エン
ジンの運転状態がアイドル状態であると判断された場合
は、このエンジンのアイドル状態の特性に合わせてゲイ
ンが所定値ψ1 に設定され、エンジンの運転状態がアイ
ドル状態ではないと判断された場合は、ゲインが所定値
ψ2 に設定されるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
予測ゲインを変更できるようにした燃料供給制御装置で
は、吸気量を推定するための予測ゲインが、アイドル状
態用のゲイン(所定値ψ 1 )か、アイドル以外の運転状
態用のゲイン(所定値ψ2 )の2通りにしか設定されな
いので、アイドル以外の通常運転時には、ゲインが所定
値ψ2 に固定されてしまい、A/Fの変動やトルク変動
等を確実に低減することができないという課題がある。
【0010】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、エンジンの過渡運転状態に対応させて吸入吸
気量の予測ゲインを変更することにより、エンジン運転
状態が過渡期であっても正確に吸入吸気量を測定して正
確な燃料噴射量を設定できるようにした、内燃機関用燃
料供給制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の内燃機関用燃料供給制御装置は、多気筒内燃
機関の吸気行程終了以前の所望の吸気量検出時期に検出
された吸気量情報に基づき、該吸気行程の所望の燃料供
給時期において供給される燃料量を設定する燃料量設定
手段と、該燃料量設定手段で設定された燃料量に応じ、
該燃料供給時期において燃料を供給する燃料供給手段と
をそなえ、該燃料量設定手段が、該吸気量検出時期にお
ける吸気量検出結果と、この吸気量検出結果とこれ以前
に検出された吸気量情報との差に予測情報を加味した値
とに基づき、該燃料供給時期における吸気量情報を推定
する吸気量推定手段をそなえ、且つ、該吸気量推定手段
が、該内燃機関の過渡運転状態を検出する過渡運転状態
検出手段と、該過渡運転状態検出手段にて、該内燃機関
の過渡運転状態が検出されると、該推定吸気量と実際の
吸気量との値が近づくように、該予測情報を変更する予
測情報変更手段とをそなえて構成されたことを特徴とし
ている。
【0012】また、請求項2記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置は、上記請求項1記載の構成に加え
て、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手段に
て、該内燃機関の過渡運転状態が検出されると、該推定
吸気量と該実際の吸気量との比較結果に応じて該予測情
報を変更していくように構成されたことを特徴としてい
る。
【0013】また、請求項3記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置は、上記請求項1記載の構成に加え
て、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手段に
て、該内燃機関の過渡運転状態を検出したときに、該予
測情報として、上記の吸気量検出時期と燃料供給時期と
の間の吸気量検出回数よりも大きい値を初期値として設
定するように構成されたこと特徴している。
【0014】また、請求項4記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置は、上記請求項1記載の構成に加え
て、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手段に
て、該内燃機関の過渡運転状態を検出したときに、該予
測情報として、上記の吸気量検出時期と燃料供給時期と
の間の吸気量検出回数よりも大きい値を初期値として設
定したあとは、該推定吸気量と該実際の吸気量との比較
結果に応じて該予測情報を変更していくように構成され
たことを特徴としている。
【0015】また、請求項5記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置は、上記請求項3または請求項4記載
の構成に加えて、該予測情報変更手段が、該過渡運転状
態検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態を検出した
ときに、該予測情報として、上記の該吸気量検出時期と
燃料供給時期との間の吸気量検出回数よりも大きい値を
初期値として設定する際に、この初期値を該内燃機関の
過渡変化量及び過渡変化方向の少なくとも一方に応じて
設定することを特徴としている。
【0016】また、請求項6記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置は、上記請求項2記載の構成に加え
て、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手段に
て、該内燃機関の過渡運転状態が検出されたあと、上記
の推定吸気量と実際の吸気量との比較結果に応じて該予
測情報を変更していく際に、上記の実際の吸気量と推定
吸気量との差が正の所定値よりも小さくなると、該予測
情報を今までとは逆の方向に変更補正するように構成さ
れたことを特徴としている。
【0017】また、請求項7記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置は、上記請求項1記載の構成に加え
て、該予測情報変更手段が、該予測情報を減少方向に変
更していく際に、減少割合が少なくとも2段階にわたっ
て変更されるように構成されたことを特徴としている。
また、請求項8記載の本発明の内燃機関用燃料供給制御
装置は、上記請求項1記載の構成に加えて、該吸気量推
定手段が、該内燃機関の過渡運転状態を検出する過渡運
転状態検出手段と、該内燃機関の高負荷運転状態を検出
する高負荷運転状態検出手段と、該過渡運転状態検出手
段にて、該内燃機関の過渡運転状態が検出されると、上
記の推定吸気量と実際の吸気量との値が近づくように、
該予測情報を変更する予測情報変更手段と、該高負荷運
転状態検出手段にて、該内燃機関の高負荷運転状態が検
出されると、該予測情報変更手段による該予測情報の変
更動作に優先して該予測情報を0又は所定の低い値に設
定しうる予測禁止・抑制手段とをそなえて構成されたこ
とを特徴としている。
【0018】また、請求項9記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置は、上記請求項2記載の構成に加え
て、該予測情報変更手段が、上記の推定吸気量と実際の
吸気量との比較結果に応じて変更する該予測情報の下限
値を設定する下限値設定手段をそなえ、該下限値設定手
段が、上記の吸気量検出時期と燃料供給時期との間の吸
気量検出回数と、0との間の値を該下限値として設定す
るように構成されたことを特徴としている。
【0019】また、請求項10記載の本発明の内燃機関
用燃料供給制御装置は、上記請求項2記載の構成に加え
て、該予測情報変更手段が、該推定吸気量と該実際の吸
気量との比較結果に応じて変更する該予測情報の上限値
を設定する上限値設定手段をそなえて構成されたことを
特徴としている。さらに、請求項11記載の本発明の内
燃機関用燃料供給制御装置は、上記請求項10記載の構
成に加えて、該上限値設定手段での該上限値が該内燃機
関の加速時と減速時とで異なった値に設定されることを
特徴としている。
【0020】
【作用】上述の請求項1記載の本発明の内燃機関用燃料
供給制御装置では、まず、燃料量設定手段により、多気
筒内燃機関の吸気行程終了以前の所望の吸気量検出時期
に検出された吸気量情報に基づき、吸気行程の所望の燃
料供給時期において供給される燃料量が設定される。
【0021】この時、燃料量設定手段にそなえられた吸
気量推定手段により、吸気量検出時期における吸気量検
出結果と、この吸気量検出結果とこれ以前に検出された
吸気量情報との差に予測情報を加味した値とに基づき、
燃料供給時期における吸気量情報が推定される。また、
吸気量推定手段にそなえられた過渡運転状態検出手段に
より内燃機関の過渡運転状態が検出されると、予測情報
変更手段により推定吸気量と実際の吸気量との値が近づ
