JPH0725103B2 - 鏡面を有する光学成形体の成形方法 - Google Patents

鏡面を有する光学成形体の成形方法

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JPH0725103B2 JP2198644A JP19864490A JPH0725103B2 JP H0725103 B2 JPH0725103 B2 JP H0725103B2 JP 2198644 A JP2198644 A JP 2198644A JP 19864490 A JP19864490 A JP 19864490A JP H0725103 B2 JPH0725103 B2 JP H0725103B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鏡面を有する光学成形体の成形方法に関す
る。
〔従来の技術〕
従来、キャビティ部にオーバーフロー部を設け、キャビ
ティ部内を溶融樹脂で満杯に充填した後、さらに溶融樹
脂をオーバーフロー部に流出させて成形品の品質を向上
させる成形方法が知られている。
例えば、特公昭61−19409号公報記載の発明において
は、レンズの肉厚方向に摺動可能な入子には圧縮用のピ
ストンが係合されている。一方、キャビティのゲートと
反対側にはオーバーフロー部が設けられ、オーバーフロ
ー部には上記と同様な肉厚方向に圧縮可能な手段(例え
ば、スプリング等)が具備されている。この装置を用い
て、溶融樹脂をキャビティ内に充填後、ピストンにより
入子を介し樹脂を圧縮してオーバーフロー部に押し出
し、該オーバーフロー部に具備された圧縮手段からの反
発力とのバランスをとりながら所定の厚さのレンズを得
る成形方法が提案されている。これは、一般に射出圧縮
成形と呼ばれる成形方法で、レンズ等のような光学部品
を歪やウエルドラインのような欠陥を発生させずに成形
する手段として用いられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記従来技術は、溶融樹脂が冷却硬化する際の体積収縮
によって生じるヒケを防止するため、あらかじめ溶融樹
脂を圧縮し、密度を高める事によりり収縮分を補おうと
したものである。
しかしながら、前記従来技術における成形方法では、樹
脂に高圧を与えてレンズを成形するため、ヒケを無くす
ことは出来ても、内部応力による歪が残留する欠点があ
り、ある一定レベル以上の品質(面精度)は、圧縮条件
を変更しても得られなかった。
本発明は、前記従来技術における欠点に鑑みて開発され
たもので、反射鏡等の片面が光学的鏡面を有した成形体
に生じるヒケや残留歪を解消できる成形方法の提供を目
的とする。
〔課題を解決するための手段および作用〕
本発明は、片面が鏡面で、その反対面が粗面の射出成形
用金型を用いて光学成形体を成形するにあたり、該金型
のキャビティ流路の末端部にオーバーフロー部を設け、
金型内に低圧で溶融樹脂を射出し、前記オーバーフロー
部内を樹脂が充填しだした時点で射出を停止した後、保
持圧力を加えずに冷却固化させる成形方法である。ま
た、片面が鏡面で、その反対面が粗面の射出成形用金型
を用いて光学成形体を成形するにあたり、ランナーから
分岐するオーバーフロー部を設け、該オーバーフロー部
と金型のキャビティ部とに低圧で溶融樹脂を射出し、キ
ャビティ部の充填が完了し、かつオーバーフロー部の充
填が完了しない時点で射出を停止した後、保持圧力を加
えずに冷却固化させる成形方法である。
第1図は本発明の概念図、第2図a,b,cは本発明の概念
を説明し、第2図aは金型のキャビティ周辺を示す平面
図、第2図bおよびcはそれぞれキャビティに樹脂が充
填された状態を示す断面図である。
第2図aに示すのは通常の金型で、キャビティ1にゲー
ト2およびランナー3が連設されている。該金型を用い
て、第2図bに示す如く、キャビティ1内に溶融樹脂4
が充填完了する直前に射出を停止し、保圧を全くかけず
に成形したものである。この成形方法によれば、粗面側
金型5の粗面の凹凸が転写されていない。従って、成形
時における溶融樹脂4のキャビティ1面への密着力は鏡
面側金型6に比べて粗面側金型5の方が弱くなる。する
と、溶融樹脂4の収縮により生ずるヒケは粗面側に集中
するために、鏡面側は金型の平面性を極めて忠実に転写
し、光学的に良好な面精度を有する成形品を得ることが
できる。
一方、第2図cに示すのは、上記第2図bにおける充填
時の射出を停止するタイミングが少し遅れた状態であ
る。すると、第2図bの状態とは逆に、鏡面側よりも粗
