JPH07254432A - ナトリウム−硫黄電池用陽極集電体およびその製造方法 - Google Patents

ナトリウム−硫黄電池用陽極集電体およびその製造方法

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JPH07254432A
JPH07254432A JP6019213A JP1921394A JPH07254432A JP H07254432 A JPH07254432 A JP H07254432A JP 6019213 A JP6019213 A JP 6019213A JP 1921394 A JP1921394 A JP 1921394A JP H07254432 A JPH07254432 A JP H07254432A
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sodium
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anode current
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Akira Nishimura
明 西村
Atsushi Kitamura
厚 北村
Kiyoshi Honma
清 本間
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】内部損失を小さくできるばかりか安定した充放
電を行わせることができ、電池性能を向上させることが
できるナトリウム−硫黄電池用陽極集電体と、そのよう
な集電体を低コストで製造する方法を提供する。 【構成】炭素繊維基材の層状構成を有し、全体として割
筒状または筒状をしており、上記炭素繊維基材は、多数
本の、連続した、両端部が末広がり状に開繊され、か
つ、単糸が交絡している炭素繊維マルチフィラメント糸
を有し、その炭素繊維マルチフィラメント糸が、割筒ま
たは筒の内面から外面に向かって放射状に延び、かつ、
所望の間隔で割筒または筒の周方向に配列されているナ
トリウム−硫黄電池用陽極集電体を、所望の間隔で配列
された多数本の上記炭素繊維マルチフィラメント糸をそ
の配列方向に延びる補助糸で連結してなるテープ状炭素
繊維基材を積層することによって製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ナトリウム−硫黄電
池に使用する陽極集電体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ナトリウム−硫黄電池は、夜間の余剰電
力を充電し、電力を大量消費する昼間に放電させること
でエネルギーの有効活用ができることから注目されてい
る。しかしながら、現状は電池性能がいま一歩で、ま
た、製造コストが高いために実用化されるには至ってい
ない。その主たる原因は、陽極集電体にある。
【0003】ナトリウム−硫黄電池においては、陽極剤
として、電気絶縁性の硫黄を300〜400℃の溶融状
態で使用する。そのため、陽極集電体を構成する材料と
しては、導電性を有するうえに熱的、化学的に安定で、
しかも、総表面積を大きくとれる炭素繊維が適してい
る。
【0004】たとえば、特開昭54−109134号公
報は、炭素短繊維を2次元平面内においてランダムに分
散、堆積せしめ、かつ、炭素短繊維同士を交点において
炭化物で結着してなる陽極集電体を提案している。しか
しながら、この陽極集電体には、以下において述べるよ
うないろいろな問題がある。
【0005】すなわち、ナトリウム−硫黄電池は、筒状
の電槽と、この電槽内に設けた、ナトリウムイオンのみ
を選択的に通過させる筒状の固体電解質の隔壁と、この
隔壁内に形成される陰極室と、上記電槽の内面と隔壁の
外面との間に形成される陽極室とを有している。そし
て、陽極室に陽極集電体が収容され、その陽極集電体が
電槽の内面と隔壁の外面とを電気的に接続するのである
