JPH07251049A - 非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜及びその製造方法 - Google Patents

非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜及びその製造方法

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JPH07251049A
JPH07251049A JP4363194A JP4363194A JPH07251049A JP H07251049 A JPH07251049 A JP H07251049A JP 4363194 A JP4363194 A JP 4363194A JP 4363194 A JP4363194 A JP 4363194A JP H07251049 A JPH07251049 A JP H07251049A
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晃義 下田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高透水量を有する非晶質芳香族ポリエ−テル
ケトン中空糸分離膜及びその製造方法に関する。 【構成】 透水量が300〜10,000l/m2 ・ h
r・ kg/cm2 で、かつ芳香族ポリエ−テルケトンが
実質的にスルホン化されておらず、更に実質的に非晶質
であることを特徴とする非晶質芳香族ポリエ−テルケト
ン中空糸分離膜、並びに、製膜原液が芳香族ポリエ−テ
ルケトン、非スルホン化性強酸、増粘剤を主成分とする
ことを特徴とする非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸分離膜の製造方法。 【効果】 高性能の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中
空糸分離膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高透水量を有する非晶質
芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜及びその製造方
法に関する。さらに詳しくは、限外濾過膜や精密濾過膜
として好適に用いられる低溶出性、高透水性の分離膜と
してや、耐熱性、耐薬品性等に優れ、かつ高透水性を有
する結晶性芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜用の
原糸として有用な非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸分離膜及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体等の電子工業用超純水、医
療器用途、医薬用途、食品用途等での濾過や滅菌に高分
子からなる中空糸分離膜が広く用いられており、その用
途分野と使用量は拡大の傾向にあるとともに、性能面に
おいても膜素材からのイオン成分や有機物等の溶出が少
なく、耐薬品性、耐熱性及び透水性に優れた中空糸分離
膜が要求さている。
【0003】中空糸分離膜素材として、従来よりセルロ
−スアセテ−ト等のセルロ−ス誘導体、ポリアクリロニ
トリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリメタクリル酸メ
チル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニリデ
ン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の高分子が限外濾過膜
や精密濾過膜として広く用いられている。しかしなが
ら、近年の分離膜への要求の高度化に対してこれらの素
材は低溶出性、耐熱性及び耐薬品性を満足できるもので
はなく、要求される性能面において十分ではない。
【0004】芳香族ポリエ−テルケトンは耐熱性、耐薬
品性、低溶出性に極めて優れた樹脂として注目されてお
り、この樹脂の分離膜への応用が試みられている。例え
ば、特開平2−237628号公報及び特公平3−47
889号公報ではポリエ−テルエ−テルケトンのスルホ
ン化物からの分離膜が提案されている。しかしながらこ
のようにスルホン化された膜では、水中で膨潤すること
が知られており(Macromolecules 86
p、18(1985)参照)、その使用範囲に限界があ
る。
【0005】またスルホン化されていない芳香族ポリエ
−テルケトン膜も提案されている。例えば、特開平3−
174321号公報では、特定の構造を有する芳香族ポ
リエ−テルケトン類を用いた半透性薄膜を提案してい
る。しかしながら、この膜においては透水性が200リ
ットル/m2 ・ hr・ kg/cm2 以下であり低いレベ
ルにある。また、中空糸分離膜の例示はされていない。
【0006】一方、芳香族ポリエ−テルケトン膜の透水
性を向上させる試みもなされている。例えば、特開平2
−136229号公報では、ポリエ−テルエ−テルケト
ンを溶解するような酸溶媒の組み合わせ、例えばメタン
スルホン酸や硫酸を用い、さらに該酸溶媒にハロゲン化
炭化水素溶媒の添加が提案されている。しかしながら、
この方法においても透水性を満足できるものでなく、特
に中空糸分離膜ではその透水量は4〜12リットル/m
2 ・ hr・ kg/cm2 であり、非常に低いレベルであ
る。
【0007】また、特開平3−56129号公報では、
部分的に結晶質の芳香族ポリエ−テルケトンからなる非
対称膜について記載されており、無機塩やポリエ−テル
スルホン系の可溶性非晶質有機重合体を製膜原液に加え
ることによる透水性向上の例が記載されている。しかし
ながら、その使用量も芳香族ポリエ−テルケトンに対し
て50重量%以下であり、また、透水性も低い。また、