くように、予測情報が変更される。
【0022】そして、燃料供給手段により、燃料量設定
手段で設定された燃料量に応じ、燃料供給時期において
燃料が供給される。上述の請求項2記載の本発明の内燃
機関用燃料供給制御装置では、過渡運転状態検出手段に
より内燃機関の過渡運転状態が検出されると、予測情報
変更手段により推定吸気量と実際の吸気量との比較結果
に応じて予測情報が変更される。
【0023】上述の請求項3記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置では、過渡運転状態検出手段において
内燃機関の過渡運転状態が検出されると、予測情報変更
手段により、予測情報として、上記の吸気量検出時期と
燃料供給時期との間の吸気量検出回数の値よりも大きい
値が初期値として設定される。上述の請求項4記載の本
発明の内燃機関用燃料供給制御装置では、過渡運転状態
検出手段において内燃機関の過渡運転状態が検出される
と、予測情報変更手段により、予測情報として、上記の
吸気量検出時期と燃料供給時期との間の吸気量検出回数
の値よりも大きい値が初期値として設定され、推定吸気
量と実際の吸気量との比較結果に応じて予測情報が変更
される。
【0024】上述の請求項5記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置では、過渡運転状態検出手段において
内燃機関の過渡運転状態が検出されると、予測情報変更
手段により、予測情報として、上記の吸気量検出時期と
燃料供給時期との間の吸気量検出回数の値よりも大きい
値が初期値として設定される際に、この初期値が内燃機
関の過渡変化量及び過渡変化方向の少なくとも一方に応
じて設定される。
【0025】上述の請求項6記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置では、過渡運転状態検出手段において
内燃機関の過渡運転状態が検出されたあと、上記の推定
吸気量と実際の吸気量との比較結果に応じて予測情報が
変更されていく際に、予測情報変更手段により、上記の
実際の吸気量と推定吸気量との差が正の所定値よりも小
さくなると、予測情報が今までとは逆の方向に変更補正
される。
【0026】上述の請求項7記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置では、予測情報変更手段により、予測
情報を減少方向に変更していく際に、減少割合が少なく
とも2段階にわたって変更される。上述の請求項8記載
の本発明の内燃機関用燃料供給制御装置では、吸気量推
定手段にそなえられた過渡運転状態検出手段により内燃
機関の過渡運転状態が検出されるとともに、やはり吸気
量推定手段にそなえられた高負荷運転状態検出手段によ
り内燃機関の高負荷運転状態が検出される。
【0027】そして、過渡運転状態検出手段において、
内燃機関の過渡運転状態が検出されると、予測情報変更
手段により、上記の推定吸気量と実際の吸気量との値が
近づくように、予測情報が変更される。また、高負荷運
転状態検出手段において、内燃機関の高負荷運転状態が
検出されると、予測禁止・抑制手段予測情報変更手段に
より、予測情報の変更動作に優先して予測情報が0又は
所定の低い値に設定される。
【0028】上述の請求項9記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置では、予測情報変更手段にそなえられ
た下限値設定手段により、上記の推定吸気量と実際の吸
気量との比較結果に応じて変更する予測情報の下限値が
設定され、この下限値設定手段により、上記の吸気量検
出時期と燃料供給時期との間の吸気量検出回数の値と、
0との間の値が下限値として設定される。
【0029】上述の請求項10記載の本発明の内燃機関
用燃料供給制御装置では、予測情報変更手段にそなえら
れた、上限値設定手段により、該推定吸気量と実際の吸
気量との比較結果に応じて変更する予測情報の上限値が
設定される。上述の請求項11記載の本発明の内燃機関
用燃料供給制御装置では、上限値設定手段での上限値が
内燃機関の加速時と減速時とで異なった値に設定され
る。
【0030】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の内燃機関用燃料供給制御装置について説明すると、図
1はその機能に着目した制御系を示すブロック図、図2
はその制御系のハードブロック図、図3は本装置を用い
たエンジンシステムの全体構成図、図4〜図6はいずれ
もその制御要領を説明するフローチャート、図7はその
効果を具体的に説明する図である。
【0031】さて、本装置を具備するエンジンシステム
は、図3のようになるが、この図3において、内燃機関
(エンジン)EGは、その燃焼室1に通じる吸気通路2
および排気通路3を有しており、吸気通路2と燃焼室1
とは吸気弁4によって連通制御されるとともに、排気通
路3と燃焼室1とは排気弁5によって連通制御されるよ
うになっている。
【0032】また、吸気通路2には、上流側から順にエ
アクリーナ6,スロットル弁7および燃料供給手段とし
ての電磁式燃料噴射弁(インジェクタ)8が設けられて
おり、排気通路3には、その上流側から順に排ガス浄化
用の触媒コンバータ(三元触媒)9および図示しないマ
フラ (消音器)が設けられている。なお、吸気通路2に
は、サージタンク2aが設けられている。
【0033】さらに、インジェクタ8は、吸気マニホル
ド部分に気筒数だけ設けられている。今、本実施例のエ
ンジンEGが直列4気筒エンジンであるとすると、イン
ジェクタ8は4個設けられていることになる。即ちいわ
ゆるマルチポイント燃料噴射(MPI)方式の多気筒エ
ンジンであるということができる。また、スロットル弁
7は、ワイヤケーブルを介して図示しないアクセルペダ
ルに連結されており、これによりアクセルペダルの踏込
み量に応じて開度が変わるようになっている。更に、こ
のスロットル弁7は、アイドルスピードコントロール用
モータ(ISCモータ)によっても開閉駆動されるよう
になっており、これによりアイドリング時にアクセルペ
ダルを踏まなくても、スロットル弁7の開度を変えるこ
とができるようにもなっている。
【0034】このような構成により、スロットル弁7の
開度に応じエアクリーナ6を通じて吸入された空気が吸
気マニホルド部分でインジェクタ8からの燃料と適宜の
空燃比となるように混合され、燃焼室1内で点火プラグ
35を適宜のタイミングで点火させることにより燃焼
し、エンジントルクを発生させるようになっている。そ
して、この後混合気は、排ガスとして排気通路3へ排出
され、触媒コンバータ9で排ガス中のCO,HC,NO
xの3つの有害成分を浄化されてから、マフラで消音さ
れて大気側へ放出されるようになっている。
【0035】さらに、このエンジンEGを制御するため
に、種々のセンサが設けられている。まず吸気通路2側
には、そのエアクリーナ配設部分に、吸入空気量を検出
するエアフローセンサ(吸気量センサ)11,吸入空気
温度を検出する吸気温センサ12および大気圧を検出す
る大気圧センサ13が設けられており、そのスロットル
弁配設部分に、スロットル弁7の開度を検出するポテン
ショメータ式のスロットルセンサ14,アイドリング状
態を検出するアイドルスイッチ15等が設けられてい
る。
【0036】また、排気通路3側には、触媒コンバータ
9の上流側部分に、排ガス中の酸素濃度(O2 濃度)を
検出する酸素濃度センサ17(以下、単にO2 センサ1
7という)が設けられている。さらに、その他のセンサ
として、エンジン冷却水温を検出する水温センサ19
や、図2に示すごとく、クランク角度を検出するクラン
ク角センサ21(このクランク角センサ21はエンジン
回転数を検出する回転数センサも兼ねている)および第
1気筒(基準気筒)の上死点を検出するTDCセンサ
(気筒判別センサ)22がそれぞれディストリビュータ
に設けられている。
【0037】そして、これらのセンサからの検出信号
は、電子制御ユニット(ECU)23へ入力されるよう
になっている。なお、ECU23へは、バッテリの電圧
を検出するバッテリセンサ25からの電圧信号や始動時
を検出するクランキングスイッチ20あるいはイグニッ