が、上記従来の陽極集電体は、炭素短繊維を2次元平面
内においてランダムに分散、堆積せしめたものであるか
ら、炭素短繊維同士が交点において炭化物によって結着
されているとはいっても電槽の内面と隔壁の外面との間
の電気抵抗が大きくなり、電池の内部損失が大きくな
る。また、炭素短繊維同士が交点において炭化物によっ
て結着されているから、硬くてクッション性に劣り、電
槽の内面や隔壁の外面との電気的接触が悪く、充放電が
安定しないという問題もある。
【0006】また、上記従来の陽極集電体は、炭素短繊
維を分散、堆積せしめてなる薄いシートを何枚も重ね合
わせて所定の厚みとした後、フェノール樹脂等を含浸、
硬化させ、さらに焼成してフェノール樹脂等を炭化する
ことによって作られているが、手間がかかり、製造コス
トが高い。
【0007】一方、ポリアクリロニトリル繊維をプリカ
ーサー繊維とする耐炎化繊維を用いてニードルパンチン
グ法によってフェルトを作り、これを焼成して耐炎化繊
維を炭化させて得た炭素繊維フェルトを陽極集電体とす
ることも提案されている。この陽極集電体は、炭化工程
で耐炎化繊維が減量し、それによって炭素繊維間に空隙
が形成されるのでクッション性に富み、電槽の内面や隔
壁の外面との電気的接触は向上する。しかしながら、フ
ェルトを作るときに耐炎化繊維の分布にむらができやす
く、個体間の差が大きくなるという問題がある。また、
ニードルパンチングによって耐炎化繊維が切断されやす
く、したがって炭素繊維も不連続なものが多いので、内
部損失が大きくなるという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来の陽極集電体の上述した問題点を解決し、内部損失を
小さくできるばかりか安定した充放電を行わせることが
でき、電池性能を向上させることができるナトリウム−
硫黄電池用陽極集電体を提供するにある。
【0009】また、この発明の他の目的は、個体間のば
らつきの少ない陽極集電体を低コストで製造する方法を
提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、炭素繊維基材の層状構成を有し、全体
として割筒状または筒状をしており、上記炭素繊維基材
は多数本の連続した炭素繊維マルチフィラメント糸を有
し、その炭素繊維マルチフィラメント糸は、割筒または
筒の内面から外面に向かって放射状に延び、かつ、所望
の間隔で割筒または筒の周方向に配列されていることを
特徴とするナトリウム−硫黄電池用陽極集電体を提供す
る。
【0011】炭素繊維マルチフィラメント糸は、その両
端部が末広がり状に開繊され、かつ、単糸が交絡してい
てもよく、その単糸が、隣り合う炭素繊維マルチフィラ
メント糸の単糸とさらに交絡していてもよい。
【0012】炭素繊維マルチフィラメント糸同士は、そ
の配列方向に延びる補助糸によって連結されていてもよ
い。この連結は、たとえば、炭素繊維マルチフィラメン
ト糸の長さ方向中央部分において、補助糸が炭素繊維マ
ルチフィラメント糸をもじり織組織することによったり
編組織することによったりして行われている。補助糸と
炭素繊維マルチフィラメント糸とが接着されているのも
よい。
【0013】炭素繊維基材間に、炭素短繊維基材が介在
されているのもよい。炭素短繊維基材は、たとえば不織
布である。
【0014】上述した陽極集電体は、ナトリウム−硫黄
電池の陽極室に、その炭素繊維マルチフィラメント糸が
電槽の内面と隔壁の外面とに接触するように収容され、
ナトリウム−硫黄電池が構成される。
【0015】また、この発明は、そのような陽極集電体
を製造するのに使用するテープ状炭素繊維基材を提供す
る。このテープ状炭素繊維基材は、所望の間隔で配列さ
れた多数本の連続した炭素繊維マルチフィラメント糸を
有し、かつ、炭素繊維マルチフィラメント同士がその配
列方向に延びる補助糸によって連結されているようなも
のである。炭素繊維マルチフィラメント糸の両端部が末
広がり状に開繊され、かつ、単糸が交絡していてもよ