中空糸分離膜も例示されているが、その透水性は11リ
ットル/m2 ・ hr・ kg/cm2 と非常に低い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、耐熱性、耐薬
品性、低溶出性に優れているだけでなく、透水性にも優
れ、かつ膨潤などの不都合のない芳香族ポリエ−テルケ
トン中空糸膜は未だ存在せず、前述の市場のニ−ズか
ら、その出現が望まれている。本発明はこれらの課題を
解決し、高性能の芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離
膜を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは高性能の芳
香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜を開発すべく鋭意
検討した結果、芳香族ポリエ−テルケトンを実質的にス
ルホン化されておらず、かつ非晶質の膜にすることで、
芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜が300リット
ル/m2 ・ hr・ kg/cm2 以上もの高透水性を有
し、かつ膨潤などの不都合を生じないことを見いだし
た。
【0010】さらに本発明者らは、高性能の芳香族ポリ
エ−テルケトン中空糸分離膜を安定的に製造すべく鋭意
検討した結果、増粘剤を加えることが有効であることを
見い出した。即ち、本発明は、(1)25℃において測
定された透水量が300〜10,000リットル/m2
hr・ kg/cm2 で、かつ芳香族ポリエ−テルケト
ンが実質的にスルホン化されておらず、さらに実質的に
非晶質であることを特徴とする非晶質芳香族ポリエ−テ
ルケトン中空糸分離膜、(2)芳香族ポリエ−テルケト
ン、非スルホン化性強酸、及び増粘剤からなる製膜原液
から製造された、(1)記載の非晶質芳香族ポリエ−テ
ルケトン中空糸分離膜、(3)製膜原液中の下式[1]
で表される芳香族ポリエ−テルケトンの濃度が4〜15
重量%であり、かつ下式[2]で表される該製膜原液中
の増粘剤の濃度が5〜300重量%であることを特徴と
する(2)記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸分離膜、 芳香族ポリエ−テルケトンの濃度(重量%)={芳香族ポリエ−テルケトンの重 量÷(芳香族ポリエ−テルケトンの重量+非スルホン化性強酸の重量)}×10 0 [1] 増粘剤の濃度(重量%)={増粘剤の重量÷芳香族ポリエ−テルケトンの重量} ×100 [2] (4)増粘剤がポリビニルピロリドンである(2)また
は(3)記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸
分離膜、(5)製膜原液が芳香族ポリエ−テルケトン、
非スルホン化性強酸、増粘剤からなることを特徴とする
(1)記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分
離膜の製造方法、(6)製膜原液中の下式[3]で表さ
れる芳香族ポリエ−テルケトンの濃度が4〜15重量%
であり、かつ下式[4]で表される該製膜原液中の増粘
剤の濃度が5〜300重量%であることを特徴とする
(5)記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分
離膜の製造方法、 芳香族ポリエ−テルケトンの濃度(重量%)={芳香族ポリエ−テルケトンの重 量÷(芳香族ポリエ−テルケトンの重量+非スルホン化性強酸の重量)}×10 0 [3] 増粘剤の濃度(重量%)={増粘剤の重量÷芳香族ポリエ−テルケトンの重量} ×100 [4] (7)増粘剤がポリビニルピロリドンである(5)また
は(6)記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸
分離膜の製造方法、を提供するものである。
【0011】以下本発明について詳細に記述する。本発
明で用いられる芳香族ポリエ−テルケトンは下記の繰り
返し単位からなることを意味する。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
【化12】
【0024】
【化13】
【0025】
【化14】
【0026】
【化15】
【0027】
【化16】
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】
【0030】本発明の芳香族ポリエ−テルケトンは、こ
れらの繰り返し単位の単独重合体であっても良いし、こ
れらの2つ以上の繰り返し単位を有する共重合体であっ
ても良い。また上記の繰り返し単位を構成するフェニレ
ン基にアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ニトリル
基、アミノ基、フェノキシ基、フェニル基、ビフェニル
基、下記化学式19基、
【0031】
【化19】
【0032】等が含まれていてもかまわない。また、上
記のような単独重合体又は共重合体の一部に、該重合体
が持つ本来の特性を著しく低下させない範囲で他の繰り
返し単位を含む共重合体であってもよく、例えばそのよ
うな共重合単位としては、
【0033】
【化20】
【0034】
【化21】
【0035】
【化22】
【0036】
【化23】
【0037】
【化24】
【0038】
【化25】
【0039】
【化26】
【0040】
【化27】
【0041】
【化28】
【0042】等が挙げられる。本発明に用いる芳香族ポ
リエ−テルケトンは既知の重合方法によって製造でき、
特に限定されない。例えば、フリ−デルクラフト法より
合成されたものであり、関連する合成法は米国特許第3
085205号、第3442857号、第344153
8号及び第3668057号明細書、ドイツ特許出願公
開第2206836号明細書及びJ.Poly.So
