JPH07255012A - 放射線画像処理装置 - Google Patents

放射線画像処理装置

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JPH07255012A
JPH07255012A JP6044068A JP4406894A JPH07255012A JP H07255012 A JPH07255012 A JP H07255012A JP 6044068 A JP6044068 A JP 6044068A JP 4406894 A JP4406894 A JP 4406894A JP H07255012 A JPH07255012 A JP H07255012A
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radiation
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JP6044068A
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Yasushi Yoneda
靖司 米田
Shiro Takeda
志郎 武田
Hideyuki Hirano
秀幸 平野
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】被写体の胸部正面の放射線画像の階調変換処理
を行う放射線画像処理装置に関し、所望の解剖学的領域
に所望の画素値を当て嵌め、もって適正に階調処理され
た再生画像を表わす画像信号を得る。 【構成】画素値のヒストグラムを生成し、ヒストグラム
上の解剖学的領域の境界点を、ヒストグラムの接線の傾
き等に基づいて求め、さらに境界点の複数の候補が存在
するときは、各候補について所定の適応度を求め、その
適応度に応じて複数の候補の中から境界点を抽出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被写体の胸部正面の放
射線画像の階調変換処理を行う放射線画像処理装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、X線画像等の放射線画像が病
気診断用等に多用されている。例えばX線画像を例にと
ると、被写体を透過したX線を蛍光体層(蛍光スクリー
ン)に照射し、これによりX線を可視光に変換し、この
可視光を銀塩フィルムに照射して潜像を形成し、これを
現像することによりX線画像を得、このようにして得ら
れたX線画像が病気診断等に用いられている(これを
「S/F法」と呼ぶ)。
【0003】このようにして得られたX線フィルムは枚
数が増えてくると保管のために広いスペースが必要とな
り、また、同一被写体(例えば患者)の病気等の時間変
化を観察する場合比較のためのX線フィルムを取り出す
手間が大変であるという問題がある。このため、近年で
は上記のように銀塩フィルム上に得られたX線画像を、
いわゆるフィルムディジタイザにより光電的に読み取っ
て画像信号を得、この画像信号に画像処理を施すことに
より、鮮鋭度、ダイナミックレンジ、粒状性等画質を定
める種々の画像性能や病気診断のための診断性能の改善
が図られた後、高画質,高診断性能の再生画像を得るシ
ステムも用いられてきている。
【0004】一方、上記銀塩フィルムを用いるシステム
に代わり、蓄積性蛍光体(輝尽蛍光体)を用いるシステ
ムが利用され始めている。この輝尽蛍光体を用いるシス
テムとは、輝尽蛍光体をシート状もしくはパネル状に形
成した輝尽蛍光体パネル(シートを含む)に被写体を透
過したX線を照射して該輝尽蛍光体パネルにX線画像を
蓄積記録し、その後このX線画像を光電的に読み取って
画像信号を得、該画像信号に画像処理を施した後再生画
像を得るシステムであり、このシステムの基本的な方式
としては、米国特許公報第5,859,527号に記載
されている。ここで輝尽蛍光体とは、X線、α線、β
線、γ線等の放射線が照射されると、その放射線のエネ
ルギーの一部をしばらくの間あるいは長時間内部に蓄積
し、その間に赤外光、可視光、紫外光等の励起光が照射
されると蓄積されたエネルギーを輝尽発光光として放出
する蛍光体をいい、その蛍光体の種類によりエネルギー
を蓄積し易い放射線の種類、輝尽発光光を放出し易い励
起光の波長、放出される輝尽発光光の波長はそれぞれ異
なっている。
【0005】図1は、輝尽蛍光体パネルを用いたシステ
ムの一構成例を示した図である。この図1に示したシス
テムは、撮影機と読取機が別々に構成されている例であ
る。撮影機10では撮影台14の前に立った被写体12
にX線発生部11で発生されたX線13が照射され、こ
の被写体12を透過したX線13が撮影台14に備えら
れた輝尽蛍光体パネル15に照射され、これによりこの
輝尽蛍光体パネル15に被写体12のX線画像が蓄積記
録される。
【0006】このようにして撮影が行われた後、撮影台
14から輝尽蛍光体パネル15が取り出され、読取機2
0のパネル挿入部21にセットされる。この場合、輝尽
蛍光体パネル15はマガジンあるいはカセッテ内に収納
されていてもよい。このパネル挿入部21にセットされ
た輝尽蛍光体パネル15は、マガジンあるいはカセッテ
に収納されていた場合はそのマガジンあるいはカセッテ
から取り出された後、搬送経路22に沿って搬送され、
読取部23においてこの輝尽蛍光体パネル15に蓄積記
録されたX線画像の読取りが行われ、画像信号が生成さ
れる。この読取部23の構成については後述する。この
読取部23で生成された画像信号は、信号伝達経路24
を経由して画像処理部25に入力される。
【0007】画像処理が施された後の画像信号は、信号
伝達経路26を経由して画像表示部27に入力され、例
えばCRTディスプレイ画面上に被写体12のX線画像
が表示される。尚、画像を表示する画像表示部27に代
えて、もしくはこの画像表示部27とともに、図示しな
いレーザプリンタ等の画像記録装置を備え、例えば銀塩
フィルム上にX線画像を再生記録し、これを現像処理し
てハードコピーとしてのX線画像を得るようにしてもよ
い。
【0008】また、読取部23で読取りの行われた輝尽
蛍光体パネル15は、搬送経路28に沿って消去部29
に搬送される。この消去部29では、輝尽蛍光体パネル
15に消去光が照射され、これによりこの輝尽蛍光体パ
ネル15に残存しているエネルギー(残像)の消去が行
われる。この残像の消去の行われた輝尽蛍光体パネル1