く、その単糸が、隣り合う炭素繊維マルチフィラメント
糸の単糸とさらに交絡していてもよい。
【0016】この発明は、また、上述したテープ状炭素
繊維基材を積層したり、上述した炭素繊維基材と、テー
プ状炭素短繊維基材、たとえば不織布とを重ね合わせて
積層することを特徴とする、ナトリウム−硫黄電池用陽
極集電体の製造方法を提供する。補助糸を有するテープ
状炭素繊維基材を用いる場合、積層後に補助糸を除去し
てもよい。
【0017】
【実施態様】この発明をその一実施態様に基いてさらに
詳細に説明するに、図1はこの発明の陽極集電体が用い
られるナトリウム−硫黄電池を示し、金属製の円筒状の
電槽1内には、β−アルミナ等の、ナトリウムイオンの
みを選択的に通過させる円筒状の固体電解質の隔壁2が
電槽1と同心的に設けられている。隔壁2の上部には陰
極リザーバ管3が設けられ、この陰極リザーバ管3と隔
壁2の内側に形成される陰極室4内に陰極剤ナトリウム
が収容される。また、電槽1と隔壁2との間に形成され
る陽極室5には、この発明の陽極集電体6と硫黄とが収
容される。さらに、電槽1には陽極リードピン7が、陰
極室4には陰極リードピン8が、それぞれ設けられてい
る。
【0018】このようなナトリウム−硫黄電池は、陽極
リードピン7から電流を流すことで充電され、このと
き、陽極室5における硫黄の反応生成物である多硫化ナ
トリウムがナトリウムイオン、硫黄および電子に分か
れ、このナトリウムイオンが隔壁2を通って陰極室4に
移動し、電子を受け取ってナトリウムにもどる。また、
放電時には、陰極室4のナトリウムがナトリウムイオン
と電子に分かれ、このナトリウムイオンが隔壁2を通っ
て陽極室5に移動し、硫黄、電子と反応して多硫化ナト
リウムとなり、陽極リードピン7に電流が流れるのであ
る。
【0019】かかるナトリウム−硫黄電池の作動におい
て、陽極集電体には、電池性能を向上させ、また、安定
させるために、次のような役割が要求される。
【0020】すなわち、充電時においては、陽極集電体
は、硫黄の反応生成物である多硫化ナトリウムをナトリ
ウムイオン、硫黄および電子に分かれさせなければなら
ない。また、電子を集めなければならない。さらに、ナ
トリウムイオンを隔壁の表面から捕集しなければならな
い。一方、放電時においては、隔壁に集まるナトリウム
イオンをその表面から捕集し、陽極室で硫黄、電子と反
応させて多硫化ナトリウムを生成させなければならな
い。また、電子を集めなければらならない。
【0021】さて、陽極集電体は、図2に模式的に示す
ように、炭素繊維基材9の層状構成を有し、全体として
割筒状をしている。炭素繊維基材9は、多数本の連続し
た炭素繊維マルチフィラメント糸10を有し、その炭素
繊維マルチフィラメント糸10は、割筒の内面から外面
に向かって放射状に延び、かつ、所望の間隔で割筒の周
方向に配列されている。すなわち、炭素繊維マルチフィ
ラメント糸10は、割筒の曲率中心から放射状に延びる
線上に位置している。そして、炭素繊維マルチフィラメ
ント糸10の配列方向に延びる補助糸11、12がこれ
ら炭素繊維マルチフィラメント糸10同士をもじり織組
織することによって連結している。これら補助糸11、
12による連結は、炭素繊維マルチフィラメント糸10
の長さ方向のほぼ中央部分において行われている。な
お、陽極集電体には、硫黄が含浸されている。
【0022】炭素繊維マルチフィラメント糸は、平均単
糸径が3〜20μm程度、単糸数が1,000〜30,
000本程度の炭素繊維糸からなり、0.2×10-3Ω
・cmから10×10-3Ω・cm程度の電気抵抗を有する。
なお、炭素繊維マルチフィラメント糸として、捲縮糸を
用いることができる。捲縮糸はクリンプを有し、嵩高で
あるので、それを用いると、陽極室内における単糸の分
散性が向上し、電気化学反応効率が向上するようにな
る。
【0023】また、補助糸としては、炭素繊維やガラス
繊維、ナイロン繊維等からなるマルチフィラメント糸を
用いることができる。この補助糸は、あまり太いと剛性