i.,55p.741(1961)(米)に記載されて
いる。
【0043】また他の芳香族ポリエ−テルケトンの重合
法は重縮合法によるものであり、芳香族ジハロゲン化合
物とジフェノ−ル類をアルカリ塩の存在下で重合させる
方法と芳香族ジハロゲン化合物と炭酸塩を重合させる方
法がある。前者の重合法は、特公昭57−22938号
公報、米国特許第4113699号、特開昭54−90
296号公報に記載されており、後者の重合法は特開昭
62−85708号公報、特開昭62−85709号公
報に記載されている。
【0044】本発明で用いられる芳香族ポリエ−テルケ
トンの重合度は特に限定されない。芳香族ポリエ−テル
ケトンの重合度は、濃硫酸中において濃度0.1%(芳
香族ポリエ−テルケトンの重量/濃硫酸の容量)の溶液
としたとき、25℃でオストワルド粘度管により測定さ
れた還元粘度で表される。一般に還元粘度が0.5〜
2.5デシリットル/gの範囲の芳香族ポリエ−テルケ
トンが用いられる。中でも高透水量を得るために芳香族
ポリエ−テルケトンの濃度を低くするときは、高分子量
の芳香族ポリエ−テルケトンの使用が好ましい。例え
ば、還元粘度が0.7〜2.5デシリットル/gのもの
が好適に使用され、還元粘度0.9〜2.5デシリット
ル/gのものがさらに好適に用いられる。
【0045】本発明の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン
中空糸膜は実質的にスルホン化されていない。本発明で
言う「実質的にスルホン化されていない」とは、核磁気
共鳴分光分析(NMR)による測定、または元素分析に
よるイオウの定量において、芳香族ポリエ−テルケトン
重合体のスルホン化されているフェニレン基を有する繰
り返し単位が10%以下であることを意味するが、より
好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは1%以下
である。
【0046】また、本発明の非晶質芳香族ポリエ−テル
ケトン中空糸分離膜は実質的に非晶質である。本発明で
言う実質的に非晶質とは、結晶化度の水準が約10重量
%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約
1重量%以下であることを意味する。かかる結晶化度は
Blundell及びOsbornにより報告されてい
る広角X線回折により測定される(Polymer、2
4、953、1983参照)。
【0047】芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜の
結晶化が紡糸時に、例えば凝固液内等で発生した場合、
孔径の均一なものができず好ましくない。本発明による
非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜は、30
0〜10,000リットル/m2 ・ hr・ kg/cm2
の透水量を有する。本発明における透水量は、中空糸単
糸の中空糸膜内部に25℃の蒸留水を1kg/cm2
圧力で加えたときに、膜外部に透水してくる水の体積を
10分間測定し、その値をリットル/m2 ・ hr・ kg
/cm2 に換算した値を意味する。上記範囲より透水量
が小さい場合、高透水量を要求される用途には使用でき
ず、好ましくない。より好ましくは500リットル/m
2 ・ hr・ kg/cm2 以上である。また、10,00
0リットル/m2 ・ hr・ kg/cm2 を越える透水量
の場合には、膜強度が著しく低下し好ましくない。
【0048】本発明による非晶質芳香族ポリエ−テルケ
トン中空糸分離膜の膜厚は、特に制限はないが、一般に
5〜2000μmの範囲のものが用いられる。特に好適
に用いられる膜厚は10〜500μmである。また、本
発明による非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸膜の
膜構造は対称膜、非対称膜のどちらでもよく、特に限定
されないが、高透水量を得るためには非対称膜が好まし
い。
【0049】さらに本発明の非晶質芳香族ポリエ−テル
ケトン中空糸分離膜の分画性能は、粒径0.2μmのポ
リスチレンラテックスを70%以上阻止することが可能
であり、該膜の原液組成及び製膜条件にも左右される
が、分子量2000以上のデキストランを10%以上阻
止できる。以後、本発明の第2発明である非晶質芳香族
ポリエ−テルケトン中空糸分離膜の製造方法について述
べる。
【0050】本発明の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン
中空糸分離膜は、内部注入液を用いて、芳香族ポリエ−
テルケトン、非スルホン化性強酸、増粘剤からなる製膜
原液を紡口より凝固浴へ吐出させ凝固製膜することによ
り得られる。本発明で使用される内部注入液は該製膜原
液を凝固させることのできるものであればよく、例えば
芳香族ポリエ−テルケトンに対する非溶剤でも良いし、
凝固能力の弱い溶剤でもかまわない。好ましい内部注入
液としては水、濃度80%以下の非スルホン化性強酸、
酢酸、アルコ−ル類、無機塩または塩基の水溶液もしく
はこれらの混合物等が挙げられるがこの限りではない。
アルコ−ル類は例えばメタノ−ル、エタノ−ル、1−プ
ロパノ−ル、2−プロパノ−ル等の1価のアルコ−ル
や、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリ
エチレングリコ−ル、テトラエチレングリコ−ル、プロ
ピレングリコ−ル、グリセリン等の多価のアルコ−ル類
及びポリエチレングリコ−ル等が挙げられる。
【0051】本発明で使用される製膜原液の芳香族ポリ
エ−テルケトンの濃度は、{芳香族ポリエ−テルケトン
の重量÷(芳香族ポリエ−テルケトンの重量+非スルホ
ン化性強酸)}×100で表され、4〜15重量%の範
囲にある。4重量%未満の濃度である場合には、製膜原
液の粘度が低く、中空糸への紡糸が困難になる。また、
