JPH07253803A - 2自由度調節装置 - Google Patents

2自由度調節装置

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Publication number
JPH07253803A
JPH07253803A JP4533094A JP4533094A JPH07253803A JP H07253803 A JPH07253803 A JP H07253803A JP 4533094 A JP4533094 A JP 4533094A JP 4533094 A JP4533094 A JP 4533094A JP H07253803 A JPH07253803 A JP H07253803A
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JP
Japan
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differential
characteristic component
signal
adjustment
dynamic characteristic
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Application number
JP4533094A
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English (en)
Inventor
Kazuo Hiroi
和男 広井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、微分成分の強さを独立して可変
し、非常に簡単な構成により制御性の向上を図ることに
ある。 【構成】 制御対象4−2からの制御量PVn とこの制
御量の目標値SVn との偏差E(s) を零とするようにP
I(P:比例、I:積分)調節演算を実行し、得られた
合成調節演算信号を操作信号として前記制御対象に印加
するフィードバック経路に進み/遅れ要素を挿入してな
る2自由度調節装置において、前記進み/遅れ要素を静
特性成分aと動特性成分bとに分離し、そのうち動特性
成分の出力に微分強さ調整係数δを乗算して微分調節信
号を得、前記PI調節演算による前記合成調節演算信号
から前記微分調節信号を減算し、また静特性成分aと動
特性成分bとを加算手段15で加算して補正制御量PV
n ′を取り出し偏差演算手段1に導入する2自由度調節
装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PI調節制御系のフィ
ードバック経路に進み/遅れ要素を挿入し、外乱抑制特
性と目標値追従特性との双方を同時に最適化する2自由
度調節装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のPIまたはPID(P:比例,
I:積分,D:微分)調節装置は、制御の有史以来あら
ゆる産業分野で多用されており、もはや各産業分野の制
御システムではPIまたはPID調節装置無しには成り
立たなくなってきている。
【0003】従来の調節装置には、種々の調節演算方式
が採用されているが、時代の推移とともにアナログ調節
演算方式からディジタル調節演算方式に移行しており、
今後もその傾向は変りそうもなく、プラント運転制御シ
ステムの基盤をなしている。
【0004】このPI調節演算の基本式は下記式で表さ
れる。 MV(S) =Kp {1+(1/TI ・s)}・E(s) ……(1) 但し、MV(s) :操作信号、Kp :比例ゲイン、TI
積分時間、s :ラプラス演算子、E(s) :偏差信号であ
る。
【0005】このPI調節演算の基本式は1自由度PI
調節方式と呼ばれ、PIパラメータが1組しか設定でき
ない。しかし、実際の制御系では、外乱抑制特性を最適
化するだけでなく、目標値追従特性も最適化する必要が
あるが、これらの最適化演算に使用するパラメータ,つ
まり外乱抑制最適PIパラメータと目標値追従最適PI
パラメータとの値が大きく異なっている。その結果、外
乱抑制特性を最適化するようにPIパラメータを調整す
ると目標値追従特性が大きくオーバシュートして振動的
