JPH07257973A - 窒化アルミニウム焼結体、その製造方法及び用途 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体、その製造方法及び用途

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JPH07257973A
JPH07257973A JP6017640A JP1764094A JPH07257973A JP H07257973 A JPH07257973 A JP H07257973A JP 6017640 A JP6017640 A JP 6017640A JP 1764094 A JP1764094 A JP 1764094A JP H07257973 A JPH07257973 A JP H07257973A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ヒートショックやヒートサイクル等の熱衝
撃、熱履歴に対して十分に高い耐久性をもった窒化アル
ミニウム焼結体と回路基板を提供する。 【構成】 焼結体表面から100μm以内の部分に存在
する粒界層の割合Esが8〜20%で、厚み方向の中心
部分から±100μm以内の部分に存在する粒界層の割
合Eiが16%以下であり、しかもEs/Eiが1.2
5以上であることを特徴とする耐熱衝撃性に優れた窒化
アルミニウム焼結体、窒化アルミニウム焼結体を製造す
る方法において、焼成後、温度1700℃までを冷却速
度を8℃/分以下にして冷却することを特徴とする上記
窒化アルミニウム焼結体の製造方法、厚み0.3mm以
上である上記窒化アルミニウム焼結体を基板としその表
面に厚み0.3mm以上の金属回路を形成させてなるこ
とを特徴とする回路基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子部品のパワーモジ
ュール等に使用される窒化アルミニウム焼結体とその製
造方法及びこの窒化アルミニウム焼結体を窒化アルミニ
ウム基板として用いてなる耐熱衝撃性に優れた回路基板
に関するものである。
【0002】近年、ロボットやモーター等の産業機器の
高性能化に伴い、大電力・高能率インバーター等大電力
モジュールの変遷が進んでおり、半導体素子から発生す
る熱も増加の一途をたどっている。この熱を効率よく放
散するため、大電力モジュール基板では従来より様々な
方法がとられてきた。特に最近、良好な熱伝導を有する
セラミックス基板が利用できるようになったため、基板
上に銅板等の金属板を接合し回路を形成後、そのままあ
るいはメッキ等の処理を施してから半導体素子を実装
し、回路の反対側には放熱フィンを取り付けるための放
熱板を接合する構造も採用されつつある。
【0003】このようなモジュールは、当初は簡単な工
作機械に使用されてきたが、ここ数年、溶接機、電車の
駆動部、電気自動車等に使用されるようになったのでよ
り厳しい環境条件と更なる小型化が要求され、セラミッ
クス基板に対しても電流密度を上げるために銅回路の厚
みを増大させたり、熱衝撃等に対する耐久性の向上が要
求されてきている。
【0004】このような厳しい要求に対応が可能である
現今のセラミックスは窒化アルミニウムのみであるの
で、その焼結体自体の性能向上と回路基板としての構造
改善等が早急に求められている。
【0005】窒化アルミニウム焼結体を製造するには、
窒化アルミニウム粉末に例えばイットリア等の希土類酸
化物、カルシア等のアルカリ土類酸化物等の焼結助剤を
配合し、その配合物を成形した後焼成する常圧焼結法、
上記配合物又は窒化アルミニウム粉末単独をホットプレ
ス焼結する方法が一般的に採用されている。
【0006】一方、回路基板を形成するための金属とセ
ラミックスを接合する方法としては、Mo-Mn 法、活性金