ションスイッチ(キースイッチ)からの信号も入力され
るようになっている。
【0038】ところで、ECU23のハードウエア構成
は、図2のようになるが、このECU23はその主要部
としてCPU(演算装置)27をそなえており、このC
PU27へは、吸気温センサ12,大気圧センサ13,
スロットル開度センサ14,O2 センサ17,水温セン
サ19およびバッテリセンサ25からの検出信号が入力
インタフェイス28およびA/Dコンバータ30を介し
て入力されるとともに、エアフローセンサ11,クラン
ク角センサ21,TDCセンサ22,アイドルスイッチ
15,クランキングスイッチ20,イグニッションスイ
ッチ等からの検出信号が入力インタフェイス29を介し
て入力されるようになっている。
【0039】さらに、CPU27は、バスラインを介し
て、プログラムデータや固定値データを記憶するROM
31,更新して順次書き替えられるRAM32およびバ
ッテリが接続されている間はその記憶内容が保持される
ことによってバックアップされたバッテリバックアップ
RAM(図示せず)との間でデータの授受を行なうよう
になっている。
【0040】なお、RAM32内データはイグニッショ
ンスイッチをオフすると消えてリセットされるようにな
っている。また、CPU27で演算結果に基づく燃料噴
射制御信号は、4つの噴射ドライバ34を介して、イン
ジェクタ8のソレノイド(インジェクタソレノイド)8
a(正確には、インジェクタソレノイド8a用のトラン
ジスタ)へ出力されるようになっている。
【0041】ここで、このエンジンEGの燃料噴射制御
(空燃比制御)を行なうための機能に着目すると、図1
に示すように、この燃料噴射制御(インジェクタ駆動時
間制御)を行なうために、ECU23には、インジェク
タ8の燃料噴射量を設定する燃料量設定手段50が設け
られている。この燃料量設定手段50は、吸気行程終了
以前の吸気量検出時期に検出された吸気量情報に基づ
き、吸気行程の所望の燃料供給時期において供給される
燃料量を設定するものであり、図2に示すCPU27に
対応する手段である。
【0042】なお、燃料量設定手段50において、燃料
供給量を吸気行程終了以前の吸気量情報を用いるのは以
下の理由による。つまり、インジェクタ8に供給される
燃料量は、燃料噴射時毎の吸気量に応じて設定されるの
が望ましいことは言うまでもないが、ある吸気行程にお
いて吸気量を正確に測定し、且つその吸気量に応じた燃
料量を設定して、吸気とともに燃料を燃焼室1内に供給
するのは非常に困難である。そこで、本装置では、ある
吸気行程に対してそれ以前の吸気行程での吸気量情報に
基づいて、燃料量を設定するようになっているのであ
る。
【0043】また、図1に示すように、燃料量設定手段
50には、吸気量推定手段51がそなえられている。こ
の吸気量推定手段51は、吸気量検出時期における吸気
量検出結果と、この吸気量検出結果とこれ以前に検出さ
れた吸気量情報との差に予測情報を加味した値とに基づ
いて、燃料供給時期における吸気量を推定するものであ
る。
【0044】さらに、この吸気量推定手段51は、吸気
量推定部52と予測情報変更手段としての予測ゲイン設
定部(予測ゲイン変更部)53と過渡運転状態検出手段
54とをそなえている。吸気量推定部52は、吸気量推
定手段51の本体部として機能する部分であり、過渡運
転状態検出手段54は、エンジンEGの運転状態が過渡
状態であるとこれを検出するものである。具体的には、
A/N情報の変化量からエンジンEGの運転状態が加速
中であるのか、又は減速中であるのか等を検出できるよ
うになっている。また、予測ゲイン設定部(予測ゲイン
変更部)53は、過渡運転状態検出手段54により、エ
ンジンEGの過渡運転状態が検出されると、推定吸気量
と実際の吸気量との値が近づくように、フィードバック
制御によって予測情報としての予測ゲインKF を設定す
るものである。
【0045】そして、吸気量推定部52では、この予測
ゲイン設定部53からの予測ゲインKF に基づいて推定
吸気量情報を出力するようになっている。なお、この吸
気量推定手段51については、後で詳述する。一方、燃
料量設定手段50には、吸気量推定手段51以外にも、
インジェクタ8の基本的な駆動時間TB を決定する基本
駆動時間決定手段55及び、補正係数Kを設定する補正
係数設定手段56が設けられており、更にはインジェク
タ8の駆動時間を補正するためのデッドタイム(無効時
間)TD を設定するデッドタイム補正手段57も設けら
れている。
【0046】以下、これらの各手段55,56,57に
ついて簡単に説明すると、基本駆動時間決定手段55
は、吸気量推定手段51からの推定吸入空気量の情報と
クランク角センサ21からのエンジン回転数N情報とか
らエンジン1回転あたりの吸入空気量A/N情報を求
め、この情報に応じてマップ等のメモリをルックアップ
し適宜の補間演算を施すことにより、基本パルス幅情報
を持つ基本駆動時間TB を決定するものである。
【0047】また、補正係数設定手段55は、エンジン
回転数Nとエンジン負荷A/Nとその他のセンサ類から
の情報に基づいて補正係数Kを設定するものであり、デ
ッドタイム補正手段57は、図示しないバッテリからの
バッテリ電圧に応じて駆動時間を補正するものである。
そして、燃料量設定手段50では、上述の基本駆動時間
決定手段55,補正係数設定手段56及びデッドタイム
補正手段57により設定された、基本駆動時間TB ,補
正係数K及びデッドタイムTD を用いてインジェクタ駆
動時間Tinj が以下の式により設定されるようになって
いる。
【0048】Tinj =TB ×K+TD ところで、基本駆動時間決定手段55には、上述のごと
く基本駆動時間TB を決定するためのマップが設けられ
ており、エンジンEGの回転数情報Neとエンジン1回
転あたりの吸入空気量A/N情報とから、このマップに
したがって基本駆動時間TB が決定されるようになって
いるが、このA/N情報としては、吸気量推定手段51
により推定された推定吸気量A/NF(n)が用いられるよ
うになっていて、推定吸気量A/NF(n)は、下式(1)
により算出されるようになっている。
【0049】 A/NF(n)=A/N(n) ±KF ・〔A/N(n) −A/N(n-1) 〕・・・(1) A/NF(n):今回の推定吸気量 A/N(n) :今回の実吸気量 A/N(n-1) :前回の実吸気 KF :予測情報としての予測ゲイン つまり、ある吸気行程(n回目)の時にエアフローセン
サ11により測定された実吸気量A/N(n) に対して、
この実吸気量A/N(n) と直前の吸気行程(n−1回
目)の時の実吸気量A/N(n-1) との偏差にゲインKF
を乗じたものを加算することにより、例えば2行程後の
推定吸気量A/NF(n)を求めるようになっている。但
し、予測ゲインKF は、負の値はとらないものである。
【0050】なお、上述の式(1)において、今回の吸
気量検出値A/N(n) は、エアフローセンサにより検出
される実吸気量検出値A/N0(n)に対して1次フィルタ
リング処理が施されており、以下の式により算出される
ものである。 A/N(n) =k・A/N0(n)+(1−k)〔A/N0(n)−A/N0(n-1)〕 ただし、0<k<1 さらに、本装置では、上述の予測ゲインKF が、エンジ
ンEGの運転状態に応じて変更される可変ゲインであっ
て、過渡運転状態検出手段54においてエンジンEGの
過渡運転状態が検出されると、実際の吸気量と推定吸気
量との値が近づくように、予測ゲイン設定部(予測ゲイ
ン変更部)53において、予測情報として予測ゲインK
F が設定されるようになっているのである。
【0051】そして、本装置では、吸気量推定部51に
より推定された推定吸気量A/NF(n)を用いて基本駆動
時間TB を設定することにより、インジェクタ8の駆動
時間を制御(即ち、燃料の噴射量を制御)するようにな
っているのである。以下、吸気量推定部51について詳
しく説明する。即ち、過渡運転状態検出手段54にて、
エンジンEGの過渡運転状態が検出されると、予測ゲイ
ン設定部(予測ゲイン変更部)53により推定吸気量と
実吸気量との比較結果に応じて、フィードバック制御に
より予測ゲインKF を変更していくようになっている。