な特性となり、逆に目標値追従特性を最適化しようとす
ると、外乱抑制特性が劣化してしまう。この両者の特性
は同時に最適化することが出きず、二律背反の関係にあ
り、制御システムの高度化の大きな障害となっている。
【0006】そこで、この種のPID調節装置では、外
乱抑制特性と目標値追従特性とを同時に最適化できる技
術の出現が望まれていた。ところが、1963年におい
てIssac M.HorowitsがPIDパラメー
タをそれぞれ独立して2組設定可能な2自由度PIDア
ルゴリズム(TwoDegrees of Freedom PID A
lgorithm:以下、2DOF PIDと略称する)の基本
概念を発表するに至った。
【0007】その後、この2DOF PIDは実用化の
方向に歩み出し、最近ではプラント運転制御システムの
高度化に大きく貢献している。図6はPIの2項を2自
由度化した従来の2DOF PI調節装置の中の基本ブ
ロック構成を示す図である。この調節装置は、1自由度
PI調節装置のフィードバック経路に進み/遅れ要素を
挿入し、PIの2項を2自由度化した構成である。
【0008】この調節装置は、目標値SVn と制御対象
51−1の制御量を検出する制御量検出手段52からの
制御量PVn を進み/遅れ要素53を介して得られる補
正制御量PVn ′とを偏差演算手段54に導入し、ここ
で目標値SVn から補正制御量PVn ′を減算し、偏差
信号E(s) =(SVn −PVn ′)を求める。そして、
この偏差演算手段54で得られた偏差信号E(s) をPI
調節手段55に導き、ここでPIパラメータの下にPI
調節演算を実行し、得られた合成調節演算信号を比例ゲ
イン手段56に導く。
【0009】この比例ゲイン手段56は、PI調節手段
55の出力に比例ゲインKp を乗算し、得られた乗算信
号を操作信号MVn としてプロセス51に印加し、偏差
E=0,つまり目標値SVn =補正制御量PVn ′とな
るように制御する。
【0010】従って、制御の目的である目標値SVn =
制御量PVn とするためには、PVn ′=PVn ・F
(s) の関係から、最終値の定理を用いて(2)式が成立
するように進み/遅れ要素53の補償要素F(s) ,つま
り伝達関数を選定すればよい。つまり、
【0011】
【数1】 から補償要素F(s) を選定すればよいことになる。
【0012】この調節装置は、フィードバック経路に進
み/遅れ機能をもった補償要素F(s) を挿入し、Pおよ
びI動作を2自由度化し、D動作は構成を簡単化するた
めに要素分離形によって2自由度化を図っている。この
ような機能構成のものは、ループ補償形2自由度PI制
御方式と呼ばれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
なループ補償形2自由度PI制御方式の調節装置は、果
たして適切に2自由度化されているか否かに関し、実際
に応答式を用いて確認してみる。そこで、図6に示す装
置の応答式を求めると、(3)式のようになる。
【0014】
【数2】
【0015】この(3)式の応答式において、第1項は
目標値SVの変化に対する成分であり、第2項は外乱D
の変化に対する成分である。従って、この(3)式から
明らかなことは、PI調節手段55の伝達関数C(s) と
進み/遅れ要素53の伝達関数F(s) のパラメータを調
整することにより、目標値SVn の変化に対する追従特
性を最適にする制御定数Kp ,TI と外乱Dn (s) の変
化に対する抑制特性を最適にする制御定数Kp ,TI
を接近させることができる。つまり、両者の特性を一致
させること、換言すれば2自由度化を達成できることが
明らかとなる。
【0016】しかしながら、PI調節制御系のフィード
バック経路に進み/遅れ要素53の伝達関数F(s) を挿
入したとき、次のような問題が生ずる。因みに、従来の
先進的例である(4)式の伝達関数F(s) をもった進み
/遅れ要素53を用いた例について考えてみる。
【0017】 F(s) =(1+αβTI ・s)/(1+βTI ・s) ……(4) 上式においてα,βはパラメータ、TI は積分時間、s
はラプラス演算子である。以上のような(4)式の伝達
関数をもった進み/遅れ要素を採用した理由は、 (1) 定常状態において入力と出力とが等しいこと。
つまり、
