JPH072523A - 抗菌性チタニアとその製造法 - Google Patents
抗菌性チタニアとその製造法Info
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- JPH072523A JPH072523A JP3320099A JP32009991A JPH072523A JP H072523 A JPH072523 A JP H072523A JP 3320099 A JP3320099 A JP 3320099A JP 32009991 A JP32009991 A JP 32009991A JP H072523 A JPH072523 A JP H072523A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は各種構造物等に優れた抗菌性を与え
るため、生産性の良好な、また光や熱に抵抗性があり、
低粒度の抗菌性物質の発明を目的とする。 【構成】 本発明は、多孔性チタニアを担体として、抗
菌性金属成分として少なくとも銀成分および亜鉛成分を
吸着させた抗菌性物質と該多孔性チタニアゲルの製造方
法であり、 表面積は40cm2/g以上である多孔性チタニア
に、抗菌性金属成分として少なくとも銀成分および亜鉛
成分を吸着させた抗菌性物質であり、担体量に対して銀
成分量が1.5重量%以上および亜鉛成分量が1.0重
量%以上であること、 該多孔性チタニアを三塩化チタン溶液とアンモニア溶
液との反応にて製造する際に、この系に脂肪族アルコー
ルを共存させること、 上記脂肪族アルコールが2−プロピルアルコールであ
ること、 を特徴とするものである。
るため、生産性の良好な、また光や熱に抵抗性があり、
低粒度の抗菌性物質の発明を目的とする。 【構成】 本発明は、多孔性チタニアを担体として、抗
菌性金属成分として少なくとも銀成分および亜鉛成分を
吸着させた抗菌性物質と該多孔性チタニアゲルの製造方
法であり、 表面積は40cm2/g以上である多孔性チタニア
に、抗菌性金属成分として少なくとも銀成分および亜鉛
成分を吸着させた抗菌性物質であり、担体量に対して銀
成分量が1.5重量%以上および亜鉛成分量が1.0重
量%以上であること、 該多孔性チタニアを三塩化チタン溶液とアンモニア溶
液との反応にて製造する際に、この系に脂肪族アルコー
ルを共存させること、 上記脂肪族アルコールが2−プロピルアルコールであ
ること、 を特徴とするものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性及びそのスペクト
ルに幅広さが望まれる各種構造物、例えば、壁、壁紙な
どの建材、食品包装材料、工業用品、さらに各種日用
品、医療用機器用具等を構成する基材等に広く適用可能
な抗菌性物質に関するものである。
ルに幅広さが望まれる各種構造物、例えば、壁、壁紙な
どの建材、食品包装材料、工業用品、さらに各種日用
品、医療用機器用具等を構成する基材等に広く適用可能
な抗菌性物質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗菌性物質の多くは有機系抗菌剤による
ものであり、有機銅や錫化合物、有機砒素化合物、有機
塩素化合物などが広く用いられてきた。しかし、一般に
これらの化合物が有効であればあるほど有毒性が強まる
ことが最大の課題であった。一方、金属イオンの微量溶
出法なども広く検討されている。この例としては、各種
形状の銀や銅などのいわゆる抗菌性金属、あるいはその
酸化物を構造物に添付する手段、粉末状物の糊料や塗料
への混和、繊維状物の繊維への混紡などが用いられてい
る。これらの代表的例として、医療用分野を例にとれ
ば、カテーテル表面への銀粒子の固定(米国特許第4,
054,139号)、医療用高分子材料表面への銀、亜
鉛、セリウムなどの金属塩のコーティング法(米国特許
第4,612,337号、特開昭62−11457)、
あるいはバルーンカテーテルのバルーン部表面等への金