【0052】ここで、本実施例において吸気量推定手段
51で2行程後の吸気量を推定しているとすれば、実吸
気量A/N(n) 及びA/N(n-1) の値に基づいて推定さ
れる吸気量A/NF(n)は、当然2行程後に吸気される吸
気量の推定値となる。そこで、実吸気量A/N(n) の値
と、この2行程前に予想されたA/NF(n-2)とを比較し
て、この比較結果(偏差)をフィードバックすることに
より、予測ゲインKFが修正(変更)されるようになっ
ているのである。
【0053】これにより、推定吸気量と実吸気量との誤
差をほとんどなくすことができ、正確な吸気量の推定を
行なうことができるのである。また、予測ゲイン設定部
(予測ゲイン変更部)53では、上記の推定吸気量A/
NF(n-2)と実吸気量A/N(n) との偏差をフィードバッ
クして予測ゲインKFを変更していく際に、上記の偏差
〔=A/N(n) −A/NF(n-2)〕が、所定値よりも小さ
くなると、予測ゲインKF を減算していく、即ち予測ゲ
インKF を今までとは逆の方向に変更補正していくよう
になっている。
【0054】なお、この所定値は、予測ゲイン設定部
(予測ゲイン変更部)53に設けられた不感帯XANDBで
ある。また、図示はしないが、この予測ゲイン設定部5
3には、下限値設定手段が設けられている。この下限値
設定手段は、推定吸気量A/NF(n-2)と実吸気量A/N
(n) との比較結果に基づいて予測ゲインKF の値を変更
する場合、予測ゲインKF の下限値(後述するXKANFMI
N )を設定するものである。
【0055】そして、この下限値設定手段では、上記の
吸気量検出時期と燃料供給時期との間の吸気量検出回数
と、0との間の値が下限値として設定されるようになっ
ている。これを具体例を用いて説明すると、4気筒4サ
イクルエンジンの場合、吸気量検出時期と燃料供給時期
との間には2行程(クランクシャフト回転角で360
°)の遅れが生じる。この2行程の間、4気筒のうちの
2気筒では吸気量検出が行なわれる。したがって、この
ようなエンジンでは、この間の吸気量検出回数2と0と
の間に下限値(例えば2又はそれ以下の正の値)が設定
されるようになっているのである。
【0056】また、予測ゲイン設定部53には、やはり
図示はしないが上限値設定手段も設けられている。この
上限値設定手段は、上述の下限値設定手段とは逆に、予
測ゲインKF の上限値(後述するXKANFMIAX)を設定す
るものである。そして、予測ゲインKF が上限値を越え
た場合は、予測ゲインKF はこの上限値にクリップされ
るようになっている。これにより、エンジンEGの運転
状態が急加速から急減速に移行しても予測ゲインKF の
変更が速やかに行なわれるのである。
【0057】さらに、この上限値設定手段により設定さ
れる上限値は、エンジンEGの加速時と減速時とで異な
った値に設定されるようになっている。つまり、吸気量
が増加傾向にある時の上限値は、吸気量が減少傾向にあ
る時の上限値以上に設定されるようになっている。そし
て、これによりエンジンEGの運転状態に応じた予測ゲ
インKF の上限値が設定されるのである。
【0058】ところで、予測ゲイン設定部53では、過
渡運転状態検出手段54でエンジンEGの過渡運転状態
が検出されると、予測情報としての予測ゲインKF が、
吸気量検出時期と燃料供給時期との間の吸気量検出回数
よりも大きい値が初期値として設定されるようになって
いる。したがって、4気筒4サイクルエンジンであれば
吸気量検出回数2よりも大きい値(例えば4前後の値)
が予測ゲインKF の初期値(後述するXKFACC 又はXKF
DEC )として設定されるようになっているのである。な
お、6気筒4サイクルエンジンの場合は、吸気量検出回
数3よりも大きい値(例えば6前後の値)が予測ゲイン
KF の初期値として設定されるようになっている。
【0059】そして、このようにして予測ゲインKF の
初期値が設定された後に、推定吸気量A/NF(n-2)と実
吸気量A/N(n) との比較結果に応じて予測ゲインKF
の値が変更される。また、予測ゲインKF の初期値が設
定される際に、この初期値をエンジンEGの過渡変化量
及び過渡変化方向の少なくとも一方に応じて変更するよ
うにしてもよい。この場合、具体的には過渡変化方向が
加速方向か減速方向かを検出して、この過渡変化方向に
応じて、初期値を設定すればよい。
【0060】ところで、予測ゲイン変更部53では、予
測ゲインKF を減少方向に変更していく際に、減少割合
が少なくとも2段階にわたって変更されるようなってお
り、予測ゲインKF を急いで減少させる必要がある場合
は、予測ゲインKF を一度に大きく減少させた後、この
ゲインKF を除々に減少させていくようになっている。
これにより、加速終了時や減速時等において、速やかに
予測ゲインKF を減少させることかできるようになって
いるのである。
【0061】さらに、吸気量推定手段51には、高負荷
運転状態検出手段58と予測禁止・抑制手段59とが設
けられている。高負荷運転状態検出手段58は、A/N
情報に基づいてエンジンEGの運転状態が高負荷運転状
態であるとこれを検出するものである。また、この高負
荷運転状態検出手段58において、エンジンEGの高負
荷運転状態(スロットル全開領域近傍)が検出される
と、この情報が予測禁止・抑制手段59に伝達されるよ
うになっている。そして、この予測禁止・抑制手段59
では、エンジンEGが高負荷運転状態であると、予測ゲ
イン変更部53による予測ゲインKF を0に設定して、
吸気量の予測を禁止するか、又は、予測ゲインKFを所
定の低い値に設定するのである。
【0062】これは、エンジンEGの高負荷運転状態で
は、吸気脈動により実吸気量A/Nの測定値に誤差が生
じて正確なデータを得るのが困難となり、これにより吸
気量の予測にもエラーが生じることが考えられるからで
ある。また、その一方で、高負荷運転状態は、スロット
ル全開近傍であるため、これ以上の加速が必要となるこ
とはほとんどないという理由からでもある。
【0063】以下、エンジンEGの過渡運転状態を含む
燃料噴射制御について、図4〜図6のフローチャートを
用いて説明する。まず、SGT割り込みにより、ステッ
プSA1で実吸気量A/N(n) がサンプリングされる。
SGT割り込みとは、エンジンEGの点火タイミングに
同期した割り込みであって、このSGT割り込みは、所
定のクランク角度毎に行なわれるものである。
【0064】そして、ステップSA1で実吸気量A/N
(n) がサンプリングされると、ステップSA2に進ん
で、実吸気量A/N(n) が所定値XFANMAXよりも小さい
かどうかが判断される。ここで所定値XFANMAXは、エン
ジンEGのスロットル開度が全開状態になる手前の値と
して与えられている。そして、A/N(n) が所定値XFA
NMAX以上の場合は、NOのルートにしたがってステップ
SA3に進み、このステップSA3で、吸気量推定のフ
ラグをクリアにして、予測ゲインKF =0と設定する。
つまり、A/N(n) が所定値XFANMAX以上の場合は、ス
ロットル開度がほぼ全開状態に近いと判断して、吸気量
の推定を行なわなくなる。つまり、サンプル値A/N
(n) が所定値XFANMAXを越えるような高負荷運転状態で
は吸気量の予測が必要ないので、ここでは予測ゲインK
F =0として設定され吸気量予測が禁止されるのであ
る。
【0065】そして、この後は、ステップSA14に進
むが、予測ゲインKF =0なのでA/NF(n)はA/N
(n) に設定される。また、ステップSA3で、実吸気量
A/N(n) が所定値XFANMAXよりも小さい場合は、次に
ステップSA4に進んで、今回の実吸気量A/N(n) と
前回の実吸気量A/N(n-1) とから吸気量の変化量ΔA
/Nが算出される。
【0066】次にステップSA5において、ΔA/Nが
0以上かどうかが判断される。なお、ΔA/Nが正の時
は吸気量の変化が増加傾向であることを示し、ΔA/N
が負の時は吸気量が減少傾向であることを示している。
ΔA/Nが負の場合は、図5に示すサブルーチンに進む
が、これについては後述する。
【0067】ΔA/Nが0以上の場合、即ち、吸気量が
増加傾向の場合は、ステップSA6に進んで、ΔA/N