が高くなって炭素繊維マルチフィラメント糸の連結が困
難になるばかりか、基材中における炭素繊維の体積割合
が低くなってしまうので、細いほうが好ましい。通常、
炭素繊維基材中における炭素繊維マルチフィラメント糸
の目付が50〜1,000g/m2 程度になるようにす
る。炭素繊維マルチフィラメント糸と補助糸との体積割
合でみると、500:1〜5:3程度の範囲である。
【0024】この発明の陽極集電体は、補助糸の太さ、
炭素繊維マルチフィラメント糸の繊度や配列間隔等によ
って嵩密度を調整することができる。すなわち、補助糸
の太さによって炭素繊維基材の見掛けの厚みが決まり、
炭素繊維マルチフィラメント糸の繊度や配列間隔によっ
て繊維密度を決めることができる。なお、この発明の陽
極集電体の空孔率は50〜95%程度である。
【0025】このような陽極集電体は、たとえば、織機
を用い、炭素繊維マルチフィラメント糸を緯糸とし、補
助糸を経糸としてすだれ状の織物を得た後、織機上で経
糸方向に所望の幅で切断し、図3に示すような、所望の
間隔で配列された多数本の連続した炭素繊維マルチフィ
ラメント糸10同士をその配列方向に延びる補助糸1
1、12で連結してなるテープ状炭素繊維基材9を作
り、これを、たとえば紙管の周りにら旋状に積層し、溶
融した硫黄を含浸した後、紙管を抜いて割筒状に切断す
ることによって製造することができる。また、テープ状
炭素繊維基材9を紙管や綛等に巻き取り、紙管や綛等を
抜いて得られるドーナツ状炭素繊維基材を側方から押え
て正方形や長方形に変形させ、溶融した硫黄を含浸した
後、割筒状に曲げることによって製造することができ
る。
【0026】上述した陽極集電体は、筒を形成するよう
に2個を組み合わせて、図1における陽極室5に収容す
る。すると、炭素繊維マルチフィラメント糸10が電槽
1の内面と隔壁2の外面の双方に接触し、これらの間が
電気的に短絡されることになる。この接触をより確かな
ものとし、接触抵抗をより低くするために、電槽1の内
面と隔壁2の外面との間の距離よりも炭素繊維マルチフ
ィラメント糸10の長さをやや長くしておくのが好まし
い。
【0027】上述した実施態様において、層状をなす炭
素繊維基材間に、炭素短繊維基材を介在させることがで
きる。すなわち、上述した炭素繊維基材と、炭素短繊維
基材との、たとえば交互積層構成を採ることができる。
そのように構成すると、炭素繊維基材間の電気的な接触
が炭素短繊維基材によって改善され、電気化学反応効率
やイオンの捕集効率等が向上するようになる。なお、炭
素繊維マルチフィラメント糸と炭素短繊維との体積割合
は、1:0.1〜1:50程度がよい。
【0028】炭素短繊維基材としては、炭素短繊維から
なる不織布を用いることができる。そのような不織布
は、上述した炭素繊維マルチフィラメント糸を5〜10
0mm程度に切断して開繊し、単糸を分散させた、目付が
20〜300g/m2 程度のもので、周知の抄紙法等に
よって製造することができる。
【0029】そのような、炭素短繊維基材を介在させた
陽極集電体は、上述した製造方法において、テープ状炭
素繊維基材に、やはりテープ状にした炭素短繊維基材を
重ね合わせて積層することで容易に製造することができ
る。
【0030】以上説明した実施態様において、陽極集電
体は、割筒状ではなく、筒状であってもよい。すなわ
ち、割筒状にするほうが陽極室への収容が容易ではある
が、収容に困難性がなければ筒状でもよい。なお、割筒
状にする場合、上述したように2個で筒が形成されるよ
うにしてもよく、3個以上で形成されるようにしてもよ
い。
【0031】また、炭素繊維マルチフィラメント糸同士
の補助糸による連結は、炭素繊維マルチフィラメント糸
の長さ方向中央部分においてただ1か所行う場合につい
て説明したが、中央部分において2〜3か所行ってもよ
い。なお、中央部分で連結するのは、そうすると炭素繊
維マルチフィラメント糸が動きやすくなってその配列が
容易になるからであるが、それが必須であるわけではな