属ろう付け法、硫化銅法、DBC法、銅メタライズ法等
があるが、中でも銅板と窒化アルミニウム基板との接合
には、両者間に活性金属を含むろう材(以下、単に「ろ
う材」という)を介在させ加熱処理して接合体とする活
性金属ろう付け法(例えば特開昭60-177634 号公報)
と、表面が酸化処理された窒化アルミニウム基板と銅板
を銅の融点以下でCu-Oの共晶温度以上で加熱接合するD
BC法(例えば特開昭56-163093 号公報)がある。
【0007】活性金属ろう付け法は、DBC法に比べて
以下の利点がある。 (1)窒化アルミニウム基板と銅板との接合体を得るた
めの熱処理温度が低いので両者の熱膨張差によって生じ
る残留熱応力が小さい。 (2)ろう材が延性金属であるのでヒートショックやヒ
ートサイクルに対して耐久性が大である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、活性金
属ろう付け法を用いてもヒートショックやヒートサイク
ル等の熱衝撃、熱履歴によって生じる損傷に対して十分
な耐久性があるとはいえず新しい技術の提案が待たれて
いた。そこで、金属回路(通常はセラミックス基板の上
面に設けられる)の体積を反対面の金属放熱板の体積の
50から90%となるように調整したり(特開昭63−
24815号公報)、放熱側銅板の厚さを回路側銅板の
厚さの50%以下とすること(特開平5−170564
号公報)等が提案されているが、これらの工夫だけでは
これからの厳しい要求に対して十分に応じることはでき
ず、窒化アルミニウム焼結体自体の改善が不可欠となっ
ている。
【0009】窒化アルミニウムの焼結は、液相焼結であ
るため、焼結体の粒界層は全て焼結助剤で形成されるこ
とになる。常圧焼結法はホットプレス法に比べて簡単か
つ量産的に窒化アルミニウム焼結体を製造することがで
きる。しかしながら、この方法では焼結体にポアなどの
欠陥を生じやすく、また窒化アルミニウムとの相反応に
よって発生する第2、第3相が比較的高い蒸気圧を持つ
ため偏析を生じやすく、ホットプレス法で製造した焼結
体に比べると熱衝撃性が小さくなる傾向にある。特に、
板状の窒化アルミニウム焼結体からなる窒化アルミニウ
ム基板を製造する場合にはこの傾向は顕著であった。
【0010】本発明者らは、以上の問題点を解決するた
めに鋭意検討を重ねた結果、焼成条件特に焼成後の冷却
速度を制御すると、得られた窒化アルミニウム焼結体の
粒界層の分布すなわち焼結助剤の分布が著しく偏り、そ
の結果熱衝撃性が著しく向上することを見いだし、本発
明を完成させたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、焼
結体表面から100μm以内の部分に存在する粒界層の
割合Esが8〜20%で、厚み方向の中心部分から±1
00μm以内の部分に存在する粒界層の割合Eiが16
%以下であり、しかもEs/Eiが1.25以上である
ことを特徴とする耐熱衝撃性に優れた窒化アルミニウム
焼結体(請求項1)、窒化アルミニウム粉末に対して3
〜5重量%の焼結助剤を含んでなるグリーンシートを非
酸化性雰囲気下に焼成して窒化アルミニウム焼結体を製
造する方法において、焼成後、温度1700℃までを冷
却速度を8℃/分以下にして冷却することを特徴とする
請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法(請
求項2)、厚み0.3mm以上である請求項1記載の窒
化アルミニウム焼結体を基板としその表面に厚み0.3
mm以上の金属回路を形成させてなることを特徴とする
回路基板(請求項3)、及び請求項1記載の窒化アルミ
ニウム焼結体を基板としその表面に金属回路が形成され
てなるものであって、その反りが金属回路面側に凹の方
向に400μm以下であることを特徴とする回路基板
(請求項4)である。
【0012】以下、さらに詳しく本発明について説明す
