JPH07250821A - 重心動揺による平衡障害評価方法 - Google Patents

重心動揺による平衡障害評価方法

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JPH07250821A
JPH07250821A JP6041592A JP4159294A JPH07250821A JP H07250821 A JPH07250821 A JP H07250821A JP 6041592 A JP6041592 A JP 6041592A JP 4159294 A JP4159294 A JP 4159294A JP H07250821 A JPH07250821 A JP H07250821A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被検体の平衡障害の病態を評価することによ
って、直立動揺の病態を詳細に把握することができる。 【構成】 検出板に乗せられた被検体の各足にかかる荷
重中心を連続的に検出して前記被検体の重心位置を算出
し、この重心位置を予め設定されたX−Y座標上の位置
に変換して重心位置の時間の経過に伴う軌跡を求め、こ
の軌跡の全長である総軌跡長Lを算出するとともに、当
該軌跡によって形成された軌跡図形の最外周線の内側の
面積である外周面積Dを算出して、L/D値(単位面積
軌跡長)を算出し、この値によって前記被検体の平衡障
害の病態を評価する。単位面積軌跡長(L/D)は重心
動揺の大きさ、視性制御を示すパラメータではなく、直
立姿勢制御の微細さ、これに与かる自己受容性姿勢制御
の働きを示すパラメータであるので、直立動揺の病態を
詳細に把握することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、迷路障害、小脳・脳幹
障害等の平衡障害の病態を評価する方法に係り、特に、
被検体の重心動揺によって前記病態を評価するものに関
する。
【0002】
【従来の技術】重心動揺検査が平衡障害の総合的把握に
有用であることは、広く認められている。従来の重心動
揺検査では、検出板に乗せられた被検体の各足にかかる
荷重中心を連続的に検出して前記被検体の重心位置を算
出し、この重心位置を予め設定されたX−Y座標上の位
置に変換して重心位置の時間の経過に伴う軌跡を求め、
この軌跡の総軌跡長を算出するとともに、当該軌跡によ
って形成された軌跡図形の最外周線の内側の面積(以
下、外周面積という。)を算出し、これら総軌跡長と外
周面積によって、平衡障害の病態を評価している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記重心動
揺検査を平衡障害の診断に役立てるには、つまり、病巣
診断的意義、病態診断的意義に関して、その価値を明ら
かにするには、単に、重心の揺れの大きさの検査のみで
なく、検査結果を視性、迷路性、自己受容性などの直立
制御機構との関係で解釈できるパラメータを取り上げる
必要がある。そこで、本発明者が前記パラメータを得る
べく鋭意研究を重ねた結果、次のような見解を見い出す
に至った。
【0004】すなわち、前記総軌跡長をL、外周面積を
Dとして、L/D値を算出して、この値を前記パラメー
タ(以下、単位面積軌跡長という。)とすると、この単
位面積軌跡長は、正常者を検討すると、(1)年齢とと
もに変化する、(2)開眼と閉眼とで差が少ない。
(3)外周面積Dと逆比例する、(4)総軌跡長Lと比
例関係がない、(5)ロンベルグ率と比例関係がない、
ことが認められた。すなわち、単位面積軌跡長は動揺の
大きさ、視性制御を示すパラメータではなく、直立姿勢
制御の微細さ、これに与かる自己受容性姿勢制御の働き
を示すパラメータであることが認められた。なお、ロン
ベルグ率とは、外周面積Dにおける閉眼/開眼率のこと
をいう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記見解に基づ
いてなされたもので、検出板に乗せられた被検体の各足
にかかる荷重中心を連続的に検出して前記被検体の重心
位置を算出し、この重心位置を予め設定されたX−Y座
標上の位置に変換して重心位置の時間の経過に伴う軌跡
を求め、この軌跡の全長である総軌跡長を算出するとと
もに、当該軌跡によって形成された軌跡図形の最外周線
の内側の面積である外周面積を算出し、前記総軌跡長を
L、外周面積をDとすると、L/D値を算出し、この値
によって前記被検体の平衡障害の病態を評価することを
特徴としている。
【0006】
【作用】本発明の重心動揺による平衡障害評価方法で
は、単位面積軌跡長(L/D)が重心動揺の大きさ、視
性制御を示すパラメータではなく、直立姿勢制御の微細
さ、これに与かる自己受容性姿勢制御の働きを示すパラ
メータであり、単位面積軌跡長が長くなるほど自己受容
性制御が行われるので、重心動揺検査において、単位面
積軌跡長であるL/D値を算出し、この値によって被検
体の平衡障害の病態を評価することによって、直立動揺
