JPH07251238A - 綾振ドラム用鋳型及び綾振ドラムの製造方法 - Google Patents

綾振ドラム用鋳型及び綾振ドラムの製造方法

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JPH07251238A
JPH07251238A JP6807894A JP6807894A JPH07251238A JP H07251238 A JPH07251238 A JP H07251238A JP 6807894 A JP6807894 A JP 6807894A JP 6807894 A JP6807894 A JP 6807894A JP H07251238 A JPH07251238 A JP H07251238A
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mold
core
drum
traverse
divided
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JP6807894A
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Chiaki Ishiguro
千明 石黒
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Murata Machinery Ltd
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Murata Machinery Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 極薄肉の鋳造一体ドラムを、より少ない工数
で、しかも溝形状に制約を受けることなく製造可能なら
しめる新規な綾振ドラム用鋳型を、同鋳型を用いた綾振
ドラムの製造方法と共に提供する。 【構成】 中子1と外型2とからなり、両者の間に極薄
肉のドラム形状に対応するキャビティ5を有するシェル
モールド鋳型Mであって、中子1と外型2がそれぞれ綾
振溝の位置で複数に横分割され、個別に成型された中子
1と外型2の分割片(1a〜1e)、(2a〜2e)を
交互に積み重ねて組み立てられたものからなる。また、
上記鋳型Mへの溶湯鋳込みに際しては、該鋳型Mにキャ
ビティ5を吸引した減圧下に注湯する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極薄肉の綾振ドラムを
一体鋳造するための綾振ドラム用鋳型とその鋳型を用い
た綾振ドラムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動ワインダーに用いられる綾振ドラム
に求められる条件の一つとして、リボン巻の防止や糸切
れ時のドラム停止等の観点より、できるだけ軽量化を図
ることが追及される。この軽量化の目的で、従来よりド
ラム材質にアルミニウム合金を適用することが行われて
いるが、アルミ材質では耐摩耗性・耐蝕性に不足し、ド
ラム寿命等の点で問題がある。
【0003】そのため、耐摩耗性等の見地からは綾振ド
ラムをスチール等の鉄系金属で形成することが指向され
るが、鉄系材質では比重が大きいため、アルミ製ドラム
と同程度にまで軽量化するためには、ドラム肉厚を3m
m以下程度にまで薄肉化しなければならない。一方、か
かる極薄肉で、しかも内外周面に複雑な綾振溝を有する
中空円筒形状の綾振ドラムを既知の鋳造プロセスによっ
て製造することは実質的に不可能である。このため、鉄
系材質で形成される既存の綾振ドラムは、円筒素材に機
械加工を加えて成形される加工品が主流となっている。
しかしながら、加工品の場合には、鉄系材質が硬く加工
に困難を伴い、加えて複雑な溝加工を必要とするため、
コスト的に高くつくことが否めない。
【0004】そこで、このような従来技術の問題点を克
服し得るものとして、出願人は特開昭61-69670号公報に
おいて、鉄系金属よりなる極薄肉の鋳造一体ドラムを、
その製造方法と共に新たに提案している。この新型の綾
振ドラムにあっては、溝部を含むドラム本体が3mm以下
の極薄肉、より具体的には 1.5〜2.5 mmの肉厚を有する
鉄系金属の一体物として形成され、鉄系金属よりなる軽
量ドラムが面倒な加工を要さず、比較的安価に提供され
るものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
