JPH0725262A - 車両用トラクション制御装置 - Google Patents

車両用トラクション制御装置

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JPH0725262A
JPH0725262A JP16888093A JP16888093A JPH0725262A JP H0725262 A JPH0725262 A JP H0725262A JP 16888093 A JP16888093 A JP 16888093A JP 16888093 A JP16888093 A JP 16888093A JP H0725262 A JPH0725262 A JP H0725262A
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traction
control
torque
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Sota Yasuda
荘太 安田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トラクションコントローラからアクチュエー
タ駆動コントローラに対しトルク低減指令信号を送るこ
とでトラクション制御を実行する車両用トラクション制
御装置において、トラクション非制御中にノイズにより
不要なトルク低減動作が行なわれるのを防止することを
第1の目的とし、トラクション制御中に加速スリップを
抑制する安定したトラクション制御性能を確保すること
を第2の目的とする。 【構成】 トラクションコントローラbからは同一のト
ルク低減量情報を連続する少なくとも2つのトルク低減
指令信号により送る共通の構成を持つ。そして、第1の
構成は、指令信号のセレクトローによってトルク低減制
御を行なうトラクション非制御中トルク制御手段gを設
けた。第2の構成は、指令信号のセレクトハイによって
トルク低減制御を行なうトラクション制御中トルク制御
手段hを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トラクションコントロ
ーラからアクチュエータ駆動コントローラに対しトルク
低減指令信号を送ることでトラクション制御を実行する
車両用トラクション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃料カット制御による車両用トラ
クション制御装置としては、例えば、特開平1−147
127号公報に記載されている装置が知られている。
【0003】この従来出典には、検出される駆動輪速が
車速により設定される目標駆動輪速を超えているトラク
ション制御要求時に気筒カット数によるトルク低減指令
信号を出力するトラクションコントローラ(13)と、
このトラクションコントローラ(13)からトルク低減
指令信号を入力し、指令信号による気筒カット数が得ら
れる燃料カット制御指令をインジェクタ駆動手段に対し
出力し、燃料カットによりエンジントルク低減制御を行
なうエンジンコントローラ(12)と、を備えた装置が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来装置にあっては、トラクション制御要求時にトラクシ
ョンコントローラ(13)から1つのトルク低減指令信
号をエンジンコントローラ(12)に出力し、このトル
ク低減指令信号にしたがって燃料カット制御が行なわれ
る装置となっているため、加速スリップの非発生時にト
ラクションコントローラ(13)とエンジンコントロー
ラ(12)とを接続する信号線にノイズが乗ると、エン
ジンコントローラ(12)側ではこのノイズをトルク低
減指令信号と判断し、燃料カットによるエンジントルク
低減動作が行なわれる場合があり、運転者の意図しない
不要な前後加速度が発生したり、旋回中に車両挙動安定
性を低下させる事態を招く。
【0005】また、加速スリップ発生時にトラクション
コントローラ(13)とエンジンコントローラ(12)
とを接続する信号線にノイズが乗ると、エンジンコント
ローラ(12)側ではこのノイズを重畳したトルク低減
指令信号に基づき燃料カットによるエンジントルク低減
が行なわれることになり、トルク低減量の大きな増減変
化により安定したトラクション制御性能が得られない
し、エンジントルクの急変により車両挙動を不安定にさ