【0018】
【数3】 (2) 単位ステップ信号が入力されたときの出力応答
は、図7に示すように初期値がα、減衰特性がβとな
り、これらパラメータα,βは互いに独立に設定できる
こと。これは前記(4)式から導かれる下記式から明ら
かである。
【0019】 F(s) =α−(α−1){1/(1+βTI ・s)} ……(5) また、前記(4)式を用いて、(3)式の分母の調節に
関する伝達関数部分F(s) ・Kp ・C(s) を変形する
と、(6)式のように表すことができる。
【0020】
【数4】
【0021】この(6)式の場合には、パラメータα,
βを調整すれば、2自由度化することができる。一般的
に、0≦α≦10、1≦β≦1程度で、最適値はα=
0.25、β=0.54である。
【0022】しかしながら、この(6)式から明らかな
ように、比例項,積分項の他に、進み/遅れ要素の補償
要素F(s) を付加することにより、微分項は発生する
が、(4)式の補償要素F(s) から調整できるパラメー
タは、α,βの2個しかなく、αは比例項のために用い
られ、βは積分項のために用いられ、α,βのパラメー
タを微分項に用いて調整することができない。このこと
は、α,βの2個のパラメータでは、比例項,積分項お
よび微分項の3つを最適に調節演算できないという欠陥
をもっている。
【0023】ゆえに、微分項を最適な状態で調節演算で
きないことから、制御性の高度化にも限界がある。さら
に、制御性を高度化するためには、非常にシンプルな形
をとりながら、もう1つの調整パラメータを付加し微分
項を調整する必要がある。
【0024】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、制御性の向上を図りうる2自由度調節装置を提供す
ることを目的とする。また、本発明の他の目的は、比例
項,積分項のみならず、微分項の強さを容易に調整可能
とする2自由度調節装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に対応する発明は、制御対象からの制御量
とこの制御量の目標値との偏差を零とするようにPI調
節演算を実行し、得られた合成調節演算信号を操作信号
として前記制御対象に印加するフィードバック経路に進
み/遅れ要素を挿入してなる2自由度調節装置におい
て、前記進み/遅れ要素を静特性成分と動特性成分とに
分離し、そのうち動特性成分の出力に微分強さ調整係数
を乗算して微分調節信号を得、前記PI調節演算による
前記合成調節演算信号から前記微分調節信号を減算する
構成とし、D項の強さを調整する2自由度調節装置であ
る。
【0026】次に、請求項2に対応する発明は、制御対
象からの制御量とこの制御量の目標値との偏差を零とす
るようにPI調節演算を実行し、得られた合成調節演算
信号を操作信号として前記制御対象に印加するフィード
バック経路に進み/遅れ要素を挿入してなる2自由度調
節装置において、伝達関数F(s) =(1+αβTI
s)/(1+βTI ・s)を有する進み/遅れ要素を静
特性成分=1と動特性成分={(1+αβTI ・s)/
(1+βTI ・s)−1}とに分離し、そのうち前記動
特性成分の出力に微分強さ調整係数を乗算して微分調節
信号を得、前記PI調節演算による前記合成調節演算信
号から前記微分調節信号を減算する構成とし、D項の強
さを調整する2自由度調節装置である。但し、上式にお
いてα,βはパラメータ、TI は積分時間、sはラプラ
ス演算子である。
【0027】さらに、請求項3に対応する発明は、制御
対象からの制御量とこの制御量の目標値との偏差を零と
するようにPI調節演算を実行し、得られた合成調節演
算信号を操作信号として前記制御対象に印加するフィー
ドバック経路に進み/遅れ要素を挿入してなる2自由度
調節装置において、伝達関数F(s) =(1+αβTI
s)/(1+βTI ・s)を有する進み/遅れ要素をを
静特性成分=1と動特性成分={(α−1)βTI
s}/(1+βTI ・s)とに分離し、そのうち前記動
特性成分の出力に微分強さ調整係数を乗算して微分調節
信号を得、前記PI調節演算による前記合成調節演算信
号から前記微分調節信号を減算する構成とし、D項の強
さ調整する2自由度調節装置である。但し、上式におい
てα,βはパラメータ、TI は積分時間、sはラプラス