ると、本発明の窒化アルミニウム焼結体(請求項1の発
明)の特徴は、粒界層を偏析させたことである。すなわ
ち、焼結体表面から100μm以内の部分に存在する粒
界層の割合Esが8〜20%で、厚み方向の中心部分か
ら±100μm以内の部分に存在する粒界層の割合Es
が16%以下であり、しかもEs/Eiが1.25以上
としたものである。
【0013】本発明において、Es/Eiを1.25以
上とすると熱衝撃性が向上する理由は、窒化アルミニウ
ム基板と金属回路との熱膨張差によって生じる熱応力に
対し、粒界層を窒化アルミニウム基板表面に多く存在さ
せることによって、マイクロクラックが生じ易い層を基
板表面に形成させ、その熱応力を分散させて基板内部ま
で熱応力が伝達しないような構造となっていることであ
る。つまり、Es/Eiが1.25よりも小さいと、熱
応力をマイクロクラックとして吸収する層がないので熱
応力が直接窒化アルミニウム基板内部にまで達してしま
い、基板の破壊が生じてしまう。
【0014】熱応力をマイクロクラックとして吸収する
層とするには、粒界層の割合Esが8〜20%で好まし
くは13〜17%でなければならない。Esが20%を
こえるとこの部分の熱伝導率が低下する。一方、粒界層
の割合Eiは、窒化アルミニウム焼結体の機械的強度を
左右する因子であり、それが小さいほど機械的強度が向
上するので好ましいが、本発明においては16%以下好
ましくは7〜8%である。Eiが余りにも小さいと靱性
が低下し、16%をこえると機械的強度が低下する。
【0015】粒界層の割合Es又はEiを測定するに
は、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)におけるC
OMPO像を撮影し、それを画像処理することによって
行うことができる。例えば、粒界成分(焼結助剤成分)
の分子量が窒化アルミニウムのそれよりも大きい場合に
は、粒界成分は白く見える。写真のコントラストを統一
するために粒界層白く窒化アルミニウム粒子が黒くなる
ように画像処理を行う。この画像処理された写真の色度
(L値)を色差計で測定し、全面白の場合が100、全
面黒の場合が0となるように値を補正してその写真のL
値を求め、そのL値からあらかじめ作成された検量線に
したがって粒界層の割合Es又はEiを求める。粒界成
分と窒化アルミニウムとの分子量の差では識別しにくい
場合には、EPMA装置を用いて面分析を行い、同様に
L値を求めることによって行うことができる。
【0016】走査型電子顕微鏡又はEPMA装置におけ
る倍率としては500倍程度が適当であり、色差計の測
定範囲として直径100μm程度の円が納まるように写
真の大きさを調節することが望ましい。
【0017】本発明の窒化アルミニウム焼結体の酸素含
有量は1.5〜3重量%であることが好ましい。酸素含
有量が1.5重量%未満では、焼結体を構成するAlN
粒子の隙間を埋める働きをする粒界層が少なくなり、靱
性が低下して脆くなる。一方、酸素含有量が3重量%を
こえると不純物酸素が増大することとなり熱伝導率が低
下する。本発明の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率と
しては、高いものほど好ましいが60W/mKもあれば
十分である。
【0018】次に、本発明の窒化アルミニウム焼結体の
製造方法(請求項2の発明)について説明すると、本発
明の大きな特徴は窒化アルミニウムに対し3〜5重量%
の焼結助剤を含むグリーンシートを常法により焼成した
後、温度1700℃までを8℃/分以下の冷却速度で冷
却することである。
【0019】温度1700℃までの冷却速度を8℃/分
をこえて冷却すると、粒界層が窒化アルミニウム焼結体
内部に閉じこめられてしまい、本発明のように粒界層を
偏析させた窒化アルミニウム焼結体を製造することがで