15重量%を超える濃度である場合には中空糸の透水性
が非常に低いものとなる。
【0052】好ましい製膜原液中の芳香族ポリエ−テル
ケトンの濃度は4〜12重量%であり、さらに好ましい
濃度は5〜7重量%である。芳香族ポリエ−テルケトン
濃度は、高いほど中空糸の強度が高くなるが透水性は低
下し、必要とする中空糸膜の性能に応じ増粘剤とのバラ
ンスから決定される。本発明で製膜原液に使用される非
スルホン化性強酸は芳香族ポリエ−テルケトン及び増粘
剤の混合系を均一に溶解させ、かつ原液調整工程及び原
液状態で該芳香族ポリエ−テルケトンと実質的に化学的
に反応しないものが用いられる。例えば、硫酸、メタン
スルホン酸、フロロメタンスルホン酸、ジフロロメタン
スルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、ジクロロ酢
酸、トリクロロ酢酸、トリフロロ酢酸、液状弗化水素、
及びこれらの混合物が挙げられる。中でも、硫酸が好ま
しく用いられる。しかしながら、式(2)、(4)、
(8)、(9)、(10)、(11)、(14)、(1
5)、(16)、(17)、(18)で表される芳香族
ポリエ−テルケトン類はスルホン化されやすく、例えば
濃硫酸等は使用できない。これらにはジクロロ酢酸、ト
リクロロ酢酸、トリフロロ酢酸、液状弗化水素、及びこ
れらの混合物が好ましく用いられる。
【0053】本発明に用いられる非スルホン化性強酸中
には、芳香族ポリエ−テルケトンと増粘剤を均一に溶解
できる濃度であれば水等の非溶媒を含有していてもよ
い。例えば非スルホン化性強酸に硫酸を用いた場合に
は、該硫酸中に約15重量%までの水を含有し得る。本
発明で使用される増粘剤とは該非スルホン化性強酸に均
一に溶解し製膜原液の粘度を上昇させ、かつ中空糸を紡
糸後に容易に除去できる物質であればよく、特に限定さ
れない。例えば有機や無機の水溶性もしくは非水溶性の
高分子化合物、オリゴマ−等が挙げられ、超微粒子のシ
リカ等のチクソトロピ−性を付与するものも可能であ
る。中でもポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコ
−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリビニルアルコ−
ル、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホ
ン化ポリエ−テルエ−テルケトン、ポリシロキサン、ポ
リエ−テルサルホン、ポリサルホン、ポリエ−テルイミ
ド等、またはこれらの混合物が好ましく用いられるがこ
の限りではない。中でも水溶性の高分子またはオリゴマ
−が好ましく、特にポリビニルピロリドンが増粘効果と
解重合による除去の容易さの点で好ましく用いられる。
【0054】本発明のポリビニルピロリドンは下記の構
造を有し、性能を損なわない範囲で共重合されていても
よい。
【0055】
【化29】
【0056】本発明に用いられるポリビニルピロリドン
の分子量は特に制限はないが、重量平均分子量において
500〜1,000,000の範囲にあるものが一般に
用いられる。さらに好ましい重量平均分子量の範囲は
5,000〜700,000である。本発明に使用され
る増粘剤の添加量は増粘剤の分子量、芳香族ポリエ−テ
ルケトンの分子量、芳香族ポリエ−テルケトンの濃度、
及び非スルホン化性強酸の種類及び濃度に左右される
が、調製した製膜原液が均一溶解できる範囲で増粘され
ればよく、特に制限されない。一般に芳香族ポリエ−テ
ルケトンに対する増粘剤の重量比が5〜300重量%で
ある。さらに好ましくは10〜200重量%であり、特
に好ましくは50〜200重量%である。
【0057】本発明においては芳香族ポリエ−テルケト
ンと非スルホン化性強酸からなる溶液に増粘剤を加える
ことによりはじめて製膜原液の粘度が上昇し、中空糸膜
の紡糸が可能となる。増粘剤を加えることにより調製さ
れた該製膜原液の粘度は特に制限はないが、一般に1〜
1000Pa・secの範囲にある。特に好ましい該製
膜原液の粘度は5〜200Pa・secである。該製膜
原液の粘度が1Pa・sec未満または500Pa・s
ecを超える場合には中空糸膜の紡糸が困難であり、生
産性に劣る。
【0058】本発明における増粘剤の効果は前述の効果
に加え、それ自信が紡糸後の中空糸から除かれることに
よって、空孔率が増大することにより透水量を向上させ
る効果も合わせもつ。本発明で使用される製膜原液中に
溶解状態及び分離膜の孔径を制御する目的で他の添加剤
も含有し得る。用いられる添加剤としては例えば無機化
合物、有機低分子化合物等が挙げられる。無機化合物と
しては各種塩類、有機低分子化合物としてはジフェニル
スルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、
2,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジ
フロロジフェニルスルホン、2,4’−ジフロロジフェ
ニルスルホン、2,2’−ジフロロジフェニルスルホ
ン、ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノ
ン、2,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジ
フロロベンゾフェノン、2,4’−ジフロロベンゾフェ
ノン、2,2’ジフロロベンゾフェノン、4,4’−ジ
フロロテレフタロフェノン、2,4’−ジフロロテレフ
タロフェノン、4,4’−ジクロロテレフタロフェノ
ン、2,4’−ジクロロテレフタロフェノン、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルフォキサイド、N−メチルピロリド
ン、キサントン、テレフタル酸、イソフタル酸、サリチ
ル酸、ジメチルカ−ボネ−ト、メチルフェニルカ−ボネ