5は搬送経路30に沿ってパネル取出部31に搬送さ
れ、この読取機20から取り出されて撮影機10にセッ
トされ再使用される。
【0009】図2は、輝尽蛍光体パネルを用いた他のシ
ステム構成例を示した図である。この図において、図1
に示したシステムの各構成要素と対応する構成要素に
は、図1に付した番号と同一の番号を付し、相違点のみ
説明する。この図2に示したシステムには、図1に示し
たシステムにおける撮影機10のうちの撮影台14と読
取機40とが一体的に構成された立位型撮像装置40が
備えられている。輝尽蛍光体パネル15は、撮影部31
に配置されて撮影が行われ、搬送経路22に沿って読取
部23に搬送されて読取りが行われ、搬送経路28に沿
って消去部29に搬送されて消去が行われ、さらに搬送
経路30に沿って再度撮影部31にセットされ、次の撮
影に再使用される。
【0010】図3は、図1、図2にブロックで示す読取
部23の構成例を示した図である。X線画像が蓄積記録
された輝尽蛍光体パネル15は、搬送ローラ100によ
り図3に示す読取部内を矢印Y方向に搬送(副走査)さ
れる。またこの搬送(副走査)の間、レーザ光線101
から射出された励起光としてのレーザビーム102がガ
ルバノメータミラーもしくは回転多面鏡(ポリゴンミラ
ー)等のスキャナ103により繰り返し反射偏向され、
fθレンズ等のビーム形状補正用光学系104を経由
し、さらに反射ミラー105により反射された後輝尽蛍
光体パネル15上に照射され、これにより、輝尽蛍光体
パネル15がレーザビーム102により矢印X方向に繰
り返し走査(主走査)される。この走査の各点からは輝
尽蛍光体パネル15に蓄積記録されたX線画像を担持す
る輝尽発光光が放出される。この輝尽発光光は、光ファ
イバアレイ等の集光体106によって集光され、励起光
をカットするともに輝尽発光光を透過する光学フィルタ
107を経由して光電子増倍管108に導かれ、電気信
号に変換される。尚、輝尽発光光を、集光体106を用
いずに、例えば前面に輝尽発光光のみを透過する光学フ
ィルタが貼付されたCCD光センサ等を用いて直接受光
してもよい。
【0011】光電子増倍管108で得られた電気信号は
対数増幅器109により対数的に増幅された後A/D変
換器110でディジタルの画像信号に変換される。この
A/D変換器110は、A/D変換制御部113によっ
てそのサンプリングのタイミングが制御される。このデ
ィジタルの画像信号はフレームメモリー111に一旦記
憶された後、あるいはフレームメモリ111を経由せず
直接に磁気ディスクあるいは光ディスク等の記憶媒体1
12に記憶される。その後この記憶媒体112に記憶さ
れた画像信号が読み出されて図1,図2に示す画像処理
部25に入力される。もしくは、画像信号Sは、フレー
ムメモリー111に一旦記憶された後、記憶媒体112
を経由せずに、直接、画像処理部25に入力される。
【0012】この輝尽蛍光体を用いたシステムは、この
輝尽蛍光体に照射される放射線のエネルギーと励起光の
照射により放出される輝尽発光光の光量とが広いエネル
ギー範囲に亘って比例することが認められており、また
励起光の光量によりこの比率を変えることができ、した
がって、放射線露光量の変動に影響されない放射線画像
を得ることができ、撮影ミスを減少させることができ
る。また人体のX線画像を得るシステムにおいてはX線
撮影における人体の被曝線量を低減化することもでき
る。
【0013】またフィルムリーダを用いるシステム、お
よび輝尽蛍光体を用いるシステムではいずれもディジタ
ルの画像信号が得られるため、保管のためのスペースが
少なくて済み、また検索が容易であるという特色を有
し、さらに画像処理が可能であるという特色を有する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、例え
ば輝尽蛍光体パネルから放射線画像を読み取って得たデ
ィジタルの画像信号には、その放射線画像を適切な濃度
(輝度)、適切なコントラストで再生するために階調処
理が施される。この階調処理を行うための技術の1つに
いわゆる先読みと呼ばれる技術がある。これは輝尽蛍光
体パネルにレーザビーム102を照射してその輝尽蛍光
体パネルに蓄積記録された放射線画像を読み取っても、
通常は、その輝尽蛍光体パネルにはまだ放射線画像が蓄
積記録されている。そこで、その輝尽蛍光体パネルに先
ず比較的弱いレーザビーム102を照射してそこに蓄積
記録された放射線画像を予備的に読み取り、その読み取
り(先読み)により得られた画像信号に基づいて、レー
ザビーム102の強度や光電子増倍管108の感度等を
調整して再度読取り(本読み)を行い、これにより適性
な画素値を持った画像信号を得るという技術である。本
読みにより得られた画像信号は、有効な画像信号範囲が
あらかじめわかっており、この画像信号が、予め用意さ
れた階調曲線に適合するように階調変換される。しか
し、この階調変換処理はあらかじめ用意された階調曲線
を用い、その階調曲線を平行移動させたり回転させたり
して行われるため、例えば胸部の放射線画像の肺野部、
心臓縦隔部といった解剖学的領域毎に適応的に濃度やコ
ントラストを調整することは困難である。
【0015】また、先読みを行わない場合は、輝尽蛍光
体パネルから読取った画像信号の強度分布(有効な画像
信号範囲)は被写体により異なるため、さらに困難を伴
い、常に一定の濃度あるいは輝度の再生画像を得ること
は困難である。本発明は、上記事情に鑑み、所望の解剖
学的領域に所望の画素値を当て嵌め、もって適正に階調
処理された再生画像を表わす画像信号を得ることのでき
る放射線画像処理装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の第1の放射線画像処理装置は、被写体の胸部正面の
放射線画像を構成する多数の画素それぞれの画素値を表
わす多数の画素データに基づいて、放射線画像の階調変
換処理を行なう放射線画像処理装置において、 (1)被写体を経由しない放射線により形成された放射
線画像上の領域を表わす画素データの集合からなる、多
数の画素データが表わす画素値のヒストグラム上の領域
である素通し部と、被写体の皮膚及び軟質部を透過した
放射線により形成された放射線画像上の領域を表わす画
素データの集合からなるヒストグラム上の領域である皮
膚部との、ヒストグラム上の境界点の候補の画素値近傍
の、その画素値を挟む2つの画素値それぞれに対応する
ヒストグラム上の2点それぞれにおけるヒストグラムの