きなくなる。
【0020】本発明で使用されるグリーンシートの製造
及びその焼成条件は、焼成後の冷却条件を除いて従来法
を採用することができる。その概要は以下のとおりであ
る。窒化アルミニウム粉末としては、粒径2μm程度、
金属不純物の合計が300ppm以下、不純物炭素10
00ppm以下のものが使用される。
【0021】本発明で使用される焼結助剤としては、例
えばイットリア、セリア等の希土類酸化物、例えばカル
シア、マグネシア等のアルカリ土類酸化物等であるが特
にイットリアが望ましい。その使用量は、窒化アルミニ
ウム粉末中に3〜5重量%を含む割合とする。3重量%
未満では十分な粒界層を形成させることはできず、また
常圧焼結することも困難となるので製造コストが増大す
る。一方、5重量%をこえると焼結体の不純物酸素量が
多くなって熱伝導率が低下する。
【0022】有機結合剤としては、エチルセルロース等
のようなセルロース類も使用できるがポリビニルブチラ
ール(PVB)が最適である。有機溶剤としては、アル
コール類、トルエン、キシレンが好ましい。分散剤につ
いては、ダイナマイトグリセリン、グリセリントリオレ
ート等が使用される。
【0023】スラリーの混練方法としては、ボールミル
が一般的であるが、ミキサー類を使用することもでき
る。グリーンシートの成形方法としては、ドクターブレ
ード法が最適であるが、これに限られることはなくカレ
ンダーロールや押出し成形機を使用することもできる。
【0024】以上のようにして製造されたグリーンシー
トは、脱脂後非酸化性雰囲気下で焼成後、1700℃ま
での温度を冷却速度8℃/分以下にして冷却されて本発
明の窒化アルミニウム焼結体が製造される。脱脂工程
は、非酸化性雰囲気下で行う必要はないが、より高い熱
伝導率を望む場合には、窒素ガスを導入した非酸化性雰
囲気下で行うことが望ましい。焼成は、アルゴン、N2
等の非酸化性雰囲気下で行われ、温度1500℃から1
700℃までの昇温速度を5〜10℃/分、温度170
0℃から焼結温度までのそれを1〜2℃/分として昇温
し、焼結温度を1900〜2000℃とすることが望ま
しい。
【0025】本発明の窒化アルミニウム焼結体が焼結さ
れる際の焼結助剤の働きを考察すると、まず焼結前の段
階では焼結助剤は窒化アルミニウム粒子の隙間に固体と
して存在しているが、やがて焼結が始まる段階になって
くると粒子同士の接触部分から反応が始まる。そして、
焼結助剤は液相となり窒化アルミニウム粒子の表面を這
うようにして窒化アルミニウム粒子表面に存在する酸素
(アルミナとして存在する)と反応し複合酸化物を生成
する。このとき、窒化アルミニウム粒子の隙間にある粒
界層が焼結助剤によって埋め尽くされる。更にこの状態
で時間が進むと窒化アルミニウム粒子が粒成長し、粒子
間の隙間が少なくなって粒界層の居場所がなくなり表面
へと押し出されていくことになる。これらの一連の粒界
層の働きについては、上記したグリーンシートの焼成条
件特に冷却速度の制御によって調節することができる。
【0026】焼結助剤が上記挙動を示すには、適正な焼
結助剤量3〜5重量%と適正な窒化アルミニウム分の中
に存在する酸素含有量が重要であり、その量としては焼
結体となった状態で1.5〜3重量%の酸素含有量であ
ることが好ましい。酸素含有量が1.5重量%よりも少
ない場合には、粒界層の移動は余り起こらず、窒化アル
ミニウム粒子間の隙間に固定されたままの状態になりや
すい。一方、酸素含有量が3重量%よりも多い場合に
は、熱伝導率が低下する。
【0027】次に、本発明の窒化アルミニウム焼結体を
窒化アルミニウム基板として使用した回路基板(請求項
3及び請求項4の発明)について説明する。
【0028】まず、請求項3に記載された回路基板につ
いて説明すると、本発明において、窒化アルミニウム基
板の厚みは0.3mm以上であることが望ましい。0.