演算子である。
【0028】さらに、請求項4に対応する発明は、制御
対象からの制御量とこの制御量の目標値との偏差を零と
するようにPI調節演算を実行し、得られた合成調節演
算信号を操作信号として前記制御対象に印加するフィー
ドバック経路に進み/遅れ要素を挿入してなる2自由度
調節装置において、伝達関数F(s) =(1+αβTI
s)/(1+βTI ・s)を有する進み/遅れ要素を静
特性成分=1と動特性成分=(α−1){1−1/(1
+βTI ・s)とに分離し、そのうち前記動特性成分の
出力に微分強さ調整係数を乗算して微分調節信号を得、
前記PI調節演算による前記合成調節演算信号から前記
微分調節信号を減算する構成とし、D項の強さを調整す
る2自由度調節装置。但し、上式においてα,βはパラ
メータ、TI は積分時間、sはラプラス演算子である。
においてα,βはパラメータ、TI は積分時間、sはラ
プラス演算子である。
【0029】
【作用】従って、請求項1ないし4に対応する発明は、
以上のような手段を講じたことにより、フィードバック
経路に挿入する進み/遅れ要素を静特性成分要素と動特
性成分要素とに分離する一方、この動特性成分要素の出
力に微分項の強さを可変する微分強さ調整係数を乗算
し、PI調節手段の出力に合成するようにしたので、従
来装置の調整パラメータに1つパラメータを多く付加す
るだけで、微分成分の強さを適切に調整でき、比例項,
積分項および微分項の3つを最適に調節演算することが
できる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。本発明の基本的な考え方は、動特性成分が
微分成分であることに着目し、進み/遅れ要素から動特
性成分を取り出すために、進み/遅れ要素を静特性成分
と動特性成分とに分離し、この動特性成分,つまり微分
成分に作用する1つパラメータを追加し、最適に微分成
分を調節演算することにある。
【0031】図1は請求項1に係わる発明の基本構成を
示す図である。同図において1は目標値SVn とフィー
ドバック経路側からの補正制御量SVn ′との偏差を求
める偏差演算手段、2は偏差演算手段1で得られる偏差
信号E(s) を零とするようにPI調節演算を実行するP
I調節手段、3はPI調節手段2の出力に比例ゲインK
p を乗算し操作信号MVn を得、プロセス4に印加する
比例ゲイン手段である。このプロセス4は操作信号MV
n と外乱D(s) とを加算する加算手段4−1および制御
対象4−2が設けられている。5は制御対象4−2から
の制御量PVn を取り出す制御量検出手段である。
【0032】ところで、本装置においては、制御量検出
手段5の制御量を偏差演算手段1に導くフィードバック
経路に進み/遅れ要素を挿入するが、このとき進み/遅
れ要素を静特性成分aと動特性成分bとに分離し、その
うち動特性成分出力には微分強さ調整係数δを乗算し、
この乗算値をPI調節手段2の出力から減ずることによ
り微分の強さを調整する構成である。
【0033】具体的に述べると、動特性成分機能を含む
微分強さ可変構成は、制御量PVnを所定時間だけ進み
または遅らす進み/遅れ要素11と、この進み/遅れ要
素11の出力を静特性成分信号により減ずる減算手段1
2と、この減算手段12で得られた動特性成分出力に微
分強さ調整係数δを乗算し、微分調整信号を得る調整係
数乗算手段13と、PI調節手段2の出力から微分調整
信号を減算する減算手段14とによって構成されてい
る。
【0034】一方、補正制御量取得構成は、動特性成分
出力と静特性成分出力とを加算する加算手段15を有
し、ここで得られた加算出力,つまり補正制御量PVn
′を偏差演算手段1に導入する構成である。
【0035】従って、以上のような実施例の構成によれ
ば、制御量検出手段5によって検出された制御量PVn
を図示点線部分に印加すると、制御量PVn と補正制御
量PVn ′との間には次のような式が成立する。
【0036】 PVn ′={1+(F(s) −1}・PVn =PVn +{(F(s) −1}・PVn ……(7) となる。ここで、第1項のPVn は静特性成分、第2項
の{(F(s) −1}・PVn は動特性成分である。
【0037】そのうち、動特性成分の出力は減算手段1
2にて動特性成分要素を構成する進み/遅れ要素11の