既提案に係る一体ドラムには、その製造工程と綾振溝形
状の点で尚改善すべき余地が認められる。
【0006】特開昭61-69670号公報で提案したセラミッ
クシェル鋳型を用いる綾振ドラムの製造方法において
は、極薄肉のドラム形状に対応するキャビティを有した
シェル鋳型を造型するために、概ね以下のようなプロセ
スを採用している。
【0007】即ち、金型成形によりドラムの中空部形状
に対応する溶解性中子を製造する工程と、この溶解性中
子を用いて、まず金型成形により該中子を鋳ぐるんだド
ラム外形に対応する溶解性原形品を製造し、しかる後、
溶解性中子のみを溶解させてドラム形状に対応する中空
の溶解性原形品を製造する工程と、この溶解性原形品に
耐火物スラリーのコーティングと耐火物粒子のサンディ
ングとを繰り返して所要厚みのシェル層を形成する工程
と、溶解性原形品を溶解させてドラム形状に対応するキ
ャビティを有したシェル鋳型を得る工程とからなってい
る。
【0008】しかし、上記の製造方法によると、第1の
問題点として、シェル鋳型の造型に必要な工数、とりわ
け溶解性原形品に対するスラリーコーティングと耐火物
サンディングの反復工程に工数が嵩み、生産効率が低
く、コスト的にも割高となることが指摘される。
【0009】また、第2の問題点として、ドラム形状に
対応する溶解性原形品の綾振溝形状に制約を受けること
が挙げられる。これについて説明すると、溶解性中子及
び該中子を用いた溶解性原形品の製造に当っては、それ
らの成形金型Kとして、図11に示すように、放射状に
開閉される多分割された分割金型(K1〜Kn)が用い
られる。そして、これらの分割金型(K1〜Kn)の内
面には、図12に示すように、合体して綾振溝の内面も
しくは外面形状に対応する連続した突条帯Lを形成する
突条片(L1〜Ln)が設けられている。
【0010】ここにおいて、任意の分割金型Kiに着目
すると、図13に示すように、それらは内面に上記突条
帯Lを構成する突条片Liを有し、放射状に開放される
型開時には、脱型方向Pに向けて溶解性中子もしくは原
形品から該突条片Liをスムーズに抜き取れるようにし
なければならない。しかるに、突条片Liは通常上下に
湾曲しているため、突条片Liの先端部を支障なく抜き
取るためには(図示点線矢印P1参照)、突条片Liの
付根側の肉厚を、図示二点鎖線で示す本来の寸法位置か
ら図示実線で示す上方位置へ拡張するようにしなければ
ならない。そして、そのような場合には、図14に示す
ように、製品ドラムDの綾振溝形状が、図示二点鎖線で
示す開口幅の狭い理想形状C0から図示実線で示す開口
幅の広い形状C1に変更を余儀なくされ、ドラムDの部
位によって綾振溝Cの糸条ガイド特性等に悪影響を与え
る結果を招く。
【0011】即ち、特にトラバース巾の両端部付近にお
いては、綾振溝の開口幅が広いと、糸がふらつき、パッ
ケージの端部から糸が外れてしまう所謂綾落ちを生じる
おそれがある。従って、溝の開口幅はドラムの両端部ほ
ど狭くなっていることが望まれる。
【0012】本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑
みて、所期目的とする極薄肉の鋳造一体ドラムを、より
少ない工数で、しかも溝形状に制約を受けることなく製
造可能ならしめる新規な綾振ドラム用鋳型を、同鋳型を
用いた綾振ドラムの製造方法と併せて提供するものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に基づく綾振ドラ
ム用鋳型は、中子と外型とからなり、両者の間に極薄肉
のドラム形状に対応するキャビティを有するシェルモー
ルド鋳型であって、中子と外型がそれぞれ複数に分割さ
れ、個別に成型された中子と外型の分割片をそれぞれ積
み重ねて組み立てられたものからなっている。
【0014】ここにおいて、中子と外型との分割位置と
分割方向(横割り、縦割り)は、ドラム形状等の条件に
応じて様々に選択することができるが、分割数を少なく
して分割片の成形と組立てを容易にするためには、中子
と外型とをそれぞれ綾振溝の位置で複数に横分割し、そ
れらの分割片を交互に積み重ねるようにするのが合理的
となる。
【0015】また、本鋳型を用いる綾振ドラムの製造方
法は、以下のプロセスよりなる。即ち、中子と外型の各
分割片をシェルモールド法により個別に成型する工程
と、中子と外型の分割片を積み重ねて極薄肉のドラム形
状に対応するキャビティを有するシェルモールド鋳型に