せる。
【0006】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、第1の目的とするところは、トラクション
コントローラからアクチュエータ駆動コントローラに対
しトルク低減指令信号を送ることでトラクション制御を
実行する車両用トラクション制御装置において、トラク
ション非制御中にノイズにより不要なトルク低減動作が
行なわれるのを防止することにある。
【0007】第2の目的とするところは、トラクション
制御中に加速スリップを抑制する安定したトラクション
制御性能を確保することにある。
【0008】第3の目的とするところは、信号線がショ
ートした時、アクチュエータ駆動コントローラ側でショ
ート発生から早期にショート判断を行なうことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため第1発明の車両用トラクション制御装置では、図
1(イ) のクレーム対応図に示すように、加速スリップを
検出する加速スリップ検出手段aと、加速スリップの検
出に基づくトラクション制御要求時に所定のトルク低減
量情報を持つトルク低減指令信号を出力するトラクショ
ンコントローラbと、前記トラクションコントローラb
からトルク低減指令信号を入力し、指令信号によるトル
ク低減量が得られる制御指令をトルク低減アクチュエー
タcに対し出力し、トルク低減制御を行なうアクチュエ
ータ駆動コントローラdと、を備えた車両用トラクショ
ン制御装置において、前記トラクションコントローラb
は、同一のトルク低減量情報を持つ少なくとも第1トル
ク低減指令信号と第2トルク低減指令信号との2つの信
号を1つの信号線eを介して連続して送る指令信号送出
手段fを有し、前記アクチュエータ駆動コントローラd
は、トラクション非制御中にトルク低減量情報を持つト
ルク低減指令信号が入力された時、第1トルク低減指令
信号と第2トルク低減指令信号のうちトルク低減量が小
さな指令にしたがってトルク低減制御を行なうトラクシ
ョン非制御中トルク制御手段gを有していることを特徴
とする。
【0010】上記第2の目的を達成するため第2発明の
車両用トラクション制御装置では、図1(ロ) のクレーム
対応図に示すように、加速スリップを検出する加速スリ
ップ検出手段aと、加速スリップの検出に基づくトラク
ション制御要求時に所定のトルク低減量情報を持つトル
ク低減指令信号を出力するトラクションコントローラb
と、前記トラクションコントローラbからトルク低減指
令信号を入力し、指令信号によるトルク低減量が得られ
る制御指令をトルク低減アクチュエータcに対し出力
し、トルク低減制御を行なうアクチュエータ駆動コント
ローラdと、を備えた車両用トラクション制御装置にお
いて、前記トラクションコントローラbは、同一のトル
ク低減量情報を持つ少なくとも第1トルク低減指令信号
と第2トルク低減指令信号との2つの信号を1つの信号
線eを介して連続して送る指令信号送出手段fを有し、
前記アクチュエータ駆動コントローラdは、トラクショ
ン制御中にトルク低減指令信号が入力されている時、第
1トルク低減指令信号と第2トルク低減指令信号のうち
トルク低減量が大きな指令にしたがってトルク低減制御
を行なうトラクション制御中トルク制御手段hを有して
いることを特徴とする。
【0011】上記第3の目的を達成するため第3発明の
車両用トラクション制御装置では、請求項1または請求
項2に記載の車両用トラクション制御装置において、前
記指令信号送出手段fは、第1トルク低減指令信号に対
しこの指令信号の補数,反転,関数出力値による信号を
第2トルク低減指令信号として出力する手段であること
を特徴とする。
【0012】
【作用】第1発明の作用を説明する。
【0013】車両走行時であって、加速スリップ検出手
段aにより加速スリップの発生が検出されない時には、
トラクション制御要求がなく、トラクションコントロー
ラbの指令信号送出手段fからアクチュエータ駆動コン
トローラdに対してトルク低減量をゼロとするトルク低
減指令信号が出力される。
【0014】このトラクション非制御中に、トラクショ
ンコントローラbとアクチュエータ駆動コントローラd
とを接続する信号線eにノイズが乗りこのノイズがあた
かもトルク低減量情報を持つトルク低減指令信号として
アクチュエータ駆動コントローラd側で認識されるよう