く、両端部分で行うことも可能である。
【0032】さらに、補助糸による炭素繊維マルチフィ
ラメント糸同士の連結は、もじり織組織に限らず、平組
織等の他の織組織によって行ってもよいし、図3に対応
して図4に示すように、同様の補助糸13による編組織
によって行ってもよい。
【0033】さらにまた、炭素繊維マルチフィラメント
糸と補助糸との交点に、たとえば接着剤を付与して炭素
繊維マルチフィラメント糸と補助糸とを接着しておく
と、基材の形態保持性がより向上するようになる。
【0034】図5は、図3に示した炭素繊維基材とは異
なる炭素繊維基材を示すものである。この図5に示すも
のは、炭素繊維マルチフィラメント糸10は、その両端
部が末広がり状に開繊され、かつ、単糸が交絡してい
る。その単糸は、隣り合う炭素繊維マルチフィラメント
糸の単糸とさらに交絡している。単糸が隣り合う炭素繊
維マルチフィラメント糸の単糸と交絡していることが必
須であるわけではないが、そのように交絡していると、
補助糸11、12による連結は必ずしも必要でなくな
る。この図5に示すような炭素繊維基材を用いると、炭
素繊維マルチフィラメント糸として捲縮糸を用いる場合
と同様、陽極室における単糸の分散性が向上し、電気化
学反応効率が向上するとともに、電槽の内面や隔壁の外
面との接触がより改善されて電気抵抗が低くなり、内部
損失が小さくなる。なお、この炭素繊維基材も、図3に
示した炭素繊維基材と全く同様に用いることができるの
はもちろんである。ただ、この炭素繊維基材を用いる
と、炭素繊維基材中における炭素繊維マルチフィラメン
ト糸の目付は100〜2,000g/m2 程度になる。
炭素繊維マルチフィラメント糸と補助糸との体積割合で
みると、500:1〜10:1程度である。また、図4
に示した炭素繊維基材にも、図5に示すような変更を加
え得ることはいうまでもない。
【0035】図5に示すような炭素繊維基材は、図3に
示した炭素繊維基材の炭素繊維マルチフィラメント糸1
0の両端部にエヤージェットやウォータジェットを当て
てその両端部において炭素繊維マルチフィラメント10
を末広がり状に開繊するとともに単糸を交絡させること
によって製造することができる。このときのエヤージェ
ットやウォータジェットの強さを加減するなどすれば、
単糸を隣り合う炭素繊維マルチフィラメント糸の単糸と
さらに交絡させることができる。
【0036】以上においては、炭素繊維マルチフィラメ
ント糸同士を補助糸によって連結している場合について
説明した。しかしながら、この補助糸は、陽極集電体中
においては、いわゆる異物であるから、存在しないほう
がむしろ好ましい。したがって、陽極集電体の製造に際
して、形態保持が可能な任意の工程、たとえば、テープ
状炭素繊維基材の積層後や、積層後、溶融した硫黄を含
浸した後に除去するのが好ましい。この除去は、補助糸
を溶融させたりガス化させたりすることで行えるが、そ
のためには、補助糸としてそのような溶融やガス化が可
能なものを用いる。たとえば、ナイロン繊維糸、ポリエ
ステル繊維糸、レーヨン繊維糸、ポリプロピレン繊維
糸、ポリエチレン繊維糸等を用いることができる。ま
た、溶解させて除去することもでき、この場合には、ポ
リビニルアルコール繊維糸や水溶性ナイロン繊維糸を用
いるのが好ましい。なお、炭素短繊維基材との層状構成
を採る場合は、補助糸を除去しても、炭素繊維マルチフ
ィラメント糸の配列は炭素短繊維基材で固定できる。し
かも、補助糸の溶融やガス化、溶解と同時に、炭素短繊
維基材、たとえば不織布に使用されているバインダも除
去できる。なお、図5に示した炭素繊維基材を用いる場
合は、単糸が隣り合う炭素繊維マルチフィラメント糸の
単糸と交絡していてそれ自身で形態保持性を有するか
ら、開繊、交絡後に補助糸を除去することも可能であ
る。
【0037】
【発明の効果】この発明のナトリウム−硫黄電池用陽極
集電体は、炭素繊維基材の層状構成を有し、全体として
割筒状または筒状をしており、上記炭素繊維基材は、多