の値が、不感帯として設定された値XANDBよりも大きな
値であるかどうかが判断される。ここで、ΔA/Nの値
がXANDB以下の場合は、ステップSA7に進んでフラグ
をクリアにした後、ステップSA8に進んで、予測ゲイ
ンKF の値を減算する。なお、ステップSA8以降は図
6に示すサブルーチンを進むようになっているが、これ
についても後述する。
【0068】なお、ステップSA6で、ΔA/Nの値が
XANDB以下の場合は、定常運転時(A/Nが一定)であ
り吸気量の予測は不要となるが、A/Nの偏差(ΔA/
N)が不感帯XANDBを越えない程度の微小加速時には、
吸気量推定遅れによる燃料供給量不足が生じる場合が考
えられる。したがって、ステップSA8で、予測ゲイン
KF の値を減算していくことにより最低限の予測を行な
っているのである。
【0069】また、ステップSA6で、ΔA/Nの値が
XANDBよりも大きいと判断されると、ステップSA9に
進んで、前回のSGT割り込み時に吸気量を推定するフ
ラグをセットしたかどうかが判定され、フラグがセット
されていなければ、ステップSA10に進んでフラグを
セットし、この後ステップSA11に進んで予測ゲイン
KF の初期値がXKFACC として設定される。
【0070】つまり、前回のΔA/Nの値が、不感帯X
ANDB内で(フラグはクリア状態)、今回のΔA/Nの値
が正で且つXANDBよりも大きい時は、エンジンEGの運
転状態が急激に変化したことになり、運転状態検出手段
54によりエンジンEGの過渡運転状態が検出される。
ここでは、エンジンEGが加速を開始したと判断して予
測ゲインKF の初期値を最大値(XKFACC )に設定する
ようになっているのである。
【0071】また、この初期値XKFACC は、吸気量検出
時期と燃料供給時期との間の吸気量検出回数よりも大き
い値が設定されるので、4気筒4サイクルエンジンの場
合、吸気量検出回数2よりも大きい値(例えば4前後の
値)がXKFACC として設定される。そして、ステップS
A11で予測ゲインKF が設定されると、次にステップ
SA14に進んで、次式(2)により推定吸気量が算出
される。
【0072】 A/NF(n)=A/N(n) +KF ・ΔA/N ・・・・・(2) 一方、ステップSA9で、前回のSGT割り込み時にフ
ラグがセットされていたと判定された場合は、ステップ
SA12に進んで、今回予測された吸気量A/NF(n-2)
が、今回の実吸気量A/N(n) と不感帯XANDBとの差よ
りも小さいかどうかが判断される。つまり、下式により
推定吸気量A/NF(n-2)が実吸気量A/N(n) の近傍で
あるかどうかが判断されるのである。 A/NF(n-2)<A/N(n) −XANDB そして、上記の不等式が成り立たない場合、すなわち予
測された吸気量A/NF(n-2)の方が大きい場合は、予測
ゲインKF の設定が十分であって、予測値が実際の吸気
量に追いついている、又は加速が終息しつつある時であ
る。したがって、この時はステップSA8に進んで予測
ゲインKF を減算し、その後ステップSA14に進ん
で、今回の実吸気量A/N(n) に基づいて、今回の推定
吸気量A/NF(n)が予測される。
【0073】一方、上記の不等式が成り立つ場合、すな
わち予測された吸気量A/NF(n-2)の方が小さい場合
は、予測ゲインKF の設定がエンジンEGの加速に追い
ついていない時であり、この時は、次にステップSA1
3に進んで予測ゲインKF を加算するサブルーチンに進
む。なお、この加算サブルーチンについては、上述した
ステップSA8の減算サブルーチンとともに図6に示す
ようになっており、これについても後述する。そして、
その後ステップSA14に進んで、今回の実吸気量A/
N(n) に基づいて、今回の推定吸気量A/NF(n)が予測
される。
【0074】このように、エンジンEGの加速過渡期に
は、最新のサンプル値(実吸気量A/N(n) )と2行程
前に予測した吸気量A/NF(n-2)とに基づいて予測ゲイ
ンKF が更新され、新たに今回の予測吸気量A/NF(n)
が予測される。次に、上記ステップSA5において、Δ
A/Nが負の場合について、図5に示すサブルーチンに
したがって説明する。
【0075】ΔA/N<0の場合は、吸気量が減少して
いる場合であり、これはエンジンEGが減速傾向である
ことを示している。そして、この場合は図5に示すフロ
ーチャートに従って、エンジンEGの減速度に応じた予
測ゲインKF を設定して、吸気量を推定するようになっ
ている。まず、ΔA/N<0の時は、ステップSB1に
進んで、この|ΔA/N|が不感帯XANDBより大きいか
どうかが判断される。|ΔA/N|が不感帯XANDB以下
の大きさであると、エンジンEGの運転状態が定常運転
状態であると判断して、ステップSB2に進んでフラグ
をクリアした後、ステップSB3に進んで予測ゲインK
F を減算するサブルーチンに進む。なお、この予測ゲイ
ンKF 減算サブルーチンは、図4に示すフローチャート
のステップSA8における予測ゲインKF減算サブルー
チンと同じものであり、これについては後述する。
【0076】そして、その後ステップSB9に進んで、
下式により今回の実吸気量A/Nに基づいて今回の推定
吸気量A/NF(n)が予測される。 A/NF(n)=A/N(n) −KF ・ΔA/N ・・・・・(3) 次に、ステップSB1で|ΔA/N|が不感帯XANDBよ
りも大きいと判断されると、エンジンEGが減速方向へ
過渡状態にあると判断して、ステップSB4に進んで前
回のSGT割り込み時に吸気量を推定するフラグをセッ
トしたかどうかが判断される。
【0077】そして、フラグがセットされていない場合
は、ステップSB5に進んでフラグをセットし、その後
ステップSB6に進んで予測ゲインKF の初期値とし
て、XKFDEC が設定されるのである。なお、この時設定
されるゲイン値XKFDEC は十分大きな値であり、上述し
たステップSA11で設定される初期値XKFACC と同様
に、吸気量検出時期と燃料供給時期との間の吸気量検出
回数よりも大きい値(例えば4前後の値)が設定され
る。そして、この後ステップSB9に進んで、上述した
式により推定吸気量A/NF(n)を予測するのである。
【0078】また、フラグがすでにセットされている場
合は、前回のSGT割り込み時も同じようなエンジン過
渡状態であったたとを意味し、過渡状態が連続している
ことになる。この場合、ステップSB4からステップS
B7に進んで、下式により推定吸気量A/NF(n-2)が、
実吸気量A/N(n) の近傍であるかどうかが判断され
る。なお、これは図4のステップSA12の加速過渡期
の判断に対応したものであり、このステップSB7で
は、減速過渡期の予測ゲインKF を変更(修正)してい
くための判断が行なわれる。
【0079】A/NF(n-2)>A/N(n) +XANDB そして、上記の不等式が成り立たない場合、すなわち予
測された吸気量A/NF(n-2)の方が小さい場合は、予測
ゲインKF の設定が十分であって、予測値が実際の吸気
量に追いついている、又は減速が終息しつつある時であ
る。したがって、この時はステップSB3に進んで予測
ゲインKF を減算し、その後ステップSB9に進んで、
今回の実吸気量A/N(n) に基づいて、今回の推定吸気
量A/NF(n)を予測する。
【0080】一方、上記の不等式が成り立つ場合、すな
わち予測された吸気量A/NF(n-2)の方が大きい場合
は、予測ゲインKF の設定がエンジンEGの減速に追い
ついていない時であり、この時は、次にステップSB8
に進んで予測ゲインKF を加算するサブルーチンに進
む。なお、この加算サブルーチンについても、上述した
ステップSA13(図4参照)の加算サブルーチンと同
様であり、やはり後述する。そして、その後ステップS
B9に進んで、今回の実吸気量A/N(n) に基づいて、
今回の推定吸気量A/NF(n)が予測される。
【0081】上述のようにして、エンジンEGの減速過
渡期にも、最新のサンプル値(実吸気量A/N(n) )と
2行程前に予測した吸気量A/NF(n-2)とに基づいて予
測ゲインKF がKF(n)として更新(変更)され、新たに
今回の予測吸気量A/NF(n)が予測されるのである。と