な場合、トラクション非制御中トルク制御手段gにおい
て、ノイズによるトルク低減量情報を持つトルク低減指
令信号が入力された時、第1トルク低減指令信号と第2
トルク低減指令信号のうちトルク低減量が小さな指令に
したがってトルク低減制御が行なわれる。
【0015】例えば、第1トルク低減指令信号にノイズ
が乗り第1トルク低減指令信号が所定のトルク低減量を
得る指令となったとしても、第2トルク低減指令信号は
トラクション非制御中であることでトルク低減量ゼロの
指令となるため、トルク低減量ゼロの第2トルク低減指
令信号が選択されることになり、エンジントルク低減を
行なわない作動となる。
【0016】このように、トラクション非制御中は、少
なくとも2つのトルク低減指令信号を用い、セレクトロ
ーによりトルク低減制御を行なう制御則、つまり、余分
なトルク低減を抑えるという思想に基づく制御則として
いるため、トラクション非制御中にノイズにより不要な
トルク低減動作が行なわれるのが防止できる。
【0017】第2発明の作用を説明する。
【0018】車両走行時であって、加速スリップ検出手
段aにより加速スリップの発生が検出される時には、ト
ラクション制御要求にしたがってトラクション制御が行
なわれる。
【0019】このトラクション制御中は、トラクション
コントローラbの指令信号送出手段fから同じトルク低
減量情報を持つ第1トルク低減指令信号と第2トルク低
減指令信号との少なくとも2つの信号が1つの信号線e
を介して連続して送られ、アクチュエータ駆動コントロ
ーラdのトラクション制御中トルク制御手段hでは、第
1トルク低減指令信号と第2トルク低減指令信号のうち
トルク低減量が大きな指令にしたがってトルク低減制御
が行なわれる。
【0020】例えば、第1トルク低減指令信号にノイズ
が乗り第1トルク低減指令信号がトルク低減量を小さく
する指令となっても第2トルク低減指令信号は正常なト
ルク低減量による指令となっているため、トルク低減量
が大きな第2トルク低減指令信号が選択されることにな
り、トルク低減量を小さくするノイズ影響を受けず、変
動の少ないエンジントルク低減が確保される作動とな
る。
【0021】このように、トラクション制御中は、少な
くとも2つのトルク低減指令信号を用い、セレクトハイ
によりトルク低減制御を行なう制御則、つまり、トルク
低減を確実に保証するという思想に基づく制御則として
いるため、トラクション制御中に加速スリップを抑制す
る安定したトラクション制御性能を確保することができ
る。
【0022】第3発明の作用を説明する。
【0023】指令信号送出手段fからは、第1トルク低
減指令信号と、第1トルク低減指令信号に対しこの指令
信号の補数,反転,関数出力値による第2トルク低減指
令信号とがアクチュエータ駆動コントローラd側へ出力
される。
【0024】したがって、例えば、第2トルク低減指令
信号を第1トルク低減指令信号の補数信号とした場合、
信号線eのショート時、第1トルク低減指令信号が0と
なった時、他方の第2トルク低減指令信号が1となり、
両信号が異なった信号となることで、アクチュエータ駆
動コントローラd側でショート発生から早期にショート
判断を行なうことができる。
【0025】なお、両指令信号を同一とした場合、ショ
ートの時にも同じ信号となり、指令信号のみでショート
判断を行なうことができない。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0027】まず、構成を説明する。図2は本発明実施
例の車両用トラクション制御装置が適用された制御シス
テム図である。
【0028】トラクション制御システムとして、制御要
求時に燃料カットを行なうTCS燃料カット制御システ
ムと、制御要求時に点火時期のリタード制御を行なうT
CS点火時期制御システムと、制御要求時にギア位置の
アップシフト変更を行なうTCS変速制御システムが搭
載されている。
【0029】図2において、1はトラクションコントロ
ーラ(トラクションコントローラbに相当)、2はエン
ジンコントローラ(アクチュエータ駆動コントローラd
に相当)、3はA/Tコントローラ、4がバッテリ、5
はリレー、6はシステムON/OFFスイッチ、7はTCS作
動ランプ、8はスロットルセンサ、9はステアリングセ
ンサ、10は右前輪車輪速センサ、11は左前輪車輪速
センサ、12は右後輪車輪速センサ、13は左後輪車輪
速センサである。
