JPH07258122A - 低次ハロゲン化炭化水素の製造方法 - Google Patents

低次ハロゲン化炭化水素の製造方法

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JPH07258122A
JPH07258122A JP4939094A JP4939094A JPH07258122A JP H07258122 A JPH07258122 A JP H07258122A JP 4939094 A JP4939094 A JP 4939094A JP 4939094 A JP4939094 A JP 4939094A JP H07258122 A JPH07258122 A JP H07258122A
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幸二郎 宮崎
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C17/00Preparation of halogenated hydrocarbons
    • C07C17/23Preparation of halogenated hydrocarbons by dehalogenation

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  • Organic Chemistry (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】触媒活性を長時間持続させハロゲン化炭化水素
のハロゲン原子を水素原子で置換した低次ハロゲン化炭
化水素を製造する。 【構成】還元触媒の存在下にハロゲン化炭化水素と水素
とを反応器中において液相で反応させ、ハロゲン化炭化
水素のハロゲン原子を水素原子で置換した低次ハロゲン
化炭化水素を製造する方法において、該反応器として、
内面が表面粗さ10μmRmax以下である反応器を用い
て、例えば、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素から、
例えば、クロロホルム等の低次ハロゲン化炭化水素を製
造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化炭化水素の
ハロゲン原子を水素原子で置換した低次ハロゲン化炭化
水素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境保護の立場から、現在、ハロゲ
ン化炭化水素から塩素量の少ない低次ハロゲン化炭化水
素を製造することが望まれている。例えば、特表平4−
504728号公報には、8000KPa以下の圧力及
び250℃以下の温度において、還元触媒として活性炭
担持パラジウム触媒を四塩化炭素よりなる液相中に懸濁
させ、水素ガスと反応させてクロロホルムを製造する方
法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この方法によると、反
応時間が長くなるにしたがって、単位時間・単位触媒金
属量あたりの触媒活性が急激に低下するという問題があ
った。即ち、反応時間2時間と4時間とを比較すると触
媒活性は最大34%低下するという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、長期にわ
たって還元触媒の性能が低下しない方法について数多く
の実験を繰り返した結果、還元触媒の存在下にハロゲン
化炭化水素と水素とを液相で反応させた場合、還元触媒
が反応器内面の気相中の液面近傍の付着すること、およ
び、付着した還元触媒は失活していることを見いだし
た。そこで、本発明者らは、反応器内面への還元触媒の
付着を防止するために種々検討した結果、反応器内面の
表面粗さを低く抑えることによって、上記目的を達成す
ることができることを見いだし、本発明を提案するに至
った。
【0005】即ち、本発明は、還元触媒の存在下にハロ
ゲン化炭化水素と水素とを反応器中において液相で反応
させ、ハロゲン化炭化水素のハロゲン原子を水素原子で
置換した低次ハロゲン化炭化水素を製造する方法におい
て、該反応器として、内面が表面粗さ10μmRmax以
下である反応器を用いることを特徴とする低次ハロゲン
化炭化水素の製造方法である。
【0006】本発明において、長期にわたって還元触媒
の性能を低下させずに目的物を得るためには、内面が表
面粗さ10μmRmax以下の反応器を用いて反応を行う
必要がある。10μmRmaxを越える場合には、単位時
間・単位触媒金属量あたりの触媒活性が急激に低下する
ために好ましくない。反応器内面の表面粗さは低い方が
好ましく、表面粗さ9μmRmax以下、特に5μmRmax
以下、さらに2μmRmax以下であることが好ましい。