の病態を詳細に把握することができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の重心動揺による平衡障害評価
方法の一実施例について説明する。本実施例では、被検
体の重心位置を算出し、この重心位置を予め設定された
X−Y座標上の位置に変換して重心位置の時間の経過に
伴う軌跡を求め、この軌跡の総軌跡長を算出するととも
に、当該軌跡によって形成された軌跡図形の最外周線の
内側の面積を算出し、前記総軌跡長をL、軌跡図形の最
外周線の内側の面積をDとして、L/D値を算出し、こ
の値によって前記被検体の平衡障害の病態を評価するの
であるが、まず、以下に前記重心位置の軌跡を求める重
心動揺計について図1および図2を参照して説明する。
【0008】すなわち、重心動揺計10は、被検者(患
者)の両足が乗せられる略三角形状の検出板11と、該
検出板11に設けられて患者の両足にかかる荷重中心を
連続的あるいは断続的に検出する3個のロードセル(荷
重検出手段)12‥と、これらロードセル12‥からの
検出信号に基づき、患者の重心位置を算出する演算手段
13と、演算手段13によって算出された重心位置を予
め設定されたX−Y座標上の位置に変換するとともに、
変換されたXY座標位置を予め設定された単位時間毎に
認識された多数のXY座標として記憶するXY座標位置
記憶手段14と、XY座標位置記憶手段14によって記
憶された多数のXY座標位置を、それぞれX座標位置、
Y座標位置毎にその加重平均を求めて加重平均XY座標
位置を算出し、算出された加重平均XY座標位置を重心
中心位置に決定する決定手段15と、前記記憶手段13
によって記憶された多数のXY座標位置と、前記決定手
段15によって決定された重心中心位置とを表示する表
示装置(表示手段)16とを備えて構成されたものであ
る。
【0009】ここで、演算手段13は、中央演算処理ユ
ニット(CPU)、および内部記憶装置となるRAM、
ROM等のメモリを備えた演算処理装置(コンピュータ
ー)に記憶されたものであり、またXY座標位置記憶手
段14、決定手段15は、この演算処理装置、あるいは
光磁気ディスク等の補助記憶装置に記憶されたものであ
る。
【0010】ロードセル12‥は、略三角形状の検出板
11の各隅部に、正三角形の各頂点をなすようにしてそ
れぞれ配設されたものであり、これらロードセル12‥
にはそれぞれその出力を増幅するためのアンプ17が接
続され、さらにこれらアンプ17‥にはフィルタ18、
AD変換器19を介して演算手段13となる演算処理装
置が接続されている。なお、検出板11の足を乗せる面
には、各ロードセル12‥の中心となる位置に点、ある
いは丸といった足の位置を合わせるための目印20が設
けられている。
【0011】演算手段13は、ロードセル12‥からの
検出信号がアンプ17によって増幅され、フィルタ18
によって不要周波数帯域がカットされ、さらにAD変換
器19によってAD変換された信号を入力し、これによ
り各ロードセル12‥が受けた荷重からその重心位置を
実時間、すなわちリアルタイムに算出するものである。
なお、ロードセル12‥では連続的に荷重が検出される
が、演算手段13ではこれを0.5秒、1.0秒あるいは
2.0秒といったような単位時間毎に、すなわち断続的
に演算処理してその重心位置を算出している。そして、
このようにして断続的に処理されて得られた重心位置の
データは、その個々のデータがCRT等からなる表示装
置16によって連続的(ミクロ的には断続的)に表示さ
れ、これにより測定開始時からの重心位置の移動が図2
に示すような軌跡Kとして表示されるようになってい
る。また、前記演算手段13では軌跡Kの総軌跡長Lが
算出されるとともに、外周面積Dが画像処理等の手段に
よって算出されるようになっている。
【0012】また、XY座標位置記憶手段14は、演算
手段13によって算出された重心位置を予め設定された
X−Y座標上の位置に変換する変換機能14aと、変換
されたXY座標位置を予め設定された単位時間毎に認識
された多数のXY座標として記憶する記憶機能14bと
からなるものである。ここで、予め設定されたX−Y座
標とは、この例では、前記目印20の位置を原点とし、
ロードセル12‥が形成する正三角形の底辺(足を検出
板11に乗せた際踵が向く側の辺)がX軸と平行となる
ように設定されたものであり、また、このX−Y座標も
図2に示すように表示装置16に表示されるようになっ
ている。
【0013】また、決定手段15は、XY座標位置記憶
手段14によって記憶された多数のXY座標位置を、そ
れぞれX座標位置、Y座標位置毎にその加重平均を求め
て加重平均XY座標位置を算出する算出機能15aと、
算出機能15aによって得られた加重平均XY座標位置
を重心中心位置として決定し、この位置を信号として出
力する出力機能15bとからなるもので、出力機能15
bによって出力した信号を表示装置16に送り、重心位
置の軌跡Kとともに、該軌跡K内に重心中心位置G0を