数本の連続した炭素繊維マルチフィラメント糸、好まし
くは、両端部が末広がり状に開繊され、かつ、単糸同士
が交絡している炭素繊維マルチフィラメント糸を有し、
その炭素繊維マルチフィラメント糸は、割筒または筒の
内面から外面に向かって放射状に延び、かつ、所望の間
隔で周方向に配列されていて、ナトリウム−硫黄電池の
陽極室に収容したとき、電槽の内面と隔壁の外面とを炭
素繊維マルチフィラメント糸が電気的に接続するので、
両者の間の電気抵抗が小さくなり、内部損失が小さくな
る。ナトリウムイオンや電子等の移動が円滑になるし、
それらの捕集効率も向上する。かかる作用効果は、炭素
繊維マルチフィラメント糸を電槽の内面および隔壁の外
面と強く接触させることができるから一層向上する。し
たがってまた、この発明の陽極集電体を使用したナトリ
ウム−硫黄電池は、電気化学反応効率が向上し、性能が
向上する。また、後述するように個体間の差が小さいこ
とと相まって、充放電の安定性が向上する。
【0038】また、この発明においては、かかる陽極集
電体を、所望の間隔で配列された多数本の連続した炭素
繊維マルチフィラメント糸、好ましくは、両端部が末広
がり状に開繊され、かつ、単糸同士が交絡している炭素
繊維マルチフィラメント糸を有するテープ状炭素繊維基
材を積層するか、そのようなテープ状炭素繊維基材とテ
ープ状炭素短繊維基材とを重ね合わせて積層することに
よって製造するから、製造が容易であるうえに、個体間
の差を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ナトリウム−硫黄電池の一例を示す概略一部断
面正面図である。
【図2】この発明の一実施態様に係る陽極集電体を示す
概略斜視図である。
【図3】炭素繊維基材を示す概略平面図である。
【図4】異なる炭素繊維基材を示す概略平面図である。
【図5】さらに異なる炭素繊維基材を示す概略平面図で
ある。
【符号の説明】
1:電槽 2:固体電解質の隔壁 3:陰極リザーバ管 4:陰極室 5:陽極室 6:陽極集電体 7:陽極リードピン 8:陰極リードピン 9:炭素繊維基材 10:連続炭素繊維糸 11:補助糸 12:補助糸 13:補助糸

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維基材の層状構成を有し、全体とし
    て割筒状または筒状をしており、上記炭素繊維基材は多
    数本の連続した炭素繊維マルチフィラメント糸を有し、
    その炭素繊維マルチフィラメント糸は、割筒または筒の
    内面から外面に向かって放射状に延び、かつ、所望の間
    隔で割筒または筒の周方向に配列されていることを特徴
    とするナトリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  2. 【請求項2】炭素繊維マルチフィラメント糸の両端部が
    末広がり状に開繊され、かつ、単糸が交絡している、請
    求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  3. 【請求項3】単糸が、隣り合う炭素繊維マルチフィラメ
    ント糸の単糸とさらに交絡している、請求項2に記載の
    ナトリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  4. 【請求項4】炭素繊維マルチフィラメント糸同士がその
    配列方向に延びる補助糸によって連結されている、請求
    項1〜3のいずれかに記載のナトリウム−硫黄電池用陽
    極集電体。
  5. 【請求項5】補助糸による連結が、炭素繊維マルチフィ
    ラメント糸の長さ方向中央部分において行われている、
    請求項4に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  6. 【請求項6】補助糸による連結が、補助糸が炭素繊維マ
    ルチフィラメント糸をもじり織組織または編組織するこ