【0030】前記TCS燃料カット制御及びTCS点火
時期制御は、トラクションコントローラ1において演算
される加速スリップ量Sがトラクション制御しきい値S
TCS以上のトラクション制御要求時、トラクションコン
トローラ1から信号線14(信号線eに相当)を介して
トルク低減指令信号をエンジンコントローラ2に出力
し、このトルク低減指令信号を入力するエンジンコント
ローラ2において、トルク低減指令信号によるエンジン
トルク低減量が得られる制御指令をフェールインジェク
タ15及び点火プラグ16(トルク低減アクチュエータ
cに相当)に対し出力することで行なわれる。
【0031】前記TCS変速制御は、トラクションコン
トローラ1において演算される加速スリップ量Sがトラ
クション制御しきい値STCS 以上のトラクション制御要
求時、トラクションコントローラ1から信号線17を介
してTCS制御信号をA/Tコントローラ3に出力し、
このTCS制御信号を入力するA/Tコントローラ3に
おいて、その時のギア位置とTCS制御信号に基づくア
ップシフト指令をシフトソレノイド17に対し出力する
ことで行なわれる。
【0032】前記トラクションコントローラ4には、シ
ステムON/OFFスイッチ6からのスイッチ信号と、各車輪
速センサ10,11,12,13からの車輪速信号と、
エンジコントローラ2からのスロットル開度,エンジン
回転数,ニュートラルスイッチの各信号と、A/Tコン
トローラ3からのギア位置信号と、ステアリングセンサ
9からの転舵角信号等が入力され、トラクションコント
ローラ1からは、上記トルク低減指令信号とTCS制御
信号以外に、トラクション作動時にTCS作動ランプ7
に対し点灯指令が出力される。
【0033】そして、トラクションコントローラ1から
エンジンコントローラ2に出力されるトルク低減指令信
号は、同一のエンジントルク低減量情報を持つ第1トル
ク低減指令信号A1と第2トルク低減指令信号A2との
2つの信号を1つの信号線14を介して連続して送ら
れ、しかも、第1トルク低減指令信号A1に対しこの指
令信号の補数による信号が第2トルク低減指令信号A2
とされる。
【0034】次に、作用を説明する。
【0035】[トラクション制御作動]図3はトラクシ
ョンコントローラ1(ステップ30〜ステップ33)及
びエンジンコントローラ2(ステップ34〜ステップ4
1)で行なわれるトラクション制御作動処理の流れを示
すフローチャートで、以下、各ステップについて説明す
る。
【0036】ステップ30では、各車輪速情報に基づい
てスリップ量Sが演算される(加速スリップ検出手段a
に相当)。
【0037】ここで、スリップ量Sは、例えば、駆動輪
速平均と従動輪速平均との差により演算される。
【0038】ステップ31では、ステップ30で演算さ
れたスリップ量Sがトラクション制御しきい値STCS 以
上かどうかが判断される。
【0039】ここで、トラクション制御しきい値STCS
としては、制御開始しきい値と制御終了しきい値とを異
ならせた値で設定しても良い。
【0040】ステップ32では、S≧STCS であり、ト
ラクション制御要求時には、トラクションフラグTCS
FLGがTCSFLG=1(トラクション制御中)とさ
れ、このTCSFLG=1がエンジンコントローラ2に
対し出力されると共に、加速スリップ状態に応じて決定
された同じエンジントルク低減量を情報とする第1トル
ク低減指令信号A1と第2トルク低減指令信号A2がエ
ンジンコントローラ2に対し出力される(指令信号送出
手段fに相当)。
【0041】ステップ33では、S<STCS であり、ト
ラクション制御非要求時には、トラクションフラグTC
SFLGがTCSFLG=0(トラクション非制御中)
とされ、このTCSFLG=0がエンジンコントローラ
2に対し出力されると共に、エンジントルク低減量ゼロ
の情報である第1トルク低減指令信号A1と第2トルク
低減指令信号A2がエンジンコントローラ2に対し出力
される(指令信号送出手段fに相当)。
【0042】ステップ34では、トラクション非制御中
かどうかがTCSFLGにより判断され、トラクション
非制御中の時にはステップ35〜ステップ37(トラク
ション非制御中トルク制御手段gに相当)によりトルク
低減制御が行なわれ、トラクション制御中の時にはステ
ップ38〜ステップ41(トラクション制御中トルク制
御手段hに相当)によりトルク低減制御が行なわれる。