も表示できるように構成されたものである。
【0014】ここで、算出手段15aおよび出力機能1
5bは、測定時間、あるいは記憶手段14によって得ら
れたデータの数が予め設定された時間あるいは数になっ
たら、自動的に加重平均XY座標位置を算出し、結果を
出力するようになっており、したがって例えば測定時間
(訓練時間)をそのまま設定時間にすれば、測定(訓
練)終了後、測定中の全重心位置の中心が出力されるよ
うになっている。
【0015】なお、前記重心動揺計10には、演算手段
13、XY座標位置記憶手段14、決定手段15を構成
するコンピューターシステムにプリンター(図示略)が
設けられており、これによって表示装置16に表示され
る画像と同様のデータ、すなわちX−Y座標や重心位置
の軌跡、重心中心位置がプリントアウトされるようにな
っている。
【0016】次に、前記重心動揺計10によって求めら
れ、本実施例の方法で使用する単位面積軌跡長(L/
D)が、(1)年齢とともに変化する、(2)開眼と閉
眼とで差が少ない。(3)外周面積Dと逆比例する、
(4)総軌跡長Lと比例関係がない、(5)ロンベルグ
率と比例関係がない、等の点について、実際に健常者を
検査した結果を示す。なお、検査条件は以下の通りであ
る。閉足直立における重心動揺を、開眼および閉眼に
て、1分間記録した。開眼検査においては、2m前方の
視標を注視せしめた。単位面積軌跡長は60秒間の軌跡
長(総軌跡長)を外周面積で割った値である。ロムベル
グ率は外周面積における開眼/閉眼率を用いた。
【0017】(1)単位面積軌跡長と年齢との関係につ
いて、(閉眼検査)図3に示すように、単位面積軌跡長
値は、バラツキが多いが、10歳代は短く、20〜40
歳代は長くなるが、50〜60歳代では再び短くなる傾
向がある。同じ年代でも、値にバラツキのあることは、
健常者でも直立維持の状態に差異があるためである。 (2)単位面積軌跡長における開眼と閉眼との関係につ
いて、図4に示すように、開眼と閉眼とでの値に差が少
ないことが分かる。したがって、単位面積軌跡長は、閉
眼で大きくなる前記外周面積D、総軌跡長Lとは異なる
性質のパラメータである。
【0018】(3)単位面積軌跡長と外周面積との関係
について、(閉眼検査)図5に示すように、単位面積軌
跡長は外周面積が小さい程長く、外周面積が大きい程短
い傾向がある。つまり、単位面積軌跡長は外周面積と逆
比例関係がある。なお、外周面積3〜4cm2の例で、単
位面積軌跡長に拡がりがある。これは、外周面積と単位
面積軌跡長の両者から姿勢制御の状態を検討すれば、外
周面積のみより詳しく解釈できることを示している。 (4)単位面積軌跡長と総軌跡長との関係について、
(閉眼検査)図6に示すように、単位面積軌跡長と総軌
跡長との間には比例関係がないことが分かる。単位面積
軌跡長が外周面積、総軌跡長と正比例関係を示さないこ
とは、単位面積軌跡長は揺れの大きさを示すパラメータ
ではないことを示している。 (5)単位面積軌跡長とロムベルグ率との関係につい
て、(閉眼検査)図7に示すように、両者の相関を認め
難い。単位面積軌跡長は開眼、閉眼で差が少ないことと
合わせ、視性の視性制御を示すパラメータではないこと
が分かる。 以上により、単位面積軌跡長は直立姿勢制御の微細さを
示すパラメータであり、直立姿勢制御の微細さは、主
に、自己受容性反射の働きに依存することより、単位面
積軌跡長は自己受容性姿勢制御を示すパラメータである
ことが分かる。
【0019】次に、本発明に係る重心動揺による平衡障
害方法について説明する。本発明では、前記重心動揺計
10によって、重心位置の時間の経過に伴う軌跡を求
め、この軌跡の全長である総軌跡長を算出するととも
に、当該軌跡によって形成された軌跡図形の最外周線の
内側の面積である外周面積を算出し、前記総軌跡長を
L、外周面積をDとするとL/D値を算出し、この値に
よって前記被検体の平衡障害の病態を評価する。
【0020】この評価について図8〜図12を参照して
説明する。なお、図9〜図12の、重心動揺のX−Y記
録図における十字の線は、重心動揺の左右径、前後径の
中心線で、図の中央に動揺図を描くためのもので、動揺
中心を示す線ではない。図8に迷路障害群、小脳・脳幹
障害群、パーキンソン病群の単位面積軌跡長を示す。各
群は、値の小さいものより順次並べてある。なお、これ
らは閉眼検査による値であるが、小脳・脳幹障害群のう
ち栄養障害性脳症の一例のみは開眼検査の値を示してあ
る。迷路障害例、小脳障害例とも、単位面積軌跡長は短
い例と、長い例の両方が認められる。パーキンソン例は
長い傾向がある。
【0021】次に、各々の群で単位面積軌跡長の短い
例、長い例を、疾患経過、他の重心動揺パラメータとの
関係において説明する。図9は、32歳、男子、左メニ
エール病をもつ症例であり、発作を繰り返している時の
重心動揺検査成績である。X−Y記録図において、重心
動揺は図の右方に集まっているが、時々、患側左方向に
大きく揺らいでいる(患側偏倚型)。外周面積Dは9.