各接線の傾き、および上記候補と、ヒストグラム上の、
素通し部を除いた領域の頂点とを結ぶ線分の傾きとを求
め、これらの傾きに基づいて、上記候補が、素通し部と
皮膚部との境界点であるか否かを判定する判定手段 (2)上記判定手段により、素通し部と皮膚部との境界
点であると判定された候補をその境界点として、その境
界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変換処
理を行なう階調変換処理手段を備えたことを特徴とす
る。
【0017】ここで、上記第1の放射線画像処理装置に
おいて、 (3)上記判定手段により境界点であると判定された候
補が複数存在する場合に、それらの候補それぞれについ
て、その候補の画素値の、ヒストグラム上の最大の画素
値と最小の画素値との間の相対値、及び/又は、その候
補の頻度の、ヒストグラム上の素通し部を除いた領域の
頂点の頻度に対する相対値の関数として定義された適応
度を求め、これらの適応度に基づいて素通し部と皮膚部
との境界点を定める境界決定手段を備え、上記(2)の
階調変換処理手段が、上記境界決定手段で定められた境
界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変換処
理を行なうものであることが好ましい。
【0018】また、上記目的を達成する本発明の第2の
放射線画像処理装置は、被写体の胸部正面の放射線画像
を構成する多数の画素それぞれの画素値を表わす多数の
画素データに基づいて、放射線画像の階調変換処理を行
なう放射線画像処理装置において、 (4)被写体の皮膚及び軟質部を透過した放射線により
形成された放射線画像上の領域を表わす画素データの集
合からなる、多数の画素データが表わす画素値のヒスト
グラム上の領域である皮膚部と、被写体の肺野を透過し
た放射線により形成された放射線画像上の領域を表わす
画素データの集合からなるヒストグラム上の領域である
肺野部との、ヒストグラム上の境界点の候補の画素値近
傍の、その画素値を挟む2つの画素値それぞれに対応す
るヒストグラム上の2点それぞれにおけるヒストグラム
の各接線の傾き、および被写体を経由しない放射線によ
り形成された放射線画像上の領域を表わす画素データの
集合からなるヒストグラム上の領域である素通し部と上
記皮膚部との、ヒストグラム上の境界点と、ヒストグラ
ム上の、素通し部を除いた領域の頂点とを結ぶ線分の傾
きを求め、これらの傾きに基づいて、上記候補が、皮膚
部と肺野部との境界点であるか否かを判定する判定手段 (5)上記判定手段により、皮膚部と肺野部との境界点
であると判定された候補をその境界点として、その境界
点に所定の画素値が割り当てられるように階調変換処理
を行なう階調変換処理手段を備えたことを特徴とする。
【0019】ここで、上記第2の放射線画像処理装置に
おいて、 (6)判定手段により境界点であると判定された候補が
複数存在する場合に、それらの候補それぞれについて、
その候補の画素値の、ヒストグラム上の素通し部と皮膚
部との境界点の画素値と最小の画素値との間の相対値、
及び/又は、その候補の頻度の、ヒストグラム上の、被
写体を経由しない放射線により形成された放射線画像上
の領域を表わす画素データの集合からなるヒストグラム
上の領域である素通し部を除いた領域の頂点の頻度に対
する相対値の関数として定義された適応度を求め、これ
らの適応度に基づいて、皮膚部と肺野部との境界点を定
める境界決定手段を備え、上記(5)の階調変換処理手
段が、上記境界決定手段で定められた境界点に所定の画
素値が割り当てられるように階調変換処理を行なうもの
であることが好ましい。
【0020】上記目的を達成する本発明の第3の放射線
画像処理装置は、被写体の胸部正面の放射線画像を構成
する多数の画素それぞれの画素値を表わす多数の画素デ
ータに基づいて、放射線画像の階調変換処理を行う放射
線画像処理装置において、 (7)被写体の肺野部を透過した放射線により形成され
た放射線画像上の領域を表わす画素データの集合からな
る、多数の画素データが表わす画素値のヒストグラム上
の領域である肺野部と、被写体の心臓もしくは縦隔を透
過した放射線により形成された放射線画像上の領域を表
わす画素データの集合からなるヒストグラム上の領域で
ある心臓縦隔部との、ヒストグラム上の境界点の候補の
画素値近傍の、その画素値を挾む2つの画素値それぞれ
に対応するヒストグラム上の2点それぞれにおける、ヒ
ストグラムの各接線の傾きの符号を求め、これらの符号
に基づいて、上記候補が、肺野部と心臓縦隔部との境界
点であるか否かを判定する判定手段 (8)判定手段により、肺野部と心臓縦隔部との境界点
であると判定された候補をその境界点として、その境界
点に所定の画素値が割り当てられるように階調変換処理
を行う階調変換処理手段を備えたことを特徴とする。
【0021】ここで、上記第3の放射線画像処理装置に
おいて、 (9)判定手段により境界点であると判定された候補が
複数存在する場合に、それらの候補それぞれについて、
その候補の画素値の、ヒストグラム上の皮膚部と肺野部
との境界点の画素値と最小の画素値との間の相対値、及
び/又は、その候補点の頻度の、ヒストグラム上の、被
写体を経由しない放射線により形成された放射線画像上
の領域を表わす画素データの集合からなるヒストグラム
上の領域である素通し部を除いた領域の頂点の頻度に対
する相対値の関数として定義された適応度を求め、これ
らの適応度に基づいて、皮膚部と肺野部との境界点を定
める境界決定手段を備え、上記(8)の階調変換処理手
段が、上記境界決定手段で定められた境界点に所定の画
素値が割り当てられるように階調変換処理を行うもので
あることが好ましい。
【0022】さらに、上記目的を達成する本発明の第4
の放射線画像処理装置は、被写体の胸部正面の放射線画
像を構成する多数の画素それぞれの画素値を表わす多数
の画素データに基づいて、放射線画像の階調変換処理を
行う放射線画像処理装置において、 (10)被写体の皮膚及び軟質部を透過した放射線によ
り形成された放射線画像上の領域を表わす画素データの
集合からなる、多数の画素データが表わす画素値のヒス
トグラム上の領域である皮膚部と、被写体の肺野を透過
した放射線により形成された放射線画像上の領域を表わ
す画素データの集合からなるヒストグラム上の領域であ
る肺野部との第1の境界、および、その肺野部と、被写
体の心臓もしくは縦隔を透過した放射線により形成され