−ト、ジフェニルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−
ト、1,4−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−
ル、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリ
エチレングリコ−ル、テトラエチレングリコ−ル、プロ
ピレングリコ−ル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−
テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、トリ
エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、テトラエチレ
ングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−
ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジメチルエ
−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、トリ
エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、テトラエチレン
グリコ−ルジメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルジ
メチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テ
ル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、トリエ
チレングリコ−ルモノエチルエ−テル、テトラエチレン
グリコ−ルモノメエルエ−テル、プロピレングリコ−ル
モノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−
テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、トリエ
チレングリコ−ルジエチルエ−テル、テトラエチレング
リコ−ルジメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルジエ
チルエ−テル、エチレングリコ−ルモノイソプロピルエ
−テル、ジエチレングリコ−ルモノイソプロピルエ−テ
ル、トリエチレングリコ−ルモノイソプロピルエ−テ
ル、テトラエチレングリコ−ルモノイソプロピルエ−テ
ル、プロピレングリコ−ルモノイソプロピルエ−テル、
エチレングリコ−ルジイソプロピルエ−テル、ジエチレ
ングリコ−ルジイソプロピルエ−テル、トリエチレング
リコ−ルジイソプロピルエ−テル、テトラエチレングリ
コ−ルジイソプロピルエ−テル、プロピレングリコ−ル
ジイソプロピルエ−テル、エチレングリコ−ルモノフェ
ニルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノフェニルエ−
テル、トリエチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、
テトラエチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、プロ
ピレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、エチレングリ
コ−ルジフェニルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジフ
ェニルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジフェニルエ
−テル、テトラエチレングリコ−ルジフェニルエ−テ
ル、プロピレングリコ−ルジフェニルエ−テル、グリセ
リン等が挙げられるがこの限りでない。該添加剤の添加
量はその種類にも左右され、製膜原液を均一溶液として
保つことができる量であれば特に制限はないが、一般に
芳香族ポリエ−テルケトンの重量に対して0.1〜50
重量%の範囲でが好ましい。
【0059】以上の条件において調製した製膜原液を用
いて中空糸分離膜の紡糸を行う際、紡口より内部注入液
とともに製膜原液を凝固浴に吐出させることにより製膜
を行う。本発明において凝固浴に用いる凝固液は製膜原
液に対して凝固能力のある液状物質であればよく特に制
限はないが、水、希硫酸、酢酸、酢酸エステル、アルコ
−ル類及びこれらの混合物が用いられる。さらに本発明
では凝固液の中に無機塩又は塩基を添加しておくことも
可能であり、例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩
化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、
硝酸アンモニウム、硫酸リチウム、過塩素酸マグネシウ
ム、過塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム等が好
適に用いられる。これら凝固液は製膜された中空糸分離
膜の多孔度に関係し、より大きい透水量を得るためには
この中から凝固速度の遅いものを選択すればよいことは
理解されるであろう。これらの中でも、原液に硫酸を用
いた場合は水または希硫酸が操作性の面から好ましい。
【0060】本発明においては、紡糸時の原液温度、内
部注入液温度及び凝固液温度は特に制限はないが、通常
2〜90℃の範囲である。本発明において凝固液中で凝
固された非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜
は、該膜中に残留する原液溶媒及び増粘剤、凝固液等を
除くために洗浄することが必要である。一般的には、例
えば室温〜水の沸点の範囲内で水性媒体又は水を主体と
する媒体で洗浄処理することにより除去し得る。