【0043】ステップ35では、トラクションコントロ
ーラ1からの第1トルク低減指令信号A1と第2トルク
低減指令信号A2に含まれる情報を読み取り、エンジン
トルク低減要求があるかどうかが判断される。
【0044】ステップ36では、ステップ35でエンジ
ントルク低減要求があると判断された場合、2つのエン
ジントルク低減要求値の差が所定値以下かどうかが判断
される。
【0045】ステップ37では、ステップ36の判断で
2つのエンジントルク低減要求値の差が所定値以下であ
る場合、2つのエンジントルク低減要求値の小さい方に
したがってエンジントルクを調整する。
【0046】ステップ38では、トラクションコントロ
ーラ1からの第1トルク低減指令信号A1と第2トルク
低減指令信号A2に含まれる情報を読み取り、2つのエ
ンジントルク低減要求値の差が算出される。
【0047】ステップ39では、2つのエンジントルク
低減要求値の差が所定値以上かどうかが判断される。
【0048】ステップ40では、ステップ39で2つの
エンジントルク低減要求値の差が所定値以上と判断され
た場合、エンジントルクを固定(変更しない)制御指令
が出力される。
【0049】ここで、このステップ40では、エンジン
トルクの固定以外に、上限リミッターを設けてエンジン
トルクを調整しても良いし、また、変化幅を規定するフ
ィルターを設けて徐々にエンジントルクを調整しても良
い。
【0050】ステップ41では、ステップ39で2つの
エンジントルク低減要求値の差が所定値未満と判断され
た場合、2つのエンジントルク低減要求値の大きい方に
したがってエンジントルクを調整する。
【0051】[トラクション非制御中]車両走行時であ
って、トラクション制御が要求されない加速スリップの
発生がない時には、図3のフローチャートで、ステップ
30→ステップ31→ステップ33→ステップ34→ス
テップ35→ステップ36→ステップ37へと進む流れ
となり、トラクションコントローラ1からエンジンコン
トローラ2に対してはエンジントルク低減量ゼロの情報
を持つ第1トルク低減指令信号A1と第2トルク低減指
令信号A2が出力される。
【0052】このトラクション非制御中に、トラクショ
ンコントローラ1とエンジンコントローラ2とを接続す
る信号線14にノイズが乗りこのノイズにより両指令信
号A1,A2のうち一方の信号があたかもエンジントル
ク低減量情報を持つトルク低減指令信号としてエンジン
コントローラ2側で認識されるような場合、ステップ3
5でエンジントルク低減要求があると判断され、ステッ
プ36で2つのエンジントルク低減要求値の差が所定値
以下と判断され、ステップ37で第1トルク低減指令信
号A1と第2トルク低減指令信号A2のうちトルク低減
要求値が小さな指令にしたがってトルク低減制御が行な
われる。
【0053】例えば、図4のt1の時点で、第1トルク
低減指令信号A1にノイズが乗り第1トルク低減指令信
号A1が所定のエンジントルク低減量を得る指令となっ
たとしても、第2トルク低減指令信号A2はトラクショ
ン非制御中であることでエンジントルク低減量ゼロの指
令となるため、エンジントルク低減量ゼロの第2トルク
低減指令信号A2が選択されることになり、エンジント
ルク低減を行なわない作動となる。
【0054】なお、2つのトルク低減指令信号A1,A
2の両方にエンジントルク低減量を得るノイズが乗って
しまった場合もエンジントルク低減量の小さい方が選択
されることで、エンジントルク低減が小さく抑えられ
る。
【0055】このように、トラクション非制御中は、2
つのトルク低減指令信号A1,A2を用い、セレクトロ
ーによりトルク低減制御を行なう制御則、つまり、余分
なトルク低減を抑えるという思想に基づく制御則として
いるため、トラクション非制御中にノイズにより不要な
トルク低減動作が行なわれるのが防止できる。
【0056】なお、現実には加速スリップの発生により
スリップ量Sがトラクション制御しきい値STCS 以上と
なっている図4のt2の時点では、トラクションコント
ローラ1側での判断の遅れによりエンジンコントローラ
2ではトラクション非制御中の制御、つまりセレクトロ
ーによりエンジントルク低減が行なわれないことになる
が、却って信号線14にノイズが乗り大きなトルク低減
制御が行なわれるセレクトハイ制御の場合に比べて車両
挙動が安定であり、しかも、トラクション非制御中の制