た放射線画像上の領域を表わす画素データの集合からな
るヒストグラム上の領域である心臓縦隔部との第2の境
界を抽出する境界抽出手段 (11)肺野部全体の平均的な画素値を有する、ヒスト
グラム上の肺野部を代表する代表点を求める代表点演算
手段 (12)上記代表点の画素値の、上記第1の境界の画素
値と上記第2の境界の画素値との間の相対値に応じて定
められた画素値が第1の境界もしくは第2の境界に割り
当てられるように階調変換処理を行う階調変換処理手段
を備えたことを特徴とする。
【0023】ここで上記代表点としては、例えば、肺野
部の、ヒストグラム上の重心あるいは頂点等、肺野部全
体の平均的な画素値を有する点が選択される。また上記
目的を達成する本発明の第5の放射線画像処理装置は、
被写体の胸部正面の放射線画像を構成する多数の画素そ
れぞれの画素値を表わす多数の画素データに基づいて、
放射線画像の階調変換処理を行う放射線画像処理装置に
おいて、 (13)被写体の皮膚及び軟質部を透過した放射線によ
り形成された放射線画像上の領域を表わす画素データの
集合からなる、多数の画素データが表わす画素値のヒス
トグラム上の領域である皮膚部と、被写体の肺野を透過
した放射線により形成された放射線画像上の領域を表わ
す画素データの集合からなるヒストグラム上の領域であ
る肺野部との第1の境界、およびその肺野部と、被写体
の心臓もしくは縦隔を透過した放射線により形成された
放射線画像上の領域を表わす画素データの集合からなる
ヒストグラム上の領域である心臓縦隔部との第2の境界
を抽出する境界抽出手段 (14)肺野部全体の平均的な画素値を有する、ヒスト
グラム上の肺野部を代表する代表点を求める代表点演算
手段 (15)上記代表点に所定の画素値が割り当てられるよ
うに階調変換処理を行う階調変換処理手段とを備えたこ
とを特徴とする。
【0024】ここで、この第5の放射線画像処理装置に
おける上記「代表点」も、上記第4の放射線画像処理装
置における「代表点」と同様の点を意味する。
【0025】
【作用】本発明の放射線画像処理装置は、基本的には画
素データのヒストグラムに基づいて解剖学的領域の境界
点等を求めるものであるため、その境界点等が正しく求
められる限りにおいては、その解剖学的領域が適正な濃
度(輝度)かつ適正なコントラストを有する再生画像を
得ることができる。
【0026】本発明は、それらの境界点等を正しく求め
ることのできる手法を提供するものである。すなわち、
本発明の第1の放射線画像処理装置は、ヒストグラム上
の、上記(2)に記載した各接線および線分の各傾きを
求めるものであり、それらの傾きに基づいて素通し部と
皮膚部との境界点(ないしその境界点の候補)が求めら
れる。
【0027】境界点の候補が複数求められたときは、上
記(3)の境界決定手段を採用し、適応度を求めその適
応度に基づいて境界点を定めることによりその境界が正
しく求められる。また、本発明の第2の放射線画像処理
装置についても同様であり、ヒストグラム上の各接線お
よび線分(上記(4)参照)が求められ、それらの傾き
に基づいて皮膚部と肺野部との境界点が求められる。複
数の境界点が求められたときは、適応度(上記(6)参
照)を求め、その適応度に基づいて境界点が定められ
る。
【0028】また、本発明の第3の放射線画像処理装置
については、ヒストグラムの各接線(上記(7)参照)
の傾きの符号が求められ、それらの符号に基づいて肺野
部と心臓縦隔部との境界点が求められる。複数の境界点
が求められたときは、上記第1および第2の放射線画像
処理装置と同様に、適応度(上記(9)参照)を求め、
その適応度に基づいて境界点が求められる。
【0029】このように、本発明の第1、第2、および
第3の放射線画像処理装置によれば、それぞれ素通し部
と皮膚部、皮膚部と肺野部、肺野部と心臓縦隔部の各境
界点が正しく求められる。従って所望の解剖学的領域部
が所望の濃度(輝度)、かつ所望のコントラストを有す
るように階調変換処理を行なうことができ、見易い再生
画像が提供される。
【0030】ところで、ヒストグラム上の肺野部の両端
の各画素値は、例えば2つの被写体の各ヒストグラムに
ついて互いに同一であっても、肺野部全体が画素値の小
さい側に寄っている場合もあり、画素値の大きい側に寄
っている場合もある。したがって肺野部の両端の各画素
値がそれぞれ各所定の画素値に変換されるように階調変
換処理を施しても、肺野部全体が画素値の小さい側に寄
っているか画素値の大きい側に寄っているかにより、肺
野部が全体として白っぽい再生画像が得られたり全体と
して黒っぽい再生画像が得られたりすることになる。こ
の点に関しては肺野部に限らず他の解剖学的領域でも同
じことではあるが、胸部の放射線画像の中心となるのは
肺野部であり、肺野部の濃度(輝度)が被写体によって
変動すると見づらい再生画像となってしまうことにな
る。
【0031】本発明の第4〜第6の放射線画像処理装置
は、ヒストグラムに基づいてこれを解決し、一層見易い
再生画像を得るものである。即ち、本発明の第4の放射
線画像処理装置は、ヒストグラム上の肺野部の、例えば
重心や頂点等の代表点を求め、その代表点の画素値(相
対値;上記(12)参照)に基づいて、その肺野部と皮
膚部との境界(第1の境界)やその肺野部と心臓縦隔部
との境界(第2の境界)に割り当てる画素値を定め、第
1の境界もしくは第2の境界がその画素値となるように
階調変換処理を行なうものであるため、肺野部全体が適
正な濃度(輝度)となるように調整され、被写体によら
ず常に同じ濃度(輝度)で肺野部が表示された再生画像
を得ることができる。
【0032】また本発明の第5の放射線画像処理装置
は、上記第4の放射線画像処理装置と同様に肺野部の代
表点を求めるものであるが、その代表点そのものに所定
の画素値が割り当てられるように階調変換処理を行なう
ものであり、したがって上記第4の放射線画像処理装置
と同様、肺野部全体が適正な濃度(輝度)となるように
調整され、被写体によらず常に同じ濃度(輝度)で肺野
部が表示される再生画像を得ることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。こ
こでは一例として、輝尽蛍光体パネルから読み取ること
により得られた画像信号の階調変換処理の例について説
明するが、輝尽蛍光体パネルを用いたシステムの全体に
ついては既に説明したため、ここでは本発明に特徴的な
部分についてのみ説明する。
【0034】図4は、本発明の一実施例の放射線画像処