【0061】該膜になお小量の非スルホン化性強酸が残
留する場合は有機媒体で洗浄することが好ましい。好ま
しい有機媒体はメタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−
ル、ブタノ−ル、アセトン、メチルエチルケトン、エチ
レングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレン
グリコ−ル等が挙げられるがこの限りではない。また水
性媒体に不溶な増粘剤を用いた場合においても有機媒体
で洗浄される。特に該増粘剤にポリビニルピロリドンを
用いた場合には水性媒体及びアルコ−ル類で洗浄除去す
ることが好ましい。
【0062】本発明において中空糸膜に使用中溶出しな
い程度であれば、増粘剤を含有していてもかまわない。
該増粘剤にポリビニルピロリドンを用いたときの芳香族
ポリエ−テルケトン中空糸膜を超微量の溶出が問題とな
る用途分野において使用する場合には、次亜塩素酸塩の
水溶液により溶出しない程度まで洗浄してもよい。さら
に本発明において、芳香族ポリエ−テルケトン中空糸膜
を有機媒体に浸漬させ、親水化を促進させてもかまわな
い。親水化を促進させる有機媒体としてはメタノ−ル、
エタノ−ル、プロパノ−ル、エチレングリコ−ル、ジエ
チレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、グリセリ
ン、アセトン、ポリエチレングリコ−ル及びこれらの水
溶液等が挙げられるがこの限りではない。
【0063】本発明による非晶質芳香族ポリエ−テルケ
トン中空糸分離膜は、低溶出性かつ高透水性の要求され
る用途、例えば半導体等の電子工業用超純水、医療器用
途、医薬用途、食品用途等での濾過に好適に用いられ
る。また、さらに本発明による非晶質芳香族ポリエ−テ
ルケトン中空糸分離膜は、低溶出性、耐熱性、耐薬品
性、高透水性の結晶性芳香族ポリエ−テルケトン中空糸
分離膜を作る原糸として用いることができる。
【0064】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は
これに限定されるものではない。
【0065】
【実施例】下記に示す実施例及び比較例において透水量
は、30cmの中空糸単糸の中空糸膜内部に25℃の蒸
留水を1kg/cm2 の圧力で加えたときに、膜外部に
透水してくる蒸留水の体積を10分間測定し、その値を
リットル/m2 ・ hr・ kg/cm2 換算して求めた。
【0066】さらに本発明の中空糸膜の広角X線回折の
測定方法を述べる。広角X線回折はマックサイエンス社
製のX線回折装置MXP−18を用い、加速電圧50k
v、加速電流200mA、Cuタ−ゲットにより発生し
たX線をNiモノクロメ−タ−により単色化し使用し
た。試料は繊維試料台を用い設置し、透過方式により測
定を行った。試料より発生される散乱X線を12°から
32°まで走査し、1°あたり50ポイントを採りかつ
1ポイントあたり1.2秒計量した。
【0067】また各実施例で得られた中空糸膜のポリス
チレンラテックス球に対する阻止率の測定方法を述べ
る。蒸留水中に、粒径0.212μmのポリスチレンラ
テックス(SERADYN社製)を加え、200ppm
濃度になるように調整した懸濁液を元液とし、この元液
を中空糸膜内部に、25℃、線速1m/sec、平均濾
過圧1kg/cm2 の圧力で加えたときに、膜外部に透
過してくる濾液を10分間採取し、次式から中空糸膜の
阻止率を求めた。
【0068】阻止率(%)=(1−C/C0 ) ただし、Cは濾液濃度、C0 は元液濃度を表す。
【0069】
【実施例1】98%濃硫酸470gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン30.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを3.0
g加え、25℃において脱気しながら撹拌することによ
り溶解し、均一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液と
した。チュ−ブインオリフィス型の中空糸製造用紡口か
ら内部注入液として水を吐出させながら、該製膜原液を
同時に吐出させた。該製膜原液は紡口より10cm下方
にもうけられた24℃の水浴中に浸漬し、凝固した後、
巻き取られた。巻き取られた中空糸膜は60℃の水中に
12時間、25℃のエタノ−ル中に10時間浸漬するこ
とにより洗浄を行った。
【0070】このようにして得られた中空糸膜は内径
0.55mm、外径0.96mmであった。また、この
中空糸膜の透水量は320リットル/m2 ・ hr・ kg
/cm 2 であった。さらにこの中空糸膜の広角X線回折
を測定したところ、非晶質曲線のみが得られ、結晶ピ−
クは得られなかった。
【0071】また、本実施例により得られた非晶質芳香
族ポリエ−テルケトン中空糸膜のポリスチレンラテック
スに対する阻止率は99.8%であった。また、本実施
例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸膜の分子量100,000のデキストラン(Serv
a Dex 100)に対する阻止率の測定を行った。
元液濃度が0.5重量%の該デキストランの水溶液、圧
力が0.5kg/cm2 で行った以外はポリスチレンラ
テックスの阻止率に対する測定と同様の方法で行った。
【0072】その結果、本実施例により得られた非晶質
芳香族ポリエ−テルケトン中空糸膜の分子量100,0
00のデキストランに対する阻止率は63.4%であっ
た。本実施例により得られた広角X線回折曲線を図1に
示す。
【0073】
【実施例2】98%濃硫酸470gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン30.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを45.