81cm2で、健常者の棄却限界3.0±2.1cm2を越え
る。単位面積軌跡長は1.5cmと短く、微細な制御も破
綻している。以上は、迷路性の破綻期の重心動揺の特徴
を示すものでるある。
【0022】図10は、73歳、男子、右耳性帯状疱疹
をもつ症例であり、発症後10箇月後の重心動揺検査成
績である。X−Y記録図において、重心動揺は図の中央
に集まっている(健側偏倚型)。外周面積Dは21.4
3cm2と大きいが、単位面積軌跡長は5.2cmで、自己
受容性の微細な姿勢制御が行われている。以上は、迷路
性の平衡障害に、自己受容性の代償機能が働いてきた協
応期の重心動揺の特徴を示すものである。
【0023】単位面積軌跡長は、図8に示すように、短
い例、長い例があるが、患側偏倚型、左右型例では短い
傾向、求心型例では長い傾向があった。迷路障害が発症
し、平衡機能破綻期にあるとき重心動揺型は、患側偏倚
型、左右型を示し、自己受容性姿勢制御は破綻、単位面
積軌跡長は短くなり、一方、迷路機能が回復し、自己受
容性の代償が働いてくると、その微細な姿勢制御により
単位面積軌跡長が長くなり、健側偏倚型、求心型動揺に
なると解釈できる成績である。
【0024】図11は、68歳、女子、椎骨脳底動脈不
全、MRAで椎骨脳底動脈に動脈硬化、狭索を認める症
例であり、動揺記録において、重心動揺の型はびまん型
である。動揺面積は20.80cm2と大きく、単位面積
軌跡長1.5cmと短い。ロムベルグ率は3.4と大き
い。大きいびまん型動揺は小脳性の起立障害の存在を示
唆している。小脳性の直立障害が存在する状態では自己
受容性姿勢制御の働きも低下し、微細な自己受容性制御
が行われず、単位面積軌跡長が短いと解釈できる。
【0025】図示は省略するが、63歳、男子、脳幹梗
塞、MRIで中脳に梗塞を認める症例で、慢性期の場
合、重心動揺は求心型動揺に、振幅の大きい前後動揺が
加わった型である。外周面積Dは17.08cm2と大き
い。単位面積軌跡長は5.0と長く、ロムベルグ率は
8.8と大きい。小脳前葉から脳幹にかけた障害では振
幅の大きい前後動揺を認める。また、前後動揺は自己受
容性反射の亢進において認めることが多い。このような
例では単位面積軌跡長が長くなると考えられる。
【0026】小脳・脳幹障害例5例中、栄養障害性脳症
例は、けいれん性で、小脳性平衡障害が高度で開眼検査
しか行いえなかったが、動揺の型は、前後動揺型、外周
面積Dが25.39cm2で、単位面積軌跡長は2.1cm
と短かった。FLM症候例は、動揺の型は前後動揺型
で、単位面積軌跡長は5.9cmと長かった。上記の例と
別の椎骨脳底動脈不全例は、動揺の型は求心型動揺で、
単位面積軌跡長は4.6cm、ロムベルグ率1.2で直立
機能の異常は顕著でなかった。
【0027】以上、小脳障害により、大きいびまん型動
揺を示す例では、単位面積軌跡長は短く、脳幹障害でけ
いれん性が存し、前後動揺を示す例では単位面積軌跡長
が長い傾向にあった。前者では自己受容性姿勢制御が破
綻しているため、後者では自己受容性反射の亢進による
ためであると考えられる。
【0028】図12は、70歳、女子、パーキンソン病
の疑いがあり、半年前より肢体の振戦を来たしている症
例であり、X−Y記録図において、重心の揺れの中心が
緩徐に移動し、全体が円形でない(移動型)。外周面積
は4.14cm2で大きくなく、単位面積軌跡長は6.8c
mと長い傾向にある。これは筋に振があるためと考えら
れる。また、図示は省略するが、パーキンソン病の他の
一例も、単位面積軌跡長は6.4cmと長い傾向にあっ
た。
【0029】以上、実際の症例から明らかなように、単
位面積軌跡長は重心動揺の微細さを示し、主として自己
受容性の制御を示すものであり、その値が長くなるほど
自己受容性制御が行われるので、重心動揺検査におい
て、重心の軌跡の全長である総軌跡長Lと、軌跡図形の
最外周線の内側の面積である外周面積Dを求めて、単位
面積軌跡長であるL/D値を算出し、この値によって前
記被検体の平衡障害の病態を評価することによって、直
立動揺の病態を詳細に把握することができる。
【0030】なお、病巣診断、病態診断を意図した重心