属層の形成(特開平1−135358)などをあげるこ
とが出来る。しかし、いずれの分野でも、使用する金属
粉末等の分散性及びその結果によるであろう効果の程度
やその持続性に劣る傾向にあるため、殆ど実用化されて
いなかった。これらの欠点を改良する試みとして、銀等
の金属イオンを交換した天然・合成ゼオライトを抗菌剤
とし、工業用品、日用品あるいは医療用品への適用など
が試みられている(特公昭63−54013など)。こ
こでも、当然のことながら金属の微粒子化が抗菌力を向
上させる鍵であり、ゼオライト自体の粒径の制約による
金属粒子の微粒子化が必ずしも十分でない。従って、銀
等を吸着したゼオライト自体の分散性の向上が十分に得
られず、とくに安定性の良い表面コーティング用原液や
噴霧用原液を得ることがかなり困難であり、また決して
安価なものではない。
ものであり、有機銅や錫化合物、有機砒素化合物、有機
塩素化合物などが広く用いられてきた。しかし、一般に
これらの化合物が有効であればあるほど有毒性が強まる
ことが最大の課題であった。一方、金属イオンの微量溶
出法なども広く検討されている。この例としては、各種
形状の銀や銅などのいわゆる抗菌性金属、あるいはその
酸化物を構造物に添付する手段、粉末状物の糊料や塗料
への混和、繊維状物の繊維への混紡などが用いられてい
る。これらの代表的例として、医療用分野を例にとれ
ば、カテーテル表面への銀粒子の固定(米国特許第4,
054,139号)、医療用高分子材料表面への銀、亜
鉛、セリウムなどの金属塩のコーティング法(米国特許
第4,612,337号、特開昭62−11457)、
あるいはバルーンカテーテルのバルーン部表面等への金
属層の形成(特開平1−135358)などをあげるこ
とが出来る。しかし、いずれの分野でも、使用する金属
粉末等の分散性及びその結果によるであろう効果の程度
やその持続性に劣る傾向にあるため、殆ど実用化されて
いなかった。これらの欠点を改良する試みとして、銀等
の金属イオンを交換した天然・合成ゼオライトを抗菌剤
とし、工業用品、日用品あるいは医療用品への適用など
が試みられている(特公昭63−54013など)。こ
こでも、当然のことながら金属の微粒子化が抗菌力を向
上させる鍵であり、ゼオライト自体の粒径の制約による
金属粒子の微粒子化が必ずしも十分でない。従って、銀
等を吸着したゼオライト自体の分散性の向上が十分に得
られず、とくに安定性の良い表面コーティング用原液や
噴霧用原液を得ることがかなり困難であり、また決して
安価なものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は抗菌性金属の分散性が良好で、かつ構造物への分散性
が優れ、低コストの抗菌性物質の開発である。
は抗菌性金属の分散性が良好で、かつ構造物への分散性
が優れ、低コストの抗菌性物質の開発である。
【0004】
【課題を解決するための手段】さて、多孔性金属酸化物
は数多く知られ、一般に高活性の例が多い。この中でも
耐食性、安定性が優れ、また各種添加剤として広く知ら
れているチタニア(酸化チタン)について課題を解決す
る手段を考えてみる。多孔性チタニア、特にゲル状に形
成したチタニアは極めて多孔質であり、各種の金属イオ
ンを吸着させることにより金属の超微粒子状態の実現が
期待できる。本発明者らはこれらの特性に着目し検討し
た結果、いわゆる抗菌性金属の代表例である銀が最も有
効であることが認められたが、最大の欠点は熱や光によ
って変色し、商品価値を低減することであった。我々は
この欠陥を克服するために鋭意検討した結果、亜鉛の存
在が極めて有効であることを見出した。また、この多孔
性チタニアの製造に際して、三塩化チタン溶液とアンモ
ニア溶液の系に脂肪族アルコールを共存させることによ
って、より良質な多孔性チタニアゲルが生成することを
見出した。
は数多く知られ、一般に高活性の例が多い。この中でも
耐食性、安定性が優れ、また各種添加剤として広く知ら
れているチタニア(酸化チタン)について課題を解決す
る手段を考えてみる。多孔性チタニア、特にゲル状に形