出力から静特性成分信号を減算することにより得られ
る。そして、この動特性成分の出力に微分強さ調整係数
δを乗算し、PI調節手段2の出力から減ずる構成とな
っている。このように構成にすると、図1の制御量PV
n の応答式は、(8)式のようになる。
【0038】
【数5】
【0039】つまり、前記(8)式から明らかなよう
に、分母のパラメータδを調整すれば、独立に微分項の
強さを調整することが可能となる。従って、以上のよう
な構成によれば、進み/遅れ要素を静特性成分要素と動
特性成分要素とに分離し、動特性成分要素出力に対して
調整パラメータとなる係数δを乗算して微分調整信号を
得た後、前記PI調節手段17の出力から微分調整信号
を減算すれば、微分の強さを適切に調整できる。
【0040】従って、この応答式から分子のパラメータ
δを調整することにより微分成分の強さを調整でき、そ
れに伴って制御性を改善できる。特に、本装置において
は、調整パラメータδを1個増やすだけのシンプルな構
成を採用し、α,β,δの3個のパラメータをそれぞれ
独立に調整し、比例項,積分項,微分項の3つの調節演
算を最適に実行できる。
【0041】次に、請求項2に係わる発明の一実施例に
ついて図2を参照して説明する。この実施例は、従来の
先進的例である(4)式の補償要素F(s) を用いて動特
性成分と静特性成分とに分離する例である。
【0042】この実施例の動特性成分機能を含む微分強
さ可変構成は、伝達関数F(s) =(1+αβTI ・s)
/(1+βTI ・s)を有する進み/遅れ要素21と、
この進み/遅れ要素21の出力から静特性成分を減算す
る減算手段22と、この減算手段22で得られた動特性
成分出力に微分強さ調整係数δを乗算し、微分調整信号
を得る調整係数乗算手段13と、PI調節手段2の出力
から微分調整信号を減算する減算手段14とによって構
成されている。
【0043】一方、補正制御量取得構成は、動特性成分
出力と静特性成分出力とを加算する加算手段23を有
し、ここで得られた加算出力,つまり補正制御量PVn
′を偏差演算手段1に導入する構成である。
【0044】この実施例では、進み/遅れ要素の伝達関
数F(s) に種々のものがあることに着目し、前述した先
進的例である(4)式の伝達関数F(s) を選定し、静特
性成分と動特性成分とに分離する。
【0045】その結果、先進的例の進み/遅れ要素の伝
達関数F(s) は、 F(s) =(1+αβTI ・s)/(1+βTI ・s) =1+{[(1+αβTI ・s)/(1+βTI ・s)]−1} ……(9) となる。この(9)式のうち、す第1項の「1」は静特
性成分、第2項の「{[(1+αβTI ・s)/(1+
βTI ・s)]−1}は動特性成分となる。そこで、進
み/遅れ要素を(9)式に示すように静特性成分と動特
性成分とに分離し、前記(8)式を用いて分母の調節機
能関連の具体式を求めると、
【0046】
【数6】 が得られる。従って、この(10)式から微分強さ調整
用係数δを調整することにより、微分項の強さを独立し
て調整できることは明白である。
【0047】次に、請求項3に係わる発明の一実施例に
ついて図3を参照して説明する。この実施例は、同じく
前記先進的例として掲げる進み/遅れ要素の伝達関数で
ある(4)式から静特性成分と動特性成分とに分離する
構成であり、具体的には伝達関数{(α−1)βTI
s}/(1+βTI ・s)を有する不完全微分手段31
と、この不完全微分手段31の出力を動特性成分とし、
この動特性成分に微分強さ調整係数δを乗算する調整係
数乗算手段13と、前記PI調節手段2の出力から調整
係数乗算手段13の出力を減算し微分強さを可変する減
算手段14と、前記不完全微分手段31の出力と静特性
成分出力とを加算する加算手段32とによって構成さ
れ、この加算手段32によって得られた補正制御量PV
n ′を偏差演算手段1に導入する構成である。
【0048】このような伝達関数{(α−1)βTI
s}/(1+βTI ・s)を有する不完全微分手段31
を設けたのは、次の式から静特性成分と動特性成分とに
分離することが可能なためである。
【0049】 F(s) =(1+αβTI ・s)/(1+βTI ・s) =1+{(α−1)βTI ・s}/(1+βTI ・s)……(11) この(11)式において第1項は静特性成分、第2項は