    とによって行われている、請求項4または5に記載のナ
    トリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  7. 【請求項7】炭素繊維マルチフィラメント糸と補助糸と
    が接着されている、請求項4〜6のいずれかに記載のナ
    トリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  8. 【請求項8】炭素繊維基材間に、炭素短繊維基材が介在
    されている、請求項1〜7のいずれかに記載のナトリウ
    ム−硫黄電池用陽極集電体。
  9. 【請求項9】炭素短繊維基材が不織布である、請求項8
    に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  10. 【請求項10】硫黄が含浸されている、請求項1〜9の
    いずれかに記載のナトリウム−硫黄電池用陽極集電体。
  11. 【請求項11】筒状の電槽と、この電槽内に設けた、ナ
    トリウムイオンのみを選択的に通過させる筒状の固体電
    解質の隔壁と、この隔壁内に形成される陰極室と、上記
    電槽の内面と隔壁の外面との間に形成される陽極室とを
    有し、かつ、上記陽極室には、請求項1〜10のいずれ
    かに記載の陽極集電体が、その陽極集電体の炭素繊維マ
    ルチフィラメント糸が上記電槽の内面と隔壁の外面とに
    接触するように収容されていることを特徴とするナトリ
    ウム−硫黄電池。
  12. 【請求項12】所望の間隔で配列された多数本の連続し
    た炭素繊維マルチフィラメント糸を有し、かつ、炭素繊
    維マルチフィラメント糸同士がその配列方向に延びる補
    助糸によって連結されていることを特徴とする、ナトリ
    ウム−硫黄電池の陽極集電体用テープ状炭素繊維基材。
  13. 【請求項13】所望の間隔で配列された多数本の連続し
    た炭素繊維マルチフィラメント糸を有し、その炭素繊維
    マルチフィラメント糸は、両端部が末広がり状に開繊さ
    れ、かつ、単糸が交絡していることを特徴とする、ナト
    リウム−硫黄電池の陽極集電体用テープ状炭素繊維基
    材。
  14. 【請求項14】単糸が、隣り合う炭素繊維マルチフィラ
    メント糸の単糸とさらに交絡している、請求項13に記
    載のナトリウム−硫黄電池の陽極集電体用テープ状炭素
    繊維基材。
  15. 【請求項15】炭素繊維マルチフィラメント糸同士がそ
    の配列方向に延びる補助糸で連結されている、請求項1
    3または14に記載のナトリウム−硫黄電池の陽極集電
    体用テープ状炭素繊維基材。
  16. 【請求項16】請求項12〜15のいずれかに記載のテ
    ープ状炭素繊維基材を積層することを特徴とする、ナト
    リウム−硫黄電池用陽極集電体の製造方法。
  17. 【請求項17】請求項12〜15のいずれかに記載のテ
    ープ状炭素繊維基材と、テープ状炭素短繊維基材とを重
    ね合わせて積層することを特徴とする、ナトリウム−硫
    黄電池用陽極集電体の製造方法。
  18. 【請求項18】請求項12または15のテープ状炭素繊
    維基材を積層した後、補助糸を除去することを特徴とす
    る、ナトリウム−硫黄電池用陽極集電体の製造方法。
  19. 【請求項19】請求項12または15のテープ状炭素繊
    維基材と、テープ状炭素短繊維基材とを重ね合わせて積
    層した後、補助糸を除去することを特徴とする、ナトリ
    ウム−硫黄電池用陽極集電体の製造方法。
  20. 【請求項20】炭素短繊維基材として不織布を用いる、
    請求項17または19に記載のナトリウム−硫黄電池用
    陽極集電体の製造方法。
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