成したチタニアは極めて多孔質であり、各種の金属イオ
ンを吸着させることにより金属の超微粒子状態の実現が
期待できる。本発明者らはこれらの特性に着目し検討し
た結果、いわゆる抗菌性金属の代表例である銀が最も有
効であることが認められたが、最大の欠点は熱や光によ
って変色し、商品価値を低減することであった。我々は
この欠陥を克服するために鋭意検討した結果、亜鉛の存
在が極めて有効であることを見出した。また、この多孔
性チタニアの製造に際して、三塩化チタン溶液とアンモ
ニア溶液の系に脂肪族アルコールを共存させることによ
って、より良質な多孔性チタニアゲルが生成することを
見出した。
【0005】多孔性チタニアを作成する方法は種々考え
られるが、酸素の作用下に、三塩化チタン溶液に、pH
等をコントロールする必要に応じてアンモニア溶液を加
え、チタニアの白色ゲルを収率よく得ることが出来る。
この際、三塩化チタン溶液および/あるいはアンモニア
溶液に、また、あるいは三塩化チタン溶液およびアンモ
ニア溶液の系に対しエチルアルコール、ブチルアルコー
ルあるいはプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール
を共存させることにより極めて有用な多孔性チタニアゲ
ルが得られることを見出した。詳細は実施例に譲るが、
脂肪族アルコール成分量が多いほど一般に粒度が細か
く、白度も優れ、低比表面積であれ銀成分の吸着量は高
い傾向にあった。更に、乾燥やその他の加熱によるゲル
構造の安定性に優れているのも大きな特徴である。ま
た、脂肪族アルコール間では炭素数の多いアルコール
程、好ましい結果がえられた。これらの諸挙動の差異は
チタニアゲルの骨格構造形成の違いによるものであろ
う。抗菌性金属の多孔性チタニアへの吸着量は、吸着条
件にもよるが、概ね多孔性チタニアの比表面積(m2/
g)(BET法により窒素ガスの吸着挙動の解析から求
めた)に左右される。しかし、本発明によると、比表面
積は既に述べたように、チタニアゲル製造時の脂肪族ア
ルコールの存在の有無がより支配的であることを明らか
にしたのである。さて、該多孔性チタニアに抗菌性を付
与する手段は次のようである。抗菌性金属である銀及び
亜鉛のチタニアゲルへの吸着は、それぞれ金属塩水溶液
中にチタニアゲルを浸漬することによる。例えば銀成分
は硝酸銀、亜鉛では塩化亜鉛の水溶液を用いる。この場
台、これらの水溶液に段階的にチタニアゲルを浸漬し、
銀と亜鉛を段階的に吸着させてもよいが、両者の濃度を
調整した混台溶液へ浸漬して、一浴から両成分を吸着さ
せると、抗菌性チタニアである粒子が変色しにくい利点
のあることが判明した。亜鉛成分の変色抑制効果は銀成
分の近傍にあることによってより有効に働くことによる
であろう。
られるが、酸素の作用下に、三塩化チタン溶液に、pH
等をコントロールする必要に応じてアンモニア溶液を加
え、チタニアの白色ゲルを収率よく得ることが出来る。
この際、三塩化チタン溶液および/あるいはアンモニア
溶液に、また、あるいは三塩化チタン溶液およびアンモ
ニア溶液の系に対しエチルアルコール、ブチルアルコー
ルあるいはプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール
を共存させることにより極めて有用な多孔性チタニアゲ
ルが得られることを見出した。詳細は実施例に譲るが、
脂肪族アルコール成分量が多いほど一般に粒度が細か
く、白度も優れ、低比表面積であれ銀成分の吸着量は高
い傾向にあった。更に、乾燥やその他の加熱によるゲル
構造の安定性に優れているのも大きな特徴である。ま
た、脂肪族アルコール間では炭素数の多いアルコール
程、好ましい結果がえられた。これらの諸挙動の差異は
チタニアゲルの骨格構造形成の違いによるものであろ
う。抗菌性金属の多孔性チタニアへの吸着量は、吸着条
件にもよるが、概ね多孔性チタニアの比表面積(m2/
g)(BET法により窒素ガスの吸着挙動の解析から求
めた)に左右される。しかし、本発明によると、比表面