組み立てる工程と、該鋳型にキャビティを吸引した減圧
下又は遠心力により重力加速度を加えた状態で注湯する
工程とからなり、鋳造後に必要な後処理や表面処理を含
む適宜の仕上げ加工が実施される。
【0016】
【作用】本発明に係る綾振ドラム用鋳型では、中子と外
型とがそれぞれ分割片を組み立ててなるシェルモールド
鋳型で構成されているため、型抜きを伴う面倒な造型作
業を必要しない。従って、中子と外型の各分割片を個別
に成型する工程を要しても、鋳型製作に必要な工数全体
としては大幅に削減される。また、型抜きの必要に伴う
綾振溝形状の制約を受けない。
【0017】そして、鋳型全体がシェルモールドの組立
鋳型で構成されているため、寸法精度が確保され、中子
と外型との間に形成されるキャビティに減圧下又は遠心
力により重力加速度を加えた状態で注湯することによ
り、極薄肉のドラム形状に対応するキャビティの隅々に
まで溶湯を確実に行きわたらせることができ、所期目的
とする極薄肉の鋳造一体ドラムを失敗なく製造すること
が可能となる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明に係る綾振ド
ラム用鋳型と、この鋳型を用いて一体鋳造される綾振ド
ラムの製造方法とについて詳述する。
【0019】図1〜図3は、本発明に基づく綾振ドラム
用鋳型の実施例を図示している。この鋳型Mは、中子1
と外型2とからなり、中子1と外型2との間には、図4
に示す極薄肉の綾振ドラムDの形状に対応するキャビテ
ィ5が形成されている。
【0020】ちなみに、図4に示される綾振ドラムD
は、綾振溝Cの部分を含めて円筒体をなすドラム本体の
肉厚tが、t=1.5 〜2.5 mmの極薄肉で、しかもドラム
本体の全域にわたってほぼ一定の肉厚に形成されてい
る。そして、かかる極薄肉の綾振ドラムDを各種鋳鉄か
らなる鉄系金属で一体鋳造した場合には、既存の同サイ
ズのアルミ製ドラムと同程度の重量にまで軽量化するこ
とが可能となる。
【0021】綾振ドラム用鋳型Mを構成している中子1
と外型2とは、全体がシェルモールドで形成され、それ
らは各々横分割、即ち上下に分割された複数の分割片
(1a〜1e)、(2a〜2e)をそれぞれ積み重ねて
組み立てられている。
【0022】中子1と外型2の分割位置は、図示の如
く、綾振溝の位置で分割するのが望ましい。すなわち、
中子1と外型2の分割片(1a〜1e)、(2a〜2
e)は、それらを単純に水平面で輪切りしたものでな
く、螺旋状に湾曲して周回される綾振溝に沿って分割さ
れている。そして、この綾振溝に沿って分割される中子
1のの分割片(1a〜1e)の間には、図2に示す如
く、その外周部位で上下に隣接されるものの間に綾振溝
の内面形状に対応する溝6が形成され、また同じく綾振
溝に沿って分割される外型2の分割片(2a〜2e)に
は、それぞれ上側の分割面に沿って綾振溝の外面形状に
対応する分割された突条帯7が設けられている。これら
の突条帯7は、後述のように、外型2の分割片(2a〜
2e)を中子1の分割片(1a〜1e)と交互に積み重
ねて組み立てたとき、中子1の分割片(1a〜1e)の
間に形成される上記溝6内に侵入して所定に位置にセッ
トされると共に、上下に積み重ねられる分割片(2a〜
2e)の突条帯7が互いに接続されて上下に連続され
る。
【0023】中子1と外型2の各分割片(1a〜1
e)、(2a〜2e)は、それぞれの形状に対応して用
意される金型を用いて、シェルモールド法により個別に
成型される。図5は、一例として、外型2の分割片(2
a〜2e)の一つについて、金型成型の概要を図示して
いる。中子1と外型2の各分割片(1a〜1e)、(2
a〜2e)は、綾振溝の位置で分割されているため、い
ずれも上下二つ割の金型M1、M2を用いて簡単に成型
することができる。なお、成型は加熱された金型M1、
M2内にフェノール樹脂等をコーティングしたレジンコ
ーテッドサンドをエアブロー(矢印F)等により充填す
るシェルモールド法の一般的な手順に従って行われる。
【0024】このようにして個別に成型される中子1と
外型2の各分割片(1a〜1e)、(2a〜2e)をそ
れぞれ積み重ねて、両者の間に極薄肉のドラム形状に対
応するキャビティ5を有するシェルモールド鋳型Mが組
み立てられる。この鋳型Mには、中子1と外型2の他
に、底部に設置される台型3と上部に冠装される湯口カ
ップ4とが設けられる。台型3は、最下段の中子分割片
1aを位置決めしてセットするための載せ台と、中子分