御はトラクション制御開始時のみであり、トラクション
制御への影響は少なく問題とならない。
【0057】[トラクション制御中]車両走行時であっ
て、トラクション制御が要求される加速スリップ発生時
には、図3のフローチャートで、ステップ30→ステッ
プ31→ステップ32→ステップ34→ステップ38→
ステップ39→ステップ41(またはステップ40)へ
と進む流れとなり、トラクションコントローラ1からエ
ンジンコントローラ2に対しては同一のエンジントルク
低減量情報を持つトルク低減量の情報を持つ第1トルク
低減指令信号A1と第2トルク低減指令信号A2との2
つの信号が1つの信号線14を介して連続して送られ
る。
【0058】そして、エンジンコントローラ2側では、
トラクション制御中のエンジントルク制御として、2つ
のエンジントルク低減要求値の差が所定値未満の場合、
ステップ41において、第1トルク低減指令信号A1と
第2トルク低減指令信号A2のうちエンジントルク低減
量が大きな指令にしたがってトルク低減制御が行なわ
れ、2つのエンジントルク低減要求値の差が所定値以上
の場合、ステップ40において、エンジントルクを固定
する制御が行なわれる。
【0059】例えば、図4のt3の時点で、第1トルク
低減指令信号A1にノイズが乗り第1トルク低減指令信
号A1がトルク低減量を小さくする指令となっても第2
トルク低減指令信号A2は正常なトルク低減量による指
令となっているため、トルク低減量が大きな第2トルク
低減指令信号A2が選択されることになり、トルク低減
量を小さくするノイズ影響を受けず、変動の少ないエン
ジントルク低減が確保される作動となる。
【0060】逆に、図4のt3の時点で、第1トルク低
減指令信号A1にノイズが乗り第1トルク低減指令信号
A1がトルク低減量を大きく指令となった場合、トルク
低減量が大きな第1トルク低減指令信号A1が選択され
ることになるが、ノイズ影響が大きい場合には、ステッ
プ39からステップ40へ進むことになり、ノイズ影響
を受けず、変動のないエンジントルク低減が確保される
作動となる。
【0061】このように、トラクション制御中は、2つ
のトルク低減指令信号A1,A2を用い、セレクトハイ
によりトルク低減制御を行なう制御則、つまり、トルク
低減を確実に保証するという思想に基づく制御則として
いるため、トラクション制御中に加速スリップを抑制す
る安定したトラクション制御性能を確保することができ
る。
【0062】しかも、2つのエンジントルク低減要求値
の差が所定値以上の場合、エンジントルクを固定する制
御を行なうようにしているため、ノイズ影響により許容
されるトルク低減の変動幅がこの所定値に規定されるこ
とになり、変動を抑えたエンジントルク低減作動を確保
することができる。
【0063】[信号線ショート時]トラクションコント
ローラ1から送出される両トルク低減指令信号A1,A
2は、第1トルク低減指令信号A1に対し第2トルク低
減指令信号A2が第1トルク指令信号A1の補数による
信号であり、この両トルク低減指令信号A1,A2がエ
ンジンコントローラ2側へ出力される。
【0064】したがって、例えば、両トルク指令信号
を、図5の上段に示すように、同じ信号A,Aとした場
合、信号線のGNDショートの時にも同じ0信号とな
り、トルク指令信号のみでGNDショート判断を行なう
ことができない。
【0065】これに対し、第2トルク低減指令信号A2
を第1トルク低減指令信号A1の補数信号とした場合、
図5の下段に示すように、信号線14のGNDショート
時、第1トルク低減指令信号が0となっても、他方の第
2トルク低減指令信号A2が1となり、両信号A1,A
2が異なった信号となることで、エンジンコントローラ
2側でショート発生から早期にショート判断を行なうこ
とができる。
【0066】次に、効果を説明する。
【0067】(1)トラクションコントローラ1からエ
ンジンコントローラ2に対しトルク低減指令信号を送る
ことでトラクション制御を実行する車両用トラクション
制御装置において、トラクションコントローラ1からは
同一のエンジントルク低減量情報を連続する2つのトル
ク低減指令信号A1,A2により送るようにし、トラク
ション非制御中にエンジンコントローラ2側でエンジン
トルク低減量情報を持つトルク低減指令信号が入力され
た時、第1トルク低減指令信号A1と第2トルク低減指
令信号A2のうちエンジントルク低減量が小さな指令に