積は既に述べたように、チタニアゲル製造時の脂肪族ア
ルコールの存在の有無がより支配的であることを明らか
にしたのである。さて、該多孔性チタニアに抗菌性を付
与する手段は次のようである。抗菌性金属である銀及び
亜鉛のチタニアゲルへの吸着は、それぞれ金属塩水溶液
中にチタニアゲルを浸漬することによる。例えば銀成分
は硝酸銀、亜鉛では塩化亜鉛の水溶液を用いる。この場
台、これらの水溶液に段階的にチタニアゲルを浸漬し、
銀と亜鉛を段階的に吸着させてもよいが、両者の濃度を
調整した混台溶液へ浸漬して、一浴から両成分を吸着さ
せると、抗菌性チタニアである粒子が変色しにくい利点
のあることが判明した。亜鉛成分の変色抑制効果は銀成
分の近傍にあることによってより有効に働くことによる
であろう。
【0006】さて、本発明の抗菌性物質の抗菌性評価は
「最小発育阻止濃度(MIC)」の測定によった。MI
Cの測定は、日本化学療法学会制定の方法に準じたが、
該方法の対象は水溶性抗菌薬が一般であるため、本発明
の不溶性抗菌剤に適用するために、大幅な変更を余儀な
くされた。測定法の要点は下記のようである。各種量の
抗菌性チタニアゲル(検体)をいれたフラスコを高圧蒸
気滅菌を行う。滅菌済みMueller Hinton
培地を検体入りのフラスコに加え攪拌し、106ケ/m
lに調整した接種菌液を注加する。フラスコを37℃恒
温振とう機で20時間振とう後の菌液について、顕微鏡
下で菌増殖の有無を判定する。陰性の最小濃度をMIC
値(μg/ml)とする。本発明による抗菌性チタニア
ゲルの抗菌力(MIC値で表示)は、大略は吸着した銀
成分量によるが、低銀成分量では亜鉛成分量の影響を受
ける。しかし、本発明での新たな点の一つは、銀成分の
熱あるいは光により変色する弱点を亜鉛成分がカバーす
る働きを持つことである。これらの本発明で記載する金
属成分量はプラズマ発光分光分析法により定量したもの
で、多孔性チタニア重量に対する各金属、銀あるいは亜
鉛成分の重量%で表示する。
「最小発育阻止濃度(MIC)」の測定によった。MI
Cの測定は、日本化学療法学会制定の方法に準じたが、
該方法の対象は水溶性抗菌薬が一般であるため、本発明
の不溶性抗菌剤に適用するために、大幅な変更を余儀な
くされた。測定法の要点は下記のようである。各種量の
抗菌性チタニアゲル(検体)をいれたフラスコを高圧蒸
気滅菌を行う。滅菌済みMueller Hinton
培地を検体入りのフラスコに加え攪拌し、106ケ/m
lに調整した接種菌液を注加する。フラスコを37℃恒
温振とう機で20時間振とう後の菌液について、顕微鏡
下で菌増殖の有無を判定する。陰性の最小濃度をMIC
値(μg/ml)とする。本発明による抗菌性チタニア
ゲルの抗菌力(MIC値で表示)は、大略は吸着した銀
成分量によるが、低銀成分量では亜鉛成分量の影響を受
ける。しかし、本発明での新たな点の一つは、銀成分の
熱あるいは光により変色する弱点を亜鉛成分がカバーす
る働きを持つことである。これらの本発明で記載する金
属成分量はプラズマ発光分光分析法により定量したもの
で、多孔性チタニア重量に対する各金属、銀あるいは亜
鉛成分の重量%で表示する。
【0007】本発明の抗菌性物質を用いて、構造物を構
成する基材に抗菌性を与える手段を参考までに記すと、
次のようである。所要量の抗菌性金属を吸着したチタニ
アゲルを、分散媒、即ち分散媒としての溶融ポリマに混
練することにより微粒子状、あるいは任意の形状の抗菌
性組成物を得、該抗菌性組成物を成形用原料とし構造物
の基材あるいはその部材に成形する。勿論、この組成物
を成形原料として、直接賦形できることは云うまでもな
い。また、マトリックスをポリマ系溶液(ポリマ/溶剤
系、液状ポリマ、オリゴマ系など)として、所定量の抗
菌性チタニアを分散した抗菌性組成物を構成物の基材あ
るいはその部材の表面にコーティングしたり、分散媒を
抗菌性チタニアゲルの表面にコーティングして抗菌性組
成物とすることができる。あるいは、分散媒として水や
有機系、無機系液体も採用可能である。さらに、抗菌性