理装置のブロック図である。輝尽蛍光体パネルから読み
取られた胸部正面の放射線画像を表わす画像信号は、先
ずフレームメモリ111に記憶された後、データバス1
20を経由して、画像処理装置200を構成するヒスト
グラム解析部201に入力される。ヒストグラム解析部
201では、先ず画像信号のヒストグラムが作成され
る。尚、ここでは放射線画像の各画素に対応する画像信
号を画素データと称する。
【0035】図5は、人体の胸部正面放射線画像のヒス
トグラムの一例を示す図である。図4のヒストグラムに
おいて、ここでは、図示のように、画素データの最小値
をSmin 、画素データの最大値をSmax 、肺野部bと心
臓縦隔部aとの境界をSlとする。肺野部bと皮膚部c
との境界をSlmax 、皮膚部cと素通し部dとの境界を
S0とする。
【0036】図4に示すヒストグラム解析部201で
は、図5に示すようなヒストグラムを作成した後、上述
の各点Smin ,Sl,Slmax ,S0,Smax を検出
し、その結果を、図4に示す階調曲線生成部202に送
る。図6は、階調曲線生成部202で生成される階調曲
線の一例を示す図である。階調曲線生成部202では、
入力された各点Smin ,Sl,Slmax ,S0,Smax
を、それぞれ各所定の画素値(濃度、輝度)D1,D
2,D3,D4,D5に当て嵌め、図6に示すような階
調曲線を生成する。この生成された階調曲線は、階調処
理部203(図4参照)に入力される。階調処理部20
3では、フレームメモリ111内に記憶された画素デー
タをこの階調曲線に当て嵌めて各画素データの値(画素
値)を変換する階調処理が行なわれる。階調処理の行な
われた画素データは、再びフレームメモリ111に格納
される。
【0037】ここで、ヒストグラム解析部201におけ
る、素通し部dと皮膚部cとの境界S0、皮膚部cと肺
野部dとの境界Slmax 、肺野部bと心臓縦隔部aとの
境界Slの検出方法の各一例について説明する。まず素
通し部dと皮膚部cとの境界点の検出方法について説明
する。図7は胸部正面画像の代表的なヒストグラムを示
す図であり、素通し部dと皮膚部cとの境界点の検出方
法の説明図である。
【0038】ヒストグラムの形状は被写体によって異な
るが、統計上ヒストグラム上の素通し部dと皮膚部cと
の境界点と考えられる位置近傍に、1つもしくは複数
の、その境界点の候補を設定する。ここではその候補を
P0とし、その候補P0を挟むようにその候補P0の近
傍に2点P1,P2を設定し、それら各点P1,P2に
おける、ヒストグラムの接線L1,L2の傾きを求め
る。また候補P0と、ヒストグラム上の、素通し部dを
除く領域の頂点Pとを結ぶ線分L0の傾きを求める。こ
れらの傾きを比較すると、候補P0が正しい位置に設定
された場合、 |接線L2の傾き|>|線分L0の傾き|>|接線L1の傾き| …(1) が成立する。この(1)式を満足する点が素通し部dと
皮膚部cとの境界点となる。
【0039】ただしここではその境界点をより正確に求
めるために、真の境界点の近傍に細かく複数の候補を設
定するものとし、その結果、上記(1)式を満足する候
補が複数存在したものとする。その場合、次に、上記
(1)を満足する候補それぞれについて、以下に示す適
合度W1が求められる。 W1[S0′[i]]= R1・{1−|(S0_nominal −S0′[i])| /(Smax −S0_nominal )}+(1−R1)・ {1−H[SO′[i]/H[mode]]}2 …(2) S0_nominal =Smin +0.9/(Smax −Smin ) ただし、S0′[i](i=1,…,1a,1a:候補
の個数)は境界点の各候補の画素値、S0_nominal
境界点の画素値の、過去の統計に基づいて定められた標
準値、H[*]はヒストグラムの頻度、modeはヒス
トグラムの、素通し部dを除いた領域の頂点Pを表す。
(2)式の、右辺第一項は、その候補がSmin とSmax
の間のどの位置にあるかに関する適合度であり、S0′
[i]がS0_nominal に近いほど1に近い値をとる。
右辺第二項は、その候補についてのヒストグラムの頻度
に関する適合度であり、S0′[i]におけるヒストグ
ラムの頻度が0に近いほど1に近い値をとる。R1(0
<R1<1)は第一項の適合度の優先度を表し、過去の
統計、経験等に基づいて定められる値である。
【0040】このようにして各候補について求めた適合
度W1[S0′[i]]のうち最大の適合度を有する候
補の画素値をS0′[m]とし、所定のしきい値をTh
1としたとき、 W1[S0′[m]]<Th1 ならば、素通し部dが存在しないヒストグラムであり、
したがって、 S0=Smax とし、 W1[S0′[m]]≧Th1 ならば S0=S0′[m] とする。これにより、素通し部dと皮膚部cとの境界点
が正しく求められる。
【0041】次に皮膚部cと肺野部bとの境界点の検出
方法の詳細を述べる。図8は、胸部正面画像の代表的な
ヒストグラムを示す図であり、皮膚部cと肺野部bとの
境界点の検出方法の説明図である。統計上、ヒストグラ
ム上の皮膚部cと肺野部bとの境界点と考えられる位置
近傍に、1つもしくは複数の、その境界点の候補を設定
する。
【0042】ここではその候補をP0′とし、その候補
点P0′を挟むように、その候補点P0′の近傍に2点
P1′,P2′を設定し、それら各点P1′,P2′に
おける、ヒストグラムの接線L1′,L2′の傾きを求
める。素通し部dと皮膚部cとの境界点S0と、素通し
部dを除く領域の頂点Pとを結ぶ線分L0′の傾きを求
める。これらの傾きを比較すると、候補点P0が正しい
位置に設定された場合、 |接線L1′の傾き|>|線分L0′の傾き|>|接線L2′の傾き| …(3) が成立する。この(3)式を満足する点が皮膚部cと肺
野部bとの境界点となる。
【0043】(3)式を満足する境界点(候補)が複数
求められた場合、それら(3)式を満足する候補それぞ
れについて以下に示す適合度W2が求められる。 W2[Slmax ′[i]]= R2・{1−min[1,|(Slmax_nominal − Slmax ′[i]|/(S0−Slmax_nominal )]}2 +(1−R2)・{1−min[1,|0.2・H[mode]− H[Slmax ′[i]]|/(0.2・H[mode])]} …(4) ただし、Slmax_nominal は肺野部bと皮膚部cとの境