0g加え、24℃において脱気しながら撹拌することに
より溶解し、均一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液
とし、実施例1と同様な方法で内径0.60mm、外径
1.05mmの中空糸膜を得た。
【0074】得られた中空糸膜の透水量は2800リッ
トル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。またこの中
空糸膜の広角X線回折を測定したところ、非晶質曲線の
みが得られ、結晶ピ−クは得られなかった。また、本実
施例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中
空糸膜のポリスチレンラテックスに対する阻止率は9
8.8%であった。
【0075】
【比較例1】98%濃硫酸470gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン30.0gを加
え、24℃において脱気しながら撹拌することにより溶
解し、均一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液とし
た。この製膜原液を用いて実施例1と同様な方法で内径
0.52mm、外径0.93mmの中空糸膜を得た。
【0076】得られた中空糸膜の透水量は210リット
ル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。
【0077】
【実施例3】98%濃硫酸475gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン25.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを45.
0g加え、25℃において脱気しながら撹拌することに
より溶解し、均一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液
とし、実施例1と同様な方法で内径0.50mm、外径
1.02mmの中空糸膜を得た。
【0078】得られた中空糸膜の透水量は5700リッ
トル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。またこの中
空糸膜の広角X線回折を測定したところ、非晶質曲線の
みが得られ、結晶ピ−クは得られなかった。また、本実
施例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中
空糸膜のポリスチレンラテックスに対する阻止率は9
6.8%であった。
【0079】
【実施例4】98%濃硫酸460gに、還元粘度が1.
00デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン40.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを28.
0g加え、25℃において脱気しながら撹拌することに
より溶解し、均一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液
とし、実施例1と同様な方法で内径0.55mm、外径
1.10mmの中空糸膜を得た。
【0080】得られた中空糸膜の透水量は540リット
ル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。またこの中空
糸膜の広角X線回折を測定したところ、非晶質曲線のみ
が得られ、結晶ピ−クは得られなかった。また、本実施
例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸膜のポリスチレンラテックスに対する阻止率は99.
9%であった。
【0081】
【実施例5】98%濃硫酸440gに、還元粘度が0.
75デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン60.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを12.
0g加え、24℃において脱気しながら撹拌することに
より溶解し、均一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液
とし、実施例1と同様な方法で内径0.57mm、外径
1.02mmの中空糸膜を得た。
【0082】得られた中空糸膜の透水量は310リット
ル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。またこの中空
糸膜の広角X線回折を測定したところ、非晶質曲線のみ
が得られ、結晶ピ−クは得られなかった。また、本実施
例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸膜のポリスチレンラテックスに対する阻止率は99.
9%であった。
【0083】
【比較例2】98%濃硫酸475gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン25.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを87.
5g加え、脱気しながら撹拌することにより溶解し、均
一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液とし、実施例1
と同様な方法で内径0.52mm、外径1.12mmの
中空糸膜を得た。
【0084】得られた中空糸膜に対して透水量の測定を
試みたところ、膜自体が非常に脆くすぐに破れるため測
定は不可能であった。
【0085】
【比較例3】98%濃硫酸485gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン15.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを12.
0g加え、脱気しながら撹拌することにより溶解し、均
一溶液としたものをの製膜原液とし、実施例1と同様な
方法で中空糸膜の紡糸を行った。しかしながら、液の粘
性が低く、紡口出口での糸切れが多く、紡糸が不可能で
あった。
【0086】この製膜原液を乾燥ガラス板上に膜厚20
0μmとなるようにキャストした。このキャストフィル
ムを直ちに水中に浸漬し凝固させ、実施例1と同様の方
法で洗浄を行い、平膜を作成した。この日ら膜の透水量
は16,300リットル/m 2 ・ hr・ kg/cm2
あり、非常に脆い膜であった。
【0087】
【実施例6】98%濃硫酸470gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン30.0g及び
分子量が10,000のポリエチレングリコ−ルを6.
0g加え、脱気しながら撹拌することにより溶解し、均
一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液とし、実施例1
と同様な方法で内径0.61mm、外径1.12mmの
中空糸膜を得た。
【0088】得られた中空糸膜の透水量は350リット
ル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。またこの中空
糸膜の広角X線回折を測定したところ、非晶質曲線のみ
が得られ、結晶ピ−クは得られなかった。また、本実施
例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸膜のポリスチレンラテックスに対する阻止率は99.
9%であった。
【0089】
【実施例7】98%濃硫酸460gに、還元粘度が1.