金属を吸着したチタニア粉末にその他の粉末を分散媒と
して混合し、構造物あるいはその基材等の表層に散布す
る形態をとることも可能である。
成する基材に抗菌性を与える手段を参考までに記すと、
次のようである。所要量の抗菌性金属を吸着したチタニ
アゲルを、分散媒、即ち分散媒としての溶融ポリマに混
練することにより微粒子状、あるいは任意の形状の抗菌
性組成物を得、該抗菌性組成物を成形用原料とし構造物
の基材あるいはその部材に成形する。勿論、この組成物
を成形原料として、直接賦形できることは云うまでもな
い。また、マトリックスをポリマ系溶液(ポリマ/溶剤
系、液状ポリマ、オリゴマ系など)として、所定量の抗
菌性チタニアを分散した抗菌性組成物を構成物の基材あ
るいはその部材の表面にコーティングしたり、分散媒を
抗菌性チタニアゲルの表面にコーティングして抗菌性組
成物とすることができる。あるいは、分散媒として水や
有機系、無機系液体も採用可能である。さらに、抗菌性
金属を吸着したチタニア粉末にその他の粉末を分散媒と
して混合し、構造物あるいはその基材等の表層に散布す
る形態をとることも可能である。
【0008】
【作用】いわゆる抗菌性金属が強い抗菌効果を示す機構
は十分には明かにされていない。微量の金属イオンが抗
菌作用を持つことは古くから知られていたが、近年生体
防御機構の一つである消毒機構への活性酸素系の関与と
類似し、ここでも活性酸素の寄与が論じられるようにな
った。この種のゲルに金属を吸着させ、微粒子状にする
ことにより、この機能を十分に発揮させることが出来る
ものと考えることもできる。
は十分には明かにされていない。微量の金属イオンが抗
菌作用を持つことは古くから知られていたが、近年生体
防御機構の一つである消毒機構への活性酸素系の関与と
類似し、ここでも活性酸素の寄与が論じられるようにな
った。この種のゲルに金属を吸着させ、微粒子状にする
ことにより、この機能を十分に発揮させることが出来る
ものと考えることもできる。
【0009】
【実施例】以下本発明を多孔性金属酸化物であるチタニ
アゲルの製造条件による特性の差異、および銀と亜鉛を
吸着させた抗菌性チタニアゲルの特徴を、実施例をもち
いて説明するが、本発明は当実施例の内容のみに限定さ
れるものではない。
アゲルの製造条件による特性の差異、および銀と亜鉛を
吸着させた抗菌性チタニアゲルの特徴を、実施例をもち
いて説明するが、本発明は当実施例の内容のみに限定さ
れるものではない。
【実施例1】ここでは多孔性チタニアゲルの製造に関す
る実施例を、反応時に脂肪族アルコールである2−プロ
ピルアルコールを共存させた例で示すが、これによりさ
らさらした平均粒経の小さい多孔性チタニアゲルが得ら
れる。なお、これらの生成物のX線的検討によると、い
ずれもが非晶性であった。 (1)条件A:4.8容積%濃度に調整した三塩化チタ
ン水溶液の2500mlを激しく撹拌しつつ、14容積
%濃度のアンモニア水溶液500mlを少量ずつ添加す
ることによってチタニア粒子を含むけん濁液を得た。こ
れを加圧ろ過と洗浄を繰り返して可及的に残留塩素イオ
ンを除去した。このチタニア粒子を120℃で乾燥し
た。粒子は凝集状態であり、平均粒径は6μm〜38μ
m程度であったので、粉砕工程を経て、200メッシュ
の篩で分級した。このものの比表面積は291m2/g
であった。 (2)条件B:24容積%濃度の三塩化チタン水溶液に
2−プロピルアルコールを2000mlを加え、一方、
28容積%濃度のアンモニア水溶液280mlに280
mlの2−プロピルアルコールを加えた溶液を少量ずつ
注加し、チタニア粒子を含むけん濁液を得た。このけん
濁液を条件Aと同様に洗浄処理を繰り返した後、120
℃で乾燥した。この試料はさらさらした分散状態であ
り、平均粒径は0.5μm〜12μm程度で、白色度の
より優れた粒子であり、粉砕・篩分は不要であった。こ
の試料の比表面積は188m2/gであった。 (3)条件C:条件Bと同様なプロセスによったが、そ
れぞれの2−プロピルアルコール量を条件Bの3/4量