界点の標準値であり、ここでは、 Slmax_nominal =Smin +0.7・(S0−Smin ) で定義される。また、Slmax ′[i](i=1,…,
1a,1a:候補点の個数)は各候補の画素値、min
[a,b]はaとbのうち値の小さい方を選択すること
を表わす。
【0044】(4)式の右辺第一項目はその候補がS
min とS0の間のどの位置にあるかに関する適合度であ
り、Slmax_nominal に近いほど1に近い値をとる。第
二項は、その候補についてのヒストグラムの頻度に関す
る適合度であり、頂点Pの頻度の0.2に近いほど1に
近い値をとる。また、R2(0<R2<1)は第一項の
適合度の優先度を表す。
【0045】最後に肺野部と心臓縦隔部の境界の検出方
法の詳細を述べる。図9は、胸部正面画像のやや変形し
たヒストグラムを示す図であり、肺野部bと心臓縦隔部
aとの境界点の検出方法の説明図である。図9に示すよ
うに、肺野部bと心臓縦隔部aとの境界とは画素データ
の最小値Smin から肺野部bと皮膚部cとの境界点まで
の間に存在するヒストグラムの最大の谷P4に相当す
る。画素データの最小値Smin 側から順にヒストグラム
の谷(上記境界点の候補)を検出していくと通常得られ
るヒストグラムには微小な凹凸があるため、上記境界点
の候補は通常複数個得られ、この条件だけでは一意には
定まらない。そこで、求められた候補の数に応じ、次の
手順で上記境界点の画素値を確定する。 (ケース1)候補が見つからない(N=0)の場合 S1=S1_nominal とする。
【0046】ただし、Sl_nominal は上記境界の標準
値であり、 S1_nominal =Smin +0.6・(Slmax −S
min ) で表される。 (ケース2)候補が1つ以上存在する場合 各候補について適合度W3[vi ]を計算する。ここで
i (i=1,…,1c,1c:候補の個数)は各候補
の画素値を表わす。適合度W3[vi ]は、例えば次の
ように定義される。
【0047】 W3[vi ]= R3/{1−min[1,|Slmax_nominal −vi |/ (Slmax −Sl_nominal)]}2 +(1−R3)・{1−|H[mode]/2− H[vi ]|/(H[mode]/2)} …(5) (5)式に示す適合度の第一項は、その候補がSmin
Slmax との間のどの位置にあるかに関する適合度であ
り、Sl_nominal に近いほど1に近い値をとる。第二
項はその候補におけるヒストグラムの頻度に関する適合
度であり、頂点Pにおける頻度の1/2に近いほど1に
近い値をとる。また、R3(0<R3<1)は第一項の
適合度の優先度を表す。 (ケース2−1)候補が一つ(N=1)のみの場合 所定のしきい値をTh2としたとき、 W3[vi ]>Th2 ならば、 Sl=vi とし、 W3[vi ]≦Th2 ならば、 Sl=Sl_nominal とする。 (ケース2−2)候補点が複数個存在する(N>2)場
合 各候補について求めた適合度W3[vi ]のうち最大の
適合度を有する候補点の画素値をvm としたとき、 W3[vm ]>Th2 ならば、 Sl=vm とし、 W3[vm ]≦Th2 ならば、 Sl=Sl_nominal 以上の手順を踏むことにより、解剖学的境界点の画素値
が正確に求められる。
【0048】図4に示す階調曲線生成部202では、前
述したように、以上の方法で求められた境界点の画素値
を予め定められた値(D1〜D5)に変換するための階
調曲線(図6参照)を生成する。この階調曲線に基づい
て階調処理を行うことにより、各解剖学的領域を常に一
定のコントラストおよび一定の濃度域で再生することが
できる。なお、階調曲線の傾きの急激な変化によるアー
チファクトの発生を防止するため、それらの点をスプラ
イン補間等するなどして滑らかな階調曲線を生成する方
が望ましい。
【0049】階調処理部203では、階調曲線生成部2
02で生成された階調曲線に基づきフレームメモリ11
1内に記憶された画素データの階調変換を行う。階調変
換が施された画素データは再びフレームメモリ111に
格納される。なお、上記の実施例では画素信号をフレー
ムメモリ内に一旦格納した後ヒストグラムを作成してい
るが、読取部から送られてくる画像信号をフレームメモ
リに送ると同時にヒストグラム解析部201にも送るよ
うに構成してもよい。また、上記の実施例では階調変換
前後で画像信号を同一のフレームメモリ111内に格納
するよう構成したが、別のフレームメモリに格納するよ
うに構成してもよい。
【0050】ところで、上記のように解剖学的領域の各
境界点の画素値が各画素値となるように階調変換しただ
けでは、フィルム上あるいはCRT上に再生した肺野部
の濃度が被写体により若干異なる場合がある。そこで次
に述べるような方法で階調曲線を作成し、再生画像の肺
野濃度を一定にすることが好ましい。まず、肺野部bの
ヒストグラムの重心に応じ、肺野部bと心臓縦隔部aと
の境界、及び/又は、肺野部bと皮膚部cとの境界に割
り当てる濃度を変化させる方法について説明する,図1
0は、胸部正面画像のヒストグラムの一例を表わした図
であり、肺野部bの重心を明示した図である。
【0051】最初に肺野部bと心臓縦隔部aとの境界の
画素値Sl以上かつ肺野部bと皮膚部cの境界の画素値
Slmax 以下の画素についてヒストグラムを求め、重心
を求める。重心の画素値をgとするとき、例えば、 D2=D2* +α1 {g−(Slmax −Sl)/2} …(6) D3=D3* +α2 {g−(Slmax −Sl)/2} …(7) のように境界点の画素値Sl,Slmax に割り当てる濃
度を変化させ、再生時の肺野部濃度域を変化させる。こ
こで、D2* 、D3* はそれぞれSl、Slmaxに割り
当てる標準的な濃度であり、α1 、α2 は共に負の定数
である。
【0052】例えば肺野濃度の低い原画像(階調処理前
の画像)に対しては肺野部ヒストグラムの重心は画素値
の小さい方に寄り、(6),(7)式中の{…}内は小
さな値となり、D2、D3として大きな値が求められ
る。したがって、再生画像の肺野濃度域が上り、平均的
な肺野濃度が上がるため、適正な濃度に調整される。逆
に肺野濃度の高い原画像に対しては平均的な肺野濃度が
下がる。これにより、結果として再生時の肺野濃度を一
定にできる。
【0053】次に、肺野部のヒストグラムの重心に予め
定められた濃度を割り当てる階調曲線により階調処理を
行うことにより肺野濃度を一定にする方法について説明
する。図11は、階調曲線の一例を示した図である。ま