面側の密着力が高まり、ヒケは選択的に鏡面側に集中す
る。
以上、第2図bと第2図cとにおける2つの状態は、射
出停止時期のわずかなバラツキにより決まるものであ
り、第2図bの状態を安定して得ることは困難でうあ
る。
因って、本発明は第1図に示す如く、キャビティ1の流
路末端部にオーバーフロー部7を設ける。そして、オー
バーフロー部7に樹脂4が充填されだした時点で射出を
停止すれば、停止時期が成形機や成形条件のバラツキで
変動しても、このバラツキをオーバーフロー部7内で吸
収することができ、常に、第2図bと同様な状態を維持
することができる。
〔実施例〕
以下、本発明に係る鏡面を有する光学成形体の成形方法
の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。
(第1実施例) 第3図〜第5図は本発明の第1実施例を示し、第3図は
金型のキャビティ周辺の平面図、第4図は同縦断面図、
第5図aおよびbはキャビティの内圧を表したグラフで
ある。
1はキャビティで、片側が粗面仕上げの粗面側金型5と
鏡面(光学的鏡面)仕上げの鏡面側金型6とで形成され
ており、ゲート2の反対側にオーバーフロー部7が設け
られている。粗面側金型5のオーバーフロー部7とキャ
ビティ1の接続部には成形後の切断仕上げが容易なよう
に、刃物の位置決めの為の段差(t3)が設けられてい
る。
さらに、粗面側金型5には金型から成形品を取り出す時
に用いる突出ピン8が設けられている。
以上の構成から成る金型を用いての成形方法は、キャビ
ティ1内に低圧で溶融樹脂を射出し、オーバーフロー部
7内に溶融樹脂が充填されだした時点で射出を停止した
後、保持圧力を加えず冷却固化させる。
上記成形方法を、オーバーフロー部を設けない金型と比
べながら詳しく説明する。
第5図aおよびbは、第3図A位置の突出しピン8に荷
重計(図示省略)等を設け、射出工程中の時間経過によ
るキャビティ1内圧の変化をグラフ化したもので、第5
図aはオーバーフロー部が無い場合、第5図bはオーバ
ーフロー部を設けた場合のグラフである。
第5図aのオーバーフロー部が無い場合、溶融樹脂がキ
ャビティ内に流入し、その流動先端が第3図Aの位置に
達すると、流動抵抗に相当するごく微弱な圧力Bが検出
される。
やがて、充填完了の直前の位置で射出を停止すると、キ
ャビティ内圧はそのまま0になり、成形が終了する。と
ころが、本発明の概念として先に説明したように、キャ
ビティ充填の瞬間の直前で射出を停止する事は極めて正
確な制御を必要とし、安定してヒケを粗面側に誘導する
事は困難である。なぜならば、停止のタイミングが早す
ぎると製品部の充填不足が生じるので、いわゆるショー
トと呼ばれる不良品となる。また、遅すぎるとキャビテ
ィ内が完全に満たされて、第4図aに示すC部の様にキ
ャビティ内圧が急激に立ち上がってしまい、鏡面側がヒ
ケてしまうためである。成形品とキャビティ内圧との関
係は、キャビティ内圧が0kgf/cm2の時はショートに、
また内圧が100kgf/cm2では成形品の全数がヒケてしま
う。成形機のバラツキを調べたところ、フィードバック
制御式の新鋭機においても、材料の計量値のバラツキは
スクリュー位置で0.2mmの巾があり、停止位置のバラツ
キは0.1mm以下であった。従って、オーバーフロー部の
寸法は容積で比較して、少なくとも成形機のスクリュー
断面積(mm)2×0.2(mm)mm3以上の容積になるように設定
する必要がある。
また、この時の成形品n=730ケ中の良品率は57%で、
不良の大半が鏡面側のヒケであり、ショートは少数であ
った。
次に、オーバーフロー部7を設けた場合について第5図
bを用いて説明する。
B部までは第5図aの場合と同様なので省略する。D部
はオーバーフロー部に溶融樹脂の流動先端がさしかかっ
た時点に相当し、第3図でいえばl1×t3の絞り部分を通
過する時の流動抵抗の為に、キャビティ1内の内圧が上
昇した事を表している。やがてオーバーフロー部7の中
間に到達したところで射出は停止されるので、キャビテ
ィ内圧はそのまま0に戻る。
ここで、絞りの程度が重要で、絞り過ぎるとD部の圧力
が上昇し、結局鏡面側がヒケてしまうし、厚過ぎると、
後に製品部を切り離す2次加工の作業がやり難くなって
しまう。
本発明の好ましい実施態様によれば、l1は1〜3mm、t3
は製品部t2の80〜90%でゲートt1よりも厚い方が良く、
例えば製品部が2mmの時にはt3=1.6〜1.8mmが良好な結
果を得ることができた。
また、L1×L2は、先に示した成形機の制御能力+αを見