とした。120℃乾燥後の粒子の状態は条件Bの粒子と
同等で、粉砕の必要は認めなかった。該試料の比表面積
は220m2/gであった。 (4)条件D:条件Bと同様なプロセスによったが、そ
れぞれの2−プロピルアルコール量を条件Bの1/2量
とした。120℃乾燥後の粒子の状態は凝集傾向にあっ
た。従って、実施例1と同様に紛砕し、200メッシュ
で分篩をおこなった。この試料の比表面積は280m2
/gであった。
る実施例を、反応時に脂肪族アルコールである2−プロ
ピルアルコールを共存させた例で示すが、これによりさ
らさらした平均粒経の小さい多孔性チタニアゲルが得ら
れる。なお、これらの生成物のX線的検討によると、い
ずれもが非晶性であった。 (1)条件A:4.8容積%濃度に調整した三塩化チタ
ン水溶液の2500mlを激しく撹拌しつつ、14容積
%濃度のアンモニア水溶液500mlを少量ずつ添加す
ることによってチタニア粒子を含むけん濁液を得た。こ
れを加圧ろ過と洗浄を繰り返して可及的に残留塩素イオ
ンを除去した。このチタニア粒子を120℃で乾燥し
た。粒子は凝集状態であり、平均粒径は6μm〜38μ
m程度であったので、粉砕工程を経て、200メッシュ
の篩で分級した。このものの比表面積は291m2/g
であった。 (2)条件B:24容積%濃度の三塩化チタン水溶液に
2−プロピルアルコールを2000mlを加え、一方、
28容積%濃度のアンモニア水溶液280mlに280
mlの2−プロピルアルコールを加えた溶液を少量ずつ
注加し、チタニア粒子を含むけん濁液を得た。このけん
濁液を条件Aと同様に洗浄処理を繰り返した後、120
℃で乾燥した。この試料はさらさらした分散状態であ
り、平均粒径は0.5μm〜12μm程度で、白色度の
より優れた粒子であり、粉砕・篩分は不要であった。こ
の試料の比表面積は188m2/gであった。 (3)条件C:条件Bと同様なプロセスによったが、そ
れぞれの2−プロピルアルコール量を条件Bの3/4量
とした。120℃乾燥後の粒子の状態は条件Bの粒子と
同等で、粉砕の必要は認めなかった。該試料の比表面積
は220m2/gであった。 (4)条件D:条件Bと同様なプロセスによったが、そ
れぞれの2−プロピルアルコール量を条件Bの1/2量
とした。120℃乾燥後の粒子の状態は凝集傾向にあっ
た。従って、実施例1と同様に紛砕し、200メッシュ
で分篩をおこなった。この試料の比表面積は280m2
/gであった。
【実施例2】実施例1の条件Aおよび条件Bでえたチタ
ニアゲル(A1およびB1)を各種温度で加熱処理し
(それぞれA系列および、B系列とする)、これらの試
料について比表面積、X線による結晶形、銀成分吸着量
および抗菌力(MIC)を測定した。銀吸着方法は、硝
酸銀水溶液(濃度:0.05mol/1000ml)5
00mlにチタニアゲル粒子の10gを投入し、室温で
2時間放置後、ろ過洗浄をおこなった。結果は表1に示
すように、2−プロピルアルコールの共存下での反応生
成物は熱的にもより安定であり、例えば試料B3に見ら
れるように、低比表面積にもかかわらず吸着した銀成分
量は抗菌性を示すに十分な量であった。
ニアゲル(A1およびB1)を各種温度で加熱処理し
(それぞれA系列および、B系列とする)、これらの試
料について比表面積、X線による結晶形、銀成分吸着量
および抗菌力(MIC)を測定した。銀吸着方法は、硝
酸銀水溶液(濃度:0.05mol/1000ml)5
00mlにチタニアゲル粒子の10gを投入し、室温で
2時間放置後、ろ過洗浄をおこなった。結果は表1に示
すように、2−プロピルアルコールの共存下での反応生
成物は熱的にもより安定であり、例えば試料B3に見ら
れるように、低比表面積にもかかわらず吸着した銀成分
量は抗菌性を示すに十分な量であった。
【0010】
【表1】
【実施例3】実施例1の条件Bの試料に銀成分に加えて
亜鉛成分を吸着させることによる変色抑制効果を示す。
本例で実施した銀成分(Ag)および亜鉛成分(Zn)
の吸着は、例えば、硝酸銀0.45gと塩化亜鉛2.3