動揺検査においては、前記単位面積軌跡長の他に、重心
動揺の型、外周面積、動揺中心の偏倚(閉眼、左右)、
ロンベルグ率等を総合的に評価すことが必要である。そ
して、この評価は、先ず、視性制御が除かれる閉眼検査
について行うことが結果の解釈を楽にする。閉眼検査の
成績を基に、ロムベルグ率、開眼の成績を評価するのが
望ましい。このため、上記症例では、閉眼検査成績につ
いて述べている。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の重心動揺
による平衡障害評価方法によれば、単位面積軌跡長は重
心動揺の微細さを示し、主として自己受容性の制御を示
すものであり、その値が長くなるほど自己受容性制御が
行われるので、重心動揺検査において、重心の軌跡の全
長である総軌跡長Lと、軌跡図形の最外周線の内側の面
積である外周面積Dを求めて、単位面積軌跡長であるL
/D値を算出し、この値によって前記被検体の平衡障害
の病態を評価することによって、直立動揺の病態を詳細
に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、重心位置の軌跡を求める重心
動揺計の一を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した重心動揺計によって得られる重心
位置の軌跡を示す図である。
【図3】単位面積軌跡長と年齢との関係を示すグラフで
ある。
【図4】単位面積軌跡長における開眼検査と閉眼検査と
の関係を示すグラフである。
【図5】単位面積軌跡長と外周面積との関係を示すグラ
フである。
【図6】単位面積軌跡長と総軌跡長との関係を示すグラ
フである。
【図7】単位面積軌跡長とロムベルグ率との関係を示す
グラフである。
【図8】各臨床例の単位面積軌跡長を示すグラフであ
る。
【図9】迷路障害例の重心動揺の一例を示すグラフであ
る。
【図10】迷路障害例の重心動揺の他の例を示すグラフ
である。
【図11】椎骨脳底動脈不全例の重心動揺を示すグラフ
である。
【図12】パーキンソン病例の重心動揺を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10 重心動揺計 11 検出板 12 ロードセル(荷重検出手段) 13 演算手段 14 XY座標位置記憶手段 15 決定手段 16 表示装置 20 目印

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出板に乗せられた被検体の各足にかか
    る荷重中心を連続的に検出して前記被検体の重心位置を
    算出し、この重心位置を予め設定されたX−Y座標上の
    位置に変換して重心位置の時間の経過に伴う軌跡を求
    め、この軌跡の全長である総軌跡長を算出するととも
    に、当該軌跡によって形成された軌跡図形の最外周線の
    内側の面積である外周面積を算出し、前記総軌跡長を
    L、外周面積をDとすると、 L/D値を算出し、この値によって前記被検体の平衡障
    害の病態を評価することを特徴とする重心動揺による平
    衡障害評価方法。
JP6041592A 1994-03-11 1994-03-11 平衡障害評価装置 Expired - Lifetime JP2760471B2 (ja)

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JPS5027422A (ja) * 1973-07-10 1975-03-20
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JPH03155836A (ja) * 1989-11-15 1991-07-03 Nagashima Ika Kikai Kk 平衡機能回復用トレーニング装置
JPH0533032U (ja) * 1991-10-04 1993-04-30 横河メデイカルシステム株式会社 体重計測機能を備えた重心動揺度計

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