割片1aとの間に形成されるキャビティ5にドラム端部
を鋳造する底型との役目を兼ねる。一方、最上段の外型
分割片2eの上に載置される湯口カップ4は、中子1と
外型2の間に形成されるキャビティ5に溶融金属を注入
するための湯口部材を構成している。なお、台型3と湯
口カップ4は、鋳型本体と同じくシェルモールド鋳型で
形成されている。
【0025】図3には、シェルモールド鋳型よりなる上
記綾振ドラム用鋳型Mの組立手順の概要が図示されてい
る。まず、台型3の上に、円弧突起8を周回状に設けた
内周寄りの部位で最下段の中子分割片1aがセットされ
る。この際、台型3の中心部に設けられたガイド穴9に
中子分割片1aのフラットな下面から突出された支軸1
0が嵌合されて、両者が同心位置に位置決めされること
になる。
【0026】次いで、最下段の中子分割片1aをセット
した台型3の上に、その外周段部11で最下段の外型分
割片2aがセットされる。その際、中子分割片1aと外
型分割片2aとの相対位置関係は、綾振溝の交叉部に当
たる背高部に形成されている稜線を合わせることで調
整、位置決めされ、この状態で、外型分割片2aに設け
られた突条帯7が下側の中子分割片1aの上面の上に一
定間隔で沿設されることになる。
【0027】次に、二段目の中子分割片1bがセットさ
れる。中子分割片1bは、下段の中子分割片1aの上面
形状に対応する湾曲面で形成された下面の中心部を、下
段のものと同心位置に合わせて整合載置することにより
積み重ねられる。そして、二段目の中子分割片1bをセ
ットした状態では、最下段の外型分割片2aに設けられ
ている突条帯7が上下に積み重ねられた中子分割片1
a、1bの間に形成される溝6内に侵入した状態で位置
決めされることになる。
【0028】次に又、二段目の中子分割片1bをセット
した後に、最下段の外型分割片2aの上に二段目の外型
分割片2bを積み重ねてセットする。この際、両者の位
置決めは、下段の分割片2aに設けられた切欠12に上
段の分割片2bに設けられた係合突起13を整合位置で
嵌め込むことにより確保される。
【0029】このようにして、中子分割片と外型分割片
とを交互に積み重ねて行き、最後に最上段の外型分割片
2eの上に湯口カップ4をセットして鋳型Mの組立作業
を終える。
【0030】綾振ドラム用鋳型Mに、上記の組立式シェ
ルモールド鋳型を採用すれば、中子1と外型2の各分割
片(1a〜1e)、(2a〜2e)を個別に金型成型す
る工程を必要とし、そのためにイニシャルコストが掛か
ることがあっても、型抜きを伴う面倒な造型作業を必要
とせず、特に時間と手間の掛かるスラリーコーティング
とサンディングの反復工程を省くことができるので、従
前のセラミックシェル鋳型に比較すると、鋳型製作に必
要な工数が大幅に削減されて、鋳型1個当りに必要なト
ータルコストも低減される。
【0031】また、中子1と外型2がそれぞれ綾振溝の
位置で複数に横分割されて、個別に成型されたそれらの
分割片(1a〜1e)、(2a〜2e)を交互に積み重
ねることで鋳型Mを組み立てることができるため、型抜
きの必要に伴う綾振溝形状の制約を受けない。従って、
後述するように本鋳型Mを用いて一体鋳造される極薄肉
の綾振ドラムに設けられる綾振溝には、図14に二点鎖
線で示される開口幅の狭い理想形状C0を難無く付与す
ることができる。
【0032】次に、上記の綾振ドラム用鋳型Mを用いて
一体鋳造される綾振ドラムの製造方法について説明す
る。
【0033】本発明に係る製造方法では、前述したよう
に、まず中子1と外型2の各分割片(1a〜1e)、
(2a〜2e)をシェルモールド法により個別に金型成
型して準備する。各分割片の成型プロセスは、図5に例
示して説明した通りである。
【0034】次に、図6に示すように、上記の工程で得
られる複数の分割ピース、即ち、本実施例の場合であれ
ば、中子1、外型2、台型3及び湯口カップ4を合わせ
て合計12個のピースを積み重ねて、図1と図2とに示
される極薄肉のドラム形状に対応するキャビティ5を有
する所定のシェルモールド鋳型Mに組み立てる。この組
立手順についても、図3に基いて既に説明した通りであ
る。
【0035】なお、台型3上に中子1と外型2の分割片
(1a〜1e)、(2a〜2e)等を積み重ねて組み立
てる際の位置決め補助手段として、図7に示すような器
具を併用することもできる。即ち、中子分割片(1a〜
1e)に設けられる軸心孔にシャフト14を通し、外型