動特性成分である。
【0050】この実施例においても、制御量PVn の応
答式の分母の調整機能関連の式は(10)式と同一とな
り、微分強さ調整係数δを調整することにより、微分項
の強さを独立して可変できる。しかも、(11)式から
明らかなように、時間に関する伝達関数は1次遅れ要素
のみとなり、非常に簡単な構成となる。
【0051】さらに、図4は請求項4に係わる発明の一
実施例を示す構成図である。この実施例は、同じく前記
先進的例として掲げる進み/遅れ要素の伝達関数である
(4)式から静特性成分と動特性成分とに分離する構成
であり、具体的には伝達関数{1/(1+βTI
s)}を有する1次遅れ手段41と、静特性成分から1
次遅れ手段41の出力を減算する減算手段42と、この
減算手段42の出力に係数αを乗算する係数乗算手段4
3と、この係数乗算手段43の出力から前記減算手段4
2の出力を減算する減算手段44と、この減算手段44
の出力を動特性成分出力とし、この動特性成分に微分強
さ調整係数δを乗算する調整係数乗算手段13と、前記
PI調節手段2の出力から調整係数乗算手段13の出力
を減算し微分強さを可変する減算手段14と、前記不完
全微分手段41の出力と静特性成分出力とを加算する加
算手段45とによって構成され、この加算手段45によ
って得られた補正制御量PVn ′を偏差演算手段1に導
入する構成である。
【0052】従って、以上のような構成としたのは、前
記先進的例として掲げる進み/遅れ要素の伝達関数であ
る(4)式から下式を導き出せることによる。 F(s) =(1+αβTI ・s)/(1+βTI ・s) =1+{(α−1){1−1/(1+βTI ・s} ……(12) この(12)式において第1項は静特性成分、第2項は
動特性成分である。
【0053】この実施例においても、制御量PVn の応
答式の分母の調整機能関連の式は(10)式と同一とな
り、微分強さ調整係数δを調整することにより、微分項
の強さを独立して可変できる。しかも、(12)式から
明らかなように、時間に関する伝達関数は1次遅れ要素
のみとなり、非常に簡単な構成となる。
【0054】因みに、図5は従来装置と本発明装置との
制御性を比較した図である。特に、この図は、制御対象
G(s) の G(s) ={1/(1+5s)}e-s ……(13) の場合の制御性評価関数ITAE(Integral of Tim
e multiplied Absolu-te of Error)を示す。図
中、イは従来の1自由度PI調節装置、ロは従来のルー
プ補償形2自由度PI調節装置、ハは本発明装置のIT
AEを示している。ここで、ITAEは、
【0055】
【数7】 で表され、偏差eの絶対値に時間を乗じて積分したもの
で、その値が小さい程制御性能が優れていることを示
す。従って、図から明らかなように、調整係数δを用い
て微分の強さを調整することにより、本発明装置の方が
約30%程度制御性が向上していることが分かる。但
し、このときのパラメータ値は、α=6、β=0.2、
δ=−0.38である。その他、本発明はその要旨を逸
脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、P
I調節と2自由度化とのためにフィードバック経路に挿
入する進み/遅れ要素を静特性成分と動特性成分とに分
離して組合せることにより、新たに微分成分を発生でき
るとともに、微分の強さを独立して可変する構成とし、
非常に簡単な構成により、従来の欠陥を完全に解消し、
制御性を向上できる。その結果、今後のプラント制御シ
ステムへの適用が拡大し、プラント全体の制御性を確信
でき、ひいては産業界に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係わる発明の一実施例を示す構成
図。
【図2】請求項2に係わる発明の一実施例を示す構成
図。
【図3】請求項3に係わる発明の一実施例を示す構成
図。
【図4】請求項4に係わる発明の一実施例を示す構成
図。
【図5】本願装置と従来装置との制御性に関する比較
図。
【図6】従来の2自由度化PI調節装置の構成を示す
図。
【図7】従来の調節装置におけるフイードバック経路に
進み/遅れ要素を挿入したときの応答特性図。
【符号の説明】