3mmよりも薄いと熱衝撃に対し構造的に耐久力がなく
なる。また、あまりにも厚すぎると熱抵抗を下げる原因
となるので0.8mm以下であることが望ましい。
【0029】窒化アルミニウム基板の表面に形成される
金属回路及び/又は金属放熱板の材質としては、銅、ア
ルミニウム、タングステン、モリブデン等が使用される
が、銅が一般的である。金属回路の厚みとしては、近
年、電流密度が向上していく傾向から0.3mmよりも
厚いことが好ましく、また金属放熱板の厚みとしては
0.2mm以下であることが好ましい。
【0030】次に、請求項4に記載された回路基板につ
いて説明する。通常、この分野で用いられる銅回路を有
する回路基板は、銅回路側の厚みが裏側の金属放熱板の
厚みよりも厚い(例えば特公平3-51119 号公報)のでヒ
ートサイクル試験を行うと銅と窒化アルミニウムとの熱
膨張係数の差から銅回路側に引っ張り応力がかかり、銅
回路側が凸になって窒化アルミニウム基板から剥がれや
すくなる。
【0031】そこで、本発明では、ヒートサイクル時に
かかる熱応力とは逆の、すなわち金属回路側に圧縮の応
力を付与することによってヒートサイクル時の熱応力を
打ち消し、耐ヒートサイクル性を向上させたものであ
る。具体的には、金属回路側が凹となるような反りをも
たせたものである。
【0032】金属回路側に凹の方向にもたせる反りが大
きいほど残留応力も大きくなるが、あまりにも反りが大
きすぎると裏側の金属放熱板にヒートシンクとなるベー
ス銅板を半田付けする際にボイドが発生する危険がある
ので、反りの値は400μm以下特に300μm以下で
あることが好ましい。
【0033】このような反りをもたせる具体的な手段と
しては、例えば窒化アルミニウム基板の厚みが0.63
5mm、金属回路の厚みが0.3〜0.5mm、金属放
熱板の厚みが0.1〜0.25mmとしてそれらを接合
すればよい。なお、窒化アルミニウム基板の表面に形成
される金属回路及び/又は金属放熱板の材質と厚みにつ
いては、上記したものと同様なものが使用される。
【0034】上記請求項3及び請求項4に記載されたい
ずれの回路基板においても、窒化アルミニウム基板の一
方の面に金属回路、他方の面には金属放熱板を形成する
方法としては、窒化アルミニウム基板と金属板との接合
体をエッチングする方法、金属板から打ち抜かれた金属
回路及び/又は金属放熱板のパターンを窒化アルミニウ
ム基板に接合する方法等によって行うことができ、これ
らの際における金属板又はパターンと窒化アルミニウム
基板との接合方法としては、活性金属ろう付け法やDB
C法等を採用することができる。
【0035】活性金属ろう付け法におけるろう材の金属
成分は、銀と銅を主成分とし、溶融時の窒化アルミニウ
ム基板との濡れ性を確保するために活性金属を副成分と
する。この活性金属成分は、窒化アルミニウム基板と反
応して酸化物や窒化物を生成させ、それらの生成物がろ
う材と窒化アルミニウム基板との結合を強固なものにす
る。活性金属の具体例をあげれば、チタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、バナジウムやこれ
らの化合物である。これらの比率としては、銀69〜7
5重量部と銅25〜31重量部の合計量100重量部あ
たり活性金属3〜35重量部である。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例をあげて具体
的に説明する。
【0037】実施例1〜24、比較例1〜24 窒化アルミニウム粉末96〜98重量部と焼結助剤(イ
ットリア)2〜4重量部の合計100重量部に対し、有
機結合剤としてポリビニルブチラール6重量部、可塑剤
としてブチルフタレート3重量部、分散剤としてグリセ
リントリオレート1重量部及び溶剤としてキシレン60
重量部をナイロンポットにて24時間混合して得られた
スラリーをドクターブレーディングによりPETフィル
ム上に広げ、風乾後、120℃で3時間乾燥して所定の
厚みを持つグリーンシートを成形した。このグリーンシ
ートを60mm×35mmの大きさに打ち抜き、25枚
を重ねてタングステンの重しをのせ、空気中500℃で
1時間加熱して有機結合剤を除去した後、表1に示す条
件で常圧焼結した。
【0038】得られた窒化アルミニウム焼結体の断面を
走査型電子顕微鏡(SEM)におけるCOMPO像を撮
影し、イットリア相が白く窒化アルミニウム粒子が黒く
なるように画像処理を行い、上記方法にしたがい粒界層