2の周囲に鋳型Mの外周テーパ面に対応する逆テーパ面
を有する治具15を嵌めることにより、各分割片(1a
〜1e)、(2a〜2e)の芯だしが行われて、湾曲し
た重ね合わせ面のみで位置決めが行えるものとなる。
【0036】こうして、組み立てられたシェルモールド
の綾振ドラム用鋳型Mには、鋳型内のキャビティ5を吸
引した減圧下又は遠心力により重力加速度を加えた状態
で鉄系金属の溶湯が注入されることになる。鋳型内のキ
ャビティ5を吸引減圧し或いは重力加速度を付加する遠
心鋳造を採用する理由は、極薄肉の綾振ドラムを鋳造す
るキャビティ5内に溶湯を隈無く行きわたらせるためで
ある。なお、シェルモールド鋳型では、耐火物シェル鋳
型の場合のように、溶湯の湯流れをよくする目的で鋳型
を加熱しておくことはできない。
【0037】図8は、上記第1の吸引減圧下で溶湯注入
を行わしめるために採用される鋳型Mの取付構造例を図
示している。綾振ドラム用鋳型Mは、底部が金網等のメ
ッシュ構造体17で構成された容器16内に、上部の注
入口18を露出させ周囲にバックアップサンド19に充
填した状態にセットされており、更に上面側は注入口1
8の開口部を除き、フィルム20等で気密にシールされ
ている。しかして、この状態から、容器底部の排気口2
1から容器16内を吸引減圧しつつ、上部注入口18か
ら溶湯を注入すると、バックアップサンド19を通じて
吸引減圧される鋳型内キャビティ5の隅々まで溶湯を行
きわたせることができ、鋳型温度が常温であっても、複
雑な綾振溝を有した極薄肉鋳物に湯回り不良を発生する
ことがない。なお、溶湯注入時には、シェルモールド鋳
型を構成するコーテッドサンドの樹脂が溶湯と接触して
加熱焼失し、各粒子間の結合が弱まるが、周囲がバック
アップサンド19で埋めつくされているので、型崩れを
起こす心配がない。
【0038】次に、図9と図10は、上記第2の遠心鋳
造により溶湯注入を行わしめるために採用される鋳型M
の取付構造例を図示している。この場合、綾振ドラム用
鋳型Mは、底付きの容器22の中央部に、周囲に砂もし
くは金属の粒子からなる充填材23を詰め込んで(或い
は中空ブロックに装填して)固定されている。この容器
22は、連結部材25、25を介して、その内部にるつ
ぼ26を収容する回転容器(るつぼホルダ)24の一側
に横向き姿勢で取り付けられている。そして、溶湯28
を貯溜しているるつぼ26の注湯口27と、鋳型Mの上
部で開口される湯口カップの注入口18とが近接対向位
置にセットされている。しかして、この状態から回転容
器24を、鋳型Mを内有している取付容器22と共に、
軸24aの回りに回転(300rpm)すると、るつぼ
26内の溶湯28が遠心力(7G〜10G)の作用によ
り注湯口27から注入口18を通して鋳型M内のキャビ
ティ5に注入充満される。この方法によれば、遠心力に
よる重力加速度の付与によって、常温下で極薄肉の綾振
ドラムに対応する鋳型内キャビティ5の隅々にまで溶湯
を行きわたらせることができる。
【0039】このようにして一体鋳造された綾振ドラム
は、冷却後に、容器16等をひっくり返してバックアッ
プサンド19や充填材23と共に鋳型Mごと容器16等
から取り出され、更に鋳型Mを壊して取り出される。こ
の際、既述の理由によって、鋳型Mの粒子結合力が弱ま
っているため、ハンマー等による叩打によって簡単に崩
壊除去することができる。すなわち、従前のセラミック
シェル鋳型を用いる場合に比較すると、型ばらしが用意
に行えることも一つの利点として挙げられる。
【0040】このようにして取り出された鋳造綾振ドラ
ムは、特開昭61-69670号公報で開示したのと同様の後処
理と仕上げ工程を経て、最終的に極薄肉の製品ドラムに
完成される。主な後処理等について述べると、キャステ
ィングストレスを除去するための熱処理、ドラム真円度
とアンバランス取りのための旋盤加工、バフ研磨等の表
面研磨処理、更に耐摩耗性アップのための窒化等の各種
の表面硬化処理が挙げられる。
【0041】以上の製造方法に従えば、シェルモールド
の組立鋳型で構成された綾振ドラム用鋳型Mのドラム形
状に対応するキャビティ5の隅々にまで溶湯を確実に行
きわらせることができて、極薄肉の鋳造一体ドラムを失
敗なく製造することができるものとなる。
【0042】なお、本発明に係る綾振ドラム用鋳型は、
鉄系金属よりなる極薄肉の鋳造一体ドラムの製造を企図
して開発されたものであるが、鉄系金属以外の、例えば
軽合金や銅鋳物の製造に適用することも妨げない。ま