30デシリットル/gである(1)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン60.0g及び
分子量が26,000のポリサルホンを12.0g加
え、脱気しながら撹拌することにより溶解し、均一溶液
としたものを中空糸膜の製膜原液とし、実施例1と同様
な方法で紡糸した。巻き取られた中空糸膜は60℃の水
中に12時間、25℃のエタノ−ル中に12時間、50
℃のジメチルホルムアミド中に5時間浸漬することによ
り洗浄し、内径0.57mm、外径1.02mmの中空
糸膜を得た。
【0090】得られた中空糸膜の透水量は320リット
ル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。またこの中空
糸膜の広角X線回折を測定したところ、非晶質曲線のみ
が得られ、結晶ピ−クは得られなかった。また、本実施
例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空
糸膜のポリスチレンラテックスに対する阻止率は99.
9%であった。
【0091】
【実施例8】98%濃硫酸470gに、還元粘度が1.
10デシリットル/gである(3)で示される繰り返し
単位からなる芳香族ポリエ−テルケトン30.0g及び
分子量が10,000のポリビニルピロリドンを45.
0g加え、脱気しながら撹拌することにより溶解し、均
一溶液としたものを中空糸膜の製膜原液とし、実施例1
と同様な方法で内径0.61mm、外径1.04mmの
中空糸膜を得た。
【0092】得られた中空糸膜の透水量は2620リッ
トル/m2 ・ hr・ kg/cm2 であった。またこの中
空糸膜の広角X線回折を測定したところ、非晶質曲線の
みが得られ、結晶ピ−クは得られなかった。また、本実
施例により得られた非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中
空糸膜のポリスチレンラテックスに対する阻止率は9
9.8%であった。
【0093】
【発明の効果】増粘剤を添加した製造法によって、極め
て高性能の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離
膜が得られた。この膜は非常に高い透水性を有している
ため、低溶出性と高透水量が要求される半導体等の電子
工業用超純水、医療器用途、医薬用途、食品用途等での
濾過や滅菌に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明における実施例1により得られた
中空糸膜の広角X線回折曲線を示す。
【図2】図2は本発明における実施例1に用いた芳香族
ポリエ−テルケトンの粉末を420℃において溶融プレ
ス成形を行い、厚さ0.5mmのフィルムを作成し、さ
らに200℃のオ−ブン中において該フィルムを1時間
アニ−リングしたものの広角X線回折曲線を示す。この
図2から求められる芳香族ポリエ−テルケトンの結晶化
度は36%であった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25℃において測定された透水量が30
    0〜10,000リットル/m2 ・ hr・ kg/cm2
    で、かつ芳香族ポリエ−テルケトンが実質的にスルホン
    化されておらず、さらに実質的に非晶質であることを特
    徴とする非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離
    膜。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリエ−テルケトン、非スルホン
    化性強酸、及び増粘剤からなる製膜原液から製造され
    た、請求項1記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中
    空糸分離膜。
  3. 【請求項3】 製膜原液中の下式[1]で表される芳香
    族ポリエ−テルケトンの濃度が4〜15重量%であり、
    かつ下式[2]で表される該製膜原液中の増粘剤の濃度
    が5〜300重量%であることを特徴とする請求項2記
    載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜。 芳香族ポリエ−テルケトンの濃度(重量%)={芳香族ポリエ−テルケトンの重 量÷(芳香族ポリエ−テルケトンの重量+非スルホン化性強酸の重量)}×10 0 [1] 増粘剤の濃度(重量%)={増粘剤の重量÷芳香族ポリエ−テルケトンの重量} ×100 [2]
  4. 【請求項4】 増粘剤がポリビニルピロリドンである請
    求項2または3記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン
    中空糸分離膜。
  5. 【請求項5】 製膜原液が芳香族ポリエ−テルケトン、
    非スルホン化性強酸、増粘剤からなることを特徴とする
    請求項1記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸
    分離膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 製膜原液中の下式[3]で表される芳香
    族ポリエ−テルケトンの濃度が4〜15重量%であり、
    かつ下式[4]で表される該製膜原液中の増粘剤の濃度
    が5〜300重量%であることを特徴とする請求項5記
    載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン中空糸分離膜の製
    造方法。 芳香族ポリエ−テルケトンの濃度(重量%)={芳香族ポリエ−テルケトンの重 量÷(芳香族ポリエ−テルケトンの重量+非スルホン化性強酸の重量)}×10 0 [3] 増粘剤の濃度(重量%)={増粘剤の重量÷芳香族ポリエ−テルケトンの重量} ×100 [4]
  7. 【請求項7】 増粘剤がポリビニルピロリドンである請
    求項5または6記載の非晶質芳香族ポリエ−テルケトン
    中空糸分離膜の製造方法。
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