のEsとEiを測定した。また、窒化アルミニウム焼結
体の酸素含有量をO/N分析計(LECO社製)を用い
て測定した。それらの結果を表1と表2に示す。
【0039】銀粉末75重量部、銅粉末25重量部、ジ
ルコニウム粉末15重量部、 及びテルピネオール15重
量部と有機結合剤としてポリイソブチルメタアクリレー
トのトルエン溶液を固形分で1重量部をよく混練しろう
材ペーストを調製した。このろう材ペーストを上記で製
造された窒化アルミニウム焼結体を窒化アルミニウム基
板とし、その表裏両面に全面塗布した。その際の塗布量
(乾燥後)を6〜8mg/cm2 とした。
【0040】次に、ろう材ペーストの塗布された窒化ア
ルミニウム基板の片面に基板と同サイズで厚み0.3m
m又は0.5mmの銅板を接触配置し、反対面には基板
と同サイズで厚み0.15mm又は0.25mmの銅板
を接触配置してから、真空度1×10-5Torr以下の真空
下、温度900℃で30分加熱した後、2 ℃/分の降温
速度で冷却して接合体を製造した。
【0041】次いで、この接合体の銅板上にUV硬化タ
イプのエッチングレジストをスクリーン印刷で塗布後、
塩化第2銅溶液を用いてエッチング処理を行って銅板不
要部分を溶解除去し、更にエッチングレジストを5%苛
性ソーダ溶液で剥離した。このエッチング処理後の接合
体には、銅回路パターン間に残留不要ろう材や活性金属
成分と窒化アルミニウム基板との反応物があるので、そ
れを除去するため、温度60℃、10%フッ化アンモニ
ウム溶液に10分間浸漬した。
【0042】これら一連の処理を経て作製された銅回路
を有する回路基板について、ダイヤルゲージにより反り
を測定してから、ヒートサイクル(熱衝撃)試験を行っ
た。ヒートサイクル試験は、気中、−40℃×30分保
持後、25℃×10分間放置、更に125℃×30分保
持後、25℃×10分間放置を1サイクルとして行い、
回路路基板10枚の少なくとも1枚に銅板が剥離したヒ
ートサイクル回数を銅板剥離開始回数として測定した。
それらの結果を表1と表2に示す。なお、反りの「+」
は銅回路側に凹、「−」は凸であることを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明のように、粒界層を窒化アルミニ
ウム焼結体の内面よりも表面に多く存在させることによ
って、ヒートショックやヒートサイクル等の熱衝撃、熱
履歴に対して十分に高い耐久性をもった窒化アルミニウ
ム焼結体が提供される。また、この窒化アルミニウム焼
結体を基板として用い、その表裏面に形成される金属回
路と金属放熱板の厚みを調節して回路基板の反りを金属
回路側に凹とすることによってヒートショックやヒート
サイクル等の熱衝撃、熱履歴に対する耐久性が更に高め
られた回路基板が提供される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結体表面から100μm以内の部分に
    存在する粒界層の割合Esが8〜20%で、厚み方向の
    中心部分から±100μm以内の部分に存在する粒界層
    の割合Eiが16%以下であり、しかもEs/Eiが
    1.25以上であることを特徴とする耐熱衝撃性に優れ
    た窒化アルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】 窒化アルミニウム粉末に対して3〜5重
    量%の焼結助剤を含んでなるグリーンシートを非酸化性
    雰囲気下に焼成して窒化アルミニウム焼結体を製造する
    方法において、焼成後、温度1700℃までを冷却速度
    を8℃/分以下にして冷却することを特徴とする請求項
    1記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 厚み0.3mm以上である請求項1記載
    の窒化アルミニウム焼結体を基板としその表面に厚み
    0.3mm以上の金属回路を形成させてなることを特徴
    とする回路基板。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体
    を基板としその表面に金属回路が形成されてなるもので
    あって、その反りが金属回路面側に凹の方向に400μ
    m以下であることを特徴とする回路基板。
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