ず、上述した方法と同様に、肺野部ヒストグラムの重心
を求める。その後、図10に示すように、重心の画素値
gを所定の画素値D6に変換することを含む階調曲線を
生成し、それに基づいて階調処理を行えば、再生時の肺
野濃度を一定にすることができる。
【0054】なお、上記の方法において、肺野部ヒスト
グラムの重心の画素値gの代わりに肺野部のヒストグラ
ムの頂点P′(図9参照)の画素値を用いても同様の効
果が得られる。上記の手法により、被写体によらず再生
画像の肺野濃度を一定にすることができる。
【0055】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、画素データに応じて生成した階調曲線により階調
処理が行われるため、先読みを行なわなくても、被写体
によらず常に一定の濃度あるいは輝度の画像再生が可能
となるばかりでなく、解剖学的領域のコントラスト調整
も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】輝尽蛍光体パネルを用いたシステムの一構成例
を示した図である。
【図2】輝尽蛍光体パネルを用いた他のシステム構成例
を示した図である。
【図3】図1、図2にブロックで示す読取部の構成例を
示した図である。
【図4】放射線画像処理装置のブロック図である。
【図5】人体の胸部正面放射線画像のヒストグラムの一
例を示す図である。
【図6】階調曲線生成部で生成される階調曲線の一例を
示す図である。
【図7】胸部正面画像の代表的なヒストグラムを示す図
である。
【図8】胸部正面画像の代表的なヒストグラムを示す図
である。
【図9】胸部正面画像のやや変形したヒストグラムを示
す図である。
【図10】胸部正面画像のヒストグラムの一例を表わし
た図である。
【図11】階調曲線の一例を示した図である。
【符号の説明】 111 フレームメモリ 200 放射線画像処理装置 201 ヒストグラム解析部 202 階調曲線生成部 203 階調処理部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被写体の胸部正面の放射線画像を構成す
    る多数の画素それぞれの画素値を表わす多数の画素デー
    タに基づいて、該放射線画像の階調変換処理を行なう放
    射線画像処理装置において、 被写体を経由しない放射線により形成された前記放射線
    画像上の領域を表わす画素データの集合からなる、前記
    多数の画素データが表わす画素値のヒストグラム上の領
    域である素通し部と、被写体の皮膚及び軟質部を透過し
    た放射線により形成された前記放射線画像上の領域を表
    わす画素データの集合からなる前記ヒストグラム上の領
    域である皮膚部との、前記ヒストグラム上の境界点候補
    の画素値近傍の、該画素値を挟む2つの画素値それぞれ
    に対応する前記ヒストグラム上の2点それぞれにおける
    該ヒストグラムの各接線の傾き、および前記候補と、該
    ヒストグラム上の、前記素通し部を除いた領域の頂点と
    を結ぶ線分の傾きとを求め、これらの傾きに基づいて、
    前記候補が、前記素通し部と前記皮膚部との境界点であ
    るか否かを判定する判定手段と、 前記判定手段により、前記素通し部と前記皮膚部との境
    界点であると判定された前記候補を該境界点として、該
    境界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変換
    処理を行なう階調変換処理手段とを備えたことを特徴と
    する放射線画像処理装置。
  2. 【請求項2】 前記判定手段により前記境界点であると
    判定された候補が複数存在する場合に、該候補それぞれ
    について、該候補の画素値の、前記ヒストグラム上の最
    大の画素値と最小の画素値との間の相対値、及び/又
    は、該候補の頻度の、前記ヒストグラム上の前記素通し
    部を除いた領域の頂点の頻度に対する相対値の関数とし
    て定義された適応度を求め、これらの適応度に基づいて
    前記素通し部と前記皮膚部との境界点を定める境界決定
    手段を備え、 前記階調変換処理手段が、前記境界決定手段で定められ
    た境界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変
    換処理を行なうものであることを特徴とする請求項1記
    載の放射線画像処理装置。
  3. 【請求項3】 被写体の胸部正面の放射線画像を構成す
    る多数の画素それぞれの画素値を表わす多数の画素デー
    タに基づいて、該放射線画像の階調変換処理を行なう放
    射線画像処理装置において、 被写体の皮膚及び軟質部を透過した放射線により形成さ
    れた前記放射線画像上の領域を表わす画素データの集合
    からなる、前記多数の画素データが表わす画素値のヒス
    トグラム上の領域である皮膚部と、被写体の肺野を透過
    した放射線により形成された前記放射線画像上の領域を
    表わす画素データの集合からなる前記ヒストグラム上の
    領域である肺野部との、前記ヒストグラム上の境界点の
    候補の画素値近傍の、該画素値を挟む2つの画素値それ
    ぞれに対応する前記ヒストグラム上の2点それぞれにお
    ける該ヒストグラムの各接線の傾き、および被写体を経
    由しない放射線により形成された前記放射線画像上の領
    域を表わす画素データの集合からなる前記ヒストグラム
    上の領域である素通し部と前記皮膚部との境界点と、前
    記ヒストグラム上の、前記素通し部を除いた領域の頂点
    とを結ぶ線分の傾きを求め、これらの傾きに基づいて、
    前記候補が、前記皮膚部と前記肺野部との境界点である
    か否かを判定する判定手段と、 前記判定手段により、前記皮膚部と前記肺野部との境界
    点であると判定された前記候補を該境界点として、該境
    界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変換処
    理を行なう階調変換処理手段とを備えたことを特徴とす
    る放射線画像処理装置。
  4. 【請求項4】 前記判定手段により前記境界点であると
    判定された候補が複数存在する場合に、該候補それぞれ
    について、該候補の画素値の、前記ヒストグラム上の前