なお、表面粗さの測定はJIS B 0601に従い求め
た値である。
【0007】本発明においては、反応器の内面を上記し
た表面粗さ以下とすれば本発明の目的を達成することが
できるが、さらに、反応器内に設置された付帯設備、例
えば、攪拌機の回転軸、反応原料供給管、邪魔板等の設
備も表面粗さを上記した反応器内面と同様にすることが
好ましい。
【0008】また、反応器の内面および付帯設備は、全
面を上記した表面粗さにしてもよいが、気体と液体との
接触面近傍、即ち、液面の上下10cm以内のみを上記
した表面粗さにするだけで同様の効果が得られる。
【0009】反応器に使用する材質は、通常、採用され
る反応条件において不活性であれば特に制限されない。
具体的には、オーステナイト系、マルテンサイト系およ
びフェライト系ステンレス、プラチナ、金、ニッケル2
00、インコネル合金600、ハステロイB、ハステロ
イC、ハステロイD、18−8−Mo、モネル合金40
0、カーボンスチール、鉄等の金属;ガラス;二フッ化
ビニリデン樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレ
ン共重合体、四フッ化エチレン・エチレン共重合体、四
フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシ樹脂、エチレ
ン・三フッ化塩化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチ
レン樹脂、四フッ化エチレン樹脂等の樹脂などが挙げら
れる。
【0010】反応器の内面の表面粗さを10μmRmax
以下とするための方法としては、公知の方法が何等制限
なく使用できる。通常、反応器の材質が金属のときは、
表面仕上げを行う方法、および、ガラスや樹脂によりラ
イニングする方法が好適に採用され、特に表面仕上げを
行う方法が簡便であるため好適である。
【0011】表面仕上げの方法は特に制限されないが、
具体的には、バフ研磨、バレル研磨、化学研磨、電解研
磨、やすり仕上げ、ペーパー仕上げ等が挙げられる。1
0μmRmax以下の表面粗さが得られれば、仕上げを行
わず鋳造やくり抜きのみでもかまわない。
【0012】ライニングの方法は、公知の方法が何等制
限なく採用できる。具体的には、パウダーライニング
法、シートライニング法、ディスパージョン法、ラミネ
ートライニング法、ルーズライニング法等を挙げること
ができる。
【0013】反応器の材質が樹脂のときは、通常の成型
条件で上記した表面粗さ以下とすることができる。
【0014】この様にして内面を10μmRmax以下に
した反応器に、還元触媒を仕込み、水素およびハロゲン
化炭化水素を供給して液相で反応が行われる。
【0015】本発明において用いられる還元触媒として
は、公知のものが何等制限なく用いられる。具体的に
は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、
パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の周期律表
第8族金属を活性成分とする触媒金属を挙げることがで
きる。この内、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウ
ムが高活性であるために好適であり、特に、白金が好ま
しい。さらに還元触媒は、これらの元素のみからなって
いてもよく、これらの元素と8族元素以外の金属元素を
併用してもよい。
【0016】これらの還元触媒は上記の金属よりなる活
性成分をそのまま、または、それを担体に担持させたも
ののいずれでも使用可能である。担体に担持する場合の
担持量は、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜
10重量%程度が触媒成分の分散性、反応活性等の点で
好適である。担体としては、シリカアルミナ等の珪酸塩
類、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ゼオライト、炭化
珪素、活性炭等、公知のものが何等制限なく使用できる
が、特に、シリカアルミナ等の珪酸塩類、シリカ、アル
ミナ、ジルコニア、ゼオライト、炭化珪素が好ましい。
これら担体の形状は特に制限されず、粉末状、ペレット
状、破砕状、および成型品等が好適に用いられる。
【0017】担体への触媒金属の担持方法は、公知の方
法が何等制限なく採用することができる。具体的には、
含浸法、共沈法、イオン交換法等を挙げることができ
る。例えば、含浸法としては、触媒金属の前駆体として
塩化物、アンミン錯体、有機錯塩、硝酸塩あるいは金属
を適当な溶媒に溶解させ、その溶液を担体に含浸させ、
室温で数時間放置した後、100〜150℃程度の温度