ころで、ここまでは予測ゲインKF の変更及びこれにと
もなう吸気量A/NF(n)の予測について図4及び図5に
示すフローチャートを用いて大まかに説明してきたが、
以下、予測ゲインKF を加算又は減算して、実際に予測
ゲインKF を変更していく際のサブルーチンについて、
図6のフローチャートを用いて説明する。
【0082】まず、ステップSA8(図4参照)又はス
テップSB3(図5参照)により、予測ゲインKF 加算
サブルーチンに進んだ場合について説明する。この予測
ゲインKF の加算サブルーチンでは、まずステップSC
1において下式(4)により、今回の予測ゲインKF(n)
が設定される。 KF(n)=KF(n-1)+XKANF ・・・・・(4) つまり、前回の割り込み時に設定された予測ゲインKF
(n-1)に対して所定値XKANFを加算したものが今回の予
測ゲインKF(n)として設定されるのである。
【0083】そして、次にステップSC2に進んで、ス
テップSC1で設定された予測ゲインKF(n)の値が予測
ゲインの下限値XKANFMIN 以上かどうかが判断される。
ゲインKF(n)が下限値XKANFMIN よりも小さい値の時
は、ステップSC3に進んで、KF(n)=XKANFMIN と設
定される。これにより、KF(n)は下限値XKANFMIN にク
リップされるのである。
【0084】つまり、ステップSC2でKF(n)<XKANF
MIN となった場合は、ステップSC3で予測ゲインKF
が下限値XKANFMIN を下回らないように、KF を下限値
XKANFMIN にクリップするのである。そして、この後リ
ターンされる。次に、ステップSC2でKF(n)≧XKANF
MIN であれば、この後ステップSC4に進んでKF(n)≦
XKANFMAX かどうかが判断される。ここで、所定値XKA
NFMAXは、予測ゲインの上限値として設定される値であ
る。
【0085】ステップSC4において、KF(n)が上限値
XKANFMAX 以上の値の場合は、ステップSC5に進んで
KF(n)=XKANFMAX と設定される。これにより、KF(n)
は上限値XKANFMAX にクリップされるのである。また、
ステップSC4において、KF(n)≦XKANFMAX の場合
は、そのままリターンされる。
【0086】このように、予測ゲインKF を設定する場
合は、基本的には、前回設定された予測ゲインKF(n-1)
に所定値XKANFを加えるという処理により予測ゲインK
F(n)が更新されるのであるが、この結果により予測ゲイ
ンKF(n-1)が下限値XKANFMIN と上限値XKANFMAX との
間に収まらない場合のみ、予測ゲインKF(n)を下限値X
KANFMIN 又は上限値XKANFMAX に設定するのである。
【0087】一方、ステップSA8(図4参照)又はス
テップSB3(図5参照)により、予測ゲインKF の減
算サブルーチンに進んだ場合について説明すると、図6
に示すように、まずステップSC6において、前回の予
測ゲインKF(n-1)が、所定値XKANFU よりも小さいかど
うかが判断される。なお、この所定値XKANFU は、上述
の下限値XKANFMIN と上限値XKANFMAX との間に設けら
れた値である。
【0088】そして、ステップSC6で、KF(n-1)がこ
の所定値XKANFU よりも大きいときは、ステップSC8
に進んで、次式(5)により今回の予測ゲインKF(n)が
設定される。 KF(n)=KF(n-1)・XKANF2 ・・・・・(5) なお、XKANF2 は、0と1との間で設定される所定値で
ある。したがって、KF(n-1)が所定値KANFU よりも大き
い場合は、今回の予測ゲインKF(n)が速やかに小さな値
に設定されるのである。そして、この後ステップSC2
に進む。ステップSC2以降は、上述した加算サブルー
チンと同じである。
【0089】また、ステップSC6において、前回の予
測ゲインKF(n-1)が、所定値XKANFU よりも小さい時
は、次にステップSC7に進んで、下式(6)により今
回の予測ゲインKF(n)が設定される。 KF(n)=KF(n-1)−XKANF ・・・・・(6) なお、XKANFは所定値であって、上述の式(4)におけ
る所定値と同一のものである(ステップSC1参照)。
そして、この後はステップSC2以降の処理を施す。
【0090】上述したように、本装置における減算サブ
ルーチンでは、予測ゲインKF(n-1)を、所定値XKANFU
と比較して、予測ゲインKF(n-1)の方が大きければ、K
F(n-1)に0と1との間の所定値XKANF2 を乗じて、KF
(n)を速やかに小さな値に設定して、所定値XKANFU よ
りも小さくなると、今度は、引き算をしていくことによ
り、除々に予測ゲインKF を小さな値に設定していくの
である。
【0091】これにより、エンジンEGの急減速過渡期
にも、予測ゲインKF が遅れることなく設定され、吸気
量の推定がより正確に行なわれるようになる。本発明の
一実施例としての内燃機関用燃料供給制御装置は、上述
のように構成されているので、エンジンEGの運転時に
は、吸気量推定手段51において、吸気量検出値と2行
程前の吸気量推定値とを比較して予測ゲインKF が設定
され、この予測ゲインKF を用いて燃料を噴射する時の
吸気量A/Nが予測される。そして、このようなフィー
ドフォワード(予測)とフィードバックとを取り入れて
予測ゲインKF を変更することにより吸気量が正確に予
測される。
【0092】そして、吸気量推定手段51によりA/N
が推定されると、基本駆動時間決定手段55において、
このA/N情報と回転数センサ21からの情報とに基づ
いてインジェクタ8の基本的な駆動時間TB が決定され
る。その後、補正係数設定手段56及びデッドタイム補
正手段57により、補正係数K及びデッドタイムTD
設定されて、インジェクタ8の駆動時間Tinj がTinj
=TB ×K+TD により決定されるのである。そして、
本発明では、燃料を噴射する時の吸気量A/Nが、フィ
ードバックにより変更される予測ゲインKF を用いて推
定されることにより、実吸気量と推定吸気量との差がほ
とんどなくなる。
【0093】ここで、図7を用いて、本発明の推定吸気
量と実吸気量とを比較すると、線aは本発明における可
変予測ゲインを用いた場合の推定吸気量を示し、線bは
従来通り予測ゲインを固定値(ここでは2)とした場合
の推定吸気量を示し、線cは実吸気量の値を示してい
る。また、図中、線e,線fはともに推定吸気量と実吸
気量との比を示すものであって、線eは可変予測ゲイン
を用いた場合の実吸気量との比であり、線eは可変予測
ゲインを用いた場合の実吸気量との比である。なお、当
然この比の値が1に近いほど実吸気量に近いことにな
る。さらに、線gは予測ゲインの変化を示すものであっ
て、線hはスロットル開度を示すものである。
【0094】図7の線aに示すように、可変予測ゲイン
を用いて推定された吸気量は、線cに示す実際の吸気量
に近く、吸気量の推定が正しく行なわれていることがわ
かる。これに対して、予測ゲインが固定値の場合の予測
吸気量は、線bに示すように線aに比較すると、実際の
吸気量に対して誤差が大きい。また、線eと線fとの比
較からもわかるように、本発明による推定吸気量の方が
実際の吸気量に明らかに近く、正確に吸気量が推定され
ているのである。なお、線gに示す予測ゲインの変化グ
ラフにおいて、スロットル開度が大きくなってきた時
(線h参照)に、加速と判断して予測ゲインKF を一度
に大きな値に設定し、その後はフィードバックにより徐
々にゲインを小さく設定するのである。
【0095】そして、このように予測ゲインKF を可変
にすることにより、吸気量予測の誤差が低減される。ま
た、特に加速初期の誤差が大幅に低減することができ、
この吸気量予測誤差による空燃比の制御が正確になり、
リーンバーン時の失火(ミスファイア)を防止すること
ができるのである。なお、吸気量情報A/Nは、吸気通
路圧力情報から検出したものを使用してもよい。
【0096】また、本実施例は、主に直列4気筒式の内
燃機関に適用した場合について述べてきたが、本発明は
このような形式の内燃機関についてのみに限定されるも
のではなく、マルチポイントインジェクションシステム
をそなえた多気筒内燃機関に広く適用することができ
る。
【0097】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の内燃機関用燃料供給制御装置によれば、多気筒内
燃機関の吸気行程終了以前の所望の吸気量検出時期に検
出された吸気量情報に基づき、該吸気行程の所望の燃料
供給時期において供給される燃料量を設定する燃料量設
定手段と、該燃料量設定手段で設定された燃料量に応
じ、該燃料供給時期において燃料を供給する燃料供給手
段とをそなえ、該燃料量設定手段が、該吸気量検出時期
における吸気量検出結果と、この吸気量検出結果とこれ
以前に検出された吸気量情報との差に予測情報を加味し
た値とに基づき、該燃料供給時期における吸気量情報を
推定する吸気量推定手段をそなえ、且つ、該吸気量推定
手段が、該内燃機関の過渡運転状態を検出する過渡運転
状態検出手段と、該過渡運転状態検出手段にて、該内燃
機関の過渡運転状態が検出されると、該推定吸気量と実
際の吸気量との値が近づくように、該予測情報を変更す
る予測情報変更手段とをそなえて構成されることによ
り、エンジン運転状態が過渡期であっても正確に吸入吸
気量を推定して正確な燃料噴射量を設定することができ
る。したがって、過渡運転時の空燃比変動を抑制するこ
とができ、失火やトルク変動の発生を防止することがで
きるのである。
【0098】また、請求項2記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項1記載の構成に
加えて、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手
段にて、該内燃機関の過渡運転状態が検出されると、該
推定吸気量と該実際の吸気量との比較結果に応じて該予
測情報を変更していくように構成されることにより、予
測情報がフィードバックされて、次に予測される吸気量
をより正確に推定できるようになる。
【0099】また、請求項3記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項1記載の構成に
加えて、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手
段にて、該内燃機関の過渡運転状態を検出したときに、
該予測情報として、上記の吸気量検出時期と燃料供給時
期との間の吸気量検出回数よりも大きい値を初期値とし
て設定するように構成されることにより、内燃機関に形
式に合った初期値を設定することができる。
【0100】また、請求項4記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項1記載の構成に
加えて、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手
段にて、該内燃機関の過渡運転状態を検出したときに、
該予測情報として、上記の吸気量検出時期と燃料供給時
期との間の吸気量検出回数よりも大きい値を初期値とし
て設定したあとは、該推定吸気量と該実際の吸気量との
比較結果に応じて該予測情報を変更していくように構成
されることにより、内燃機関の過渡期、特に加速初期の
吸気量推測時に、吸気量推測値と実吸気量との誤差を低
減することができ、燃料供給を正確に行なうことができ
る。
【0101】また、請求項5記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項3または請求項
4記載の構成に加えて、該予測情報変更手段が、該過渡
運転状態検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態を検
出したときに、該予測情報として、上記の該吸気量検出
時期と燃料供給時期との間の吸気量検出回数よりも大き
い値を初期値として設定する際に、この初期値を該内燃
機関の過渡変化量及び過渡変化方向の少なくとも一方に
応じて変更するように構成されることにより、内燃機関
の過渡期の状態に応じて予測情報を設定することができ
る。
【0102】また、請求項6記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項2記載の構成に
加えて、該予測情報変更手段が、該過渡運転状態検出手
段にて、該内燃機関の過渡運転状態が検出されたあと、
上記の推定吸気量と実際の吸気量との比較結果に応じて
該予測情報を変更していく際に、上記の実際の吸気量と
推定吸気量との差が正の所定値よりも小さくなると、該
予測情報を今までとは逆の方向に変更補正するように構
成されることにより、内燃機関が過渡運転状態から定常
運転状態となった時にも、速やかに予測情報が変更され
て、吸気量を正確に推定することができる。
【0103】また、請求項7記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項1記載の構成に
加えて、該予測情報変更手段が、該予測情報を減少方向
に変更していく際に、減少割合を少なくとも2段階にわ
たって変更するように構成されることにより、推定吸気
量が実際の吸気量よりも大きく設定された場合は、予測
情報を急激に減少させることができ、吸気量の推定誤差
を低減することができる。
【0104】また、請求項8記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項1記載の構成に
加えて、該吸気量推定手段が、該内燃機関の過渡運転状
態を検出する過渡運転状態検出手段と、該内燃機関の高
負荷運転状態を検出する高負荷運転状態検出手段と、該
過渡運転状態検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態
が検出されると、上記の推定吸気量と実際の吸気量との
値が近づくように、該予測情報を変更する予測情報変更
手段と、該高負荷運転状態検出手段にて、該内燃機関の
高負荷運転状態が検出されると、該予測情報変更手段に
よる該予測情報の変更動作に優先して該予測情報を0又
は所定の低い値に設定しうる予測禁止・抑制手段とをそ
なえて構成されることにより、高負荷運転状態時に、吸
気脈動の影響により生じる推定誤差を低減することがで
きる。
【0105】また、請求項9記載の本発明の内燃機関用
燃料供給制御装置によれば、上記請求項2記載の構成に
加えて、該予測情報変更手段が、上記の推定吸気量と実
際の吸気量との比較結果に応じて変更する該予測情報の
下限値を設定する下限値設定手段をそなえ、該下限値設
定手段が、上記の吸気量検出時期と燃料供給時期との間
の吸気量検出回数と、0との間の値を該下限値として設
定するように構成されることにより、内燃機関の形式に
より下限値が決定されるので、その形式の内燃機関に合
った下限値を設定することができる。
【0106】また、請求項10記載の本発明の内燃機関
用燃料供給制御装置によれば、上記請求項2記載の構成
に加えて、該予測情報変更手段が、該推定吸気量と該実
際の吸気量との比較結果に応じて変更する該予測情報の
上限値を設定する上限値設定手段をそなえて構成される
ことにより、内燃機関の過渡状態が急加速から急減速に
移行するような場合でも予測情報の変更が速やかに行な
われるのである。
【0107】さらに、請求項11記載の本発明の内燃機
関用燃料供給制御装置によれば、上記請求項10記載の
構成に加えて、該上限値設定手段での該上限値が該内燃
機関の加速時と減速時とで異なった値に設定されるとい
う構成により、内燃機関の運転状態にあった上限値を設
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての内燃機関用燃料供給
制御装置における機能に着目した制御系を示すブロック
図である。
【図2】本発明の一実施例としての内燃機関用燃料供給
制御装置における制御系のハードブロック図である。
【図3】本発明の一実施例としての内燃機関用燃料供給
制御装置を用いたエンジンシステムの全体構成図であ
る。
【図4】本発明の一実施例としての内燃機関用燃料供給
制御装置における制御要領を説明するフローチャートで
ある。
【図5】本発明の一実施例としての内燃機関用燃料供給
制御装置における制御要領を説明するフローチャートで
ある。