gを溶解した60mlの水溶液にチタニアゲル10gを
投入し、室温で1時間放置することによった。これによ
り何れも吸着銀成分量3重量%および亜鉛成分量10重
量%の抗菌性チタニアを調整することが出来た。同様に
表2に示したような亜鉛成分量を変えた一連の試料を試
作した。なお、同表には銀成分量(重量%)と亜鉛成分
量(重量%)を Ag−Znと表示した。表示「0−
0」は原料である多孔性チタニアゲルを意味する。これ
らの抗菌性チタニアのMIC値は120μg/ml前後
であった。この領域では、亜鉛成分量のMIC値に与え
る影響は少ない。さて、変色に関する指標として白色度
を測定した。島津自記分光光度計に付属している積分球
ISR−240Aにより反射スペクトルを測定した。表
2に示した結果は波長400nmにおける反射率(%)
である。120℃で乾燥した、亜鉛成分量を異にする抗
菌性チタニアおよび、250℃で1時間加熱処理した後
の白色度を比較したのが表2である。250℃加熱前後
の試料とも、亜鉛成分の存在するものほど反射率、即ち
白色度が高く、かつ加熱処理の影響が少ないことが明か
である。なお、この加熱処理によるMIC値の変化は認
められなかった。
亜鉛成分を吸着させることによる変色抑制効果を示す。
本例で実施した銀成分(Ag)および亜鉛成分(Zn)
の吸着は、例えば、硝酸銀0.45gと塩化亜鉛2.3
gを溶解した60mlの水溶液にチタニアゲル10gを
投入し、室温で1時間放置することによった。これによ
り何れも吸着銀成分量3重量%および亜鉛成分量10重
量%の抗菌性チタニアを調整することが出来た。同様に
表2に示したような亜鉛成分量を変えた一連の試料を試
作した。なお、同表には銀成分量(重量%)と亜鉛成分
量(重量%)を Ag−Znと表示した。表示「0−
0」は原料である多孔性チタニアゲルを意味する。これ
らの抗菌性チタニアのMIC値は120μg/ml前後
であった。この領域では、亜鉛成分量のMIC値に与え
る影響は少ない。さて、変色に関する指標として白色度
を測定した。島津自記分光光度計に付属している積分球
ISR−240Aにより反射スペクトルを測定した。表
2に示した結果は波長400nmにおける反射率(%)
である。120℃で乾燥した、亜鉛成分量を異にする抗
菌性チタニアおよび、250℃で1時間加熱処理した後
の白色度を比較したのが表2である。250℃加熱前後
の試料とも、亜鉛成分の存在するものほど反射率、即ち
白色度が高く、かつ加熱処理の影響が少ないことが明か
である。なお、この加熱処理によるMIC値の変化は認
められなかった。
【0011】
【表2】
【0012】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明によって初
めて生産性の良好な、また特に光および熱的に優れた特
性を持つ抗菌材を提供できたのである。
めて生産性の良好な、また特に光および熱的に優れた特
性を持つ抗菌材を提供できたのである。
Claims (3)
- 【請求項1】 抗菌性金属が担体に吸着されてなる抗菌
性物質において、担体が比表面積40m2/g以上の多
孔性チタニアであり、多孔性チタニアに吸着された抗菌
性金属成分が少なくとも銀および亜鉛である抗菌性物質
を形成しており、担体量に対し銀成分量が1.5重量%
以上および亜鉛成分量が1.0重量%以上であることを
特徴とする抗菌性チタニア。 - 【請求項2】 抗菌性金属が担体に吸着されてなる抗菌
性物質において、担体である多孔性チタニアを三塩化チ
タン溶液とアンモニア溶液との反応にて製造するに際
し、この系に脂肪族アルコールを共存させることを特徴
とする請求項1に記載の抗菌性チタニアの製造方法。 - 【請求項3】 抗菌性金属が担体に吸着されてなる抗菌
性物質において、担体である多孔性チタニアを三塩化チ
タン溶液とアンモニア溶液との反応にて製造するに際
し、共存させる脂肪族アルコールが2−プロピルアルコ
ールであることを特徴とする請求項2に記載の抗菌性チ