で加熱して担体中に残存する水分を除去し、さらに、水
素、ヒドラジン等の還元剤の存在下、20〜500℃の
温度で触媒金属の前駆体を金属状態に還元するという方
法を好適に採用することができる。また、触媒の使用に
あたっては、触媒の還元が必須ではないが、あらかじめ
還元を行うことが安定した触媒性能を得るために好まし
い。
【0018】担体に担持した還元触媒の粒子径は特に制
限されないが、通常、平均粒子径が0.5mm以下、好
ましくは0.25mm以下、さらには0.1mm以下が
安定した還元触媒の液相への分散状態が得られるために
好適である。
【0019】還元触媒の使用量は特に制限されないが、
通常、反応器中に存在する液相の体積100mLに対し
て0.01〜50gの範囲、さらには0.1〜20gの
範囲であることが好ましい。
【0020】原料であるハロゲン化炭化水素としては公
知のものを何等制限なく用い得る。特に、下記一般式 Cn2n+2-x-yClxy (但し、1≦n≦3、1≦x≦2n+2、0≦y≦2n
+1、1≦x+y≦2n+2)で表されるハロゲン化ア
ルカン類が好適に使用可能である。具体的には、クロロ
メタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、
ジクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,2−ジクロ
ロプロパン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフ
ルオロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−
トリフルオロエタン等を挙げることができる。特に、ク
ロロホルム、四塩化炭素、さらには、四塩化炭素が好ま
しい。
【0021】ハロゲン化炭化水素は、通常そのまま、ま
たはハロゲン化炭化水素と相溶しうる溶媒で希釈して使
用される。希釈に使用される溶媒としては、例えば、メ
タノール、エタノール等のアルコール類、トリエチルア
ミン等のアミン類、酢酸等のカルボン酸類、アセトン等
のケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲ
ン化アルカンであることが好ましく、特に精製の容易さ
から、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化ア
ルカンであることが好ましい。溶媒中のハロゲン化炭化
水素の濃度としては特に制限されないが、1〜100重
量%の範囲から採用できる。
【0022】液相での反応は、気体−液体−固体界面の
水素の良好な拡散を与えることが好ましく、懸濁床で十
分な機械的攪拌または水素気流による攪拌を施すのが好
適であり、回分式、連続式、半連続式のいずれでも実施
可能である。
【0023】水素は反応器の気相部および液相部のいず
れに供給してもよいが、通常は、液相に供給することが
液相への水素の溶解速度をあげて反応を迅速に行わせる
ことができるために好ましい。また、あらかじめ供給す
るハロゲン化炭化水素に水素を溶解させてから反応器に
供給してもよい。
【0024】水素とハロゲン化炭化水素の反応モル比は
特に限定されない。水素を多くすると反応率が上がる
が、より水素置換が進行した低次ハロゲン化炭化水素の
生成割合が多くなる。通常は、ハロゲン化炭化水素1モ
ルに対して水素を0.1〜50モル供給することが好適
であるが、原料であるハロゲン化炭化水素から一つの塩
素原子を水素原子に置換する反応に適用する場合は、反
応器から出る排ガス中に僅かに未反応の水素ガスが含ま
れる様に維持することが、目的物の選択率が高くなるの
で好ましい。通常、反応によって観測される供給水素モ
ル数/消費水素モル数の比が1よりも大きくなるように
維持すればよい。具体的には、通常、反応によって観測
される供給水素モル数/消費水素モル数で表した値が1
〜50の範囲、好ましくは2〜30の範囲が好適に採用
される。過剰の水素については、リサイクルさせること
により、水素利用効率を高めることができる。
【0025】反応温度は、ハロゲン化炭化水素の転化率
を高くし、副生成物の生成を抑制するために10〜25
0℃の範囲が好ましく、特に、50〜200℃、さらに
は50〜150℃の範囲であることが好ましい。また、
反応圧力は常圧および加圧のいずれでもよいが、一般に
は常圧〜200Kg/cm2の範囲が好ましく、さらに
は、2〜100Kg/cm2の範囲が好ましい。
【0026】本発明において、反応系から生成物を単
離、精製する方法は特に限定されず、ろ過、蒸留等の公
知の方法を採用することができる。
【0027】この様にして、ハロゲン化炭化水素のハロ
ゲン原子を水素原子で置換した低次ハロゲン化炭化水素
を製造することができる。
【0028】本発明において得られる低次ハロゲン化炭
化水素は、原料であるハロゲン化炭化水素のハロゲン原
子を水素で置換した一連の化合物であり、例えば、原料
として四塩化炭素を用いたときはクロロホルム、塩化メ
チレン、塩化メチル、メタンが得られる。特に、本発明
の方法は、原料であるハロゲン化炭化水素から一つの塩
素原子を水素原子に置換する反応に適しており、例え
ば、原料として四塩化炭素を用いたときは主としてクロ
ロホルムを、クロロホルムを原料としたときには主とし
て塩化メチレンを得ることができる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、700時間以上にわた
って高い目的物選択性を維持したまま、ハロゲン化炭化
水素からハロゲン原子を水素原子に置換した低次ハロゲ
ン化炭化水素を得ることができる。従って、本発明は工
業的に極めて有用である。
【0030】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するため実
施例を掲げるが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0031】実施例1(全面#400バフ研磨による反
応器内面仕上げ) 内径55mm、容器内高さ200mmのSUS316L
製オートクレーブ、および反応器内にある付帯設備(外
径8mmの攪拌軸、攪拌翼、挿入管、いずれも材質はS
US316L)を#400バフ研磨により全面を表面仕
上げした。表面粗さは0.7μmRmaxであった。
【0032】この反応器に四塩化炭素60gを入れ、ア
ルミナ担持白金触媒(担持量:2重量%、担体平均粒
径:20μm)を1.0g入れた後、反応器を閉じた。
反応器内の空気を除去した後、水素を常温で45Kg/
cm2・G充填した。ディスクタービン翼を取り付けた
攪拌機にて500rpmで攪拌しながら、反応器内を1
05℃に加熱制御し、その後、四塩化炭素を定量ポンプ
にて、0.4g/分で反応器内に連続供給した。水素の
供給は、供給水素モル数/消費水素モル数の比が2〜3
の範囲で、反応器内が45Kg/cm2・Gを保持する
ように、連続して行った。反応ガスおよび反応液を連続
して抜き出して分析した結果を表1に示した。
【0033】実施例2(接液部#400バフ研磨による
反応器内面仕上げ) 実施例1において、液面から上下20mmのみを#40
0バフ研磨により表面仕上げした反応器および付帯設備
を用いたこと以外は実施例1と同様に操作し、その結果
を表1に示した。なお、仕上げ部分の表面粗さは0.8
μmRmaxであった。
【0034】実施例3(全面#200バフ研磨による反
応器内面仕上げ) 実施例1において、#200バフ研磨により全面を表面
仕上げした反応器および付帯設備を用いたこと以外は実
施例1と同様に操作し、その結果を表1に示した。な
お、表面粗さは8.6μmRmaxであった。
【0035】実施例4(四フッ化エチレン・エチレン共
重合体ライニングによる反応器内面仕上げ) 実施例1において、全面、四フッ化エチレン・エチレン
共重合体にてライニングした反応器および付帯設備を用
いたこと以外は実施例1と同様に操作し、その結果を表
1に示した。なお、表面粗さは1.6μmRmaxであっ
た。
【0036】比較例 インゴットくり抜きにより内径55mm、容器内高さ2
00mmのSUS316L製オートクレーブを製作し
た。反応器内にある付帯設備(外径8mmの攪拌軸,攪
拌翼,挿入管、材質SUS316L)は素地をそのまま
加工して製作した。表面粗さは10.9μmRmaxであ
った。このオートクレーブを使用して実施例1と同様に
反応させ、その結果を表1に示した。
【0037】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】還元触媒の存在下にハロゲン化炭化水素と
    水素とを反応器中において液相で反応させ、ハロゲン化
    炭化水素のハロゲン原子を水素原子で置換した低次ハロ
    ゲン化炭化水素を製造する方法において、該反応器とし
    て、内面が表面粗さ10μmRmax以下である反応器を
    用いることを特徴とする低次ハロゲン化炭化水素の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019106972A1 (ja) * 2017-11-30 2019-06-06 昭和電工株式会社 1,2,3,4-テトラクロロブタンの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019106972A1 (ja) * 2017-11-30 2019-06-06 昭和電工株式会社 1,2,3,4-テトラクロロブタンの製造方法
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