込んでおけばよい。例えばφ25mmのスクリュー径の機械
の場合には、 の溶融樹脂の充填バラツキが想定されるので、L1=10m
m、L2=10mm、t4=2mmに設定すれば、充分余裕を残す事
ができる。
本実施例によればオーバーフロー部7により、充填のバ
ラツキが柔軟に吸収されるので、第5図bの波形を繰り
返し忠実に再現する事ができ、製品の良品率は100%に
まで向上した。
(第2実施例) 第6図は本発明の第2実施例を示す金型のキャビティ周
辺の平面図である。
3はランナーでゲート2を介してキャビティ1へ連結す
ると共に、ランナー3に設けられたサブゲート10を介し
てオーバーフロー部11に接続している。
また、キャビティ1の金型の表面粗さは、前記第1実施
例と同様に片面が粗面で、反対面が鏡面(光学的鏡面)
に仕上げられている事は言うまでもない。
以上の構成から成る金型を用いての成形方法は、低圧で
射出された溶融樹脂4は、ランナー3で分岐し、ゲート
2、サブゲート10を経て、それぞれキャビティ1とオー
バーフロー部11へ同時に充填されていく。
この時、キャビティ1が充填されても、オーバーフロー
部11には、未充填部11aが残っているので、この時で射
出を停止すれば、キャビティ1は前記第1実施例と同様
に粗面側にヒケを誘導する事ができる。即ち、第5図a
におけるBの状態を安定的に維持できる。
また、オーバーフロー部11はもともと成形加工が終了す
れば、利用価値がないものであり、樹脂材料のロスを最
小限にする意味でも容積を最小限にする事が好ましい。
一方、流動距離はオーバーフロー部11の厚さを薄くして
いけば流動抵抗の増加と共に、流動長が短くなる。
従って、少ない容積でキャビティ1と充填バランスを取
ることが可能である。
また、サブゲート10を絞っても当然同様の効果が得られ
る。
ところが、あまり薄くしすぎると、流動抵抗が大きくな
り過ぎて、第5図bにおけるDの部分の内圧が高くなっ
てしまい、鏡面側がヒケてしまうのは前記第1実施例の
時と同様である。
また、射出時におけるキャビティ内の圧力が10〜50kgf/
cm2の時に良好な結果が得られた。
本実施例によれば、前記第1実施例と同様な効果が得ら
れる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、成形機の機械的繰り返し精度の限
界および金型温度や溶融樹脂の粘度など成形条件上のバ
ラツキによる充填量の変動を、オーバーフロー部の余白
空間で吸収し、常に低圧で充填させることにより、光学
的鏡面側のヒケや製品のショートなどの不良を皆無にす
る効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る鏡面を有する光学成形体の成形方
法の概念図、第2図a,b,cは同概念を説明し、第2図a
は金型のキャビティ周辺を示す平面図、第2図bおよび
cはそれぞれキャビティに樹脂が充填された状態を示す
断面図、第3図〜第5図は同第1実施例を示し、第3図
は金型のキャビティ周辺の平面図、第4図は同縦断面
図、第5図aおよびbはキャビティ内圧を表したグラ
フ、第6図は同第2実施例を示す金型のキャビティ周辺
の平面図である。 1…キャビティ 2…ゲート 3…ランナー 4…溶融樹脂 5…粗面側金型 6…鏡面側金型 7,11…オーバーフロー部 8…突出しピン 10…サブゲート

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】片面が鏡面で、その反対面が粗面の射出成
    形用金型を用いて光学成形体を成形するにあたり、該金
    型のキャビティ流路の末端部にオーバーフロー部を設
    け、金型内に低圧で溶融樹脂を射出し、前記オーバーフ
    ロー部内を樹脂が充填しだした時点で射出を停止した
    後、保持圧力を加えずに冷却固化させることを特徴とす
    る鏡面を有する光学成形体の成形方法。
  2. 【請求項2】片面が鏡面で、その反対面が粗面の射出成
    形用金型を用いて光学成形体を成形するにあたり、ラン
    ナーから分岐するオーバーフロー部を設け、該オーバー
    フロー部と金型のキャビティ部とに低圧で溶融樹脂を射
    出し、キャビティ部の充填が完了し、かつオーバーフロ
    ー部の充填が完了しない時点で射出を停止した後、保持
    圧力を加えずに冷却固化させることを特徴とする鏡面を
    有する光学成形体の成形方法。
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