したがってトルク低減制御を行なう装置としたため、ト
ラクション非制御中にノイズにより不要なエンジントル
ク低減動作が行なわれるのを防止することができる。
【0068】(2)トラクションコントローラ1からエ
ンジンコントローラ2に対しトルク低減指令信号を送る
ことでトラクション制御を実行する車両用トラクション
制御装置において、トラクションコントローラ1からは
同一のエンジントルク低減量情報を連続する2つのトル
ク低減指令信号A1,A2により送るようにし、トラク
ション制御中にエンジンコントローラ2側でトルク低減
指令信号が入力された時、第1トルク低減指令信号A1
と第2トルク低減指令信号A2のうちエンジントルク低
減量が大きな指令にしたがってトルク低減制御を行なう
装置としたため、トラクション制御中に加速スリップを
抑制する安定したトラクション制御性能を確保すること
ができる。
【0069】(3)トラクション制御中、2つのエンジ
ントルク低減要求値の差が所定値以上の場合、エンジン
トルクを固定する制御を行なうようにしているため、ノ
イズ影響により許容されるトルク低減の変動幅がこの所
定値に規定されることになり、変動を抑えたエンジント
ルク低減作動を確保することができる。
【0070】(4)トラクションコントローラ1から送
出される指令信号は、第1トルク低減指令信号A1に対
しこの指令信号A1の補数による信号を第2トルク低減
指令信号A2としているため、信号線14がGNDショ
ートした時、エンジンコントローラ2側でショート発生
から早期にショート判断を行なうことができる。
【0071】以上、実施例を図面に基づいて説明してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではな
い。
【0072】例えば、実施例ではトラクションコントロ
ーラとは信号線により接続されるアクチュエータ駆動コ
ントローラがエンジンコントローラであり、TCSエン
ジントルク制御への適用例を示したが、これに限られる
ものではなく、例えば、下記に列挙するような他のトラ
クション制御システムに対しての本発明を適用すること
ができる。
【0073】(1) トラクションコントローラと信号線に
より接続されるA/Tコントローラを持つTCS変速制
御システム (2) トラクションコントローラと信号線により接続され
るブレーキコントローラを持つTCSブレーキ制御シス
テム (3) トラクションコントローラと信号線により接続され
るスロットルコントローラを持つTCSスロットル制御
システム (4) トラクションコントローラと信号線により接続され
る差動制限コントローラを持つTCS差動制限制御シス
テム
【0074】
【発明の効果】請求項1記載の本発明にあっては、トラ
クションコントローラからアクチュエータ駆動コントロ
ーラに対しトルク低減指令信号を送ることでトラクショ
ン制御を実行する車両用トラクション制御装置におい
て、トラクションコントローラからは同一のトルク低減
量情報を連続する少なくとも2つのトルク低減指令信号
により送るようにし、トラクション非制御中にアクチュ
エータ駆動コントローラ側でトルク低減量情報を持つト
ルク低減指令信号が入力された時、第1トルク低減指令
信号と第2トルク低減指令信号のうちトルク低減量が小
さな指令にしたがってトルク低減制御を行なう手段とし
たため、トラクション非制御中にノイズにより不要なト
ルク低減動作が行なわれるのを防止することができると
いう効果が得られる。
【0075】請求項2記載の本発明にあっては、トラク
ションコントローラからアクチュエータ駆動コントロー
ラに対しトルク低減指令信号を送ることでトラクション
制御を実行する車両用トラクション制御装置において、
トラクションコントローラからは同一のトルク低減量情
報を連続する少なくとも2つのトルク低減指令信号によ
り送るようにし、トラクション制御中にアクチュエータ
駆動コントローラ側でトルク低減指令信号が入力された
時、第1トルク低減指令信号と第2トルク低減指令信号
のうちトルク低減量が大きな指令にしたがってトルク低
減制御を行なう手段としたため、トラクション制御中に
加速スリップを抑制する安定したトラクション制御性能
を確保することができるという効果が得られる。
【0076】請求項3記載の本発明にあっては、指令信
号送出手段は、第1トルク低減指令信号に対しこの指令
信号の補数,反転,関数出力値による信号を第2トルク