た、鋳型(中子及び外型)の分割数や分割位置は、勿
論、綾振ドラムのサイズと溝形状によって区々となる。
そして、例えば厚肉のものや溝形状の単純なものでは、
必ずしも綾振溝の位置で分割しなくても組立可能となる
場合もある。
【0043】
【発明の効果】以上のように、シェルモールドからなる
中子と外型の各分割片を積み重ねて構成される本発明の
組立式綾振ドラム用鋳型を採用すれば、従前のセラミッ
クシェル鋳型を用いる場合での工数増、延いてはコスト
増の問題点を改善することができる。また、これと同時
に、従来鋳型で問題となった綾振溝の溝形状が鋳型の製
作プロセスにより制約を受けるという問題点も解消する
ことができ、開口幅の小さい本来の溝形状を自由に選ぶ
ことができる。
【0044】また、上記鋳型を用いた本発明のドラム製
造方法に従えば、所期目的とする極薄肉の鋳造一体ドラ
ムを、鋳造不良を招来することなく、より簡易な工程で
製造することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく綾振ドラム用鋳型の実施例を示
す断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1と図2に示す綾振ドラム用鋳型の組立工程
を示す分解斜視図である。
【図4】図1の鋳型キャビティが対応される極薄肉綾振
ドラムの断面図である。
【図5】分割片の成型工程を示す金型の断面図である。
【図6】鋳型要素と組立状態との関係を示す鋳型の分解
図である。
【図7】鋳型組立時の位置決め工程を示す断面図であ
る。
【図8】鋳型への注湯工程を示す断面図である。
【図9】鋳型への注湯工程を示す平面断面図である。
【図10】図9のB−B線矢視断面図である。
【図11】従来鋳型の造型に用いられる分割金型を示す
平面概略図である。
【図12】分割金型群の集合内面形状を示す斜視図であ
る。
【図13】分割金型についてその突条片形状と脱型方向
との関係を示す斜視図である。
【図14】突条片形状に対応する綾振溝の開口部形状を
示すドラム部分の断面図である。
【符号の説明】
M 綾振ドラム用鋳型(組立式シェルモールド鋳型) 1 中子 1a〜1e 中子分割片 2 外型 2a〜2e 外型分割片 3 台型 4 湯口カップ 5 キャビティ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中子と外型とからなり、両者の間に極薄
    肉のドラム形状に対応するキャビティを有するシェルモ
    ールド鋳型であって、中子と外型がそれぞれ複数に分割
    され、個別に成型された中子と外型の分割片をそれぞれ
    積み重ねて組み立てられたことを特徴とする綾振ドラム
    用鋳型。
  2. 【請求項2】 中子と外型とからなり、両者の間に極薄
    肉のドラム形状に対応するキャビティを有するシェルモ
    ールド鋳型であって、中子と外型がそれぞれ綾振溝の位
    置で複数に横分割され、個別に成型された中子と外型の
    分割片を交互に積み重ねて組み立てられたことを特徴と
    する綾振ドラム用鋳型。
  3. 【請求項3】 中子と外型の各分割片をシェルモールド
    法により個別に成型する工程と、中子と外型の分割片を
    積み重ねて極薄肉のドラム形状に対応するキャビティを
    有するシェルモールド鋳型に組み立てる工程と、該鋳型
    にキャビティを吸引した減圧下又は遠心力により重力加
    速度を加えた状態で注湯する工程とからなることを特徴
    とする綾振ドラムの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014511806A (ja) * 2011-03-31 2014-05-19 二明精機株式会社 繊維工業における糸巻機のためのプラスチック系複合材料の完成した糸案内溝付きシリンダを製造するための方法、及び複合材料の完成した糸案内溝付きシリンダ

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JP2014511806A (ja) * 2011-03-31 2014-05-19 二明精機株式会社 繊維工業における糸巻機のためのプラスチック系複合材料の完成した糸案内溝付きシリンダを製造するための方法、及び複合材料の完成した糸案内溝付きシリンダ

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