【図6】本発明の一実施例としての内燃機関用燃料供給
制御装置における制御要領を説明するフローチャートで
ある。
【図7】本発明の一実施例としての内燃機関用燃料供給
制御装置における効果を具体的に説明するための図であ
る。
【図8】従来の4サイクル内燃機関における燃料噴射量
計算時期と吸気量決定時期との時間差を示す模式図であ
る。
【図9】従来の4サイクル内燃機関における吸気量の検
出量と実際の吸気量との差を示すグラフである。
【図10】内燃機関の吸気量の変化例を模式的に示すグ
ラフであって、(a)は吸気量が直線的に増加していく
場合のグラフ、(b)は吸気量が非直線的に増加してい
く場合のグラフである。
【符号の説明】
1 燃焼室 2 吸気通路 2a サージタンク 3 排気通路 4 吸気弁 5 排気弁 6 エアクリーナ 7 スロットル弁 8 燃料供給手段としての電磁式燃料噴射弁(インジェ
クタ) 8a インジェクタソレノイド 9 触媒コンバータ(三元触媒) 11 エアフローセンサ(吸気量センサ) 12 吸気温センサ 13 大気圧センサ 14 スロットルセンサ 15 アイドルスイッチ 17 酸素濃度センサ(O2 センサ) 19 水温センサ 20 クランキングスイッチ 21 クランク角センサ(回転数センサ) 22 TDCセンサ(気筒判別センサ) 23 電子制御ユニット(ECU) 25 バッテリセンサ 27 CPU 28,29 入力インタフェイス 30 A/Dコンバータ 31 ROM 32 RAM 34 噴射ドライバ 35 点火プラグ 50 燃料量設定手段 51 吸気量推定手段 52 吸気量推定部 53 予測情報変更手段としての予測ゲイン設定部(予
測ゲイン変更部) 54 過渡運転状態検出手段 55 基本駆動時間決定手段 56 補正係数設定手段 57 デッドタイム補正手段 58 高負荷運転状態検出手段 59 予測禁止・抑制手段

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多気筒内燃機関の吸気行程終了以前の所
    望の吸気量検出時期に検出された吸気量情報に基づき、
    該吸気行程の所望の燃料供給時期において供給される燃
    料量を設定する燃料量設定手段と、 該燃料量設定手段で設定された燃料量に応じ、該燃料供
    給時期において燃料を供給する燃料供給手段とをそな
    え、 該燃料量設定手段が、 該吸気量検出時期における吸気量検出結果と、この吸気
    量検出結果とこれ以前に検出された吸気量情報との差に
    予測情報を加味した値とに基づき、該燃料供給時期にお
    ける吸気量情報を推定する吸気量推定手段をそなえ、 且つ、該吸気量推定手段が、 該内燃機関の過渡運転状態を検出する過渡運転状態検出
    手段と、 該過渡運転状態検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状
    態が検出されると、該推定吸気量と実際の吸気量との値
    が近づくように、該予測情報を変更する予測情報変更手
    段とをそなえて構成されたことを特徴とする、内燃機関
    用燃料供給制御装置。
  2. 【請求項2】 該予測情報変更手段が、該過渡運転状態
    検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態が検出される
    と、該推定吸気量と該実際の吸気量との比較結果に応じ
    て該予測情報を変更していくように構成されたことを特
    徴とする請求項1記載の内燃機関用燃料供給制御装置。
  3. 【請求項3】 該予測情報変更手段が、該過渡運転状態
    検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態を検出したと
    きに、該予測情報として、上記の吸気量検出時期と燃料
    供給時期との間の吸気量検出回数よりも大きい値を初期
    値として設定するように構成されたことを特徴とする請
    求項1記載の内燃機関用燃料供給制御装置。
  4. 【請求項4】 該予測情報変更手段が、該過渡運転状態
    検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態を検出したと
    きに、該予測情報として、上記の吸気量検出時期と燃料
    供給時期との間の吸気量検出回数よりも大きい値を初期
    値として設定したあとは、該推定吸気量と該実際の吸気
    量との比較結果に応じて該予測情報を変更していくよう
    に構成されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関
    用燃料供給制御装置。
  5. 【請求項5】 該予測情報変更手段が、該過渡運転状態
    検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態を検出したと
    きに、該予測情報として、上記の該吸気量検出時期と燃
    料供給時期との間の吸気量検出回数よりも大きい値を初
    期値として設定する際に、この初期値を該内燃機関の過
    渡変化量及び過渡変化方向の少なくとも一方に応じて設
    定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載
    の内燃機関用燃料供給制御装置。
  6. 【請求項6】 該予測情報変更手段が、該過渡運転状態
    検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状態が検出された
    あと、上記の推定吸気量と実際の吸気量との比較結果に
    応じて該予測情報を変更していく際に、上記の実際の吸
    気量と推定吸気量との差が正の所定値よりも小さくなる
    と、該予測情報を今までとは逆の方向に変更補正するよ
    うに構成されたことを特徴とする請求項2記載の内燃機
    関用燃料供給制御装置。
  7. 【請求項7】 該予測情報変更手段が、該予測情報を減
    少方向に変更していく際に、減少割合が少なくとも2段
    階にわたって変更されるように構成されたことを特徴と
    する請求項1記載の内燃機関用燃料供給制御装置。
  8. 【請求項8】 該吸気量推定手段が、 該内燃機関の過渡運転状態を検出する過渡運転状態検出
    手段と、 該内燃機関の高負荷運転状態を検出する高負荷運転状態
    検出手段と、 該過渡運転状態検出手段にて、該内燃機関の過渡運転状
    態が検出されると、上記の推定吸気量と実際の吸気量と
    の値が近づくように、該予測情報を変更する予測情報変
    更手段と、 該高負荷運転状態検出手段にて、該内燃機関の高負荷運
    転状態が検出されると、該予測情報変更手段による該予
    測情報の変更動作に優先して該予測情報を0又は所定の
    低い値に設定しうる予測禁止・抑制手段とをそなえて構
    成されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関用燃
    料供給制御装置。
  9. 【請求項9】 該予測情報変更手段が、上記の推定吸気
    量と実際の吸気量との比較結果に応じて変更する該予測
    情報の下限値を設定する下限値設定手段をそなえ、該下
    限値設定手段が、上記の吸気量検出時期と燃料供給時期
    との間の吸気量検出回数と、0との間の値を該下限値と
    して設定するように構成されたことを特徴とする請求項
    2記載の内燃機関用燃料供給制御装置。
  10. 【請求項10】 該予測情報変更手段が、該推定吸気量
    と該実際の吸気量との比較結果に応じて変更する該予測
    情報の上限値を設定する上限値設定手段をそなえて構成
    されたことを特徴とする請求項2記載の内燃機関用燃料
    供給制御装置。
  11. 【請求項11】 該上限値設定手段での該上限値が該内
    燃機関の加速時と減速時とで異なった値に設定されるこ
    とを特徴とする請求項10記載の内燃機関用燃料供給制
    御装置。
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