低減指令信号として出力する手段としたため、上記効果
に加え、信号線がショートした時、アクチュエータ駆動
コントローラ側でショート発生から早期にショート判断
を行なうことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用トラクション制御装置を示すク
レーム対応図である。
【図2】実施例の車両用トラクション制御装置が適用さ
れたトラクション制御システム図である。
【図3】実施例装置のトラクションコントローラ及びエ
ンジンコントローラで行なわれるトラクション制御作動
の流れを示すフローチャートである。
【図4】非加速スリップ状態から加速スリップ状態へ移
行する時のスリップ量特性を示すタイムチャートであ
る。
【図5】正常時の第1トルク低減指令信号と第2トルク
低減指令信号とGNDショート時の第1トルク低減指令
信号と第2トルク低減指令信号を両信号を同じとした場
合と補数関係とした場合とでの比較信号波形図である。
【符号の説明】
a 加速スリップ検出手段 b トラクションコントローラ c トルク低減アクチュエータ d アクチュエータ駆動コントローラ e 信号線 f 指令信号送出手段 g トラクション非制御中トルク制御手段 h トラクション制御中トルク制御手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加速スリップを検出する加速スリップ検
    出手段と、 加速スリップの検出に基づくトラクション制御要求時に
    所定のトルク低減量情報を持つトルク低減指令信号を出
    力するトラクションコントローラと、 前記トラクションコントローラからトルク低減指令信号
    を入力し、指令信号によるトルク低減量が得られる制御
    指令をトルク低減アクチュエータに対し出力し、トルク
    低減制御を行なうアクチュエータ駆動コントローラと、 を備えた車両用トラクション制御装置において、 前記トラクションコントローラは、同一のトルク低減量
    情報を持つ少なくとも第1トルク低減指令信号と第2ト
    ルク低減指令信号との2つの信号を1つの信号線を介し
    て連続して送る指令信号送出手段を有し、 前記アクチュエータ駆動コントローラは、トラクション
    非制御中にトルク低減量情報を持つトルク低減指令信号
    が入力された時、第1トルク低減指令信号と第2トルク
    低減指令信号のうちトルク低減量が小さな指令にしたが
    ってトルク低減制御を行なうトラクション非制御中トル
    ク制御手段を有していることを特徴とする車両用トラク
    ション制御装置。
  2. 【請求項2】 加速スリップを検出する加速スリップ検
    出手段と、 加速スリップの検出に基づくトラクション制御要求時に
    所定のトルク低減量情報を持つトルク低減指令信号を出
    力するトラクションコントローラと、 前記トラクションコントローラからトルク低減指令信号
    を入力し、指令信号によるトルク低減量が得られる制御
    指令をトルク低減アクチュエータに対し出力し、トルク
    低減制御を行なうアクチュエータ駆動コントローラと、 を備えた車両用トラクション制御装置において、 前記トラクションコントローラは、同一のトルク低減量
    情報を持つ少なくとも第1トルク低減指令信号と第2ト
    ルク低減指令信号との2つの信号を1つの信号線を介し
    て連続して送る指令信号送出手段を有し、 前記アクチュエータ駆動コントローラは、トラクション
    制御中にトルク低減指令信号が入力されている時、第1
    トルク低減指令信号と第2トルク低減指令信号のうちト
    ルク低減量が大きな指令にしたがってトルク低減制御を
    行なうトラクション制御中トルク制御手段を有している
    ことを特徴とする車両用トラクション制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の車両用
    トラクション制御装置において、 前記指令信号送出手段は、第1トルク低減指令信号に対
    しこの指令信号の補数,反転,関数出力値による信号を
    第2トルク低減指令信号として出力する手段であること
    を特徴とする車両用トラクション制御装置。
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