    記素通し部と前記皮膚部との境界点の画素値と最小の画
    素値との間の相対値、及び/又は、該候補の頻度の、前
    記ヒストグラム上の、被写体を経由しない放射線により
    形成された前記放射線画像上の領域を表わす画素データ
    の集合からなる前記ヒストグラム上の領域である素通し
    部を除いた領域の頂点の頻度に対する相対値の関数とし
    て定義された適応度を求め、これらの適応度に基づい
    て、前記皮膚部と前記肺野部との境界点を定める境界決
    定手段を備え、 前記階調変換処理手段が、前記境界決定手段で定められ
    た境界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変
    換処理を行なうものであることを特徴とする請求項3記
    載の放射線画像処理装置。
  5. 【請求項5】 被写体の胸部正面の放射線画像を構成す
    る多数の画素それぞれの画素値を表わす多数の画素デー
    タに基づいて、該放射線画像の階調変換処理を行う放射
    線画像処理装置において、 被写体の肺野部を透過した放射線により形成された前記
    放射線画像上の領域を表わす画素データの集合からなる
    前記多数の画素データが表わす画素値のヒストグラム上
    の領域である肺野部と、被写体の心臓もしくは縦隔を透
    過した放射線により形成された前記放射線画像上の領域
    を表わす画素データの集合からなる前記ヒストグラム上
    の領域である心臓縦隔部との、前記ヒストグラム上の境
    界点の候補の画素値近傍の、該画素値を挾む2つの画素
    値それぞれに対応する前記ヒストグラム上の2点それぞ
    れにおける該ヒストグラムの各接線の傾きの符号を求
    め、これらの符号に基づいて、前記候補が、前記肺野部
    と前記心臓縦隔部との境界点であるか否かを判定する判
    定手段と、 前記判定手段により、前記肺野部と前記心臓縦隔部との
    境界点であると判定された前記候補を該境界点として、
    該境界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変
    換処理を行う階調変換処理手段とを備えたことを特徴と
    する放射線画像処理装置。
  6. 【請求項6】 前記判定手段により前記境界点であると
    判定された候補が複数存在する場合に、該候補それぞれ
    について、該候補の画素値の、前記ヒストグラム上の前
    記皮膚部と前記肺野部との境界点の画素値と最小の画素
    値との間の相対値、及び/又は、該候補の頻度の、前記
    ヒストグラム上の、被写体を経由しない放射線により形
    成された前記放射線画像上の領域を表わす画素データの
    集合からなる前記ヒストグラム上の領域である素通し部
    を除いた領域の頂点の頻度に対する相対値の関数として
    定義された適応度を求め、これらの適応度に基づいて、
    前記皮膚部と前記肺野部との境界点を定める境界決定手
    段を備え、 前記階調変換処理手段が、前記境界決定手段で定められ
    た境界点に所定の画素値が割り当てられるように階調変
    換処理を行うものであることを特徴とする請求項5記載
    の放射線画像処理装置。
  7. 【請求項7】 被写体の胸部正面の放射線画像を構成す
    る多数の画素それぞれの画素値を表わす多数の画素デー
    タに基づいて、該放射線画像の階調変換処理を行う放射
    線画像処理装置において、 被写体の皮膚及び軟質部を透過した放射線により形成さ
    れた前記放射線画像上の領域を表わす画素データの集合
    からなる、前記多数の画素データが表わす画素値のヒス
    トグラム上の領域である皮膚部と、被写体の肺野を透過
    した放射線により形成された前記放射線画像上の領域を
    表わす画素データの集合からなる前記ヒストグラム上の
    領域である肺野部との第1の境界、および、前記肺野部
    と、被写体の心臓もしくは縦隔を透過した放射線により
    形成された放射線画像上の領域を表わす画素データの集
    合からなる前記ヒストグラム上の領域である心臓縦隔部
    との第2の境界を抽出する境界抽出手段と、 前記肺野部全体の平均的な画素値を有する、前記肺野部
    を代表する代表点を求める代表点演算手段と、 前記代表点の画素値の、前記第1の境界の画素値と前記
    第2の境界の画素値との間の相対値に応じて定められた
    画素値が前記第1の境界もしくは前記第2の境界に割り
    当てられるように階調変換処理を行う階調変換処理手段
    とを備えたことを特徴とする放射線画像処理装置。
  8. 【請求項8】 被写体の胸部正面の放射線画像を構成す
    る多数の画素それぞれの画素値を表わす多数の画素デー
    タに基づいて、該放射線画像の階調変換処理を行う放射
    線画像処理装置において、 被写体の皮膚及び軟質部を透過した放射線により形成さ
    れた前記放射線画像上の領域を表わす画素データの集合
    からなる、前記多数の画素データが表わす画素値のヒス
    トグラム上の領域である皮膚部と、被写体の肺野を透過
    した放射線により形成された前記放射線画像上の領域を
    表わす画素データの集合からなる前記ヒストグラム上の
    領域である肺野部との第1の境界、および、前記肺野部
    と、被写体の心臓もしくは縦隔を透過した放射線により
    形成された放射線画像上の領域を表わす画素データの集
    合からなる前記ヒストグラム上の領域である心臓縦隔部
    との第2の境界を抽出する境界抽出手段と、 前記肺野部全体の平均的な画素値を有する、前記肺野部
    を代表する代表点を求める代表点演算手段と、 前記代表点に所定の画素値が割り当てられるように階調
    変換処理を行う階調変換処理手段とを備えたことを特徴
    とする放射線画像処理装置。
  9. 【請求項9】 前記代表点が、前記肺野部の、前記ヒス
    トグラムの重心あるいは頂点であることを特徴とする請
    求項7又は8記載の放射線画像処理装置。
JP6044068A 1994-03-15 1994-03-15 放射線画像処理装置 Withdrawn JPH07255012A (ja)

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