1…偏差演算手段、2…PI調節手段、4…プロセス、
4−2…制御対象、5…制御量検出手段、11,21…
進み/遅れ要素、12,22…減算手段、13…調整係
数乗算手段、15,23,33,45…加算手段、31
…不完全微分手段、41…1次遅れ手段、42,44…
減算手段、43…係数手段。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象からの制御量とこの制御量の目
    標値との偏差を零とするようにPI(P:比例、I:積
    分)調節演算を実行し、得られた合成調節演算信号を操
    作信号として前記制御対象に印加するフィードバック経
    路に進み/遅れ要素を挿入してなる2自由度調節装置に
    おいて、 前記進み/遅れ要素を静特性成分と動特性成分とに分離
    し、そのうち動特性成分の出力に微分強さ調整係数を乗
    算して微分調節信号を得、前記PI調節演算による前記
    合成調節演算信号から前記微分調節信号を減算する構成
    とし、D(微分)項の強さを調整可能としたことを特徴
    とする2自由度調節装置。
  2. 【請求項2】 制御対象からの制御量とこの制御量の目
    標値との偏差を零とするようにPI(P:比例、I:積
    分)調節演算を実行し、得られた合成調節演算信号を操
    作信号として前記制御対象に印加するフィードバック経
    路に進み/遅れ要素を挿入してなる2自由度調節装置に
    おいて、 伝達関数F(s) =(1+αβTI ・s)/(1+βTI
    ・s)を有する進み/遅れ要素を静特性成分=1と動特
    性成分={(1+αβTI ・s)/(1+βTI ・s)
    −1}とに分離し、そのうち前記動特性成分の出力に微
    分強さ調整係数を乗算して微分調節信号を得、前記PI
    調節演算による前記合成調節演算信号から前記微分調節
    信号を減算する構成とし、D(微分)項の強さを調整可
    能としたことを特徴とする2自由度調節装置。但し、上
    式においてα,βはパラメータ、TI は積分時間、sは
    ラプラス演算子である。
  3. 【請求項3】 制御対象からの制御量とこの制御量の目
    標値との偏差を零とするようにPI(P:比例、I:積
    分)調節演算を実行し、得られた合成調節演算信号を操
    作信号として前記制御対象に印加するフィードバック経
    路に進み/遅れ要素を挿入してなる2自由度調節装置に
    おいて、 伝達関数F(s) =(1+αβTI ・s)/(1+βTI
    ・s)を有する進み/遅れ要素をを静特性成分=1と動
    特性成分={(α−1)βTI ・s}/(1+βTI
    s)とに分離し、そのうち前記動特性成分の出力に微分
    強さ調整係数を乗算して微分調節信号を得、前記PI調
    節演算による前記合成調節演算信号から前記微分調節信
    号を減算する構成とし、D(微分)項の強さ調整可能と
    したことを特徴とする2自由度調節装置。但し、上式に
    おいてα,βはパラメータ、TI は積分時間、sはラプ
    ラス演算子である。
  4. 【請求項4】 制御対象からの制御量とこの制御量の目
    標値との偏差を零とするようにPI(P:比例、I:積
    分)調節演算を実行し、得られた合成調節演算信号を操
    作信号として前記制御対象に印加するフィードバック経
    路に進み/遅れ要素を挿入してなる2自由度調節装置に
    おいて、 伝達関数F(s) =(1+αβTI ・s)/(1+βTI
    ・s)を有する進み/遅れ要素を静特性成分=1と動特
    性成分=(α−1){1−1/(1+βTI ・s)とに
    分離し、そのうち前記動特性成分の出力に微分強さ調整
    係数を乗算して微分調節信号を得、前記PI調節演算に
    よる前記合成調節演算信号から前記微分調節信号を減算
    する構成とし、D(微分)項の強さを調整可能としたこ
    とを特徴とする2自由度調節装置。但し、上式において
    α,βはパラメータ、TI は積分時間、sはラプラス演
    算子である。
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