タニアの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3320099A JPH072523A (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 抗菌性チタニアとその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3320099A JPH072523A (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 抗菌性チタニアとその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH072523A true JPH072523A (ja) | 1995-01-06 |
Family
ID=18117706
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3320099A Pending JPH072523A (ja) | 1991-09-30 | 1991-09-30 | 抗菌性チタニアとその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH072523A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7601327B2 (en) | 2004-11-23 | 2009-10-13 | E.I. Du Pont De Nemours And Company | Mesoporous oxide of hafnium |
US7601326B2 (en) | 2004-11-23 | 2009-10-13 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Mesoporous oxide of zirconium |
US7858066B2 (en) | 2007-05-08 | 2010-12-28 | E.I. Du Pont De Nemours And Company | Method of making titanium dioxide particles |
US8221655B2 (en) | 2004-11-23 | 2012-07-17 | E. I. Du Pont De Nemours And Company | Mesoporous oxide of titanium |
US8377414B2 (en) | 2004-11-23 | 2013-02-19 | E I Du Pont De Nemours And Company | Mesoporous amorphous oxide of titanium |
US10337776B2 (en) | 2017-09-19 | 2019-07-02 | The Boeing Company | Refrigeration system having valves and valve control actuators |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01317121A (ja) * | 1988-06-17 | 1989-12-21 | Ishihara Sangyo Kaisha Ltd | 針状抗菌性物質 |
JPH026333A (ja) * | 1988-03-17 | 1990-01-10 | Ishihara Sangyo Kaisha Ltd | 抗菌性粉末及びその製造方法 |
-
1991
- 1991-09-30 JP JP3320099A patent/JPH072523A/ja active Pending
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20041217 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |